JP2006149302A - Hgfに特異的に結合するアプタマー - Google Patents

Hgfに特異的に結合するアプタマー Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、HGF(肝細胞増殖因子)に結合するアプタマーを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、HGFに特異的に結合するアプタマー、HGFに特異的に結合し、かつ、HGFの生物学的活性を阻害するアプタマー、これらのアプタマーを含む癌の治療および癌の転移の予防に供される医薬組成物、および癌の発症の有無、癌の予後または癌の悪性度の診断に用いられる診断用組成物または診断用DNAチップに関する。
【選択図】
なし

Description

本発明は、一般にHGF(肝細胞増殖因子)に特異的に結合するアプタマーに関し、より詳細には、HGFに特異的に結合し、かつ、HGFの生物学的活性を阻害するアプタマー、該アプタマーを含む癌の治療に供される医薬組成物および癌の発症の有無または予後もしくは悪性度の診断に用いられる診断用組成物もしくは診断用DNAチップにも関する。
癌は、疾患による死因のトップを占めており、癌を効果的に治療するための薬剤および治療方法を開発することは、医学・生物学領域において、最も重要な研究課題となっている。癌による致死率はその悪性度に依存し、癌細胞の浸潤および転移能に左右されるものと考えられる。従って、原発腫瘍からの癌細胞の転移を抑えるための有効な治療法が確立されれば、癌による死亡率の低減を実現させることができる。
癌の転移は、上皮組織などに生じた癌細胞が、その原発腫瘍から離脱した後、基底膜を通過して周辺組織に浸潤し、血管系に侵入後、血流によって各組織へと運ばれて血管新生を伴いつつ組織に浸潤し増殖することで進行していく。このプロセスにおいて、癌細胞と間質細胞との相互作用が重要となるが、この相互作用を促進する因子としてHGF(Hepatocyte growth factor;肝細胞増殖因子)が知られている(Nakamuraら, 1997)。
HGFは、種々の臓器の発生と再生に関与する分子量約85kDaのサイトカインで、初代培養肝細胞の増殖を促進する因子として見出された(Nakamuraら, 1984)。ヒトHGF遺伝子は17番染色体長腕に位置し、全長は約70kbである。HGFタンパク質は、728アミノ酸からなり、プラスミノーゲンと相同性を有する一本鎖の前駆体タンパク質として合成され、N末端シグナルペプチドが切断されたあと細胞外に分泌され、さらにHGFアクティベーターまたはウロキナーゼなどによってプロセシングを受けて二本鎖の活性型HGFとなる。2本鎖に切断されると、分子量約60,000のα鎖と分子量約35,000のβ鎖がジスルフィド結合により結合されたヘテロダイマー構造をとる。HGFのシグナルは標的となる細胞に発現するc−Metと呼ばれる受容体を介して伝達される。
HGFは、当初は初代培養肝細胞に対する増殖因子として精製されたが、肝臓以外でも各臓器の上皮細胞、内皮細胞、さらに造血系細胞にも増殖因子として作用することが明らかになっている。加えて、各種細胞に対する細胞分散・遊走活性、血管新生作用、アポトーシス抑制等、多岐にわたる機能を持つ因子である。特にその血管新生促進作用を利用し、虚血性心疾患や閉塞性動脈硬化症等に対する治療を目的とする応用が試みられている。
一方、HGFが持つこれらの機能は、癌細胞においても増殖、アポトーシスの回避、転移、浸潤等のステップに重要な役割を果たす。従って、HGFは癌治療においては標的分子となり、HGFの作用を特異的に認識し阻害する分子は有用な治療薬となり得る。また、各種癌患者の血中のHGFが高濃度であるほど生存率が低下するという知見があることから、HGFを特異的に認識する分子は予後因子としてのHGF濃度の測定をも可能とする。
HGFによる癌細胞浸潤を抑える試みの1つとして、HGFに対して有効に作用するアンタゴニストの調製がここ数年行われてきた。HGFのα鎖のHGFレセプター結合部位を調製し、アンタゴニスト活性を調べたところ、N末端のヘアピン構造から4つのクリングルドメインから構成されるNK4が、HGFの全ての生物学的活性を阻害することが明らかとなった(特許文献1、非特許文献1)。HGFアンタゴニストであるNK4は、ヒト胆嚢癌細胞、マウス肺癌細胞などの多くのカルシノーマの浸潤をインビトロにおいて阻害すること、さらに、マウスに生じた癌細胞の増殖および浸潤、転移を抑制する活性を持つ(非特許文献2)。さらに、NK4は腫瘍性の血管新生を抑制し、癌細胞をアポトーシスへ至らしめ、その結果、癌細胞の増殖を強く抑制する作用も持つ。このように強力なアンタゴニスト作用を有するNK4は癌の悪性化を強力に抑制するため、癌治療剤として多いに期待が持たれるが、実用化の段階にまでは至っていない。
特開2003−250549号公報 Dateら,FEBS Lett 420:1−6, 1997 Dateら,Oncogene 17:3045−3054, 1998
本発明者らは、上記事情に鑑み、タンパク質に代わるHGFアンタゴニストを調製するために、鋭意研究を行った結果、HGFに作用して極めて有効にその生物学的な活性を阻害するアプタマーの調製に成功した。
よって、本発明は、HGFに結合するアプタマーの提供を目的とする。
また、本発明は、HGFに結合し、かつ、HGFの生物学的活性を阻害するアプタマーの提供を目的とする。
さらに、本発明は、アプタマーを含有してなり、癌の転移予防または癌の治療に供される医薬組成物の提供を目的とする。
さらにまた、本発明は、アプタマーを含有してなり、癌の発症の有無、癌の予後または癌の悪性度の診断用組成物の提供を目的とする。
またさらに、本発明は、アプタマーを基盤上に固定した、癌の発症の有無、癌の予後または癌の悪性度の診断様DNAチップの提供を目的とする。
上述したように、これまでのところ、HGFアンタゴニストとして効果を示しているものは、NK4、抗HGF抗体などタンパク質性のものがほとんどである。
タンパク質性の因子はその生理活性の安定性が温度、pHなどによって大きく影響を受け、条件によっては容易に失活することもあり得る。そのため、医薬製剤などの有効成分として用いる場合には、より物理的に安定な物質を用いる方が有利である。タンパク質と比較して、核酸または核酸アナログ(ホスホロチオエートなど)は物理的に安定である、抗原性等の副作用が少ない、溶解性ならびに賦形剤との混合時の安定性に優れる等から多岐に渡る製剤化、投与ルートの選択が可能である。また、オリゴDNAなどは抗体に比べて安価に大量合成することが可能であるため、経済的効果においても、タンパク質因子よりも優れている。
そこで、発明者らは、NK4などと同等以上のHGFアンタゴニスト活性を有するアプタマー(核酸または核酸アナログ)を調製することにより、癌の治療、癌の悪性度の診断において極めて有効な製剤の開発を試みた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明、以下の(1)〜(11)に関する。
(1)本発明の第1の実施態様に係る発明は、「HGFに特異的に結合するアプタマー。」である。
(2)本発明の第2の実施態様に係る発明は、「配列番号1に示される配列を含んでなり、塩基数が50〜150塩基である上記(1)に記載のアプタマー。」である。
(3)本発明の第3の実施態様に係る発明は、「(a)配列番号4〜14のいずれか1つの配列からなるか、または(b)配列番号4〜14のいずれか1つの配列において、1または数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された配列からなり、かつHGFに特異的に結合する、上記(2)に記載のアプタマー、またはその相補的配列を持つアプタマー。」である。
(4)本発明の第4の実施態様に係る発明は、「配列番号2に示される配列を含んでなり、塩基数が50〜150塩基である上記(1)に記載のアプタマー。」である。
(5)本発明の第5の実施態様に係る発明は、「(a)配列番号15〜40のいずれか1つの配列からなるか、または(b)配列番号15〜40のいずれか1つの配列において、1または数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された配列からなり、かつHGFに特異的に結合する、上記(4)に記載のアプタマー、またはその相補的配列を持つアプタマー。
(6)本発明の第6の実施態様に係る発明は、「(a)配列番号41または42のいずれか1つの配列からなるか、または(b)配列番号41または42のいずれか1つの配列において、1または数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された配列からなり、かつHGFに特異的に結合する、上記(1)に記載のアプタマー、またはその相補的配列を持つアプタマー。」である。
(7)本発明の第7の実施態様に係る発明は、「HGFの生物学的活性を阻害する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のアプタマー。」である。
(8)本発明の第8の実施態様に係る発明は、「前記生物学的活性が癌細胞の遊離促進活性、移動促進活性、転移促進活性、浸潤促進活性、増殖促進活性または血管新生活性である上記(7)に記載のアプタマー。」である。
(9)本発明における第9の実施態様は、「前記アプタマーがDNAである上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のアプタマー。」である。
(10)本発明の第10の実施態様に係る発明は、「上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のアプタマーを含有してなる、血管新生抑制剤。」である。
(11)本発明の第11の実施態様に係る発明は、「上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のアプタマーを含有してなり、癌の転移予防または癌の治療に供される医薬組成物。」である。
(12)本発明の第12の実施態様に係る発明は、「上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のアプタマーを含有してなる、癌の発症の有無、癌の予後または癌の悪性度の診断用組成物。」である。
(13)本発明の第13の実施態様に係る発明は、「上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のアプタマーを基盤上に固定した、癌の発症の有無、癌の予後または癌の悪性度の診断用DNAチップ。」である。
本発明に係る核酸および該核酸を含有する医薬組成物によれば、HGFによる癌細胞の遊離、移動、転移、浸潤、増殖促進および血管新生を効果的に抑制、さらには癌細胞のアポトーシスを誘導することが可能である。また、血管新生を抑制することで、癌以外の血管新生による疾患の予防または治療においても有用である。
さらに、本発明に係る核酸および該核酸を含有する診断用組成物によれば、癌の発症の有無、癌の転移予防または癌の予後もしくは悪性度の診断が可能となる。また、癌以外の血管新生による疾患の発症の有無、予後の診断が可能となる。
さらにまた、本発明に係る核酸を固定したDNAチップによれば、癌発症または癌の予後もしくは悪性度の診断を、多くの対象について短時間で行うことが可能となる。また、癌以外の血管新生による疾患の発症の有無、予後の診断を、多くの対象について短時間で行うことが可能となる。
また、本発明に係るアプタマーは、従来のHGFアンタゴニストとして知られている、抗HGF抗体またはNK4などのタンパク質性因子と比較して、抗原性が低いためより高い治療効果を期待することができる。
さらにまた、本発明に係るアプタマーは、従来のHGFアンタゴニストとして知られている、抗HGF抗体またはHK4などのタンパク質性因子と比較して、安価に大量合成することができるため、低廉な治療剤の提供が可能である。
本発明は、HGFに結合するアプタマー、該アプタマーを含んでなる医薬組成物および診断用組成物等に関するものであるため、以下にアプタマーの製造方法、医薬組成物等について詳細に説明する。
1.アプタマー
本発明における「アプタマー」とは、タンパク質、アミノ酸、抗生物質等の各種分子を認識する核酸分子を意味し、本発明に係る「アプタマー」は、HGFを特異的に認識しおよび/またはHGFの生物学的活性を阻害する機能性の核酸分子のことである。「アプタマー」は、RNAであってもDNAであってもよく、これらのRNAまたはDNAがHGFに特異的に結合するものである限り特に限定はしないが、好ましくはDNAである。また、本発明に係る「アプタマー」には、リン酸骨格において修飾を加え、生体内における安定性を増大させたものも含み、特に限定はしないが、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、ホスホラミドチオエート結合、ホスホラミデート結合、ホスホルジアミデート結合、メチルホスホネート結合を含むリン酸骨格が好ましい。さらに、本発明の「アプタマー」には、少なくとも1つのループ構造を形成し得るアプタマー、Gリッチな一次構造を持つアプタマー、およびGカルテット構造を形成し得る一群のアプタマーが含まれる。「Gカルテット」構造とは、例えば、図1に示すようなデオキシグアノシン(グアノシン、グアノシンアナログを含む)による4量体クラスターのことを指す。本発明の「核酸」の形態は、二本鎖であっても一本鎖であってもよいが、好ましくは、一本鎖である。
また、本発明の「アプタマー」は、HGFおよびそのホモログにのみ結合し、例えば、プラスミノーゲン、プラスミンなどの他のタンパク質、その他低分子化合物などに結合しないものであればよく、より好ましくは、HGFの生物学的活性を阻害するものである。
本発明の「アプタマー」の塩基の長さは、HGFに特異的に結合するために必要な長さを有していれば、特に限定はしないが、例えば、10〜200塩基、好ましくは、20〜150塩基、より好ましくは30〜150塩基、さらに好ましくは50〜150塩基のものである。
本発明の「アプタマー」としては、配列番号1ないし3のいずれかに示すコンセンサス配列を持つ配列を挙げることができ、具体的には、例えば、配列番号4〜40のいずれかひとつの塩基配列を含有している核酸を挙げることができる。また、配列番号41および42に示す塩基配列を含有する核酸も本発明の「アプタマー」に含まれる。さらに、配列番号4〜42のいずれかひとつの塩基配列中において、1または数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された配列であって、HGFに特異的に結合する核酸も本発明の「アプタマー」に含まれる。ここで「コンセンサス配列」とは、一般的には、アプタマーの一次構造に見出される比較的短い領域であって、本発明のアプタマー分子に共通に存在する配列のことを意味するが、共通に存在する配列が必ずしも厳密に存在する必要はなく、共通する配列中において1または数個の置換が存在している配列であっても、該配列を有するアプタマーが本発明のアプタマーとしての機能(例えば、HGFに結合する、またはHGFに結合してHGFの生物学的活性を阻害するなど)を有する場合には、そのような配列も「コンセンサス配列」に含めるものとする。
本発明の「アプタマー」は、「アプタマー」単独で疾患の治療、診断等に使用することもできるが、他の分子種、例えば、蛍光標識色素などを結合させた形態で使用することもできる。
本発明のアプタマーは、当業者において周知の方法を用いて製造することができる。限
定はしないが、例えば、「インビトロセレクション法」(Ellingtonら, 1990;Tuerkら, 1990)により製造することができる。
「インビトロセレクション法」は、ランダムな配列を含む核酸分子のプールからHGFに対して親和性を持つ分子を選択し、親和性を持たない分子を排除する方法である。選択された分子のみをPCR法で増幅し、さらに親和性による選択をするというサイクルを繰り返すことにより、強い結合能を持つ分子を濃縮することができる。
具体的には、まず、20〜300塩基、好ましくは30〜150、より好ましくは30〜100塩基程度のランダムな塩基配列を含む1本鎖核酸分子、例えば、DNA、RNAなどを調製する。これらの核酸分子は、直接合成するか、RNA分子の場合には、まずDNA分子を合成したのち転写反応により調製してもよい。これらの核酸分子がDNAの場合は、PCR増幅を可能にするために、その両端にプライマーとなるべき塩基配列を有する。プライマー結合配列部分は、特に限定はしないが、PCR増幅後にプライマー部分を制限酵素によって切除し得るように適当な制限酵素サイトを有するべく調製してもよい。プライマー結合配列部分の長さは、特に限定はしないが、約20〜50、好ましくは20〜30塩基程度である。また、PCR増幅後の一本鎖DNAを電気泳動などで分離可能とするために、5’側末端に、放射標識、蛍光標識などによる標識を行ってもよい。さらに、RNA分子を調製する場合には、5’末端側のプライマーに適当なプロモーター、例えば、T7プロモーター配列などを配し、DNA分子からRNA分子への転写が可能となるように調製してもよい。
次に、PCR増幅によって得られたランダムな核酸分子と、HGFまたはHGFの特定の領域を包含するペプチド断片とを適当な濃度比で混合し、適当な条件下でインキュベートする。インキュベート後、混合物を電気泳動にかけて、核酸分子−HGF複合体と遊離核酸分子とを分離する。HGFと複合体を形成している核酸分子を定法に従って抽出する。回収された核酸分子がDNAの場合には、さらにPCR増幅を行い、増幅されたDNAを熱変性するなどして、一本鎖DNAとして回収する。回収された核酸分子がRNAの場合には、該RNAを逆転写してcDNAとしたのち、PCR増幅し、増幅されたDNAを転写してRNAを調製する。
上述の核酸分子とHGFとの混合、HGFと結合した核酸分子の分離、PCR増幅(RNAの場合には、逆転写後増幅)、増幅された核酸分子を再びHGFとの結合に使用するまでの一連の操作は数ラウンド行う。ラウンドを繰り返し行うことにより、より特異的にHGFと結合する核酸分子を選別することができる。得られた核酸分子は、定法に従い配列決定を行うことができる。
以上の工程により得られた核酸分子の配列に基づいて、リン酸骨格部分に修飾を加え、例えば、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、ホスホラミドチオエート結合、ホスホラミデート結合、ホスホルジアミデート結合、メチルホスホネート結合を含むリン酸骨格から構成されるアプタマーを得ることもできる。
2.HGFの生物学的活性
本発明におけるHGFの「生物学的活性」には、HGFについて当該技術分野において周知の「生物学的活性」の全てが含まれる。特に限定はしないが、例えば、マイトジェン活性、モルフォゲン活性及び血管新生活性などのほか、癌細胞の遊離、移動、浸潤、転移および増殖を促進する活性などが含まれる。さらに、血管新生の結果誘導されるアポトーシスも、HGFの「生物学的活性」に含まれる。
3.医薬組成物
本発明に係る「医薬組成物」は、癌および/または血管新生に起因する疾患の予防または治療のために用いることができる。従って、本発明に係る「医薬組成物」は、癌細胞の遊離、移動、転移、浸潤または増殖の抑制、アポトーシスの誘導および/または血管新生の抑制に用いることができる。さらに、本発明に係る「医薬組成物」は、癌細胞の遊離、移動、転移、浸潤または増殖の抑制、アポトーシスの誘導および/または血管新生の抑制方法を提供することが可能である。
本発明における「癌」とは、正常な細胞の増殖調節機構に異常をきたし、無秩序に増殖することを特徴とする、哺乳動物の組織の生理学的状態をいう。本発明における「癌」は、特に限定はしないが、例えば、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病又は悪性リンパ腫などが対象となる。これらの癌の具体的な例としては、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、胆嚢癌、腎臓癌、前立腺癌、乳癌、食道癌、肺癌、多発性骨髄腫、肝臓癌、肝細胞癌、膀胱癌、急性骨髄性白血病、口腔扁平上皮癌などの口腔癌、結腸癌、大腸癌、皮膚癌、グリオーマ、メラノーマ、小細胞型肺癌、非小細胞肺癌、腹膜の癌、子宮頸癌、膀胱癌、子宮内膜又は子宮癌腫、唾液腺癌腫、前立腺癌、産卵口癌、甲状腺癌、肛門癌、陰茎癌腫などが含まれる。
血管新生とは、既存の血管から新しい血管が形成されることで、過剰な血管新生の結果発症する疾患としては、特に限定はしないが、血管繊維腫、動静脈奇形、リウマチ様関節炎、変形関節炎、乾癬、強皮症、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、新生血管緑内障、角膜移植拒絶、未熟児網膜症、トラコーマ、白血病などの造血器腫瘍、固形腫瘍などが含まれる。
本発明に係る医薬組成物を癌の転移予防、癌の治療に使用する場合には、他の抗ガン剤などと組合わせて用いることもできる。他の抗ガン剤としては、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍性抗生物質、化学療法剤、これら以外の他の抗ガン剤等が挙げられる。
アルキル化剤としては、例えば、ナイトロジェンマスタード、クロラムブチル、ジブロモダルシトール、チオテパ、カルムスチン、ブスルファンなど、代謝拮抗剤としては、6−メルカプトプリン、フルオロウラシル、テガフール、ドキシフルリジン、シタラビン、エノシタビン、メトトレキセートなど、抗生物質としては、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ペプロマイシン、ドキソルビシン、THP−アドリアマイシン、アクチノマイシンDなど、その他の抗ガン剤としては、シスプラチン、カルボプラチン、タモキシフェン、カンプトテシン、メルファラン、L−アスパラギナーゼ、アセクラトン、シゾフィランなどが挙げられる。また、本発明により、本発明によって提供される医薬組成物を上記抗ガン剤などと組合わせて用いる、癌の転移予防、癌の治療を行う方法も提供される。
本発明にかかる医薬組成物は、放射線療法と組み合わせて用いることもできる。ここで、放射線療法には、X線、UV照射、マイクロ波などが含まれる。また、本発明により、本発明によって提供される医薬組成物を上記放射線療法と組合わせて用いる、癌の転移予防、治療を行う方法も提供される。
本発明に係る「医薬組成物」は、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル等)に対して投与することができる。本発明に係る「医薬組成物」は、多様な製剤形態、例えば、カプセル剤、錠剤、液剤等の剤形をとることができ、限定はしないが、より一般的には、本発明に係る核酸のみ、または薬学的に受容可能な担体とともに液剤化され、注射剤とされるか、または、薬学的に受容可能な担体とともに経口剤とされるか、又は徐放剤とされる。当該注射剤は、当該技術分野における周知の方法より調製することができる。例えば、滅菌水、緩衝液、生理食塩水等の適切な溶媒に溶解した後、フィルター等で濾過して滅菌し、次いで無菌的な容器に充填することにより調製することができる。注射剤中の核酸の含量としては、通常、癌患者(体重60kgとして)においては約0.01〜5.0(W/V%)に調整される。また、経口剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、軟又は硬カプセル剤、液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤等の剤形に製剤化される。徐放剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、軟又は硬カプセル剤、マイクロカプセル等の剤形に製剤化される。
製剤化する場合には、好ましくは、例えば、アルブミン、グロブリン、ゼラチン、マンニトール、グルコース、デキストラン、エチレングリコール等の安定化剤が添加され得る。さらに、本発明の医薬組成物の製剤化においては、例えば、賦形剤、溶解補助剤、酸化防止剤、無痛化剤、等張化剤等の必要な補助添加物を含んでもよい。液状製剤とした場合は、凍結保存又は凍結乾燥等により水分を除去して保存するのが望ましい。凍結乾燥剤は、使用時に注射用蒸留水等を加え、再溶解して使用される。また、徐放剤とした場合、徐放用担体として例えば、可溶性コラーゲン又は可溶性コラーゲン誘導体、ゼラチン等の蛋白質、セラミックス多孔体、ポリアミノ酸、ポリ乳酸、キチン又はキチン誘導体、水膨潤性高分子ゲル等を使用することができる。
本発明の製剤は、該製剤の形態に応じた適切な投与経路により投与され得る。例えば、注射剤の形態にして静脈、動脈、皮下、筋肉内等に投与することができる。また、徐放剤の形態にして生体内、例えば患部、皮下、筋肉内等に埋め込むことにより投与することができる。投与量は、患者の症状、年齢、体重等により適宜調整されるが、癌患者(体重60kgとして)において、本発明に係る核酸、約1mg〜300mg、好ましくは約10mg〜100mgであり、これを1日1回ないし数回に分けて投与するのが適当である。 他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
4.診断用組成物および診断用DNAチップ
本発明に係る「診断用組成物」は、癌および/または血管新生に起因する疾患の発症、予後、または悪性度の診断などに用いることができる。特に、癌患者の血中HGF濃度と予後または転移の有無とは有意な相関を示すことが知られていることから、本発明のアプタマーを含んで成る「診断用組成物」は、腫瘍マーカーとしても好適に使用することができる。
また、本発明のアプタマーを適切な基盤等に固定化したDNAチップは、癌および/または血管新生に起因する疾患の発症、予後、または悪性度の診断などを行う上で多数の検体について迅速に処理することができるため、極めて有効な診断ツールとして用いることが可能である。DNAチップの製造は、当該技術分野の当業者であれば公知の方法を用いて容易に行うことができる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
インビトロセレクション
ランダムな60塩基を含む1本鎖DNAのプールを調製した。これらのDNAはPCRによる増幅を可能にするため、その両端に5’−AGATGCCTGTCCAGCATCGA−3’(配列番号49)、及び5’−CGAGGACAAAGCAGTCTAGCTAC−3’(配列番号50)の配列をもつプライマーによって認識される配列を有する。また、電気泳動による1本鎖DNAの分離を可能にするため、後者のプライマーの5’側にはビオチン修飾を施してある。
ライブラリーDNAの5’末端を[γ−32P]ATPで標識し、これを1mM MgClを含むリン酸緩衝液(以下、これを結合バッファーとする)中で94℃、3分間加熱後4℃で30分間冷却した。次いでHGFを混合し、37℃で15分間インキュベートした。この時、DNA及びHGFの濃度は、1、2ラウンド目はDNA;100nM、HGF;50nM、3ラウンド目以降はDNA;50nM、HGF;40nMとした。これを6%ポリアクリルアミドゲル電気泳動により、DNA−HGF複合体と遊離DNAを分離した。DNAのバンドの位置をFLA−3000Gバイオイメージングアナライザー(富士写真フィルム社)で確認し、遊離DNAの約半分の移動度に相当する部分のゲルを切り出し、溶出バッファー(500mM 酢酸アンモニウム、10mM MgCl、1mM EDTA、0.1% SDS)によるDNAの溶出、フェノール抽出、エタノール沈澱によってDNAを回収した。
回収したDNAをPCRによって増幅、精製したDNAにストレプトアビジンを加えてインキュベートした。これを熱変性後、8M尿素を含む8%ポリアクリルアミドゲルで分離した。この結果、DNAのバンドは2本に分離する。即ち、ビオチン化プライマーから伸長した鎖はストレプトアビジンと複合体を形成することにより泳動距離が短く、目的とするセンス鎖は相対的に泳動距離が長くなる。泳動距離の長い方の1本鎖DNAを回収し、次ラウンドのゲルシフトアッセイに用いた。この一連のサイクルを5回(H35 DNA)または8回(H38 DNA)繰り返したところで選別したDNAをプラスミドpGEM T−Easyベクター(プロメガ社)にクローニングし、大腸菌JM109株に導入した。インサート部分の塩基配列を自動DNAシークエンサーで決定した。
インビトロセレクションの結果得られたアプタマーのHGF結合実験の結果、配列番号4〜42の配列からなるアプタマーの全てにHGF結合能を見出すことができた。
図2は、配列番号1に示すコンセンサス配列を持つアプタマーとHGFとの結合結果である。図2Aに、配列番号1に示すコンセンサス配列を持つアプタマーの具体的な配列の1例を示す(H35−16;配列番号4、H35−16[19];配列番号43、H35−16[36];配列番号44、H35−16[55];配列番号7)。配列番号1に示すコンセンサス配列を持たないアプタマーはHGFと結合することができず(図2C、H35−16[19])、また、配列番号1に示すコンセンサス配列のみを有していても、HGFとの結合能は認められなかった(図2B、H35−3[36])。一方、配列番号1に示すコンセンサス配列を持つ配列(例えば、H35−16[19]またはH35−3[36])の両端に付加的に数塩基から数十塩基を配し、55塩基長にしたアプタマー(H35−16[55])はHGFと結合する活性を有している(図2BおよびC、H35−16[55])。配列番号1に示すコンセンサス配列を持つ配列のうち、実際にHGFとの結合活性を検出することができたアプタマーの例として、配列番号4〜配列番号14に示す配列を持つアプタマーを挙げることができる。これらの結果から、本発明のアプタマーとしては、少なくとも配列番号1に示されるコンセンサス配列を有し、少なくとも塩基数が、50塩基以上は必要であると考えられる。
また、図3は、配列番号2または配列番号3に示すコンセンサス配列を持つアプタマーとHGFとの結合結果である。配列番号2に示すコンセンサス配列を持つアプタマーは、Gカルテット構造をとると考えられる(図1)。図3Aに、配列番号2または配列番号3に示すコンセンサス配列を持つアプタマーの具体的な配列の1例を示す(H35−3;配列番号15、H35−3[35];配列番号46、H35−3[33];配列番号45、H35−3[47];配列番号47、H35−3[57];配列番号22)。配列番号2または配列番号3に示すコンセンサス配列を持たないアプタマーは、Gカルテット構造をとることができないと考えられるが、そのようなアプタマーはHGFと結合することができず(図3C、H35−3[33])、また、配列番号2に示すコンセンサス配列のみを有していても、HGFとの結合能は認められなかった(図3B、H35−3[35]、H35−3[47])。一方、配列番号2または3に示すコンセンサス配列を持つ配列(例えば、H35−3[33])の両端に付加的に数塩基から数十塩基を配し、57塩基長にしたアプタマー(H35−3[57])はHGFと結合する活性を有している(図3BおよびC、H35−3[57])。配列番号2または3に示すコンセンサス配列を持つ配列のうち、実際にHGFとの結合活性を検出することができたアプタマーの例として、配列番号15〜配列番号40に示す配列を持つアプタマーを挙げることができる。これらの結果から、本発明のアプタマーとしては、少なくともGカルテット構造をとり得る配列(配列番号2または配列番号3に示すコンセンサス配列)を有し、少なくとも塩基数が、50塩基以上は必要であると考えられる。
また、配列番号41または42に示す配列を持つアプタマーもHGFとの結合活性を有することを確認している。
Kd値の測定
(1)方法
取得したDNAアプタマーのうち、H38−21[60](配列番号21)、H38−23[59](配列番号13)、H38−15[59](配列番号8)のKd値を水晶発振子バイオセンサー AFFINIX Q4(イニシアム社、東京)を用い測定した。金電極部に60ngのHGFを固定し、500μLの結合バッファー中でHGFとDNAアプタマーと結合させた。DNAアプタマーは5nM、10nM、25nM、50nMのサンプルを順次添加した。データの解析には解析ソフト ORIGIN(Origin Lab社)を用いた。
(2)結果
測定結果を以下に示す。
H38−21[60](配列番号21);21nM
H38−15[59](配列番号8) ;19nM
H38−23[59](配列番号13);29nM
HGFの細胞分散活性の抑制
(1)方法
ヒト膵がん細胞株KP−3を、24ウェルプレートに2×10細胞/well (10% FBSを含むRPMI1640培地中)になるようにまき、20細胞程度からなるコロニーを形成させた。使用するDNAアプタマーは予め結合バッファー中94℃で3分間加熱後、4℃で30分間冷却し高次構造を再構成させた。HGF(100pM)はDNAアプタマー(100nM)存在下、あるいは非存在下で37℃、15分間インキュベートしたものを培地に混合し、さらに一晩培養後細胞の分散の程度を顕微鏡で観察した。
(2)結果
結果を図4に示す。配列番号2または配列番号3に示す配列とコンセンサスを有するH35−3(配列番号15)は、HGFによる細胞分散を明らかに抑制した。一方、ランダムなヌクレオチドで構成される60N(配列番号48)では抑制が認められなかった。従って、本発明に係るアプタマーはがん細胞の分散活性を抑制することから、生体内において癌細胞の遊離活性を抑制すると考えられる。
HGFの細胞運動能促進活性の抑制
(1)方法
24ウェルプレートに600μLの10% FBSを含むRPMI1640培地を入れ、この中にHGF(100pM)をDNAアプタマー(100pM−100nM)存在下、あるいは非存在下で混合した。DNAアプタマーは予め結合バッファー中で94℃、3分間加熱後、4℃で30分間冷却し高次構造を再構成させたものを使用した。その上に3×10細胞/ウェル(100μL)のKP−3細胞をまいたトランズウェルインサート(24ウェル用)(コーニング社)をセットし、24時間培養した。HGFによって細胞運動が活性化されれば、細胞はトランズウェルインサート底部のポリカーボネート膜上の8μm径の穴を通過し、膜の反対側に移動する。移動した細胞のみを固定、染色処理した。これを一定倍率の顕微鏡下で染色された細胞の数を計測し、DNAアプタマーを加えなかったコントロールのそれと比較した。
(2)結果
その結果、H35−3(配列番号15)、H35−16(配列番号4)共に100nMの濃度でほぼ80%の阻害効果を示した。また、H35−3[57](配列番号22)、H35−16[55](配列番号7)のアプタマーでも約70%の阻害を示した(図5)。また、H35−3[57](配列番号22)に関しては、その濃度依存的にHGFの活性を阻害し、1nMの濃度で約50%の阻害を示すことも確認した(図6)。
また、H38−15[59](配列番号8)とH38-21[60](配列番号21)は共に濃度依存的にHGFの活性を阻害した。特にH38−15[59]は100nMで90%以上の阻害効果を示し、1nM以下の濃度でも約50%の阻害を示すことを確認した(図7)。
さらにその他のアプタマーについて、100nMの濃度で、阻害活性を測定した。H38−1(配列番号5)、H38−2(配列番号11)、H38−5(配列番号6)、H38−10(配列番号12)、H38−11(配列番号26)、H38−15(配列番号8)、H38−18(配列番号28)、H38−21(配列番号21)、H38−22(配列番号23)、H38−23(配列番号13)、H38−32(配列番号35)、H38−33(配列番号9)、H38−43(配列番号10)が強い阻害効果を示した(図8)。
一方、H38−3(配列番号41)とH38−24(配列番号42)の阻害効果は弱かった。
HGFの細胞浸潤活性の抑制
(1)方法
24ウェルプレートに600μLの10%FBSを含むRPMI1640培地を入れ、この中にHGF(100pM)をDNAアプタマーあるいはコントロールDNA(100nM)存在下、あるいは非存在下で混合した。DNAサンプルは予め結合バッファー中で94℃、3分間加熱後、4℃で30分間冷却し高次構造を再構成させたものを使用した。その上に5×10 cells/well(100μL)のKP-3細胞をまいたマトリゲルコートインサート(24ウェル用)(BDバイオサイエンス社)をセットし、24時間培養した。HGFによって活性化した細胞はマトリゲルを消化し、底部のポリカーボネート膜上の8μm径の穴を通過する。膜の反対側に移動した細胞のみを固定、染色処理した。これを一定倍率の顕微鏡下で染色された細胞の数を計測し、DNAを加えなかったコントロールのそれと比較した。
(2)結果
その結果、H38-15[59]、H38−21[60]共に100nMの濃度で約60〜約75%の阻害効果を示した(図9)。
取得したDNAアプタマーの結合特異性の検定
(1)方法
HGFとプラスミノーゲンはそのアミノ酸配列、さらには3次構造が類似していることが知られている。DNAアプタマーH35−3(配列番号15)、H35−16(配列番号4)がプラスミノーゲン、あるいはその分解産物であるプラスミンと結合するか否かをゲルシフト法で検定した。[γ−32P]ATPで標識したアプタマー0.1pmolに対し、蛋白質20ngを混合し、ゲルシフトアッセイを行った。
(2)結果
その結果、H35−3(配列番号15)、H35−16(配列番号4)いずれもプラスミノーゲン、プラスミンとは結合しなかった。また、各タンパク質の量を200ngとしても結合は検出されなかった(図10)。
参考文献
Nakamuraら, Cancer Res., 57:3305-3313, 1997
Jiangら, Crit. Rev. Oncol. Hematol., 29:209-248, 1999
Nakamuraら, Biochem. Biophys. Res. Commun., 122:1450-1459, 1984
Dateら, FEBS Lett 420:1-6, 1997
Dateら, Oncogene 17:3045-3054, 1998
Ellingtonら, Nature 346:818-822, 1990
Tuerkら, Science 249:505-510, 1990
Gカルテット構造の1例を示す。 Aは、配列番号1に示すコンセンサス配列を持つアプタマーの具体的な配列の1例を示す。BおよびCは、Aに示す配列を持つDNAとHGFとの結合性をゲルシフトアッセイによって検討した結果を示す。DNA−HGFとして示されるバンドの位置は、Aに示す配列を持つDNAとHGFとが結合した複合体の泳動位置である。 Aは、配列番号2または配列番号3に示すコンセンサス配列を持つアプタマーの具体的な配列の1例を示す。BおよびCは、Aに示す配列を持つDNAとHGFとの結合性をゲルシフトアッセイによって検討した結果を示す。DNA−HGFとして示されるバンドの位置は、Aに示す配列を持つDNAとHGFとが結合した複合体の泳動位置である。 HGFの細胞分散活性のアプタマーによる抑制効果を示す。H35−3/HGFはアプタマーとHGF、HGFはHGFのみ、60N/HGFはコントロールの核酸とHGFを添加した結果を、Noneはなにも添加しなかった結果を示す。 アプタマー(H35−3(配列番号15)、H35−16(配列番号4)、H35−3[57](配列番号22)、H35−16[55](配列番号7))が、KP−3細胞に対するHGFの細胞運動促進活性を阻害することを示す実験結果を示す。 細胞移動の阻害が、アプタマー(H35−3[57](配列番号22))の濃度依存的に起こることを示す。 細胞移動の阻害が、アプタマー(H38−15[59](配列番号8)、H38?21[60](配列番号21))の濃度依存的に起こることを示す。 アプタマー(H38−1(配列番号5)、H38−2(配列番号11)、H38−5(配列番号6)、H38−10(配列番号12)、H38−11(配列番号26)、H38−15(配列番号8)、H38−18(配列番号28)、H38−21(配列番号21)、H38−22(配列番号23)、H38−23(配列番号13)、H38−32(配列番号35)、H38−33(配列番号9)、H38−43(配列番号10))が、KP−3細胞に対するHGFの細胞運動促進活性を阻害することを示す実験結果を示す。図中の[ ]はアプタマーの塩基数を示す。横軸は、HGFのみを添加した場合の細胞の移動数に対する、アプタマー添加時の細胞移動数のパーセント表示である。 細胞浸潤の阻害が、アプタマー(H38−15[59](配列番号8)、H38?21[60](配列番号21))がKP?3細胞に対するHGFの細胞浸潤促進活性を阻害することを示す実験結果を示す。 取得したDNAアプタマーがHGFに特異的に結合することを示す。Aは、HGFとプラスミノーゲンの構造的特徴を表した模式図である。Bは、本発明のアプタマー(H35−3(配列番号15)、H35−16(配列番号4))がHGFに特異的に結合することを示すゲルシフトアッセイの結果である。

Claims (13)

  1. HGFに特異的に結合するアプタマー。
  2. 配列番号1に示される配列を含んでなり、塩基数が50〜150塩基である請求項1に記載のアプタマー。
  3. (a)配列番号4〜14のいずれか1つの配列からなるか、または
    (b)配列番号4〜14のいずれか1つの配列において、1または数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された配列からなり、かつHGFのみに結合する、
    請求項2に記載のアプタマー、またはその相補的配列を持つアプタマー。
  4. 配列番号2または3に示される配列を含んでなり、塩基数が50〜150塩基である請求項1に記載のアプタマー。
  5. (a)配列番号15〜40のいずれか1つの配列からなるか、または
    (b)配列番号15〜40のいずれか1つの配列において、1または数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された配列からなり、かつHGFに特異的に結合する、
    請求項4に記載のアプタマー、またはその相補的配列を持つアプタマー。
  6. (a)配列番号41または42のいずれか1つの配列からなるか、または
    (b)配列番号41または42のいずれか1つの配列において、1または数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された配列からなり、かつHGFに特異的に結合する、
    請求項1に記載のアプタマー、またはその相補的配列を持つアプタマー。
  7. HGFの生物学的活性を阻害する請求項1ないし6のいずれかに記載のアプタマー。
  8. 前記生物学的活性が癌細胞の遊離促進活性、移動促進活性、転移促進活性、浸潤促進活性、増殖促進活性または血管新生活性である請求項7に記載のアプタマー。
  9. 前記アプタマーがDNAである請求項1ないし8のいずれか1項に記載のアプタマー。
  10. 請求項1ないし9のいずれかに記載のアプタマーを含有してなる、血管新生抑制剤。
  11. 請求項1ないし9のいずれかに記載のアプタマーを含有してなり、癌の転移予防または癌の治療に供される医薬組成物。
  12. 請求項1ないし9のいずれかに記載のアプタマーを含有してなる、癌の発症の有無、癌の予後または癌の悪性度の診断用組成物。
  13. 請求項1ないし9のいずれかに記載のアプタマーを基盤上に固定した、癌の発症の有無、癌の予後または癌の悪性度の診断用DNAチップ。
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