JP2006147306A - レドックスフロー電池システムの運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電池効率を向上させて電池を小型化することができるレドックスフロー電池システムの運転方法を提供することにある。
【解決手段】 発電電力が不規則な発電設備2に併設されるレドックスフロー電池10を具え、発電設備2の発電出力と電池10の電池出力とを合成して不規則な発電出力を平滑化し、この平滑化した電力を負荷4に供給するレドックスフロー電池システムの運転方法であり、電池効率を向上するべく、電池10の残存容量を発電設備2の出力変動に対応して変化させる。具体的には、発電設備2の発電出力に基づいて目標合成値を決定し、電池10の残存容量とこの目標合成値との差が設定範囲内になるように電池10を充放電させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、風力発電や太陽発電などの発電電力が不規則な発電設備や、電気鉄道や電気炉などのように消費電力が不規則な負荷にレドックスフロー電池を併設させて負荷への電力供給の安定化や、負荷の消費電力の安定化を図るのに最適なレドックスフロー電池システムの運転方法に関するものである。特に、レドックスフロー電池を小型化することができるレドックスフロー電池システムの運転方法に関する。
近年、いわゆる自然エネルギーを利用した発電が進んでいる。この発電に使用される風力発電機や太陽光発電機は、自然の風や太陽光を利用して発電を行っており、環境に及ぼす影響が非常に小さい点で好ましい発電機である。しかし、風力発電機や太陽光発電機は、その動力が不確定な風や太陽光であるため、出力が不規則である。火力発電機や水力発電機などでは、負荷の消費電力の変動に対応して電力を発電する、即ち、発電機が負荷に供給する電力と負荷が要求する電力とを一致させる、いわゆる同時同量で運転をすることができる。これに対し、風力発電機などの発電設備では、上記のように発電出力が不規則であるため、発電出力を安定化させることが望まれる。
一方、電気鉄道や電気炉などの負荷は、消費電力が不規則であり、上記火力発電機などにより同時同量が行われているが、発電をより追従させ易くするために消費電力を安定化させる、即ち、火力発電機器などの発電量を一定とさせることが望まれる。
これら不規則な発電出力や消費電力を安定化するため、発電設備や負荷にレドックスフロー電池を組み合わせて、発電出力や消費電力を平滑化することが検討されている。例えば、特許文献1や非特許文献1では、風力発電機にレドックスフロー電池を組み合わせたレドックスフロー電池システムが提案されている。非特許文献1に記載されるレドックスフロー電池システムでは、風力発電機の発電出力に基づいて負荷に供給する電力の目標合成値を決定し、この目標合成値を満たすように、ローパスフィルタ演算を施した発電出力にレドックスフロー電池の出力を合成し、この合成出力を負荷に供給する。
上記レドックスフロー電池システムでは、モニタセルの電圧を測定し、電池の残存容量が一定の範囲内になるようにオフセットによる調整を行っている(非特許文献1付2.3.3-2図 出力平滑化制御ブロック図参照)。具体的には、測定電圧が閾値より小さい場合、即ち、残存容量がオフセットの閾値より小さい場合、電池は、充電可能な容量が大きく、放電可能な容量が小さい状態にある。そこで、一定の放電可能容量を確保するべく、適当な充電を行って、残存容量を放電側にオフセットする。逆に、測定電圧が閾値より大きい場合、即ち、残存容量がオフセットの閾値より大きい場合、電池は、放電可能な容量が大きく、充電可能な容量が小さい状態にある。そこで、一定の充電可能容量を確保するべく、適当な放電を行って、残存容量を充電側にオフセットする。このように従来のレドックスフロー電池システムでは、電池の残存容量が充電方向のオフセットの閾値から放電方向のオフセットの閾値との間を推移するように残存容量の制御を行っている。
特開2003-317763号公報 NEDO技術情報データベース タイトル:蓄電池併設風力発電導入可能性調査 平成14年2月 財団法人 エネルギー総合工学研究所、[平成16年4月23日検索]、インターネット<URL:http://www.tech.nedo.go.jp/servlet>
上記のようにレドックスフロー電池の出力と風力発電機の出力(演算値)とを合成することで、不規則な風力発電機の出力を平滑化し、負荷の消費電力が急激に変化しても、負荷に安定して電力供給を行うことができる。また、オフセットを加えることで、レドックスフロー電池は、常に一定範囲の残存容量を維持することができる。同様に、レドックフロー電池の出力と、電気鉄道などの消費電力とを合成することで、不規則な負荷の消費電力を平滑化し、負荷の消費電力の安定を図ることができる。また、上記残存容量の制御は、電気鉄道などの負荷にレドックスフロー電池を併設させる場合についても適用できる。
しかし、一定の残存容量を維持しながら、レドックスフロー電池に要求される可能性のある充電電力及び放電電力を有する電池とするには、電池容量を大きく設定する、即ち、大型の電池を用いたり、電池容量の小さな電池を多く用意する必要がある。そのため、レドックスフロー電池システムが大型化するという問題がある。
図17(A)は、従来のレドックスフロー電池システムにおいて、電池の出力可能な範囲と残存容量との関係を示すグラフであり、同(B)は、電池に要求される可能性のある電力の範囲と残存容量との関係を示すグラフ、図18は、電池の出力可能な範囲と、残存容量と、電池に要求される可能性のある電力の範囲との関係を示すグラフである。従来のレドックスフロー電池では、図17(A)に示すように、例えば、残存容量が100%のとき、放電可能な出力が大きく、充電可能な出力が小さく、逆に、残存容量が0%のとき、充電可能な出力が大きく、放電可能な出力が小さい。一方、図17(B)のグラフに示すように電池に要求される可能性のある電力は、電池の残存容量に無関係に一定量の充電電力、放電電力が望まれる。そのため、図18のグラフに示すように、例えば、残存容量が100%のとき、充電可能な電力(出力)C3よりも大きな電力(出力)P1が要求されたり、残存容量が0%のとき、放電可能な電力(出力)D1よりも大きな電力(出力)P2が要求されることがある。これらの要求に答えようとすると、残存容量が100%のとき、充電可能な電力C3がP1となるように、残存容量が0%のとき、放電可能な電力D1がP2となるように電池を設計する必要がある。即ち、レドックスフロー電池の出力可能な範囲をC1、C3、D3、D1で囲まれる領域から、C2、P1、P3、P2(D2)で囲まれる領域となるように電池容量を大きくしたり、電池容量の小さな電池を複数用いたりする必要がある。そのため、予め設定する電池容量(又は電池の個数)をより小さく(又はより少なく)して、電池(又は複数の電池群)をより小型化することが望まれている。
そこで、本発明の主目的は、風力発電機などの発電出力が不安定な発電設備や、電気鉄道などの消費電力が変動し易い負荷に併設させて、負荷への電力供給の安定化を図るレドックスフロー電池システムにおいて、電池効率を向上させて電池を小型化することができるレドックスフロー電池システムの運転方法を提供することにある。
本発明は、レドックスフロー電池の残存容量を発電設備の出力変動、又は負荷の消費電力の変動に対応して変化させることで上記目的を達成する。
(レドックスフロー電池を発電設備に併設させるパターン1)
即ち、本発明は、発電電力が不規則な発電設備と、この発電設備に併設されるレドックスフロー電池とを具え、発電設備の発電出力とレドックスフロー電池の電池出力とを合成して不規則な発電出力を平滑化して、この平滑化した電力を負荷に供給するレドックスフロー電池システムの運転方法である。そして、前記発電設備の出力値に基づいて目標合成値を決定し、前記レドックスフロー電池の残存容量とこの目標合成値との差が設定範囲内になるようにレドックスフロー電池を充放電させる。
(レドックスフロー電池を負荷に併設させるパターン2)
また、別の本発明は、発電電力が規則的な発電設備から電力が供給され、消費電力が不規則な負荷に併設されるレドックスフロー電池を具え、負荷の消費電力と電池の電池出力とを合成して不規則な消費電力を平滑化するレドックスフロー電池システムの運転方法である。そして、前記負荷の消費電力に基づいて、負荷の消費電力と電池出力との合成入力の目標値を決定し、上記パターン1と同様に、前記レドックスフロー電池の残存容量とこの目標値との和が設定範囲内になるようにレドックスフロー電池を充放電させる。
従来のレドックスフロー電池のように残存容量が一定の範囲内になるようにオフセットを加えて残存容量の調整を行う場合、要求される可能性のある電力を十分に具えた電池とするには、電池容量を大きく設定したり、電池容量が小さくても複数個の電池を用いなければならなかった。そのため、レドックスフロー電池自体や電池群が大型なものとなっていた。そこで、本発明者らは、レドックスフロー電池の小型化(或いは個数の低減)を図るべく種々検討した結果、残存容量を一定の範囲内にするためのオフセット制御を行う、即ち、発電設備の出力や負荷の消費電力に関係なく残存容量を一定値とするよりも、発電設備の出力や負荷の消費電力に基づいて残存容量を変化させると、電池効率をより向上することができるとの知見を得た。具体的には、発電設備にレドックスフロー電池を併設させる場合、発電設備の出力に基づいて目標合成値を決定し、残存容量とこの目標合成値との差が0となるように、即ち、残存容量がこの目標合成値とほぼ同等、好ましくは等しくなるようにレドックスフロー電池を充放電させると、電池効率の向上に寄与することがわかった。また、消費電力が不規則な負荷にレドックスフロー電池を併設させる場合、負荷の消費電力に基づいて目標合成値を決定し、残存容量とこの目標合成値との和がほぼ1となるように、好ましくは1(100%)となるように、残存容量を制御してレドックスフロー電池を充放電させると、電池効率の向上に寄与することがわかった。以下、レドックスフロー電池を発電設備に併設させるパターン1の場合を説明する。
発電設備の出力(以下、発電出力と呼ぶ)と、この発電出力とレドックスフロー電池の出力(以下、電池出力と呼ぶ)との合成出力(以下、単に合成出力と呼ぶ)との関係を考える。図11は、発電出力と合成出力との関係を示すグラフである。図11のグラフに示すように、発電出力及び合成出力のいずれも、採り得る可能性のある出力の範囲は、0〜100%である。例えば、合成出力が100%の場合、この合成出力を全て発電出力で賄っているなら発電出力は100%となるし、合成出力のうち一部を電池出力で賄い残部を発電出力で賄っているなら、発電出力は残部の割合となる。同様に、合成出力が0%の場合、発電出力も0%となるときもあるし、発電出力でレドックスフロー電池を充電することもできるため、発電出力が100%となるときもある。
次に、合成出力と、レドックスフロー電池に要求される出力(以下、電池要求出力と呼ぶ)との関係を考える。図12は、合成出力と電池要求出力との関係を示すグラフである。まず、合成出力が0%の場合、図11のグラフに示すように発電出力は0〜100%をとる。そして、ここで、パターン1において電池出力は、合成出力と発電出力との差をとり、いま合成出力0%、発電出力0〜100%であるから、電池要求出力は0〜100%となる。このとき、レドックスフロー電池は、充電のみ要求され放電が要求される可能性がないため、電池要求出力は、0%の充電から100%の充電の範囲をとる。一方、合成出力が100%の場合も発電出力は0〜100%であるため、電池要求出力は0〜100%となる。このとき、レドックスフロー電池は、放電のみが要求され、充電が要求される可能性がないため、電池要求出力は、0%の放電から100%の放電の範囲をとる。
一方、電池が有する能力と、レドックスフロー電池の残存容量との関係を考える。図13は、電池が有する能力と、残存容量との関係を示すグラフである。図13のグラフに示すようにレドックスフロー電池は、残存容量が0%のとき充電能力が最大となり、残存容量が50%のとき充電能力と放電能力とをほぼ均等に有し、残存容量が100%のとき放電能力が最大となる。即ち、レドックスフロー電池の能力を最大限利用しようとすると、残存容量が0%のとき、充電を行うことが好ましく、残存容量が100%のとき、放電を行うことが好ましい。従って、レドックスフロー電池は、残存容量が0%のときに電池の要求出力が充電電力であることが好ましく、残存容量が100%のときに電池の要求出力が放電電力であることが好ましい。
これらのことから、電池の能力と電池の要求出力とを対応させる、究極的には一致させると、電池の能力を最大限有効に利用できる。このとき、図12に示すグラフと図13に示すグラフを一致させることになる。従って、レドックスフロー電池の残存容量と、合成出力とを一致させるように電池の残存容量を制御すればよいことがわかる。定性的には、合成出力が大きくなることは、発電出力が大きくなったと捉えられる。そして、発電出力が大きくなった場合、レドックスフロー電池は、発電設備の余剰発電分を充電することが望まれる。従って、充電を行うことで、電池の残存容量が大きくなる。一方、合成出力が小さくなることは、発電出力が小さくなったと捉えられる。そして、発電出力が小さくなった場合、レドックスフロー電池は、発電設備の不足発電分を放電することが望まれる。従って、放電を行うことで電池の残存容量が小さくなる。このように、合成出力が大きくなると残存容量が大きくなり、合成出力が小さくなると残存容量が小さくなることから、合成出力と残存容量とは、相似的な関係にあると言える。特に、平滑化のための充放電による損失を無視する場合、完全な相似関係にあると言える。即ち、合成出力と残存容量とは、図16(A)に示すグラフのように表わされる場合、望ましい関係にあるといえる。上記知見に基づき、上記パターン1の本発明を規定する。
次に、レドックスフロー電池を消費電力が不規則な負荷に併設させるパターン2の場合を説明する。消費電力が不規則な負荷の電力(以下、負荷電力と呼ぶ)と、この負荷電力とレドックスフロー電池の出力(以下、電池出力と呼ぶ)との合成入力(以下、単に合成入力と呼ぶ)との関係を考える。図14は、負荷電力と合成入力との関係を示すグラフである。図14のグラフに示すように、負荷電力及び合成入力のいずれも、採り得る可能性のある入力の範囲は、0〜100%である。例えば、合成入力が100%の場合、この合成入力が全て負荷電力によるものなら負荷電力は100%となるし、合成入力のうち一部が電池出力(充電電力)で残部が負荷電力であるなら、負荷電力は残部の割合となる。同様に、合成入力が0%の場合、負荷電力が0%となるときもあるし、レドックスフロー電池が放電することもできるため、負荷電力が100%となるときもある。
次に、合成入力と、レドックスフロー電池に要求される出力(以下、電池要求出力と呼ぶ)との関係を考える。図15は、合成入力と電池要求出力との関係を示すグラフである。まず、合成入力が0%の場合、図14のグラフに示すように負荷電力は0〜100%をとる。そして、ここで、パターン2において電池出力は、合成入力と負荷電力との差をとり、いま合成入力0%、負荷電力0〜100%であるから、電池要求出力は0〜100%となる。このとき、レドックスフロー電池は、放電のみ要求され充電が要求される可能性がないため、電池要求出力は、0%の放電から100%の放電の範囲をとる。一方、合成入力が100%の場合も負荷電力は0〜100%であるため、電池要求出力は0〜100%となる。このとき、レドックスフロー電池は、充電のみが要求され、放電が要求される可能性がないため、電池要求出力は、0%の充電から100%の充電の範囲をとる。
一方、上記図13のグラフに示すようにレドックスフロー電池は、残存容量が0%のときに電池の要求出力が充電電力であることが好ましく、残存容量が100%のときに電池の要求出力が放電電力であることが好ましい。従って、電池の能力を最大限有効に利用するには、パターン1と同様に、電池の能力と電池の要求出力とを対応させる、究極的には一致させることが望まれる。このとき、図13に示すグラフと図15に示すグラフとが対称となるようにする。従って、レドックスフロー電池の残存容量と、合成入力とが対称となるように電池の残存容量を制御すればよいことがわかる。定性的には、合成入力が大きくなることは、負荷電力が大きくなったと捉えられる。そして、負荷電力が大きくなった場合、レドックスフロー電池は、負荷に放電することが望まれる。従って、放電を行うことで、電池の残存容量が小さくなる。一方、合成入力が小さくなることは、負荷電力が小さくなったと捉えられる。そして、負荷電力が小さくなった場合、レドックスフロー電池は、充電することが望まれる。従って、充電を行うことで電池の残存容量が大きくなる。このように、合成入力が大きくなると残存容量が小さくなり、合成入力が小さくなると残存容量が大きくなることから、合成出力と残存容量とは、対称的な関係にあると言える。即ち、合成入力と残存容量とは、図16(B)に示すグラフのように表わされる場合、望ましい関係にあるといえる。上記知見に基づき、上記パターン2の本発明を規定する。以下、本発明をより詳しく説明する。
本発明においてレドックスフロー電池システムを併設する発電設備は、例えば、風力発電機や太陽光発電機などの発電電力が不規則で、経時的に変動するものが挙げられる。公知の発電設備を利用するとよい。また、レドックスフロー電池が併設される負荷は、例えば、電気鉄道や電気炉などの消費電力が不規則で、経時的に変動するものが挙げられる。このような負荷は、レドックスフロー電池の他、水力発電や火力発電を行っている発電所に接続され、定常的な電力の供給が行われる。そして、負荷の消費電力が変動して定常電力が不足する場合、レドックスフロー電池を放電させて不足分を補い、定常電力が過剰な場合、電池を充電させて過剰分を電池に蓄電する。
本発明においてレドックスフロー電池システムは、レドックスフロー電池用セルを有する電池と、セルに供給/排出される電解液を貯留するタンクと、セルとタンクとを連結する電解液の輸送路とを具える構成が挙げられる。その他、タンクから電解液をセルに供給し易いように輸送路には、ポンプを具えていてもよい。レドックスフロー電池用セルは、隔膜を介して正極セルと負極セルとを具える。電解液としては、1.起電力が高く、2.エネルギー密度が大きく、3.電解液が単一元素系であるため正極電解液と負極電解液とが混合しても充電によって再生することができるといった多くの利点を有しているバナジウムイオン溶液が好適である。公知のレドックスフロー電池システムを利用してもよい。
本発明では、後述する所定の手順により残存容量の制御を行う。そこで、上記レドックスフロー電池システムには、制御プログラムを入力したコンピュータを具えておいてもよい。このとき、レドックスフロー電池システムは、コンピュータの命令に従い残存容量の制御を行って、電池効率の向上を実現する。
上記レドックスフロー電池の残存容量の制御は、以下のように行う。まず、発電設備の発電電力に基づいて目標合成値を決定する。そして、この目標合成値と電池の残存容量との差が設定範囲内になるように、究極的には、目標合成値と残存容量とが等しくなるように、レドックスフロー電池を充放電させることで行う。或いは、負荷の消費電力に基づいて、負荷の消費電力と電池出力との合成入力の目標値(以下、目標合成値と呼ぶ)を決定する。そして、この目標合成値と電池の残存容量との和が設定範囲内になるように、究極的には、和が1(100%)となるように、レドックスフロー電池を充放電させることで行う。
発電設備にレドックスフロー電池を併設するパターン1において目標合成値は、発電出力と電池出力とを合成して表わされる。現在の発電出力から一定時間後の予定出力が得られる。しかし、この予定出力のままでは、負荷が要求する電力に対して、過剰であったり不足していることがある。そこで、負荷の要求に対応するように、予定出力の過不足分を補うためのレドックスフロー電池の予定出力を求め、両予定出力を合成して平滑な出力、即ち、目標合成値とする。レドックスフロー電池は、上記目標合成値を満たす予定出力分を充電又は放電することで、負荷に安定した電力供給を行うことができる。一方、負荷にレドックスフロー電池を併設するパターン2において目標合成値は、負荷の消費電力と電池出力とを合成して表わされる。現在の消費電力から一定時間後の予定電力が得られるが、予定電力が発電設備からの発電出力(一定値)に対して、過剰又は不足していることが考えられる。そこで、負荷の消費電力に対して発電設備からの発電出力を一定にする、即ち、負荷の消費電力を平滑にするべく、レドックスフロー電池の予定出力を求め、予定電力と予定出力とを合成して平滑な入力、即ち、目標合成値とする。このとき、レドックスフロー電池は、上記目標合成値を満たす予定出力分を充電又は放電することで、負荷の消費電力の安定化を図る。
上記目標合成値は、発電出力又は消費電力に適切な演算処理を施すことで得られる。演算処理としては、例えば、1.ローパスフィルタ演算、2.移動平均演算が挙げられる。従来行われている演算処理を用いてもよく、例えば、非特許文献1と同様にして目標合成値を決定してもよい。
ローパスフィルタ演算を行う場合、発電出力(又は消費電力)及び目標合成値は、いずれも時間sの関数となるから、それぞれx(s)、y(s)とし、例えば、発電設備の出力(又は負荷の消費電力)から目標合成値への伝達関数を1次(1次遅れ系)とする場合、目標合成値y(s)は、y(s)={1/(1+s)}×x(s)となる。また、同伝達関数を2次とする場合、この伝達関数のパラメータをαとすると、目標合成値y(s)={1/(s2+α×s+1)}×x(s)となる。ローパスフィルタ演算を行う場合、伝達関数は、1次及び2次以上の高次のいずれかにするとよい。移動平均演算を行う場合、目標合成値y(s)は、y(s)={(1-e-s)/s}×x(s)となる。
本発明においてレドックスフロー電池は、発電設備の発電出力を平滑化して負荷に安定して電力供給を行ったり、負荷の消費電力を平滑化することに加えて、電池効率の向上を図るべく、上記平滑化の充放電に加えて、電池効率向上のための充放電を行う。具体的には、レドックスフロー電池の残存容量を測定し、この残存容量と上記目標合成値との差(パターン2のとき和)が設定範囲内になるように充放電を行う。
レドックスフロー電池の残存容量は、セルの電圧と相関関係にある。従って、残存容量は、例えば、電池セルや、充放電を行うセルと別に設けたモニタセルに電圧計などの電圧測定手段を配置して電池セル(モニタセル)の電圧を測定し、予め形成しておいた電池セル(モニタセル)の電圧と残存容量との関係を示す関係値データに測定した電圧を照らし合わせることで求めてもよい。また、充電深度を測定して電圧に読み替えてもよい。充電深度とは、電解液中に存在するイオン濃度の比率であり、例えば、電解液としてバナジウム溶液を利用する場合、充電深度が高いとは、正極:「5価のVイオン濃度/4価+5価のイオン濃度」の比率が大きく、負極:「2価のVイオン濃度/2価+3価のイオン濃度」の比率が大きいことを言う。
本発明では、残存容量と目標合成値との差(パターン2のとき和)が設定範囲内の場合、電池効率向上のための充放電を行わず、設定範囲外の場合、電池効率向上のために同充電又は放電を行う。このとき、平滑化のための充放電による損失分を補填する操作を行ってもよい。例えば、充電を開始する点(値)と同終了する点とを異なる点とすることが挙げられる。具体的には、例えば、パターン1の場合、残存容量と目標合成値との差がm超のとき充電を開始して、同差がm1(m>m1)となるまで充電を行うことが挙げられる。このように充電の開始点と終了点とをずらすことで、平滑化のための充放電による損失分を補うことができる。同様に放電を開始する点と同終了する点とを異ならせてもよく、例えば、パターン1の場合、残存容量と目標合成値との差がn未満のとき放電を開始して、同差がn1(n1>n)となるまで放電を行ってもよい。このとき、充放電を行わない第一設定範囲:nからmと、充放電の終了範囲となる第二設定範囲:n1からm1が存在することになる。その他、残存容量と目標合成値との差が設定範囲外の場合、損失分を付加した充電を行い、設定範囲内の場合、損失分を補填するための充電のみを行うことが挙げられる。
上記のように本発明では、目標合成値と残存容量との差(パターン2のとき和)が設定範囲内に含まれるようにレドックスフロー電池を充放電させることで、電池による発電出力の平滑化や負荷の消費電力の平滑化を行うと共に、電池効率の向上を図り、使用する電池の電池容量を小さくしたり、使用する電池の個数を少なくすることができる。このような電池効率向上のための充放電を行うことに加えて、本発明において使用するレドックスフロー電池において、電池容量の設定値を工夫することで、電池による平滑化の効果をより高めることができる。具体的には、目標合成値を演算するにあたり、ローパスフィルタ演算を用いる場合、ローパスフィルタの伝達関数を1次遅れ系とし、時定数をτ、発電設備の設定出力(又は負荷の設定電力)をXとするとき、レドックスフロー電池の電池容量は、A×X×τ(但し0.8≦A≦1.2)と設定することが好ましい。ローパスフィルタの伝達関数をn次(n≧2)とし、1次の係数をα、時定数をτ、発電設備の設定出力(又は負荷の設定電力)をXとするとき、レドックスフロー電池の電池容量は、A×α×X×τ(但し0.8≦A≦1.2)と設定することが好ましい。また、目標合成値を演算するにあたり、移動平均演算を用いる場合、移動平均演算において、移動平均の時間窓をτ、発電設備の設定出力(又は負荷の設定電力)をXとするとき、レドックスフロー電池の電池容量は、B×X×τ(但し0.3≦B≦0.6)と設定することが好ましい。
レドックスフロー電池の残存容量は、電池の損失や出力の時間積分で変化する。そのため、厳密に残存容量と目標合成値とを一致させようとする、或いは残存容量と目標合成値とが対称になるようにすると、上記損失を補充電することが望まれる。また、平滑化のための充放電による残存容量の変化と目標合成値の変化との差をなくすために、オフセットを加えることが望まれる。しかし、上記オフセットを行うと、レドックスフロー電池において、出力可能な能力と、平滑化するために要求される出力とに差が生じてくる。そこで、本発明者らが検討した結果、上記のようにレドックスフロー電池の電池容量をA×X×τ、A×α×X×τ、B×X×τと設定すると、電池の損失を除いて、残存容量の変化と目標合成値の変化とが一致する、即ち残存容量の変化と目標合成値の変化との差がなくなるため、電池の損失分の補充電のみを行えばよくなる。レドックスフロー電池の電池容量を上記のように設定することで、電池において、補充電も含めた出力と、平滑化するために要求される出力との差が小さくなるため、電池による平滑化の効果をより高めることができる。なお、補充電は、上記損失分を補填する操作を行えばよい。
(電池容量:A×X×τ、但し0.8≦A≦1.2)
目標合成値の演算をローパスフィルタ演算で行う場合で、ローパスフィルタの伝達関数を1次遅れ系とする場合を考える。このとき、発電設備の出力(又は負荷の消費電力)、レドックスフロー電池の出力、目標合成値は、いずれも時間sの関数となるから、それぞれx(s)、z(s)、y(s)とすると、目標合成値y(s)は、発電出力(又は負荷の消費電力)と電池出力とを合成したものであるから、
y(s)=z(s)+x(s)…式1
となる。
次に、発電出力(又は負荷の消費電力)から目標合成値への伝達関数をF(s)とすると、目標合成値y(s)は、
y(s)=F(s)×x(s)…式2
となる。
また、発電出力(又は負荷の消費電力)から電池出力への伝達関数をG(s)とすると、電池出力z(s)は、
z(s)=G(s)×x(s)…式3
となる。
上記式1に式2及び式3を代入すると、
G(s)=F(s)-1…式4
となる。
レドックスフロー電池の電池容量(設定値)をC、電池の残存容量をα(s)、電池出力から電池の容量変化への伝達関数H(s)とし、損失を無視すると、残存容量α(s)は、電池出力z(s)及び伝達関数H(s)により、
α(s)=H(s)×z(s)…式5
と表わされる。また、式5に式3を代入して、
α(s)=H(s)×G(s)×x(s)…式6
と表わされる。
損失を無視していることから、伝達関数H(s)を具体的に示すと、電池容量Cを用いて、
H(s)=(-1)/(C×s)…式7
と表わされる。
伝達関数F(s)は、1次遅れ系であるから、伝達関数F(s)を具体的に表わすと、
F(s)=1/(1+s)…式8
式4に式8を代入して、伝達関数G(s)は、
G(s)=(-s)/(1+s)…式9
と表わされる。従って、式6に式7及び式8を代入して、残存容量α(s)は、
α(s)={1/[C×(s+1)]}×x(s)…式10
と表わされる。また、式2に式8を代入して、目標合成値y(s)は、
y(s)={1/(1+s)}×x(s)…式11
と表わされる。
従って、式10及び式11より、残存容量α(s)と目標合成値y(s)との差を0とする、即ち、両者を一致させようとすると、電池容量CをC=1とすればよいことがわかる。また、同様に残存容量α(s)と目標合成値y(s)との和を1とするには、電池容量CをC=1とすればよいことがわかる。そのため、発電設備の設定出力(又は負荷の設定電力)を基準としてレドックスフロー電池の電池容量(時間容量)を設定する場合、1×設定出力(設定電力)×時定数とすることが好ましいことがわかる。これらのことから、残存容量α(s)と目標合成値y(s)との差を0近傍にする(パターン2では和を1近傍にする)には、0.8≦C≦1.2が適当であることがわかる。従って、発電設備の設定出力(又は負荷の設定電力)を基準としてレドックスフロー電池の電池容量(時間容量)を設定する場合、A×設定出力×時定数(但し、0.8≦A≦1.2)とすることが好ましいことがわかる。
(電池容量:α×A×X×τ、但し0.8≦A≦1.2)
目標合成値の演算をローパスフィルタ演算で行う場合で、ローパスフィルタの伝達関数を2次以上の高次とする場合を考える。ここでは、2次の場合を扱う。このとき、式1〜式7については、上記1次遅れ系と同様である。伝達関数F(s)は、2次であるからパラメータαを有する。このαを用いて伝達関数F(s)を具体的に表わすと、
F(s)=1/(s2+α×s+1)…式2-1
となる。
式4に式2-1を代入して、伝達関数G(s)は、
G(s)=(-s2-α×s)/(s2+α×s+1)…式2-2
と表わされる。従って、式6に式7及び式2-2を代入して、残存容量α(s)は、
α(s)={(s+α)/[C×(s2+α×s+1)]}×x(s)…式2-3
と表わされる。また、式2に式2-1を代入して、目標合成値y(s)は、
y(s)={1/(s2+α×s+1)}×x(s)…式2-4
と表わされる。式2-3及び式2-4より、残存容量α(s)と目標合成値y(s)との差を0とする、即ち、両者を一致させようとすると、電池容量CをC=α=(1×α)とすればよいことがわかる。また、同様に残存容量α(s)と目標合成値y(s)との和を1とするには、電池容量CをC=α=(1×α)とすればよいことがわかる。そのため、発電設備の設定出力(又は負荷の設定電力)を基準としてレドックスフロー電池の電池容量(時間容量)を設定する場合、α×設定出力(設定電力)×時定数とすることが好ましいことがわかる。これらのことから、残存容量α(s)と目標合成値y(s)との差を0近傍にする(パターン2のとき和を1近傍する)には、0.8×α≦C≦1.2×αが適当であることがわかる。従って、発電設備の設定出力(又は負荷の設定電力)を基準としてレドックスフロー電池の電池容量(時間容量)を設定する場合、A×α×設定出力×時定数(但し、0.8≦A≦1.2)とすることが好ましいことがわかる。
なお、上記パラメータαには、どんな周期の変動でも変動を増幅しないという制限を加えることが好ましい。発電設備(又は負荷)の変動の角速度をω、虚数単位をjとすると、ωが-∞から+∞の範囲において、上記制限は、
|F(jω)|≦1…式2-5
と表わされる。式2-2から式2-5を変形すると、
F(jω)×F(-jω)≦1…式2-6
となる。この式2-6に式2-1を代入し、t=ω2の変数変換を施すと、
1/{(1-t)22×t}≦1…式2-7
となる。式2-7を変形すると、
t×(t+α2-2)≧0…式2-8
となる。式2-8を満たすαは、α≧√2となる。従って、α≧√2がパラメータαの制限を満たす条件となる。なお、どんな周期の変動でも変動を増幅しないという制限下では、電池容量CはC=α=√2が最小となる。このとき、ローパスフィルタ演算は、2次のバタワースローパスフィルタ演算となる。
また、ローパスフィルタの伝達関数を3次以上の高次とする場合、パラメータα、ローパスフィルタの極をβとすると、伝達関数F(s)は、
F(s)=β/(…+s2+α×s+β)…式2-9
と表わされる。この伝達関数F(s)を用いて、上記と同様の手順により、レドックスフロー電池の電池容量は、A×α×設定出力×時定数が好ましいことが求められる(但し、0.8≦A≦1.2)。
(電池容量:B×A×X×τ、但し0.3≦B≦0.6)
目標合成値の演算を移動平均演算で行う場合を考える。このとき、式1〜7については、上記1次遅れ系のローパスフィルタ演算の場合と同様である。伝達関数F(s)を具体的に表わすと、
F(s)=(1-e-s)/s…式3-1
となる。
式4に式3-1を代入して、伝達関数G(s)は、
G(s)=(1-e-s-s)/s…式3-2
と表わされる。従って、式6に式7及び式3-2を代入して、残存容量α(s)は、
α(s)={(s+e-s-1)/(C×s2)}×x(s)…式3-3
と表わされる。このとき、e-s=1-s+s2/2-s3/6+…であるから、
α(s)={(s2/2-s3/6+…)/(C×s2)}×x(s)={(1/2-s/6+…)/C}×x(s)…式3-4
となる。また、式2に式3-1を代入して、目標合成値y(s)は、
y(s)={(1-e-s)/s}×x(s)={(s-s2/2+s3/6…)/s}×x(s)
=(1-s/2+s2/6…)×x(s)…式3-5
と表わされる。式3-4及び3-5により、残存容量α(s)と目標合成値y(s)との差を0とする、即ち、両者を一致させようとすると、電池容量CをC=1/2=0.5とすればよいことがわかる。また、同様に残存容量α(s)と目標合成値y(s)との和を1とするには、電池容量CをC=1/2=0.5とすればよいことがわかる。そのため、発電設備の設定出力(又は負荷の設定電力)を基準としてレドックスフロー電池の電池容量(時間容量)を設定する場合、0.5×設定出力(設定電力)×時定数とすることが好ましいことがわかる。これらのことから、残存容量α(s)と目標合成値y(s)との差を0近傍にする(パターン2のとき和を1近傍にする)には、0.3≦C≦0.6が適当であることがわかる。そのため、発電設備の設定出力(又は負荷の設定電力)を基準としてレドックスフロー電池の電池容量(時間容量)を設定する場合、B×設定出力×時定数(但し、0.3≦B≦0.6)とすることが好ましいことがわかる。
本発明運転方法の具体的な手順としては、例えば、以下の手順が挙げられる。このとき、以下の手順を制御プログラムとし、この制御プログラムをコンピュータに入力しておき、コンピュータの命令に従って残存容量の制御を行うように構成してもよい。
1.発電設備の発電出力(又は負荷の消費電力)を測定するステップ
2.発電出力(又は負荷の消費電力)に基づき、目標合成値(又は負荷の消費電力と電池出力との合成入力の目標値)を演算するステップ
3.レドックスフロー電池の残存容量を測定するステップ
4.目標合成値と残存容量との差(又は和)を演算するステップ
5.上記差が設定範囲内に含まれるか否かを判定するステップ
6.上記差が設定範囲外の場合、設定範囲内となるようにレドックスフロー電池を充放電させるステップ
上記2のステップにおいて目標合成値は、発電出力(又は負荷の消費電力)に適切な演算を施して求める。演算方法としては、例えば、上記ローパスフィルタ演算や移動平均演算などが挙げられる。また、目標合成値は、上記ローパスフィルタ演算や移動平均演算などの演算に加えて、適当な演算処理を行って無単位値とするとよい。例えば、発電出力にローパスフィルタ演算を施した演算値は、発電出力の単位MWと同様の単位値となる。従って、この演算値を発電設備の設定出力(例えば、最大出力;MW)で割って無単位とした値を目標合成値としてもよい。
目標合成値を無単位値とする場合、上記3のステップにおいて、残存容量にも適当な演算処理を施し、無単位値とすることが好ましい。例えば、セルの電圧から、レドックスフロー電池の時間容量(MWh)が検出できる。この時間容量を残存容量としてもよいが、例えば、この時間容量をレドックスフロー電池の設定時間容量(MWh)で割って無単位の値とし、この無単位値を残存容量としてもよい。
また、上記6のステップを行うにあたり、目標合成値と残存容量との差(パターン2のとき和)を設定範囲内にするために必要な充放電量と同差(パターン2のとき和)との関係を予め求めておき、コンピュータの記憶手段にこの関係値データを予め入力しておく。コンピュータは、演算した目標合成値と残存容量との差(パターン2のとき和)と、記憶手段から呼び出した関係値データとを照らし合わせて、充放電量を求めるようにしておく。このとき、平滑化のための充放電による損失分を考慮した関係値データを作成しておき、このデータを利用してもよい。更に、充放電量に対応したレドックスフロー電池システムの運転条件(直交変換器の制御、ポンプの運転時間、電解液の流通速度など)を予め決めておき、この運転条件もコンピュータの記憶手段に予め入力しておいてもよい。そして、コンピュータは、求めた充放電量に対して適切な運転条件を選択し、選択した条件によりレドックスフロー電池システムを運転させる命令を出すように構成すると、制御を簡単に行うことができる。
上記のように本発明は、レドックスフロー電池の残存容量を発電設備の出力や負荷の消費電力の変動に伴って変化させることで、電池の有する能力を効率よく利用することができ、電池を小型化することができる。従って、本発明を適用することで、従来のように要求される電力を賄うために電池容量の大きな電池を利用したり、複数の電池を用いることがなく、負荷への電力の安定化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明運転方法を適用するレドックスフロー電池システムを示す概略構成図である。このシステム1は、電池用セルを有する電池10と、セルに供給/排出される電解液を貯留するタンク11と、セルとタンク11とを連結する電解液の輸送路12と、この輸送路12に配置されてタンク11から電解液をセルに供給させるためのポンプ13とを具える。そして、このシステム1は、直交変換器3を介して発電設備2及び負荷(系統)4に接続される。この発電設備2は、発電電力が不規則なものであり、本例では、風力発電機を利用した。このように発電電力が不規則な発電設備2にレドックスフロー電池システム1を併設させ、負荷4が要求する電力を安定して供給できるように、発電設備2の発電電力と電池10の電池出力(充電又は放電)とを合成し、この合成出力を負荷4に供給する。
本例において電池10は、複数の電池用セルを積層した積層体構造である。レドックスフロー電池用セルは、イオン交換膜(隔膜)により正極セルと負極セルとに分離され、正極セルに正極電極、負極セルに負極電極を内蔵し、各電極にそれぞれ正極電解液、負極電解液が供給される構成である。本例では正極電解液にV5+を含む溶液、負極電解液にV2+を含む溶液を用いた。図1では、タンクが一つしか示されていないが実際には正極電解液用タンク、負極電解液用タンクをそれぞれ具える。同様に、電解液の輸送路も実際には正極電解液用、負極電解液用にそれぞれ具える。
そして、本発明では、上記電池10において電池容量の設定値(いわゆる定格容量)が小さなものでも、負荷への電力供給を安定して行うことができるように、電池効率を向上するべく、電池10の残存容量を制御する。具体的には、発電設備2の発電出力の変動に伴って残存容量を変化させる。より具体的には、発電設備2の発電出力に基づいて目標合成値を決定し、電池の残存容量とこの目標合成値との差が設定範囲内になるよう電池を充放電させて、残存容量を制御する。そこで、本例では、残存容量を測定するべく電池用セルとは別にモニタセル14を具え、このモニタセル14に電圧計(図示せず)を配置すると共に、測定結果がコンピュータ15に送られるように配線にてコンピュータ15を接続している。このコンピュータ15は、配線を介して発電設備2とも接続されており、発電設備2の発電出力が送られるようになっている他、得られた発電出力に基づいて目標合成値を得る演算や、残存容量と目標合成値との差を求める演算、この差が設定範囲内か否かの判定なども行う。また、このコンピュータ15は、配線を介してポンプ13、直交変換器3とも接続されており、制御信号によりポンプ13の駆動や直交変換器3を制御可能としている。この構成により、上記残存容量と目標合成値との差が設定範囲外のとき、コンピュータ15は、直交変換器3を制御すると共に、ポンプ13を駆動させ、電池に充放電を行わせる。
上記構成を具えるレドックスフロー電池システムにおいて、電池の残存容量の制御手順を具体的に説明する。まず、発電設備の発電出力Xを測定してコンピュータに測定結果を伝送し、後述する演算方法により発電出力から目標合成値Yを演算する。一方、モニタセルに配置した電圧計にてセルの電圧を測定し、コンピュータに測定結果を伝送し、測定結果を残存容量αに読み替える。そして、コンピュータは、上記目標合成値と残存容量との差Kを演算し、この差Kがコンピュータの記憶手段に入力されている設定範囲(n以上m以下)に含まれるか否かを判定し、差Kが設定範囲外、即ち差Kがn未満又はm超の場合、充放電を行う。設定範囲内の場合、充放電を行わない。充放電を行う場合、コンピュータに予め記憶させておいた目標合成値と残存容量の差と、この差が設定範囲内となるのに必要な充放電量との関係値データから、演算した差Kにおける充放電量を求める。この充放電量に基づき充放電を行う。本例では、コンピュータに予め記憶させておいた電池の運転条件から、差Kにおける充放電量に適した条件を選択し、この条件に基づき、直交変換器やポンプの駆動を制御させて充放電を行う。
図2は、本発明レドックスフロー電池システムの運転方法の制御手順を示すフローチャートである。まず、発電設備の発電出力Xを測定し、測定した結果(電気信号)がコンピュータの信号入信部に入力されるようにする(ステップS1)。このとき、コンピュータは、入力された電気信号を記憶手段に一時的に保存しておく。
次に、コンピュータは、記憶手段に保存されている発電出力Xを呼び出し、演算手段により演算処理を施して目標合成値を演算する(ステップS2)。本例では、演算方法として、1次遅れ系のローパスフィルタ演算を用いた。具体的には、発電電力をx(s)、目標合成値y(s)とし、目標合成値y(s)は、{1/(1+s)}×x(s)より得られる。また、発電出力Xは、通常、単位(例えばMW)がある値として表わされる。従って、目標合成値y(s)も発電出力Xと同じ単位(同)がある値となる。このまま扱ってもよいが、本例では、目標合成値y(s)を無単位値とするべく、得られた目標合成値y(s)を設定電力(いわゆる定格電力;MW)の最大値で割るという演算処理を行い、この値を目標合成値Yとした。そして、コンピュータは、得られた目標合成値Yを記憶手段に記憶しておく。
一方、電池の残存容量を求めるべく、電圧計によりセルの電圧を測定し、電圧計が測定した結果(電気信号)がコンピュータの信号受信部に入力されるようにする(ステップS3)。本例では、残存容量として時間容量を利用する。そこで、コンピュータは、入力された電気信号を時間容量(MWh)に読み替える。更に、コンピュータは、読み替えた時間容量を目標合成値Yと同様に無単位値とするべく、読み替えた時間容量をレドックスフロー電池の設定時間容量(いわゆる定格時間容量;MWh)で割るという演算処理を行うと共に、この値を残存容量αとして記憶手段に一時的に保存しておく。
次に、コンピュータは、記憶手段に保存されている目標合成値Yと残存容量αとを呼び出し、演算手段により、目標合成値Yと残存容量αとの差K=Y-αを演算し(ステップS4)、差Kを記憶手段に一時的に保存しておく。本例では、差KをY-αとしたが、α-Yでももちろんよい。
次に、コンピュータは、記憶手段に保存されている設定範囲の下限値n、上限値mを呼び出し、演算した差Kが設定範囲内に含まれるか否かを判定する(ステップS5)。差Kが設定範囲内に含まれる場合、即ち、n≦K≦mの場合、コンピュータの判定手段は、電池効率向上のための充放電を不要と判定し(ステップS6)、制御を終える。
一方、差Kが設定範囲の上限値mを超える場合、本例では目標合成値Yが大きな値をとっていることになる。目標合成値Yが大きな値をとる場合、残存容量も大きくすることが望まれる、即ち、充電することが望まれる。そこで、コンピュータの判定手段は、電池効率向上のために充電を必要と判定し(ステップS8)、充電動作を行う(ステップS10)。具体的には、まず、必要な充電量を求める。本例では、目標合成値と残存容量との差と、この差が設定範囲内に含まれるのに必要な充電量又は放電量との関係値データを予めコンピュータの記憶手段に入力しており、コンピュータは、記憶手段から関係値データを呼び出し、差Kをこのデータに照らし合わせることで充電量を求める。そして、求めた充電量に基づき、予めコンピュータに入力させておいた充電量ごと又は放電量ごと運転条件から、適切な条件を選択し、この条件に基づいて、直交変換器やポンプの駆動を制御して充電を行い、充電が終了したら、制御動作を終了する。
他方、差Kが設定範囲の上限値mを超えない場合、差Kは、下限値n未満となる。差Kが下限値n未満であるから、本例では目標合成値Yが小さな値をとっていることになる。目標合成値Yが小さな値をとる場合、残存容量も小さくすることが望まれる、即ち、放電することが望まれる。そこで、コンピュータの判定手段は、電池効率向上のために放電を必要と判定し(ステップS9)、放電動作を行う(ステップS10)。具体的には、充電の場合と同様の手順により必要な放電量を求め、この放電量に基づき放電させるのに適切な運転条件を選択し、直交変換器やポンプの駆動を制御して放電を行い、放電が終了したら、制御動作を終了する。
なお、差Kをα-Yとして場合は、判定が上記と逆となる。具体的には、差Kが上限値mを超える場合、残存容量が大きな値をとっていることになる。即ち、目標合成値Yが小さな値をとっていることになる。このとき、残存容量は小さくすることが望まれるから、コンピュータの判定手段は、放電必要と判定する。一方、差Kが上限値mを超えない場合、即ち、差Kが下限値n未満の場合、残存容量が小さな値をとり、目標合成値Yが大きな値をとるから、残存容量を大きくするべく、コンピュータの判定手段は、充電必要と判定する。
また、本例において上記関係値データの充電量又は放電量、差Kが下限値n又は上限値mとなるのに必要な量とした。従って、本例では、図3に示すように、差Kが下限値n未満のとき放電を行い、差Kが下限値nとなったら放電を停止し、差Kが上限値m超のとき充電を行い、差Kが上限値mとなったら充電を停止する。
上述のように本発明運転方法を適用することで、発電出力が不規則な発電設備に併設させたレドックスフロー電池により、負荷への供給電力の安定化を図ると共に、電池効率の向上できるため、使用する電池の設定電池容量を小さくしたり、使用する電池の個数を少なくできる。従って、レドックスフロー電池システムの小型化を図ることができる。
上記実施例1に示すレドックスフロー電池において、発電設備の発電電力を平滑化するための充放電による損失を補填する操作を行ってもよい。図4は、目標合成値と残存容量との差と、電池効率向上のための充放電の与え方との関係を示すグラフであり、充電及び放電において開始点と終了点とが異なる場合を示す。例えば、n<n1<mを満たすn1を設定し、差Kが下限値n未満のとき放電を開始し、差Kがnよりも大きな値n1となったら放電を停止するようにしてもよい。このとき、電池効率向上のために必要な充放電量に加えて、損失分が補充電されたことになる。また、合わせて、n<n1<m1<mを満たすm1を設定し、差Kが上限値m超のとき充電を行い、差Kがmよりも小さな値m1となったら充電を停止するようにしてもよい。このような操作にあたり、上記ステップS8、S9において、充放電量を決定する際に用いる関係値データは、損失分の補充電量を加えたものを作成しておくとよい。なお、この例において差Kが下限値m以上、上限値n以下のとき、電池効率向上のための充放電を行わない点は、実施例1と同様である。
損失を補填する操作として、実施例2と別の手法を説明する。図5は、目標合成値と残存容量との差と、電池効率向上のための充放電の与え方との関係を示すグラフであり、電池効率向上のための充放電を行わないときに損失分の補充電を行う場合を示す。上記実施例1、2では、差Kが下限値n以上、上限値m以下の場合、電池効率向上のための充放電に加えて損失補填のための充電を行わない。しかし、負荷への供給電力の安定化のためにレドックスフロー電池を充放電していると損失が発生するため、損失補填のための充電はできるだけ行うことが望まれる。そこで、図5に示すように、差Kが0、即ち、目標合成値Yと残存容量αとが等しいときでも、損失分の充電を行うようにする。このような操作を行うにあたり、差Kが設定範囲外の場合、上記ステップS8又はS9において、充放電量を決定する際に用いる関係値データは、損失分を加えたものを作成しておくとよい。また、差Kが設定範囲内の場合、ステップS6の後、電池効率向上のための充放電を行わず、損失補填のための充電を行う。このとき、損失補填のために必要な充電量を予め設定しておくと共に、この充電量に基づいて、直交変換器の制御条件やポンプの駆動条件も設定しておくとよい。
レドックスフロー電池の残存容量と目標合成値とをより厳密に一致させるには、上記実施例2、3にあるように損失分を補填することに加えて、平滑化のための充放電による残存容量の変化と目標合成値の変化との差をなくすためべく、オフセットを加えることが望まれる。しかし、オフセットを加えると、レドックスフロー電池において、出力可能な能力と、平滑化を行うために要求される出力とに差が生じてくる。そこで、この例では、上記出力能力と要求出力との差とをなくすために、レドックスフロー電池の電池容量の設定を工夫している。具体的には、発電設備の設定出力(本例では、設定電池容量)をX(MW)、時定数をτとするとき、電池の設定容量(本例では、設定電池容量)を1×X×τとした。このようにレドックスフロー電池の設定容量を設定することで、本発明運転方法による効果に加えて、電池による平滑化の効果をより高めることができる。
上記実施例では、目標合成値を演算するための演算方法として1次遅れのローパスフィルタ演算を用いたが、2次以上の高次のローパスフィルタ演算を用いてもよい。例えば、2次のローパスフィルタ演算を用いる場合、発電出力をx(s)、目標合成値y(s)、伝達関数のパラメータをαとすると、目標合成値y(s)は{1/(s2+α×s+1)}×x(s)より得られる。演算方法以外の手法については上記実施例と同様にして制御操作を行うとよい。
また、2次のローパスフィルタ演算を行う場合、電池の設定容量は、発電設備の設定出力(本例では、設定電池容量)をX(MW)、時定数をτとするとき、上記パラメータαを用いて、1×α×X×τとすると、実施例4と同様に、電池による平滑化の効果をより高めることができる。
上記ローパスフィルタ演算のほか、目標合成値の演算方法として移動平均演算を用いてもよい。このとき、発電出力をx(s)、目標合成値y(s)とすると、目標合成値y(s)は{(1-e-s)/s}×x(s)より得られる。演算方法以外の手法については上記実施例と同様にして制御操作を行うとよい。
また、移動平均演算を行う場合、電池の設定容量は、発電設備の設定出力(本例では、設定電池容量)をX(MW)、時定数をτとするとき、0.5×X×τとすると、実施例4、5と同様に電池による平滑化の効果をより高めることができる。
上記実施例1〜6では、レドックスフロー電池を発電設備に併設させるパターン1の形態について説明したが、レドックスフロー電池を電気鉄道や電気炉などの消費電力が不規則な負荷に併設させるパターン2の形態についても、本発明運転方法を適用することができる。図6は、本発明運転方法を適用するレドックスフロー電池システムを示す概略構成図であり、消費電力が不規則な負荷にレドックスフロー電池システムを併設させた例を示す。電池システム1は、図1に示すものと同様であり、構成の詳細については説明を省略する。この例においてシステム1は、直交変換器3を介して負荷20及び火力発電所、水力発電所などの発電設備30に接続される。この負荷20は、消費電力が不規則なものであり、本例では、鉄道とした。このように消費電力が不規則な負荷20にレドックスフロー電池システム1を併設させ、発電設備30の発電量を一定にするため、この発電量に対する負荷20への不足分を電池10が放電することで補い、この発電量に対する負荷20への過剰分を電池10が充電することで、上記発電量を過不足なく消費する。
そして、本発明では、上記電池10において電池容量の設定値(いわゆる定格容量)が小さなものでも、負荷20の消費電力を平滑化できるように、電池効率を向上するべく、電池10の残存容量を制御する。具体的には、負荷20の消費電力の変動に伴って残存容量を変化させる。より具体的には、負荷20の消費電力に基づいて目標合成値を決定し、電池の残存容量とこの目標合成値との和が設定範囲内になるよう電池を充放電させて、残存容量を制御する。そこで、本例においても電池システム1にモニタセル14、電圧計(図示せず)、コンピュータ15を具えておく。コンピュータ15は、配線を介してポンプ13、モニタセル14、直交変換器3、及び負荷20にそれぞれ接続されており、負荷20の消費電力(信号)が送られるようになっている他、得られた消費電力に基づいて目標合成値を得る演算や、残存容量と目標合成値との和を求める演算、この和が設定範囲内か否かの判定なども行う。また、上記残存容量と目標合成値との和が設定範囲外のとき、コンピュータ15は、直交変換器3を制御すると共に、ポンプ13を駆動させ、電池に充放電を行わせる。
上記構成を具えるレドックスフロー電池システムにおいて、電池の残存容量の制御手順を具体的に説明する。まず、負荷の消費電力Wを測定してコンピュータに測定結果を伝送し、後述する演算方法により消費電力Wから目標合成値Zを演算する。一方、モニタセルに配置した電圧計にてセルの電圧を測定し、コンピュータに測定結果を伝送し、測定結果を残存容量αに読み替える。そして、コンピュータは、上記目標合成値と残存容量との和Lを演算し、この和Lがコンピュータの記憶手段に入力されている設定範囲(p以上q以下)に含まれるか否かを判定し、差Lが設定範囲外、即ち和Lがp未満又はq超の場合、充放電を行う。設定範囲内の場合、充放電を行わない。充放電を行う場合、コンピュータに予め記憶させておいた目標合成値と残存容量の和と、この和が設定範囲内となるのに必要な充放電量との関係値データから、演算した和Lにおける充放電量を求める。この充放電量に基づき充放電を行う。本例では、コンピュータに予め記憶させておいた電池の運転条件から、和Lにおける充放電量に適した条件を選択し、この条件に基づき、直交変換器やポンプの駆動を制御させて充放電を行う。
図7は、消費電力が不規則な負荷にレドックスフロー電池システムを併設した本発明レドックスフロー電池システムの運転方法の制御手順を示すフローチャートである。まず、負荷の消費電力Wを測定し、測定した結果(電気信号)がコンピュータの信号入信部に入力されるようにする(ステップS21)。このとき、コンピュータは、入力された電気信号を記憶手段に一時的に保存しておく。
次に、コンピュータは、記憶手段に保存されている消費電力Wを呼び出し、演算手段により演算処理を施して目標合成値を演算する(ステップS22)。本例では、演算方法として、1次遅れ系のローパスフィルタ演算を用いた。具体的には、消費電力をw(s)、目標合成値z(s)とし、目標合成値z(s)は、{1/(1+s)}×w(s)より得られる。また、消費電力は、通常、単位(例えばMW)がある値として表わされる。従って、目標合成値z(s)も消費電力と同じ単位(同)がある値となる。このまま扱ってもよいが、本例では、目標合成値z(s)を無単位値とするべく、得られた目標合成値z(s)を設定電力(いわゆる定格電力;MW)の最大値で割るという演算処理を行い、この値を目標合成値Zとした。そして、コンピュータは、得られた目標合成値Zを記憶手段に記憶しておく。
一方、電池の残存容量を求めるべく、電圧計によりセルの電圧を測定し、電圧計が測定した結果(電気信号)がコンピュータの信号受信部に入力されるようにする(ステップS23)。本例では、残存容量として時間容量を利用する。そこで、コンピュータは、入力された電気信号を時間容量(MWh)に読み替える。更に、コンピュータは、読み替えた時間容量を目標合成値Zと同様に無単位値とするべく、読み替えた時間容量をレドックスフロー電池の設定時間容量(いわゆる定格時間容量;MWh)で割るという演算処理を行うと共に、この値を残存容量αとして記憶手段に一時的に保存しておく。
次に、コンピュータは、記憶手段に保存されている目標合成値Zと残存容量αとを呼び出し、演算手段により、目標合成値Zと残存容量αとの和L=Z+αを演算し(ステップS24)、和Lを記憶手段に一時的に保存しておく。
次に、コンピュータは、記憶手段に保存されている設定範囲の下限値p、上限値qを呼び出し、演算した和Lが設定範囲内に含まれるか否かを判定する(ステップS25)。和Lが設定範囲内に含まれる場合、即ち、p≦L≦qの場合、コンピュータの判定手段は、電池効率向上のための充放電を不要と判定し(ステップS26)、制御を終える。
一方、和Lが設定範囲の上限値qを超える場合、本例では目標合成値Zが大きな値をとっていることになる。目標合成値Zが大きな値をとる場合、残存容量は、小さくすることが望まれる、即ち、放電することが望まれる。そこで、コンピュータの判定手段は、電池効率向上のために放電を必要と判定し(ステップS28)、放電動作を行う(ステップS30)。具体的には、まず、必要な放電量を求める。本例では、目標合成値と残存容量との和と、この和が設定範囲内に含まれるのに必要な充電量又は放電量との関係値データを予めコンピュータの記憶手段に入力しており、コンピュータは、記憶手段から関係値データを呼び出し、和Lをこのデータに照らし合わせることで放電量を求める。そして、求めた放電量に基づき、予めコンピュータに入力させておいた充電量ごと又は放電量ごと運転条件から、適切な条件を選択し、この条件に基づいて、直交変換器やポンプの駆動を制御して放電を行い、放電が終了したら、制御動作を終了する。
他方、和Lが設定範囲の上限値qを超えない場合、和Lは、下限値p未満となる。和Lが下限値p未満であるから、本例では目標合成値Zが小さな値をとっていることになる。目標合成値Zが小さな値をとる場合、残存容量は、大きくすることが望まれる、即ち、充電することが望まれる。そこで、コンピュータの判定手段は、電池効率向上のために充電を必要と判定し(ステップS29)、充電動作を行う(ステップS30)。具体的には、放電の場合と同様の手順により必要な充電量を求め、この充電量に基づき充電させるのに適切な運転条件を選択し、直交変換器やポンプの駆動を制御して充電を行い、充電が終了したら、制御動作を終了する。
本例において上記関係値データの充電量又は放電量は、和Lが下限値p又は上限値qとなるのに必要な量とした。従って、本例では、図8に示すように、和Lが下限値p未満のとき充電を行い、和Lが下限値pとなったら充電を停止し、和Lが上限値q超のとき放電を行い、和Lが上限値qとなったら放電を停止する。
上述のように本発明運転方法を適用することで、消費電力が不規則な負荷に併設させたレドックスフロー電池により、負荷への供給電力の安定化を図ると共に、電池効率の向上できるため、使用する電池の設定電池容量を小さくしたり、使用する電池の個数を少なくできる。従って、レドックスフロー電池システムの小型化を図ることができる。
上記実施例7に示すレドックスフロー電池において、負荷の消費電力を平滑化するための充放電による損失を補填する操作を行ってもよい。図9は、目標合成値と残存容量との和と、電池効率向上のための充放電の与え方との関係を示すグラフであり、充電及び放電において開始点と終了点とが異なる場合を示す。例えば、p<p1<qを満たすp1を設定し、和Lが下限値p未満のとき充電を開始し、和Lがpよりも大きな値p1となったら充電を停止するようにしてもよい。このとき、電池効率向上のために必要な充放電量に加えて、損失分が補充電されたことになる。また、合わせて、p<p1<q1<qを満たすq1を設定し、和Lが上限値q超のとき放電を行い、和Lがqよりも小さな値q1となったら放電を停止するようにしてもよい。このような操作にあたり、上記ステップS28、S29において、充放電量を決定する際に用いる関係値データは、損失分の補充電量を加えたものを作成しておくとよい。なお、この例において和Lが下限値p以上、上限値q以下のとき、電池効率向上のための充放電を行わない点は、実施例7と同様である。
損失を補填する操作として、実施例8と別の手法を説明する。図10は、目標合成値と残存容量との和と、電池効率向上のための充放電の与え方との関係を示すグラフであり、電池効率向上のための充放電を行わないときに損失分の補充電を行う場合を示す。上記実施例7、8では、和Lが下限値p以上、上限値q以下の場合、電池効率向上のための充放電に加えて損失補填のための充電を行わない。しかし、負荷への供給電力の安定化のためにレドックスフロー電池を充放電していると損失が発生するため、損失補填のための充電はできるだけ行うことが望まれる。そこで、図10に示すように、和Lが1のときでも、損失分の充電を行うようにする。このような操作を行うにあたり、和Lが設定範囲外の場合、上記ステップS28又はS29において、充放電量を決定する際に用いる関係値データは、損失分を加えたものを作成しておくとよい。また、和Lが設定範囲内の場合、ステップS26の後、電池効率向上のための充放電を行わず、損失補填のための充電を行う。このとき、損失補填のために必要な充電量を予め設定しておくと共に、この充電量に基づいて、直交変換器の制御条件やポンプの駆動条件も設定しておくとよい。
レドックスフロー電池の残存容量と目標合成値とをより厳密に一致させるには、上記実施例8、9にあるように損失分を補填することに加えて、負荷の設定電力(本例では、設定容量)をX(MW)、時定数をτとするとき、電池の設定容量(本例では、設定電池容量)を1×X×τとすることが好ましい。このようにレドックスフロー電池の設定容量を設定することで、本発明運転方法による効果に加えて、電池による平滑化の効果をより高めることができる。
上記実施例では、目標合成値を演算するための演算方法として1次遅れのローパスフィルタ演算を用いたが、2次以上の高次のローパスフィルタ演算を用いてもよい。例えば、2次のローパスフィルタ演算を用いる場合、負荷電力をw(s)、目標合成値z(s)、伝達関数のパラメータをαとすると、目標合成値z(s)は{1/(s2+α×s+1)}×w(s)より得られる。演算方法以外の手法については上記実施例と同様にして制御操作を行うとよい。
また、2次のローパスフィルタ演算を行う場合、電池の設定容量は、負荷の設定電力(本例では、設定容量)をX(MW)、時定数をτとするとき、上記パラメータαを用いて、1×α×X×τとすると、実施例10と同様に、電池による平滑化の効果をより高めることができる。
上記ローパスフィルタ演算のほか、目標合成値の演算方法として移動平均演算を用いてもよい。このとき、負荷電力をw(s)、目標合成値z(s)とすると、目標合成値z(s)は{(1-e-s)/s}×w(s)より得られる。演算方法以外の手法については上記実施例と同様にして制御操作を行うとよい。
また、移動平均演算を行う場合、電池の設定容量は、負荷電力の設定電力(本例では、設定容量)をX(MW)、時定数をτとするとき、0.5×X×τとすると、実施例10、11と同様に電池による平滑化の効果をより高めることができる。
本発明は、風力発電機や太陽光発電機などの発電出力が不規則な発電設備にレドックスフロー電池を併設させて、負荷に安定して電力を供給するために利用することが最適である。特に、本発明運転方法を利用することで、従来と比較して用いるレドックスフロー電池の設定電池容量を小さくすることができる。従って、本発明は、レドックスフロー電池システムの小型化に寄与する。
本発明運転方法を適用するレドックスフロー電池システムを示す概略構成図である。 本発明レドックスフロー電池システムの運転方法の制御手順を示すフローチャートである。 目標合成値と残存容量との差と、電池効率向上のための充放電の与え方との関係を示すグラフである。 目標合成値と残存容量との差と、電池効率向上のための充放電の与え方との関係を示すグラフであり、充電及び放電の開始点と終了点とが異なる場合を示す。 目標合成値と残存容量との差と、電池効率向上のための充放電の与え方との関係を示すグラフであり、電池効率向上のための充放電を行わない場合であっても、損失分の充電を行う場合を示す。 本発明運転方法を適用するレドックスフロー電池システムを示す概略構成図であり、消費電力が不規則な負荷にレドックスフロー電池システムを併設させた例を示す。 本発明レドックスフロー電池システムの運転方法の制御手順を示すフローチャートであり、消費電力が不規則な負荷にレドックスフロー電池システムを併設させた例を示す。 目標合成値と残存容量との和と、電池効率向上のための充放電の与え方との関係を示すグラフである。 目標合成値と残存容量との和と、電池効率向上のための充放電の与え方との関係を示すグラフであり、充電及び放電の開始点と終了点とが異なる場合を示す。 目標合成値と残存容量との和と、電池効率向上のための充放電の与え方との関係を示すグラフであり、電池効率向上のための充放電を行わない場合であっても、損失分の充電を行う場合を示す。 発電出力と合成出力との関係を示すグラフである。 合成出力と電池要求出力との関係を示すグラフである。 電池が有する能力と、残存容量との関係を示すグラフである。 負荷の消費電力と合成入力との関係を示すグラフである。 合成入力と電池要求出力との関係を示すグラフである。 (A)は、合成出力と残存容量との好ましい関係を示すグラフ、(B)は、合成入力と残存容量との好ましい関係を示すグラフである。 (A)は、従来のレドックスフロー電池システムにおいて、電池の出力可能な範囲と残存容量との関係を示すグラフであり、同(B)は、電池に要求される可能性のある電力の範囲と残存容量との関係を示すグラフである。 電池の出力可能な範囲と、残存容量と、電池に要求される可能性のある電力の範囲との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 レドックスフロー電池システム
10 電池 11 タンク 12 輸送路 13 ポンプ 14 モニタセル
15 コンピュータ
2 発電設備 3 直交変換器 4 負荷
20 負荷 30 発電設備

Claims (12)

  1. 発電電力が不規則な発電設備に併設されるレドックスフロー電池を具え、発電設備の発電出力と電池の電池出力とを合成して不規則な発電出力を平滑化し、この平滑化した電力を負荷に供給するレドックスフロー電池システムの運転方法であって、
    前記発電設備の発電出力に基づいて目標合成値を決定し、
    前記レドックスフロー電池の残存容量とこの目標合成値との差が設定範囲内になるようにレドックスフロー電池を充放電させることを特徴とするレドックスフロー電池システムの運転方法。
  2. 目標合成値は、発電出力にローパスフィルタ演算を施すことで決定することを特徴とする請求項1に記載のレドックスフロー電池システムの運転方法。
  3. ローパスフィルタ演算において、ローパスフィルタの伝達関数を1次遅れ系とし、時定数をτ、発電設備の設定出力をXとするとき、レドックスフロー電池の電池容量をA×X×τ(但し0.8≦A≦1.2)に設定することを特徴とする請求項2に記載のレドックスフロー電池システムの運転方法。
  4. ローパスフィルタ演算において、ローパスフィルタの伝達関数をn次(n≧2)とし、1次のパラメータをα、時定数をτ、発電設備の設定出力をXとするとき、レドックスフロー電池の電池容量をA×α×X×τ(但し0.8≦A≦1.2)に設定することを特徴とする請求項2に記載のレドックスフロー電池システムの運転方法。
  5. 目標合成値は、発電出力に移動平均演算を施すことで決定することを特徴とする請求項1に記載のレドックスフロー電池システムの運転方法。
  6. 移動平均演算において、移動平均の時間窓をτ、発電設備の設定出力をXとするとき、レドックスフロー電池の電池容量をB×X×τ(但し0.3≦B≦0.6)に設定することを特徴とする請求項5に記載のレドックスフロー電池システムの運転方法。
  7. 発電電力が規則的な発電設備から電力が供給され、消費電力が不規則な負荷に併設されるレドックスフロー電池を具え、負荷の消費電力と電池の電池出力とを合成して不規則な消費電力を平滑化するレドックスフロー電池システムの運転方法であって、
    前記負荷の消費電力に基づいて、負荷の消費電力と電池出力との合成入力の目標値を決定し、
    前記レドックスフロー電池の残存容量とこの目標値との和が設定範囲内になるようにレドックスフロー電池を充放電させることを特徴とするレドックスフロー電池システムの運転方法。
  8. 合成入力の目標値は、消費電力にローパスフィルタ演算を施すことで決定することを特徴とする請求項7に記載のレドックスフロー電池システムの運転方法。
  9. ローパスフィルタ演算において、ローパスフィルタの伝達関数を1次遅れ系とし、時定数をτ、負荷の設定電力をXとするとき、レドックスフロー電池の電池容量をA×X×τ(但し0.8≦A≦1.2)に設定することを特徴とする請求項8に記載のレドックスフロー電池システムの運転方法。
  10. ローパスフィルタ演算において、ローパスフィルタの伝達関数をn次(n≧2)とし、1次のパラメータをα、時定数をτ、負荷の設定電力をXとするとき、レドックスフロー電池の電池容量をA×α×X×τ(但し0.8≦A≦1.2)に設定することを特徴とする請求項8に記載のレドックスフロー電池システムの運転方法。
  11. 合成入力の目標値は、消費電力に移動平均演算を施すことで決定することを特徴とする請求項7に記載のレドックスフロー電池システムの運転方法。
  12. 移動平均演算において、移動平均の時間窓をτ、負荷の設定電力をXとするとき、レドックスフロー電池の電池容量をB×X×τ(但し0.3≦B≦0.6)に設定することを特徴とする請求項11に記載のレドックスフロー電池システムの運転方法。
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