JP2006145738A - 光素子の製造方法および光素子の製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 所望の形状、大きさのマイクロレンズを有する光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の光素子の製造方法は、
(a)光学素子12の光学面12aに対して光透過性を有する硬化樹脂の前駆体溶液の液滴14aを吐出して、光学部材前駆体14bを形成すること、
(b)前記光学部材前駆体14bを硬化させて光学部材14を形成すること、
を含み、
前記(a)では、前記光学面12aに前記液滴14aが着弾する前の該液滴の粘度と比して、着弾時におけるその粘度が高くなるよう行われる。
【選択図】 図3
【解決手段】 本発明の光素子の製造方法は、
(a)光学素子12の光学面12aに対して光透過性を有する硬化樹脂の前駆体溶液の液滴14aを吐出して、光学部材前駆体14bを形成すること、
(b)前記光学部材前駆体14bを硬化させて光学部材14を形成すること、
を含み、
前記(a)では、前記光学面12aに前記液滴14aが着弾する前の該液滴の粘度と比して、着弾時におけるその粘度が高くなるよう行われる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、その上方にマイクロレンズなどの光学部材を有する光素子の製造方法および光素子の製造装置に関する。
発光素子や受光素子などの光素子には、光の出射面または入射面にマイクロレンズが設けられることがある。このように、マイクロレンズを設けることで、発光素子であれば、出射光の放射角を低減することができ、受光素子であれば、受光効率の向上を図ることができるのである。このマイクロレンズの形成方法の一例として、光透過性を有する硬化樹脂の液体材料を液滴吐出法を用いて、出射面または入射面の上方に滴下して、これを紫外線などの照射で硬化する方法がある。
特開2000−2802号公報
しかし、上記のように、液滴吐出法を用いて形成する場合には、液体材料を滴下する領域に、撥液処理や親水処理を施すことがあり、マイクロレンズの形成位置や形状を制御することが難しいことがある。また、他には、マイクロレンズを形成したい領域に凹部を形成し、この凹部に液体材料を保持しマイクロレンズを形成する方法もあるが、この場合には、凹部に保持できる液量が限られてしまう。そのため、より精度よく所望のマイクロレンズを形成できることが望まれている。
本発明の目的は、所望の形状、大きさのマイクロレンズを有する光素子の製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、上記光素子を形成するための光素子の製造装置を提供することにある。
(1)本発明の光素子の製造方法は、
(a)光学素子の光学面に対して光透過性を有する硬化樹脂の前駆体溶液の液滴を吐出して、光学部材前駆体を形成すること、
(b)前記光学部材前駆体を硬化させて光学部材を形成すること、
を含み、
前記(a)では、前記光学面に前記液滴が着弾する前の該液滴の粘度と比して、着弾時におけるその粘度が高くなるよう行われる。
(a)光学素子の光学面に対して光透過性を有する硬化樹脂の前駆体溶液の液滴を吐出して、光学部材前駆体を形成すること、
(b)前記光学部材前駆体を硬化させて光学部材を形成すること、
を含み、
前記(a)では、前記光学面に前記液滴が着弾する前の該液滴の粘度と比して、着弾時におけるその粘度が高くなるよう行われる。
本発明の光素子の製造方法によれば、光学部前駆体を形成する際、前駆体溶液の滴下が光学面に着弾したとき、その液滴の粘度が高くなるような条件で行われる。そのため、着弾時の液滴の表面張力を大きくすることができる。その結果、球面形状を有する、つまり、曲率の向上した光学部前駆体を形成することができ、光学部材の形状や大きさがより厳密に制御された光素子を製造することができる。
ここで、「光学面」は、本発明の光素子から外部への光の出射面であってもよいし、外部から本発明の光素子への光の入射面であってもよい。また、「外部」とは、本発明の光素子以外の領域をいう。さらに、「光学部材」とは、光の性質や進行方向を変える機能を有する部材をいう。
(2)本発明の光素子の製造方法において、前記(a)は、吐出時の前記前駆体溶液の温度と比して、着弾時の該前駆体溶液の温度が低い条件で行われることができる。
この態様によれば、液滴を吐出する際には、粘度が低い状態で吐出できるため、良好に吐出することができ、光学面に対しての着弾時には、吐出時より液滴の温度を低くすることで、液滴の粘度を高くすることができる。そのため、着弾時の液滴の表面張力は大きくなり、球面を有する光学部前駆体を形成することができる。
(3)本発明の光素子の製造方法において、前記(a)では、吐出される前の前記前駆体溶液を加熱して行われることができる。
この態様によれば、吐出時の前駆体溶液の温度を確実に高くすることができ、良好に吐出をすることができる。
(4)本発明の光素子の製造方法において、前記(a)は、前記光学面を覆う雰囲気の温度が、吐出前の前記前駆体溶液の温度と比して低い状態で行われることができる。
この態様によれば、着弾後の液滴の温度をより確実に低くすることができ、着弾時の液滴の粘度を低くすることができる。その結果、球面状を有する光学部前駆体を形成することができる。
(5)本発明の光素子の製造方法において、前記光学面の周囲を窒素ガスまたは炭酸ガスで覆うことにより、その温度を低くすることができる。
この態様によれば、着弾後の液滴の温度をより確実に低くすることができ、着弾時の液滴の粘度を低くすることができる。その結果、球面状を有する光学部前駆体を形成することができる。
(6)本発明の光素子の製造方法において、前記(a)は、着弾時に前記前駆体溶液の溶剤を除去すること、を含むことができる。
この態様によれば、着弾時の液滴から溶剤を除去することで、該液滴の粘度を高くすることができる。その結果、着弾後の液滴の表面張力は大きくなり、球面を有する光学部前駆体を形成することができる。
(7)本発明の光素子の製造方法において、前記(a)は、前記吐出された直後の前記液滴を覆う雰囲気の酸素濃度と比して、着弾時の該液滴を覆う雰囲気の酸素濃度が低い状態で行われることができる。
この態様によれば、液滴の表面張力を大きくすることができ、より、球面状の光学部材前駆体を形成することができる。
(8)本発明の光素子の製造方法において、前記光学部材は、マイクロレンズであることができる。
(9)本発明の光素子の製造方法において、さらに、(c)前記光学部材の周囲を封止材で埋め込むことができる。
この態様によれば、光学素子の光学面上に、光素子をより簡便な方向で固定することができる。
(10)本発明の光素子の製造装置は、
光学面を有する光学素子を覆う被覆部と、
前記被覆部に設けられ、前記被覆部内の温度を下げるための冷却剤供給部と、
前記光学素子の上面に対して光透過性を有する硬化樹脂の前駆体溶液を滴下可能な溶液滴下部と、
前記前駆体溶液を変性させて硬化させるためのエネルギー線供給部と、
を含む。
光学面を有する光学素子を覆う被覆部と、
前記被覆部に設けられ、前記被覆部内の温度を下げるための冷却剤供給部と、
前記光学素子の上面に対して光透過性を有する硬化樹脂の前駆体溶液を滴下可能な溶液滴下部と、
前記前駆体溶液を変性させて硬化させるためのエネルギー線供給部と、
を含む。
本発明の光素子の製造装置によれば、被覆部に冷却剤供給部が設けられていることにより、被覆部内において、光学面を覆う雰囲気を冷却することができる。そのため、光学面に前駆体溶液の液滴が着弾する前後でその粘度を容易に異ならせることができる。その結果、球面形状を有する光学部材を有する光学素子を製造することができる。
(11)本発明の光素子の製造装置において、前記溶液滴下部には、前記前駆体溶液を加熱するための加熱部が設けられていることができる。
この態様によれば、吐出前の前駆体溶液の粘度を低くすることができ、液詰まりを起こすことなくスムーズに前駆体溶液の吐出を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
1.光素子およびその製造方法
1.1.光素子の構造
図1は、本発明を適用した一実施の形態に係る光素子100を模式的に示す断面図である。図2は、図1に示す光素子100を模式的に示す平面図である。なお、図1は、図2のA−A線における断面を示す図である。
1.1.光素子の構造
図1は、本発明を適用した一実施の形態に係る光素子100を模式的に示す断面図である。図2は、図1に示す光素子100を模式的に示す平面図である。なお、図1は、図2のA−A線における断面を示す図である。
本実施の形態の光素子100は、所与の基板10上に設けられた光学素子12と、光学素子12の光学面12a上に設けられた光学部材14とを含む。光学部材14は、例えば、入射した光を集光、偏向、または分光する機能を有することができる。
本実施の形態において、光学素子12とは、たとえば、発光素子または受光素子である。発光素子の場合、光を放出する部位(出射面)を有し、受光素子の場合、光を取り込む部位(入射面)を有する。この出射面または入射面が本実施の形態の光素子100における光学面12aに該当することとなる。具体的には、発光素子としては、半導体レーザ、半導体発光ダイオード、有機EL装置が例示できる。また、受光素子としては、固体撮像素子、フォトダイオード、MSMフォトディテクターが例示できる。
光学部材14は、光の性質や進行方向を変える機能を有する部材をいい、光透過性の硬化樹脂の前駆体溶液を、光学素子12の光学面12aに滴下して、光学部前駆体を形成し、これをエネルギー線により硬化して形成される。このとき、前駆体溶液として好適に用いることができる材料については、後述の製造方法の項に記載する。
1.2.光素子の製造方法
次に、図1および図2に示す光素子100の製造方法について、図3(A)〜図3(C)を参照しながら説明する。
次に、図1および図2に示す光素子100の製造方法について、図3(A)〜図3(C)を参照しながら説明する。
(1)まず、図3(A)に示すように、所与の基板10の上に、光学面12aを有する光学素子12を形成する。光学素子12としては、1.1の項で述べた種々の素子を、それぞれ公知の方法で形成することができる。
ついで、光学素子12の光学面12aの上に、光学部前駆体14bを形成する(図3(B)参照)。この工程では、具体的には、光学素子12の光学面12aに対して、インクジェットヘッド20のノズル22から前駆体溶液の液滴14aを吐出して行われる。
液滴14aを吐出する方法としては、ディスペンサ法または液滴吐出法が例示できる。液滴14aの粘度および吐出量等を考慮して、吐出方法を選択するのが望ましい。例えば、液滴吐出法を用いる場合、液滴14aの粘度は約20cps以下で用いるのが望ましい。一方、ディスペンサ法を用いる場合、液滴14aの粘度はこれより高くてもよい。ディスペンサ法は、液滴の吐出量を多くすることが可能であるため、比較的大きなレンズを形成する場合に有用な方法である。また、液滴吐出法は、液滴の吐出量および吐出位置を厳密に制御できるため、微細なレンズを形成する場合に有用な方法である。
このとき、前駆体溶液の滴下は、前記光学素子12の光学面12aに前記液滴14aが着弾する前の液滴の粘度と比して、着弾時のその粘度が高くなるような条件で行なわれる。具体的には、たとえば、下記の方法1ないし4の少なくともいずれか1つの方法をとることで、着弾前後の粘度を異ならせることができる。
方法1としては、吐出前の前駆体溶液の温度が光学面12aを覆う雰囲気の温度と比して高い温度となるよう、前駆体溶液を加熱することを挙げることができる。つまり、たとえば、光学素子12が、室温の大気中に設置されているときには、吐出前の前駆体溶液の温度が少なくとも室温より高い温度になるよう調整すればよい。通常、前駆体溶液はその性質上、その温度が低い方が粘度が高くなるため、この方法をとることにより、着弾時の液滴14aの粘度を大きくすることができるのである。
方法2としては、光学素子12が設けられた基板10の温度を、吐出される前駆体溶液の温度よりも低くする方法を挙げることができる。この場合も、前記の方法1と同様で、温度が低い方が溶液の粘度が高くなることを利用し、着弾前後の液滴14aの粘度を異ならせている。基板10の温度を下げる方法としては、たとえば、基板10を設置するステージに温度調節機能を有するものを用いて行うことができる。
方法3としては、着弾時の液滴から前駆体溶液中の溶媒を除去することで、着弾時の液滴の粘度を高くする方法を挙げることができる。この場合、たとえば、揮発性の高い溶媒を用いること、基板10を加熱すること、または光学面12aを覆う雰囲気の温度を高くすることで溶媒成分の除去を図ることができる。
方法4としては、光学面12a周囲の酸素濃度を低くすることで、着弾時の粘度を高くする方法を挙げることができる。たとえば、後述の2.項で述べる光素子の製造装置を用いることで、酸素濃度を低くすることができる。
このようにして、図3(B)に示すように、球面形状を有する光学部前駆体14bを形成することができる。
次に、図3(C)に示すように、光学部材前駆体14bに、エネルギー線30を供給することにより、光学部材14が形成される(図1参照)光学部前駆体14b(液滴14a)は、例えば熱または光等のエネルギーを付与することによって硬化可能な液体材料(例えば紫外線硬化型樹脂または熱硬化型樹脂)からなる。これにより、形状が制御された光学部材14を得ることができる。紫外線硬化型樹脂としては、例えば紫外線硬化型のアクリル系樹脂およびエポキシ系樹脂が挙げられる。また、熱硬化型樹脂としては、熱硬化型のポリイミド系樹脂の前駆体等が例示できる。
紫外線硬化型樹脂は、短時間の紫外線照射によって硬化する。このため、熱工程など素子に対するダメージを与えやすい工程を経ずに硬化させることができる。したがって、光学部材14を形成するために、光学部前駆体14b(液滴14a)に紫外線硬化型樹脂を用いる場合、素子へ与える影響を少なくすることができる。このとき、酸素濃度が低い条件でエネルギー線の照射を行なうと、硬化反応を促進できるという利点がある。
以上の工程により、光学面12aの上に光学部材14が形成される。この光学部材14は、曲率および高さが大きいものである。
本実施の形態の光素子100の製造方法によれば、着弾前の前駆体溶液の液滴14aの粘度と比して、着弾時にはその粘度が高くなるような条件で光学部前駆体14bが形成される。そのため、液滴14aの表面張力を大きくすることができ、より球面形状の光学部前駆体14bを形成することができる。その結果、その形状や大きさが厳密に制御された光学部材14を有する光素子100を製造することができる。
次に、光学素子が、発光素子である場合の利点について、図4(A)図4(B)を参照しながら説明する。図4(A)からわかるように、光学部材14であるマイクロレンズを発光した光が通過することにより、その放射角を小さくすることができ、光ファイバとの結合を向上させることができる。また、図4(B)に示すように、光学部材14が発光点からずれて形成することで、球面形状のマイクロレンズの内面で屈折させることができ、一方向に発光させる偏光素子として用いることができる。
また、光学素子が受光素子の場合の利点について、図5を参照しながら説明する。図5に示すように、マイクロレンズが球面形状を有することで、広がっている入射光を良好に屈折させることができ、受光効率をあげることができる。
1.3.応用例
次に、本実施の形態の光素子の製造方法を応用して形成されるマイクロレンズ基板について説明する。図6は、応用例にかかるマイクロレンズ基板200を模式的に示す断面図である。図7は、図6に示すマイクロレンズ基板200を模式的に示す平面図である。なお、図6は、図7のA−A線における断面を示す図である。
次に、本実施の形態の光素子の製造方法を応用して形成されるマイクロレンズ基板について説明する。図6は、応用例にかかるマイクロレンズ基板200を模式的に示す断面図である。図7は、図6に示すマイクロレンズ基板200を模式的に示す平面図である。なお、図6は、図7のA−A線における断面を示す図である。
図6に示すように、マイクロレンズ基板200は、複数の光学部材114が設置されている。光学部材114は、光学素子112の光学面112a上に設けられている。光学素子112は基体110上に設けられている。光学素子112および光学部材114は、上述の実施の形態と同様である。
また、図6に示すように、光学部材114を固定するために、必要に応じて、光学部材114の周囲を封止材160で埋め込むことができる。なお、封止材160の材質は特に限定されないが、例えば樹脂を用いることができる。このように、封止材160を設けることで、より簡便な方法で光学部材114を光学面112aの上に固定することができる。
このマイクロレンズ基板200において、光学部材114は、上述の実施の形態にかかる製造方法で形成されている。そのため、球面形状の光学部材を形成することができ、本実施の形態にかかる光素子の製造方法と同様の作用効果を有する。
2.光素子の製造装置とその動作方法
2.1.光素子の製造装置
次に、1.の項で述べた光素子の製造方法を実現することができる製造装置について説明する。図8は、本実施の形態にかかる光素子の製造装置300を簡略して示す図である。
2.1.光素子の製造装置
次に、1.の項で述べた光素子の製造方法を実現することができる製造装置について説明する。図8は、本実施の形態にかかる光素子の製造装置300を簡略して示す図である。
本実施の形態にかかる光素子の製造装置300は、少なくとも光学素子12を覆う被覆部310と、前記被覆部310に設けられ、該被覆部310内の温度を下げるための冷却剤供給部320と、光学素子12に対して所定の単位量ごとに光透過性を有する硬化樹脂の前駆体溶液を滴下する溶液滴下部330と、前記前駆体を変性させて硬化させるためのエネルギー線供給部340と、を含む。
被覆部310は、光学素子12を覆うためのものであり、基板10の表面に対して、上下方向に可動することができる。本実施の形態の製造装置300では、光学素子12が形成されている面に対して開口を有する構造をとる場合を例示する。また、被覆部310を構成する側壁は、被覆部310内に後述の冷却剤が供給された場合に、その温度を保持できるような材質であることが好ましい。
冷却剤供給部320は、光学素子を被覆部310で覆った状態で(後述の図9参照)、被覆部310内に冷却剤を供給するための役割を果たす。具体的には、被覆部310に冷却剤を供給することで、被覆部310で覆われた空間内の上方の空間(液滴滴下部330の設けられている空間)の温度と比して、下方の空間(光学素子が位置する空間)の温度を低くするために設けられている。この冷却剤供給部320からは、少なくとも、吐出される溶液の温度と比して低い温度の気体であれば、どのような気体でも用いることができる。たとえば、氷点下の温度である窒素ガスや炭酸ガスを流入させることができる。窒素ガスや炭酸ガスなどの温度の低い気体は、その性質上、下方の空間にたまりやすい。そのため、容易に、被覆部310内の上下空間での温度差を生じさせることができる。なお、冷却剤を供給する際には、継続して供給してもよいし、必要に応じて断続的に供給してもよい。
また、冷却剤として、上述の窒素ガスや炭酸ガスを用いる場合には、さらに、次のような利点がある。窒素ガスや炭酸ガスを供給させると、被覆部310内に当初存在していた気体を窒素ガスや炭酸ガスに置換することができる。そのため、被覆部310内、特に、冷却剤のたまりやすい光学素子12周囲の雰囲気の酸素濃度を低くすることができる。酸素存在下に液滴を配置すると、液滴の分子と酸素分子とが結合し、液滴の表面エネルギーが下がってしまう。このことは、表面張力の低下につながる。しかし、この態様では、酸素濃度を低くすることができるため、表面張力を大きくすることができ、光学部前駆体14bを球面形状に形成できるのである。
溶液滴下部330は、光学素子12の上面にマイクロレンズなどの光学部材を形成するための前駆体溶液を滴下するために設けられている。さらに、溶液滴下部330には、吐出される前駆体溶液を暖めるための加熱部332が設けられていることができる。なお、本実施の形態では、溶液滴下部330の上に設けられている場合を図示したが、これに限定されない。たとえば、前駆体溶液が保持されている保持容器(図示せず)に加熱部332が設けられていてもよい。このように、加熱部332を有する場合には、次のような利点がある。液滴吐出法では、ノズルで液詰まりを起こさずスムーズに塗出されるためには、吐出される溶液の粘度がある程度は低いことが望まれている。一方、粘度の低い溶液を吐出すると、光学素子に着弾した後には、粘度が低いがために、溶液が光学素子12からはみ出したり、球面形状を維持できないことがある。しかし、加熱部332を設けることにより、着弾時に球面形状を維持できるだけの高い粘度の溶液を用いたとしても、加熱部332で暖められることにより、吐出時には、その粘度を低くすることができ、スムーズな吐出をすることができるのである。
エネルギー線供給部340は、前駆体溶液の性質に応じて、硬化させるためのエネルギー線を照射するために設けられている。エネルギー線としては、紫外線、電子線などを照射することができる。
2.2.動作方法
次に、この製造装置300を用いて本実施の形態にかかる光素子を製造する方法の一例について図9(A)〜(C)を参照しつつ説明する。
次に、この製造装置300を用いて本実施の形態にかかる光素子を製造する方法の一例について図9(A)〜(C)を参照しつつ説明する。
まず、1.の項で述べたように、所与の基板10の上に光学素子12を形成する。光学素子12については、1.の項の説明を参照されたい。この光学素子12を覆うように、被覆部310を基板10の表面方向に可動させる。そして、図9(A)に示すように、光学素子12は、被覆部310内に納められることになる。このとき、被覆部310と基板10とは、完全に密着していないことが好ましい。
ついで、図9(B)に示すように、冷却剤供給部320から、冷却剤を供給する。冷却剤としては、たとえば、氷点下の温度を有する窒素ガスや炭酸ガスなどを用いることができる。窒素ガスや炭酸ガスなどを被覆部310内に供給したとき、基板10と被覆部310との間は完全に密着しない態様をとるときには、その隙間から、冷却剤であるガスが流れ出ることになり、被覆部310内を循環させることができる。
次に、溶液滴下部330から、光学素子12に光学部材を形成する。この工程では、まず、図9(B)に示すように、溶液滴下部330から、前駆体溶液の液滴14aを所定量滴下して、光学部前駆体14bを形成する。被覆部110内では、冷却剤が供給されたことにより、溶液滴下部330の周囲の温度と比して、光学面12aの周囲の温度が低くなっている。そのため、着弾時に前駆体溶液の粘度は上昇し、表面張力が大きくなる。その結果、球面形状を有する光学部前駆体14aが形成されることとなる。
ついで、図9(C)示すように、この光学部前駆体12aに対して、エネルギー線供給部340から、所定のエネルギー線30を出射する。エネルギー線30としては、たとえば、紫外線であることが好ましい。この場合、短時間で処理を終えることができる。その後、被覆部310を基板10の表面に対して上方向に可動することで、本実施の形態にかかる光素子の製造をすることができる。
本実施の形態にかかる光素子の製造装置によれば、1.項で述べた光素子の製造方法を実現することができる。その結果、球面形状を有する光学部材を有する光学素子を製造することができる。
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で適宜変更が可能である。
10…基板、 12…光学素子、 12a…光学面、 14…光学部材、 14a…液滴、 14b…光学部前駆体、 20…インクジェットヘッド、 22…ノズル、 30…エネルギー線、 100…光素子、 110…基体 112…光学素子、 112a…光学面、 114…光学部材、 160…封止材、 200…マイクロレンズ基板、 300…製造装置、 310…被覆部、 320…冷却剤供給部、 330…溶液滴下部、 332…加熱部、 340…エネルギー線供給部、
Claims (11)
- (a)光学素子の光学面に対して光透過性を有する硬化樹脂の前駆体溶液の液滴を吐出して、光学部材前駆体を形成すること、
(b)前記光学部材前駆体を硬化させて光学部材を形成すること、
を含み、
前記(a)では、前記光学面に前記液滴が着弾する前の該液滴の粘度と比して、着弾時におけるその粘度が高くなるよう行われる、光素子の製造方法。 - 請求項1において、
前記(a)は、吐出時の前記前駆体溶液の温度と比して、着弾時の該前駆体溶液の温度が低い条件で行われる、光素子の製造方法。 - 請求項1または2において、
前記(a)では、吐出される前の前記前駆体溶液を加熱して行われる、光素子の製造方法。 - 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記(a)は、前記光学面を覆う雰囲気の温度が、吐出前の前記前駆体溶液の温度と比して低い状態で行われる、光素子の製造方法。 - 請求項4において、
前記光学面の周囲を窒素ガスまたは炭酸ガスで覆うことにより、該光学面を覆う雰囲気の温度を低くする、光素子の製造方法。 - 請求項1ないし5のいずれかにおいて、
前記(a)は、着弾時に前記前駆体溶液の溶剤を除去すること、を含む、光素子の製造方法。 - 請求項1ないし6のいずれかにおいて、
前記(a)は、前記吐出された直後の前記液滴を覆う雰囲気の酸素濃度と比して、着弾時の該液滴を覆う雰囲気の酸素濃度が低い状態で行われる、光素子の製造方法。 - 請求項1ないし7のいずれかにおいて、
前記光学部材は、マイクロレンズである、光素子の製造方法。 - 請求項1ないし8のいずれかにおいて、
さらに、(c)前記光学部材の周囲を封止材で埋め込むこと、を含む、光素子の製造方法。 - 光学面を有する光学素子を覆う被覆部と、
前記被覆部に設けられ、前記被覆部内の温度を下げるための冷却剤供給部と、
前記光学面に対して光透過性を有する硬化樹脂の前駆体溶液を滴下可能な溶液滴下部と、
前記前駆体溶液を変性させて硬化させるためのエネルギー線供給部と、
を含む、光素子の製造装置。 - 請求項10において、
前記溶液滴下部には、前記前駆体溶液を加熱するための加熱部が設けられている、光素子の製造装置。
Priority Applications (1)
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JP2004334403A JP2006145738A (ja) | 2004-11-18 | 2004-11-18 | 光素子の製造方法および光素子の製造装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010156913A (ja) * | 2009-01-05 | 2010-07-15 | New Japan Radio Co Ltd | レンズ形成方法 |
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2004
- 2004-11-18 JP JP2004334403A patent/JP2006145738A/ja not_active Withdrawn
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