JP2006144733A - 弁バウンス防止装置付き燃料噴射弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の課題は、弁部材の開閉弁バウンスを積極的に低減すると共に、安定噴射量の下限値を低減する燃料噴射弁を提供することにある。
【解決手段】 本発明に係る弁部材は、噴孔を閉塞する閉弁位置と噴孔を開放する開弁位置との間を往復動しており、往復動時の前記弁部材速度を、前記弁部材近傍に配置された可変粘性流体の粘度を変化させることにより制御する、弁部材速度制御手段を備え、前記弁部材速度制御手段は、前記弁部材が前記閉弁位置と前記開弁位置との間を往復動している時に、前記可変粘性流体の粘度を増大させることを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関(以下、「エンジン」という)の燃料噴射弁に関する。
従来、コイル部により発生する磁束を利用して固定コアに対し可動コアを吸引及び離間させることで、その可動コアと一体に動く弁部材により噴孔を開放及び閉塞する燃料噴射弁が知られている。この燃料噴射弁では、筒状の弁ボディ内に、可動コアが弁部材と一体となった状態で、往復動可能に収容されており、また固定コアが弁ボディ内に移動不能に収容され、その固定コアの下流側端面が可動コアの上流側端面に対向している。そしてこの燃料噴射弁では、コイル部への通電を行って固定コア、可動コア及び弁ボディを通る磁束を発生させることで、可動コアが固定コアに吸引駆動され、噴孔が開放され噴射が開始する。また、コイル部への通電を停止することで、可動コアが固定コアから離れて、噴孔が閉塞され噴射が終了する。以下、燃料噴射弁において、弁部材により噴孔が開放されることを「開弁」といい、弁部材により噴孔が閉塞されることを「閉弁」という。
ところで、車両のエンジンに搭載される燃料噴射弁においては、コイル部への通電に応じて安定して得ることのできる噴射量(以下、「安定噴射量」という)について、その下限値(安定最小噴射量)の低減化が求められている。これは、エンジン駆動摩擦馬力の日進月歩の低減と相まって、特にアイドル時の燃費および排ガス低減や滑らかな車両の加減速及び定速走行を得るために要求されるものである。一方、エンジンの高出力化のため、最大噴射量の増加も求められている。すなわち、現在、車両用エンジンの燃料噴射弁に対する第1のニーズは、いわゆるダイナミックレンジを大きくすることである。なお、ダイナミックレンジとは、ここでは安定最大噴射量と安定最小噴射量の比をいうこととする。又、開弁(閉弁)が完了するには一定時間を要し、その一定時間においては、弁シート部近傍の燃料通路が十分に開き(閉じ)きっていないため、その一定時間における燃料噴霧が不完全な(燃料霧化、貫徹力、分布等に関して)ものとなり、燃費、排ガスに悪影響を及ぼしている。これは、特に、筒内直接噴射において顕著である。このため、第2のニーズは、開閉弁作動に要する時間を短縮することである。
しかし、上記燃料噴射弁には、開閉弁時に弁部材がストッパ部材に衝突してバウンスする宿命的問題が存在する。開閉弁時のバウンスは、安定最小噴射量の低減に重大な障害となる。また、特に閉弁時のバウンスにより噴孔が開くと、噴孔から流出する燃料は噴霧が形成されにくく液体状で燃焼室へ放出されるため、燃焼悪化による黒煙、カーボンデポジット(噴孔まわりの炭素付着物)の要因となる。このバウンスを抑制するため、緩やかに弁を開閉することも考えられるが、そうすると、第2のニーズに逆行することとなる。すなわち、上記燃料噴射弁においては、ダイナミックレンジを大きくすることと開閉弁作動に要する時間を短縮することとは二律背反の関係となっている。
この問題(特に第1のニーズに関する)を解決するために、例えば特許文献1に、固定コアに対向する可動コアの上流側端面の最外周縁に凹み部を設け更に外周壁をテーパ状にすることが考えられている。このような凹み部を設けることで開弁時には、固定コアと可動コアとの間に形成される空間(以下、「コア室」という)に燃料が滞留するため、そのコア室内燃料の油圧ダンピング効果により可動コアの固定コアへの衝突速度が抑制され、弁部材の開弁バウンスが低減される。
又、上記可動コアの外周壁は、弁ボディの内周壁との間にテーパ状のサイドギャップを形成している。可動コアの下流側端部外周におけるサイドギャップの間隔は、上流側端部外周における間隔よりも拡大している。そのため閉弁時には、可動コアの下流側端部外周において、サイドギャップからコア室に燃料が流入し易くなる。これにより閉弁時には、可動コアが固定コアから離れ易くなり、弁部材が噴孔を閉塞するまでに掛かる時間が短縮するので、閉弁応答性が向上する。
ちなみに、特許文献2においても同じ問題が扱われている。
なお、技術分野、技術課題が異なるが、本願発明の特徴となっている可変粘性流体の1つである磁性流体を使用して地震時の防振装置を開示したものとして、特許文献3がある。
特開2003−328891号公報 特開2003−214286号公報 特開2003−214480号公報
しかし、上記公報(特許文献1、特許文献2)記載の技術では、第1ニーズと第2ニーズの両者を満足するには不完全であり、特に、閉弁時のバウンスには何ら対策が取られていない。又、開弁時間(弁部材がリフトし始めてから完全にリフトし終わるまでの時間)の短縮に関しては、逆に悪化する方向となる。
本発明の目的は、弁部材の開閉弁バウンスを積極的に低減すると共に、安定噴射量の下限値を低減することにより、ダイナミックレンジを大きくすることと開閉弁作動に要する時間を短縮することとを両立させた燃料噴射弁を提供することにある。
請求項1記載の発明によれば、
噴孔と、該噴孔に連通する燃料通路を形成する弁ボディと、該弁ボディ内に配置され、前記噴孔を閉塞する閉弁位置と前記噴孔を開放する開弁位置との間を往復動可能な弁部材と、前記弁部材を前記閉弁位置と前記開弁位置との間で往復動させる弁駆動手段と、を備える燃料噴射弁であって、
前記閉弁位置と前記開弁位置との間の往復動時の前記弁部材速度を、前記弁部材近傍に配置された可変粘性流体の粘度を変化させることにより制御する、弁部材速度制御手段を備え、
前記弁部材速度制御手段は、前記弁部材が前記閉弁位置と前記開弁位置との間を往復動している時に、前記可変粘性流体の粘度を増大させることを特徴とする、燃料噴射弁が提供される。
従来技術では、制御不能な油圧ダンピング機能により弁バウンスを防止している。これに対し、請求項1記載の燃料噴射弁により、弁部材の開閉作動に伴う弁部材速度を積極的に制御することが可能となり、弁部材の開閉作動時のバウンスを積極的に抑制可能となり、安定噴射量の下限値を低減することができる。これにより、ダイナミックレンジを大きくできる。又、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関の燃料噴射弁に幅広く本発明を利用できる。
請求項2記載の発明によれば、
請求項1に記載の燃料噴射弁であって、
前記弁部材速度制御手段は、燃料噴射開始時において、前記弁部材が前記閉弁位置から前記開弁位置への移動を完了する直前に、前記可変粘性流体の粘度を増大させることを特徴とする、燃料噴射弁が提供される。
このように請求項2に記載の燃料噴射弁によれば、磁気吸引力を増加させて開弁速度を増加させ、開弁終了直前に可変粘性流体の粘度を増大させることで弁バウンスを積極的に防止可能となるので、請求項1に記載の燃料噴射弁の効果を有しつつ、開弁作動に要する時間を短縮することが可能となり、開弁時の不完全な燃料噴霧を低減でき、燃費、排ガスを改善できる。
請求項3記載の発明によれば、
請求項1又は請求項2に記載の燃料噴射弁であって、
前記弁部材速度制御手段は、燃料噴射終了時において、前記弁部材が前記開弁位置から前記閉弁位置への移動を完了する直前に、前記可変粘性流体の粘度を増大させることを特徴とする、燃料噴射弁が提供される。
このように請求項3に記載の燃料噴射弁によれば、リターンスプリング荷重を増加させて閉弁速度を増加させ、閉弁終了直前に可変粘性流体の粘度を増大させることで弁バウンスを積極的に防止可能となるので、請求項1又は請求項2に記載の燃料噴射弁の効果を有しつつ、閉弁作動に要する時間を短縮することが可能となり、閉弁時の不完全な燃料噴霧を低減でき、燃費、排ガスを改善できる。更には黒煙、カーボンデポジットを防止できる。
請求項4記載の発明によれば、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の燃料噴射弁であって、
前記弁部材速度制御手段は、前記弁部材に設けられたピストン部と、該ピストン部を囲繞しながら前記弁ボディに固定されているダンパケーシングと、該ダンパケーシング内に充填された前記可変粘性流体と、を備えることを特徴とする、燃料噴射弁が提供される。
このように請求項4に記載の燃料噴射弁によれば、簡単な構造を採用しているので、従来の燃料噴射弁を一部改変するのみで済み、開発費、製造費を抑制することができ信頼性を確保することも可能となる。
請求項5記載の発明によれば、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料噴射弁であって、
前記可変粘性流体は、磁性流体であり、前記弁部材速度制御手段は、磁性流体に磁界を加えるためのコイルを備えることを特徴とする、燃料噴射弁が提供される。
請求項6記載の発明によれば、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料噴射弁であって、
前記可変粘性流体は、電気粘性流体であり、前記弁部材速度制御手段は、電気粘性流体に電界を加えるための電極を備えることを特徴とする、燃料噴射弁が提供される。
このように請求項5及び請求項6に記載の燃料噴射弁によれば、可変粘性流体として磁性流体や電気粘性流体が使用可能である。
本発明によれば、弁部材の開閉弁バウンスを積極的に低減すると共に、安定噴射量の下限値を低減することにより、ダイナミックレンジを大きくすることと開閉弁作動に要する時間を短縮することとを両立させた燃料噴射弁を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を示す実施例を図面に基づいて説明する。本発明の実施例に係る燃料噴射弁を図1から図3に示す。又、参考として従来の燃料噴射弁を図6に示す。
燃料噴射弁10のハウジング11はストレートな円筒状に形成されている。ハウジング11は第一磁性筒部11a、非磁性筒部11b及び第二磁性筒部11cから構成されている。非磁性筒部11bは、軸方向において第一磁性筒部11aと第二磁性筒部11cとに挟まれると共に、固定コア12の下流側端部13及び可動コア14の上流側端部15の外周側に配置されている。これにより、可動コア駆動用コイル部(以下「第1コイル」という)43が形成する磁束の漏れが防止される。
固定コア12は磁性材料で円筒状に形成され、内部に燃料通路を形成している。固定コア12は、ハウジング11の上流側部分に同軸上に収容固定され、ハウジング11に対し相対移動不能である。固定コア12の下流側端部13の外周壁はハウジング11の内周壁に密着している。固定コア12の下流側端面13aは、固定コア12の中心軸に垂直な平坦面状に形成されている。
可動コア14は磁性材料で円筒状に形成され、内部に燃料通路を形成している。可動コア14は、上流側端面15aが固定コア12の下流側端面13aに対向するようにハウジング11に同軸上に収容され、軸方向に往復動可能である。可動コア14の筒壁を貫通する流出孔23は、筒内外を連通する燃料通路を形成している。可動コア14の下流側端部16側には、接合スリーブ22が一体に設けられている。
可動コア14の上流側端面56は、可動コア14の中心軸に垂直な平坦面状に形成されている。端面56は、弁部材20が上流側へフルリフトしたとき図3に示すように固定コア12の下流側端面13aに当接し、それ以外のときには固定コア12の下流側端面13aに間隔をおいて対向する。
弁ボディ17は円筒状に形成されている。ハウジング11は弁ボディ17に同軸上に固定されている。弁ボディ17の下流側端部に円筒状の弁座体18が同軸上にかしめられている。弁座体18の下流側端部に噴孔18bが形成されている。さらに弁座体18には、噴孔18bの上流側において弁座18aが形成されている。
弁部材20は、ハウジング11、弁ボディ17及び弁座体18に往復動可能に同軸上に収容されている。弁部材20はそれの上流側端部において可動コア14の接合スリーブ22に接合固定され、可動コア14と一体に往復動をする。ハウジング11、弁ボディ17及び弁座体18は各々の内周壁と弁部材20の外周壁との間に燃料通路を形成している。又、17aは、ハウジング11内の燃料を弁ボディ17の内周壁内の燃料溜りへ供給するための燃料通路である。弁部材20の下流側端部に設けられたシート部21は、弁座体18の弁座18aに着座可能である。可動コア14が固定コア12から離れる下流側に弁部材20が移動してシート部21が弁座18aに着座することで、噴孔18bが閉塞される。一方、可動コア14が固定コア12に接近する上流側に弁部材20が移動してシート部21が弁座18aから離れることで、噴孔18bが開く。弁部材20は、これと一体となった可動コア14の上流側端面56が固定コア12の下流側端面13aに当接すると、その移動が終了する。ハウジング11、弁ボディ17及び弁座体18が特許請求の範囲に記載された「弁ボディ」を構成している。
アジャスティングパイプ32は固定コア12内に圧入固定され、内部に燃料通路を形成している。付勢手段であるリターンスプリング31は、その一端部でアジャスティングパイプ32に係止され、他端部で可動コア14に係止されている。これによりリターンスプリング31は可動コア14及び弁部材20を下流側に向かって付勢している。固定コア12へのアジャスティングパイプ32の圧入量を調整することでリターンスプリング31の荷重を変更できる。
なお、本実施例では、開閉弁時のバウンスを積極的に防止可能であるため、リターンスプリング31の荷重を従来例より大きくし、更に固定コアと可動コアの間の磁気吸引力も従来例より大きくしている。これにより、弁部材の開閉弁時の応答性を従来例より向上させている。ちなみにこの磁気吸引力を大きくすることは、第1コイル駆動電流を上昇させたり、第1コイル巻数を増やしたりすることにより可能となる。
円筒状のコネクタ36はハウジング11の上流側端部に固定され、内部に燃料通路を形成している。コネクタ36内の燃料通路はアジャスティングパイプ32内の燃料通路に連通している。フィルタ35はコネクタ36内の燃料通路に収容されている。フィルタ35は、高圧ポンプで圧送されコネクタ36内に流入する燃料中の異物を除去する。フィルタ35を通過した燃料は、アジャスティングパイプ32内の燃料通路、固定コア12内の燃料通路、可動コア14内の燃料通路、流出孔23が形成する燃料通路、弁部材20の外周壁とハウジング11との間の燃料通路、連通孔17a、弁部材20の外周壁とハウジング11との間の燃料通路、弁ボディ17及び弁座体18の各内周壁との間の燃料通路を順次通過し、弁部材20が弁座18aから離れたときにシート部21と弁座18aとの間に形成される開口を通過して噴孔18bに導かれる。
可動コア駆動装置40は、ハウジング11の外周に固定されている。可動コア駆動装置40は、スプール41、第1コイル部43、コネクタ45、ターミナル46等を有している。スプール41は樹脂で円筒状に形成され、ハウジング11の外周壁に装着されている。第1コイル部43はスプール41に巻かれ、ハウジング11の第一磁性筒部11a及び非磁性筒部11bの外周側を囲んでいる。スプール41及び第1コイル部43の外周を樹脂モールドしたコネクタ45が覆っている。ターミナル46はコネクタ45に埋設されており、第1コイル部43と電気的に接続されている。
ここで、図1と図2を参照しながら、本発明に係る要部である弁バウンス防止装置60の構造の説明をする。
図1に示すように、弁バウンス防止装置60が、ハウジング11の真下で、弁ボディ17内に、弁部材20と同軸に配置されている。又、弁部材20は、下流側端部であるシート部21と、接合スリーブ22に接合固定されている上流側端部24との間に弁バウンス防止装置60の一部を形成するピストン部25を有している。
弁バウンス防止装置60は、可変粘性流体用コイル(以下、「第2コイル」という)61、ダンパケース62、キャップ63、流体室70、流体室70内に封入されている可変粘性流体である磁性流体、弁部材20のピストン部25、ピストン部25に貫通して設けられているオリフィス26を備えている。第2コイル61、ダンパケース62、キャップ63、流体室70は、いずれも円筒形である。ダンパケース62、キャップ63は、それぞれが少なくとも部分的に磁性材料から成っており、第2コイル61が通電されることにより磁界を発生させる。第2コイル61には、通電電流を調節して磁界を変化させることにより、第2コイル回りに発生する磁束密度を調節することが可能な磁界制御装置(図示せず)が、ターミナル65を介して電気的に接続されている。
キャップ63は、ダンパケース62内に可変粘性流体である磁性流体を充填し、弁部材20をダンパケース62と係合した後に、ダンパケース62に圧入、ねじ締結等により固定される。
ダンパケース62内に充填する可変粘性流体として磁性流体に替えて、電気粘性流体を使用する場合は、上記第2コイル61に替えて電極(図示せず)が設置され、該電極に電界制御装置(図示せず)が、電気的に接続される。
なお本明細書では、可変粘性流体とは、何らかの制御手段によりその粘度を増減可能な流体を意味し、例えば磁性流体や電気粘性流体が含まれる。磁性流体とは、磁界を加えると、粘度が増す流体であって、磁界中で磁化されるコロイド懸濁液等をいう。一方、電気粘性流体とは、電界を加えると、粘性が増す流体であって、絶縁性油の中に微細に分散したコロイド懸濁液等をいう。
本実施形態では、磁性流体として、高濃度のコロイド懸濁液中に1〜10μm程度の粒子径をもつ強磁性金属微粒子を分散させてなる磁界強度の大きさによって粘度が変化する磁気粘性流体を使用することが望ましい。
ピストン部25は、円筒形をしており、ピストン機能を持つものである。ピストン部25の外周部25aとダンパケース62の内周部62aとの間の直径間隙は、例えば0.5から10μmとなっており、磁性流体が通過しにくくなっており、磁性流体の移動はもっぱらオリフィス26を通じて可能となる。もちろん、このオリフィス26を廃止して、ピストン部外周部25aとダンパケース内周部62aとの間の間隙を上記寸法より大きくして、この間隙にオリフィス機能を持たせても良い。
弁部材20は、20a、20bにおいてダンパケースのシール部62b、62cと対向しており、これらの間は、非常に微小な隙間(例えば0.5から10μm)となっており、磁性流体が漏れにくくなっている。あるいは、弁部材の対向個所20a、20b又はシール部62b、62cのいずれかにポリテトラフルオロエチレン等の耐摩耗性樹脂を付着して磁性流体をシールしても良い。
次に、弁バウンス防止装置60の作用の説明をする。
磁界が加えられていない時は、磁性流体の粘度は低い。このため、例えば、弁部材20が上方へ移動する時(開弁時)には、ダンパオリフィス26を通じて流体室の上部室70aの磁性流体が、流体室の上部室70aから下部室70bへ抵抗無く流入するので、ピストン部上面25bに圧力を与えることは無く、上昇速度に影響を与えることは無い。
なお、弁部材20が下方へ移動する時(閉弁時)にも同様の作用となる。
一方、磁性流体において磁界が発生すると、磁性流体の粘度が上昇する。ちなみに、第2コイル61の電流値を調節することにより、磁界強度(すなわち磁束密度)が調節され、磁性流体の粘度を調節することが可能となる。そして、弁部材20が上方へ移動している時に、第2コイルに電流が流れると、流体室70内の磁性流体の粘度が上昇する。このため、ダンパオリフィス26を通じて流体室70の上部室70aの磁性流体が、上部室70aから下部室70bへ流入しにくくなり、上部室70a内の磁性流体がピストン部上面25bにより圧縮を受けるため、この反作用でピストン部上面25bに圧力を与え、弁部材20の上昇速度を減速させることとなる。又、ピストン外周部25aとケース内周部62aとの微小隙間に存在する磁性流体も粘度が上昇するのでピストン摺動抵抗が増加し、弁部材20の上昇速度を減速させることとなる。
なお、弁部材20が下方へ移動する時(閉弁時)にも同様の作用となる。
ここで、本発明に係る燃料噴射弁10の作動について、図4を参照しながら説明する。
ちなみに、図4(a)は、従来装置の時間に対する弁部材のリフト量を表しており、図4(b)は、本発明に係る装置の時間に対する弁部材のリフト量を、図4(c)は、本発明に係る装置の時間に対する第2コイルへの通電を、図4(d)は、本発明に係る装置の時間に対する第1コイルへの通電を表している。図4(b)〜(d)に関しては、時間軸は完全に共通のものであるが、図4(a)の時間軸と図4(b)〜(d)の時間軸とは、弁部材がリフトし始める時刻T1で時間軸を合わせている。開弁時間を比較容易にするためである。
(1)制御装置から可動コア駆動回路に駆動パルスが入力され、その可動コア駆動回路により、時刻T0に、可動コア駆動装置40の第1コイル部43が通電されると、第1コイル部43の作る磁束によってコア12,14間に磁気吸引力が発生する。この磁気吸引力がリターンスプリング31の付勢力に打ち勝つと、時刻T1に、可動コア14が固定コア12に向かって吸引され上流側に駆動される。これにより、弁部材20が上流側にリフトしてシート部21が弁座18aから離れるため、燃料がシート部21と弁座18aとの間から噴孔18bに流入して燃料が噴孔18bから噴射される。
(2)そして、弁部材20が完全に移動し終わる直前、すなわち可動コア14が固定コア12に衝突する直前(時刻T2)に、第2コイルに通電する。すると、第2コイル回りに磁界Mが発生し、ダンパハウジング62の流体室70内に封入されている磁性流体の粘度が上昇する。このため、ダンパオリフィス26を通じて流体室70の上部室70aの磁性流体が、上部室70aから下部室70bへ流入しにくくなり、上部室70a内の磁性流体がピストン部上面25bにより圧縮を受けるため、この反作用でピストン部上面25bに圧力を与え、弁部材20の上昇速度を減速させることとなる。又、ピストン外周部25aとケース内周部62aとの微小隙間に存在する磁性流体も粘度が上昇するのでピストン摺動抵抗が増加し、弁部材20の上昇速度を減速させることとなる。このため、弁部材20と一体化された可動コア14は、時刻T3に、固定コアの端面13aに対して衝突することなくじわりと当接する。こうして開弁時における弁部材20のバウンスが抑制されることとなる。
(3)一方、従来の燃料噴射弁の弁部材の作動を、図4(a)に示すが、前述したように、制御不能な油圧ダンピング機能を有していること、第1コイルにより発生する磁気吸引力が本発明に係る燃料噴射弁より小さいこと、などから開弁応答性は、本発明に係る装置より悪くなっている。すなわち時間Δt3だけ、本発明に係る装置より遅く開弁しており、バウンスも抑えきれていない。
(4)本発明に係る燃料噴射弁10の作動の説明に戻る。弁部材20と一体化された可動コア14が、時刻T3に、固定コアの端面13aに対して当接した後、一定時間後の時刻T4に、第2コイルの通電を停止する。通電の停止により、ダンパハウジング62の流体室70内に封入されている磁性流体が消磁されて、磁性流体の粘度は低い状態に戻る。
(5)次に、時刻T5に、制御装置から可動コア駆動回路への駆動パルスの入力が停止され、その可動コア駆動回路による第1コイル部43への通電が停止されると、第1コイル部43の作る磁束密度の減少に伴って、コア12,14間に働く磁気吸引力が低下する。すると、可動コア14が固定コア12から離れることが可能となり、リターンスプリング31の付勢力により可動コア14が下流側に駆動される。これにより弁部材20が下流側に移動して、時刻T7に、シート部21が弁座18aに着座するため、噴孔18bからの燃料噴射が遮断される。
(6)シート部21が弁座18aに着座(衝突)する直前(時刻T6)に、第2コイルに再び通電する。すると、第2コイル回りに磁界Mが発生し、ダンパハウジング62の流体室70内に封入されている磁性流体が再び磁化されることにより、磁性流体の粘度が上昇する。このため、ダンパオリフィス26を通じて流体室70の下部室70bの磁性流体が、下部室70bから上部室70aへ流入しにくくなり、下部室70b内の磁性流体が、ピストン部下面25cにより圧縮を受けるため、この反作用でピストン部下面25cに圧力を与え、弁部材20の下降速度を減速させることとなる。又、ピストン外周部25aとケース内周部62aとの微小隙間に存在する磁性流体も粘度が上昇するのでピストン摺動抵抗が増加し、弁部材20の下降速度を減速させることとなる。このため、弁部材20のシート部21は、時刻T7に、弁座18aに対して衝突することなくじわりと当接する。こうして閉弁時における弁部材20のバウンスが抑制されることとなる。
(7)一方、従来の燃料噴射弁の弁部材の作動は、図4(a)にも表されているが、前述したように、リターンスプリングの荷重が本発明に係る燃料噴射弁より小さいことから、閉弁応答性は、本発明に係る装置より悪くなっている。すなわち時間Δt7だけ、本発明に係る装置より遅く閉弁しており、バウンスも抑えきれていない。
(8)本発明に係る燃料噴射弁10の作動の説明に戻る。弁部材20のシート部21が、弁座18aに対して当接した後、一定時間後の時刻T8に、第2コイルの通電を停止する。通電の停止により、流体室70内に封入されている磁性流体が消磁されて、磁性流体の粘度は低い状態に戻る。
こうして、本発明に係る燃料噴射弁10の作動の1サイクルが終了する。後は、このサイクルが繰り返される。
図5は、上記(1)から(8)の作動により本発明に係る燃料噴射弁10から噴射される燃料噴射量について、第1コイルの駆動パルスのパルス幅(すなわち通電時間)との関係を実線で表している。実線の直線部分で示すように駆動パルスのパルス幅と燃料噴射量とが正比例関係にあるということは、第1コイル部43への通電に応じ燃料噴射量が安定して得られることを意味する。また、安定噴射量の下限値(安定最小噴射量)とは、燃料噴射量が正比例するパルス幅のうち最小幅Wminに対応した噴射量qを意味する。
又、従来装置の燃料噴射量と上記駆動パルス幅との関係を一点鎖線で表す。図5より、従来装置は、開閉弁時の弁部材のバウンスにより安定噴射量の下限値q’付近で直線比例関係が崩れていることが分かる。本発明に係る装置の安定最小噴射量qは、従来装置の安定最小噴射量q’よりΔqだけ少なくなっていることが分かる。
このように、この開閉弁バウンスの抑止効果は、燃料噴射量を高精度に制御することを可能にする。
本発明に係る実施例による燃料噴射弁の断面図である。 図1の燃料噴射弁の要部である弁バウンス防止装置を示す拡大断面図である。 図1の燃料噴射弁の固定コアと可動コアの相対関係を示す拡大断面図である。 図1の燃料噴射弁の作動を説明する図である。 図1の燃料噴射弁の燃料噴射量を説明するための特性図である。 従来の燃料噴射弁の断面図である。
符号の説明
10 燃料噴射弁
11 ハウジング(弁ボディ)
12 固定コア
13 固定コアの下流側端部
13a 固定コアの下流側端面
14 可動コア
15 可動コアの上流側端部
15a 可動コアの上流側端面
16 可動コアの下流側端部
17 弁ボディ
18 弁座体(弁ボディ)
18a 弁座
18b 噴孔
20 弁部材
25 ピストン部
40 可動コア駆動装置
43 第1コイル部
60 弁バウンス防止装置
61 第2コイル
65 ターミナル
70 流体室

Claims (6)

  1. 噴孔と、該噴孔に連通する燃料通路を形成する弁ボディと、該弁ボディ内に配置され、前記噴孔を閉塞する閉弁位置と前記噴孔を開放する開弁位置との間を往復動可能な弁部材と、前記弁部材を前記閉弁位置と前記開弁位置との間で往復動させる弁駆動手段と、を備える燃料噴射弁であって、
    前記閉弁位置と前記開弁位置との間の往復動時の前記弁部材速度を、前記弁部材近傍に配置された可変粘性流体の粘度を変化させることにより制御する、弁部材速度制御手段を備え、
    前記弁部材速度制御手段は、前記弁部材が前記閉弁位置と前記開弁位置との間を往復動している時に、前記可変粘性流体の粘度を増大させることを特徴とする、燃料噴射弁。
  2. 前記弁部材速度制御手段は、燃料噴射開始時において、前記弁部材が前記閉弁位置から前記開弁位置への移動を完了する直前に、前記可変粘性流体の粘度を増大させることを特徴とする、請求項1に記載の燃料噴射弁。
  3. 前記弁部材速度制御手段は、燃料噴射終了時において、前記弁部材が前記開弁位置から前記閉弁位置への移動を完了する直前に、前記可変粘性流体の粘度を増大させることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の燃料噴射弁。
  4. 前記弁部材速度制御手段は、前記弁部材に設けられたピストン部と、該ピストン部を囲繞しながら前記弁ボディに固定されているダンパケーシングと、該ダンパケーシング内に充填された前記可変粘性流体と、を備えることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の燃料噴射弁。
  5. 前記可変粘性流体は、磁性流体であり、前記弁部材速度制御手段は、磁性流体に磁界を加えるためのコイルを備えることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料噴射弁。
  6. 前記可変粘性流体は、電気粘性流体であり、前記弁部材速度制御手段は、電気粘性流体に電界を加えるための電極を備えることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料噴射弁。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010167999A (ja) * 2009-01-26 2010-08-05 Yamaha Motor Hydraulic System Co Ltd 自動二輪車のステアリング緩衝機構
JP2010539379A (ja) * 2007-09-20 2010-12-16 ウエストポート・パワー・インコーポレイテッド ストレイン型アクチュエータを備えた直接作動式弁及びその作動方法
JP2011185262A (ja) * 2010-03-05 2011-09-22 Hitachi Ltd 燃料ポンプ

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