JP2006143504A - 繊維状炭素の生成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱対象物に触媒金属の微粒子を形成させながら、少ない工程で加熱対象物表面に繊維状炭素を密着して生成でき、製造コストも低減しうる繊維状炭素の生成方法を提供する。
【解決手段】予め触媒金属を含む物質を混入した有機化合物を反応容器に入れるとともに、反応容器内に加熱対象物を設置し、その後、触媒金属を含む物質を加熱対象物近傍で熱分解して触媒金属の微粒子を生成させると同時に、加熱対象物表面を軟化させて触媒金属の微粒子を加熱対象物表面に付着せしめるのに十分な反応条件下に加熱しながら、加熱対象物近傍の有機化合物を分解することで、加熱対象物に付着した繊維状炭素を得ることを特徴とする繊維状炭素の生成方法を提供した。
【選択図】図1

Description

本発明は、繊維状炭素の生成方法に関し、さらに詳しくは、加熱対象物に触媒金属の微粒子を形成させながら、少ない工程で加熱対象物表面に繊維状炭素を密着して生成でき、製造コストも低減しうる繊維状炭素の生成方法に関する。
繊維状炭素(カーボンナノチューブ)は、熱伝導率が金属よりも高く、電気伝導性が良好又は適度(良導体又は半導体)で、表面が化学的に安定し、軽量なのに強度がダイヤモンド並みなど、その特異な電気的、化学的及び機械的性質により、電界放射電子源、ナノスケール電子デバイス、化学的貯蔵システム、機械的補強材などといった将来のナノテクノロジーに応用できる可能性が高いとされている(例えば、特許文献1〜3参照)。
上記のように、カーボンナノチューブは、カイラルベクトルによって電気の良導体に、或いは半導体になることが知られているが、特にカーボンナノチューブの半導体がコンピータなどの電子材料、例えばチップに用いることが検討されている。また、次世代平面ディスプレイとして、高速応答、低消費電力といった特長をもつ電界放出型ディスプレイ(FED)が注目され、このFEDには良好な電子放出材料が必要であり、電子放出材料として、カーボンナノチューブが検討されている。
従来、繊維状炭素の製造方法としては、炭化水素などの炭素原料を含むガス雰囲気下でのアーク放電による方法、黒鉛をターゲットにレーザーを照射させて蒸発させて形成するレーザー蒸発法による方法、コバルト金属もしくはニッケル金属の触媒を配した基板上でアセチレンなどの炭素原料となるガスを熱分解することによる方法などが知られている(例えば、特許文献4〜8参照)。
具体的には、特許文献4や特許文献5ではアーク放電による製造方法が、特許文献6では高周波プラズマによる製造方法が、特許文献7ではレーザー蒸発法による製造方法が、特許文献8では熱分解による製造方法が、それぞれ提案されている。
しかしながら、これら特許文献4〜8に示される繊維状炭素などの製造方法では、原料及び製造装置のコストが高いため、繊維状炭素の製造コストが高くなり、また、大量に合成することが困難であるという問題点がある。
また、上記以外の気相法として、流動気相成長法による中空炭素繊維の製造方法も提案されている(例えば、特許文献9参照)。ここには、有機遷移金属化合物のガスを炭化水素化合物のガス、キャリアガスの混合ガスと共に加熱することにより、電気炉空間中に浮遊状態で触媒の超微粒子を形成して、浮遊状態で中空炭素繊維を成長させる方法が開示されている。
これによれば、触媒金属を構造中に含む有機遷移金属化合物のガスを繊維状炭素の原料となる炭化水素化合物のガスと同時に加熱して、触媒金属の形成と繊維状炭素の生成をほぼ同時に行うことができるが、この方法では基板上に密着させて繊維状炭素を生成することはできない。基板上に繊維状炭素を密着させるには、この後、導電性ペーストなどを用いて基板に塗布する必要がある。
一方、液相法におけるカーボンナノチューブの合成方法も知られている(特許文献10参照)。その特許文献10によれば、基板上に金属元素からなる薄膜又は島状微粒子を堆積し、薄膜又は島状微粒子を堆積した基板を水素プラズマに晒し、水素プラズマに晒した基板を有機液体中で一定温度に加熱して高配向整列カーボンナノチューブを合成する方法
、装置が開示されている。
この方法は、有機液体中で、金属元素からなる触媒微粒子を堆積した基板(加熱対象物)を加熱するので、基板上で繊維状炭素を合成できる。しかしながら基板上に密着した繊維状炭素を生成するには、予め金属触媒微粒子を基板に塗布する、真空蒸着する、スパッタするなどの方法で、加熱前に金属触媒微粒子を基板上に堆積させておく必要がある。そのため、この方法も製造工程が多く、時間とコストの面で課題がある。
したがって、少ない工程で基板に密着した繊維状炭素を短時間かつ低コストで製造するための方法が、依然として求められている。
特開2004−241366号公報 特開2003−16913号公報 特開2004−59409号公報 特開平6−157016号公報 特開2000−95509号公報 特開平9−188509号公報 特開平10−273308号公報 特開2000−86217号公報 特許第2670040号公報 特開2003−12312号公報
本発明の目的は、上記事情に鑑みてなされたものであって、加熱対象物に触媒金属の微粒子を形成させながら、少ない工程で加熱対象物表面に繊維状炭素を密着して生成でき、製造コストも低減しうる繊維状炭素の生成方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、予め触媒金属を含む物質を繊維状炭素の原料となる有機化合物中に混入するとともに、反応容器中に配置した加熱対象物(基板)を加熱して、加熱対象物の近傍にある触媒金属を含む物質を分解させて触媒原子とし、これが凝集した触媒金属の微粒子を形成し、軟化した加熱対象物に付着するのに十分な反応条件で加熱することにより、形成された触媒微粒子が加熱対象物近傍の有機化合物を分解して炭素原子となり、加熱対象物に密着して繊維状炭素が生成することを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、加熱対象物が内部に設置された反応容器中に、予め触媒金属を含む物質を混入した有機化合物を充填した後、加熱対象物を加熱させることにより、触媒金属を含む物質を加熱対象物近傍で熱分解させて触媒金属の微粒子を生成させるとともに、加熱対象物表面を軟化させて触媒金属の微粒子を加熱対象物表面に付着せしめ、それと同時に、加熱対象物近傍の有機化合物が分解することによって加熱対象物上に繊維状炭素を形成させることを特徴とする繊維状炭素の生成方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記有機化合物は、液状のものであることを特徴とする繊維状炭素の生成方法が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1または2の発明において、前記加熱対象物は、触媒金属と同種の物質が含まれることを特徴とする繊維状炭素の生成方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3の何れかの発明において、前記加熱対象物の融点は、加熱温度以上で、かつそれよりも500℃高い温度を超えないことを特徴とする繊維状炭素の生成方法が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1〜4の何れかの発明において、前記触媒金属の融点が、前記加熱対象物の融点近傍にあることを特徴とする繊維状炭素の生成方法が提供される。
本発明の方法によれば、触媒金属を含む物質を混入した有機化合物を反応容器に入れ、この中に加熱対象物を配置し、その表面を特定の温度条件で加熱するため、加熱対象物の表面で触媒金属が形成され、ほぼ同時に、加熱対象物に密着した繊維状炭素を生成できるので、製造工程が少なくなり、コストが大幅に低減する。また、加熱対象物としてシリコン基板を用いれば、現在の種々のSiテクノロジーに適合するものとなり、工業的に大量生産をすることができる。
これにより得られる繊維状炭素は、FEDなどのデバイスの電界電子放出源としての電極材料、リチウム二次電池の電極材料、キャパシタの電極材料、燃料電池の触媒担持用炭素材料、水素吸蔵システムの水素貯蔵材料、半導体素子材料などの各種用途に使用できる可能性があり、極めて使用しやすいなど、種々の優れた効果を奏する。
以下、本発明の繊維状炭素の生成方法について、図面を用いて項目毎に詳細に説明する。
1.繊維状炭素の生成方法
本発明の繊維状炭素の生成方法は、予め触媒金属を含む物質を混入した有機化合物を反応容器に入れるとともに、反応容器中に加熱対象物を設置し、その後、触媒金属を含む物質を加熱対象物近傍で熱分解して触媒金属の微粒子を生成させると同時に、加熱対象物表面を軟化させて触媒金属の微粒子を加熱対象物表面に付着せしめるのに十分な反応条件下に加熱しながら、加熱対象物近傍の有機化合物を分解することで、加熱対象物に付着した繊維状炭素を得ることを特徴とするものである。
図1は、本発明による繊維状炭素の生成方法のメカニズムを示すものである。触媒金属を含む化合物を繊維状炭素の原料となる有機化合物中に混入しておき、この混合物を反応容器に入れ、その内部に配置した加熱対象物(基板)を加熱すると、加熱対象物の近傍にある触媒金属を含む化合物が分解して触媒原子となり、これが凝集して触媒の微粒子が形成される。そして、これが加熱により軟化した加熱対象物に付着し、繊維状炭素生成の触媒として作用する。また同時に、加熱により加熱対象物近傍の有機化合物を分解して炭素原子とし、触媒によって加熱対象物に密着して繊維状炭素が生成することになる。
ここで、加熱対象物は、後述する加熱方式のタイプによって異なり、様々な物質が使用される。例えば、誘導加熱を採用する場合、導電体であることが望ましい。導電体であれば、ほとんどの金属あるいは炭素が使用できる。金属は、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、モリブデン、タンタル、またはタングステンなどが挙げられる。このうち、鉄、コバルト、ニッケルなどの触媒金属を含有する金属又は合金製基板が好ましい。合金製基板としては、例えばNiCr基板が好適である。
一方、加熱方式が抵抗加熱である場合、加熱対象物は、その表面に触媒金属を堆積しうるものであれば採用でき、シリコン、ゲルマニウムなどの半導体でもよい。シリコン基板は、単結晶である必要はなく、多結晶体でも良い。この他に、石英またはガラスから選ばれる無機基板であってもよい。
加熱対象物は、加熱方式のタイプに係らず、その融点が加熱温度以上で、かつそれよりも500℃高い温度を超えないことが望ましい。本発明においては、後述するように加熱温度の上限が1300℃であることから、加熱対象物の融点は1800℃を超えないことになる。これにより、有機化合物を分解して繊維状炭素を生成する加熱温度で加熱対象物が軟化して触媒金属の微粒子が付着しやすくなる。融点が1800℃を超えると、加熱対象物の表面が軟化せず微粒子が付着しない場合があるので好ましくない。ただし、融点が加熱温度よりも低いものは、加熱対象物の全体形状を維持できず、繊維状炭素を安定的に生成できないことがあるので好ましくない。
また、加熱対象物の融点は、触媒金属の融点に近いことが好ましい。この条件を満たせば、有機化合物を分解して繊維状炭素を生成する加熱温度で加熱対象物が軟化して、触媒金属の微粒子が付着しやすくなるためである。さらに、触媒金属と同種の物質が加熱対象物に含まれていることが好ましい。これにより、触媒金属がその表面に付着する効果が大きくなるためである。
加熱対象物の形状や大きさは、繊維状炭素の用途によって適宜選定されるものであり、特に限定されない。加熱対象物の形状は、略均一に整列した繊維状炭素を密着して生成できるという観点からすれば、表面が平坦な基板が好ましい。表面の粗雑さは、加熱対象物の種類にもよるが、微細な凹凸が存在する方が触媒金属の微粒子を表面に付着に付着する効果が大きくなる。
また、前記触媒は、原料である有機化合物との加熱により、繊維状炭素の生成反応の活性点となり、かつ該反応を促進するものであれば、特に限定されない。触媒の融点は、前記加熱対象物の融点近傍にあることが望ましい。このようなものとして、例えば、金属および金属酸化物等が挙げられる。また、該金属の中でも遷移金属が好ましい。
ここで遷移金属としては、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タンタル、タングステン、レニウム、イリジウムまたは白金を指すものであるが、これらの内、特に元素周期律表VIII族に属するもの、特に鉄、ニッケル、コバルトが好適であって、鉄が最も好適である。また、これら触媒は合金の形になってもよい。
これら触媒金属を含む物質としては、有機金属化合物であるフェロセン、ニッケルセン、コバルトセンなどが好ましく使用できる。この他、酸化物、水酸化物、ホウ化物、硫化物、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物などでもよく、これらの混合物でもよい。
また、上記触媒金属を含む物質は、微細であることが好ましい。本発明で述べる微細とは、触媒同士が凝集、接触等しておらず、独立して微粒子状に加熱対象物に付着しうる状態を意味するものである。また、その微細な触媒を含む物質の1つ1つの大きさは、所望の小径の繊維状炭素に応じて適宜定義されるものであり、特に限定されるものではないが、例えば、2〜30nmの範囲である。
さらに、上記の微細な触媒金属を含む物質は、その大きさが揃っていることが好ましい。触媒として大きさの揃っている微細な物質を用いることにより、均一な径の繊維状炭素
を生成することができる。
繊維状炭素の原料となる有機化合物は、特に限定されないが、アルコール類又は炭化水素であることが好ましく、その具体例としては、メタノール、エタノール、オクタノール、デカノールなどのアルコール、シクロヘキサン、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族系有機化合物や芳香族系有機化合物などが挙げられる。
有機化合物の形態は、触媒金属を含む物質を溶解又は均一に分散させることが出来れば良く、常温で気体、液体、半固形状、固体のいずれであってもよい。特に液状であれば、触媒金属を含む物質を容易に溶解させることが出来ることから、取り扱いも容易であり、反応容器(生成装置)の構成も簡易になる。
上記の触媒金属を含む物質は、加熱対象物表面にその触媒間の間隔が揃って付着するように加熱されることが好ましい。これは、加熱対象物の表面が、水平方向に大きな温度差を生じることなく略均等に加熱することを意味する。微細な触媒間の間隔が揃うことにより、加熱対象物表面に繊維状炭素を均一な密度に成長させることができる。
また、加熱対象物に触媒微粒子を付着させ、有機化合物を分解させると同時に、それを原料元素として結晶成長させて繊維状炭素を生成させるのに十分な反応条件として、加熱温度は、600〜1300℃であることが好ましい。加熱温度が600℃未満であると、不完全な構造のナノチューブとなったりアモルファスが析出する問題があり、一方、1300℃を超えると、グラファイトが析出する恐れがある。前記加熱対象物の融点が加熱温度以上であり、かつそれよりも500℃高い温度を超えないとしたのは、このような融点をもつ加熱対象物の表面に触媒微粒子を付着しやすい状態にするためである。
加熱時間は、所望とする繊維状炭素の長さ、原料などの種類や加熱条件にもよるが、通常、1〜10分間、好ましくは2〜8分間とすればよい。1分未満では、繊維状炭素の長さが十分ではなく、10分間を超えると長さや直径が不揃いになりやすいので好ましくない。
有機化合物を分解させると同時に、それを原料元素として結晶成長するのに十分な反応条件下に加熱する方法としては、(i)加熱対象物を有機化合物に接触させて誘導加熱すること、すなわち加熱対象物を高周波磁場雰囲気中に置くことを特徴とする方法と、(ii)加熱対象物に電流を流して加熱することを特徴とする方法と、(iii)加熱対象物を加熱体に密着させて加熱することを特徴とする方法との、三つの方法又は手段が考えられる。
本発明は、このうち(i)又は(ii)の方法を採用することが望ましい。
上記(i)の方法は、例えば、金属や炭素などの電気的導体からなる基板を、有機化合物と接触させて、電磁誘導加熱する方法である。この方法は、電流を流すための電極部分を必要としない「誘導加熱方式」であるため、装置構造が簡易かつ基板の形状も自由度が高くなり、抵抗加熱と異なる非接触加熱のために、温度制御がしやすく、加熱温度にムラを生じることなく緻密に温度制御可能となる。
これに対して(ii)の方法は、シリコン等の比較的に抵抗率が高いものに電極を介して電流を流すことによって加熱する「抵抗加熱方式」である。例えば、シリコンなどの無機基板を有機化合物中に配置し、この基板に電流を流して基板を高温に加熱することによって、基板近傍の有機化合物が非熱平衡状態の触媒反応により分解して、炭素原子が生成しFe液体微粒子に過飽和に溶け込み、基板表面の高温と基板近傍の有機化合物との温度勾配により、Fe液体微粒子中の炭素原子がFe液体微粒子の表面に析出して成長核を形
成し、この核にFe液体微粒子中から炭素原子が連続的に供給されて、基板表面の垂直方向に繊維状炭素が成長するものである。
この場合、加熱対象物は、シリコンの他にゲルマニウムなどの半導体基板でもよい。また、この方法は、触媒が少なくとも表面に存在する金属基板に有機化合物中で電流を流して、金属基板を高温に加熱しても同様に行うことができる。
上記(iii)の方法は、基板を加熱体、例えばヒーターに密着させて、加熱することを特徴とする方法である。
2.製造装置
本発明の繊維状炭素の生成方法で用いる装置としては、例えば、図2又は図3、及び図4に示すようなものがある。
上記(i)の方法で加熱対象物を加熱して、有機化合物を分解させると同時に、それを原料元素として結晶成長するのに十分な加熱条件下に加熱する方法、すなわち、加熱対象物を誘導加熱する場合には、図2に示す装置構成になる。
具体的には、触媒金属が少なくとも表面に存在する電気的導体からなる加熱対象物1と、触媒金属を含む物質を混入した有機化合物11が接触した状態で設置される反応容器1と、この反応容器1の外部から加熱対象物3を電磁誘導で加熱する誘導加熱手段4とを有する構成となる。この構成では、装置構造の簡易化、省スペース化が可能となる。
触媒金属を含む物質を混入した有機化合物の温度を沸点未満に保持するため、不活性ガス、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴンなどを流通する。また、不活性ガスを流通することで、生成する繊維状炭素の品質を向上させることができる。中でも取扱い上、窒素が好適である。
図3は、図2をさらに具体化した製造装置であり、円柱状石英ガラスの反応容器1中に石英ガラスの支持体5を設け、その上に加熱対象物である金属基板3を設置する。反応容器中に、触媒金属であるFeを含む物質(フェロセン)を液状有機化合物に溶解させた溶液10を注入する。
加熱手段としては、非接触で加熱対象を加熱できる誘導加熱装置4を採用し、コイルを反応容器1の外部に巻き、このコイルに高周波電流を流すことにより、加熱対象物に誘導電流を生じさせて加熱する。金属基板3の温度は、放射温度計などで監視しながら、600〜1300℃になるように加熱する。反応容器1中に不活性ガス11をボンベから導入し、また反応容器1にはガス排出管12を接続して、加熱中これらの酸素および不要な生成ガスを排出する。
液状有機化合物を保持する反応容器1の外側に反応容器を冷却するための水冷手段と、反応容器から蒸発する有機化合物蒸気を冷却凝縮して反応容器内に戻す凝縮手段と、これらを保持する蓋を設けて、反応容器と蓋で触媒金属を含む物質を混入した有機化合物溶液10を密閉して保持する構成とすることができる。
図4に示す製造装置は、上記(ii)の抵抗加熱方式、すなわち加熱対象物に電流を流して加熱する方法に適した装置の一例である。
液状有機化合物を保持する液体槽1の外側に液体槽1を冷却するための水冷手段2と、基板3を保持し、かつ、基板3に電流を流すための電極4を有する基板ホルダー5と、液体槽1から蒸発する有機化合物蒸気を冷却凝縮して液体槽1に戻す水冷パイプ6からなる凝縮手段7と、基板ホルダー5と凝縮手段7とNガスを導入するバルブ8とを保持する蓋9を有し、液体槽1と蓋9で触媒金属を含む物質を混入した有機化合物10を密閉して保持する構成である。
この構成によれば、触媒金属を含む物質を混入した液状有機化合物の温度を沸点未満に
保持することができると共に、基板温度を高温の成長温度に保持でき、基板への繊維状炭素の生成が可能になる。また、有機化合物の気相が凝縮されてもどるため原料の有機化合物を無駄にすることがないと共に、有機気相と空気との混合による爆発、炎上の危険がない。さらに、不活性ガス導入手段を有するから、液体槽中での有機気相と空気との混合による爆発、炎上の危険がない。
3.繊維状炭素
本発明に係る繊維状炭素は、前記の製造方法により得ることができるものであり、加熱対象物の表面に端部を有し、これを起点として、ほぼ垂直方向に繊維状に密集して成長した構造をしている。
その顕微鏡写真の一例を図5に示す。図5は、本発明の生成方法により得られた繊維状炭素のSEM(走査電子顕微鏡)観察写真である。図5によれば、繊維状炭素は、一本の繊維構造体が加熱対象物の表面に端部を有し、これを起点として、ほぼ垂直方向に繊維状に成長し、無数の繊維構造体が密着した形態で集合、整列して形成されていることが判る。
得られる繊維状炭素の直径は、触媒金属を含む物質、加熱対象物の種類などの製造条件によって異なるので、一概にいえないが、通常、1〜50nmであり、また繊維状炭素の長さは、加熱温度、加熱時間などの製造条件によるが、1〜100μmである。
本発明に係る繊維状炭素は、その特異な構造、性質を活かすことで優れた機能を有するナノテクノロジー製品を低コストで大量に供給することが可能になる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(実施例1)
図3に示すように、容積400ccの円柱状石英ガラスの容器中に石英ガラスの支持台を設け、その上に加熱対象物である金属基板として、SUS304の円板(径4.5cm、厚さ0.1mm)を設置した。容器中に、触媒であるFeをその構造中に含む物質(フェロセン)を、繊維状炭素の原料となる有機化合物(エタノール)に5重量%溶解させた溶液200mlを注入した。SUS304の融点は、およそ1400℃である。
加熱手段としては、非接触で加熱対象物を加熱できる誘導加熱法を選択し、コイルを容器の外部に巻き、このコイルに高周波電流を流すことにより、加熱対象に誘導電流を生じさせて加熱した。SUS304の温度を放射温度計で監視しながら、これがおよそ1100℃になるように加熱した。加熱周波数は450kHz、加熱電力は200V、5Aであった。
容器中の酸素および不要な生成ガスを排するため、不活性ガスである窒素をボンベから容器中に導入し、また容器にはガス排出管を接続して、加熱中これらの気体を排出した。
加熱によりSUS304近傍のフェロセンが分解して、Fe原子を生成し、それが凝集しながら微粒子となって、軟化したSUS304に付着した。同時に加熱対象物近傍のエタノールが分解して、Fe微粒子を触媒として、炭素原子がSUS304に密着して繊維状炭素を生成した。加熱時間はおよそ2分であった。
この結果、得られた繊維状炭素をSEM(走査電子顕微鏡)で観察した。この結果、得られた繊維状炭素は、直径5〜30nm、長さ10〜30μmであった。
本発明により得られる繊維状炭素は、FEDなどのデバイスの電界電子放出源としての
電極材料、リチウム二次電池の電極材料、キャパシタの電極材料、燃料電池の触媒担持用炭素材料、水素吸蔵システムの水素貯蔵材料、半導体素子材料などの各種ナノテクノロジー用途へ応用できる可能性が高い。
本発明により繊維状炭素が生成されるメカニズムを説明する概略図である。 誘導加熱により繊維状炭素を生成する装置を示す説明図である 本発明の実施例で用いた繊維状炭素の生成装置の構成図である。 抵抗加熱により繊維状炭素を生成する装置を示す説明図である 本発明の実施例で加熱対象物上に生成させた繊維状炭素のSEM写真である。
符号の説明
1 反応容器(液体槽)
2 水冷手段
3 加熱対象物(基板)
4 加熱手段(誘導加熱装置)、電極
5 加熱対象物支持体(基板ホルダー)
6 水冷管
7 凝縮手段
8 バルブ
9 蓋
10 触媒金属を含む物質の有機化合物溶液
11 不活性ガス
12 生成ガス・窒素排出口

Claims (5)

  1. 加熱対象物が内部に設置された反応容器中に、予め触媒金属を含む物質を混入した有機化合物を充填した後、加熱対象物を加熱させることにより、触媒金属を含む物質を加熱対象物近傍で熱分解させて触媒金属の微粒子を生成させるとともに、加熱対象物表面を軟化させて触媒金属の微粒子を加熱対象物表面に付着せしめ、それと同時に、加熱対象物近傍の有機化合物が分解することによって加熱対象物上に繊維状炭素を形成させることを特徴とする繊維状炭素の生成方法。
  2. 前記有機化合物は、液状のものであることを特徴とする請求項1に記載の繊維状炭素の生成方法。
  3. 前記加熱対象物は、触媒金属と同種の物質が含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維状炭素の生成方法。
  4. 前記加熱対象物の融点は、加熱温度以上で、かつそれよりも500℃高い温度を超えないことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の繊維状炭素の生成方法。
  5. 前記触媒金属の融点が、前記加熱対象物の融点近傍にあることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の繊維状炭素の生成方法。
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JP2007224433A (ja) * 2006-02-21 2007-09-06 Sumitomo Electric Ind Ltd カーボンナノ構造体の製造方法、触媒金属基材および触媒反応容器

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007224433A (ja) * 2006-02-21 2007-09-06 Sumitomo Electric Ind Ltd カーボンナノ構造体の製造方法、触媒金属基材および触媒反応容器

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