本発明は、光透過性を有する円盤状の光学基板上に、複数の輪帯領域が中心から外周側に向かって輪帯ピッチを除々に狭めて設定され、且つ、各輪帯領域内に回折方向が異なる第1,第2回折格子をそれぞれ配置した時に、第1,第2回折格子の輪帯ピッチに対する比率(割合)を、各輪帯領域がそれぞれ要求する光透過率になるように各輪帯領域ごとに可変することで、各輪帯領域ごとに入射光に対する光透過率を調整して、内周部及び外周部での光量分布を均一化できるように構成した多段型フレネルレンズに関するものである。
最近、回折光学素子の一種であるフレネルレンズは、非球面レンズと組み合わせることにより、光学的な収差を小さな値に設定できる等の理由から、光ディスク装置の光ピックアップや、光通信装置の光学系に多用されている。
図30(a),(b)は一般的なフレネルレンズを示した平面図,縦断面図、
図31は従来の多段型フレネルレンズを示した縦断面図、
図32(a)〜(j)は従来の多段型フレネルレンズを作製する工程を示した工程図、
図33は従来の多段型フレネルレンズに、中央部の光束は光強度が強く、且つ、外周部の光束は光強度が弱いレーザー光を入射させた状態を模式的に示した図である。
図30(a),(b)に示したように、一般的なフレネルレンズ100は、光透過性を有するガラス基板や石英基板などを用いた円盤状の光学基板(Optical Base Plate)OBP上に、複数の輪帯領域(Ring Zone)RZが中心0を中心にしてリング状の同心円を描き、且つ、中心0から外周側に向かって輪帯ピッチを除々に狭めて設定されていると共に、各輪帯領域RZ内には回折格子101が鋸歯状(ブレーズ状)にそれぞれ形成されており、各輪帯領域RZ内の各回折格子101の回折効果を利用してレンズ機能を持たせている。
ところで、下記の非特許文献1にも記載されているが、上記したフレネルレンズ100を例えば光ディスク装置のピックアップの回折光学素子として用いるような場合には、素子として小型化、及びフレネルレンズ100に入射させるレーザー光のビームパワーを有効利用するために高い回折効率、の双方が要求されており、これらを実現するためにフレネルレンズは、半導体製造工程の微細加工技術を使用して、図31に示したような多段型フレネルレンズ200が採用されている。
即ち、図31に示した従来の多段型フレネルレンズ200では、上記と同様に、光透過性を有する円盤状の光学基板OPB上に、複数の輪帯領域RZが中心0から外周側に向かって輪帯ピッチを除々に狭めて設定されているものの、上記とは異なって、各輪帯領域RZ内に階段状回折格子部201が多段に形成されている。ここでは、階段状回折格子部201の階段の段数が例えば8段に設定され、且つ、各輪帯領域RZごとに階段の向きは外周側に向っており、各輪帯領域RZ内の内周側で最も深い部分の側壁は垂直に切り立つ形状となっている。
この多段型フレネルレンズ200の構造は、特定次数の回折光として例えば1次回折光を所定の集光位置に集中的に回折するために作られており、8段1次回折構造の例を示したものであり、階段一段あたりの深さは使用するレーザー光の波長λの1/8λの光学的長さに対応している。
この際、多段型フレネルレンズ200を作製する場合には、後述するように、光学基板OBPの上面を基準面としてエッチング処理を施して階段を形成することから、階段の最深部は上面から7段分の深さで形成されており、この深さは使用波長の7/8λの光学的長さに対応している。そして、複数の輪帯領域RZ内に形成した階段状回折格子部201で回折される回折光強度は95.3%が1次回折光に集中する。これを言い換えると、複数の輪帯領域RZ内に形成した階段状回折格子部201で回折された1次回折光が所定の集光位置に集光され、この階段状回折格子部201によって入射光の位相を段階的に変化させることにより、高い回折効率が得られるようになっている。
尚、下記の非特許文献1によれば、多段型フレネルレンズにおいて、階段状の回折格子の多段構成を2段,4段,8段,16段とした場合に、回折効率はそれぞれ39.4%, 81.0%, 95.3%, 98.9%と、階段の段数を多くするにつれて回折効率が増加することが明らかにされている。
応用物理学会日本光学会主催第29回冬季講習会 回折光学素子の設計・作製技術。
この際、多段型フレネルレンズを作製する方法は、ガラス基板や石英基板などの光学基板に対して半導体プロセスを適用することによって作製されている。
より具体的には、図32(a)〜(j)に示したように、階段状の回折格子が4段構造である場合に、まず始めに、図32(a)に示したような2段用のマスクパターンM1を用いて、図32(b)〜(e)に示したようにレジストの塗布・マスクアライメント・露光・現像・エッチング・レジスト除去のプロセスを行って、2段段構造の回折格子をまず作製する。
この際、図32中で(a)は上記したように2段用のマスクパターンM1であり、(b)は光学基板OBPに対するレジスト塗布、(c)はマスクパターンマスクM1による露光及び現像後のレジストパターン、(d)はレジストによる基板エッチング、(d)はエッチング後の基板形状、(e)はレジスト除去後の基板形状を示している。
この後、図32(f)に示したような4段用のマスクパターンM2を用いて、上記と略同じ工程で図32(g)〜(j)に示したように、再度、レジストの塗布・マスクアライメント・露光・現像・エッチング・レジスト除去のプロセスを行って、4段構造の回折格子を作製する。
尚、一般的にはN枚のマスクと前記手順でNの2乗段の多段構造を形成できる。
ところで、光ピックアップ等の光源に使用されている半導体レーザーは光強度分布を持っており、図33に示した如く、従来の多段型フレネルレンズ200に、半導体レーザーから出射したレーザー光Lを不図示のコリメータレンズで平行光に変換して入射させた時に、一般的に、適宜な位置で断面した時の断面積が略円形であるレーザー光Lの光束の中央部は光強度が強く(光量が大きく)、且つ、外周部の光束は光強度が弱い(光量が小さい)傾向がある。このように不均一な光強度分布(光量分布)を持ったレーザー光Lの光束を従来の多段型フレネルレンズ200に入射させて集光した場合、レンズ外周部の光強度が、中央部と比較して弱くなるために、レンズの口径が小さくなった状態と等価な現象となる。このため、レンズの開口数(NA)が低下し、集光スポットが本来のレンズ設計と比較して、大きくなるといった現象が起き、光学特性の劣化が発生し、問題となっている。
そこで、本発明では、レーザー光を集光する多段型フレネルレンズに、集光機能の他に、レーザー光源の光強度分布(光量分布)を調整する機能を備え、多段型フレネルレンズへの入射光を均一に調整することで、多段型フレネルレンズの中央部と外周部での光量分布を均一とし、前述のNA低下を抑制し、集光スポットの劣化を防止することができる構造形態の多段型フレネルレンズが望まれている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、請求項1記載の発明は、光透過性を有する光学基板上に複数の輪帯領域が中心から外周側に向かって輪帯ピッチを除々に狭めて設定され、且つ、各輪帯領域内に階段状回折格子部が多段に形成された多段型フレネルレンズにおいて、
前記各輪帯領域内で第1の回折格子と第2の回折格子とが外周側と内周側とに分けて配置され、
前記第1の回折格子は、入射光に対して特定の次数の回折光を回折して前記光学基板の中心を通る光軸上で所定の集光位置に集光させるために階段状回折格子部が前記外周側に向かって階段の段数を除々に減少させて形成され、
一方、前記第2の回折格子は、前記入射光に対して特定の次数以外の回折光を回折して前記第1の回折格子とは異なる回折位置に回折するために所定の深さの平坦状回折格子部又は前記第1の回折格子の前記階段状回折格子部に対して逆向きに階段状回折格子部が形成されており、
前記第1,第2の回折格子の前記輪帯ピッチに対する比率を、前記各輪帯領域がそれぞれ要求する光透過率になるように前記各輪帯領域ごとに可変させたことを特徴とする多段型フレネルレンズである。
また、請求項2記載の発明は、光透過性を有する光学基板上に複数の輪帯領域が中心から外周側に向かって輪帯ピッチを除々に狭めて設定され、且つ、各輪帯領域内に階段状回折格子部が多段に形成された多段型フレネルレンズにおいて、
前記各輪帯領域内で第1の回折格子に第2の回折格子が光学的に重畳して配置され、
前記第1の回折格子は、入射光に対して特定の次数の回折光を回折して前記光学基板の中心を通る光軸上で所定の集光位置に集光させるために階段状回折格子部が前記外周側に向かって階段の段数を除々に減少させて形成され、
一方、前記第2の回折格子は、前記入射光に対して特定の次数以外の回折光を回折して前記第1の回折格子とは異なる回折位置に回折するために所定の深さの位相変調領域部が形成されており、
前記第2の回折格子に形成した前記位相変調領域部の幅の前記輪帯ピッチに対する比率を、前記各輪帯領域がそれぞれ要求する光透過率になるように前記各輪帯領域ごとに可変させたことを特徴とする多段型フレネルレンズである。
請求項1記載の多段型フレネルレンズによると、光透過性を有する光学基板上に、複数の輪帯領域が中心から外周側に向かって輪帯ピッチを除々に狭めて設定されて、各輪帯領域内の外周側に入射光に対して特定の次数の回折光を回折する第1の回折格子が配置され、且つ、各輪帯領域内で第1の回折格子に隣接した内周側に入射光に対して特定の次数以外の回折光を回折する第2の回折格子が配置された状態で、第1,第2の回折格子の輪帯ピッチに対する比率を、各輪帯領域がそれぞれ要求する光透過率になるように各輪帯領域ごとに可変させているので、多段型フレネルレンズに入射する入射光に光量分布があっても、入射光に対して光量分布を均一に補正して、この入射光を所定の集光位置に集光さることができるので、これにより劣化のない集光スポットを得ることができる。
また、請求項2記載の多段型フレネルレンズによると、光透過性を有する光学基板上に、複数の輪帯領域が中心から外周側に向かって輪帯ピッチを除々に狭めて設定されて、各輪帯領域内に入射光に対して特定の次数の回折光を回折する第1の回折格子が配置され、且つ、各輪帯領域内で入射光に対して特定の次数以外の回折光を回折する第2の回折格子が第1の回折格子の階段状回折格子中に光学的に重畳された状態で、第2の回折格子の輪帯ピッチに対する比率を、各輪帯領域がそれぞれ要求する光透過率になるように各輪帯領域ごとに可変させているので、請求項1記載と同様に、多段型フレネルレンズに入射する入射光に光量分布があっても、入射光に対して光量分布を均一に補正して、この入射光を所定の集光位置に集光さることができるので、これにより劣化のない集光スポットを得ることができる。
以下に本発明に係る多段型フレネルレンズの一実施例を図1〜図29を参照して、実施例1,実施例2の順に詳細に詳細に説明する。
本発明に係る多段型フレネルレンズは、例えば、光ディスク装置の光ピックアップに取り付けられた非球面を有する対物レンズと組み合わせて適用されている。そして、光ピックアップ内でレーザー光源から出射した不均一な光強度分布(光量分布)を有する光束を多段型フレネルレンズに入射させた時に、多段型フレネルレンズで均一な光強度分布(光量分布)を有する光束に補正して、対物レンズ側に出射できるように構成されている。
即ち、上記した本発明に係る多段型フレネルレンズは、光透過性を有する円盤状の光学基板上に、複数の輪帯領域が中心から外周側に向かって輪帯ピッチを除々に狭めて設定され、且つ、各輪帯領域内に入射光に対して特定の次数の回折光を回折して所定の集光位置に集光させる第1の回折格子と、入射光に対して特定の次数以外の回折光を回折して第1の回折格子とは異なる回折位置に回折させる第2の回折格子とを配置すると共に、第1,第2の回折格子の輪帯ピッチに対する比率(割合)を、各輪帯領域がそれぞれ要求する光透過率になるように各輪帯領域ごとに可変することで、各輪帯領域ごとに入射光に対する光透過率を調整して、多段型フレネルレンズの内周部及び外周部での光量分布を均一化できるように構成したことを特徴とするものである。
尚、以下の実施例1,2において、第1の回折格子は特定の次数の回折光として1次回折光を所定の集光位置に集光させる1次構造として形成し、一方、第2の回折格子は1次回折光以外の回折光を回折する場合について説明するが、多段型フレネルレンズの設計仕様により第1の回折格子への特定の次数の回折構造として2次構造、3次構造、……でも可能である。
図1(a),(b)は本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズを示した上面図,縦断面図、
図2は本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズを使用した時に、光学系の光路を説明するための図、
図3は本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズを使用した時に、光学系の光強度分布及び光透過率を図2中の位置X1〜X3に対応して示した図である。
図1(a),(b)に示した如く、本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズ10は、光透過性を有するガラス基板や石英基板などを用いた円盤状の光学基板(Optical Base Plate)OBP上に、複数の輪帯領域(Ring Zone)RZが中心0を中心にしてリング状の同心円を描き、中心0から外周側に向かって輪帯ピッチrpn(但し、n:0以上の正の整数)を除々に狭めて設定されている。
また、多段型フレネルレンズ10の各輪帯領域RZ内には第1,第2の回折格子11,12が互いに隣接して外周側と内周側とに分かれて配置されており、且つ、後述するように第1,第2の回折格子11,12は各輪帯ピッチrpnに対して各輪帯領域ごとに異なる比率(割合)で配置されている。
また、各輪帯領域RZ内で外周側に配置した第1の回折格子11は、入射光に対して特定の次数の回折光として例えば1次回折光を回折して、光学基板OBPの中心0を通る光軸K上で所定の集光位置(焦点位置)に集光させるために階段状回折格子部が外周側に向かって階段の段数を除々に減少させて多段に形成されている。この際、第1の回折格子11に形成した階段状回折格子部は、階段の段数を例えば8段に設定して、1次回折構造8段の回折格子としている。
一方、各輪帯領域RZ内で第1の回折格子11に隣接して内周側に配置した第2の回折格子12は、入射光に対して1次回折光以外の回折光を回折して第1の回折格子11とは異なるに集光位置に集光させるために所定の深さで平坦状回折格子部が形成されている。
ここで、多段型フレネルレンズ10において、複数の輪帯領域RZを、光学基板OBPの中心0から外周側に向かって順にRZ
0,RZ
1,RZ
2,……,RZ
nと設定した場合に、まず、光学基板OBPの中心0を中心としてn(但し、n:0以上の正の整数)番目の輪帯領域RZ
nに対応するレンズ半径(輪帯半径)r
nを下記の数1より求めることができる。
この数1中で、rnはn番目のレンズ半径であり、λは入射光の波長であり、入射光として波長λが0.4μmのレーザー光を用いている。また、f1は第1の回折格子11による1次回折光の焦点距離であり、この実施例1ではf1=20mmに設定されている。また、dは回折次数であり、この実施例1では第1の回折格子11による1次回折光を対象にしているのでd=1である。
従って、光学基板OBPの中心0を中心としてRZ0,RZ1,RZ2,……,RZnに対応してレンズ半径r0,r1,r2,……,rnが求められる。
次に、光学基板OBPの中心0を含む輪帯領域RZ
0の輪帯ピッチrp
0は、下記の数2より求めることができる。
次に、上記したn=0の場合を除外して、n番目の輪帯ピッチrp
nは、下記の数3より求めることができる。
従って、数2及び数3から中央の輪帯領域RZ0のみが輪帯ピッチrp0を半径にして円形に設定されるものの、輪帯領域RZ1,RZ2,……,RZnは、輪帯ピッチrp1,rp2,……,rpnの各ピッチ幅でリング状に設定されている。
そして、多段型フレネルレンズ10のレンズ半径の最大値に対応するnの最大値を例えば140に設定した場合に、nを0〜140の範囲で順次可変しながらλ=0.4μm,f1=20mm,d=1を数1に代入してレンズ半径rnを計算し、この後、数2及び数3により、例えば、レンズ半径rnが光学基板OBPの中心を含んだ0μm近傍,500μm,1000μm,1500μmにおける輪帯ピッチrpnをそれぞれ求めると、126.5μm(rp0),16.1μm(rp15),8.0μm(rp62),5.4μm(rp140)が得られ、以下、ここで得られたレンズ半径rn及び輪帯ピッチrpnの各値を使用して説明する。
尚、実施例1の多段型フレネルレンズ10を設計する場合には、全ての輪帯領域RZn(n=0〜140)に対応したレンズ半径rn及び輪帯ピッチrpnを求めれば良い。
次に、第1の回折格子11に形成した多段の階段状回折格子部の一段あたりの深さsは、一般的に下記の数4より求めることがことができる。
この数4中で、sは多段構造の階段の一段あたりの深さ、λは光源の波長、dは回折次数で1以上の整数、kは多段型フレネルレンズ10の屈折率、vは段数である。
この実施例1では第1の回折格子11に形成した多段の階段状回折格子部は、1次回折構造8段の回折格子を使用しているので、λを0.40μm、dを1、kを1.46、vを8とすると、一段あたりの深さsは0.109μmとなる。
尚、8段の階段状回折格子部を形成する方法は、前述のように、半導体プロセスを使用し、ガラス基板や石英基板などの光学基板OBPに対して、少なくとも3枚のマスクパターンを用いてレジストの塗布・マスクアライメント・露光・現像・エッチング・レジスト除去のプロセスを繰り返し行うことで実現可能である。
次に、上記構成による実施例1の多段型フレネルレンズ10を使用するにあたって、図2に示したように、位置X1を入射光と対応した位置とし、また、位置X2を多段型フレネルレンズ10と対応した位置とし、また、位置X3を出射光と対応した位置とし、更に、位置X4を出射光の集光位置とした場合に、レーザー光源(図示せず)から出射したレーザー光Lをコリメータレンズ(図示せず)で平行光に変換して、適宜な位置で断面した時の断面形状が略円形であるレーザー光Lの平行光を多段型フレネルレンズ10の一方の面から入射させ、他方の面上で複数の輪帯領域RZ内にそれぞれ配置した第1,第2の回折格子11,12により回折させてから出射させた時に、とくに、多段の階段状回折格子部を有する第1の回折格子11で回折された1次回折光が光軸K上で焦点距離f1に対応した所定の集光位置に集光され、且つ、第2の回折格子12で回折された1次回折光以外の回折光が第1の回折格子11とは異なる回折位置に回折されるようになっている。
ここで、図3に示した如く、断面形状が略円形であるレーザー光Lの平行光を多段型フレネルレンズ10に入射した時に、図2に示した位置X1における光束の光強度分布は、半導体レーザーの特性により、中央部の光強度を100%とすると、レンズ半径が500μm,1000μm,1500μmでは光強度がそれぞれ、97.5%,90.0%,77.5%に低下しており、中央部が凸状に突出した凸型の光強度分布特性となっている。
このように中央部が凸型の光強度分布を持った入射光束を、先に図31を用いて説明したような従来の多段型フレネルレンズ200で集光すると、レンズ外周部の光量が、中央部と比較して小さくなるために、レンズの口径が小さくなった状態と等価な現象となり、レンズの開口数(NA)が低下し、集光スポットが本来のレンズ設計と比較して、大きくなるといった現象が起き、光学特性の劣化が発生する。
この問題を解決する為に、図2中の位置X2における多段型フレネルレンズ10上での光束の光透過率分布において、図3に示したように、レンズ半径が0μm,500μm,1000μm,1500μmで光透過率が、それぞれ77.5%, 79.5%, 86.1%, 100%になるように設定し、即ち、位置X1における凸型の光強度分布特性に対して反転させて、位置X2で中央部が凹状にへこんだ凹型の光透過率分布特性になるように逆補正している。
この設定により、入射光が多段型フレネルレンズ10を透過して出射した時に、図2に示した位置X3における出射光の光強度分布は、図3に示したように、入射光量と多段型フレネルレンズ透過率との積となり、その結果フラットなものとなる。
これにより、多段型フレネルレンズ10の外周部の光量が、中央部と略等しくなるので、レンズの口径は変化しない状態と等価になり、レンズの開口数(NA)は変化せず、集光スポットが本来のレンズ設計と比較して、大きくなるといった現象が発生しなくなる。
但し、出射光の光強度分布がフラットになった際、全体の光量は低下するが、高輝度レーザー等の、より光量の大きい光源を使用すれば、光量の低下は防止できる。
次に、実施例1の多段型フレネルレンズ10において、各輪帯領域RZ(RZ0,RZ1,RZ2,……,RZn)内で外周側と内周側とに分けて配置した第1,第2回折格子11,12の輪帯ピッチに対する比率を、各輪帯領域RZがそれぞれ要求する光透過率になるように各輪帯領域RZごとに可変して、多段型フレネルレンズ10上で図3に示したような位置X2における凹型の光透過率分布が得られるように補正する構造及び方法について、図4〜図13を用いて説明する。
図4は本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズにおいて、一つの輪帯領域内で外周側と内周側とに分けて配置した第1,第2の回折格子を説明するために拡大して示した図、
図5は本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズにおいて、輪帯ピッチに対する第2の回折格子の比率を可変した時に、第1,第2の回折格子による1次回折光回折効率を示した図、
図6は本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチ5.4μm内での第1の回折格子を示した図、
図7は本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチ5.4μm内での回折光強度を示した図、
図8は本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径1000μmにおける輪帯ピッチ8.0μm内での第1,第2の回折格子の占有比率を示した図、
図9は本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径1000μmにおける輪帯ピッチ8.0μm内での回折光強度を示した図、
図10は本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径500μmにおける輪帯ピッチ16.1μm内での第1,第2の回折格子の占有比率を示した図、
図11は本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径500μmにおける輪帯ピッチ16.1μm内での回折光強度を示した図、
図12は本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径0μm近傍における輪帯ピッチ126.5μm内での第1,第2の回折格子の占有比率を示した図、図13は本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径0μm近傍における輪帯ピッチ126.5μm内での回折光強度を示した図である。
図4中で、一つの輪帯領域RZn内において、横軸に輪帯ピッチrpnを示し、縦軸に位相差λを示した場合に、実施例1の多段型フレネルレンズ10(図1)において、一つの輪帯領域RZn内で外周側に配置した第1の回折格子11は、入射光に対して1次回折光のみを回折して、この1次回折光を光軸K(図2)上で所定の集光位置に集光する機能を備えているものであり、外周側に向かって階段の段数を除々に減少させて多段に形成された階段状回折格子部11aの階段の段数が8段に設定されており、階段状回折格子部11aの全体の高さが入射光の1波長λ分の高さ(λ=0.4μm)に設定されているので、一段当たりの階段の高さは1/8λの光学的長さに対応している。
従って、第1の回折格子11は、1次回折構造の8段回折格子を用いており、8段型の回折格子は、前述した非特許文献1に開示されている様に、1次回折光の回折効率が95.3%であるので、100%の光透過率を得ることはできない。それゆえ、多段型フレネルレンズ10の光透過率の設定は、最高の透過率を95.3%として、必要な光透過率を再計算すれば良い。
これに伴って、レンズ半径0μm近傍,500μm,1000μm,1500μmにおける必要な光透過率は、1次回折構造8段回折格子の場合、前述したように77.5%,79.5%,86.1%,100%であるので、前記の各値に0.953を乗じた値となり、最終的に必要な光透過率は、それぞれ、73.8%,75.7%,82.0%,95.3%となる。
一方、一つの輪帯領域RZn内で第1の回折格子11に隣接して内周側に配置した第2の回折格子12は、入射光に対して1次回折光以外の回折光を回折して第1の回折格子11とは異なる回折位置に回折する機能を備えているものであり、光学基板OMP(図1)の上面を基準面としてエッチングした時に、平坦状回折格子部12aの深さが例えば7/8λに設定されている。尚、第2の回折格子12の平坦状回折格子部12aの深さは、1λ以下で1/8λの整数倍に設定することも可能である。
また、第2の回折格子12は、各輪帯領域RZnごとに輪帯ピッチrpnの値を正規化して1.00と設定した場合に、この輪帯ピッチrpnに対する比率α(但し、αは後述する図5に基づいて0≦α≦0.5の範囲とする)が各輪帯ピッチrpnごとにそれぞれ所定の値に設定されており、これについては後で後述する。
ここで、図4に示した構造形態の第1,第2の回折格子11,12において、一つの輪帯領域RZn内における輪帯ピッチrpnに対する第2の回折格子12の比率αを0〜0.5の範囲内で可変した時に、第1の回折格子11と第2の回折格子12とを合わせた時の1次回折光回折効率は、図5に示した特性曲線となる。
この図5中に示された1次回折光回折効率の値は、回折素子階段形状を位相分布に変換した値を、フーリエ変換することにより、回折次数における強度を算出したものである。
尚、第2の回折格子12の平坦状回折格子部の深さを7/8λ以外の値に設定した場合には、図5に示した特性曲線の各値も変わるものである。
この図5において、横軸は輪帯ピッチに対する第2の回折格子の比率を示し、縦軸は第1,第2の回折格子による時の1次回折光回折効率(%)を示している。
そして、図5より、輪帯ピッチに対する第2の回折格子の比率を0, 0.1, 0.2, 0.3, 0.4, 0.5と変化させた時に、第1,第2の回折格子を合わせた時の1次回折光回折効率は、それぞれ、95.3%, 91.9%, 83.2%, 70.2%, 54.8%, 38.9%となる。従って、輪帯ピッチrpnに対して第2の回折格子12の比率を変化させた場合に、連続的に1次回折光回折効率を制御できることがわかる。これにより、各輪帯領域RZn内で第1の回折格子11と第2の回折格子12との占有比率を輪帯ピッチrpnに対して調整することができる。
そして、図5に示したように、輪帯ピッチに対する第2の回折格子12の比率と、第1,第2の回折格子11,12の1次回折光回折効率との関係をテーブルとして持つことにより、逆に、1次回折光回折効率、すなわち多段型フレネルレンズ10の光透過率に対応して、第2の回折格子12の比率を求めることができるので、当然、第1,第2の回折格子12の占有比率がわかる。
以下、一つの輪帯領域RZnのレンズ半径rnと対応した輪帯ピッチrpn内で第1,第2の回折格子11,12の占有比率を求める具体例について順を追って説明する。
まず、図6に示した如く、多段型フレネルレンズ10(図1)において、前述したように、レンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチは5.4μmであり、この輪帯領域内で要求される光透過率は95.3%である。この場合、図5に示した曲線特性において1次回折光回折効率の値が光透過率の値と等価であるものとすると、図5に示した曲線特性中の回折効率95.3%の値から輪帯ピッチに対する第2の回折格子12の比率が0であると読み取れるので、この輪帯領域内での構成は、輪帯ピッチに対して100%第1の回折格子11で占有すれば良い。
この際、レンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチ5.4μm内での回折次数における回折光強度を図7に示す。図7中で横軸は−9次から+9次までの次数を示し、縦軸は1次回折光の回折光強度を1に正規化したときの回折光強度を示す。この図7から明らかなように、回折光の殆どがレンズ集光を担う+1次の次数に集中している。
次に、図8に示した如く、多段型フレネルレンズ10(図1)において、前述したように、レンズ半径1000μmにおける輪帯ピッチは8.0μmであり、この輪帯領域内で要求される光透過率は82.0%である。この場合、図5に示した曲線特性中の回折効率82.0%の値から輪帯ピッチに対する第2の回折格子12の比率が0.211であると読み取れるので、この輪帯領域内での構成は、輪帯ピッチに対して第1の回折格子11の占有比率を0.789、第2の回折格子12の占有比率を0.211に設定すれば良い。
この際、レンズ半径1000μmにおける輪帯ピッチ8.0μm内での回折次数における回折光強度を正規化して図9に示す。この図9で明らかなように、メインの+1次の次数の他に、+2次、0次が僅かに存在し、これらが、集光位置とは異なる方向に入射光を回折し、輪帯領域内での光透過率を下げている。
次に、図10に示した如く、多段型フレネルレンズ10(図1)において、前述したように、レンズ半径500μmにおける輪帯ピッチは16.1μmであり、この輪帯領域内で要求される光透過率は75.7%である。この場合、図5に示した曲線特性中の回折効率75.7%の値から輪帯ピッチに対する第2の回折格子12の比率が0.261であると読み取れるので、この輪帯領域内での構成は、輪帯ピッチに対して第1の回折格子11の占有比率を0.739、第2の回折格子12の占有比率を0.261に設定すれば良い。
この際、レンズ半径500μmにおける輪帯ピッチ16.1μm内での回折次数における回折光強度を正規化して図11に示す。この図11で明らかなように、メインの+1次の次数の他に、+2次、0次が図9に示した場合より多く存在し、これらが、集光位置とは異なる方向に入射光を回折し、輪帯領域内での光透過率をより下げている。
次に、図12に示した如く、多段型フレネルレンズ10(図1)において、前述したように、レンズ半径0μm近傍における輪帯ピッチは126.5μmであり、この輪帯領域内で要求される光透過率は73.8%である。この場合、図5に示した曲線特性中の回折効率73.8%の値から輪帯ピッチに対する第2の回折格子12の比率が0.275であると読み取れるので、この輪帯領域内での構成は、輪帯ピッチに対して第1の回折格子11の占有比率を0.725、第2の回折格子12の占有比率を0.275に設定すれば良い。
この際、レンズ半径0μm近傍における輪帯ピッチ126.5μm内での回折次数における回折光強度を正規化して図13に示す。この図13で明らかなように、メインの+1次の次数の他に、+2次、0次が図11に示した場合より更に多く存在し、これらが、集光位置とは異なる方向に入射光を回折し、輪帯領域内での光透過率をより下げている。
以上のように、全ての輪帯領域RZn(但し、n=0〜140)に対応してレンズ半径rn及び輪帯ピッチrpnを求めて、各輪帯領域RZn内で各輪帯ピッチrpnに対応して必要な光透過率を求め、第1,第2の回折格子11,12の輪帯ピッチ対する比率を各輪帯ピッチrpnごとに求めれば良い。
従って、実施例1では、個別の輪帯領域内の回折格子形状を、レンズ集光作用を担う第1の回折格子11と、集光方向とは異なる方向に入射光を回折させる第2の回折格子12との輪帯ピッチ比率を輪帯ピッチごとに決定して所望の光透過率を得るものである。
また、この実施例1では、図4に示したように、第1の回折格子11に1次回折構造8段の回折格子を、第2の回折格子12に1段構造例を示しているが、第1,第2の回折格子11,12はこの回折構造、この段数に限定されるものでなく、例えば図14に示したように、実施例1を一部変形させても良い。
図14は本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズを一部変形させた変形例を説明するための図である。
この図14において、一つの輪帯領域RZn’内の外周側に配置した第1の回折格子11は実施例1と同様な形状の階段状回折格子部11aが形成されているものの、第1の回折格子11に隣接して内周側に配置した第2の回折格子12’は、実施例1に対して変形させて第1の回折格子11の階段状回折格子部11aに対して逆向きで内周側に向けて階段状回折格子部12bが8段構造で形成されているものであり、この変形例の場合でも実施例1の技術的思想を適用できる。
また、第1,第2の回折格子11,12は、2次、3次等、より高次な回折構造でも同様な機能を備えることができる。
また、実施例1の多段型フレネルレンズ10の光学特性は、中心部よりも外周部の光強度が低い不均一な光強度分布を有する入射光を入射させた時に、出射光をフラットな光強度分布に補正するだけでなく、組み合わせられる光学系の特性に合わせて、各輪帯領域がそれぞれ要求する適宜な光透過率を設定することで、適宜な光強度分布(光量分布)を得ることができる。
図15(a),(b)は本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズを示した上面図,縦断面図、
図16は本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズを使用した時に、光学系の光路を説明するための図、
図17は本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズを使用した時に、光学系の光強度分布及び光透過率を図16中の位置X1〜X3に対応して示した図である。
図15に示した実施例2の多段型フレネルレンズ20は、先に説明した実施例1の多段型フレネルレンズ10の技術的思想を踏まえて構成されており、ここでは実施例1に対して異なる点を中心にして以下説明する。
図15(a),(b)に示した如く、本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズ20は、先に説明した実施例1と同様に、光透過性を有するガラス基板や石英基板などを用いた円盤状の光学基板(Optical Base Plate)OBP上に、複数の輪帯領域(Ring Zone)RZが中心0を中心にしてリング状の同心円を描き、中心0から外周側に向かって輪帯ピッチrpnを除々に狭めて設定されている。
この際、複数の輪帯領域RZは、光学基板OBPの中心0から外周側に向かって順にRZ0,RZ1,RZ2,……,RZnと設定され、これに対応してレンズ半径r0,r1,r2,……,rnと、輪帯ピッチrp0,rp1,rp2,……,rpnとが前記した数1〜数3に基づいて求められている。尚、この実施例2でも、実施例1と同様にnの値を0〜140に設定している。
また、実施例2の多段型フレネルレンズ20の各輪帯領域RZ内には、実施例1と異なって輪帯ピッチrpnの全域に亘って、第1の回折格子21が入射光に対して特定の次数の回折光として例えば1次回折光を回折して、光学基板OBPの中心0を通る光軸K上で所定の集光位置(焦点位置)に集光させるために階段状回折格子部が外周側に向かって階段の段数を除々に減少させて多段に形成されている。この際、第1の回折格子21に形成した階段状回折格子部は、階段の段数を例えば8段に設定して、1次回折構造8段の回折格子としている。
ここで、実施例2の多段型フレネルレンズ20の各輪帯領域RZ内の全域に亘って形成した第1の回折格子21の階段状回折格子中で所定の位置には、所定の深さの位相変調領域部を有する第2の回折格子22が輪帯ピッチに対してそれぞれ所定の比率で輪帯領域ごとに光学的に重畳されている点が実施例1に対して大きく異なる点である。
そして、上記構成による実施例2の多段型フレネルレンズ20を使用するにあたって、図16に示したように、位置X1’を入射光と対応した位置とし、また、位置X2’を多段型フレネルレンズ20と対応した位置とし、また、位置X3’を出射光と対応した位置とし、更に、位置X4’を出射光の集光位置とした場合に、適宜な位置で断面した時の断面形状が略円形であるレーザー光Lの平行光を多段型フレネルレンズ20の一方の面から入射させ、他方の面上で複数の輪帯領域RZ内に配置した第1の回折格子21及びこの第1の回折格子21の階段状回折格子中に光学的に重畳させた第2の回折格子22により回折させてから出射させた時に、この実施例2でも、多段の階段状回折格子部を有する第1の回折格子21で回折された1次回折光が光軸K上で焦点距離f1に対応した所定の集光位置に集光され、且つ、第2の回折格子22で回折された1回折光以外の回折光が第1の回折格子21とは異なる回折位置に回折されるようになっている。
これに伴って、実施例2の多段型フレネルレンズ20でも、図17に示したように、断面形状が略円形であるレーザー光Lの平行光を多段型フレネルレンズ20に入射した時に、図16に示した位置X1’における光束の光強度分布は、半導体レーザーの特性により、中央部の光強度を100%とすると、レンズ半径が500μm,1000μm,1500μmでは光強度がそれぞれ、97.5%,90.0%,77.5%に低下しており、中央部が凸状に突出した凸型の光強度分布特性となっている。
これに対して、実施例2でも、図16中の位置X2’における多段型フレネルレンズ20での光束の光透過率分布において、図17に示したように、レンズ半径が0μm,500μm,1000μm,1500μmで光透過率が、それぞれ77.5%, 79.5%, 86.1%, 100%になるように設定し、即ち、位置X1’における凸型の光強度分布特性に対して反転させて、位置X2’で中央部が凹状にへこんだ凹型の光透過率分布特性になるように逆補正することで、入射光が多段型フレネルレンズ20を透過して出射した時に、図16に示した位置X3’における出射光の光強度分布は、入射光量と多段型フレネルレンズ透過率との積となり、その結果フラットなものとなる。
これにより、多段型フレネルレンズ20の外周部の光量が、中央部と略等しくなるので、レンズの口径は変化しない状態と等価になり、レンズの開口数(NA)は変化せず、集光スポットが本来のレンズ設計と比較して、大きくなるといった現象が発生しなくなる。
但し、出射光の光強度分布がフラットになった際、全体の光量は低下するが、高輝度レーザー等の、より光量の大きい光源を使用すれば、光量の低下は防止できる。
次に、実施例2の多段型フレネルレンズ20において、各輪帯領域RZ(RZ0,RZ1,RZ2,……,RZn)内に配置した第1の回折格子21の階段状回折格子中に第2の回折格子22を光学的に重畳させ、且つ、第1の回折格子21に重畳させた第2回折格子22の輪帯ピッチに対する比率を、各輪帯領域RZがそれぞれ要求する光透過率になるように各輪帯領域RZごとに可変して、多段型フレネルレンズ20上で図17に示したような位置X2における凹型の光透過率分布が得られるように補正する構造及び方法について、図18〜図28を用いて説明する。
図18(a)〜(c)は本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、一つの輪帯領域内に配置した第1の回折格子に対して第2の回折格子を光学的に重畳させる場合を説明するために拡大して示した図、
図19は本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、輪帯ピッチに対する第2の回折格子の位相変調領域部の比率を可変した時に、第2の回折格子の0次光回折効率を示した図、
図20は本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、輪帯ピッチに対する第2の回折格子の位相変調領域部の比率を可変した時に、第1,第2の回折格子による1次回折光回折効率を示した図、
図21は本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチ5.4μm内での第1の回折格子を示した図、
図22は本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチ5.4μm内での回折光強度を示した図、
図23は本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径1000μmにおける輪帯ピッチ8.0μm内で第1の回折格子に光学的に重畳させた第2の回折格子の輪帯ピッチに対する比率を示した図、
図24は本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径1000μmにおける輪帯ピッチ8.0μm内での回折光強度を示した図、
図25は本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径500μmにおける輪帯ピッチ16.1μm内で第1の回折格子に光学的に重畳させた第2の回折格子の輪帯ピッチに対する比率を示した図、
図26は本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径500μmにおける輪帯ピッチ16.1μm内での回折光強度を示した図、
図27は本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径0μm近傍における輪帯ピッチ126.5μm内で第1の回折格子に光学的に重畳させた第2の回折格子の輪帯ピッチに対する比率を示した図、
図28は本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径0μm近傍における輪帯ピッチ126.5μm内での回折光強度を示した図である。
図18(a)〜(c)中で、一つの輪帯領域RZn内において、横軸に輪帯ピッチrpnを示し、縦軸に位相差λを示し、且つ、図18(a)は第1の回折格子21を単独で示し、また、図18(b)は第2の回折格子22を単独で示し、図18(c)は図18(a)に示した第1の回折格子21に対して図18(b)に示した第2の回折格子22を光学的に重畳させた最終形態を示している。
ここで、実施例2の多段型フレネルレンズ20(図15)において、図18(a)に示したように、一つの輪帯領域RZn内の全域に亘って配置される第1の回折格子21は、入射光に対して1次回折光のみを回折して、この1次回折光を光軸K(図16)上で所定の集光位置に集光する機能を備えているものであり、外周側に向かって階段の段数を除々に減少させて多段に形成された階段状回折格子部21aの階段の段数が8段に設定されており、階段状回折格子部21aの全体の高さが入射光の1波長λ分の高さ(λ=0.4μm)に設定されているので、一段当たりの階段の高さは1/8λの光学的長さに対応している。
従って、第1の回折格子21は、1次回折構造の8段回折格子を用いており、8段型の回折格子は、前述した非特許文献1に開示されている様に、1次回折光の回折効率が95.3%であるので、100%の光透過率を得ることはできない。それゆえ、この実施例2でも実施例1と同様に、多段型フレネルレンズ20の光透過率の設定は、最高の透過率を95.3%として、必要な光透過率を再計算すればよい。
これに伴って、レンズ半径0μm近傍,500μm,1000μm,1500μmにおける必要な光透過率は、1次回折構造8段回折格子の場合、前述したように77.5%,79.5%,86.1%,100%であるので、前記の各値に0.953を乗じた値となり、最終的に必要な光透過率は、それぞれ、73.8%,75.7%,82.0%,95.3%となる。
一方、図18(b)に示したように、一つの輪帯領域RZn内で輪帯ピッチrpn中の所定の位置に配置される第2の回折格子22は、入射光に対して1次回折光以外の回折光を回折する機能を備えているものであり、光学基板OMP(図1)の上面を基準面としてエッチングした時に、平坦にエッチングした位相変調領域部22aの深さは位相差が半波長(1/2λ)になるように設定されて2値構造になっており、この位相変調領域部22aは、第1の回折格子21に対して位相変調を行うようになっている。尚、第2の回折格子22の位相変調領域部22aの深さは、1λ以下で1/8λの整数倍に設定することも可能である。
また、第2の回折格子22の位相変調領域部22aは、各輪帯領域RZnごとに輪帯ピッチrpnの値を正規化して1.00と設定した場合に、この輪帯ピッチrpnに対する比率β(但し、βは後述する図20に基づいて0≦β≦0.1の範囲とする)が各輪帯ピッチrpnごとにそれぞれ所定の値に設定されており、これについては後で後述する。
ここで、図18(c)に示した如く、一つの輪帯領域RZn内で図18(a)に示した第1の回折格子21の階段状回折格子21aによる位相分布に対して、図18(b)に示した第2の回折格子22の位相分布を光学的に重畳させることで最終的な構造形態を得ている。即ち、位相分布の重畳とは、具体的には図18(a)の位相分布と図18(b)の位相分布と重ね合わせた和となる。
この際、第1の回折格子21の階段状回折格子21a中に光学的に重畳される第2の回折格子22の所定の位置は、光学基板OBP(図15)が厚みを持っているので、一つの輪帯領域RZn内で第1の回折格子21の階段状回折格子部21a中でレンズ半径方向の適宜な位置に配置可能であり、この第2の回折格子22を前記のような適宜な位置に配置しても作用効果は変らない。更に、後述する多段型フレネルレンズ20の作製において、第2の回折格子22の位相変調領域部22aは、第1の回折格子21を作製した上から1/2λの深さでエッチング処理される関係上、エッチング量が同じであるので適宜な階段の右側の一部が深さ方向に僅かに残されるために、位相変調領域部22aは図18(b)に示した単独の場合と異なって完全な平坦形状ではなくなる。
ここで、一般的に、回折格子の位相分布をフーリエ変換することにより、入射光の回折次数における強度、及び回折効率を算出できるので、このフーリエ変換を用いて計算した時に、一つの輪帯領域RZn内における輪帯ピッチrpnに対する第2の回折格子22の0次回折光回折効率は、図19に示した特性曲線となる。
この図19において、横軸は輪帯ピッチに対する第2の回折格子の位相変調領域部の比率を示し、縦軸は第2の回折格子の0次光回折効率(%)を示している。尚、第2の回折格子の位相変調領域部の深さを1/2λ以外の値に設定した場合には、図19に示した特性曲線の各値も変わるものである。
そして、図19より、輪帯ピッチに対する第2の回折格子の位相変調領域部の比率を0.00, 0.02, 0.04, 0.06, 0.08, 0.10と変化させた時に、第2の回折格子の0次光回折効率は、それぞれ、1.00, 0.92, 0.84, 0.77, 0.70, 0.64と変化する。
一方、第1の回折格子21に対して第2の回折格子22を光学的に重畳して、一つの輪帯領域RZn内における輪帯ピッチrpnに対する第2の回折格子22の比率βを上記と同様に0〜0.1の範囲内で可変した時に、第1の回折格子21の1次回折光回折効率と、第2の回折格子22の0次回折光回折効率との積により、第1,第2の回折格子21,22を合わせた時の1次回折光回折効率は、図20に示した特性曲線となる。
この図20において、横軸は輪帯ピッチに対する第2の回折格子の位相変調領域部の比率を示し、縦軸は第1,第2の回折格子による時の1次回折光回折効率(%)を示している。勿論、この図20においても、第2の回折格子の位相変調領域部の深さを1/2λ以外の値に設定した場合には、特性曲線の各値が変わるものである。
そして、図20より、輪帯ピッチに対する第2の回折格子の位相変調領域部の比率を0.00, 0.02, 0.04, 0.06, 0.08, 0.10と変化させた時に、第1,第2の回折格子を合わせた時の1次回折光回折効率は、それぞれ、0.95, 0.88, 0.81, 0.73, 0.67, 0.61となる。従って、輪帯ピッチrpnに対して第2の回折格子12の位相変調領域部の比率を変化させた場合に、連続的に1次回折光回折効率を制御できることがわかる。これにより、各輪帯領域RZn内で第1の回折格子21に光学的に重畳させた第2の回折格子22は、輪帯ピッチに対する位相変調領域部の比率を調整することができる。
そして、図20に示したように、輪帯ピッチに対する第2の回折格子22の位相変調領域部の比率と、第1,第2の回折格子21,22の1次回折光回折効率との関係をテーブルとして持つことにより、逆に、1次回折光回折効率、すなわち多段型フレネルレンズ20の光透過率に対応して、輪帯ピッチに対する第2の回折格子22の位相変調領域部の比率を求めることができる。
以下、一つの輪帯領域RZnのレンズ半径rnと対応した輪帯ピッチrpn内で第1の回折格子21に第2の回折格子22を光学的に重畳させた時に、輪帯ピッチに対する第2の回折格子22の位相変調領域部の比率を求める具体例について順を追って説明する。
まず、図21に示した如く、多段型フレネルレンズ20(図15)において、前述したように、レンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチは5.4μmであり、この輪帯領域内で要求される光透過率は95.3%である。この場合、図20に示した特性曲線において1次回折光回折効率の値が光透過率と等価であるものとすると、図20に示した特性曲線中の回折効率95.3%の値から輪帯ピッチに対する第2の回折格子22の位相変調領域部の比率が0であると読み取れるので、この輪帯領域内での構成は、輪帯ピッチに対して100%第1の回折格子21で占有すれば良い。
この際、レンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチ5.4μm内での回折次数における回折光強度を図22に示す。図22中で横軸は−9次から+9次までの次数を示し、縦軸は1次回折光の回折光強度を1に正規化したときの回折光強度を示す。この図22から明らかなように、回折光の殆どがレンズ集光を担う+1次の次数に集中している。
次に、図23に示した如く、多段型フレネルレンズ20(図15)において、前述したように、レンズ半径1000μmにおける輪帯ピッチは8.0μmであり、この輪帯領域内で要求される光透過率は82.0%である。この場合、図20に示した特性曲線中の回折効率82.0%の値から輪帯ピッチに対する第2の回折格子22の位相変調領域部の比率が0.0363であると読み取れるので、この比率に対応して位相変調領域部の幅を0.2904μmに設定して位相変調領域部の深さを1/2λで作製すれば良い。
この際、レンズ半径1000μmにおける輪帯ピッチ8.0μm内での回折次数における回折光強度を正規化して図24に示す。この図24で明らかなように、レンズ集光を担う+1次の次数の他に、−7次が僅かに存在し、これらが、集光位置とは異なる方向に入射光を回折し、輪帯領域内での光透過率を下げている。
次に、図25に示した如く、多段型フレネルレンズ20(図15)において、前述したように、レンズ半径500μmにおける輪帯ピッチは16.1μmであり、この輪帯領域内で要求される光透過率は75.7%である。この場合、図20に示した特性曲線中の回折効率75.7%の値から輪帯ピッチに対する第2の回折格子22の位相変調領域部の比率が0.0550であると読み取れるので、この比率に対応して位相変調領域部の幅を0.8855μmに設定して位相変調領域部の深さを1/2λで作製すれば良い。
この際、レンズ半径500μmにおける輪帯ピッチ16.1μm内での回折次数における回折光強度を正規化して図26に示す。この図26で明らかなように、レンズ集光を担う+1次の次数の他に、−7次及び+1次周辺の回折光が存在し、これらが、集光位置とは異なる方向に入射光を回折し、輪帯領域内での光透過率を下げている。
次に、図27に示した如く、多段型フレネルレンズ20(図15)において、前述したように、レンズ半径0μm近傍における輪帯ピッチは126.5μmであり、この輪帯領域内で要求される光透過率は73.8%である。この場合、図20に示した特性曲線中の回折効率73.8%の値から輪帯ピッチに対する第2の回折格子22の位相変調領域部の比率が0.0605であると読み取れるので、この比率に対応して位相変調領域部の幅を7.6532μmに設定して位相変調領域部の深さを1/2λで作製すれば良い。
この際、レンズ半径0μm近傍における輪帯ピッチ126.5μm内での回折次数における回折光強度を正規化して図28に示す。この図28で明らかなように、レンズ集光を担う+1次の次数の他に、−7次及び+1次周辺の回折光が存在し、これらが、集光位置とは異なる方向に入射光を回折し、輪帯領域内での光透過率を下げている。
以上のように、全ての輪帯領域RZn(但し、n=0〜140)に対応してレンズ半径rn及び輪帯ピッチrpnを求めて、各輪帯領域RZn内で各輪帯ピッチrpnに対応して必要な光透過率を求め、第1の回折格子21に光学的に重畳させた第2の回折格子22の位相変調領域部の輪帯ピッチ対する比率を各輪帯ピッチrpnごとに求めれば良い。
従って、実施例2では、個別の輪帯領域内の回折格子形状を、レンズ集光作用を担う第1の回折格子21に対して集光方向とは異なる方向に入射光を回折させる第2の回折格子22の位相変調領域部の輪帯ピッチ比率を輪帯ピッチごとに決定して所望の光透過率を得るものである。
尚、この実施例2では、図16(a)に示したように、第1の回折格子21に1次回折構造8段の回折格子を、図16(b)に示したように、第2の回折格子22に2値構造例を示しているが、第1、第2の回折格子21,22はこの回折構造、この段数、値数に限定されるものでない。更に、第2回折格子22の位相変調領域部の位相差を1/2λとしているが、この位相差に限定されるものでなく、任意の位相差も取り得るものである。
また、第1、第2の回折格子21,22は、2次、3次等、より高次な回折構造でも同様な機能を備えることができる。
また、実施例2の多段型フレネルレンズ20の光学特性も、実施例1と同様に、中心部よりも外周部の光強度が低い不均一な光強度分布を有する入射光を入射させた時に、出射光をフラットな光強度分布に補正するだけでなく、組み合わせられる光学系の特性に合わせて、各輪帯領域がそれぞれ要求する適宜な光透過率を設定することで、適宜な光強度分布(光量分布)を得ることができる。
次に、本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズ20を作製する方法について、図29を用いて説明する。
図29(a)〜(j)は本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズを作製する工程を示した工程図である。
この実施例2の多段型フレネルレンズは第1の回折格子が8段構造であるために、先に図32(a)〜(h)を用いて説明した4段構造の多段型フレネルレンズに対して、図29(a)に示したような8段用のマスクパターンM3を用いて、図29(b)〜(e)に示したようにレジストの塗布・マスクアライメント・露光・現像・エッチング・レジスト除去のプロセスを行って、8段段構造の第1の回折格子をまず作製する。
この際、図29中で(a)は上記したように8段用のマスクパターンM3であり、(b)は光学基板OBPに対するレジスト塗布、(c)はマスクパターンマスクM3による露光及び現像後のレジストパターン、(d)はレジストによる基板エッチング、(d)はエッチング後の基板形状、(e)はレジスト除去後の基板形状を示している。
この後、図29(f)に示したように、第2の回折格子の位相変調領域部と対応するマスクパターンM4を用いて、図29(g)〜(j)に示したように、再度、レジストの塗布・マスクアライメント・露光・現像・エッチング・レジスト除去のプロセスを行って、第1の回折格子に第2の回折格子を光学的に重畳させた多段型フレネルレンズを作製する。
より具体的に説明すると、図29(f)は第2の回折格子の位相変調領域部に対応したマスクパターンM4である。また、図29(g)は前述の工程において作製した第1の回折格子にレジスト塗布したものであり、レジスト塗布基板に対してマスクパターンM4による第2の回折格子の位相変調領域部の露光を行い、レジストを現像する。また、図29(h)は図29(g)に対して現像後に残ったレジスト形状を示す。このレジストをマスクとして、エッチングを行い、図29(i)に示したようにエッチング後の形状を得る。更に、図29(j)に示したように、レジストを剥離して、第1の回折格子に対して第2の回折格子の位相を光学的に重畳した多段型フレネルレンズを得る。
ここで、第1の回折格子は1次回折構造8段回折格子を使用しているので、一段あたりの階段深さは、1/8λの光学的長さに対応している。また、第2の回折格子は、位相変調領域部の位相変調量を、1/2λとし、回折格子を2値構造としている。
以上のように、レンズとして集光作用を有する第1の回折格子を予め製作しておいて、次に第2の回折格子を作製することであり、例えば、光源を変更し、異なる照明光の強度分布を持った際、その強度分布に対応して第2の回折格子を設計し、この位相変調領域部のみのマスクパターンを作製し、前記した(f)〜(j)の作製工程で、多段型フレネルレンズを得ることができる。
尚、この実施例2では、8段の段差をエッチングする際、3枚のマスクパターンを使用して、3回の露光、エッチング工程を行っているが、これに限定されるものでなく、例えばマスクを7枚用意して、7回エッチングを行って、8段の段差を得ることもできる。
(a),(b)は本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズを示した上面図,縦断面図である。
本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズを使用した時に、光学系の光路を説明するための図である。
本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズを使用した時に、光学系の光強度分布及び光透過率を図2中の位置X1〜X3に対応して示した図である。
本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズにおいて、一つの輪帯領域内で外周側と内周側とに分けて配置した第1,第2の回折格子を説明するために拡大して示した図である。
本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズにおいて、輪帯ピッチに対する第2の回折格子の比率を可変した時に、第1,第2の回折格子による1次回折光回折効率を示した図である。
本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチ5.4μm内での第1の回折格子を示した図である。
本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチ5.4μm内での回折光強度を示した図である。
本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径1000μmにおける輪帯ピッチ8.0μm内での第1,第2の回折格子の占有比率を示した図である。
本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径1000μmにおける輪帯ピッチ8.0μm内での回折光強度を示した図、
本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径500μmにおける輪帯ピッチ16.1μm内での第1,第2の回折格子の占有比率を示した図である。
本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径500μmにおける輪帯ピッチ16.1μm内での回折光強度を示した図である。
本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径0μm近傍における輪帯ピッチ126.5μm内での第1,第2の回折格子の占有比率を示した図である。
本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径0μm近傍における輪帯ピッチ126.5μm内での回折光強度を示した図である。
本発明に係る実施例1の多段型フレネルレンズを一部変形させた変形例を説明するための図である。
(a),(b)は本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズを示した上面図,縦断面図である。
本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズを使用した時に、光学系の光路を説明するための図である。
本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズを使用した時に、光学系の光強度分布及び光透過率を図16中の位置X1〜X3に対応して示した図である。
(a)〜(c)は本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、一つの輪帯領域内に配置した第1の回折格子に対して第2の回折格子を光学的に重畳させる場合を説明するために拡大して示した図である。
本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、輪帯ピッチに対する第2の回折格子の位相変調領域部の比率を可変した時に、第2の回折格子の0次光回折効率を示した図である。
本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、輪帯ピッチに対する第2の回折格子の位相変調領域部の比率を可変した時に、第1,第2の回折格子による1次回折光回折効率を示した図である。
本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチ5.4μm内での第1の回折格子を示した図である。
本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径1500μmにおける輪帯ピッチ5.4μm内での回折光強度を示した図である。
本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径1000μmにおける輪帯ピッチ8.0μm内で第1の回折格子に光学的に重畳させた第2の回折格子の輪帯ピッチに対する比率を示した図である。
本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径1000μmにおける輪帯ピッチ8.0μm内での回折光強度を示した図である。
本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径500μmにおける輪帯ピッチ16.1μm内で第1の回折格子に光学的に重畳させた第2の回折格子の輪帯ピッチに対する比率を示した図である。
本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径500μmにおける輪帯ピッチ16.1μm内での回折光強度を示した図である。
本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径0μm近傍における輪帯ピッチ126.5μm内で第1の回折格子に光学的に重畳させた第2の回折格子の輪帯ピッチに対する比率を示した図である。
本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズにおいて、レンズ半径0μm近傍における輪帯ピッチ126.5μm内での回折光強度を示した図である。
(a)〜(j)は本発明に係る実施例2の多段型フレネルレンズを作製する工程を示した工程図である。
(a),(b)は一般的なフレネルレンズを示した平面図,縦断面図である。
従来の多段型フレネルレンズを示した縦断面図である。
(a)〜(j)は従来の多段型フレネルレンズを作製する工程を示した工程図である。
従来の多段型フレネルレンズに、中央部の光束は光強度が強く、且つ、外周部の光束は光強度が弱いレーザー光を入射させた状態を模式的に示した図である。
符号の説明
10…実施例1の多段型フレネルレンズ、
11…第1の回折格子、11a…階段状回折格子部、
12…第2の回折格子、12a…平坦状回折格子部、
12’…第2の回折格子、12b…階段状回折格子部、
20…実施例2の多段型フレネルレンズ、
21…第1の回折格子、21a…階段状回折格子部、
22…第2の回折格子、22a…位相変調領域部、
OBP…光学基板、0…光学基板の中心、
K…光軸、
RZ(RZ0,RZ1,RZ2,……,RZn)…輪帯領域、
RZn’ …輪帯領域、
rn(r0,r1,r2,……,rn)…レンズ半径、
rpn(rp0,rp1,rp2,……,rpn)…輪帯ピッチ。