JP2006138744A - 原子炉の冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 外的支援無しに、原子炉の崩壊熱を除去する際、除熱の効率性、動作の確実性が高い原子炉の冷却装置を提供する。
【解決手段】 原子炉容器2内の炉心3を冷却する一次冷却水4中に配置された複数の蒸発器5と、冷却塔6の水冷用水タンク7の冷却水8中に、蒸発器5より高い位置になるように配置されたPSGC9と、蒸発器5とPSGC9とを接続し、2次冷却水を循環させる配管10a、10bと、配管10a、10bに設けられたバルブ19A、20Aとを有し、PSGC9から蒸発器5への給水側の配管10bに、大量の2次冷却水を貯留する給水ヘッダ32を設ける。
【選択図】 図4

Description

本発明は、原子炉の冷却装置に関し、例えば、炉心の1次冷却水を冷却する冷却器を原子炉容器内に一体化して内蔵した冷却器一体型原子炉に好適なものである。
冷却器一体型原子炉には、炉心の1次冷却水の除熱を行う冷却器である蒸発器(SGL、"Steam Generator in Liquid")が、原子炉容器内に一体化して内蔵されており、事故時の崩壊熱除去のため、自立型直接除熱系("Stand-alone Direct Heat removal System"、以降、SDHSと呼ぶ。)が接続されている。SDHSは、主に、原子炉容器内の蒸発器と、冷却塔内のプール水中に設置される静的SG冷却器("Passive SG Cooler"、以降、PSGCと呼ぶ。)と、蒸発器〜PSGC間を接続する接続配管から構成される。
蒸発器、PSGC及びそれらの接続配管等で構成されるSDHSの系内には、2次冷却水が張られており、事故時には、原子炉容器内で発生する崩壊熱が、蒸発器内の2次冷却水と熱交換されて蒸発し、蒸発された2次冷却水が熱と共にPSGCに運ばれる。そして、PSGCでは、熱負荷の大きい事故後初期には水冷により、事故後長期に渡っては、空冷によって、蒸発された2次冷却水が冷却されて、復水され、復水された2次冷却水は、自重により再び蒸発器へ供給される。このように、SDHSでは、SDHSの系内の自然循環により、外的な支援が無くとも、崩壊熱を除去できるように構成されている。
特開平5−157877号公報 特開2003−43176号公報
上述したような従来のSDHSは、外的な支援が無くても崩壊熱を除去できるように構成されているが、除熱の効率性、動作の確実性等の点では克服すべき課題があった。具体的には、以下に示すような課題を克服することが望まれていた。
(1)SDHSでは、自然循環による蒸発器への給水を行っているが、事故後に十分な給水量が確保できないおそれがある。
(2)事故後の除熱により冷却塔内のプール水が蒸発し、プール水の水位が低くなると、PSGCの水冷伝熱面積が減少し、冷却能力が低下する。又、プール水の水位が低下した際、プール水の液面より上部のPSGCの空冷効果は、通常の空冷の場合と比較して、プール水による蒸気発生により、十分機能していない。そのため、プール水の低水位時には、PSGC全体での冷却能力が低下して、必要な除熱が行われないおそれがある。
(3)SDHSの配管系統の水の張り方によっては、事故発生前の待機状態において、配管内部の水が、入熱により膨張してしまい、配管の破損が生じるおそれがある。
(4)PSGCの伝熱管に凝縮水が蓄積し、伝熱管での水の排出性能が低下すると、自然循環流量が低下して、必要除熱量が確保できないおそれがある。
(5)PSGCの入口ヘッダ部分の液位が高くなると、多量の水が伝熱管に流入するため、蒸気が伝熱管に流入しにくくなり、除熱性能が低下するおそれがある。
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、自立型直接除熱系を備えた原子炉において、除熱の効率性が高く、確実な動作を行える原子炉の冷却装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する第1の発明に係る原子炉の冷却装置は、
原子炉容器内の炉心を冷却する一次冷却水中に配置された複数の第1熱交換器と、冷却塔の水冷用水タンクの冷却水中に、前記第1熱交換器より高い位置になるように配置された第2熱交換器と、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とを接続し、2次冷却水を循環させる配管と、前記配管に設けられた切換弁とを有し、
前記第2熱交換器から前記第1熱交換器への2次冷却水の給水側の配管に、大量の2次冷却水を貯留する補助容器を設けたことを特徴とする。
上記課題を解決する第2の発明に係る原子炉の冷却装置は、
原子炉容器内の炉心を冷却する一次冷却水中に配置された複数の第1熱交換器と、冷却塔の水冷用水タンクの冷却水中に、前記第1熱交換器より高い位置になるように配置された第2熱交換器と、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とを接続し、2次冷却水を循環させる配管と、前記配管に設けられた切換弁とを有し、
前記水冷用水タンクに、前記水冷用水タンクの冷却水を排水するドレンラインと、前記水冷用水タンクが所定水位以下になると作動する第1水位スイッチと、バッテリーにより駆動され、前記第1水位スイッチの作動により前記ドレンラインを開放する第1電磁弁を設けたことを特徴とする。
上記課題を解決する第3の発明に係る原子炉の冷却装置は、
上記第2の発明に係る原子炉の冷却装置において、
所定水位における前記第2熱交換器の除熱能力が、空冷時の前記第2熱交換器の除熱能力を下まわったとき、前記第1水位スイッチが作動することを特徴とする。
上記課題を解決する第4の発明に係る原子炉の冷却装置は、
原子炉容器内の炉心を冷却する一次冷却水中に配置された複数の第1熱交換器と、冷却塔の水冷用水タンクの冷却水中に、前記第1熱交換器より高い位置になるように配置された第2熱交換器と、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とを接続し、2次冷却水を循環させる配管と、前記配管に設けられた切換弁とを有し、
前記切換弁が閉止しているとき、前記第2熱交換器の上流側に不活性ガスを封入しておくことを特徴とする。
なお、不活性ガスとしては、例えば、窒素等が好適である。
上記課題を解決する第5の発明に係る原子炉の冷却装置は、
原子炉容器内の炉心を冷却する一次冷却水中に配置された複数の第1熱交換器と、冷却塔の水冷用水タンクの冷却水中に、前記第1熱交換器より高い位置になるように配置された第2熱交換器と、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とを接続し、2次冷却水を循環させる配管と、前記配管に設けられた切換弁とを有し、
前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器により加熱された2次冷却水を受容する入口容器と、前記入口容器に一端が接続される複数の伝熱管と、前記複数の伝熱管の他端が接続され、前記複数の伝熱管を通過する際除熱されて、凝縮する2次冷却水を受容する出口容器とを有し、
前記出口容器側における前記複数の伝熱管を、鉛直下方側に勾配を付けて、前記出口容器に接続したことを特徴とする。
上記課題を解決する第6の発明に係る原子炉の冷却装置は、
原子炉容器内の炉心を冷却する一次冷却水中に配置された複数の第1熱交換器と、冷却塔の水冷用水タンクの冷却水中に、前記第1熱交換器より高い位置になるように配置された第2熱交換器と、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とを接続し、2次冷却水を循環させる配管と、前記配管に設けられた切換弁とを有し、
前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器により加熱された2次冷却水を受容する入口容器と、前記入口容器に一端が接続される複数の伝熱管と、前記複数の伝熱管の他端が接続され、前記複数の伝熱管を通過する際除熱されて、凝縮する2次冷却水を受容する出口容器とを有し、
前記入口容器の長手方向を鉛直若しくは所定角度を持って配置すると共に、前記入口容器の底部に滞留する2次冷却水が所定水位以上になると作動する第2水位スイッチと、前記入口容器の底部から前記第1熱交換器への給水側の配管に連通する第2配管と、バッテリにより駆動され、前記第2水位スイッチの作動により前記第2配管を開放する第2電磁弁とを設けたことを特徴とする。
第1の発明によれば、第2熱交換器から大容量の補助容器を介して、第1熱交換器へ2次冷却水を給水するので、原子炉の冷却器の作動中、常に、補助容器内の水位が保たれ、給水の水頭圧が保たれることとなり、第1熱交換器への給水量を確保することができる。
第2、第3の発明によれば、水冷用水タンクの水位が所定値まで減少すると、水冷用水タンクの冷却水を排出するので、低水位における第2熱交換器の除熱能力より除熱能力が高い空冷に速やかに移行して、必要な除熱量を確保することができる。
第4の発明によれば、第2熱交換器の上流側に不活性ガスを封入するので、待機状態において、切換弁を介して第1熱交換器側から入熱があっても、不活性ガスにより圧力上昇を防止することができる。
第5の発明によれば、第2熱交換器の伝熱管が勾配を持つので、凝縮量に見合った液の排出が可能となり、所望の自然循環量を確保することができる。
第6の発明によれば、第2熱交換器の入口容器において、所定の液位以上になると水位スイッチが作動し、入口容器に滞留する2次冷却水を第1熱交換器の給水側の配管へ排出するので、2次冷却水の滞留により伝熱管が水封されることがなくなり、第2熱交換器の除熱能力を損なうことがない。
図1は、本発明に係る実施形態の一例を示す原子炉の冷却装置の概略図である。
最初に、図1を用いて、本発明に係る原子炉の冷却装置の基本構成を説明する。
図1に示すように、本実施例の原子炉の冷却装置である自立型直接除熱系(SDHS)1は、原子炉容器2の炉心3の冷却を行う一次冷却水4中に配置され、一次冷却水4の冷却を行う複数の蒸発器(SGL;第1熱交換器)5と、冷却塔6の水冷用水タンク7の冷却水8中に、蒸発器5より高い位置に配置された静的SG冷却器(PSGC;第2熱交換器)9と、SGL5とPSGC9とを接続し、2次冷却水を循環させる配管10と、配管10に設けられたバルブ19A、19B、20A、20B(切換弁)とを有する。
蒸発器5は、原子炉容器内2内に一体化して内蔵されたものであり、伝熱管としては、例えば、U字型管が用いられて、一次冷却水4中に配置される。PSGC9は、入口ヘッダ11と出口ヘッダ12とこれらを連結する伝熱管群13とが備えられており、SDHS1の系内に張られた水が自然循環する際、蒸発器5により蒸発された2次冷却水は入口ヘッダ11へ流入し、伝熱管群13において、2次冷却水は水冷又は空冷により除熱されて、復水されて、その後、出口ヘッダ12へ流入する。
冷却塔6は、部屋6aと部屋6aより高さの高い部屋6bから構成され、冷却塔6の部屋6aには、冷却水8又はPSGC9を冷却するための空気を吸入する空冷用吸気口14が、冷却塔6の部屋6bには、除熱後の空気、水蒸気を排気する空冷用排気口15が備えられている。そして、高低差がある空冷用吸気口14、空冷用排気口15により、空冷用風路が形成され、その空冷用風路の底部に、水冷用水タンク7が設けられている。従って、事故後初期には、水冷用水タンク7中の冷却水8により、PSGC9は水冷され、又、除熱により冷却水8が蒸発し、水冷用水タンク7から無くなると、空冷用風路を通過する空気の自然対流により、PSGC9は空冷される。なお、空冷用吸気口14、空冷用排気口15は、シリンダ等を用いて、大きな開口部が開閉されるように構成されている。
原子炉の通常運転時には、炉心3の核分裂により生成するエネルギーにより、一次冷却水4が加熱され、加熱された1次冷却水4により蒸発器5中の2次冷却水が加熱されて、蒸気が生成される。このとき、バルブ16、18は開放されており、図1中の矢印Nrで示す方向に、生成された蒸気が供給され、蒸気タービン等に導かれて、発電が行われる。その後、図1中の矢印Nsで示す方向に、凝縮した2次冷却水をポンプで送出することで、2次冷却水が蒸発器5へ供給され、2次冷却水が循環されることになる。なお、給水側の2次冷却水は、逆止弁17により逆流しない構成となっている。又、このとき、バルブ19A、19B及びバルブ20A、20Bは閉止されており、蒸発器5とPSGC9との間は接続されていない状態となる。
又、事故時、例えば、1次冷却水喪失事故等のときには、バルブ16、18が閉止されると共にバルブ19A、19B及びバルブ20A、20Bが開放されることで、つまり、SDHS1の系へ流路を切換えることで、蒸発器5とPSGC9とが接続された状態となり、SDHS1が機能する状態となる。このとき、原子炉容器2内で発生する崩壊熱が、蒸発器5内の2次冷却水と熱交換され、蒸気を含む2相流が生成され、SDHS1の系内の自然循環により、2相流が熱と共にPSGC9に運ばれる(図1中、矢印Ar、Br参照)。熱負荷の大きい事故後初期には、PSGC9では冷却水8により水冷となり、事故後長期に渡っては、水冷用水タンク7の冷却水8が蒸発して無くなることにより空冷となって、2相流が冷却される。PSGC9と蒸発器5との間には、所定の水位差が設けられており、冷却された2次冷却水は、自重により配管10を経由して、再び蒸発器5へ供給される(図1中、矢印As、Bs参照)。このように、SDHS1では、外的な支援が無くとも、事故時の崩壊熱を除去できるように構成されている。
又、本実施例においては、待機状態における冷却塔6内へのゴミの吸入によるPSGC9の伝熱性能の劣化を防止するため、図1に示すように、冷却塔6の空冷用吸気口14、空冷用排気口15にフェイルオープン機構を採用している。上記構成では、事故時以外は冷却塔6の空冷用吸気口14、空冷用排気口15は閉じた状態であり、冷却塔6内にゴミが入ることはない。これにより、長期間の待機状態においても、ゴミによる冷却塔6内の冷却水8の汚染を防止できる。そして、事故時には、フェイルオープン機構であるため、空冷用吸気口14、空冷用排気口15は開放され、空冷用の空気の吸入及び除熱に使用した空気の排出を行うことができ、PSGC9の伝熱性能の劣化を防止して、所定の除熱量が得ることができる。
又、本実施例においては、バルブの故障等により、事故時にSDHS1の系統が不作動になるのを防止するため、SDHS1の系統を多重にしており、例えば、図1の矢印Ar−As、矢印Br−Bsの流路に示すように、配管10、バルブ19、20及びPSGC9を、少なくとも2系統以上設置するようにしている。PSGC9自体は、SDHS1が1系統の場合であっても、十分除熱できる伝熱面積を有しており、1系統のみを用いた場合であっても、崩壊熱の除熱を行うことができるものである。従って、2系統とも作動した場合は、除熱能力は1系統の場合を上回り、全く問題なく除熱を行うことができる。
図2は、本発明に係る原子炉の冷却装置の実施形態の一例を示すものであり、図1に示した原子炉の冷却装置における水冷用水タンクの部分を示す概略図である。本実施例では、上記SDHS1の基本構成を前提に、その構成を説明する。
本実施例では、事故後、水冷用水タンク7の冷却水8が除熱により徐々に蒸発し、冷却水8が低水位となったとき、PSGC9全体での除熱能力の低下を防止するため、図2に示すように、水冷用水タンク7にドレン機構21を設けたものである。ドレン機構21は、具体的には、水冷用水タンク7の底部に設けられ、冷却水8を排出するドレンライン22と、水冷用水タンク7の冷却水8が所定水位以下になると作動する水位スイッチ23(第1水位スイッチ)と、図示しないバッテリにより駆動され、水位センサ23の作動によりドレンライン22を開放するドレンバルブ24(第1電磁弁)とを有する。上記構成により、水冷用水タンク7の冷却水8の水位が所定水位以下になったことを、水位スイッチ23が検知すると、水位スイッチ23が作動し、図示しない直流バッテリの電源を用いて、ドレンバルブ24を開放して、水冷用水タンク7から冷却水8を完全に排出する。従って、冷却水8の水位が所定値まで減少すると、冷却水8が完全にドレンされることになり、速やかに空冷に移行してPSGC9は空冷となる。又、PSGC9により蒸発される冷却水8が無いため、PSGC9の空冷時の冷却能力を十分に発揮することが可能となり、必要な除熱量が確保できる。この際、ドレンバルブ24は、直流バッテリによる全閉から全開への操作のみであり、外的支援なしとするシステムには反しない。
なお、冷却水8を排出する所定水位としては、図3に示すように、所定水位におけるPSGC9の除熱能力が、空冷時のPSGC9の除熱能力を下回る水位になったときに、水位スイッチ23を作動させて、冷却水8を排出するようにする。水冷用水タンク7の冷却水8の容量や、水冷時、空冷時のPSGC9の除熱能力によるが、例えば、水冷用水タンク7の水位が1/3程度になったときに、冷却水8を排出するようにすればよい。
図4は、本発明に係る原子炉の冷却装置の実施形態の他の例を示す概略図であり、SDHS1の待機状態を示すものである。
本実施例も、上記SDHS1の基本構成を前提に、その構成を説明する。なお、図4においては、簡略にするため、SDHS1の配管系統を1系統のみ示す。
本実施例では、事故後のSDHS1において、蒸発器5へ自然循環による十分な給水量を確保するため、図4に示すように、PSGC9から蒸発器5への2次冷却水31の給水側の配管10bに、つまり、PSGC9の出口ヘッダ12の下流側に、大容量の2次冷却水31を貯留できる給水ヘッダ32(補助容器)を設けている。従来は、図4に示すような給水ヘッダ32を有していないため、PSGC9で復水される量の2次冷却水31しか、蒸発器5へ供給することができず、安定して十分な給水量を供給することができないおそれがあった。しかしながら、本実施例においては、大容量の2次冷却水31を有する給水ヘッダ32を設けたので、SDHS1の作動中に、給水ヘッダ32内での次冷却水31の水位が常に保たれ、その結果、蒸発器5に対する給水の水頭圧が保たれることとなり、自然循環による給水量を十分に確保することができる。なお、給水ヘッダ32の容量としては、蒸発器5を含むSDHS1の閉ループの容量の3割〜5割程度あれば、確実に蒸発器5への給水量を確保できる。
本実施例では、上述したSDHS1の基本構成を前提とし、同じく図4を用いて、その構成を説明する。
本実施例は、待機状態において、配管の破損が生じないようにするため、SDHS1の配管系統の水の張り方を工夫しており、具体的には、図4に示すように、バルブ19A、20Aが閉止しているとき、PAGC9の上流側、つまり、蒸気側の配管10aに窒素32を封入するようにし、給水側の配管10bのみに2次冷却水31を張るようにしたものである。従来は、待機状態において、配管全体に2次冷却水31が張られており、この場合、バルブ19Aの下部からの入熱により2次冷却水31が膨張若しくは蒸発し、配管10a自体が破損するおそれがあった。しかしながら、本実施例では、蒸気側に窒素32を封入することにより、配管10a内の圧力上昇を防止して、配管10aの破損を防止することができる。なお、蒸気側の配管10に封入する気体としては、経済性、腐食性を考慮すると、窒素が望ましいが、不活性、非凝縮性の気体であれば、他の気体でもよい。又、図4中には、窒素32の供給口を、特に図示していないが、窒素32の供給口としては、バルブ19Aより下流側の配管10aの部分であれば、どの場所に設けてもよい。
図5は、本発明に係る原子炉の冷却装置の実施形態の他の例を示すものであり、図1に示した原子炉の冷却装置におけるPSGC9の部分を示す概略図である。本実施例も、上記SDHS1の基本構成を前提にして、その構成を説明する。
PSGC9の構成を詳細に説明すると、PSGC9は、蒸発器5により加熱された2次冷却水(2相流41)を受容する入口ヘッダ11(入口容器)と、入口ヘッダ11に一端が連通される複数の伝熱管13aと、複数の伝熱管13aの他端が連通され、伝熱管13aを通過する際除熱されて、凝縮する2次冷却水を受容する出口ヘッダ12(出口容器)とを有するものである。PSGC9において、複数の伝熱管13aは、互いに平行に配置される入口ヘッダ11、出口ヘッダ12の長手方向に並列して、入口ヘッダ11、出口ヘッダ12間を連通している。
本実施例においては、PSGC9の伝熱管群13における自然循環流量の低下を防止して、必要な除熱量を確保するため、図5に示すように、出口ヘッダ12側における伝熱管13aを、鉛直下方側に勾配を付けて、出口ヘッダに接続して、伝熱管群13に勾配を持たせたものである。従来は、伝熱管群に勾配を持たせておらず、その場合、伝熱管群の口径を大きくする必要があり、高コストや空冷時の流動抵抗が増大する等の問題があった。本実施例では、伝熱管群13が勾配を持つため、凝縮量に見合った凝縮液の排出が可能となり、所望の自然循環量を確保することができる。つまり、伝熱管群13に流入した2相流41は、伝熱管群13で除熱されて、復水し、伝熱管13a内を自重で出口ヘッダ12へ落下することとなるが、伝熱管群13が適切な勾配を持つため、所望の凝縮量にすることが可能となる。なお、伝熱管群13は、所望の凝縮量に応じて、その勾配を設定するようにしており、例えば、垂直に伝熱管群13を配置してもよい。又、伝熱管の中央部分には、緩やかなS次形状の勾配が更に設けられており、この部分で伝熱管自体の熱伸びを吸収している。
本実施例は、上述したSDHS1の基本構成を前提にして、同じく図5を用いて、その構成を説明する。
PSGC9の入口ヘッダ11においては、蒸発器5から蒸気、水が混在する2相流41が流入してくる。2相流41は、主に、伝熱管群13へ流れ込み、ここで除熱されて、復水し、復水された2次冷却水42aは出口ヘッダ12を経て、給水ヘッダ33へ流入する。ところが、必ずしも全ての2相流41が伝熱管群13へ流れ込み、復水される訳ではなく、その一部は、入口ヘッダ11で復水し(図5に示す2次冷却水42b)、徐々に入口ヘッダ11の下部に滞留するようになる。そして、滞留した2次冷却水42bが、伝熱管群13の一部の伝熱管13aに流入し、2次冷却水42bにより、特に下部側の伝熱管13aが水封された状態となる。このような状態となると、水封された伝熱管13aに2相流41が流入できなくなり、PSGC9の除熱性能が低下することになる。
そこで、本実施例では、PSGC9の入口ヘッダ11の部分の液位(水位)が高くなるのを防止するため、図5に示すように、長手方向を鉛直若しくは所定角度を持って配置した入口ヘッダ11の底部から、蒸発器5への給水側の配管(本実施例では、給水ヘッダ32)に連通する配管43(第2配管)と、入口ヘッダ11の底部に滞留する2次冷却水41bが所定水位以上になると作動するフロートスイッチ45(第2水位スイッチ)と、バッテリにより駆動され、フロートスイッチ45の作動により配管43を開放するバルブ44(第2電磁弁)とを設けている。従って、入口ヘッダ11の内部に設けたフロートスイッチ45が、入口ヘッダ11の内部の水位が所定水位以上となったことを検知した場合には、閉止しているバルブ44を開放し、入口ヘッダ11の下部に滞留した2次冷却水42bを、給水ヘッダ32側へ排出するようにしている。上記構成により、PSGC9の入口ヘッダ11の部分の水位が高くなると、バルブ44が開いて、入口ヘッダ11の部分の水位が所定値以上にならないようにすることができ、全ての伝熱管群13に蒸発器5からの2相流41が流入されて、PSGC9の除熱性能を低下させることなく、2相流41を除熱し、復水することができる。本実施例においては、入口ヘッダ11の内部に設けたフロートスイッチ45を用いて、バルブ44を駆動しているため、外的支援無しにSDHS1を作動可能である。
本発明に係る原子炉の冷却装置の基本構成を説明する概略図である。 本発明に係る原子炉の冷却装置の実施形態の一例(実施例1)を示す概略図である。 実施例3における水冷と空冷の切換の目安を説明するグラフである。 本発明に係る原子炉の冷却装置の実施形態の他の例(実施例2、3)を示す概略図である。 本発明に係る原子炉の冷却装置の実施形態の他の例(実施例4、5)を示す概略図である。
符号の説明
1 自立型直接除熱系(SDHS)1
2 原子炉容器
3 炉心
4 1次冷却水
5 蒸発器
6 冷却塔
7 水冷用水タンク
8 冷却水
9 静的SG冷却器(PSGC)
10 配管
11 入口ヘッダ
12 出口ヘッダ
13 伝熱管群
14 空冷用吸気口
15 空冷用排気口
16、18、19A、19B、20A、20B バルブ
17 逆止弁
21 ドレン機構
22 ドレンライン
23 水位スイッチ
24 ドレンバルブ
31 2次冷却水
32 給水ヘッダ
33 窒素
41 2相流
42a、42b 凝縮水
43 配管
44 バルブ
45 フロートスイッチ

Claims (6)

  1. 原子炉容器内の炉心を冷却する一次冷却水中に配置された複数の第1熱交換器と、冷却塔の水冷用水タンクの冷却水中に、前記第1熱交換器より高い位置になるように配置された第2熱交換器と、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とを接続し、2次冷却水を循環させる配管と、前記配管に設けられた切換弁とを有し、
    前記第2熱交換器から前記第1熱交換器への2次冷却水の給水側の配管に、大量の2次冷却水を貯留する補助容器を設けたことを特徴とする原子炉の冷却装置。
  2. 原子炉容器内の炉心を冷却する一次冷却水中に配置された複数の第1熱交換器と、冷却塔の水冷用水タンクの冷却水中に、前記第1熱交換器より高い位置になるように配置された第2熱交換器と、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とを接続し、2次冷却水を循環させる配管と、前記配管に設けられた切換弁とを有し、
    前記水冷用水タンクに、前記水冷用水タンクの冷却水を排水するドレンラインと、前記水冷用水タンクが所定水位以下になると作動する第1水位スイッチと、バッテリーにより駆動され、前記第1水位スイッチの作動により前記ドレンラインを開放する第1電磁弁を設けたことを特徴とする原子炉の冷却装置。
  3. 請求項2記載の原子炉の冷却装置において、
    所定水位における前記第2熱交換器の除熱能力が、空冷時の前記第2熱交換器の除熱能力を下まわったとき、前記第1水位スイッチが作動することを特徴とする原子炉の冷却装置。
  4. 原子炉容器内の炉心を冷却する一次冷却水中に配置された複数の第1熱交換器と、冷却塔の水冷用水タンクの冷却水中に、前記第1熱交換器より高い位置になるように配置された第2熱交換器と、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とを接続し、2次冷却水を循環させる配管と、前記配管に設けられた切換弁とを有し、
    前記切換弁が閉止しているとき、前記第2熱交換器の上流側に不活性ガスを封入しておくことを特徴とする原子炉の冷却装置。
  5. 原子炉容器内の炉心を冷却する一次冷却水中に配置された複数の第1熱交換器と、冷却塔の水冷用水タンクの冷却水中に、前記第1熱交換器より高い位置になるように配置された第2熱交換器と、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とを接続し、2次冷却水を循環させる配管と、前記配管に設けられた切換弁とを有し、
    前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器により加熱された2次冷却水を受容する入口容器と、前記入口容器に一端が連通される複数の伝熱管と、前記複数の伝熱管の他端が連通され、前記複数の伝熱管を通過する際除熱されて、凝縮する2次冷却水を受容する出口容器とを有し、
    前記出口容器側における前記複数の伝熱管を、鉛直下方側に勾配を付けて、前記出口容器に接続したことを特徴とする原子炉の冷却装置。
  6. 原子炉容器内の炉心を冷却する一次冷却水中に配置された複数の第1熱交換器と、冷却塔の水冷用水タンクの冷却水中に、前記第1熱交換器より高い位置になるように配置された第2熱交換器と、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とを接続し、2次冷却水を循環させる配管と、前記配管に設けられた切換弁とを有し、
    前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器により加熱された2次冷却水を受容する入口容器と、前記入口容器に一端が連通される複数の伝熱管と、前記複数の伝熱管の他端が連通され、前記複数の伝熱管を通過する際除熱されて、凝縮する2次冷却水を受容する出口容器とを有し、
    前記入口容器の長手方向を鉛直若しくは所定角度を持って配置すると共に、前記入口容器の底部に滞留する2次冷却水が所定水位以上になると作動する第2水位スイッチと、前記入口容器の底部から前記第1熱交換器への給水側の配管に連通する第2配管と、バッテリにより駆動され、前記第2水位スイッチの作動により前記第2配管を開放する第2電磁弁とを設けたことを特徴とする原子炉の冷却装置。
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