JP2006138423A - トルクリミッター付きハンドル及びこのハンドルを備えた流体制御器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ハンドルの回転に伴って軸方向に移動する操作棒と、操作棒と同一軸線上に係脱可能に連結されたシャフトと、シャフトを操作棒に向けて付勢するバネとからなり、操作棒及びシャフトの係合部には、軸線と平行な軸平行面と、軸線に対して傾斜する傾斜面が夫々形成され、軸平行面同士はシャフトの一方向回転時に面接触し、傾斜面同士はシャフトの逆方向回転時に面接触するとともに該回転時のトルクが一定値以上のときにバネの付勢力に抗して軸方向に摺動するトルクリミッター付きハンドルとする。
【選択図】 図1
Description
このダイヤフラム弁としては、例えば図5に示すように、流路(A−1)を備えた弁箱(A)と、この流路(A−1)に対して当接離間するダイヤフラム(B)と、このダイヤフラム(B)の周縁部を固定する挟持部材(C)と、ダイヤフラム(B)の当接離間を操作する操作機構(D)と、この操作機構(D)と連結されたハンドル(E)とから構成されたものが挙げられる。
そして、ハンドル(E)を回動させると、このハンドル(E)と連結されている操作機構(D)が上下動し、この操作機構(D)の上下動によりダイヤフラム(B)が弁箱(A)の当接部分(A−2)に圧接又は離間して、流路(A−1)を開放又は閉鎖する。
このように、軟質のゴム材料によって流路(A−1)の開閉が行われるために、流体の流れに大きな抵抗を与えることがなく、しかも密封性に優れ、流体の漏洩がなく、そのうえ腐食の虞がないなど、酸等の化学薬品を遮断するには優れた特徴を備えた流体制御器であった。
すなわち、上記構成のダイヤフラム弁(Z)では、ハンドル(E)の回動によって操作機構(D)を下動させ、ダイヤフラム(B)を所定の当接部分(A−2)に圧接することによって流路(A−1)の閉鎖が行われるが、この流路閉鎖時におけるハンドル(E)の締め付けが必要以上に強くなる場合が多く、軟質のゴム材料からなるダイヤフラム(B)に過度の負荷を与えることから、長年の繰り返しの使用に伴って損傷や摩耗を生じ易く、長期間に亘って安定した流量制御を行うことができなかった。
この特許文献1の開示技術は、ダイヤフラムによる流路の開閉操作を常に一定の締め付け力で行うことができ、繰り返し使用してもダイヤフラムの摩耗や損傷が少なく、長期間に亘って安定した流量制御を行うことが可能となる優れた技術であった。
すなわち、この開示技術の構成では、ハンドルを左右どちらの方向に回動させた場合でも同じ抵抗力が働くこととなるため、本来、過剰締め付けを防止するためには、流路閉鎖方向(締め付け方向)へのハンドルの回動のみを防止すればよい(即ち、ハンドルを空回りさせる)にも拘らず、流路開放方向へのハンドルの回動までもが困難或いは不可能になってしまう場合があるという問題があった。
この開示技術は、ハンドルと弁体の間にバネを介装し、弁体が弁座に当接した後はバネの収縮によりハンドルの下降距離を吸収させることによって、過剰な押圧力が弁体に加わることを防ぐ構成としたものである。
請求項2に係る発明は、前記シャフトに外嵌されて該シャフトと一体的に回転する蓋体を備え、前記蓋体は操作棒に対し回転可能且つ上下動不可能に連結され、前記バネは該蓋体の内部空間に収容され、前記シャフトは該内部空間内にて上下動可能とされてなることを特徴とする請求項1記載のトルクリミッター付きハンドルに関する。
請求項3に係る発明は、前記シャフトにスプラインが設けられ、前記蓋体に該スプラインの歯に噛み合い且つ該歯厚よりも長い溝が設けられ、これらスプラインと溝の噛み合いによりシャフトと蓋体が連結されてなることを特徴とする請求項2記載のトルクリミッター付きハンドルに関する。
請求項5に係る発明は、前記シャフトに外嵌されて該シャフトと一体的に回転する蓋体を備え、前記蓋体は操作棒に対し回転可能且つ上下動不可能に連結され、前記バネは該蓋体の内部空間に収容され、前記シャフトは該内部空間内にて上下動可能とされてなることを特徴とする請求項4記載の流体制御器に関する。
請求項6に係る発明は、前記シャフトにスプラインが設けられ、前記蓋体に該スプラインの歯に噛み合い且つ該歯厚よりも長い溝が設けられ、これらスプラインと溝の噛み合いによりシャフトと蓋体が連結されてなることを特徴とする請求項5記載の流体制御器に関する。
請求項2に係る発明によれば、蓋体によるシャフトの回転が可能となるので操作性に優れるとともに、蓋体内に構成要素を収容することで確実で安定した動作を得ることができる。
請求項3に係る発明によれば、シャフトと蓋体とを確実に一体的に回転させることができるとともに、蓋体の内部においてシャフトの回転を確実に防ぎつつシャフトの上下動を許容することが可能となる。
請求項5に係る発明によれば、蓋体によるシャフトの回転が可能となるので操作性に優れるとともに、蓋体内に構成要素を収容することで確実で安定した流路の開閉動作を得ることができる。
請求項6に係る発明によれば、シャフトと蓋体とを確実に一体的に回転させることができるとともに、蓋体の内部においてシャフトの回転を確実に防ぎつつシャフトの上下動を許容することが可能となる。
本発明に係るトルクリミッター付きハンドルは、ハンドルの回転動作により軸方向に移動(例えば上下動)する操作棒を有し、この操作棒の移動によって弁の開閉等の操作を行うことができる機器において用いられるものであって、トルク管理が必要である(過剰トルクの発生を防ぐ必要がある)任意の機器に対して適用可能である。その用途については特に限定されるものではないが、本明細書ではその代表的な適用例である流体制御器について説明する。
図2示の如く、本発明に係る流体制御器(1)は、流路(21)が設けられた弁箱(2)と、前記流路(21)を開放又は閉鎖する弁体(3)と、この弁体(3)の周縁部を弁箱(2)との間で挟持固定する挟持部材(ボンネット)(4)と、弁体(3)の上面側にその下端部が接続されて設けられた操作棒(5)と、この操作棒(5)を上下動させるハンドル(6)とを備えている。
但し、本発明の適用対象はダイヤフラム弁に限定されず、過度の締め付けによる変形が懸念される流体制御器全般に対して適用可能であり、例えば、ダイヤフラム弁以外に、ディスク弁、ニードル弁、プラグ弁、ベローズ弁等に対して適用することができる。
従って、本発明における弁体(3)には、ダイヤフラム以外にこれら他の種類の流体制御器に用いられる流路を開閉するための弁体も含まれるものである。
図3は操作棒(5)の上端部に形成された係合部(51)の六面図であり、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は背面図である。尚、シャフト(7)の下端部に形成された係合部(71)は、この図3の上下を反対にした形状である。
底部水平面(13a)は軸平行面(10a)の下辺と連続して形成され、先端水平面(12a)は軸平行面(10a)の上辺と連続して形成されている。また、底部水平面(13b)は軸平行面(10b)の上辺と連続して形成され、先端水平面(12b)は軸平行面(10b)の下辺と連続して形成されている。
これにより、先端水平面(12a)(12b)、軸平行面(10a)(10b)、底部水平面(13a)(13b)は階段状になっており(図3(a)参照)、先端水平面(12a)と底部水平面(13b)が互いに面接触すると、同時に先端水平面(12b)と底部水平面(13a)も互いに面接触する。
操作棒(5)の上端部に形成された傾斜面(11a)は上向きに拡がる三角形状であり、シャフト(7)の下端部に形成された傾斜面(11b)は下向きに拡がる三角形状である。そして、軸平行面(10a)(10b)はこれらの傾斜面(11a)(11b)が連続して形成されていることにより、長方形状の一方(右又は左)の側部が切り欠かれた直角台形状となっている(図3(b)参照)。
また、平面視における軸平行面(10a)(10b)と傾斜面(11a)(11b)のなす角度(図3にβで示す)は、例えば120〜150°の範囲、好ましくは130〜140°の範囲とされる。
スプライン(14)はシャフト(7)よりも径大とされており、このスプライン(14)の上面には、蓋体(8)の内部空間(81)に収容されたバネ(9)の下端部が当接している。
縦方向溝(82)はスプライン(14)の歯厚よりも長く形成されており、これによって、スプライン(14)は蓋体(8)の内部空間(81)において上下方向に移動可能となっている。
尚、本明細書でいう係合とは、シャフト(7)の回転トルクが操作棒(5)へと伝達され得る状態を指し、具体的には互いの軸平行面(10a)(10b)同士もしくは傾斜面(11a)(11b)同士が互いに滑ることなく面接触している状態を指す。
また、蓋体(8)の天井部には、上下方向に貫通するネジ孔が形成されており、このネジ孔には埋め込みボルト(16)が螺着されている。
埋め込みボルト(16)の下端部はバネ受け(15)の上面に当接しており、埋め込みボルト(16)をネジ孔に沿って前進及び後退させることにより、バネ(9)の長さを変化させることができ、これによってバネ(9)の付勢力を調整することが可能となっている。
連結部材(17)は略円筒形状の部材であって、その外周面に蓋体(8)が嵌め込まれている。また、操作棒(5)の非円形断面部(52)の下方には鍔状部(53)が形成されており、この鍔状部(53)を連結部材(17)とその下方に配置された支持部材(19)により挟んでボルト止めすることにより、連結部材(17)が操作棒(5)に対して上下動できないようになっている。
これにより、蓋体(8)は、連結部材(17)に対して回転することは可能であるが、上下方向には移動不可能となっている。ここで、操作棒(5)と連結部材(17)は互いに固定されているので、蓋体(8)は、操作棒(5)に対しても回転可能であるが上下方向には移動不可能となっている。
このとき、回転に伴って、傾斜面(11b)が傾斜面(11a)に対して上方に滑ろうとする力が作用するが、シャフト(7)の回転トルクが小さい場合には、バネ(9)の付勢力によって生じる傾斜面同士の間の摩擦力の方が大きいため、傾斜面同士は互いに摺動することなく、シャフト(7)の回転トルクがそのまま操作棒(5)へと伝達され、操作棒(5)も同じ方向(時計回り方向)に回転する(図示略)。
そして、更に回転を続けると、傾斜面(11b)は傾斜面(11a)に沿って更に上方へと摺動し、シャフト(7)が完全に操作棒(5)の上に乗り上げ(図4(d)参照)、シャフト(7)は空回りするようになる。
流路(21)を開放する場合、ハンドル(6)の蓋体(8)をシャフト(7)と共に緩み方向(反時計回り)に回転させる。
すると、操作棒(5)の軸平行面(10a)とシャフト(7)の軸平行面(10b)とが面接触するので、シャフト(7)の回転トルクがそのまま操作棒(5)へと伝達される。
これにより、操作棒(5)も同じ方向(反時計回り方向)に回転して上昇するので、ダイヤフラム(3)が流路(21)のシール座(22)から離間して流路(21)が開放される。
すると、操作棒(5)の傾斜面(11a)とシャフト(7)の傾斜面(11b)とが面接触する。
このとき、傾斜面(11b)が傾斜面(11a)に対して上方に滑ろうとする上向きの力が作用するが、シャフト(7)の回転トルクが一定値未満であると、バネ(9)の付勢力がこの上向きの力よりも大きいためにバネの収縮が起こらず、傾斜面同士は互いに摺動することなく、シャフト(7)の回転トルクがそのまま操作棒(5)へと伝達される。
これにより、操作棒(5)も同じ方向(時計回り方向)に回転して下降するので、ダイヤフラム(3)が流路(21)のシール座(22)に当接して流路(21)が閉鎖される。
バネ(9)が収縮すると、傾斜面(11b)が傾斜面(11a)に沿って上方へと摺動するので(図4(c)参照)、シャフト(7)の回転トルクが操作棒(5)へと伝達されなくなって操作棒(5)は回転しなくなる。
そして、更に回転を続けると、傾斜面(11b)は傾斜面(11a)に沿って更に上方へと摺動し、シャフト(7)が完全に操作棒(5)の上に乗り上げるため、シャフト(7)が空回りするようになり(図4(d)参照)、ダイヤフラム(3)に過剰な圧力が加わるのを防ぐことができる。
ハンドル(6)の蓋体(8)を緩み方向(反時計回り)に回転させると、バネ(9)の付勢力によってシャフト(7)の傾斜面(11b)が操作棒(5)の傾斜面(11a)に沿って下方へと摺動し、操作棒(5)の軸平行面(10a)とシャフト(7)の軸平行面(10b)とが面接触するようになる。
これにより、シャフト(7)の回転トルクがそのまま操作棒(5)へと伝達されるようになるので、上述したように流路を開放することができる。
しかし、シャフト(7)が空回りするようになることで、操作者に対して回転を中止してもよい旨のシグナル(感覚)をより確実に伝えることが可能となるため、シャフト(7)が完全に操作棒(5)の上に乗り上げるように構成することが好ましい。この構成は、過剰トルクが加わった時のバネ(9)の収縮量が、係合部における軸平行面の長さ(高さ)よりも大きくなるように設定することで容易に得ることができる。
これにより、ダイヤフラム(3)に過剰な圧力が加わって損傷することを防止することが可能となる。
2 弁箱
21 流路
3 弁体(ダイヤフラム)
4 挟持部材
5 操作棒
51 操作棒の係合部
6 ハンドル
7 シャフト
71 シャフトの係合部
8 蓋体
81 蓋体の内部空間
82 縦方向溝
9 バネ
10a 操作棒の軸平行面
10b シャフトの軸平行面
11a 操作棒の傾斜面
11b シャフトの傾斜面
14 スプライン
Claims (6)
- ハンドルの回転に伴って軸方向に移動する操作棒と、該操作棒と同一軸線上に係脱可能に連結されたシャフトと、該シャフトを操作棒に向けて付勢するバネとからなり、前記操作棒及びシャフトの係合部には、軸線と平行な軸平行面と、軸線に対して傾斜する傾斜面が夫々形成され、前記軸平行面同士はシャフトの一方向回転時に面接触し、前記傾斜面同士はシャフトの逆方向回転時に面接触するとともに該回転時のトルクが一定値以上のときに前記バネの付勢力に抗して軸方向に摺動することを特徴とするトルクリミッター付きハンドル。
- 前記シャフトに外嵌されて該シャフトと一体的に回転する蓋体を備え、前記蓋体は操作棒に対し回転可能且つ上下動不可能に連結され、前記バネは該蓋体の内部空間に収容され、前記シャフトは該内部空間内にて上下動可能とされてなることを特徴とする請求項1記載のトルクリミッター付きハンドル。
- 前記シャフトにスプラインが設けられ、前記蓋体に該スプラインの歯に噛み合い且つ該歯厚よりも長い溝が設けられ、これらスプラインと溝の噛み合いによりシャフトと蓋体が連結されてなることを特徴とする請求項2記載のトルクリミッター付きハンドル。
- 流路が設けられた弁箱と、前記流路を開放又は閉鎖する弁体と、該弁体に接続された操作棒と、回転により該操作棒を上下動させるハンドルとが備えられてなる流体制御器であって、前記ハンドルは、操作棒と同一軸線上に係脱可能に連結されたシャフトと、該シャフトを操作棒に向けて付勢するバネとからなり、前記操作棒及びシャフトの係合部には、軸線と平行な軸平行面と、軸線に対して傾斜する傾斜面が夫々形成され、前記軸平行面同士はシャフトの一方向回転時に面接触し、前記傾斜面同士はシャフトの逆方向回転時に面接触するとともに該回転時のトルクが一定値以上のときに前記バネの付勢力に抗して軸方向に摺動することを特徴とする流体制御器。
- 前記シャフトに外嵌されて該シャフトと一体的に回転する蓋体を備え、前記蓋体は操作棒に対し回転可能且つ上下動不可能に連結され、前記バネは該蓋体の内部空間に収容され、前記シャフトは該内部空間内にて上下動可能とされてなることを特徴とする請求項4記載の流体制御器。
- 前記シャフトにスプラインが設けられ、前記蓋体に該スプラインの歯に噛み合い且つ該歯厚よりも長い溝が設けられ、これらスプラインと溝の噛み合いによりシャフトと蓋体が連結されてなることを特徴とする請求項5記載の流体制御器。
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