JP2006135688A - 音響装置、音響入出力装置、及び遠隔会議システム - Google Patents

音響装置、音響入出力装置、及び遠隔会議システム Download PDF

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Abstract

【課題】 会議室の設定作業が非常に簡単で、会議出席者の人数が変更になった場合でも容易にマイクロフォンやスピーカの数量を変更できる遠隔会議システム、音響入出力装置、及び音響装置を提供する。
【解決手段】 音響装置を、平板状の固定電極と平板状の振動板を備えたコンデンサ型デバイスを、スピーカまたはマイクロフォンのいずれか一方として選択して使用することができるパネル型の音声入出力デバイスとして構成する。また、音響入出力装置は、複数の音響装置をパネル状に配置して、話者や聴取者の位置に応じてスピーカまたはマイクロフォンに設定する音響装置の数量や配置を変更することができるように構成する。さらに、遠隔会議システムを、2つ以上の音響入出力装置を互いに接続し、使用形態の設定などに応じてスピーカまたはマイクロフォンに設定する音響装置の数量や配置を変更できるように構成する。
【選択図】 図6

Description

この発明は、平面コンデンサ型デバイスをスピーカまたはマイクロフォンとして切り替えて動作させる音響装置、この音響装置を複数備えた音響入出力装置、及びこの音響入出力装置を複数備えた遠隔会議システムに関する。
遠隔の会議室相互間で音声や映像をやりとりできるように接続して遠隔会議を行うための遠隔会議システムが種々提案されている。遠隔会議システムでは、各会議室に、会議出席者の発言した音声を収音するマイクロフォン、及び相手側の会議室で収音した音声を放音するスピーカを設置する。マイクロフォン及びスピーカの設置形態としては、各出席者用のマイクロフォンを設ける形態、会議室全体用のマイクロフォンを設ける形態、各出席者用のスピーカまたはイヤホンを設ける形態、会議室全体用のスピーカを設ける形態など様々な形態が考えられる。
このうち、各出席者用のマイクロフォンを設ける形態では、従来、各出席者用のスピーカを設けずに、1つまたは複数のスピーカを複数の出席者で共用していた。そのため、ディスプレイに映し出された発言者と、発言者の音声とが異なる位置から聞こえてくるため、臨場感が高くないという問題があった。
そこで、このような問題に対して、会議出席者毎にマイクロフォン及びスピーカを設けるとともに、1つの音声チャンネルを用いて臨場感にあふれた遠隔会議を実現できる遠隔会議用情報送信装置及び情報受信装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平07−58859号公報
従来の遠隔会議システムでは、会議出席者の人数に応じて複数のマイクロフォン及びスピーカを用意して、座席配置に応じて配線を行わなければならず、また、会議出席者の人数が変更になった場合には、マイクロフォンやスピーカの数を変更しなければならず、遠隔会議を行うために会議室の設定作業が非常に煩雑であるという問題があった。
また、遠隔会議中においても、マイクロフォンが集中的に必要な状況や、スピーカが集中的に必要な状況が発生することがある。しかし、この場合には、会議中であるためにマイクロフォンやスピーカの数を変更することができず、発言者(話者)が発言した音声をすべての聴取者に放音できなかったり、発言者(話者)が発言した音声をうまく収音できなかったりして、臨場感に欠けた会議となることがあった。
そこで、この発明は、会議室の設定作業が非常に簡単で、会議に出席している話者や聴取者の位置に応じて容易にマイクロフォンやスピーカの数量を変更できる遠隔会議システム、この遠隔会議システムを構成する音響入出力装置、及び、この音響入出力装置を構成する音響装置を提供することを目的とする。
この発明は、上記の課題を解決するための手段として、以下の構成を備えている。
(1)平板状の固定電極と平板状の振動板とを対向配置した平面コンデンサ型デバイスと、
切替スイッチを介して前記固定電極に接続され、入力信号を増幅してその信号に応じた信号電圧を前記固定電極に印加して前記振動板を振動させる放音信号増幅手段と、
切替スイッチを介して前記固定電極に接続され、前記振動板の振動により前記固定電極の静電容量が変化して発生する信号電圧を増幅して出力する収音信号増幅手段と、
前記切替スイッチを含み、この切替スイッチを切り替えて、前記平面コンデンサ型デバイスを、前記放音信号増幅手段から印加された入力信号電圧に応じた前記振動板の振動により音波を放音するスピーカとして動作させるか、または前記平面コンデンサ型デバイスを、外部から伝搬した音波を収音してこの音波に応じた前記振動板の振動により発生する信号電圧を前記収音信号増幅手段へ印加するマイクロフォンとして動作させる接続切替手段と、
を備えたことを特徴とする。
この構成においては、音響装置では、接続切替手段により切替スイッチを切り替えて平面コンデンサ型デバイスと前記放音信号増幅手段とを接続した場合、入力信号に応じた電圧が固定電極に印加されるので、平面コンデンサ型デバイスでは、この電圧に応じて固定電極と振動板との間の静電容量が変化して振動板が振動して音波が発生する。したがって、平面コンデンサ型デバイスを、入力信号に応じた音波を放音するスピーカとして動作させることができる。
また、音響装置では、接続切替手段により切替スイッチを切り替えて平面コンデンサ型デバイスと前記収音信号増幅手段とを接続した場合、外部から伝搬した音波によって平面コンデンサ型デバイスの振動板が振動すると、この振動によって振動板と固定電極との距離が変化して固定電極に生じる静電容量が変化したことにより微小電流が発生し、この微小電流が高抵抗値の抵抗素子を流れることにより得られる信号電圧を収音信号増幅手段で増幅して出力させることができる。したがって、平面コンデンサ型デバイスを、伝搬した音波を収音して音声信号を取り出すマイクロフォンとして動作させることができる。
(2)前記接続切替手段が前記平面コンデンサ型デバイスをマイクロフォンとして動作させた場合と、前記平面コンデンサ型デバイスをスピーカとして動作させた場合と、で異なるバイアス電圧を前記振動板に印加するバイアス手段を備えたことを特徴とする。
一般的に、平面コンデンサ型デバイスをマイクロフォンとして使用する場合と、スピーカとして使用する場合と、ではバイアス電圧を異なる値に設定することで、適正に音声を収音または放音させることができる。この構成においては、平面コンデンサ型デバイスをマイクロフォンとして動作させる場合と、スピーカとして動作させる場合と、で異なるバイアス電圧を振動板に印加できるので、平面コンデンサ型デバイスから適正に音声を収音または放音させることができる。
(3)(1)または(2)に記載の音響装置を複数設けて、各音響装置の平面コンデンサ型デバイスをパネル状に配置し、
前記各平面コンデンサ型デバイスをマイクロフォンまたはスピーカとして動作させるべく、前記各音響装置の接続切替手段へ個別に制御信号を出力する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
この構成においては、複数の平面コンデンサ型デバイスをパネル状に配置したことにより、平面コンデンサ型デバイスをスピーカとして使用する場合に、このデバイスから放音される音波は平面波となり正面方向への指向性を有している。したがって、スピーカとして使用するものとマイクロフォンとして使用するものが混在した場合でも、マイクロフォンはスピーカの横方向に設けられるので、スピーカからマイクロフォンへの音声の回り込みを最小にすることができる。
また、音響入出力装置は、複数の音響装置を備えており、各音響装置の平面コンデンサ型デバイスを個別にマイクロフォンまたはスピーカとして切り替えて使用することができるので、マイクロフォンして使用する音響装置と、スピーカとして使用する音響装置と、の配置を音響入出力装置の使用状況に応じて様々なパターンに設定することができる。また、音響装置の総数を増加させなくても、マイクロフォンとスピーカをバランス良く配置することができる。
(4)前記制御手段は、マイクロフォンとして動作させた前記平面コンデンサ型デバイスで話者の音声を検出すると、この音声の大きさまたは音声の検出位置に応じて、マイクロフォンとして動作させる前記平面コンデンサ型デバイスの数量及び配置を変更することを特徴とする。
この構成においては、音響入出力装置は、音響装置で検出した話者の音声の大きさや検出位置に応じてマイクロフォンとして動作させる平面コンデンサ型デバイスの数量や配置を変更させる。したがって、マイクロフォンとして動作させる平面コンデンサ型デバイスの数を変更することで入力ゲインを調整することができる。また、マイクロフォンとして動作させた平面コンデンサ型デバイスで話者の音声を検出すると、その話者付近の音響装置の平面コンデンサ型デバイスのみをマイクロフォンとして動作させるようにすることで、話者の音声を効率良く収音することができる。
(5)前記制御手段は、マイクロフォンとして動作させる前記平面コンデンサ型デバイスの数量及び配置を変更して列状に配置し、前記各平面コンデンサ型デバイスが収音した信号を順次タイミングをずらして合成することを特徴とする。
この構成においては、音響入出力装置の制御手段は、平面コンデンサ型デバイスをマイクロフォンとして動作させる音響装置を列状に配置し、各平面コンデンサ型デバイスが収音した信号を順次タイミングをずらして合成することにより、収音の指向性を制御することができる。したがって、音響装置によってマイクロフォンアレイを構成することができ、収音の指向性を制御して、特定の話者の音声のみを収音することが可能となり、収音効率を向上させることができる。
(6)聴取者の位置を検出する人感センサを複数備え、
前記制御手段は、前記人感センサで検出した聴取者の人数及び検出位置に応じて、スピーカとして動作させる前記平面コンデンサ型デバイスの数量及び配置を変更することを特徴とする。
この構成においては、音響入出力装置は、人感センサで検出した聴取者の人数や配置に応じてスピーカとして動作させる平面コンデンサ型デバイスの数量や配置を変更させる。したがって、スピーカとして動作させる平面コンデンサ型デバイスの数を変更することで出力ゲインを調整することができる。また、人感センサで検出した聴取者付近の平面コンデンサ型デバイスのみをスピーカとして動作させるようにすることで、聴取者に対して効率良く放音することができる。
(7)前記制御手段は、前記人感センサで検出した聴取者の位置情報、または予め設定された聴取者の位置情報に基づいて、スピーカとして動作させる前記平面コンデンサ型デバイスの数量及び配置を変更して列状に配置し、前記各平面コンデンサ型デバイスの放音タイミングを変更することを特徴とする。
この構成においては、音響入出力装置の制御手段は、スピーカとして動作させる平面コンデンサ型デバイスを列状に配置し、各平面コンデンサ型デバイスの放音タイミングを変更するので、放音の指向性を制御して、聴取者が居る位置にのみ放音することが可能となり、放音効率を向上させることができる。
(8)(3)乃至(7)のいずれかに記載の音響入出力装置を、異なる空間にそれぞれ設置し、各音響入出力装置における前記収音信号増幅手段の出力信号を、他の音響装置の前記放音信号増幅手段の入力信号として入力するように接続して成ることを特徴とする。
この構成においては、少なくとも2台の音響入出力装置を相互に接続することで、遠隔会議システムを構成できる。すなわち、ある音響入出力装置の収音信号増幅手段の出力信号を、他の音響入出力装置の放音信号増幅手段に入力するように相互に接続することで、遠隔会議システムを構成できる。また、3台以上の音響入出力装置で遠隔会議システムを構成する場合には、1台の音響入出力装置の収音信号増幅手段の出力を、他の音響入出力装置の放音信号増幅手段へ共通に接続する。これにより、各音響入出力装置間で相互に円滑な遠隔会議が可能になる。
なお、音響装置間の接続には、オーディオケーブル、ローカルエリアネットワーク、電話回線、インターネット、電波通信、赤外線通信等様々なものを選択的に使用することが可能である。
(9)前記各音響入出力装置は、前記パネル状に配置された複数の平面コンデンサ型デバイスにおいて、マイクロフォンとして動作させる平面コンデンサ型デバイス及びスピーカとして動作させる平面コンデンサ型デバイスの配置パターン、及び他の音響入出力装置の配置パターンに対応づけられた呼応パターンを1つまたは複数記憶するパターン記憶手段と、
前記配置パターンを選択するパターン選択手段と、を備え、
前記制御手段は、パターン選択手段で配置パターンが選択されると、他の音響入出力装置の制御手段へこの配置パターンを通知するとともに、選択された配置パターンに各平面コンデンサ型デバイスを設定し、
他の音響入出力装置の制御手段から配置パターンの通知を受けると、この配置パターンに対応づけられた呼応パターンに各平面コンデンサ型デバイスを設定することを特徴とする。
この構成においては、遠隔会議システムでは、音響入出力装置のパターン選択手段で選択された配置パターンに基づいて、パネル状に配置された複数の平面コンデンサ型デバイスの切り替えが行われる。したがって、使用形態に応じて、音響装置をスピーカやマイクロフォンとして設定することができる。例えば、一方の音響入出力装置の音響装置をすべてマイクロフォンとして動作するように設定し、他方の音響入出力装置の音響装置をすべてスピーカとして動作するように設定することが可能であり、この場合には講演などに本システムを使用できる。
この発明によれば、音響装置のコンデンサ型デバイスをパネル状に複数配置して、各音響装置の接続を切り替えて、マイクロフォンまたはスピーカとして使用することができるので、遠隔会議システムにおいてマイクロフォンやスピーカの数量や配置を、話者や聴取者の位置や使用形態に応じて設定されたモードなどにより、容易に変更することができ、目的に応じて効率良く機能させることができる。
本発明の音響装置は、平板状の固定電極と平板状の振動板とを対向配置したコンデンサ型デバイス(平面コンデンサ型デバイス)を、スピーカまたはマイクロフォンのいずれか一方として選択して使用することができるパネル型の音声入出力デバイスである。また、本発明の音響入出力装置は、複数の音響装置がパネル状に配置され、話者や聴取者の位置に応じてスピーカまたはマイクロフォンに設定する音響装置の数量や配置を変更することができる。さらに、本発明の遠隔会議システムは、2つ以上の音響入出力装置を互いに接続した構成であり、使用形態の設定に応じてスピーカまたはマイクロフォンに設定する音響装置の数量や配置を変更することができる。
以下、本発明の詳細について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る音響装置を構成するコンデンサ型デバイスの概略構成を示す断面図である。図1(A)に示すように、平面コンデンサ型デバイス11は、メッシュ加工された平板状の2層の固定電極(正極、負極)12,13の間に、通気性のない導電性薄膜からなる平板状の振動板14を、固定電極12,13に対向して配置したものである。また、本発明の実施形態に係る音響装置では、図1(B)に示すように、メッシュ加工された平板状の1層の固定電極(正極)16に、通気性のない導電性薄膜からなる平板状の振動板17を対向させた平面コンデンサ型デバイス15を用いることも可能である。
図2は、コンデンサ型デバイスをスピーカとして使用する場合、及びマイクロフォンとして使用する場合の概略構成を示すブロック図である。図2(A)に示すように、平面コンデンサ型デバイス11をスピーカとして動作させて使用する場合には、平面コンデンサ型デバイス11に増幅器(パワーアンプ)21、及びバイアス電源22を接続する。すなわち、入力端子20から入力されたオーディオ信号は、非反転電圧増幅器21Pで増幅されて、この信号に応じた電圧が平面コンデンサ型デバイス11の前面側の固定電極12に印加されるとともに、反転電圧増幅器21Nで位相の正負を反転して増幅されて、この信号に応じた電圧が平面コンデンサ型デバイス11の後面側の固定電極13に印加される。振動板14は、バイアス電源22からバイアス電圧が印加されており、固定電極12,13間の電位差に応じて発生した吸引力・反発力によって振動して、音声波となる空気振動を発生する。
図2(B)に示すように、平面コンデンサ型デバイス11をマイクロフためォンとして動作させて使用する場合には、平面コンデンサ型デバイス11に差動増幅器23、及びバイアス電源24を接続する。すなわち、固定電極12は、差動増幅器23の非反転入力端子に接続されている。また、固定電極13は、差動増幅器23の反転入力端子に接続されている。さらに、振動板14には、バイアス電源24からバイアス電圧が印加されている。振動板14と固定電極12,13とは静電結合しており、固定電極12,13には、振動板14に印加されているバイアス電圧により、振動板14との距離に応じた静電容量が生じている。外部から音声波が伝搬すると、その音声波によって振動板14が振動し、この振動によって振動板14と固定電極12,13との距離が変化するため、固定電極12,13に生じる静電容量が変化したことにより微小電流が発生し、この微小電流が高抵抗値の抵抗素子を流れることにより得られる信号電圧を差動増幅器23で増幅することにより、伝搬した音声波を出力端子25から音声信号として取り出すことができる。
また、図2(C)に示すように、平面コンデンサ型デバイス15をスピーカとして動作させて使用する場合には、平面コンデンサ型デバイス15に増幅器(パワーアンプ)27、及びバイアス電源28を接続する。すなわち、入力端子26から入力されたオーディオ信号は、非反転電圧増幅器27Pで増幅されて、この信号に応じた電圧が平面コンデンサ型デバイス15の前面側の固定電極16に印加される。振動板17は、バイアス電源28からバイアス電圧が印加されており、固定電極16との間の電位差に応じて発生した吸引力・反発力によって振動して、音声波となる空気振動を発生する。
図2(D)に示すように、平面コンデンサ型デバイス15をマイクロフォンとして動作させて使用する場合には、平面コンデンサ型デバイス15に差動増幅器29、及びバイアス電源30を接続する。すなわち、固定電極16は、差動増幅器29の非反転入力端子に接続されている。また、振動板17には、バイアス電源30からバイアス電圧が印加されている。なお、差動増幅器29の反転入力端子は、基準電圧端子またはGND端子に接続する。固定電極16と振動板17とは静電結合しており、固定電極16には、振動板17に印加されているバイアス電圧により、振動板17との距離に応じた静電容量が生じている。外部から音声波が伝搬すると、その音声波によって振動板17が振動し、この振動によって振動板17と固定電極16との距離が変化するため、固定電極16に生じる静電容量が変化したことにより微小電流が発生する。そして、この微小電流が高抵抗値の抵抗素子を流れることにより得られる信号電圧を差動増幅器で増幅することにより、伝搬した音声波を出力端子31から音声信号として取り出すことができる。
なお、振動板14に印加するバイアス電圧、及び振動板17に印加するバイアス電圧は、マイクロフォンとして動作させて使用する場合と、スピーカとして動作させて使用する場合と、で異なる値に設定すると良い。例えば、スピーカとして動作させて使用するときのバイアス電圧を、マイクロフォンとして動作させて使用するときのバイアス電圧よりも絶対値の大きな値に設定すると良い。
このように、本発明の音響装置では、固定電極が1層のタイプ及び2層のタイプのコンデンサ型デバイスを使用できるが、以下の説明では、固定電極が2層のタイプのコンデンサ型デバイスを使用した場合を例に挙げて説明する。
次に、コンデンサ型デバイスをマイクロフォンとしてとして動作させて使用する場合と、スピーカとして動作させて使用する場合の切り替えについて説明する。本発明の音響装置では、図2に基づいて説明したように、コンデンサ型デバイスをスピーカまたはマイクロフォンとして使用することができる。また、音響装置1では、平面コンデンサ型デバイス11に対するパワーアンプ21、バイアス電源22、差動増幅器23、及びバイアス電源24の接続の切り替えは、切替器34によって切り替える。
図3は、音響装置の概略構成を示すブロック図である。図3に示すように、切替器34は、双投形のスイッチ35〜37、及び切替制御端子38を備えている。スイッチ35は、第1端子35aがパワーアンプ21の非反転電圧増幅器21Pの出力側に、第2端子35bが差動増幅器23の非反転入力端子に、共通端子35cが平面コンデンサ型デバイス11の固定電極12に、それぞれ接続されている。スイッチ36は、第1端子36aがバイアス電源22に、第2端子36bがバイアス電源24に、共通端子36cが平面コンデンサ型デバイス11の振動板14に、それぞれ接続されている。スイッチ37は、第1端子37aがパワーアンプ21の反転電圧増幅器21Nの出力端子に、第2端子37bが差動増幅器23の反転入力端子に、共通端子37cが平面コンデンサ型デバイス11の固定電極13に、それぞれ接続されている。また、差動増幅器23の反転入力端子及び非反転入力端子の間には、放射ノイズなどの影響を抑制するために、図示しない抵抗が接続されている。
切替器34では、切替制御端子38から入力された制御信号に応じて、スイッチ35〜37が開閉動作を連動して行うように設定されている。すなわち、第1制御信号が切替制御端子38から入力されると、スイッチ35〜37がすべて第1端子側に切り替わり、第2制御信号が切替制御端子38から入力されると、スイッチ35〜37はすべて第2端子側に切り替わる。これにより、切替制御端子38から入力した信号に応じて、音響装置1をスピーカまたはマイクロフォンとして切り替えて使用することができる。
なお、平面コンデンサ型デバイス11の振動板14にバイアス電圧を印加するバイアス電源は、上記のようにスイッチ36によりバイアス電源22とバイアス電源24を切り替える構成に代えて、以下のような構成にすることもできる。すなわち、平面コンデンサ型デバイス11の振動板14にバイアス電圧を印加するバイアス電源を常に接続しておき、制御信号に応じてバイアス電源から印加するバイアス電圧を異なる値に切り替えるように構成することも可能である。
次に、音響入出力装置の構成について説明する。図4は、音響入出力装置の概略構成を示したブロック図である。音響入出力装置2は、複数の音響装置1(図4には4つの音響装置1を示している。)、切替制御部41、出力音声処理制御部42、入力音声処理制御部43、主制御部44、人感センサ45、操作部46、記憶部47、信号入力端子48、信号出力端子49、及び制御信号端子50を備えている。
切替制御部41は、各音響装置1における切替器34の切替制御端子38に接続されており、制御信号を出力して、各音響装置1をスピーカまたはマイクロフォンとして使用するための切り替えを行う。
出力音声処理制御部42は、各音響装置1の入力端子に接続されている。出力音声処理制御部42は、音響装置1の平面コンデンサ型デバイス11をスピーカとして使用する場合に、音響装置1から放音させる音声の周波数特性の補正を行う出力音質調整部51を備えている。また、出力音声処理制御部42は、平面コンデンサ型デバイス11をスピーカとして使用する場合に、音響装置1から放音させる音声の出力ゲイン調整を行う出力ゲイン調整部52を備えている。
入力音声処理制御部43は、各音響装置1の出力端子に接続されている。入力音声処理制御部43は、音響装置1の平面コンデンサ型デバイス11をマイクロフォンとして使用する場合に、音響装置1で収音する音声の周波数特性の補正を行う入力音質調整部53を備えている。また、入力音声処理制御部43は、平面コンデンサ型デバイス11をマイクロフォンとして使用する場合に、音響装置1で収音する音声の入力ゲイン調整を行う入力ゲイン調整部54を備えている。
主制御部44は、切替制御部41、出力音声処理制御部42、及び入力音声処理制御部43に制御信号を出力して、これら各部の動作を制御する。
人感センサ45は、音響入出力装置2の各音響装置1の前面に居る話者や聴取者の有無を判別する。
操作部46は、話者や聴取者の位置情報の入力、音響入出力装置2の使用形態に応じて使用モードの設定などを行うためのものである。
記憶部47は、マイクロフォンとして動作させる平面コンデンサ型デバイス11の配置パターン、及びスピーカとして動作させる平面コンデンサ型デバイス11の配置パターンや、他の音響入出力装置2で選択された配置パターンに対応する呼応配置パターンを1つまたは複数記憶する。
信号入力端子48は、別の音響入出力装置2から出力された音声信号を入力するためのものであり、出力音声処理制御部42を介して各音響装置1の入力端子20に接続された複数の端子から成る。
信号出力端子49は、別の音響入出力装置2へ音声信号を出力するためのものであり、入力音声処理制御部43を介して各音響装置1の出力端子25に接続された複数の端子から成る。
制御信号端子50は、別の音響入出力装置2と情報をやりとりするために、各音響入出力装置2の主制御部44間を接続するためのものである。
図5は、音響入出力装置の正面図の一例である。図5に示すように、音響入出力装置2は、音響装置1の平面コンデンサ型デバイス11を複数、パネル状に隣接して配列して構成する。図5には、一例として縦5枚、横11枚の合計55枚の平面コンデンサ型デバイス11をマトリックス配列したパネル状の音響入出力装置2を示している。
音響入出力装置2は、例えばホワイトボードのように壁掛け型の装置として構成したり、ホワイトボードのように自立型の装置として構成することが好ましい。また、パネル状の音響入出力装置2の表面を白色で構成すれば、テレビ会議システム用の投影型テレビスクリーンとして使用することができる。
なお、音響入出力装置2の音響装置1の数と形状は、図に示したものに限定されない。
音響入出力装置2は、人感センサ45や操作部46から入力された話者や聴取者の位置情報や、別の音響入出力装置2から送られてきた情報に基づいて、各音響装置1をマイクロフォンまたはスピーカとして動作するように個別に設定することができる。また、音響入出力装置2は、上記のように複数の音響装置1をマトリックス配列した音響装置1を例えば列毎にグループ化して、グループ毎にマイクロフォンまたはスピーカとして動作するように設定することもできる。
図6は、本発明の実施形態に係る遠隔会議システムの概略構成を示すブロック図である。図6には、一例として、2台の音響入出力装置2による最小構成の遠隔会議システム3を示している。
2台の音響入出力装置2によって遠隔会議システム3を構成する場合には、会議室A側に設置した音響入出力装置2(以下、音響入出力装置2aとも称する。)の信号入力端子48と、会議室B側に設置した音響入出力装置2(以下、音響入出力装置2bとも称する。)の信号出力端子49を接続し、会議室A側に設置した音響入出力装置2aの信号出力端子49と、会議室B側に設置した音響入出力装置2bの信号入力端子48を接続する。また、音響入出力装置2aの制御信号端子50と、音響入出力装置2bの制御信号端子50と、を接続する。
なお、両音響入出力装置2a,2b間の接続には、オーディオケーブル、ローカルエリアネットワーク、電話回線、インターネット、電波通信、赤外線通信など信号の送受信を行うことができるものであれば、どのようなものを使用しても良い。
また、遠隔会議システム3の使用形態に応じて、音響入出力装置2の信号入力端子48と信号出力端子49との間を、1本乃至複数のケーブルで接続することで、モノラル音声、ステレオ音声、マルチチャンネル音声のいずれかをやりとりすることができる。
音響入出力装置2では、前記のように、出力音声処理制御部42の出力ゲイン調整部52によってスピーカとして使用する平面コンデンサ型デバイス11の出力ゲインを調整できるが、さらに、スピーカとして使用する平面コンデンサ型デバイス11の数量を増減させることでも、出力ゲインを調整できる。例えば、主制御部44は、出力ゲインが小さい場合には、切替制御部41へ制御信号を出力して、マイクロフォンとして動作する音響装置1を、スピーカとして動作するように、出力ゲインに応じた数量の音響装置1の動作を切り替えさせる。これにより、音響入出力装置2において、スピーカとして使用する音響装置1の数量が増加するので、音響入出力装置2におけるトータルの出力ゲインを増加させることができる。
一方、主制御部44は、出力ゲインが大きい場合には、切替制御部41へ制御信号を出力して、スピーカとして動作する音響装置1をマイクロフォンとして動作するように、出力ゲインに応じた数量の音響装置1の動作を切り替えさせる。これにより、スピーカとして使用する音響装置1の数量が減少するので、音響入出力装置2におけるトータルの出力ゲインを減少させることができる。
また、音響入出力装置2では、前記のように、入力音声処理制御部43の入力ゲイン調整部54によってマイクロフォンとして使用する平面コンデンサ型デバイス11の入力ゲインを調整することができるが、さらに、マイクロフォンとして使用する平面コンデンサ型デバイス11の数量を増減させて、入力ゲインを調整することもできる。例えば、音響入出力装置2の主制御部44は、話者の音声のゲインが大きい場合には、切替制御部41へ制御信号を出力して、マイクロフォンとして動作する音響装置1をスピーカとして動作するように、ゲインに応じた数量の音響装置1の動作を切り替えさせる。これにより、マイクロフォンとして使用する音響装置1の数量が減少するので、音響入出力装置2におけるトータルの入力ゲインを減少させることができる。
一方、音響入出力装置2のマイクロフォンとして動作する音響装置1で検出した話者の音声のゲインが小さい場合には、主制御部44は切替制御部41へ制御信号を出力して、スピーカとして動作する音響装置1をマイクロフォンとして動作するように、ゲインに応じた数量の音響装置1の動作を切り替えさせる。これにより、マイクロフォンとして使用する音響装置1の数量が増加するので、音響入出力装置2におけるトータルの出力ゲインを増加させることができる。
次に、遠隔会議システム3では、話者の音声を検出した音響入出力装置2が、マイクロフォンとして動作させる音響装置1の比率を増加させ、この話者の音声を放音する音響入出力装置2が、スピーカとして動作させる音響装置1の比率を増加させるように動作させることができる。このモードを設定する場合には、スピーカとして動作する音響装置1とマイクロフォンとして動作する音響装置1との比率を操作部46から予め設定・変更することが可能である。音響入出力装置2の主制御部44は、このモードが設定されると、他の音響入出力装置2の主制御部44と情報をやりとりして、他の音響入出力装置2においても、スピーカとして動作する音響装置1とマイクロフォンとして動作する音響装置1との比率を変更するように設定が行われる。いずれかの音響入出力装置2で話者の音声を検出すると、その音響入出力装置2の主制御部44は、切替制御部41へ制御信号を出力して、マイクロフォンとして動作する音響装置1の比率を増加させ、他方の音響入出力装置2においては、その音響入出力装置2の主制御部44が、切替制御部41へ制御信号を出力して、スピーカとして動作する音響装置1の比率を増加させる。これにより、遠隔会議システム3において、話者側の音響入出力装置2では話者の音声を確実に収音することができ、聴取者側の音響入出力装置2では話者の音声を確実に放音することができる。
図7は、話者検出時におけるマイクロフォン配置の制御例を示す図である。遠隔会議システム3では、音響入出力装置2に対する話者の位置が予め決まっている場合や、音響入出力装置2がマイクロフォンとして動作する音響装置1で話者の音声を検出した場合には、その音声を検出した位置付近の音響装置1をマイクロフォンとして動作するように設定し、その他の音響装置1をスピーカとして動作するように設定することができる。
例えば、遠隔会議において発言するのが話者aに固定されている場合には、音響入出力装置2の主制御部44は、切替制御部41へ制御信号を出力して、図7(A)に示すように、話者aの位置付近の音響装置1をマイクロフォンとして動作させ、他の音響装置1をスピーカとして動作させる。
また、遠隔会議において発言者が話者aに固定されていない場合には、音響入出力装置2の主制御部44は、切替制御部41へ制御信号を出力して、マトリックス配列したパネル状の音響装置1の1段分をすべてマイクロフォンとして動作させる。そして、音響入出力装置2の主制御部44は、あるタイミングで話者aが発言を開始したことをマイクロフォンとして動作する音響装置1のいずれかが検出すると、切替制御部41へ制御信号を出力して、図7(A)に示すように、話者aの位置付近の音響装置1(図では3列分の音響装置1)をマイクロフォンとして動作させ、それ以外の音響装置1をスピーカとして動作させるように切り替える。
これにより、話者の音声を確実に効率良く収音することができる。
次に、遠隔会議システム3では、音響入出力装置2に対する話者の位置が予め決まっている場合や、マイクロフォンとして動作する音響装置1で話者の音声を検出した場合には、その話者の位置情報を設定して、この話者の位置情報に基づいて、マイクロフォンとして動作させる複数の音響装置1が列状の配置となるように設定する。そして、収音の指向性が話者の方向となるように、各音響装置1の収音タイミングを調整して各音響装置1の出力した音声を合成するマイクロフォンアレイを形成することで、収音の指向性を制御することができる。
例えば、遠隔会議において発言するのが話者aに固定されている場合には、音響入出力装置2の主制御部44は、切替制御部41へ制御信号を出力して、図7(B)に示すように話者aの位置情報に基づいて、マイクロフォンとして動作させる音響装置1が列状の配列となるように設定する。また、主制御部44は、入力音声処理制御部43へ制御信号を出力して、収音の指向性が話者aの方向となるように、各音響装置1の収音タイミングを個別に変更して、各音響装置1の収音した信号を合成するように動作させる。さらに、主制御部44は、切替制御部41及び出力音声処理制御部42へ制御信号を出力して、残りの音響装置1を通常のスピーカとして動作させる。
また、遠隔会議において発言するのが話者aに固定されていない場合には、音響入出力装置2の主制御部44は、遠隔会議中にあるタイミングで話者aが発言を開始したことをマイクロフォンとして動作する音響装置1で検出すると、切替制御部41へ制御信号を出力して、話者aの音声を検出した音響装置1の位置情報などに基づいて、マイクロフォンとして動作させる音響装置1が列状の配列となるように設定する。主制御部44は、収音の指向性が話者aの方向となるように、各音響装置1の収音タイミングを個別に変更して各音響装置1の収音した信号を合成するように、入力音声処理制御部43へ制御信号を出力する。また、主制御部44は、残りの音響装置1が通常のスピーカとして動作するように、入力音声処理制御部43へ制御信号を出力する。
これにより、マイクロフォンとして動作させた音響装置1によって、話者aの方向に収音の指向性が設定されたマイクロフォンアレイを構成することができ、話者aの音声のみを確実に収音することができ、また、他のスピーカとして動作させた音響装置1によって、別の会議室に設置した音響入出力装置2によって収音した音声を放音することができる。
ここで、音響入出力装置2において音響装置1によりマイクロフォンアレイを形成した場合には、各音響装置1と話者との距離に応じて音声の検出タイミングを遅らせることで、収音の指向性を制御できる。
なお、図7(A),(B)に基づいて説明した動作を音響入出力装置2に設定した場合には、話者の音声を検出中であっても一定のタイミングで、スピーカとして動作する音響装置1をマイクロフォンとして一定期間毎に切り替えて動作させるか、1段分の音響装置1は常にマイクロフォンとして動作するように設定すると良い。これにより、他の会議出席者が話者として発言を開始した場合にも、速やかにその話者の位置付近の音響装置1をマイクロフォンとして動作するように設定したり、マイクロフォンアレイの配列を変更して他の話者の音声を収音することができる。
図8は、聴取者の位置検出によるスピーカ配列制御例を示す図である。遠隔会議システム3において、音響入出力装置2に対する聴取者の位置が予め決まっている場合や、人感センサ45で聴取者の位置を検出した場合には、その聴取者位置を設定することで、聴取者位置が設定された位置付近の音響装置1をスピーカとして動作するように設定し、その他の音響装置1をマイクロフォンとして動作するように設定することができる。
例えば、図8(A)に示すように、音響入出力装置2の主制御部44は、会議室Aにおいて聴取者の位置が固定されている場合には、切替制御部41へ制御信号を出力して、各聴取者の位置付近の音響装置1をスピーカとして動作させ、他の音響装置1をマイクロフォンとして動作させる。
また、会議室Aにおいて、音響入出力装置2の主制御部44が、図8(A)に示すように位置している聴取者A〜Dを、あるタイミングで人感センサ45により検出した場合には、切替制御部41へ制御信号を出力して、聴取者の位置付近の音響装置1をスピーカとして動作するように設定し、それ以外の他の音響装置1をマイクロフォンとして動作するように設定する。
これにより、各聴取者の正面のスピーカ(スピーカとして動作する音響装置1)から音声が放音されるので、各聴取者は別の会議室で発言している話者の音声を確実に聞き取ることができる。
次に、遠隔会議システム3において、音響入出力装置2に対する聴取者の位置が予め決まっている場合や、人感センサ45で聴取者の位置を検出した場合には、聴取者位置に基づいて、スピーカとして動作させる複数の音響装置1が列状の配置となるように設定して、放音の指向性が聴取者の方向となるように、各音響装置1の放音タイミングを調整したスピーカアレイを形成することで、放音の指向性を制御することができる。
例えば、図8(B)に示すように、会議室Aにおける聴取者の位置が固定されている場合には、音響入出力装置2の主制御部44は、各聴取者(聴取者A〜D)の位置情報に基づいて、切替制御部41へ制御信号を出力して、スピーカとして動作させる複数の音響装置1が列状の配列となるように設定する。また、主制御部44は、出力音声処理制御部42へ制御信号を出力して、放音の指向性が聴取者A〜Dの方向となるように、各音響装置1の放音タイミングを個別に変更して、各音響装置1から放音させる。さらに、主制御部44は、切替制御部41及び入力音声処理制御部43へ制御信号を出力して、残りの音響装置1を通常のマイクロフォンとして動作させる。
また、音響入出力装置2の主制御部44は、あるタイミングで人感センサ45で聴取者A〜Dを検出すると、聴取者A〜Dの位置情報に基づいて、切替制御部41へ制御信号を出力して複数の音響装置1をスピーカとして動作させて、適切な配列のスピーカアレイを形成して、聴取者A〜Dの方向に別の音響入出力装置2からの音声を放音させる。
これにより、スピーカとして動作させた音響装置1によって、聴取者A〜Dの方向に放音の指向性が設定されたスピーカアレイを構成することができ、聴取者A〜Dの方向に確実に放音することができ、また、他のマイクロフォンとして動作させた音響装置1によって、別の会議室に設置した音響入出力装置2を利用する話者の音声を確実に収音することができる。
ここで、音響入出力装置2において音響装置1によりスピーカアレイを形成した場合には、各音響装置1と話者との距離に応じて音声の出力タイミングを調整することで、放音の指向性を制御できる。
以上の説明では、遠隔会議システム3を通常の会議モードで使用する場合の設定について説明したが、遠隔会議システム3では、音響入出力装置2の使用形態に応じて異なる使用モードを設定して、音響入出力装置2の各音響装置1の動作を切り替えることができる。
例えば、遠隔会議システム3において共有視聴モードを設定して、CDプレイヤやコンピュータ(PC)などの音声出力機器の出力を各音響入出力装置2の入力端子に接続することで、音声出力機器から出力されるモノラル音声またはステレオ音声(外部入力音声)を、各音響入出力装置2で一斉に聞くことができる。共有視聴モードが設定された場合には、各音響入出力装置2の主制御部44は、切替制御部41を制御して、各音響装置1をすべてスピーカとして動作させる。したがって、音響入出力装置2は全音響装置1から外部入力音声を出力するので、各聴取者は、迫力のある音声を聴取することができる。
また、遠隔会議システム3において講演モードを設定することで、講演用の収音・拡声装置として使用することができる。すなわち、この講演モードが設定されると、話者(講演者)側の音響入出力装置2の主制御部44は、切替制御部41を制御して、各音響装置1をすべてマイクロフォンとして動作するように設定する。また、聴取者側の音響入出力装置2の主制御部44は、切替制御部41を制御して、各音響装置1をすべてスピーカとして動作するように設定する。そして、話者側の音響入出力装置2で収音したモノラル音声またはステレオ音声を、聴取者側の音響入出力装置2から放音するように設定する。したがって、話者側では、講演の聴取者側の音声を聞くためのスピーカが設けられないので、話者は講演に集中することができ、また話者の音声を確実に収音することができる。また聴取者側の音響入出力装置2は、すべての音響装置1がスピーカとして動作するので、聴取者は、適切な音量で臨場感のある音声を聴取することができる。
また、遠隔会議システム3においてコンサートモードを設定することで、演奏者と観客とが別々のホールに居る場合のPAシステムとして用いることができる。このモードを設定する場合には、演奏者側に設置した音響入出力装置2において音声を収音した音響装置1と、観客側に設置した音響入出力装置2において音声を放音する音響装置1と、が対応した位置となるように、各音響装置1につながる信号入力端子48と、各音響装置1につながる信号出力端子49と、を接続する。
ユーザが操作部46を操作して、このコンサートモードを設定すると、演奏者側の音響入出力装置2の主制御部44は、切替制御部41を制御して、音響装置1がすべてマルチチャンネルマイクロフォンとして動作するように設定する。また、観客側の音響入出力装置2の主制御部44は、切替制御部41を制御して、音響装置1がすべてマルチチャンネルスピーカとして動作するように設定する。したがって、一方の音響入出力装置2における複数のマイクロフォンによって収音された臨場感にあふれたマルチチャンネル音声が、そのまま、他方の音響入出力装置2における複数のスピーカからマルチチャンネル音声として放音されるので、観客は高臨場感の音声を楽しむことができる。
また、遠隔会議システム(テレビ会議システム)3は、2台の音響入出力装置2を1対1で接続する形態に限定されない。3台以上の音響入出力装置2をスター型または対角線型に接続した構成にしても良い。各音響入出力装置間の音声信号の伝送方式は任意である。複数の伝送方式が混在することも自由である。
例えば、遠隔会議システム3において、3方向通信モードを設定することで、3カ所の会議室に音響入出力装置2を設置して3方向通信を行う場合に、各音響入出力装置2の主制御部44は、切替制御部41を制御して、パネル状に形成した平面コンデンサ型デバイス11の右半分は一方の会議室との音声のやりとりに使用し、左半分を他方の会議室との音声のやりとりに使用するように設定する。これにより、3カ所の会議室で遠隔会議を行う場合に、どちらの会議室の話者が発言しているかを、容易に判別することができ、遠隔会議をスムーズに進めることができる。
遠隔会議システム3では、いずれかの音響入出力装置2において上記のような使用モードが操作部46で選択されると、その音響入出力装置2の主制御部44は、選択された使用モードにおけるマイクロフォンとスピーカの配置パターンを記憶部47から読み出す。そして、切替制御部41、出力音声処理制御部42、及び入力音声処理制御部43に制御信号を出力して、記憶部47から読み出した配置パターンに基づいて各平面コンデンサ型デバイス11がマイクロフォンまたはスピーカとして動作するように設定する。また、主制御部44は、遠隔会議システム3を構成する他の音響入出力装置2の主制御部44へ、この配置パターンの情報を通知する。
ここで、前記のように、各音響入出力装置2の記憶部47には、平面コンデンサ型デバイス11をマイクロフォンとして動作させる配置パターン、及び平面コンデンサ型デバイス11をスピーカとして動作させる配置パターンが予め格納されている。また、上記の講演モードのように、話者側の音響入出力装置2と聴取者側の音響入出力装置2とでは、平面コンデンサ型デバイス11の配置パターンが異なるので、記憶部47には、通知された配置パターンに対応する呼応配置パターンも予め格納されている。
したがって、他の音響入出力装置2の主制御部44は、配置パターン情報の通知を受けると、この配置パターン情報に対応する呼応配置パターンを記憶部47から読み出す。そして、切替制御部41、出力音声処理制御部42、及び入力音声処理制御部43に制御信号を出力して、記憶部47から読み出した呼応配置パターンに基づいて各平面コンデンサ型デバイス11がマイクロフォンまたはスピーカとして動作するように設定する。
以上のように、遠隔会議システム3では、話者や聴取者の位置に応じてマイクロフォンやスピーカが最適な配置となるように、平面コンデンサ型デバイス11がマイクロフォンまたはスピーカとして動作するように設定される。また、遠隔会議システム3では、操作部46で設定された使用モードに応じて、各音響入出力装置2に予め設定されたマイクロフォンとスピーカの配置パターン、またはこの配置パターンに対応する呼応配置パターンが設定される。したがって、本発明では、会議室の設定作業が非常に簡単で、会議に出席している話者や聴取者の位置に応じて容易にマイクロフォンやスピーカの数量を変更することができ、使用状況に応じて音声の収音や放音を適正な状態に設定できる遠隔会議システムを提供することができる。
本発明の実施形態に係る音響装置を構成するコンデンサ型デバイスの概略構成を示す断面図である。 コンデンサ型デバイスをスピーカとして使用する場合、及びマイクロフォンとして使用する場合の概略構成を示すブロック図である。 音響装置の概略構成を示すブロック図である。 音響入出力装置の概略構成を示したブロック図である。 音響入出力装置の正面図の一例である。 本発明の実施形態に係る遠隔会議システムの概略構成を示すブロック図である。 話者検出時におけるマイクロフォン配置の制御例を示す図である。 聴取者の位置検出によるスピーカ配列制御例を示す図である。
符号の説明
1−音響装置 2,2a,2b−音響入出力装置 3−遠隔会議システム
11,15−平面コンデンサ型デバイス 12,13,16−固定電極
14,17−振動板 20,26−入力端子
21,27−増幅器(パワーアンプ) 21N−反転電圧増幅器
21P,27P−非反転電圧増幅器 22,24,28,30−バイアス電源
23,29−差動増幅器 25,31−出力端子
34−切替器 35〜37−スイッチ 41−切替制御部
42−出力音声処理制御部 43−入力音声処理制御部
44−主制御部 45−人感センサ 46−操作部

Claims (9)

  1. 平板状の固定電極と平板状の振動板とを対向配置した平面コンデンサ型デバイスと、
    切替スイッチを介して前記固定電極に接続され、入力信号を増幅してその信号に応じた信号電圧を前記固定電極に印加して前記振動板を振動させる放音信号増幅手段と、
    切替スイッチを介して前記固定電極に接続され、前記振動板の振動により前記固定電極の静電容量が変化して発生する信号電圧を増幅して出力する収音信号増幅手段と、
    前記切替スイッチを含み、この切替スイッチを切り替えて、前記平面コンデンサ型デバイスを、前記放音信号増幅手段から印加された入力信号電圧に応じた前記振動板の振動により音波を放音するスピーカとして動作させるか、または前記平面コンデンサ型デバイスを、外部から伝搬した音波を収音してこの音波に応じた前記振動板の振動により発生する信号電圧を前記収音信号増幅手段へ印加するマイクロフォンとして動作させる接続切替手段と、
    を備えた音響装置。
  2. 前記接続切替手段が前記平面コンデンサ型デバイスをマイクロフォンとして動作させた場合と、前記平面コンデンサ型デバイスをスピーカとして動作させた場合と、で異なるバイアス電圧を前記振動板に印加するバイアス手段を備えた請求項1に記載の音響装置。
  3. 請求項1または2に記載の音響装置を複数設けて、各音響装置の平面コンデンサ型デバイスをパネル状に配置し、
    前記各平面コンデンサ型デバイスをマイクロフォンまたはスピーカとして動作させるべく、前記各音響装置の接続切替手段へ個別に制御信号を出力する制御手段と、を備えた音響入出力装置。
  4. 前記制御手段は、マイクロフォンとして動作させた前記平面コンデンサ型デバイスで話者の音声を検出すると、この音声の大きさまたは音声の検出位置に応じて、マイクロフォンとして動作させる前記平面コンデンサ型デバイスの数量及び配置を変更する請求項3に記載の音響入出力装置。
  5. 前記制御手段は、マイクロフォンとして動作させる前記平面コンデンサ型デバイスの数量及び配置を変更して列状に配置し、前記各平面コンデンサ型デバイスが収音した信号を順次タイミングをずらして合成する請求項4に記載の音響入出力装置。
  6. 聴取者の位置を検出する人感センサを複数備え、
    前記制御手段は、前記人感センサで検出した聴取者の人数及び検出位置に応じて、スピーカとして動作させる前記平面コンデンサ型デバイスの数量及び配置を変更する請求項4または5に記載の音響入出力装置。
  7. 前記制御手段は、前記人感センサで検出した聴取者の位置情報、または予め設定された聴取者の位置情報に基づいて、スピーカとして動作させる前記平面コンデンサ型デバイスの数量及び配置を変更して列状に配置し、前記各平面コンデンサ型デバイスの放音タイミングを変更する請求項6に記載の音響入出力装置。
  8. 請求項3乃至7のいずれかに記載の音響入出力装置を、異なる空間にそれぞれ設置し、各音響入出力装置における前記収音信号増幅手段の出力信号を、他の音響装置の前記放音信号増幅手段の入力信号として入力するように接続して成ることを特徴とする遠隔会議システム。
  9. 前記各音響入出力装置は、前記パネル状に配置された複数の平面コンデンサ型デバイスにおいて、マイクロフォンとして動作させる平面コンデンサ型デバイス及びスピーカとして動作させる平面コンデンサ型デバイスの配置パターン、及び他の音響入出力装置の配置パターンに対応づけられた呼応パターンを1つまたは複数記憶するパターン記憶手段と、
    前記配置パターンを選択するパターン選択手段と、を備え、
    前記制御手段は、パターン選択手段で配置パターンが選択されると、他の音響入出力装置の制御手段へこの配置パターンを通知するとともに、選択された配置パターンに各平面コンデンサ型デバイスを設定し、
    他の音響入出力装置の制御手段から配置パターンの通知を受けると、この配置パターンに対応づけられた呼応パターンに各平面コンデンサ型デバイスを設定する請求項8に記載の遠隔会議システム。
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