本願発明は、無線通信システムにおける通信チャネルの送信電力制御に関する。
無線通信システムにおけるビデオクリップ、マルチメディア、ゲーム、ビデオストリーミング等のサービスに向けて、無線通信システムにおける上り通信の遅延減少、カバレッジエリア拡大及びスループットの向上が必要となる。このようなシステムに適した通信方式として、上り高速通信チャネルによる通信の導入が検討されている(例えば非特許文献1)。既存のデータ通信チャネルによる通信、サービスに影響を与えることなく、上記のような上り高速通信チャネルによるサービスを、実現する技術が望まれている。
無線通信システムにおける上り通信チャネルの電力制御として、アウターループ電力制御やインナーループ電力制御がある(例えば、非特許文献2、非特許文献3)。このようなアウターループ電力制御やインナーループ電力制御を行う既存のシステムを活用しつつ、既存のデータ通信チャネルによる通信、サービスに影響を与えることなく、上記のような上り高速通信チャネルによるサービスを、実現する技術が望まれている。
上り高速通信チャネルのような通信チャネルが後発的に開始された場合の伝搬路状況が変化によって、既に存在する他の先発の上り通信チャネルの受信品質が影響を受ける場合がある。例えば、図20に示すように、後発の通信チャネルによる通信の開始とともに、干渉電力が増加し、先発の受信品質(例えばSIR)が急激に劣化する場合が考えられる。また、先発の上り通信チャネルの受信品質の劣化によって、先発の上り通信チャネルによる通信が切断されることもある。例えば、図20に示すように、先発の通信チャンネルの受信品質が劣化した後、電力制御によってそれが回復はすることもあり得るが、受信品質が通信に必要な受信品質を下回ったときに、先発の通信チャネルによる通信が切断されてしまう場合も考えられる。
無線通信システムにおける下り通信に関する技術として、下り高速通信チャネルを送信する際に、上りデータチャネルの目標受信SIR(Signal to Interference Ratio)を所定のオフセットだけ大きくするセルラシステムがある(特許文献1)。また、無線通信システムに関する技術として、必要な場合にだけ、移動局から品質情報を基地局へ送信する移動通信システムがある(特許文献2)。さらに、新たに呼を受け付けたとき、所定の通信品質を満たせない移動局が存在することが予測された場合に、新たな呼の受け付けを拒否する呼び受付制御方法がある(特許文献3)。
3GPP TR 25.896 V6.0.0
3GPP TS 25.214 V3.12.0
「WCDMA for UMTS(Second edition)」、WILEY 、2002年、P221
特開2002−325063
特開2003−199173
特開平8−191418
上り高速通信チャネルのような通信チャネルが後発的に開始された場合の伝搬路状況の変化によって、既に存在する他の先発の上り通信チャネルの受信品質が影響を受ける場合があるという課題がある。
また、先発の上り通信チャネルの受信品質の劣化によって、先発の上り通信チャネルによる通信(例えば、通信品質)が影響を受けるという課題がある。
さらに、先発の上り通信チャネルの受信品質の劣化によって、先発の上り通信チャネルによる通信が切断されることもあるという課題がある。
また、上り高速通信チャネルのような通信チャネルが後発的に開始された場合の伝搬路状況の変化が、先発の上り通信チャネルによる通信に与える影響を減少させようとする場合、先発の上り通信チャネルの送信電力を過剰に増加させてしまうことや、先発の上り通信チャネルの受信品質を過剰に向上させてしまうことがあるという課題がある。
さらに、先発の上り通信チャネルに関するアウターループ電力制御が行われている状況においても、上り高速通信チャネルのような通信チャネルが後発的に開始された場合の伝搬路状況の変化が先発の上り通信チャネルによる通信に与える影響を減少させる必要があるという課題がある。
また、先発の上り通信チャネルに関するアウターループ電力制御が行われている状況においても、上り高速通信チャネルのような通信チャネルが後発的に開始された場合の伝搬路状況の変化が先発の上り通信チャネルによる通信に与える影響を減少させようとした場合、先発の上り通信チャネルの送信電力を過剰に増加させてしまうことや、先発の上り通信チャネルの受信品質を過剰に向上させてしまうことがあるという課題がある。
本願発明の無線基地局は、無線ネットワーク制御装置と、無線通信装置と、を含む無線通信システムにおける無線基地局であって、前記無線ネットワーク制御装置と通信する送受信手段と、前記無線通信装置と通信し、前記無線通信装置から第1の通信チャネルと、第2の通信チャネルとを受信する無線送受信手段と、前記第1の通信チャネルの受信品質を検出し、前記受信品質とインナーループ電力制御目標値に基づいて、前記無線通信装置からの前記第1の通信チャネルの送信電力を制御するインナーループ電力制御を行い、前記無線送受信手段が前記第2の通信チャネルによる通信を開始する前に前記インナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットを加算する制御手段と、を備える。
また、好ましくは、前記送受信手段が、前記無線ネットワーク制御装置から前記電力制御オフセットを受信する。
また、好ましくは、前記制御手段が、前記電力制御オフセットを生成する。
さらに、好ましくは、前記電力制御オフセットが、前記無線基地局に接続している無線通信装置の数、前記第2の通信チャネルによる通信の開始に起因する干渉の増加、前記無線通信装置の送信電力の増加、前記無線基地局に接続している前記無線通信装置以外の他の無線通信装置の送信電力増加に起因する干渉の増加、及び、前記第1の通信チャネルによる通信のQoSの少なくとも1つに基づいて生成される。
また、好ましくは、前記制御手段が、前記第2の通信チャネルによる通信の開始以降に、前記電力制御オフセットを加算した前記インナーループ電力制御目標値から前記電力制御オフセットを減算する。
また、好ましくは、前記無線送受信手段が、前記制御装置が前記インナーループ電力制御目標値に前記電力制御オフセットを加算した後、待機時間の経過後に、前記第2の通信チャネルによる通信を開始する。
さらに、好ましくは、前記無線送受信手段が、前記待機時間に関する情報を前記無線ネットワーク制御装置から受信する。
また、好ましくは、前記制御手段が、前記待機時間に関する情報を生成する。
また、好ましくは、前記待機時間に関する情報が、前記インナーループ電力制御の速度及び前記電力制御オフセットに基づいて生成される。
さらに、好ましくは、前記制御手段が、前記無線受信手段を介して前記無線ネットワーク制御装置との間で前記インナーループ電力制御目標値を調整するアウターループ電力制御を実行し、前記インナーループ電力制御目標値に前記電力制御オフセットを加算した後に、前記アウターループ電力制御を中断し、前記アウターループ電力制御を中断した後、前記第2の通信チャネルによる通信の開始以降に、前記アウターループ電力制御を開始する。
また、好ましくは、無線送受信手段が、前記無線通信装置に対して第2の通信チャネル制御情報を送信することによって、前記第2の通信チャネルによる通信を開始する。
また、好ましくは、前記無線送受信手段が、前記第2の通信チャネルによる通信の開始前に前記無線通信装置に対して第2の通信チャネル制御情報を送信し、前記無線送受信手段を介して前記無線通信装置に対して第2の通信チャネルによる通信開始許可通知を送信することにより前記第2の通信チャネルによる通信を開始する。
さらに、好ましくは、前記無線送受信手段が、前記第2の通信チャネル情報を前記無線ネットワーク制御装置から受信する。
また、好ましくは、前記第2の通信チャネル情報は、最大送信電力、送信タイミング、拡散コード、及びデータレートのうちの少なくとも1つを含む。
また、好ましくは、前記インナーループ電力制御目標値は、信号電力対干渉電力比、及び1ビットあたりの信号電力対干渉電力比のうちいずれか1つである。
さらに、好ましくは、前記第2の通信チャネルが前記第1の通信チャネルよりも大きいデータレートの通信チャネルであり、前記第2の通信チャネルの送信電力が前記第1の通信チャネルの送信電力よりも大きい。
本願発明の無線基地局は、無線ネットワーク制御装置と、第1の無線通信装置と、第2の無線通信装置と、を含む無線通信システムにおける無線基地局であって、前記無線ネットワーク制御装置と通信する送受信手段と、前記第1及び第2の無線通信装置と通信し、前記第1の無線通信装置から第1の通信チャネルを受信し、前記第2の無線通信装置から第2の通信チャネルを受信する無線送受信手段と、前記第1の通信チャネルの受信品質を検出し、前記受信品質とインナーループ電力制御目標値に基づいて前記第1の無線通信装置からの前記第1の通信チャネルの送信電力を制御するインナーループ電力制御を行い、前記無線送受信手段が前記第2の通信チャネルによる通信を開始する前に前記インナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットを加算する制御手段と、を備える。
また、好ましくは、前記無線通信システムが前記無線基地局と異なる第2の無線基地局を備え、前記制御手段が、直接または前記無線ネットワーク制御装置を介して、前記第2の無線基地局に対して、前記第2の通信チャネルによる通信の開始に関する情報を送信する。
本願発明の無線ネットワーク制御装置は、無線基地局と、前記無線基地局に対し第1及び第2の通信チャネルを送信することにより通信する無線通信装置と、を含む無線通信システムにおける無線ネットワーク制御装置であって、前記無線基地局と通信し、前記無線基地局に対して電力制御オフセットを通知する送受信手段と、前記第2の通信チャネルによる通信の開始要求を認識し、前記電力制御オフセットを生成する制御手段と、を備え、前記電力制御オフセットが、前記第1の通信チャネルに関する前記無線基地局と前記無線通信装置との間のインナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値に加算される。
また、好ましくは、前記インナーループ電力制御は、前記無線通信装置の送信する前記第1の通信チャネルの前記無線基地局における受信品質とインナーループ電力制御目標値とに基づいて前記無線通信装置における前記第1の通信チャネルの送信電力を制御する。
また、好ましくは、前記無線受信手段が、前記無線基地局に対して待機時間に関する情報を通知し、前記待機時間は、前記インナーループ電力制御目標値に前記電力制御オフセットが加算されてから前記第2の通信チャネルによる通信の開始までの時間間隔となる。
さらに、好ましくは、前記制御手段が、前記インナーループ電力制御の速度及び前記電力制御オフセットに基づいて前記待機時間に関する情報を生成する。
また、前記電力制御オフセットが、前記無線基地局に接続している無線通信装置の数、前記第2の通信チャネルによる通信の開始に起因する干渉の増加、前記無線通信装置の送信電力の増加、前記無線基地局に接続している前記無線通信装置以外の他の無線通信装置の送信電力増加に起因する干渉の増加、及び、前記第1の通信チャネルによる通信のQoSの少なくとも1つに基づいて生成される。
本願発明の無線ネットワーク制御装置は、無線基地局と、前記無線基地局に対し第1及び第2の通信チャネルを送信することにより通信する無線通信装置と、を含む無線通信システムにおける無線ネットワーク制御装置であって、前記無線基地局と通信する送受信手段と、前記送受信手段を介して前記無線基地局との間で、前記第1の通信チャネルに関して前記無線通信装置と前記無線基地局との間で行われるインナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値を調整するアウターループ電力制御を行い、前記第2の通信チャネルによる通信の開始要求を認識した後に前記アウターループ電力制御を停止し、前記第2の通信チャネルによる通信の開始を認識した後に前記アウターループ電力制御を開始する制御手段と、を備える。
また、好ましくは、前記制御手段が、前記第2の通信チャネルによる通信の開始されたことの通知を受信することによって、前記第2の通信チャネルによる通信の開始を認識する。
また、好ましくは、前記第2の通信チャネルによる通信の開始以前に、前記インナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットが加算される。
さらに、好ましくは、前記第2の通信チャネルによる通信は、前記インナーループ電力制御目標値に前記電力制御オフセットが加算されてから、待機時間の経過後に開始され、前記送受信手段は、前記待機時間に関する通知を前記無線基地局から受信し、前記制御手段は、前記アウターループ電力制御を中断した後、前記待機時間に関する情報に応じた時間の経過後に前記アウターループ制御を開始する。
また、好ましくは、前記制御手段が、前記第2の通信チャネルによる通信の開始要求を受信することによって前記第2の通信チャネルによる通信の開始要求を認識する。
また、好ましくは、前記無線通信システムが、前記無線基地局とことなる第2の無線基地局を含み、前記制御手段が、前記第2の無線基地局に対して、前記第2の通信チャネルによる通信の開始に関する情報を送信する。
本願発明の無線通信装置は、無線ネットワーク制御装置と無線基地局を含む無線通信システムの無線通信装置であって、前記無線基地局に対して第1の通信チャネルと、前記第1の通信チャネルと異なる第2の通信チャネルと、を送信し、前記無線基地局から前記第2の通信チャネル制御情報及び前記第2の通信チャネルによる通信の開始許可通知の少なくとも1つを受信し、前記制御情報または前記開始許可通知に基づいて前記第2の通信チャネルによる通信を開始する無線送受信手段と、前記無線送受信手段を介して前記無線基地局との間で、前記第1の通信チャネルの前記無線基地局における受信品質とインナーループ電力制御目標値とに基づいて前記第1の通信チャネルの送信電力を制御するインナーループ電力制御を行う、制御手段とを備え、前記制御情報及び前記開始許可通知の少なくとも1つが、前記インナーループ電力制御の前記インナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットが加算された後に、前記無線基地局から前記無線通信装置に対して送信される。
本願発明の無線通信装置は、無線ネットワーク制御装置と無線基地局を含む無線通信システムの無線通信装置であって、前記無線基地局に対して第1の通信チャネルと、第2の通信チャネルと、を送信する、無線送受信手段と、前記無線送受信手段を介して前記無線基地局との間で、前記第1の通信チャネルの前記無線基地局における受信品質とインナーループ電力制御目標値とに基づいて前記第1の通信チャネルの送信電力を制御するインナーループ電力制御を行い、前記インナーループ電力制御の前記インナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットが加算された後に、前記無線送受信手段を介して前記第2の通信チャネルの送信を開始する制御手段と、を備える。
本願発明の無線通信装置は、無線ネットワーク制御装置と、無線基地局と、複数の無線通信装置と、を含む無線通信システムの無線通信装置であって、前記無線基地局に対して第2の通信チャネルを送信する無線送受信手段と、前記複数の無線通信装置のうちの他の無線通信装置と前記無線基地局との間で行われる、第1の通信チャネルに関するインナーループ電力制御の電力制御目標値に電力制御オフセットが加算された後に、前記無線送受信手段を介して前記第2の通信チャネルの送信を開始する制御手段と、を備える。
本願発明の無線通信システムは、無線ネットワーク制御装置と、無線基地局と、無線通信装置と、を備える無線通信システムであって、前記無線基地局は、前記無線ネットワーク制御装置と通信する基地局送受信手段と、前記無線通信装置と通信し、前記無線通信装置から第1の通信チャネルと、第2の通信チャネルとを受信する基地局無線送受信手段と、前記第1の通信チャネルの受信品質を検出し、前記受信品質とインナーループ電力制御目標値に基づいて、前記無線通信装置からの前記第1の通信チャネルの送信電力を制御するインナーループ電力制御を行い、前記基地局無線送受信手段が前記第2の通信チャネルによる通信を開始する前に前記インナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットを加算する基地局制御手段と、を備え、前記無線ネットワーク制御装置は、前記無線基地局と通信する制御装置送受信手段と、前記第2の通信チャネルによる通信の開始要求を認識し、前記制御装置送受信手段を介して、前記無線基地局に対して前記電力制御オフセットを通知する制御装置制御手段と、を備え、前記無線通信装置は、前記無線基地局に対して前記第1の通信チャネルと、前記第2の通信チャネルと、を送信する、無線通信装置送受信手段と、前記無線通信装置送受信手段を介して前記無線基地局との間で、前記インナーループ電力制御を行い、前記インナーループ電力制御の前記インナーループ電力制御目標値に前記電力制御オフセットが加算された後に、前記無線通信装置送受信手段を介して前記第2の通信チャネルの送信を開始する無線通信装置制御手段と、を備える。
本願発明の無線通信システムは、無線ネットワーク制御装置と、無線基地局と、無線通信装置と、を備える無線通信システムであって、前記無線基地局は、前記無線ネットワーク制御装置と通信する基地局送受信手段と、前記無線通信装置と通信し、前記無線通信装置から第1の通信チャネルと、第2の通信チャネルとを受信する基地局無線送受信手段と、前記第1の通信チャネルの受信品質を検出し、前記受信品質とインナーループ電力制御目標値に基づいて、前記無線通信装置からの前記第1の通信チャネルの送信電力を制御するインナーループ電力制御を行い、前記基地局無線送受信手段が前記第2の通信チャネルによる通信を開始する前に前記インナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットを加算する基地局制御手段と、を備え、前記無線ネットワーク制御装置は、前記無線基地局と通信する制御装置送受信手段と、前記制御装置送受信手段を介して前記無線基地局との間で、前記第1の通信チャネルに関して前記無線通信装置と前記無線基地局との間で行われるインナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値を調整するアウターループ電力制御を行い、前記第2の通信チャネルによる通信の開始要求を認識した後に前記アウターループ電力制御を停止し、前記第2の通信チャネルによる通信の開始を認識した後に前記アウターループ電力制御を開始する制御装置制御手段と、を備え、前記無線通信装置は、前記無線基地局に対して前記第1の通信チャネルと、前記第2の通信チャネルと、を送信する、無線通信装置送受信手段と、前記無線通信手段送受信手段を介して前記無線基地局との間で、前記インナーループ電力制御を行い、前記インナーループ電力制御の前記インナーループ電力制御目標値に前記電力制御オフセットが加算された後に、前記無線通信装置送受信手段を介して前記第2の通信チャネルの送信を開始する無線通信装置制御手段と、を備える。
本願発明の無線通信システムは、無線ネットワーク制御装置と、無線基地局と、第1及び第2の無線通信装置と、を備える無線通信システムであって、前記無線基地局は、前記無線ネットワーク制御装置と通信する基地局送受信手段と、前記第1の無線通信装置から第1の通信チャネルを受信し、前記第2の無線通信装置から第2の通信チャネルを受信する基地局無線送受信手段と、前記第1の通信チャネルの受信品質を検出し、前記受信品質とインナーループ電力制御目標値に基づいて、前記第1の無線通信装置からの前記第1の通信チャネルの送信電力を制御するインナーループ電力制御を行い、前記基地局無線送受信手段が前記第2の通信チャネルによる通信を開始する前に前記インナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットを加算する基地局制御手段と、を備え、前記無線ネットワーク制御装置は、前記無線基地局と通信する制御装置送受信手段を備え、前記第1の無線通信装置は、前記無線基地局に対して前記第1の通信チャネルを送信する、第1の無線通信装置送受信手段と、前記第1の無線通信装置送受信手段を介して前記無線基地局との間で、前記インナーループ電力制御を行う第1の無線通信装置制御手段と、を備え前記第2の無線通信装置は、前記無線基地局に対して前記第2の通信チャネルを送信する、第2の無線通信装置送受信手段と、前記インナーループ電力制御の前記インナーループ電力制御目標値に前記電力制御オフセットが加算された後に、前記無線送受信手段を介して前記第2の通信チャネルの送信を開始する第2の無線通信装置制御手段と、を備える。
本願発明の制御方法は、無線ネットワーク制御装置と、無線通信装置と、無線基地局を含む無線通信システムの制御方法であって、前記無線ネットワーク制御装置と通信し、前記無線通信装置から第1の通信チャネルを受信し、前記第1の通信チャネルの受信品質を検出し、前記受信品質とインナーループ電力制御目標値に基づいて、前記無線通信装置からの前記第1の通信チャネルの送信電力を制御するインナーループ電力制御を行い、第2の通信チャネルによる通信を開始する前に前記インナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットを加算する。
本願発明の制御方法は、無線基地局と、前記無線基地局に対し第1及び第2の通信チャネルを送信することにより通信する無線通信装置と、無線ネットワーク制御装置と、を含む無線通信システムの制御方法であって、前記無線基地局と通信し、前記第2の通信チャネルによる通信の開始要求を認識し、前記電力制御オフセットを生成し、前記無線基地局に対して電力制御オフセットを通知する制御方法であって、前記電力制御オフセットが、前記第1の通信チャネルに関する前記無線基地局と前記無線通信装置との間のインナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値に加算される。
本願発明の制御方法は、無線基地局と、前記無線基地局に対し第1及び第2の通信チャネルを送信することにより通信する無線通信装置と、無線ネットワーク制御装置と、を含む無線通信システムの制御方法であって、前記第1の通信チャネルに関して前記無線通信装置と前記無線基地局との間で行われるインナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値を調整するアウターループ電力制御を前記無線基地局との間で行い、前記第2の通信チャネルによる通信の開始要求を認識した後に前記アウターループ電力制御を停止し、前記第2の通信チャネルによる通信の開始を認識した後に前記アウターループ電力制御を開始する。
本願発明の制御方法は、無線ネットワーク制御装置と、無線基地局と、無全通信装置を含む無線通信システムの制御方法であって、前記無線基地局に対して第1の通信チャネルと、第2の通信チャネルと、を送信し、前記無線基地局との間で、前記第1の通信チャネルの前記無線基地局における受信品質とインナーループ電力制御目標値とに基づいて前記第1の通信チャネルの送信電力を制御するインナーループ電力制御を行い、前記インナーループ電力制御の前記インナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットが加算された後に、前記無線基地局に対して前記第2の通信チャネルの送信を開始する。
本願発明の制御方法は、無線ネットワーク制御装置と、無線基地局と、第1及び第2の無線通信装置と、を含む無線通信システムの制御方法であって、前記第1の無線通信装置から前記無線基地局に対して前記第1の通信チャネルを送信し、前記第2の無線通信装置から前記無線基地局に対して第2の通信チャネルを送信し、前記第2の無線通信装置と前記無線基地局との間で行われる、前記第1の通信チャネルに関するインナーループ電力制御の電力制御目標値に電力制御オフセットが加算された後に、前記第2の通信チャネルの送信を開始する。
本願発明の制御方法は、無線ネットワーク制御装置と、無線基地局と、無線通信装置と、を備える無線通信システムの制御方法であって、前記無線通信装置から前記無線基地局に対して第1の通信チャネルを送信し、前記第1の通信チャネルの受信品質を検出し、前記無線通信装置と前記無線基地局との間で前記受信品質とインナーループ電力制御目標値とに基づいて、前記無線通信装置からの前記第1の通信チャネルの送信電力を制御するインナーループ電力制御を行い、第2の通信チャネルによる通信の開始要求を認識し、電力制御オフセットを生成し、前記インナーループ電力制御目標値に前記電力制御オフセットを加算し、前記インナーループ電力制御の前記インナーループ電力制御目標値に前記電力制御オフセットが加算された後に、前記第2の通信チャネルの送信を開始する。
本願発明の制御方法は、無線ネットワーク制御装置と、無線基地局と、無線通信装置と、を備える無線通信システムの制御方法であって、前記無線通信装置から前記無線基地局に対して第1の通信チャネルを送信し、前記第1の通信チャネルの受信品質を検出し、前記無線通信装置と前記無線基地局との間で前記受信品質とインナーループ電力制御目標値とに基づいて、前記無線通信装置からの前記第1の通信チャネルの送信電力を制御するインナーループ電力制御を行い、前記無線ネットワーク制御装置と前記無線基地局との間で、前記インナーループ電力制御目標値を調整するアウターループ電力制御を行い、第2の通信チャネルによる通信の開始要求を認識した後に前記アウターループ電力制御を停止し、前記インナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットを加算し、前記第2の通信チャネルによる通信の開始を認識した後に前記アウターループ電力制御を開始し、前記インナーループ電力制御目標値に前記電力制御オフセットが加算された後に、前記第2の通信チャネルの送信を開始する。
本願発明の制御方法は、無線ネットワーク制御装置と、無線基地局と、第1及び第2の無線通信装置と、を備える無線通信システムの制御方法であって、前記第1の無線通信装置から前記無線基地局に対して第1の通信チャネルを送信し、前記第2の無線通信装置から前記無線基地局に対して第2の通信チャネルを送信し、前記第1の通信チャネルの受信品質を検出し、前記受信品質とインナーループ電力制御目標値に基づいて、前記第1の無線通信装置からの前記第1の通信チャネルの送信電力を制御するインナーループ電力制御を行い、前記第2の通信チャネルによる通信の開始要求を認識した後に電力制御オフセットを生成し、前記インナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットを加算し、前記インナーループ電力制御目標値に前記電力制御オフセットが加算された後に、前記無前記第2の通信チャネルの送信を開始する。
本願発明によれば、後発の通信チャネルによる通信に起因する先発の通信チャネルの受信品質の劣化が、先発の通信チャネルによる通信に与える影響を軽減することができる。
本願発明によれば、後発の通信チャネルによる通信に起因する先発の通信チャネルの受信品質の劣化が、先発の通信チャネルによる通信に与える影響を軽減するとともに、先発の通信チャネルの送信電力を過剰に増加することを防ぐことができる。
本願発明によれば、後発の通信チャネルによる通信に起因する先発の通信チャネルの受信品質の劣化が、先発の通信チャネルによる通信に与える影響を軽減するとともに、先発の通信チャネルの受信品質が過剰に向上することを防ぐことができる。
本願発明によれば、先発の通信チャネルに関するアウターループ電力制御が行われている状況において、後発の通信チャネルによる通信に起因する先発の通信チャネルの受信品質の劣化が、先発の通信チャネルによる通信に与える影響を軽減することができる。
本願発明によれば、先発の通信チャネルに関するアウターループ電力制御が行われている状況において、後発の通信チャネルによる通信に起因する先発の通信チャネルの受信品質の劣化が、先発の通信チャネルによる通信に与える影響を軽減するとともに、先発の通信チャネルの送信電力が過剰に増加することを防ぐことができる。
本願発明によれば、先発の通信チャネルに関するアウターループ電力制御が行われている状況において、後発の通信チャネルによる通信に起因する先発の通信チャネルの受信品質の劣化が、先発の通信チャネルによる通信に与える影響を軽減するとともに、先発の通信チャネルの受信品質が過剰に向上することを防ぐことができる。
本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。しかしながら、かかる形態は本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、図面には、かかる形態の説明に必要な構成要素のみを記載している。
実施例1について、図1乃至図7を参照して説明する。図1は、本願発明の第1の実施例の無線通信システムの構成を示す。ただし、図1には、本願発明の説明に必要な構成のみが示されている。実施例1の無線通信システムは、コアネットワーク10と、無線ネットワーク制御装置11と、無線基地局12及び13と、無線通信装置14及び15とから構成される。
図2は、無線ネットワーク制御装置11の構成を示している。無線ネットワーク制御装置10は、送受信機20と、制御回路21と、送受信機22とから構成される。
送受信装置20は、制御回路21から受信した信号/情報を無線基地局12及び13の少なくとも1つに送信する。また、送受信装置20は、無線基地局12及び13の少なくとも1つから受信した信号/情報を制御回路21に送る。
制御回路21は送受信機20を介して無線基地局12及び13の少なくとも1つから信号/情報を受信する。また、制御回路21は、無線基地局12及び13から受信した信号/情報の一部又は全部を、送受信機22を介してコアネットワーク10に対して送信する。さらに、制御回路21は、送受信機22を介してコアネットワーク10から信号/情報を受信する。また、制御回路21は、コアネットワーク10から受信した信号/情報の一部又は全部を、送受信機20を介して無線基地局12及び13の少なくとも1つに対して送信する。さらに制御回路21は、無線基地局12または13と無線通信装置14または15との間の通信に必要な信号/情報を、無線基地局12及び13の少なくとも1つに対して送信する。
送受信機22は、制御回路21から受信した信号/情報をコアネットワーク10に対して送信する。またに送受信機22は、コアネットワーク10から受信した信号/情報を制御回路22に対して送る。
図3は、無線基地局12及び13の構成を示している。無線基地局12及び13は、無線送受信機30と、制御回路31と、送受信機32とから構成されている。無線基地局12及び13は同じ構成を採用しているため、ここでは無線基地局13の構成についてのみ説明する。
送受信機32は、無線ネットワーク制御装置11から信号/情報を受信し、制御回路31に対して送る。また、送受信機32は、制御回路31から受信した信号/情報を無線ネットワーク制御装置11に対して送信する。
制御回路31は、送受信機32を介して無線ネットワーク制御装置11から信号/情報を受信する。また、制御回路31は、無線送受信機30を介して無線ネットワーク制御装置11から受信した信号/情報の一部または全部を無線通信装置14及び15の少なくとも1つに対して送信する。さらに、制御回路31は、無線送受信機32を介して無線通信装置14及び15の少なくとも1つから信号/情報を受信する。また、制御回路31は、送受信機32を介して無線通信装置14または15から受信した信号/情報を無線通信ネットワーク制御装置11に対して送信する。
制御回路31が無線通信装置14または15から受信する信号/情報には、先発の通信チャネルと、先発の通信チャネルよりも後に送受信が開始される後発の通信チャネルの少なくとも1つを含む。
以下では、先発の通信チャネルの例を上り低速通信チャネル、後発の通信チャネルの例を上り高速通信チャネルとして説明する。しかしながら、本願発明は、先発の通信チャネル及び後発の通信チャネルのデータレート、変調方法、拡散コード、種類等によって限定されるものはない。
さらに、制御回路31が無線通信装置14または15から受信する信号/情報には、上り低速通信チャネル及び上り高速通信チャネルの少なくとも1つを制御するための情報が含まれている。また、制御回路31が無線通信装置14または15に対して送信する信号/情報には、上り低速通信チャネル及び上り高速通信チャネルの少なくとも1つを制御するための情報が含まれている。制御回路31は、上り低速通信チャネルの受信品質を検出し、無線送受信機30を介して無線通信装置14及び15の少なくとも1つとの間で、上り低速通信チャネルに関するインナーループ電力制御を行う。このインナーループ電力制御は、無線基地局13における上り低速通信チャネルの受信品質とインナーループ電力制御目標値とに基づいて、無線通信装置14及び15の少なくとも1つの上り低速通信チャネル送信電力を制御するものである。さらに、制御回路31は、無線基地局13と無線通信装置14及び15の少なくとも1つとの間の上り高速通信チャネルによる通信を制御する。
好ましくは、インナーループ電力制御は、以下に説明するような制御とすることができる。無線基地局13は、所定の間隔毎に、無線通信装置15から受信した上り低速通信チャネルの受信品質を検出し、検出した受信品質とインナーループ電力制御目標値とを比較する。無線基地局13は、受信品質がインナーループ電力制御目標値を下回る場合には、送信電力増加を指示するインナーループ電力制御信号を生成し、受信品質がインナーループ電力制御目標値を上回る場合には、送信電力減少を指示するインナーループ電力制御信号を生成する。無線基地局13は、所定の間隔毎に、生成したインナーループ電力制御信号を無線通信装置13に対して送信する。無線通信装置15は、無線基地局13からインナーループ電力制御信号を受信する。無線通信装置15は、受信したインナーループ電力制御信号が送信電力増加を指示するものである場合には、上り低速通信チャネルの送信電力を所定の値だけ増加させ、受信したインナーループ電力制御信号が送信電力減少を指示するものである場合には、上り低速通信チャネルの送信電力を所定の値だけ減少させる。このような制御が繰り返されることにより、無線通信装置15の送信する上り低速通信チャネルの無線基地局13における受信品質が、インナーループ電力制御目標値付近の値となるように送信電力が調整される。また、無線基地局13と無線通信装置14との間でも、無線基地局13と無線通信装置15との間の制御と同様の制御を行うことができる。
また、好ましくは、上り低速通信チャネルの受信品質及びインナーループ電力制御目標値は、信号対干渉波電力(Signal to Interference Ratio)、または1ビットあたりの信号対干渉波電力(Eb/No)等で表すことが可能である。
図4は、無線通信装置14及び15の構成を示している。無線通信装置14及び15は、無線送受信機40と、制御回路41とから構成されている。無線通信装置14及び15は同じ構成を採用しているため、ここでは無線通信装置15の構成についてのみ説明する。
無線送受信機40は、無線基地局13から信号/情報を受信し、受信した信号/情報を制御回路41に対して送る。また、無線送受信機40は、制御回路41からの信号/情報を受信し、受信した信号を無線基地局13に対して送信する。
制御回路41は、無線送受信機40を介して無線基地局13から信号/情報を受信する。また、制御回路41は、無線送受信機40を介して無線基地局13に対して信号/情報を送信する。
制御回路41が無線基地局13に対して送信する信号/情報には、上り低速通信チャネル及び上り高速通信チャネルの少なくとも1つが含まれている。さらに、制御回路41が無線基地局13に対して送信する信号/情報には、上り低速通信チャネル及び上り高速通信チャネルの少なくとも1つを制御するための情報が含まれている。また、制御回路41が無線基地局13から受信する信号/情報には、上り低速通信チャネル及び上り高速通信チャネルの少なくとも1つを制御するための情報が含まれている。制御回路41は、無線送受信機40を介して無線基地局13との間で、上り低速通信チャネルに関するインナーループ電力制御を行う。さらに制御回路41は、無線基地局13と無線通信装置15との間の上り高速通信チャネルによる通信を制御する。
図5は、実施例1の無線通信ネットワークの動作を示している。初期の状態から、他の動作に関係なく、無線基地局13と無線通信装置14及び15との間で、上り低速通信チャネルに関するインナーループ電力制御が継続して行われている。この状況において、無線通信装置15が無線基地局13に対して、上り高速通信チャネルによる通信を制御するための情報として、上り高速通信チャネルによる通信の開始要求を通知する。具体的には、無線通信装置15の制御回路41が、無線送受信回路40を介して無線基地局13に対して開始要求を送信する。開始要求は、無線基地局13を通過して無線ネットワーク制御装置11に直接到達する。具体的には、無線ネットワーク制御装置11の制御回路21が、送受信機20を介して開始要求を受信する(S10)。ここで、ステップS10は、無線通信装置15が、上り高速通信チャネルによる通信の開始要求を、無線基地局13対して送信する構成を採用することも可能である。この場合、無線基地局13が、開始要求を受信し、さらに、開始要求を無線ネットワーク制御装置11に対して送信する。具体的には、無線基地局13の制御装置31が、無線送受信機30を介して開始通知を受信し、さらに、開始通知を、送受信機32を介して無線ネットワーク制御装置に対して送信する。無線ネットワーク制御装置11の制御回路21は、送受信機20を介して開始要求を受信する。
ここでは、無線ネットワーク制御装置11が、開始要求を無線基地局13、または無線通信装置15から受信する構成(ステップ10)を説明した。しかし、好ましくは、ステップ10を省略する構成を採用することもできる。この場合、無線ネットワーク制御装置11は、開始要求に関する情報をコアネットワーク10から取得すること、ネットワーク制御装置11が自ら上り高速通信チャネルによる通信の開始を要求すること等により、上り高速通信チャネルによる通信の開始要求を認識する構成等を採用することも可能である。
ステップS10の後、無線通信ネットワーク制御装置11は、上り低速通信チャネルによる通信を制御するための情報として、電力制御オフセット及び待機時間情報を生成し、無線基地局13に対して通知する。また、無線通信ネットワーク制御装置11は、上り高速通信チャネルによる通信を制御するための情報として、上り高速通信チャネル制御情報を生成し、無線基地局13に対して通知する。具体的には、無線通信ネットワーク11の制御回路21が、送受信機20を介して電力制御オフセットと、待機時間情報と、上り高速通信チャネル制御情報とを無線基地局13に対して送信する。無線基地局13の制御回路31は、送受信機32を介して電力制御オフセットと、待機時間情報と、上り高速通信チャネル制御情報とを受信する(S11)。無線基地局13の制御回路31は、上り低速通信チャネルに関するインナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットを加算する(S12)。
ここで、無線通信装置14及び15それぞれに関するインナーループ電力制御目標値に、同じ電力制御オフセットを加算することも、それぞれ異なる電力制御オフセットを加算することもできる。
ステップS12以降のインナーループ電力制御は、電力制御オフセットが加算されたインナーループ電力制御目標値に基づいて、上り低速通信チャネルの送信電力を制御する。無線基地局13の制御回路31は、ステップS12の後、待機時間だけ待機する(S13)。ただし、待機中においても、無線基地局13と無線通信装置14及び15との間のインナーループ電力制御は継続して行われている。待機時間の経過後、無線基地局13は、無線通信装置15との間の上り高速通信チャネルによる通信を開始する。具体的には、待機時間の経過後、無線基地局13の制御回路31が、無線送受信機30を介して無線通信装置15に対して、上り高速通信チャネルによる通信のための情報として、上り高速通信チャネル制御情報を送信する。無線通信装置15の制御回路41は、無線送受信機40を介して、上り高速通信チャネル情制御報を受信する(S14)。上り高速通信チャネル制御情報を受信した無縁通信装置15の制御回路41は、無線送受信機40を介して、無線基地局13に対して上り高速通信チャネルの送信を開始する(S15)。
好ましくは、待機時間は、インナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットが加算された後、インナーループ電力制御によって上り低速通信チャネルの受信品質が十分に向上するために必要な時間間隔とすることができる。このような待機時間が必要となるのは、インナーループ電力制御は、1回の制御あたりに所定の値だけ送信電力を増減するものであり、インナーループ電力制御目標値の変化と同時にインナーループ電力制御目標値の変化分だけ受信品質を変化させるができないためである。
図5においては、無線ネットワーク制御装置11が、無線基地局13に対して、電力制御オフセット、待機時間情報及び上り高速通信チャネル制御情報を送信する構成とした。しかし、電力制御オフセット、待機時間情報及び上り高速通信チャネル制御情報の少なくとも1つを、無線基地局13が生成、若しくは予め保持している構成を採用することも可能である。
図5においては、無線基地局13が、上り高速通信チャネル制御情報を無線通信装置15に対して送信することにより、上り高速通信チャネルによる通信を開始する構成とした。しかし、図6に示すように、無線基地局13が、上り高速チャネル制御情報とは別の上り高速チャネル通信開始許可通知を無線通信装置15に送信することによって、上り高速通信チャネルによる通信を開始する構成を採用することも可能である。この場合、無線基地局13は、上り高速通信チャネル通信開始許可通知の送信よりも前に、上り高速通信チャネル制御情報を無線基地局15に対して送信する(S14)。無線基地局13は、待機時間の経過後、無線通信装置15に対して、上り高速通信チャネル通信開始許可通知を通知する。具体的には、無線基地局13の制御回路31が、待機時間の経過後、無線送受信機32を介して、無線通信装置15に対して上り高速通信チャネル通信開始許可通知を送信する。無線通信装置15の制御装置41は、無線送受信機40を介して、上り高速通信チャネル通信開始許可通知を受信する(S100)。上り高速通信チャネル通信開始許可通知を受信した無線通信装置15は、上り高速通信チャネルによる通信を開始する。具体的には、上り高速通信チャネルを受信した無線通信装置15の制御回路41が、無線送受信機40を介して無線基地局13に対して、上り高速通信チャネルの送信を開始する(S15)。
図7は、図5及び図6の動作中の、各パラメターの変遷を示している。図7(A)は、上り高速通信チャネルの送信電力の変遷を示している。初期状態においてゼロであった送信電力が、高速通信チャネル通信の開始(図5または図6のS15に対応する)とともに立ち上がり、その後一定の値を保っている。図7(B)は、無線通信装置14または15の送信する上り低速通信チャネルに関するインナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値の変遷を示している。上り高速通信チャネルによる通信の開始時点から待機時間だけ前に、インナーループ電力制御目標値が電力制御オフセット分だけ増加している(図5または図6のS12に対応する)。図7(C)は、無線通信装置14または15の送信する上り低速通信チャネルの、無線基地局13における受信品質の変遷を示している。上り高速通信チャネルによる通信の開始時点から待機時間だけ前から、上り高速通信チャネルの開始時点にかけて、低速通信チャネルの受信品質が向上する。これは、上りインナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットが加算されたことに(図5または図6のS12)よるものである。上り低速通信チャネルの受信品質は、上り高速通信チャネルによる通信の開始に伴い劣化する。この受信品質の劣化は、上り高速通信チャネルによる干渉電力の増加等によるものである。しかし、上り高速通信チャネルによる通信の開始前に、上り低速通信チャネルの受信品質が向上しているため、上り高速通信チャネルによる通信の開始に伴って劣化した場合にも、上り低速通信チャネルの受信品質が必要な受信品質を下回ることはない。上り高速通信チャネルによる通信の開始後、インナーループ電力制御によって、低速通信チャネルの受信品質は再度向上する。図7(D)は、無線通信装置14または15の送信する上り低速通信チャネルの送信電力の変遷を示している。上り高速通信チャネルによる通信の開始よりも待機時間だけ前から、上り低速通信チャネルの送信電力は増加し始め、その後一定の値を保っている。これは、インナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットが加算されたこと(図5または図6のS12)によるものである。
図7に示されるように、実施例1の構成を採用することにより、上り高速通信チャネルによる通信に伴い、上り低速通信チャネルの受信品質が必要な受信品質を下回ることがなくなる。
実施例1において、上り高速通信チャネル制御情報に、上り高速通信チャネルによる通信の開始時期に関する情報が含まれている構成を採用することも可能である。この場合、無線通信装置15は、上り高速通信チャネル制御情報として受信した開始時期に関する情報に基づいて、上り高速通信チャネルの送信を開始する。具体的には、無線送受信機40を介して上り高速通信チャネルによる通信の開始時期に関する情報を受信した無線通信装置15の制御回路41は、受信した開始時期に関する情報に基づき、無線送受信機40を介して無線基地局13に対する上り高速通信チャネルの送信を開始する。
さらに、実施例1において、無線ネットワーク制御装置11が、上り高速通信チャネルによる通信の開始に関する情報を、無線基地局12に対して通知する構成を採用することも可能である。この場合、無線基地局12が、インナーループ電力制御の電力制御目標値に電力制御オフセットを加算する。このような構成を採用することにより、上り高速通信チャネルによる通信が隣接無線基地局の通信チャネルによる通信に与える影響を軽減することができる。
好ましくは、上り高速通信チャネルによる通信の開始に関する情報には、上り高速通信チャネルによる通信の開始要求若しく開始要求があったことの通知、及び電力制御オフセットの少なくとも1つを含めることができる。
また、好ましくは、インナーループ電力制御目標値に加算する電力制御オフセットが、無線基地局12で生成される構成、及び無線基地局12に予め保持されている構成を採用することも可能である。
実施例2について、図1乃至4、及び図8乃至10を参照して説明する。実施例2の無線通信システムは、無線基地局13が、上り高速通信チャネルによる通信の開始後、電力制御オフセットを加算したインナーループ電力制御目標値から電力制御オフセットを減算する点で実施例1と異なる。実施例2の無線通信システムは、実施例1の無線通信システムと同様に、コアネットワーク10と、無線ネットワーク制御装置11と、無線基地局12及び13と、無線通信装置14及び15とから構成される(図1)。また、無線ネットワーク制御装置11、無線基地局12及び13、無線通信装置14及び15は、実施例1と同様の構成を採用している(図2乃至図4)。
図8は、実施例2の無線通信システムの動作を示している。S10乃至S15は、実施例1(図5)と同様の動作である。上り高速通信チャネルによる通信を開始した無線通信装置15は、無線基地局13に対して、上り高速通信チャネルによる通信を開始したことを通知する(S20)。上り高速通信チャネルに通信を開始したことの通知を受けた無線基地局13は、電力制御オフセットを加算したインナーループ電力制御目標値から電力制御オフセットを減算するか、若しくは、新たなインナーループ電力制御目標値を設定する(S23)。具体的には、無線通信装置15の制御回路41が、無線送受信機40を介して、無線基地局13に対して、上り高速通信チャネルによる通信を開始したこととの通知を送信する。無線基地局13の制御回路31は、無線送受信機30を介して、上り高速通信チャネルによる通信を開始したことの通知を受信する。上り高速通信チャネルによる通信が開始されたことの通知を受信した無線基地局13の制御回路31は、電力制御オフセットを加算したインナーループ電力制御目標値から電力制御オフセットを減算するか、若しくは、新たなインナーループ電力制御目標値を設定する。この場合、新たなインナーループ電力制御目標値は、予め無線基地局13に保持されている構成を採用することができる。
ここでは、無線通信装置15が、無線基地局13に対して上り高速通信チャネルによる通信を開始したことを通知する構成を説明した。しかし、無線通信装置15からの、上り高速通信チャネルによる通信を開始したことの通知が、さらに無線基地局13から、無線ネットワーク制御装置11に対して送信される(S21)構成を採用することも可能である。この場合、上り高速通信チャネルによる通信開始の通知を受けた無線ネットワーク制御装置11は、無線基地局13に対して、上り高速通信チャネルによる通信が開始されたことの通知、インナーループ電力制御目標値から電力制御オフセットを減算すべきことの通知、新たなインナーループ電力制御目標値の少なくとも1つを送信する(S22)。S22の通知を受けた無線基地局13は、電力制御オフセットの加算されたインナーループ電力制御目標値から電力制御オフセットを減算するか、若しくは、新たな電力制御目標値を設定する(S23)。
図8においては、さらに、S20乃至S22を省略する構成とすることも可能である。この場合、無線基地局13は、上り高速通信チャネルによる通信の開始を認識すると、電力制御オフセットの加算されたインナーループ電力制御目標値から電力制御オフセットを減算するか、若しくは新たなインナーループ電力制御目標値を設定する(S23)。好ましくは、無線基地局13は、待機時間情報に基づき、上り高速通信チャネルによる通信の開始を認識することができる。この場合、新たなインナーループ電力制御目標値は、予め無線基地局13に保持されている構成を採用することができる。
ここで、新たなインナーループ電力制御目標値は、無線通信装置14及び15について同じ値とすることも、それぞれ異なる値とすることも可能である。
図8においては、無線基地局13が、上り高速通信チャネル制御情報を無線通信装置15に対して送信することにより、上り高速通信チャネルによる通信を開始する構成とした。しかし、図9に示すように、無線基地局13が、上り高速チャネル制御情報とは別の上り高速チャネル通信開始許可通知を無線通信装置15に送信することによって、上り高速通信チャネルによる通信を開始する構成を採用することも可能である。この場合、無線基地局13は、上り高速通信チャネル通信開始許可通知の送信よりも前に、上り高速通信チャネル制御情報を無線基地局15に対して送信する(S14)。無線基地局13は、待機時間の経過後、無線通信装置15に対して、上り高速通信チャネル通信開始許可通知を通知する。具体的には、無線基地局13の制御回路31が、待機時間の経過後、無線送受信機32を介して、無線通信装置15に対して上り高速通信チャネル通信開始許可通知を送信する。無線通信装置15の制御装置41は、無線送受信機40を介して、上り高速通信チャネル通信開始許可通知を受信する(S100)。上り高速通信チャネル通信開始許可通知を受信した無線通信装置15は、上り高速通信チャネルによる通信を開始する。具体的には、上り高速通信チャネルを受信した無線通信装置15の制御回路41が、無線送受信機40を介して無線基地局13に対して、上り高速通信チャネルの送信を開始する(S15)。
図10は、図8及び図9の動作中の、各パラメターの変遷を示している。図10(A)は、上り高速通信チャネルの送信電力の変遷を示している。初期状態においてゼロであった送信電力が、上り高速通信チャネル通信の開始(図8または図9のS15に対応する)とともに立ち上がり、その後一定の値を保っている。図10(B)は、無線通信装置14または15の送信する上り低速通信チャネルに関するインナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値の変遷を示している。上り高速通信チャネルによる通信の開始時点から待機時間だけ前に、インナーループ電力制御目標値が電力制御オフセット分だけ増加している(図8または図9のS12に対応する)。さらに、上り高速通信チャネルによる通信の開始後に、インナーループ電力制御目標値が電力制御オフセット分だけ減少し、初期状態のインナーループ電力制御目標値に戻っている(図8または図9のS23に対応する)。図10(C)は、無線通信装置14または15の送信する上り低速通信チャネルの、無線基地局13における受信品質の変遷を示している。上り高速通信チャネルによる通信の開始時点から待機時間だけ前から、上り高速通信チャネルの開始時点にかけて、低速通信チャネルの受信品質が向上する。これは、インナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットが加算されたことに(図8または図9のS12)よるものである。上り低速通信チャネルの受信品質は、上り高速通信チャネルによる通信の開始に伴い劣化する。この受信品質の劣化は、上り高速通信チャネルによる干渉電力の増加等によるものである。しかし、上り高速通信チャネルによる通信の開始前に、上り低速通信チャネルの受信品質が向上しているため、上り高速通信チャネルによる通信の開始に伴って劣化した場合にも、上り低速通信チャネルの受信品質が必要な受信品質を下回ることはない。上り高速通信チャネルによる通信の開始後もインナーループ電力制御は継続しているが、インナーループ電力制御目標値が初期状態のインナーループ電力制御目標値に戻っているため(図8または図9のS23に対応する)、低速通信チャネルの受信品質は初期状態のインナーループ電力制御目標値近辺に保たれる。図10(D)は、無線通信装置14または15の送信する上り低速通信チャネルの送信電力の変遷を示している。上り高速通信チャネルによる通信の開始よりも待機時間だけ前から、上り低速通信チャネルの送信電力は増加し始め、その後一定の値を保っている。これは、インナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットが加算されたこと(図8または図9のS12)によるものである。
図10に示されるように、実施例2の構成を採用することにより、上り高速通信チャネルによる通信に伴い、上り低速通信チャネルの受信品質が必要な受信品質を下回ることがなくなる。
実施例2において、上り高速通信チャネル制御情報に、上り高速通信チャネルによる通信の開始時期に関する情報が含まれている構成を採用することも可能である。この場合、無線通信装置15は、上り高速通信チャネル制御情報として受信した開始時期に関する情報に基づいて、上り高速通信チャネルの送信を開始する。具体的には、無線送受信機40を介して上り高速通信チャネルによる通信の開始時期に関する情報を受信した無線通信装置15の制御回路41は、受信した開始時期に関する情報に基づき、無線送受信機40を介して無線基地局13に対する上り高速通信チャネルの送信を開始する。
さらに、実施例2において、無線ネットワーク制御装置11が、上り高速通信チャネルによる通信の開始に関する情報を、無線基地局12に対して通知する構成を採用することも可能である。この場合、無線基地局12が、図8または9のステップS12、S13、及びS23を行う。このような構成を採用することにより、上り高速通信チャネルによる通信が隣接無線基地局の通信チャネルによる通信に与える影響を軽減することができる。
好ましくは、上り高速通信チャネルによる通信の開始に関する情報には、上り高速通信チャネルによる通信の開始要求若しく開始要求があったことの通知、電力制御オフセット、インナーループ電力制御目標値から電力制御オフセットを減算すべきことの通知、上り高速通信チャネルによる通信が開始されたことの通知、及び新たな電力制御目標値の少なくとも1つを含めることができる。
また、好ましくは、インナーループ電力制御目標値に加算する電力制御オフセット及び新たなインナーループ電力制御目標値の少なくとも1つが、無線基地局12で生成される構成、及び無線基地局12に予め保持されている構成を採用することも可能である。
さらに、新たなインナーループ電力制御目標値は、異なる無線通信装置について同じ値とすることも、それぞれ異なる値とすることも可能である。
実施例3について、図1乃至4、及び図11乃至13を参照して説明する。実施例3の無線通信システムは、無線ネットワーク制御装置11と無線基地局13との間でアウターループ電力制御が行われる点で実施例1と異なる。実施例3の無線通信システムは、実施例1の無線通信システムと同様に、コアネットワーク10と、無線ネットワーク制御装置11と、無線基地局12及び13と、無線通信装置14及び15とから構成される(図1)。また、無線ネットワーク制御装置11、無線基地局12及び13、無線通信装置14及び15は、実施例1と同様の構成を採用している(図2乃至図4)。
ただし、無線ネットワーク制御装置11の制御装置21は、上り低速通信チャネルの通信品質を検出し、送受信機20を介して、無線基地局13との間でアウターループ電力制御を行う。アウターループ電力制御は、上り低速通信チャネルの通信品質と、アウターループ電力制御目標値とに基づいて、インナーループ電力制御目標値を調整するものである。また、無線基地局13の制御回路31は、送受信機32を介して無線ネットワーク制御装置11との間でアウターループ電力制御を行う。
好ましくは、アウターループ電力制御は、以下に説明するような制御とすることができる。無線ネットワーク制御装置11は、無線通信装置13から受信した信号/情報をから、無線通信装置15の送信した上り低速通信チャネルの通信品質を所定の間隔で検出する。無線ネットワーク制御装置11は、検出した通信品質とアウターループ電力制御目標値とを比較する。無線ネットワーク制御装置11は、検出した通信品質がアウターループ電力制御目標値を上回る場合には、無線通信装置15の送信する上り低速通信チャネルに関して、現在のインナーループ電力制御目標値よりも小さいインナーループ電力制御目標値を設定することを指示するアウターループ電力制御信号を、無線基地局13に対して送信する。また、無線ネットワーク制御装置11は、検出した通信品質がアウターループ電力制御目標値を下回る場合には、無線通信装置15の送信する上り低速通信チャネルに関して、現在のインナーループ電力制御目標値よりも大きいインナーループ電力制御目標値を設定することを指示するアウターループ電力制御信号を、無線基地局13に対して送信する。無線通信装置13は、無線ネットワーク制御装置11から受信したアウターループ電力制御信号に基づき、無線通信装置15の送信した上り低速通信チャネルに関するインナーループ電力制御目標値を増減する。このような制御が繰り返されることにより、無線通信装置15の送信する上り低速通信チャネルの通信品質がアウターループ電力制御目標値付近の値となるようにインナーループ電力制御目標値が調整される。また、無線通信装置14に送信する上り低速通信チャネルについても、無線通信装置15の送信する上り低速通信チャネルに関する制御と同様の制御を行うことができる。さらに、無線ネットワーク制御装置11と無線基地局12との間でも、無線ネットワーク制御装置11と無線基地局13との間の制御と同様の制御を行うことができる。
また、好ましくは、上り低速通信チャネルの通信品質及びアウターループ電力制御目標値は、ビットエラーレート(Bit Error Rate)、フレームエラーレート(Frame Error Rate)、ブロックエラーレート(Block Error Rate)、CRC(Cyclic Redundancy Code)等で表すことが可能である。さらに、好ましくは、上り低速通信チャネルの受信品質及びインナーループ電力制御目標値は、信号対干渉波電力(Signal to Interference Ratio)、または1ビットあたりの信号対干渉波電力(Eb/No)等で表すことが可能である。
図11は、実施例3の無線通信ネットワークの動作を示している。初期の状態から、他の動作に関係なく、無線基地局13と無線通信装置14及び15との間で、上り低速通信チャネルに関するインナーループ電力制御が継続して行われている。また、初期状態から、無線ネットワーク制御装置11と無線基地局13との間で、上り低速通信チャネルに関するアウターループ電力制御が行われている。S10乃至S15は、実施例1(図5)と同様の動作である。ただし、上り高速通信チャネルによる通信の開始要求に関する情報を受信した無線ネットワーク制御装置11は、上り低速通信チャネルに関するアウターループ電力制御を停止する。具体的には、上り高速通信チャネルによる通信の開始要求に関する情報を受信した無線ネットワーク制御装置11の制御回路21は、上り低速通信チャネルに関するアウターループ電力制御を停止する(S30)。
上り高速通信チャネルによる通信を開始した無線通信装置15は、無線基地局13に対して、上り高速通信チャネルによる通信を開始したことを通知する(S31)。上り高速通信チャネルによる通信を開始したことの通知を受けた無線基地局13は、無線ネットワーク制御装置11に対して、上り高速通信チャネルによる通信を開始したことの通知を送信する(S32)。上り高速通信チャネルによる通信を開始したことの通知を受信した無線ネットワーク制御装置11は、上り低速通信チャネルに関するアウターループ電力制御を開始する。具体的には、無線通信装置15の制御回路41が、無線送受信機40を介して、無線基地局13に対して、上り高速通信チャネルによる通信を開始したこととの通知を送信する。無線基地局13の制御回路31は、無線送受信機30を介して、上り高速通信チャネルによる通信を開始したことの通知を受信する。さらに無線基地局13の制御回路31は、送受信機31を介して無線ネットワーク制御装置11に対して、上り高速通信チャネルによる通信を開始したことの通知を送信する。さらに、無線ネットワーク制御装置11の制御回路21は送受信機20を介して、上り高速通信チャネルによる通信を開始したことの通知を受信し、上り低速通信チャネルに関するアウターループ電力制御を開始する。
ここでは、無線通信装置15が、無線基地局13に対して上り高速通信チャネルによる通信を開始したことを通知する構成を説明した。しかし、無線通信装置15からの、上り高速通信チャネルによる通信を開始したことの通知が、無線基地局13を通過し、直接無線ネットワーク制御装置11に対して送信される構成を採用することも可能である。この場合、無線通信装置15から上り高速通信チャネルによる通信開始の通知を受けた無線ネットワーク制御装置11は、上り低速通信チャネルに関するアウターループ電力制御を開始する(S33)。
図11においては、さらに、S31乃至S32を省略する構成とすることも可能である。この場合、無線ネットワーク制御装置11は、上り高速通信チャネルによる通信の開始を認識すると、上り低速通信チャネルに関するアウターループ電力制御を開始する(S33)。ここでは、例えば、無線ネットワーク制御回路11が、待機時間情報に基づいて、上り高速通信チャネルによる通信の開始を認識する構成を採用することができる。
図11においては、無線基地局13が、上り高速通信チャネル制御情報を無線通信装置15に対して送信することにより、上り高速通信チャネルによる通信を開始する構成とした。しかし、図12に示すように、無線基地局13が、上り高速通信チャネル制御情報とは別の上り高速通信チャネル通信開始許可通知を無線通信装置15に送信することによって、上り高速通信チャネルによる通信を開始する構成を採用することも可能である。この場合、無線基地局13は、上り高速通信チャネル通信開始許可通知の送信よりも前に、上り高速通信チャネル制御情報を無線基地局15に対して送信する(S14)。無線基地局13は、待機時間の経過後、無線通信装置15に対して、上り高速通信チャネル通信開始許可通知を通知する。具体的には、無線基地局13の制御回路31が、待機時間の経過後、無線送受信機32を介して、無線通信装置15に対して上り高速通信チャネル通信開始許可通知を送信する。無線通信装置15の制御装置41は、無線送受信機40を介して、上り高速通信チャネル通信開始許可通知を受信する(S300)。上り高速通信チャネル通信開始許可通知を受信した無線通信装置15は、上り高速通信チャネルによる通信を開始する。具体的には、上り高速通信チャネル通信許可通知を受信した無線通信装置15の制御回路41が、無線送受信機40を介して無線基地局13に対して、上り高速通信チャネルの送信を開始する(S15)。
図13は、図11及び図12の動作中の、各パラメターの変遷を示している。図13(A)は、上り高速通信チャネルの送信電力の変遷を示している。初期状態においてゼロであった送信電力が、上り高速通信チャネル通信の開始(図11または図12のS15に対応する)とともに立ち上がり、その後一定の値を保っている。図13(B)は、無線通信装置14または15の送信する上り低速通信チャネルに関するインナーループ電力制御の電力制御目標値の変遷を示している。上り高速通信チャネルによる通信の開始時点から待機時間だけ前に、インナーループ電力制御目標値が電力制御オフセット分だけ増加している。さらに、上り高速通信チャネルによる通信の開始後に、インナーループ電力制御目標値が電力制御オフセット分だけ減少し、初期状態のインナーループ電力制御目標値に戻っている。インナーループ電力制御目標値の増加は、電力制御オフセットの加算(図11または図12のS12に対応する)とアウターループ電力制御の停止(図11または図12のS30に対応する)に起因するものである。インナーループ電力制御目標値の減少は、アウターループ電力制御が開始されたこと(図11または図12のS33)に起因するものである。図13(C)は、無線通信装置14または15の送信する上り低速通信チャネルの、無線基地局13における受信品質の変遷を示している。上り高速通信チャネルによる通信の開始時点の待機時間だけ前から、上り高速通信チャネルの開始時点にかけて、低速通信チャネルの受信品質が向上する。これは、上りインナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットが加算されたことに(図11または図12のS12)よるものである。上り低速通信チャネルの受信品質は、上り高速通信チャネルによる通信の開始に伴い劣化する。この受信品質の劣化は、上り高速通信チャネルによる干渉電力の増加等によるものである。しかし、上り高速通信チャネルによる通信の開始前に、上り低速通信チャネルの受信品質が向上しているため、上り高速通信チャネルによる通信の開始に伴って劣化した場合にも、上り低速通信チャネルの受信品質が必要な受信品質を下回ることはない。上り高速通信チャネルによる通信の開始後もインナーループ電力制御は継続しているが、停止されていたアウターループ電力制御が開始されることによってインナーループ電力制御目標値が初期状態のインナーループ電力制御目標値に戻るため(図11または図12のS33に対応する)、低速通信チャネルの受信品質は、一端は過剰に向上するものの、最終的には初期状態のインナーループ電力制御目標値近辺に保たれる。図13(D)は、無線通信装置14または15の送信する上り低速通信チャネルの送信電力の変遷を示している。上り高速通信チャネルによる通信の開始よりも待機時間だけ前から、上り低速通信チャネルの送信電力は増加し始め、一端は過剰に増加するものの、その後減少し一定の値を保っている。上り低速通信チャネルの送信電力の増加は、アウターループ電力制御が停止された状態でインナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットが加算されたこと(図11または図12のS12)によるものである。また、上り低速通信チャネルの送信電力の減少は、アウターループ電力制御が開始されたことによるものである。
図13に示されるように、実施例3の構成を採用することにより、上り高速通信チャネルによる通信に伴い、上り低速通信チャネルの受信品質が必要な受信品質を下回ることがなくなる。
実施例3において、上り高速通信チャネル制御情報に、上り高速通信チャネルによる通信の開始時期に関する情報が含まれている構成を採用することも可能である。この場合、無線通信装置15は、上り高速通信チャネル制御情報として受信した開始時期に関する情報に基づいて、上り高速通信チャネルの送信を開始する。具体的には、無線送受信機40を介して上り高速通信チャネルによる通信の開始時期に関する情報を受信した無線通信装置15の制御回路41は、受信した開始時期に関する情報に基づき、無線送受信機40を介して無線基地局13に対する上り高速通信チャネルの送信を開始する。
また、実施例3においては、上り高速通信チャネルによる通信開始後に、電力制御オフセットを加算したインナーループ電力制御目標値から電量制御オフセットを減算しない構成を採用している。しかし、実施例3においても、実施例2のように、上り高速通信チャネルによる通信の開始後に、電力オフセットを加算したインナーループ電力制御目標値から電力制御オフセットを減算、または新たなインナーループ電力制御目標値を設定する構成を採用することが可能である。ここで、新たなインナーループ電力制御目標値は、無線通信装置14及び15それぞれについて、同じ値とすることも、異なる値とすることもできる。
さらに、実施例3において、無線ネットワーク制御装置11が、上り高速通信チャネルによる通信の開始に関する情報を、無線基地局12に対して通知する構成を採用することも可能である。この場合、無線基地局12が、図11または12のステップS12、及びS13を行う。また、無線ネットワーク制御装置11は、無線基地局12との間のアウターループ電力制御についても、図11または12のS30及びS33を行う。このような構成を採用することにより、上り高速通信チャネルによる通信が隣接無線基地局の通信チャネルによる通信に与える影響を軽減することができる。
好ましくは、上り高速通信チャネルによる通信の開始に関する情報には、上り高速通信チャネルによる通信の開始要求若しく開始要求があったことの通知、電力制御オフセット、インナーループ電力制御目標値から電力制御オフセットを減算すべきことの通知、上り高速通信チャネルによる通信が開始されたことの通知、及び新たな電力制御目標値の少なくとも1つを含めることができる。
また、好ましくは、インナーループ電力制御目標値に加算する電力制御オフセット及び新たなインナーループ電力制御目標値の少なくとも1つが、無線基地局12で生成される構成、及び無線基地局12に予め保持されている構成を採用することも可能である。
実施例4について、図1乃至図4、図7、図14、及び図15を参照して説明する。図1は、実施例4の無線通信システムの構成を示している。ただし、図1には、本願発明の説明に必要な構成のみが示されている。実施例4の無線通信システムは、実施例1の無線通信システムと同様に、コアネットワーク10と、無線ネットワーク制御装置11と、無線基地局12及び13と、無線通信装置14及び15とから構成される(図1)。また、無線ネットワーク制御装置11、無線基地局12及び13、無線通信装置14及び15は、実施例1と同様の構成を採用している(図2乃至図4)。実施例4の無線通信システムは、上り高速通信チャネルによる通信の開始に関する動作に無線ネットワーク制御装置11が関与しない点で、実施例1の無線通信システムと異なる。
図14は、実施例4の無線通信システムの動作を示している。初期の状態から、他の動作に関係なく、無線基地局13と無線通信装置14及び15との間で、上り低速通信チャネルに関するインナーループ電力制御が継続して行われている。この状況において、無線通信装置15が無線基地局13に対して、上り高速通信チャネルによる通信の開始要求を通知する。具体的には、無線通信装置15の制御回路41が、無線送受信回路40を介して無線基地局13に対して開始要求を送信する。さらに、無線基地局13の制御回路31が、上記送信された開始要求を、無線送受信機30を介して受信する(S40)。開始要求を受信した無線基地局13は、電力制御オフセット、待機時間情報、及び上り高速通信チャネル制御情報を生成する。具体的には、無線基地局13の制御回路31が、電力制御オフセットと、待機時間情報と、上り高速通信チャネル制御情報とを生成する(S41)。無線基地局13の制御回路31は、上り低速通信チャネルに関するインナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットを加算する(S42)。
ここで、無線通信装置14及び15それぞれに関するインナーループ電力制御目標値に、同じ電力制御オフセットを加算することも、それぞれ異なる電力制御オフセットを加算することもできる。
S42以降のインナーループ電力制御は、電力制御オフセットが加算されたインナーループ電力制御目標値に基づいて、上り低速通信チャネルの送信電力を制御する。無線基地局13の制御回路31は、S42の後、待機時間だけ待機する(S43)。ただし、待機中においても、無線基地局13と無線通信装置14及び15との間のインナーループ電力制御は継続して行われている。待機時間の経過後、無線基地局13は、無線通信装置15との間の上り高速通信チャネルによる通信を開始する。具体的には、待機時間の経過後、無線基地局13の制御回路31が、無線送受信機30を介して無線通信装置15に対して、上り高速通信チャネルによる通信のための情報として、上り高速通信チャネル制御情報を送信する。無線通信装置15の制御回路41は、無線送受信機40を介して、上り高速通信チャネル情制御報を受信する(S44)。上り高速通信チャネル制御情報を受信した無縁通信装置15の制御回路41は、無線送受信機40を介して、無線基地局13に対して上り高速通信チャネルの送信を開始する(S45)。
図14においては、無線基地局13が、電力制御オフセット、待機時間情報及び上り高速通信チャネル制御情報を生成する構成とした。しかし、好ましくは、電力制御オフセット、待機時間情報及び上り高速通信チャネル制御情報の少なくとも1つを、無線基地局13が予め保持している構成を採用することも可能である。
図14においては、無線基地局13が、上り高速通信チャネル制御情報を無線通信装置15に対して送信することにより、上り高速通信チャネルによる通信を開始する構成とした。しかし、図15に示すように、無線基地局13が、上り高速チャネル制御情報とは別の上り高速チャネル通信開始許可通知を無線通信装置15に送信することによって、上り高速通信チャネルによる通信を開始する構成を採用することも可能である。この場合、無線基地局13は、上り高速通信チャネル通信開始許可通知の送信よりも前に、上り高速通信チャネル制御情報を無線基地局15に対して送信する(S44)。無線基地局13は、待機時間の経過後、無線通信装置15に対して、上り高速通信チャネル通信開始許可通知を通知する。具体的には、無線基地局13の制御回路31が、待機時間の経過後、無線送受信機32を介して、無線通信装置15に対して上り高速通信チャネル通信開始許可通知を送信する。無線通信装置15の制御装置41は、無線送受信機40を介して、上り高速通信チャネル通信開始許可通知を受信する(S400)。上り高速通信チャネル通信開始許可通知を受信した無線通信装置15は、上り高速通信チャネルによる通信を開始する。具体的には、上り高速通信チャネル通信許可通知を受信した無線通信装置15の制御回路41が、無線送受信機40を介して無線基地局13に対して、上り高速通信チャネルの送信を開始する(S45)。
図14及び図15の動作中の各パラメターは、実施例1と同様に、図7に示されるように変遷する。図7(A)は、上り高速通信チャネルの送信電力の変遷を示している。初期状態においてゼロであった送信電力が、上り高速通信チャネル通信の開始(図14または図15のS45に対応する)とともに立ち上がり、その後一定の値を保っている。図7(B)は、無線通信装置14または15の送信する上り低速通信チャネルに関するインナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値の変遷を示している。上り高速通信チャネルによる通信の開始時点から待機時間だけ前に、インナーループ電力制御目標値が電力制御オフセット分だけ増加している(図14または図15のS42に対応する)。図7(C)は、無線通信装置14または15の送信する上り低速通信チャネルの、無線基地局13における受信品質の変遷を示している。上り高速通信チャネルによる通信の開始時点から待機時間だけ前から、上り高速通信チャネルの開始時点にかけて、低速通信チャネルの受信品質が向上する。これは、上りインナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットが加算されたことに(図14または図15のS42)よるものである。上り低速通信チャネルの受信品質は、上り高速通信チャネルによる通信の開始に伴い劣化する。この受信品質の劣化は、上り高速通信チャネルによる干渉電力の増加等によるものである。しかし、上り高速通信チャネルによる通信の開始前に、上り低速通信チャネルの受信品質が向上しているため、上り高速通信チャネルによる通信の開始に伴って劣化した場合にも、上り低速通信チャネルの受信品質が必要な受信品質を下回ることはない。上り高速通信チャネルによる通信の開始後、インナーループ電力制御によって、低速通信チャネルの受信品質は再度向上する。図7(D)は、無線通信装置14または15の送信する上り低速通信チャネルの送信電力の変遷を示している。上り高速通信チャネルによる通信の開始よりも待機時間だけ前から、上り低速通信チャネルの送信電力は増加し始め、その後一定の値を保っている。これは、インナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットが加算されたこと(図14または図15のS42)によるものである。
図7に示されるように、実施例4の構成を採用することにより、上り高速通信チャネルによる通信に伴い、上り低速通信チャネルの受信品質が必要な受信品質を下回ることがなくなる。
実施例4において、上り高速通信チャネル制御情報に、上り高速通信チャネルによる通信の開始時期に関する情報が含まれている構成を採用することも可能である。この場合、無線通信装置15は、上り高速通信チャネル制御情報として受信した開始時期に関する情報に基づいて、上り高速通信チャネルの送信を開始する。具体的には、無線送受信機40を介して上り高速通信チャネルによる通信の開始時期に関する情報を受信した無線通信装置15の制御回路41は、受信した開始時期に関する情報に基づき、無線送受信機40を介して無線基地局13に対する上り高速通信チャネルの送信を開始する。
さらに、実施例4において、無線基地局13が、直接または無線ネットワーク制御装置11を介して、上り高速通信チャネルによる通信の開始に関する情報を、無線基地局12に対して通知する構成を採用することも可能である。この場合、無線基地局12が、インナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットを加算する。このような構成を採用することにより、上り高速通信チャネルによる通信が隣接無線基地局の通信チャネルによる通信に与える影響を軽減することができる。
好ましくは、上り高速通信チャネルによる通信の開始に関する情報には、上り高速通信チャネルによる通信の開始要求若しく開始要求があったことの通知、電力制御オフセット、の少なくとも1つを含めることができる。
また、好ましくは、インナーループ電力制御目標値に加算する電力制御オフセットが、無線基地局12で生成される構成、及び無線基地局12に予め保持されている構成を採用することも可能である。
実施例5について、図1乃至図4、図10、図16、及び図17を参照して説明する。図1は、実施例5の無線通信システムの構成を示している。ただし、図1には、本願発明の説明に必要な構成のみが示されている。実施例5の無線通信システムは、実施例4の無線通信システムと同様に、コアネットワーク10と、無線ネットワーク制御装置11と、無線基地局12及び13と、無線通信装置14及び15とから構成される(図1)。また、無線ネットワーク制御装置11、無線基地局12及び13、無線通信装置14及び15は、実施例4と同様の構成を採用している(図2乃至図4)。実施例5の無線通信システムは、上り高速通信チャネルによる通信の開始に関する動作に無線ネットワーク制御装置11が関与しない点で、実施例2の無線通信システムと異なり、無線基地局13が、上り高速通信チャネルによる通信の開始後、電力制御オフセットを加算したインナーループ電力制御目標値から電力制御オフセットを減算する点で実施例4と異なる。
図16は、実施例5の無線通信システムの動作を示している。S40乃至S45は、実施例4(図14)と同様の動作である。上り高速通信チャネルによる通信を開始した無線通信装置15は、無線基地局13に対して、上り高速通信チャネルによる通信を開始したことを通知する(S50)。上り高速通信チャネルに通信を開始したことの通知を受けた無線基地局13は、電力制御オフセットを加算したインナーループ電力制御目標値から電力制御オフセットを減算するか、若しくは、新たなインナーループ電力制御目標値を設定する(S51)。具体的には、無線通信装置15の制御回路41が、無線送受信機40を介して、無線基地局13に対して、上り高速通信チャネルによる通信を開始したこととの通知を送信する。無線基地局13の制御回路31は、無線送受信機30を介して、上り高速通信チャネルによる通信を開始したことの通知を受信する。上り高速通信チャネルによる通信が開始されたことの通知を受信した無線基地局13の制御回路31は、電力制御オフセットを加算したインナーループ電力制御目標値から電力制御オフセットを減算するか、若しくは、新たなインナーループ電力制御目標値を設定する。
ここでは、無線通信装置15が、無線基地局13に対して上り高速通信チャネルによる通信を開始したことを通知する構成を説明した。しかし、S50を省略する構成とすることも可能である。この場合、無線基地局13は、上り高速通信チャネルによる通信の開始を認識すると、電力制御オフセットの加算されたインナーループ電力制御目標値から電力制御オフセットを減算するか、若しくは、新たなインナーループ電力制御目標値を設定する(S51)。好ましくは、無線基地局13は、待機時間情報に基づき、上り高速通信チャネルによる通信の開始を認識することができる。
ここで、新たなインナーループ電力制御目標値は、無線通信装置14及び15について同じ値とすることも、それぞれ異なる値とすることも可能である。
図16においては、無線基地局13が、上り高速通信チャネル制御情報を無線通信装置15に対して送信することにより、上り高速通信チャネルによる通信を開始する構成とした。しかし、図17に示すように、無線基地局13が、上り高速チャネル制御情報とは別の上り高速チャネル通信開始許可通知を無線通信装置15に送信することによって、上り高速通信チャネルによる通信を開始する構成を採用することも可能である。この場合、無線基地局13は、上り高速通信チャネル通信開始許可通知の送信よりも前に、上り高速通信チャネル制御情報を無線基地局15に対して送信する(S44)。無線基地局13は、待機時間の経過後、無線通信装置15に対して、上り高速通信チャネル通信開始許可通知を通知する。具体的には、無線基地局13の制御回路31が、待機時間の経過後、無線送受信機32を介して、無線通信装置15に対して上り高速通信チャネル通信開始許可通知を送信する。無線通信装置15の制御装置41は、無線送受信機40を介して、上り高速通信チャネル通信開始許可通知を受信する(S500)。上り高速通信チャネル通信開始許可通知を受信した無線通信装置15は、上り高速通信チャネルによる通信を開始する。具体的には、上り高速通信チャネルを受信した無線通信装置15の制御回路41が、無線送受信機40を介して無線基地局13に対して、上り高速通信チャネルの送信を開始する(S45)。
図16及び図17の動作中の各パラメターは、実施例2と同様に、図10に示されるように変遷する。図10(A)は、上り高速通信チャネルの送信電力の変遷を示している。初期状態においてゼロであった送信電力が、上り高速通信チャネル通信の開始(図16または図17のS45に対応する)とともに立ち上がり、その後一定の値を保っている。図10(B)は、無線通信装置14または15の送信する上り低速通信チャネルに関するインナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値の変遷を示している。上り高速通信チャネルによる通信の開始時点から待機時間だけ前に、インナーループ電力制御目標値が電力制御オフセット分だけ増加している(図16または図17のS42に対応する)。さらに、上り高速通信チャネルによる通信の開始後に、インナーループ電力制御目標値が電力制御オフセット分だけ減少し、初期状態のインナーループ電力制御目標値に戻っている(図16または図17のS51に対応する)。図10(C)は、無線通信装置14または15の送信する上り低速通信チャネルの、無線基地局13における受信品質の変遷を示している。上り高速通信チャネルによる通信の開始時点の待機時間だけ前の時点から、上り高速通信チャネルの開始時点にかけて、低速通信チャネルの受信品質が向上する。これは、上り高速電力制御のインナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットが加算されたことに(図16または図17のS42)よるものである。上り低速通信チャネルの受信品質は、上り高速通信チャネルによる通信の開始に伴い劣化する。この受信品質の劣化は、高速通信チャネルによる干渉電力の増加等によるものである。しかし、上り高速通信チャネルによる通信の開始前に、上り低速通信チャネルの受信品質が向上しているため、上り高速通信チャネルによる通信の開始に伴って劣化した場合にも、上り低速通信チャネルの受信品質が必要な受信品質を下回ることはない。上り高速通信チャネルによる通信の開始後もインナーループ電力制御は継続しているが、インナーループ電力制御目標値が初期状態のインナーループ電力制御目標値に戻るため(図16または図17のS51に対応する)、低速通信チャネルの受信品質は初期状態のインナーループ電力制御目標値近辺に保たれる。図10(D)は、無線通信装置14または15の送信する上り低速通信チャネルの送信電力の変遷を示している。上り高速通信チャネルによる通信の開始よりも待機時間だけ前から、上り低速通信チャネルの送信電力は増加し始め、その後一定の値を保っている。これは、インナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットが加算されたこと(図16または図17のS42)によるものである。
図10に示されるように、実施例5の構成を採用することにより、上り高速通信チャネルによる通信に伴い、上り低速通信チャネルの受信品質が必要な受信品質を下回ることがなくなる。
実施例5において、上り高速通信チャネル制御情報に、上り高速通信チャネルによる通信の開始時期に関する情報が含まれている構成を採用することも可能である。この場合、無線通信装置15は、上り高速通信チャネル制御情報として受信した開始時期に関する情報に基づいて、上り高速通信チャネルの送信を開始する。具体的には、無線送受信機40を介して上り高速通信チャネルによる通信の開始時期に関する情報を受信した無線通信装置15の制御回路41は、受信した開始時期に関する情報に基づき、無線送受信機40を介して無線基地局13に対する上り高速通信チャネルの送信を開始する。
さらに、実施例5において、無線基地局13が、直接または無線ネットワーク制御装置11を介して、上り高速通信チャネルによる通信の開始に関する情報を、無線基地局12に対して通知する構成を採用することも可能である。この場合、無線基地局12が、図16または17のステップS42、S43、及びS51を行う。このような構成を採用することにより、上り高速通信チャネルによる通信が隣接無線基地局の通信チャネルによる通信に与える影響を軽減することができる。
好ましくは、上り高速通信チャネルによる通信の開始に関する情報には、上り高速通信チャネルによる通信の開始要求若しく開始要求があったことの通知、電力制御オフセット、インナーループ電力制御目標値から電力制御オフセットを減算すべきことの通知、上り高速通信チャネルによる通信が開始されたことの通知、及び新たな電力制御目標値の少なくとも1つを含めることができる。
また、好ましくは、インナーループ電力制御目標値に加算する電力制御オフセット及び新たなインナーループ電力制御目標値の少なくとも1つが、無線基地局12で生成される構成、及び無線基地局12に予め保持されている構成を採用することも可能である。
実施例6について、図1乃至図4、図13、図18、及び図19を参照して説明する。図1は、実施例6の無線通信システムの構成を示している。ただし、図1には、本願発明の説明に必要な構成のみが示されている。実施例6の無線通信システムは、実施例4の無線通信システムと同様に、コアネットワーク10と、無線ネットワーク制御装置11と、無線基地局12及び13と、無線通信装置14及び15とから構成される(図1)。また、無線ネットワーク制御装置11、無線基地局12及び13、無線通信装置14及び15は、実施例4と同様の構成を採用している(図2乃至図4)。ただし、無線ネットワーク制御装置11の制御装置21は、上り低速通信チャネルの通信品質を検出し、送受信機20を介して、無線基地局13との間でアウターループ電力制御を行う。アウターループ電力制御は、上り低速通信チャネルの通信品質と、アウターループ電力制御目標値とに基づいて、インナーループ電力制御目標値を調整するものである。また、無線基地局13の制御回路31は、送受信機32を介して無線ネットワーク制御装置11との間でアウターループ電力制御を行う。実施例6の無線通信システムは、上り高速通信チャネルによる通信開始に関する動作に無線ネットワーク制御装置11が関与しない点で、実施例3の無線通信システムと異なり、無線基地局13が、無線ネットワーク制御装置11との間でアウターループ電力制御を行う点で実施例4と異なる。
図18は、実施例6の無線通信ネットワークの動作を示している。初期の状態から、他の動作に関係なく、無線基地局13と無線通信装置14及び15との間で、上り低速通信チャネルに関するインナーループ電力制御が継続して行われている。また、初期状態から、無線ネットワーク制御装置11と無線基地局13との間で、上り低速通信チャネルに関するアウターループ電力制御が行われている。S40乃至S45は、実施例4(図14)と同様の動作である。ただし、低速通信チャネルに関するインナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットを加算し(S42)、待機状態(S43)の無線基地局13は、上り低速通信チャネルに関するアウターループ電力制御を停止する。具体的には、制御回路21が、上り低速通信チャネルに関するアウターループ電力制御を停止する。好ましくは、制御回路21は、無線ネットワーク制御装置11からアウターループ電力制御に関する情報を受信したとしても、受信したアウターループ電力制御に関する情報をインナーループ電力制御目標値の調整に反映しないことにより(インナーループ電力制御目標値を一定値に保つことにより)、アウターループ電力制御を停止することができる(S600)。
上り高速通信チャネルによる通信を開始した無線通信装置15は、無線基地局13に対して、上り高速通信チャネルによる通信を開始したことを通知する。上り高速通信チャネルによる通信を開始したことの通知を受信した無線基地局13は、上り低速通信チャネルに関するアウターループ電力制御を開始する。具体的には、無線通信装置15の制御回路41が、無線送受信機40を介して、無線基地局13に対して、上り高速通信チャネルによる通信を開始したこととの通知を送信する。無線基地局13の制御回路31は、無線送受信機30を介して上り高速通信チャネルによる通信を開始したことの通知を受信する。さらに、無線基地局13の制御回路31は上り低速通信チャネルに関するアウターループ電力制御を開始する(S601、S602)。
ここでは、無線通信装置15が、無線基地局13に対して上り高速通信チャネルによる通信を開始したことを通知する(S601)構成を説明した。しかし、S601を省略する構成とすることも可能である。この場合、無線基地局13は、上り高速通信チャネルによる通信の開始を認識すると、上り低速通信チャネルに関するアウターループ電力制御を開始する(S602)。ここでは、例えば、無線基地局13が、待機時間情報に基づいて、上り高速通信チャネルによる通信の開始を認識する構成を採用することができる。
図18においては、無線基地局13が、上り高速通信チャネル制御情報を無線通信装置15に対して送信することにより、上り高速通信チャネルによる通信を開始する構成とした。しかし、図19に示すように、無線基地局13が、上り高速チャネル制御情報とは別の上り高速チャネル通信開始許可通知を無線通信装置15に送信することによって、上り高速通信チャネルによる通信を開始する構成を採用することも可能である。この場合、無線基地局13は、上り高速通信チャネル通信開始許可通知の送信よりも前に、上り高速通信チャネル制御情報を無線基地局15に対して送信する(S44)。無線基地局13は、待機時間の経過後、無線通信装置15に対して、上り高速通信チャネル通信開始許可通知を通知する。具体的には、無線基地局13の制御回路31が、待機時間の経過後、無線送受信機32を介して、無線通信装置15に対して上り高速通信チャネル通信開始許可通知を送信する。無線通信装置15の制御装置41は、無線送受信機40を介して、上り高速通信チャネル通信開始許可通知を受信する(S603)。上り高速通信チャネル通信開始許可通知を受信した無線通信装置15は、上り高速通信チャネルによる通信を開始する。具体的には、上り高速通信チャネルを受信した無線通信装置15の制御回路41が、無線送受信機40を介して無線基地局13に対して、上り高速通信チャネルの送信を開始する(S45)。
図18及び図19の動作中の各パラメターは、実施例3と同様に、図13に示されるように変遷する。図13(A)は、上り高速通信チャネルの送信電力の変遷を示している。初期状態においてゼロであった送信電力が、上り高速通信チャネル通信の開始(図18または図19のS45に対応する)とともに立ち上がり、その後一定の値を保っている。図13(B)は、無線通信装置14または15の送信する上り低速通信チャネルに関するインナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値の変遷を示している。上り高速通信チャネルによる通信の開始時点から待機時間だけ前に、インナーループ電力制御目標値が電力制御オフセット分だけ増加している。さらに、上り高速通信チャネルによる通信の開始後に、インナーループ電力制御目標値が電力制御オフセット分だけ減少し、初期状態のインナーループ電力制御目標値に戻っている。インナーループ電力制御目標値の増加は、電力制御オフセットの加算(図18または図19のS42に対応する)とアウターループ電力制御の停止(図18または図19のS600に対応する)に起因するものである。インナーループ電力制御目標値の減少は、アウターループ電力制御が開始されたこと(図18または図19のS602に対応する)に起因するものである。図13(C)は、無線通信装置14または15の送信する上り低速通信チャネルの、無線基地局13における受信品質の変遷を示している。上り高速通信チャネルによる通信の開始時点の待機時間だけ前から、上り高速通信チャネルの開始時点にかけて、低速通信チャネルの受信品質が向上する。これは、上りインナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットが加算されたことに(図18または図19のS42)よるものである。上り低速通信チャネルの受信品質は、上り高速通信チャネルによる通信の開始に伴い劣化する。この受信品質の劣化は、上り高速通信チャネルによる干渉電力の増加等によるものである。しかし、上り高速通信チャネルによる通信の開始前に、上り低速通信チャネルの受信品質が向上しているため、上り高速通信チャネルによる通信の開始に伴って劣化した場合にも、上り低速通信チャネルの受信品質が必要な受信品質を下回ることはない。上り高速通信チャネルによる通信の開始後もインナーループ電力制御は継続しているが、停止されていたアウターループ電力制御が開始されることによってインナーループ電力制御目標値が初期状態のインナーループ電力制御目標値に戻るため(図18または図19のS602)に対応する)、低速通信チャネルの受信品質は、一端は過剰に向上するものの、最終的には初期状態のインナーループ電力制御目標値近辺に保たれる。図13(D)は、無線通信装置14または15の送信する上り低速通信チャネルの送信電力の変遷を示している。上り高速通信チャネルによる通信の開始よりも待機時間だけ前から、上り低速通信チャネルの送信電力は増加し始め、一端は過剰に増加するものの、その後減少し一定の値を保っている。上り低速通信チャネルの送信電力の増加は、アウターループ電力制御が停止された状態でインナーループ電力制御のインナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットが加算されたこと(図18または図19のS42)によるものである。また、上り低速通信チャネルの送信電力の減少は、アウターループ電力制御が開始されたこと(図18または図19のS602に対応する)によるものである。
図13に示されるように、実施例6の構成を採用することにより、上り高速通信チャネルによる通信に伴い、上り低速通信チャネルの受信品質が必要な受信品質を下回ることがなくなる。
実施例6において、上り高速通信チャネル制御情報に、上り高速通信チャネルによる通信の開始時期に関する情報が含まれている構成を採用することも可能である。この場合、無線通信装置15は、上り高速通信チャネル制御情報として受信した開始時期に関する情報に基づいて、上り高速通信チャネルの送信を開始する。具体的には、無線送受信機40を介して上り高速通信チャネルによる通信の開始時期に関する情報を受信した無線通信装置15の制御回路41は、受信した開始時期に関する情報に基づき、無線送受信機40を介して無線基地局13に対する上り高速通信チャネルの送信を開始する。この場合、ステップ602を省略することができる。
また、実施例6においては、上り高速通信チャネルによる通信開始後に、電力制御オフセットを加算したインナーループ電力制御目標値から電量制御オフセットを減算しない構成を採用している。しかし、実施例6においても、実施例5のように、上り高速通信チャネルによる通信の開始後に、電力オフセットを加算したインナーループ電力制御目標値から電力制御オフセットを減算する構成を採用することが可能である。
さらに、実施例6において、無線基地局13が、直接または無線ネットワーク制御装置11を介して、上り高速通信チャネルによる通信の開始に関する情報を、無線基地局12に対して通知する構成を採用することも可能である。この場合、無線基地局12が、図18または19のステップS42、S43、S600、及びS602を行う。また、このような構成を採用することにより、上り高速通信チャネルによる通信が隣接無線基地局の通信チャネルによる通信に与える影響を軽減することができる。
好ましくは、上り高速通信チャネルによる通信の開始に関する情報には、上り高速通信チャネルによる通信の開始要求若しく開始要求があったことの通知、電力制御オフセット、インナーループ電力制御目標値から電力制御オフセットを減算すべきことの通知、上り高速通信チャネルによる通信が開始されたことの通知、及び新たな電力制御目標値の少なくとも1つを含めることができる。
また、好ましくは、インナーループ電力制御目標値に加算する電力制御オフセット及び新たなインナーループ電力制御目標値の少なくとも1つが、無線基地局12で生成される構成、及び無線基地局12に予め保持されている構成を採用することも可能である。
好ましくは、本願発明の実施例1乃至6の電力制御オフセット及び新たなインナーループ電力制御目標値は、異なる無線通信装置について同じ値とすることも、それぞれ異なる値とすることも可能である。
好ましくは、本願発明の実施例1乃至6の無線通信システムに、携帯電話通信システム(PDC方式、GSM方式、CDMA方式等)、無線LAN通信システム等の無線通信システムを適用することができる。また、図1において、無線ネットワーク制御装置を1つ、無線基地局を2つ、無線通信装置を2つとする構成を採用している。しかし、本願発明実施例1乃至6の無線通信システムは、無線ネットワーク制御装置を2以上、無線基地局を1つ又は3以上、無線通信装置を1つ又は3以上とする構成を採用することも可能である。
好ましくは、本願発明の実施例1乃至6の無線基地局には、IMT-2000に規定される無線基地局(例えば、W-CDMAシステムにおけるNode-B、cdma2000システムにおけるBS(Base Station))、さらには、GSMシステムにおける無線基地局(BSS(Base Station System))、IS-95システムにおける無線基地局等、様々なシステムの無線基地局を適用することができる。
好ましくは、本願発明の実施例1乃至6の無線ネットワーク制御装置10に、IMT-2000に規定される無線ネットワーク制御システム、(例えばW-CDMAシステムにおけるRNC(Radio Network Controller)、cdma2000システムにおけるMSC(Mobile Switching Center)等)、さらには、GSMシステムにおける無線ネットワーク制御装置(MSC(Mobile-service Switching Center))、IS-95システムにおける無線ネットワーク制御装置等、様々なシステムの無線ネットワーク制御装置を適用することができる。
好ましくは、本願発明の実施例1乃至6の無線通信装置には、IMT-2000に規定される無線通信装置(例えば、W-CDMAシステムにおけるUE(User Equipment)、cdma2000システムにおけるMS(Mobile Station))、さらには、GSMシステムにおける無線通信装置(MS(Mobile Station))、IS-95システムにおける無線通信装置等、様々なシステムの無線通信装置を適用することができる。
好ましくは、本願発明の実施例1乃至6の上り低速通信チャネルには、W-CDMA通信システムにおけるDCH(Dedicated Channel)(3GPP TS 25.211 V3.12.0)を、上り高速通信チャネルにはEUDCH(Enhanced Uplink DCH)(3GPP TR 25.896 V6.0.0)を適用することができる。
好ましくは、本願発明の実施例1乃至6の上り高速通信チャネルの送信電力は、上り低速通信チャネルの送信電力よりも大きいものとすることができる。この場合、上り高速通信チャネルの送信電力が、上り低速通信チャネルの送信電力と同程度、若しくは小さい場合に比べて、上り高速通信チャネルによる通信に起因する上り低速通信チャネルの受信品質劣化が大きくなる。従って、本発明を適用することによる効果はより顕著なものとなる。
好ましくは、本願発明の実施例のインナーループ電力制御には、IMT-2000に規定されるW-CDMA通信システム、cdma2000通信システム等や、または、IS-95に規定される通信システムにおけるUplink power control(例えば3GPP TS 25.214 V3.12.0)を適用することができる。
好ましくは、本願発明の実施例1乃至6のアウターループ電力制御には、IMT-2000に規定されるW-CDMA通信システム、cdma2000通信システム、またはIS-95で規定される通信システム等におけるにアウターループ電力制御を適用することができる。
好ましくは、本願発明の実施例1乃至6の開始要求に関する情報には、開始要求そのものが含まれる構成を採用することもできる。即ち、無線通信装置15が送信した開始要求が、無線基地局13を通過してそのまま無線ネットワーク制御装置11によって受信される構成を採用することもできる。
好ましくは、本願発明の実施例1乃至6の待機時間情報はインナーループ電力制御の速度と電力制御オフセットとに基づいて生成される構成を採用することも可能である。例えば、インナーループ電力制御の制御速度に基づき、電力制御オフセット分だけ受信品質が向上するために必要な時間を求め、その必要な時間、またはその必要な時間以上の時間を待機時間とする構成を採用することが可能である。また、好ましくは、本願発明の実施例1乃至6の待機時間情報は、予め定められ、無線ネットワーク制御装置11または無線基地局13に保持されている情報とすることもできる。
好ましくは、本願発明の実施例1乃至6の上り低速通信チャネルの受信品質及びインナーループ電力制御目標値は、信号対干渉波電力(Signal to Interference Ratio)、または1ビットあたりの信号対干渉波電力(Eb/No)等で表現することが可能である。
好ましくは、本願発明の実施例1乃至6の上り低速通信チャネルの通信品質及びアウターループ電力制御目標値は、ビットエラーレート(Bit Error Rate)、フレームエラーレート(Frame Error Rate)、ブロックエラーレート(Block Error Rate)、CRC(Cyclic Redundancy Code)等で表現することが可能である。
好ましくは、本願発明の実施例1乃至6の上り高速通信チャネル制御情報は、最大送信電力、送信タイミング、拡散コード、データレートのうちの少なくとも1つを含むものとすることが可能である。
本願実施例1乃至6においては、上り高速通信チャネルによる通信は、開始された後、連続的に継続する構成を採用した。しかし、本願実施例1乃至6においては、上り高速通信チャネルによる通信が断続的に開始及び停止を繰り返す構成を採用することも可能である。
図7、図10、及び図13に示されるように、実施例1乃至6においては、電力制御オフセットと、上り高速通信チャネルによる通信の開始に起因する低速通信チャネルの受信品質劣化量とを一致させているが、これらは必ずしも一致している必要はない。例えば、電力制御オフセットを受信品質劣化量よりも大きくすることはもちろん、受信品質劣化量よりも小さくすることも可能である。電力制御オフセットを受信品質劣化量よりも小さくした場合にも、上り高速通信チャネルによる通信の開始時点において低速通信チャネルの受信品質が初期の電力制御目標に比べて向上していれば、上り高速通信チャネルによる通信に起因する低速通信チャネルの受信品質の劣化が、低速通信チャネルによる通信に与える影響を軽減することができる。
図10に示されるように、本願発明の実施例2、3、5、6においては、上り高速通信チャネルによる通信の開始時点と電力制御オフセットを減算する時点とを一致若しくはほぼ一致させているが、これらの時点は必ずしも一致若しくはほぼ一致している必要はない。例えば、電力オフセットを減算する時点は、上り高速通信チャネルによる通信の開始時点よりも後にすることはもちろん、上り高速通信チャネルによる通信の開始時点よりも前とすることも可能である。電力オフセットを減算する時点を上り高速通信チャネルによる通信の開始時点よりも前とした場合であっても、上り高速通信チャネルによる通信の開始時点において低速通信チャネルの受信品質が初期の電力制御目標に比べて向上していれば、上り高速通信チャネルによる通信に起因する低速通信チャネルの受信品質の劣化が、低速通信チャネルによる通信に与える影響を軽減することができる。
図13に示されるように、本願発明の実施例3及び6においては、アウターループ電力制御の開始時点を、上り高速通信チャネルによる通信の開始時点よりも後としているが、必ずしも、アウターループ電力制御の開始時点を、上り高速通信チャネルによる通信の開始時点よりも後とする必要はない。例えば、アウターループ電力制御の開始時点を、上り高速通信チャネルによる通信の開始時点と一致させることも、上り高速通信チャネルによる通信の開始時点よりも前とすることも可能である。このような場合であっても、上り高速通信チャネルによる通信の開始時点において低速通信チャネルの受信品質が初期の電力制御目標に比べて向上していれば、上り高速通信チャネルによる通信に起因する低速通信チャネルの受信品質の劣化が、低速通信チャネルによる通信に与える影響を軽減することができる。
図13に示されるように、本願発明の実施例3及び6においては、アウターループ電力制御の制御ステップと、電力制御オフセットとが一致若しくはほぼ一致しているが、これらは必ずしも一致している必要はない。たとえ、アウターループ電力制御の制御ステップが、電力制御オフセットよりも大きい場合であっても、上り高速通信チャネルによる通信の開始時点において低速通信チャネルの受信品質が初期の電力制御目標に比べて向上していれば、上り高速通信チャネルによる通信に起因する低速通信チャネルの受信品質の劣化が、低速通信チャネルによる通信に与える影響を軽減することができる。
好ましくは、本願発明の実施例1乃至6における、無線通信装置15の送信する上り低速通信チャネルに関する電力制御オフセットは、以下の条件の少なくとも1つを考慮して生成することができる。(i)上り高速通信チャネルによる干渉電力の増加量。(ii)インナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットを加算したことによる無線通信装置15自身が送信する上り低速通信チャネルの受信電力増加。(iii)無線通信装置15以外の無線通信装置(無線通信装置14を含む)に関するインナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットを加算した場合の、無線通信装置15以外の無線通信装置の送信する上り低速通信チャネルによる干渉電力の増加量。(iV)無線基地局に接続している無線通信装置の数。また、好ましくは、電力制御オフセットは、上り低速通信チャネルによる通信のQoS(Quality of Service)に基づいて生成することもできる。さらに、電力制御オフセットは、予め用意されたテーブルから選択することによって生成することもできる。
好ましくは、電力制御オフセットは、以下に説明するような方法によって生成することができる。ただし以下の方法は、電力制御オフセット生成方法の1例であり、本願発明はこの方法を採用することに限定されるものではない。
まず、無線送通信装置14の存在を考慮し、上り高速通信チャネルの送信を開始する無線通信装置15に関するインナーループ電力制御の電力制御オフセットを求める。無線通信装置14及び15に関する電力制御オフセットをそれぞれΔS1及びΔS2とする。無線通信装置14の送信する上り低速通信チャンネルについて、受信品質をS1(X1、X2、Y)、インナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットを加算する前の受信電力をC1、電力制御オフセットを加算したことによる受信電力増加量をΔC1とする。無線通信装置15の送信する上り低速通信チャンネルについて、受信品質をS2(X1、X2、Y)、インナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットを加算する前の受信電力をC2、電力制御オフセットを加算したことによる受信電力増加量をΔC2とする。また、無線通信装置15の送信する上り高速通信チャネルの受信電力をCeuとする。さらにガウスノイズをNとする。X1、X2、及びYは、それぞれ、無線通信装置14の送信する上り低速通信チャネルの受信電力、無線通信装置15の送信する上り低速通信チャネルの受信電力、及び上り高速通信チャネルの受信電力を表す変数である。ここで、ΔC1及びΔC2が未知数であり、他のパラメターは既知の値である。
インナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットを加算し、十分時間が経過した後、無線通信装置14及び15それぞれが送信する上り低速通信チャネルの受信電力は、それぞれC1+ΔC1及びC2+ΔC2となる。ここで、電力制御オフセットを、上り高速通信チャネルによる通信の開始に起因する受信品質の劣化量と等しくすると仮定する。この場合、電力制御オフセットを加算する前(上り高速通信チャネル送信開始前)の受信品質S1(C1、C2、0)及びS2(C1、C2、0)それぞれは、インナーループ電力制御目標値に電力制御オフセットを加算してから十分時間が経過した後、上り高速通信チャネルによる通信開始した直後の受信品質S1(C1+ΔC1、C2+ΔC2、Ceu)及びS2(C1+ΔC1、C2+ΔC2、Ceu)と等しくなる。即ち、下記の式1及び式2が成立する。
S1(C1、C2、0)=S1(C1+ΔC1、C2+ΔC2、Ceu) (式1)
S2(C1、C2、0)=S2(C1+ΔC1、C2+ΔC2、Ceu) (式2)
式1及び式2から未知数ΔC1及びΔC2を求めることがきる。従って、電力制御オフセットは、電力制御オフセットを加算してから十分時間が経過し、かつ上り高速通信チャネルによる通信の開始前の受信品質から、電力制御オフセットを加算する前(上り高速通信チャネル送信開始前)の受信品質を差し引いたものとして求められる。即ち、下記の式3及び式4のように求めることがきる。
ΔS=S1(C1+ΔC1、C2+ΔC2、0)−S1(C1、C2、0)(式3)
ΔS=S2(C1+ΔC1、C2+ΔC2、0)−S2(C1、C2、0)(式4)
式1乃至4は無線通信装置が2つの場合についての式である。無線通信装置がm個ある場合には、式1乃至4を拡張した下記の式5及び6を解くことによって、k番目の無線通信装置についての電力制御オフセットΔSkを求めることができる。
Sk(C1、C2…Cm、0)=Sk(C1+ΔC1、C2+ΔC2、…Cm+ΔCm、Ceu) (k=1、2 …m) (式5)
ΔSk=Sk(C1+ΔC1、C2+ΔC2、…Cm+ΔCm、0)−Sk(C1、C2…Cm、0) (k=1、2、m) (式6)
例えば、関数Skは式7のように表すことができる。
ここで、Sk及びXkは、それぞれk番目の無線通信装置の送信する上り低速通信チャネルの受信電力及び受信品質を表す。また、SFは既知の拡散率を表す。SFは、無線通信装置ごとにことなる値とすることもできる。
本願発明の無線通信システムの構成を示す図である。
本願発明の無線ネットワーク制御装置の構成を示す図である。
本願発明の無線基地局の構成を示す図である。
本願発明の無線通信装置の構成を示す図である。
本願発明の無線通信システムの動作を示す図である。
本願発明の無線通信システムの動作を示す図である。
本願発明の無線通信システムにおける各パラメターの変遷を示す図である。
本願発明の無線通信システムの動作を示す図である。
本願発明の無線通信システムの動作を示す図である。
本願発明の無線通信システムにおける各パラメターの変遷を示す図である。
本願発明の無線通信システムの動作を示す図である。
本願発明の無線通信システムの動作を示す図である。
本願発明の無線通信システムにおける各パラメターの変遷を示す図である。
本願発明の無線通信システムの動作を示す図である。
本願発明の無線通信システムの動作を示す図である。
本願発明の無線通信システムの動作を示す図である。
本願発明の無線通信システムの動作を示す図である。
本願発明の無線通信システムの動作を示す図である。
本願発明の無線通信システムの動作を示す図である。
従来の無線通信システムにおける各パラメターの変遷を示す図である。
符号の説明
10 コアネットワーク
11 無線ネットワーク制御装置
12 無線基地局
13 無線基地局
14 無線通信装置
15 無線通信装置
20 送受信機
21 制御回路
23 送受信機
30 無線送受信機
31 制御回路
32 送受信機
40 無線送受信機
41 制御回路