JP2006134836A - 燃料電池及び膜電極接合体 - Google Patents

燃料電池及び膜電極接合体 Download PDF

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友紀子 山本
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Abstract

【課題】5nm未満の粒径を有する新規なPtRu触媒を燃料極に有する燃料電池を提供する。
【解決手段】少なくとも、燃料極と、酸素極と、これら燃料極と酸素極との間に間挿された固体高分子電解質膜を有する燃料電池において、前記燃料極は、カーボンナノチューブに、下記の一般式、
PtRuP
(式中、PtとRuの原子比が40:60〜90:10であり、Pの含有率はPtとRuの総モル数に対して、2モル%〜50モル%の範囲内である。)で示される三元系微粒子が担持された触媒を含むことを特徴とする燃料電池。
【選択図】図1

Description

本発明は新規な三元系触媒を燃料極に有する燃料電池及び膜電極接合体に関する。更に詳細には、本発明はカーボンナノチューブ上に担持したPtRuP触媒を燃料極に有する燃料電池及び膜電極接合体に関する。
従来、電気エネルギーの大部分は、火力発電、水力発電又は原子力発電などにより供給されてきた。しかし、火力発電は石油や石炭などの化石燃料を燃焼させるため大規模な環境汚染をもたらすばかりか、石油などの資源枯渇が問題視されるようになってきた。また、水力発電は大規模なダム建設を必要とし、それによる自然破壊が懸念されるばかりか、建設適地も限られている。原子力発電は事故の際の放射能汚染が致命的であるばかりか、寿命を迎えた原子炉の廃炉問題などもあり、世界的には建設が抑制される方向に動いている。
大規模な施設を必要とせず、環境汚染も起こさない発電方法として風力発電や太陽光発電が世界各国で利用されるようになり、我が国でも一部の地域で実際に風力発電や太陽光発電が実用化されている。しかし、風力発電は風が吹かなければ発電できず、また太陽光発電は日光照射がなければ発電できないなど、自然現象に左右され、安定的な電力供給ができないという欠点がある。また、風力発電では、風の強さにより、発電した電力の周波数が変動し、電気機器の故障原因となっていた。
そこで、最近は、水素エネルギーから電気エネルギーを取り出すことができる発電装置
例えば、水素燃料電池などの開発研究が活発になってきた。水素は水を分解することにで得られ、地球上に無尽蔵に存在するばかりか、物質量当たりに含まれる化学エネルギー量が大きく、しかも、エネルギー源として利用するときに有害物質や地球温暖化ガスを発生しないという利点を有する。
水素ガスの代わりに、メタノールを使用する燃料電池の研究も活発に行われている。液
体燃料であるメタノールを直接使用する直接メタノール型燃料電池は、燃料の取り扱い易さに加え、安価な燃料ということで家庭用や産業用の比較的小出力規模の電源として期待されている。メタノール−酸素燃料電池の理論出力電圧は、水素燃料のものとほぼ同じ1.2V(25℃)であり、原理的には同様の特性が期待できる。
固体高分子型燃料電池や直接メタノール型燃料電池ではアノードで水素やメタノールを酸化させると同時に、カソードでは酸素を還元して電気エネルギーを取り出している。これらの酸化還元反応は常温では進み難いため、燃料電池には触媒が使用されている。初期の燃料電池では白金(Pt)を炭素基材上に析出担持させ触媒として使用してきた。Ptは水素酸化やメタノール酸化に対して充分な触媒活性を有しており、これまで炭素基材上へのPt触媒の析出雰囲気、つまり、析出時の外部因子を制御することにより、Pt触媒粒子の粒径を出来るだけ小さくし、Pt触媒の反応表面積を高めて使用することが試みられてきた。例えば、特許文献1では、アルコールでPtイオンを還元してPtを炭素基材上に担持させる際、反応溶液中に保護コロイドとしてポリビニルアルコールを添加し、Pt触媒粒子表面に保護コロイドを弱く吸着させ、Pt触媒の微粒子化を図っている。この方法では、Pt触媒表面に保護コロイドが吸着している。従って、触媒合成後、保護コロイドを触媒表面から取り除く必要がある。このため、Pt微粒子生成後に水素気流中400℃で熱処理を行う方法が提案されている。しかし、この処理方法では保護コロイドを完全にPt触媒表面から取り去ることは出来ないばかりか、400℃の熱処理によりPt触媒微粒子同士が焼結してPt触媒粒子径が増大し、触媒活性が低下するという問題があった。
Pt触媒には、メタノール酸化過程で発生する一酸化炭素(CO)、或いは水素ガス中に含まれる微量のCOガスがPt触媒上に化学吸着し、最終的には触媒活性が失活する問題があった。この現象はCOによるPt触媒の被毒と呼ばれている。COによるPt触媒の被毒を抑えるため、Ptへの添加元素の探索が行われ、その結果、PtにRuを添加することにより、COによる触媒被毒が大きく軽減されることが発見された(例えば、特許文献2参照)。
このRuはそれ自身に水素やメタノールの酸化活性は無いが、Pt上に化学吸着したCOを素早くCOに酸化して逃がす働きを持った助触媒である。直接メタノール型燃料電池を例に挙げると、下記反応式(1)に示されるように、Pt触媒上で脱プロトン反応が起こり、Pt触媒上にCOが化学吸着する。これがCOによる触媒被毒である。しかし、Ruを含んだPtRu触媒では、下記反応式(2)で示されるように、Ruが水と反応してRu−OHを生成し、次いで、下記反応式(3)で示されるように、Pt触媒表面に化学吸着したCOをCOに酸化して除去する。
Pt+CHOH → Pt−CO +4H+4e 式(1)
Ru+HO → Ru−OH+H+e 式(2)
Pt−CO+Ru−OH → Pt+Ru+H+e+CO↑ 式(3)
含浸法や無電解メッキ法或いはアルコール還元法でPtRu触媒を合成すると、その粒
径は5〜10nmの範囲内に集中する。PtRuの粒径が大きいと、触媒の有効表面積が増大せず、触媒活性も向上しない。従って、PtRuの触媒活性を高めるためには、PtRuの粒径を5nm未満とし、触媒の有効表面積を高めることが有効である。この場合、保護コロイドを添加してPtRu触媒の粒径を小さくする方法は、前記の理由により使用できない。
特開昭56−155645号公報 特開昭57−5266号公報
合成されたPtRu触媒は通常、電解質溶液を用いてペースト化され、その後プレス機で圧縮して電極触媒膜にされる。従来、PtRu触媒の担体には比表面積が比較的大きいカーボンブラックが使用されてきた。これは、一般的に比表面積が大きい担体上にPtRu触媒を析出させると、比較的粒径の小さい触媒が得られるという経験則があるためである。カーボンブラック担体は一次粒子径が数十nmの球状粒子のから構成されている。このため、カーボンブラックに担持されたPtRu触媒を電解質でペースト化した後、プレス機で圧縮して電極触媒膜にすると比較的高い充填密度が得られる。このため、電極触媒膜中では物理的な空隙が減少する傾向にある。このため、燃料極電極触媒膜では、燃料であるメタノールや水素ガスの十分な拡散性が得られないという問題があった。また、カーボンブラック担体には多くの細孔が存在している。このため、細孔内に析出した触媒は酸化還元反応に関与する事ができず、カーボンブラックを担体として使用する限り、触媒粒子の利用効率を十分高める事が出来ない問題があった。さらに、カーボンブラック担体では、多くの微小球体の接触により、その接触抵抗が増加し、結果的にIR損失が増大して電池電圧の低下を招いていた。これらの理由から、PtR触媒の担体にカーボンブラックを使用した場合、燃料電池の特性を十分に高める事ができない問題があった。
従って、本発明の目的は、燃料を速やかに個々の触媒に拡散させ、且つ粒径が5nm未満で触媒活性の高い新規な燃料極用触媒を有する燃料電池及び膜電極接合体を提供することである。
前記課題を解決するための手段として、請求項1に係る発明は、少なくとも、燃料極と、酸素極と、これら燃料極と酸素極との間に間挿された固体高分子電解質膜を有する燃料電池において、前記燃料極は、カーボンナノチューブ上に、下記の一般式、
PtRuP
で示される三元系微粒子が担持された触媒を含むことを特徴とする燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として、請求項2に係る発明は、少なくとも、燃料極と、酸素極と、これら燃料極と酸素極との間に間挿された固体高分子電解質膜を有する燃料電池において、
前記燃料極は、カーボンナノチューブ上に、下記の一般式、
PtRuP
(式中、PtとRuの原子比が40:60〜90:10であり、Pの含有率はPtとRuの総モル数に対して、2モル%〜50モル%の範囲内である。)で示される三元系微粒子が担持された触媒を含むことを特徴とする燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として、請求項3に係る発明は、前記PtRuP三元系
微粒子の粒径が1〜3nmの範囲内であることを特徴とする請求項1及び2に記載の燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として、請求項4に係る発明は、前記カーボンナノチューブが比表面積20〜70m2/gである事を特徴とする請求項1〜3記載の燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として、請求項5に係る発明は、直接メタノール型燃料電池であることを特徴とする請求項1〜4に記載の燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として、請求項6に係る発明は、固体高分子型燃料電池であることを特徴とする請求項1〜4に記載の燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として、請求項7に係る発明は、燃料極触媒層と、酸素極触媒層と、これら燃料極触媒層と酸素極触媒層との間に間挿された固体高分子電解質膜とからなる膜電極接合体において、 前記燃料極触媒層は、カーボンナノチューブ上に、下記の一般式、
PtRuP
で示される三元系微粒子が担持された触媒を含むことを特徴とする膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として、請求項8に係る発明は、燃料極触媒層と、酸素極触媒層と、これら燃料極触媒層と酸素極触媒層との間に間挿された固体高分子電解質膜とからなる膜電極接合体において、
前記燃料極触媒層は、カーボンナノチューブ上に、下記の一般式、
PtRuP
(式中、PtとRuの原子比が40:60〜0:10であり、Pの含有率はPtとRuの
総モル数に対して、2モル%〜50モル%の範囲内である。)で示される三元系微粒子が
担持された触媒を含むことを特徴とする膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として、請求項9に係る発明は、前記PtRuP三元系微粒子の粒径が1〜3nmの範囲内であることを特徴とする請求項7及び8に記載の膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として、請求項10に係る発明は、前記カーボンナノチューブが比表面積20〜70m2/gである事を特徴とする請求項7〜9記載の膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として、請求項11に係る発明は、直接メタノール型燃料電池において使用されることを特徴とする請求項7〜10に記載の膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として、請求項12に係る発明は、固体高分子燃料電池において使用されることを特徴とする請求項7〜10に記載の膜電極接合体である。
本発明によれば、無電解メッキ法、アルコール還元法によりカーボンナノチューブ上にPtRu触媒を析出させる際、PtRu二元系触媒に対してPを添加してPtRuP三元系触媒とすると、PtRu触媒粒子がカーボンナノチューブ上に析出する際、そのPが粒子の内部及び外部から作用し、析出するPtRu触媒粒子を微細化し、触媒の表面積を増大させ、その結果、触媒活性が向上する事が発見された。図1及び図2は本発明より得られたPtRuP触媒微粒子1の模式的断面図である。X線光電子分光分析(XPS分析)から、アルコール還元法で合成されたPtRuP触媒粒子では図1に示すように、カーボンナノチューブ3に担持されたPtRu粒子5の外表面にP7が酸化物として存在しており、無電解メッキ法により合成されたPtRuP触媒では、図2に示したようにPtRu粒子5の外表面にP7が酸化物として存在すると共にPtRu粒子5の内部にP8が金属リン化物或いはリン単体として存在していることが示されている。従って、P7及びP8がPtRu粒子5の外部あるいは内部から作用し、その粒子成長が抑制され、PtRuP触媒微粒子1全体が微細化されるものと考えられる。
一般的に燃料電池の燃料極触媒層と酸素極触媒層との間には、固体高分子電解質膜としてデュポン社製のナフィオン膜が使用されている。ナフィオン膜ではスルホン酸基の水素原子がHとなってプロトン導電性を発揮するため、ナフィオン膜自体は極めて高い酸性を示す。従って、ナフィオン膜と電極触媒層との界面及びナフィオン樹脂でペースト化された触媒粒子とナフィオン界面は強酸性になる。これまでPtRu触媒の耐CO被毒性を高めるため、第三金属元素(例えば、Mo、Mn、Fe,Co等)の添加が試みられてきた。しかし、これらの遷移金属は十分な耐酸性を有していないため、強酸性のナフィオン樹脂と接触する事により、金属イオンとして溶出する。溶出した金属イオンはナフィオン膜中のHとイオン変換する結果、ナフィオンのプロトン導電性が低下し、電池特性が劣化する。しかし、Pは従来の第三金属元素とは異なり、耐酸性があるため酸に溶出する事無く、燃料電池用触媒の添加元素として極めて好適であることも発見された。
本発明においては燃料極PtRuP触媒の担体にカーボンナノチューブを使用している。カーボンナノチューブは従来使用されてきたカーボンブラックに比べて嵩高い。このため触媒をナフィオン樹脂でペースト化し、プレス機により電極触媒膜にした場合、従来のカーボンブラック担体に比較して充填密度が低い電極触媒膜が得られる。その結果、電極触媒膜中に物理的な空隙が多く存在するため、PtRuP触媒上への燃料の拡散が十分確保される。更に、カーボンナノチューブ担体には細孔が存在しないため、触媒はすべてカーボンナノチューブ表面上に析出する。このため、全ての触媒が燃料の酸化反応に寄与する事ができるようになり、触媒の利用効率が飛躍的に高まって電池特性が向上する事が発見された。また、本発明では触媒の担体としてカーボンナノチューブを使用しているため、従来使用されてきたカーボンブラックに比較して比抵抗が低い。このためIR損出を抑える事ができ、結果として電池電圧の低下を抑制できる事も発見された。
本発明による燃料電池用の触媒はカーボンナノチューブ上に担持された下記の一般式、
PtRuP
で示される三元系微粒子からなる。前記式中、Pの含有率はPtとRuの総モル数に対して、2モル%〜50モル%の範囲内であることが好ましい。P含有率が2モル%未満ではPtRu触媒の粒径は十分に減少しないため触媒の活性を十分に高める事が出来ない。一方、P含有率が50モル%超の場合、PtRuの含有率が低くなり、電池出力が低下する。
また、前記三元系触媒におけるPtとRuの原子比率(at.%)は、40:60〜90:10の範囲内であることが好ましい。Ptが40at.%未満の場合、メタノール酸化活性を十分に高める事が出来ない。また、Ruが10at.%未満の場合、十分にCO被毒特性を改善させることが出来なくなる。
PtRuの原子組成をPt40Ru60〜Pt90Ru10にすることにより触媒の最表面組成が最適化されて触媒活性が高まると考えられる。また、P組成をPtとRuの総モル数に対して2mol%〜50mol%とした場合、PtRu触媒の粒子成長を抑え、比表面積の大きく活性の高い触媒を得ることが出来る。その結果、前記反応式(2)及び(3)の反応がより速く進行し、メタノール酸化活性が向上するものと考えられる。
PtRuP触媒の粒径は1〜3nmが適する。粒径が1nm未満では合成された触媒表面の活性が極めて高いため、周囲の存在する物質と触媒表面層に化合物を形成し、触媒自ら活性を低下させる。また、粒径が3nmより大きい場合、単位重量当たりの触媒の表面積を十分に増大させる事が出来ず、触媒活性を高める事が出来ない。
触媒の担体となるカーボンナノチューブの比表面積は20〜70m2/gが適する。比表面積が20m2/g未満では十分に触媒を担持させる事が出来ない。また、比表面積が70m2/g超のカーボンナノチューブでは、担体であるカーボンナノチューブの直径が減少し、触媒をペースト化した後、プレスによって電極を作製した場合、充填密度が高まる。この結果、燃料極へのメタノール或いは水素の供給がスムースに行われず電池特性が低下する。
アルコール還元法による本発明のPtRuP触媒微粒子の製造方法は基本的に、
(1) 一種類以上のアルコール溶液またはアルコール水溶液中に比表面積が20〜70m2/gのカーボンナノチューブを分散させるステップと、
(2) カーボンナノチューブが分散されたアルコールまたはアルコール水溶液中に、Ptの塩又は錯体と、Ruの塩又は錯体と、P含有化合物を溶解させるステップと、
(3) カーボンナノチューブが分散され、Ptの塩又は錯体と、Ruの塩又は錯体と、P含有化合物を含むアルコールまたはアルコール水溶液のpH値を2〜5の範囲に調整するステップと、
(4)不活性雰囲気中で、アルコールによる加熱還流を行うステップを含み、 前記カーボンナノチューブ上に、下記の一般式、
PtRuP
で示される三元系微粒子を担持した燃料電池用触媒を生成することからなる。
無電解メッキ法による本発明のPtRuP触媒微粒子の製造方法は基本的に、
(1)水中に比表面積が20〜70m2/gのカーボンナノチューブを分散させるステップと、
(2)前記カーボンナノチューブが分散された水溶液中に、Ptの塩又は錯体と、Ruの塩又は錯体と、P含有化合物を溶解させるステップと、
(3)前記カーボンナノチューブが分散されPtの塩又は錯体と、Ruの塩又は錯体と、P含有化合物を含む水溶液のpH値をアルカリ側に調整するステップと、
(4)大気中或いは不活性雰囲気中で無電解メッキを行うステップを含み、前記カーボンナノチューブ上に下記の一般式、
PtRuP
で示される三元系微粒子を担持した燃料電池用酸素極触媒を生成することからなる。
本発明の製造方法により生成されたPtRuP触媒微粒子の粒径は、Pの存在により従来のPtRu触媒微粒子の粒径よりも小さくなる。一般的に、従来の製造方法により生成されたPtRu触媒の粒径は〜10nm程度であったが、本発明によりPが添加されたPtRu触媒の粒径は1〜3nmまで大きく減少する。この粒径減少によりPtRu触媒の比表面積が増加し、水素酸化活性或いはメタノール酸化活性が大きく向上すると考えられる。本発明のP添加による別の特徴は、粒径分布が従来のPtRu及びPt触媒微粒子の粒径分布に比べて狭いことである。従来の方法で製造されたPtRu及びPt触媒微粒子の粒径分布は2〜10nmと広いが、本発明によるP添加触媒では、粒径分布は1〜3nmに狭められる。
Pt、Ru及びP化合物が溶解されたアルコール溶液またはアルコール水溶液のpHを2〜4に調整することにより、PtRuP微粒子表面のPtとRuの組成が最適化し、前記の反応式(3)で示したCOの酸化反応が効率的に進行し、メタノール酸化活性が高まるものと思われる。pH2未満では粒径が増加してメタノール酸化に有効な表面積が減少して触媒活性が低下する。一方、pH4超の場合、粒径の減少により合成された触媒表面の活性が極めて高くなり、触媒が周囲の存在する物質とその表面層に化合物を形成し、触媒自ら活性を低下させる。
アルコール溶液またはアルコール水溶液のpH値を2〜4に調整するために使用される酸としては沸点が200℃より高い硫酸であることが好ましい。アルコール還元法では加熱還流を60〜200℃程度の温度で行うため、酸の沸点が200℃未満の酸の場合、アルコールの加熱還流によって酸が消散しまう可能性があり、合成系内のpH値を所定範囲内に維持することが困難になる。従って、塩酸及び硝酸は沸点が低く加熱還流中に消散するため好ましくない。
本発明のPtRuP触媒微粒子の製造方法において使用できるP含有化合物は、亜燐酸、亜燐酸塩(正塩及び酸性塩の両方を含む)、次亜燐酸、次亜燐酸塩である。+5価の原子価を有するP原子は、Neと同じ電子配置であるため、オクテット則により化学的に安定となるので本発明の目的には適さない。従って、+5価のP原子を有する燐酸(HPO)は本発明では使用できない。塩としてはアルカリ金属塩(例えば、亜燐酸ナトリウム、亜燐酸水素ナトリウム、次亜燐酸ナトリウム等)又はアンモニウム塩(亜燐酸アンモニウム、亜燐酸水素アンモニウム、次亜燐酸アンモニウム等)が好ましい。P含有化合物の添加量は、アルコール還元法の場合、PtとRuの総モル数に対して5%〜50%の範囲内であることが好ましい。添加量が5%未満ではPtRu触媒を微粒子化する効果が十分ではなく、一方、50%を超えると触媒の特性が劣化する。無電解メッキ法の場合、P含有化合物の添加量は、PtとRuの総モル数に対して350%〜3000%の範囲内であることが好ましい。添加量が350%未満ではPtイオンとRuイオンを十分に還元させる事ができず、触媒を微粒子化する効果も十分ではない。一方、3000%を超えると触媒の特性が劣化する。
本発明で使用されるPtの塩又は錯体は、例えば、ジニトロジアミン白金錯体、白金トリフェニルホスフィン錯体、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)及び六塩化白金酸などである。これらの白金化合物は単独で使用することもできるし又は2種類以上を併用することもできる。
本発明で使用されるRuの塩又は錯体は、例えば、塩化ルテニウム水和物、ルテニウムトリフェニルホスフィン錯体、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)などである。これらのルテニウム化物は単独で使用することもできるし又は2種類以上を併用することもできる。
アルコール還元法では、アルコール系溶媒に触媒を合成するための化合物を溶解させ、アルコール系溶媒の沸点近傍の温度で還流すると、アルコール(R-OH)が加熱還流中に金属イオンを還元し、自らは酸化されてアルデヒド(R'-CHO)に変化する。また、無電解メッキ法では、還元剤である亜燐酸イオンが燐酸イオン、次亜燐酸イオンが亜燐酸イオンに酸化される際、電子を放出し、この電子を白金とルテニウムイオンが受け取って金属に還元される。
本発明の加熱還流処理で使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、イソアミルアルコール、n-アミルアルコール、sec-ブチルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、アリルアルコール、n-プロピルアルコール、2-エトキシアルコール及び1,2-ヘキサデカンジオールが挙げられる。これらアルコールは1種類又は2種類以上を適宜選択して使用することができる。還流の際、触媒微粒子の酸化を防止するため、反応系内を窒素或いはアルゴン等の不活性ガスで置換しながら還流を行うことが好ましい。
アルコール加熱還流処理における加熱温度及び還流時間は使用するアルコールの種類に応じて変化する。しかし、一般的に、加熱温度は60〜300℃程度であり、還流時間は30分間〜6時間の範囲内である。無電解メッキの場合、一般的浴温は50〜90℃であり、還元時間は30分〜4時間である。
本発明において、アルコール還元法の場合、Pt及びRuの塩又は錯体とP含有化合物は、少なくとも一種類のアルコールに溶解される。このアルコールは、アルコールのみからなる場合の他、水を含有するものでも良い。また、無電解メッキ法の場合、Pt及びRuの塩又は錯体とP含有化合物は水に溶解される。
本発明において使用される触媒の担持率は、20〜100twt.%が適する。担持率が20wt.%未満の場合、一定の触媒塗布量を得ようとすると、触媒電極の厚みが増加して燃料の浸透性が劣化し好ましくない。一方、担持率が100wt.%超の場合、本発明のPtRuP触媒の粒径は1〜3nmであるため、触媒全体を担持した状態でカーボンナノチューブ上に析出させる事が出来なくなる。
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルとトリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)1.69ミリモルと次亜燐酸ナトリウム1.69ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、カーボンナノチューブ(直径150nm,比表面積20m/g)0.5gを分散させた130mlのエチレングリコール溶液を加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtRuP触媒微粒子をカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルとトリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)1.69ミリモルと次亜燐酸ナトリウム1.69ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、カーボンナノチューブ(直径75nm,比表面積30m/g)0.5gを分散させた130mlのエチレングリコール溶液を加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtRuP触媒微粒子をカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルとトリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)1.69ミリモルと次亜燐酸ナトリウム1.69ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、カーボンナノチューブ(直径60nm,比表面積40m/g)0.5gを分散させた130mlのエチレングリコール溶液を加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtRuP触媒微粒子をカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
(比較例1)
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルとトリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)1.69ミリモル及び次亜燐酸ナトリウム1.69ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、カーボンブラック(ケッチェンEC,比表面積800m/g)0.5gを分散させた130mlのエチレングリコール溶液を加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtRuP触媒微粒子をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
(比較例2)
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルとトリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)1.69ミリモルをそれぞれ150mlのエチレングリコールに溶解させ、カーボンナノチューブ(直径75nm,比表面積30m/g)0.5gを分散させた130mlのエチレングリコール溶液を加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtRu触媒微粒子をカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
(比較例3)
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルとトリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)1.69ミリモルをそれぞれ150mlのエチレングリコールに溶解させ、カーボンナノチューブ(直径60nm,比表面積40m/g)0.5gを分散させた130mlのエチレングリコール溶液を加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtRu触媒微粒子をカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた各触媒の粒径を電子顕微鏡で調べた。その結
果を下記の表1に示す。実施例1〜3で得られた触媒の粒径は2〜3nmとなり、カーボンナノチューブ(CNT)の比表面積が小さいのにも関わらず、比較例1で得られたカーボンブラック担持PtRuP触媒と同等の粒径となった。しかし、比較例2〜3で得られたPを含有しないPtRu触媒の粒径は2〜10nmであり、PtRuPに比べ大きかった。
Figure 2006134836
図3に、実施例2で得られたカーボンナノチューブ担持PtRuP触媒、比較例1で得られたカーボンブラック担持PtRuP触媒及び比較例2で得られたカーボンナノチューブ担持PtRu触媒の透過型電子顕微鏡像を示す。(A)は実施例2のPtRuP触媒の電子顕微鏡写真であり、(B)は比較例1のPtRuP触媒の電子顕微鏡写真であり、(C)は比較例2のPtRu触媒の電子顕微鏡写真である。電子顕微鏡写真における黒色〜灰黒色部分は触媒粒子であり、薄灰色又は灰白色部分は炭素基材である。(A)の電子顕微鏡写真から明らかなように、本発明のPtRuP触媒の場合、粒径は殆どが2〜3nm程度であり、しかも粒子が分散し、凝集塊は全く存在していない。(B)の電子顕微鏡写真のPtRuP触媒も粒径は殆どが2〜3nm程度であったが、3〜5nmの粒子となっている箇所も弱冠見られた。(C)の電子顕微鏡写真から明らかなように、PtRu触媒の粒径は2〜10nmであり、凝集塊も存在する。この結果から、P添加によるPtRu触媒の微粒子化作用及び分散化作用が確認できた。
実施例2で得られたカーボンナノチューブに担持したPtRuP触媒に純水とナフィオン(デュポン社製)のアルコール溶液を加えて撹拌した後、その粘度を調整して触媒用インクとした。これをテフロン(登録商標)シート上に、PtRuP触媒の塗布量が5mg/cmになるように塗布した。乾燥後、テフロン(登録商標)シートを剥がし、メタノール極触媒とした。また、ケッチェンECに担持したPt触媒に純水とナフィオン(デュポン社製)のアルコール溶液を加えて撹拌した後、その粘度を調整して触媒用インクとした。これをテフロン(登録商標)シート上に、Pt触媒の塗布量が5mg/cmになるように塗布した。乾燥後、テフロン(登録商標)シートを剥がし、酸素極触媒とした。その後、PtRuP電極触媒と、Pt電極触媒を固体高分子電解質膜(デュポン社製ナフィオン膜)の両側にホットプレスして膜電極接合体を作製した。この膜電極接合体と、液体燃料として15wt.%のメタノール水溶液を用い、図4に示す直接メタノール型燃料電池を作製した。図4において、符号10は直接メタノール型燃料電池を示す。また、符号12は酸素極側集電体、14は酸素極側拡散層、16は固体高分子電解質膜、18はメタノール極側拡散層、20はメタノール極側集電体、22はメタノール燃料タンク、24は空気導入孔、26は酸素極Pt触媒層、28はメタノール極PtRuP触媒層、30はメタノール燃料導入孔をそれぞれ示す。酸素極側集電体12は、空気導入孔24を介して空気(酸素)を取り込む構造体としての機能を有すると共に、集電機能も有している。固体高分子電解質膜(デュポン社製ナフィオン膜)16は、メタノール極で発生したプロトンを酸素極側に輸送する機能と、更に、メタノール極と酸素極の短絡を防止するセパレータとしての機能を備えてなるものである。このように構成される直接メタノール型燃料電池10において、メタノール極側集電体20から供給される液体燃料はメタノール極側拡散層18を介してメタノール極触媒層28に導かれて酸化され、COと電子とプロトンに変換される。プロトンは固体高分子電解質膜16を介して酸素極側に移動する。酸素極では酸素極側集電体12から取り込まれた酸素がメタノール極で生成した電子により還元され、これと上記のプロトンとが反応して水を生成する。図4に示される直接メタノール型燃料電池10では、このようなメタノールの酸化反応及び酸素の還元反応により発電が起こる。
実施例4におけるPtRuP触媒の代わりに、実施例1のPtRuP触媒をメタノール極触媒として使用したこと以外は、実施例3と同様にして直接メタノール型燃料電池を作製した。
実施例4におけるPtRuP触媒の代わりに、実施例3のPtRuP触媒をメタノール極触媒として使用したこと以外は、実施例3と同様にして直接メタノール型燃料電池を作製した。
(比較例4)
実施例4におけるPtRuP触媒の代わりに、比較例1のPtRuP触媒をメタノール極触媒として使用したこと以外は、実施例3と同様にして直接メタノール型燃料電池を作製した。
(比較例5)
実施例4におけるPtRuP触媒の代わりに、比較例2のPtRu触媒をメタノール極触媒として使用したこと以外は、実施例3と同様にして直接メタノール型燃料電池を作製した。
(比較例6)
実施例4におけるPtRuP触媒の代わりに、比較例3のPtRu触媒をメタノール極触媒として使用したこと以外は、実施例3と同様にして直接メタノール型燃料電池を作製した。
実施例4〜6及び比較例4〜6でそれぞれ得られた直接メタノール型燃料電池において、出力密度を測定した。測定結果を表2に示す。表2に示された結果から明らかなように、実施例4〜6のカーボンナノチューブに担持したPtRuP触媒をメタノール極触媒とした場合、72〜75mW/cmの高出力密度が得られたのに対し、比較例5〜6のカーボンナノチューブに担持したPtRu触媒をメタノール極触媒として使用した場合、出力密度は32〜35mW/cmに低下している。これは実施例4〜6では、メタノール極触媒として粒径が2〜3nmのPtRuP触媒を用いることにより、触媒の表面積が増大してメタノール酸化活性が向上した事によるためである。また、実施例4〜6のカーボンナノチューブに担持したPtRuP触媒を用いた場合、比較例4のカーボンブラックに担持したPtRuP触媒に比較して出力密度が高い。これはPtRuP触媒の粒径は2〜3nmで同じであるが、実施例4〜6では触媒の担体にカーボンナノチューブを使用しているため、PtRuP触媒が全て担体表面に析出して触媒の利用効率が高まったためである。また、カーボンナノチューブは嵩高く、触媒電極膜中に物理的空隙が多く存在し、充填密度の高いカーボンブラックに比べてメタノール水溶液の拡散性が向上し、PtRuP触媒とメタノール燃料の接触が十分に確保されたためである。更に、実施例4〜6では触媒の担体にカーボンナノチューブを使用しているため、カーボンブラックに比較して比抵抗が低く、このためIR損出を抑える事ができたと考えられる。
Figure 2006134836
実施例2で得られたカーボンナノチューブに担持したPtRuP触媒に純水とナフィオン(デュポン社製)のアルコール溶液を加えて撹拌した後、その粘度を調整して触媒用インクとした。これをテフロン(登録商標)シート上に、PtRuP触媒の塗布量が5mg/cm2になるように塗布した。乾燥後、テフロン(登録商標)シートを剥がし、水素極触媒とした。また、ケッチェンECに担持したPt触媒に純水とナフィオン(デュポン社製)のアルコール溶液を加えて撹拌した後、その粘度を調整して触媒用インクとした。これをテフロン(登録商標)シート上に、Pt触媒の塗布量が5mg/cm2になるように塗布した。乾燥後、テフロン(登録商標)シートを剥がし、酸素極触媒とした。その後、PtRuP電極触媒と、Pt電極触媒を固体高分子電解質膜(デュポン社製ナフィオン膜)の両側にホットプレスして膜電極接合体を作製した。この膜電極接合体と、燃料として水素ガスを用い、図5に示す固体高分子型燃料電池を作製した。図5において、符号40は固体高分子型燃料電池を示す。また、符号44は酸素極側集電体、43は酸素極側拡散層、41は固体高分子電解質膜、48は水素極側拡散層、47は水素極側集電体、42は空気導入孔、45は酸素極Pt触媒層、46は水素極PtRuP触媒層、49は水素燃料導入孔をそれぞれ示す。酸素極側集電体44は、空気導入孔42を介して空気(酸素)を取り込む構造体としての機能を有すると共に、集電機能も有している。固体高分子電解質膜(デュポン社製ナフィオン膜)41は、水素極で発生したプロトンを酸素極側に輸送する機能と、更に水素極と酸素極の短絡を防止するセパレータとしての機能を備えてなるものである。このように構成される固体高分子型燃料電池40において、水素極側集電体47から供給される水素ガスは水素極側拡散層48を介して水素極触媒層46に導かれて酸化され電子とプロトンに変換され、このプロトンは固体高分子電解質膜41を介して酸素極側に移動する。酸素極では酸素極側集電体44から取り込まれた酸素が水素極で生成した電子により還元され、これと上記のプロトンとが反応して水を生成する。図4に示される固体高分子型燃料電池40では、このような水素の酸化反応及び酸素の還元反応により発電が起こる。
実施例7におけるPtRuP触媒の代わりに、実施例1のPtRuP触媒を水素極触媒として使用したこと以外は、実施例7と同様にして固体高分子型燃料電池を作製した。
実施例7におけるPtRuP触媒の代わりに、実施例3のPtRuP触媒を水素極触媒として使用したこと以外は、実施例7と同様にして固体高分子型燃料電池を作製した。
(比較例7)
実施例7におけるPtRuP触媒の代わりに、比較例1のPtRuP触媒を水素極触媒として使用したこと以外は、実施例7と同様にして固体高分子型燃料電池を作製した。
(比較例8)
実施例7におけるPtRuP触媒の代わりに、比較例2のPtRu触媒を水素極触媒として使用したこと以外は、実施例7と同様にして固体高分子型燃料電池を作製した。
(比較例9)
実施例7におけるPtRuP触媒の代わりに、比較例3のPtRu触媒を水素極触媒として使用したこと以外は、実施例7と同様にして固体高分子型燃料電池を作製した。
実施例7〜9及び比較例7〜9でそれぞれ得られた固体高分子型燃料電池において、出力密度を測定した。測定結果を表3に示す。実施例7〜9のカーボンナノチューブに担持したPtRuP触媒を水素極触媒として使用した場合、200〜210mW/cmの高出力密度が得られているが、比較例8〜9のカーボンナノチューブに担持したPtRu触媒を水素極触媒として使用した場合、出力密度が120mW/cmに低下している。これは実施例7〜9では、水素極触媒として粒径が2〜3nmのPtRuP触媒を用いることにより、触媒の表面積が増大して水素酸化活性が向上したためである。また、実施例7〜9のカーボンナノチューブに担持したPtRuP触媒を用いた場合、比較例7のカーボンブラックに担持したPtRuP触媒に比較して出力密度が高い。これはPtRuP触媒の粒径は2〜3nmで同じであるが、実施例7〜9では触媒の担体にカーボンナノチューブを使用しているため、PtRuP触媒が全て担体表面に析出して触媒の利用効率が高まったためである。また、カーボンナノチューブは嵩高く、触媒電極膜中に物理的空隙が多く存在し、充填密度の高いカーボンブラックに比べて水素ガスの拡散性が向上し、PtRuP触媒と水素燃料の接触が十分に確保されたためである。更に、実施例7〜9では触媒の担体にカーボンナノチューブを使用しているため、カーボンブラックに比較して比抵抗が低く、このためIR損出を抑える事ができたと考えられる。
Figure 2006134836
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)とトリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)の仕込み割合を1:3〜2:1に変化させ、次亜燐酸ナトリウムをPtとRuの総モル数に対して50モル%それぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、カーボンナノチューブ(直径75nm,比表面積30m/g)0.5gを分散させた130mlのエチレングリコール溶液を加えた。この溶液に硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液のpHを3に調整した。窒素雰囲気下、200℃のオイルバス中でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtRuP微粒子をカーボンナノチューブ上に担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
実施例10で得られたPtRuP触媒についてX線回折実験を行い、シェラーの式を適用してPtRuP触媒の粒径を見積もった。また。蛍光X線により触媒の組成を調べた。さらにこれらのPtRuP触媒について実施例4と同様な方法で直接メタノール型燃料電池を作製して各電池の出力密度を測定した。結果を纏めて表4に示す。
Figure 2006134836
表4に示された結果から、PtとRuの仕込み割合を1:2〜2:1にする事によりPtとRuの組成比が40:60〜90:10、P濃度がPtとRuの総モル数の2mol%以上のPtRuP触媒が得られ、高い出力密度が得られることが分かる。
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルとトリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)1.69ミリモル及び次亜燐酸ナトリウム(NaPH2O2)をPtとRuの総モル数に対して0〜100mol%をそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、カーボンナノチューブ(直径75nm,比表面積30m/g)0.5gを分散させた130mlのエチレングリコール溶液を加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtRuP触媒微粒子をカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
実施例11で得られたPtRuP触媒についてX線回折実験を行い、シェラーの式を適用してPtRuP触媒の粒径を見積もった。また、蛍光X線(XRF)及びX線光電子分光分析法(XPS)により触媒の組成を調べた。各種の分析からPはPtRu粒子の表面上に存在している可能性が高いため、P濃度(PtとRuの総和に対するmol%)については、より表面に近い組成を分析できるXPSを使用した。更に、これらのPtRuP触媒について実施例4と同様な方法で直接メタノール型燃料電池を作製して各電池の出力密度を測定した。結果を纏めて表5に示す。
Figure 2006134836
表5から次亜燐酸ナトリウムを僅かPtとRuの総モル数の5%添加した場合でも、PtRuP触媒の粒径は次亜燐酸ナトリウムを添加していい無い場合の1/2まで減少している事がわかる。出力密度は無添加の35mW/cm2に対し、70mW/cm2まで向上する。次亜燐酸ナトリウムの添加量をPtとRuの総モル数に対して50%まで増加させるとPtRuP触媒の粒径は1.4nmまで減少し、出力密度は75mW/cm2に増加する。しかし、次亜燐酸ナトリウムの添加量がPtとRuの総モル数に対して70%以上になると、P濃度が50mol%を超え、出力密度は急激に減少する。この場合、過剰の次亜燐酸ナトリウムがPtRu粒子の形成を阻害し、合成時に原料であるビス(アセチルアセトナト)白金(II)の析出が見られた。以上の結果から、P濃度はPtとRuの総モル数に対して2〜50%が適している事がわかる。
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルとトリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)1.69ミリモルと次亜燐酸ナトリウム1.69ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、カーボンナノチューブ(直径75nm,比表面積30m/g)0.5gを分散させた130mlのエチレングリコール溶液を加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH2に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtRuP触媒微粒子をカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルとトリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)1.69ミリモルと次亜燐酸ナトリウム1.69ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、カーボンナノチューブ(直径75nm,比表面積30m/g)0.5gを分散させた130mlのエチレングリコール溶液を加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH4に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtRuP触媒微粒子をカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
(比較例10)
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルとトリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)1.69ミリモルと次亜燐酸ナトリウム1.69ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、カーボンナノチューブ(直径75nm,比表面積30m/g)0.5gを分散させた130mlのエチレングリコール溶液を加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH1に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtRuP触媒微粒子をカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
(比較例11)
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルとトリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)1.69ミリモルと次亜燐酸ナトリウム1.69ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、カーボンナノチューブ(直径75nm,比表面積30m/g)0.5gを分散させた130mlのエチレングリコール溶液を加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH6に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtRuP触媒微粒子をカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
(比較例12)
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルとトリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)1.69ミリモルと次亜燐酸ナトリウム1.69ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、カーボンナノチューブ(直径75nm,比表面積30m/g)0.5gを分散させた130mlのエチレングリコール溶液を加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH10に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtRuP触媒微粒子をカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
実施例2、12、13及び比較例10〜12についてX線回折実験を行い、シェラーの式を適用してPtRuP触媒の粒径を見積もった。また。蛍光X線により触媒の組成を調べた。さらにこれらのPtRuP触媒について実施例4と同様な方法で直接メタノール型燃料電池を作製して各電池の出力密度を測定した。結果を纏めて表6に示す。表6に示された結果から分かるように、アルコール還元法でPtRuP触媒を合成する場合、反応溶液のpHを2〜4に調整する事によりpHが1、6及び10の場合に比べて高い出力密度が得られる事が分かる。
Figure 2006134836
カーボンナノチューブ(直径75nm,比表面積30m2/g)0.25gを60mlの純水に分散させ、六塩化白金酸六水和物 0.844 mmolと塩化ルテニウム(III)n水和物 0.844 mmolをそれぞれ60mlの純水に溶解させ加えた後、次亜リン酸ナトリウム11.816mmolを70mlの純水に溶解させ加えた。その後、3規定の水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、溶液をアルカリ性(pH11)に調整した。室温にて30分間攪拌後、水溶液の温度を80℃まで上げ、攪拌しながら大気中2時間化学還元析出反応を行い、PtRuP触媒をカーボンナノチューブ上に担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
(比較例13)
カーボンナノチューブ(直径75nm,比表面積30m2/g)0.25gを60mlの純水に分散させ、六塩化白金酸六水和物 0.844 mmolと塩化ルテニウム(III)n水和物 0.844 mmolをそれぞれ60mlの純水に溶解させ加えた。純水70mlを加えた後、3規定の水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、溶液をアルカリ性(pH11)に調整した。室温にて30分間攪拌後、水溶液の温度を80℃まで上げ、攪拌しながら大気中2時間化学還元析出反応を行い、PtRu触媒をカーボンナノチューブ上に担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
(比較例14)
カーボンブラック(ケッチェンEC,比表面積800m2/g)0.25gを60mlの純水に分散させ、六塩化白金酸六水和物 0.844 mmolと塩化ルテニウム(III)n水和物 0.844 mmolをそれぞれ60mlの純水に溶解させ加えた後、次亜リン酸ナトリウム11.816mmolを70mlの純水に溶解させ加えた。その後、3規定の水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、溶液をアルカリ性(pH11)に調整した。室温にて30分間攪拌後、水溶液の温度を80℃まで上げ、攪拌しながら大気中2時間化学還元析出反応を行い、PtRuP触媒をカーボンブラック上に担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
実施例14及び比較例13,14で得られた各触媒の粒径を電子顕微鏡で観察し、組成を蛍光X線で分析した。また、実施例4と同様の方法で直接メタノール型燃料電池を作製して出力密度を測定した。結果を表7に纏めて示す。実施例14のカーボンナノチューブに担持したPtRuP触媒をメタノール極触媒として使用した場合、75mW/cmの出力密度が得られている。一方、比較例13のカーボンナノチューブに担持したPtRu触媒をメタノール極触媒として使用した場合、出力密度は30W/cmに低下している。これは実施例14の場合、粒径2〜3nmのPtRuP触媒を用いることにより、触媒の表面積が増大して触媒活性が向上した事によるものと考えられる。また、比較例14のカーボンブラックに担持したPtRuP触媒を用いた場合、実施例14のカーボンナノチューブに担持したPtRuP触媒よりも出力密度が低い。これはPtRuP触媒の粒径は2〜3nmで同じであるが、比較例14では微細孔を多数有するカーボンブラックを担体に用いているため、微細孔中に埋没したPtRuP触媒粒子の数が増加して実効的に作用する触媒の数が減少したためと考えられる。また、カーボンブラックはカーボンナノチューブに比べて充填密度が高いため、電極触媒中に存在する物理的空間が少なく、このためPtRuP触媒へのメタノール燃料の拡散が十分に行われなかったと考えられる。これ対し、実施例14ではカーノンナノチューブを担体に使用しているため、PtRuP触媒が全て担体表面上に析出し、ほぼ全てのPtRuP触媒がメタノール酸化に寄与して高い出力密度を示したと考えられる。また、担体がカーボンナノチューブの場合、電極触媒中の物理的空間が多いため、PtRuP触媒へのメタノール燃料の拡散が十分に行われたと考えられる。更に、実施例14では触媒の担体にカーボンナノチューブを使用しているため、カーボンブラックに比較して比抵抗が低く、このためIR損出を抑える事ができたと考えられる。
Figure 2006134836
実施例14で合成したカーボンナンチューブ担持PtRuP触媒を水素極触媒に使用し、実施例7と同様な方法で固体高分子型燃料電池を作製し出力密度を測定した。
(比較例15)
比較例13で合成したカーボンナンチューブ担持PtRu触媒を水素極触媒に使用し、実施例7と同様な方法で固体高分子型燃料電池を作製し出力密度を測定した。
(比較例16)
比較例14で合成したカーボンブラック担持PtRuP触媒を水素極触媒に使用し、実施例7と同様な方法で固体高分子型燃料電池を作製し出力密度を測定した。
表8に実施例15及び比較例15、16で測定した出力密度を纏めた。実施例15のカーボンナノチューブに担持したPtRuP触媒を水素極触媒として使用した場合、200mW/cmの出力密度が得られている。一方、比較例15のカーボンナノチューブに担持したPtRu触媒を水素極触媒として使用した場合、出力密度は120W/cmに低下している。これは実施例15の場合、粒径2〜3nmのPtRuP触媒を用いることにより、触媒の表面積が増大して触媒活性が向上した事によるものと考えられる。また、比較例16のカーボンブラックに担持したPtRuP触媒を用いた場合、実施例15のカーボンナノチューブに担持したPtRuP触媒よりも出力密度が低い。これはPtRuP触媒の粒径は2〜3nmで同じであるが、比較例16では微細孔を多数有するカーボンブラックを担体に用いているため、微細孔中に埋没したPtRuP触媒粒子の数が増加して実効的に作用する触媒の数が減少したためと考えられる。また、カーボンブラックはカーボンナノチューブに比べて充填密度が高いため、電極触媒中に存在する物理的空間が少なく、このためPtRuP触媒への水素燃料の拡散が十分に行われなかったと考えられる。これ対し、実施例15ではカーボンナノチューブを担体に使用しているため、PtRuP触媒が全て担体表面上に析出して、ほぼ全てのPtRuP触媒が水素酸化に寄与して高い出力密度を示したと考えられる。また、担体がカーボンナノチューブの場合、電極触媒中の物理的空間が多いため、PtRuP触媒への水素燃料の拡散が十分に行われたと考えられる。更に、実施例15では触媒の担体にカーボンナノチューブを使用しているため、カーボンブラックに比較して比抵抗が低く、このためIR損出を抑える事ができたと考えられる。
Figure 2006134836
本発明の炭素繊維担持PtRuP微粒子からなる燃料電池用触媒は、直接メタノール型燃料電池(DMFC)及び固体高分子型燃料電池(PEFC)の燃料極触媒として使用できる。
本発明のPtRuP触媒微粒子の模式的断面図である。 本発明のPtRuP触媒微粒子の模式的断面図である。 (A)は実施例2で得られたカーボンナノチューブに担持したPtRuP触媒の電子顕微鏡写真、(B)は比較例1で得られたカーボンブラックに担持したPtRuP触媒の電子顕微鏡写真であり、(C)は比較例2で得られたカーボンナノチューブに担持したPtRu触媒の電子顕微鏡写真である。 本発明の直接メタノール型燃料電池の一例の部分概要構成図である。 本発明の固体高分子型燃料電池の一例の部分概要構成図である。
符号の説明
1 本発明のPtRuP触媒微粒子
3 カーボンナンチューブ担体
5 PtRu粒子
7 P
8 P
10 直接メタノール型燃料電池
12 酸素極側集電体
14 酸素極側拡散層
16 固体高分子電解質膜
18 メタノール極側拡散層
20 メタノール極側集電体
22 メタノール燃料タンク
24 空気導入孔
26 酸素極Pt触媒層
28 メタノール極PtRuP触媒層
30 メタノール燃料導入孔
40 固体高分子型燃料電池
41 固体高分子電解質膜
42 空気導入孔
43 酸素極側拡散層
44 酸素極側集電体
45 酸素極Pt触媒層
46 水素極PtRuP触媒層
47 水素極側集電体
48 水素極側拡散層
49 水素燃料導入孔

Claims (12)

  1. 少なくとも、燃料極と、酸素極と、これら燃料極と酸素極との間に間挿された固体高分子電解質膜を有する燃料電池において、前記燃料極はカーボンナノチューブ上に下記の一般式、
    PtRuP
    で示される三元系微粒子が担持された触媒を含むことを特徴とする燃料電池。
  2. 少なくとも、燃料極と、酸素極と、これら燃料極と酸素極との間に間挿された固体高分子電解質膜を有する燃料電池において、前記燃料極はカーボンナノチューブ上に下記の一般式、
    PtRuP
    (式中、PtとRuの原子比が40:60〜90:10であり、Pの含有率はPtとRuの総モル数に対して、2モル%〜50モル%の範囲内である。)で示される三元系微粒子が担持された触媒を含むことを特徴とする燃料電池。
  3. 前記PtRuP三元系微粒子の粒径が1〜3nmの範囲内であることを特徴とする請求項1及び2に記載の燃料電池。
  4. 前記カーボンナンチューブの比表面積20〜70m2/gである事を特徴とする請求項1〜3記載の燃料電池。
  5. 直接メタノール型燃料電池であることを特徴とする請求項1〜4に記載の燃料電池。
  6. 固体高分子型燃料電池であることを特徴とする請求項1〜4に記載の燃料電池。
  7. 燃料極触媒層と、酸素極触媒層と、これら燃料極触媒層と酸素極触媒層との間に間挿された固体高分子電解質膜とからなる膜電極接合体において、前記燃料極触媒層はカーボンナノチューブ上に下記の一般式、
    PtRuP
    で示される三元系微粒子が担持された触媒を含むことを特徴とする膜電極接合体。
  8. 燃料極触媒層と、酸素極触媒層と、これら燃料極触媒層と酸素極触媒層との間に間挿された固体高分子電解質膜とからなる膜電極接合体において、前記燃料極触媒層は、カーボンナノチューブ上に、下記の一般式、
    PtRuP
    (式中、PtとRuの原子比が40:60〜90:10であり、Pの含有率はPtとRuの総モル数に対して、2モル%〜50モル%の範囲内である。)で示される三元系微粒子が担持された触媒を含むことを特徴とする膜電極接合体。
  9. 前記PtRuP三元系微粒子の粒径が1〜3nmの範囲内であることを特徴とする請求項7及び8に記載の膜電極接合体。
  10. 前記カーボンナノチューブの比表面積20〜70m2/gである事を特徴とする請求項7〜9記載の膜電極接合体。
  11. 直接メタノール型燃料電池において使用されることを特徴とする請求項7〜10に記載の膜電極接合体。
  12. 固体高分子燃料電池において使用されることを特徴とする請求項7〜10に記載の膜電極接合体。
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