JP2006269097A - 燃料電池及び膜電極接合体 - Google Patents

燃料電池及び膜電極接合体 Download PDF

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Abstract

【課題】 非多孔質担体を使用して触媒粒子を全て担体表面上に析出担持させる事により、触媒の利用効率を飛躍的に高める。同時に触媒粒径を5nm未満に制御し、触媒活性を高める。
【解決手段】 少なくとも、燃料極と、酸素極と、これら燃料極と酸素極との間に間挿された固体高分子電解質膜を有する燃料電池において、前記酸素極は、非多孔質カーボン担体上に下記の一般式、
PtP
(式中、P含有量は2at.%〜50at.%である)から成る触媒が担持された事を特徴とする燃料電池及び膜電極接合体。
【選択図】図1

Description

本発明は燃料電池及び膜電極接合体に関する。更に詳細には、本発明はカーボン担体上に担持された新規なPt系触媒を酸素極触媒とする燃料電池及び膜電極接合体に関する。
従来、電気エネルギーの大部分は、火力発電、水力発電又は原子力発電などにより供給されてきた。しかし、火力発電は石油や石炭などの化石燃料を燃焼させるため大規模な環境汚染をもたらすばかりか、石油などの資源枯渇が問題視されるようになってきた。また、水力発電は大規模なダム建設を必要とし、それによる自然破壊が懸念されるばかりか、建設適地も限られている。原子力発電は事故の際の放射能汚染が致命的であるばかりか、寿命を迎えた原子炉の廃炉問題などもあり、世界的には建設が抑制される方向に動いている。
大規模な施設を必要とせず、環境汚染も起こさない発電方法として風力発電や太陽光発電が世界各国で利用されるようになり、我が国でも一部の地域で実際に風力発電や太陽光発電が実用化されている。しかし、風力発電は風が吹かなければ発電できず、また太陽光発電は日光照射がなければ発電できないなど、自然現象に左右され、安定的な電力供給ができないという欠点がある。また、風力発電では、風の強さにより、発電した電力の周波数が変動し、電気機器の故障原因となっていた。
そこで、最近は、水素エネルギーから電気エネルギーを取り出すことができる発電装置例えば、水素燃料電池などの開発研究が活発になってきた。水素は水を分解することにより得られ、地球上に無尽蔵に存在するばかりか、物質量当たりに含まれる化学エネルギー量が大きく、しかも、エネルギー源として利用するときに有害物質や地球温暖化ガスを発生しないという利点を有する。
水素ガスの代わりに、メタノールを使用する燃料電池の研究も活発に行われている。液体燃料であるメタノールを直接使用する直接メタノール型燃料電池は、燃料の取り扱い易さに加え、安価な燃料ということで家庭用や産業用の比較的小出力規模の電源として期待されている。メタノールー酸素燃料電池の理論出力電圧は、水素燃料のものとほぼ同じ1.2V(25℃)であり、原理的には同様の特性が期待できる。
固体高分子型燃料電池や直接メタノール型燃料電池ではアノードで水素やメタノールを酸化させると同時に、カソードでは酸素を還元して電気エネルギーを取り出している。これらの酸化還元反応は常温では進み難いため、燃料電池には触媒が使用されている。初期の燃料電池では白金(Pt)を炭素基材上に析出担持させ触媒として使用してきた。Ptは水素酸化やメタノール酸化に対して触媒活性を有しており、これまで炭素基材上へのPt触媒の析出雰囲気、つまり、析出時の外部因子を制御することにより、Pt触媒粒子の粒径を出来るだけ小さくし、Pt触媒の反応表面積を高めて使用することが試みられてきた。例えば、特許文献1では、アルコールでPtイオンを還元してPtを炭素基材上に担持させる際、反応溶液中に保護コロイドとしてポリビニルアルコールを添加し、Pt触媒粒子表面に保護コロイドを弱く吸着させ、Pt触媒の微粒子化を図っている。この方法で合成されたPt触媒表面には保護コロイドが吸着している。従って、触媒活性を十分に発現させるためには触媒合成後、保護コロイドを触媒表面から取り除く必要がある。前記特許文献1には、触媒合成後、水蒸気流中400℃で熱処理を行うことにより保護コロイドを除去する方法が開示されている。しかし、この処理方法では保護コロイドを完全にPt触媒表面から取り去ることは出来ないばかりか、400℃の熱処理によりPt触媒微粒子同士が焼結してPt触媒粒子径が増大し、触媒活性が低下するという問題があった。
また、Pt触媒を通常の含浸法や無電解メッキ法或いはアルコール還元法で合成すると、その粒径は2〜10nmとなり、粒径分布が大きく、また、粒径5nm以上の触媒粒子が多く存在する。一般的に、触媒の活性は単位重量当たりの表面積(比表面積)が増加するに従って増大する。Pt触媒の粒径が大きいと、比表面積が減少して触媒活性は向上しない。この観点から、Pt触媒の活性を高めるためには、Pt触媒の粒径を5nm未満に減少させ、触媒の比表面積を高めることが極めて重要である。この場合、保護コロイドを添加してPt触媒の粒径を減少させる手法は、前記の理由により使用できない。
一般的に、高比表面積のカーボン担体を使用してPt触媒を合成すると、Pt触媒の粒径が減少し、高比表面積のPt触媒が得られる事が知られている(例えば非特許文献1参照)。この傾向は、PtRu触媒についても同様である(例えば非特許文献2参照)。しかし、高比表面積のカーボン担体は多孔質であり、担体中には極めて多くの微細孔が存在する。この微細孔内に析出した触媒粒子はメタノールや水素ガスの酸化反応に関与する確率が大きく低下する。このため、高価なPtRu触媒の使用効率を向上させ、出来るだけ少ない触媒量で電池特性を高めるという目標に対して、多孔質カーボン担体の使用は逆行するものである。以上の事から、高比表面積の多孔質カーボン担体を使用すると、粒径5nm未満のPt或いはPtRu触媒を合成する事は可能になるが、触媒の利用効率向上の観点からはマイナスの効果になる。この様に、多孔質高比表面積カーボン担体使用による触媒粒径減少による活性向上と触媒利用効率向上の間にはトレードオフの関係が存在している。
一方、アセチレンブラックやマルチウォールカーボンナノチューブなどの非多孔質カーボン担体を使用すれば、全てのPt或いはPtRu触媒粒子は担体表面上に析出し、触媒利用効率を大幅に高める事が出来る。しかし、これらの非多孔質カーボン担体には微細孔が全く存在しないため、その比表面積は20〜140m/gと小さい。例えば、非多孔質マルチウォールカーボンナノチューブの比表面積は20〜35m/g程度であり、非多孔質アセチレンブラックの比表面積は60〜140m/g程度である。これらの非多孔質カーボン担体の比表面積は、例えば、多孔質カーボン担体であるケッチェンブラック600JDの比表面積1270m/gに比べて一桁から二桁小さい。比表面積の小さいカーボン担体を使用してPt或いはPtRu触媒を合成すると、その粒径が増大する事は前記非特許文献1及び2に記載されている。触媒粒子の利用効率を高めるため、微細孔が無く低比表面積の非多孔質カーボン担体を使用すると、Pt或いはPtRu触媒の粒径が増大する。その結果、Pt或いはPtRu触媒の比表面積が減少して触媒活性が低下する。従って、非多孔質低比表面積カーボン担体の場合にも、多孔質高比表面積カーボン担体の場合と同様なトレードオフの関係が存在する。
特開昭56−155645号公報 M.Uchida et al.,J.Electrochem.Soc.143,2245(1996) M.Uchida et al.,J.Electrochem.Soc.142,2572(1995)
従って、本発明の目的は、非多孔質低比表面積カーボン担体を使用して触媒粒子の利用効率を高め、同時に触媒粒径を5nm未満に保ち、高活性なPt系触媒を酸素極に使用する燃料電池及び膜電極接合体を提供することである。
前記課題を解決するための手段として請求項1に係る発明は、少なくとも、燃料極と、酸素極と、これら燃料極と酸素極との間に間挿された固体高分子電解質膜を有する燃料電池において、前記酸素極は、カーボン担体上に担持された下記の一般式、
PtP
(式中、前記Pの含有量は2at.%〜50at.%の範囲内である)で示される触媒を有することを特徴とする燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として請求項2に係る発明は、前記酸素極用PtP触媒の粒径が5nm未満であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として請求項3に係る発明は、前記酸素極用PtP触媒の粒径が1〜3nmの範囲内であることを特徴とする請求項2記載の燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として請求項4に係る発明は、前記カーボン担体が300m/g以下の比表面積を有する非多孔質カーボン担体であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として請求項5に係る発明は、前記カーボン担体が20m/g〜140m/gの範囲内の比表面積を有する非多孔質カーボン担体であることを特徴とする請求項4記載の燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として請求項6に係る発明は、前記カーボン担体がアセチレンブラック又はマルチウォールカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項4又は5記載の燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として請求項7に係る発明は、直接メタノール型燃料電池であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として請求項8に係る発明は、前記直接メタノール型燃料電池において、燃料極に使用される触媒が粒径5nm以下のPtRuP触媒であることを特徴とする請求項7記載の燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として請求項9に係る発明は、前記燃料極に使用される触媒が粒径1nm〜3nmの範囲内のPtRuP触媒であることを特徴とする請求項8記載の燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として請求項10に係る発明は、固体高分子型燃料電池であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として請求項11に係る発明は、前記固体高分子型燃料電池において、燃料極に使用される触媒が粒径5nm以下のPtRuP触媒であることを特徴とする請求項10記載の燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として請求項12に係る発明は、前記燃料極に使用される触媒が粒径1nm〜3nmの範囲内のPtRuP触媒であることを特徴とする請求項11記載の燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として請求項13に係る発明は、燃料極触媒層と、酸素極触媒層と、これら燃料極触媒層と酸素極触媒層との間に間挿された固体高分子電解質膜とからなる膜電極接合体において、前記酸素極は、カーボン担体上に担持された下記の一般式、
PtP
(式中、前記Pの含有量は2at.%〜50at.%の範囲内である)で示される触媒を有することを特徴とする膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として請求項14に係る発明は、前記酸素極用PtP触媒の粒径が5nm未満であることを特徴とする請求項13記載の膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として請求項15に係る発明は、前記酸素極用PtP触媒の粒径が1〜3nmの範囲内であることを特徴とする請求項14記載の膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として請求項16に係る発明は、前記カーボン担体が300m/g以下の比表面積を有する非多孔質カーボン担体であることを特徴とする請求項13記載の膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として請求項17に係る発明は、前記カーボン担体が20m/g〜140m/gの範囲内の比表面積を有する非多孔質カーボン担体であることを特徴とする請求項16記載の膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として請求項18に係る発明は、前記カーボン担体がアセチレンブラック又はマルチウォールカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項16又は17記載の膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として請求項19に係る発明は、直接メタノール型燃料電池において使用されることを特徴とする請求項13〜18の何れかに記載の膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として請求項20に係る発明は、前記直接メタノール型燃料電池において使用される膜電極接合体において、燃料極に使用される触媒が粒径5nm以下のPtRuP触媒であることを特徴とする請求項19記載の膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として請求項21に係る発明は、前記燃料極に使用される触媒が粒径1nm〜3nmの範囲内のPtRuP触媒であることを特徴とする請求項20記載の膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として請求項22に係る発明は、固体高分子型膜電極接合体であることを特徴とする請求項13〜18の何れかに記載の膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として請求項23に係る発明は、前記固体高分子型燃料電池において使用される膜電極接合体において、燃料極に使用される触媒が粒径5nm以下のPtRuP触媒であることを特徴とする請求項22記載の膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として請求項24に係る発明は、前記燃料極に使用される触媒が粒径1nm〜3nmの範囲内のPtRuP触媒であることを特徴とする請求項23記載の膜電極接合体である。
本発明によれば、無電解メッキ法、アルコール還元法及び超音波還元法によりカーボン担体上にPt触媒を析出させる際、Pを添加してPtP触媒とすると、PがPt触媒粒子の内部及び外部から作用して析出するPt触媒粒子を微細化し、触媒粒子の比表面積を増大させ、その結果、触媒活性が向上されることが発見された。
前記のように従来技術によれば、マルチウォールカーボンナノチューブやアセチレンブラックなどのような非多孔質低比表面積カーボン担体を使用すると触媒粒子の利用効率を高めることができるが、逆にPt触媒の粒径が増大し、結果的に触媒活性が低下するというトレードオフの関係があったが、本発明によればPを添加してPtP触媒とすることにより粒径を微細化することができ、このような非多孔質低比表面積カーボン担体の使用に伴うトレードオフの問題を解決することに成功した。
一般的に燃料電池の燃料極触媒層と酸素極触媒層との間には、固体高分子電解質膜としてデュポン社製のナフィオン膜が使用されている。ナフィオン膜はパーフルオロアルキルスルホン酸であり、フッ素の高い電気陰性度のためにスルホン酸基の水素原子はHとして外れ易く、そのため高いプロトン導電性を示す。同時に、プロトン導電性が高い事は、ナフィオン膜が高い酸性を示す事を意味する。従って、ナフィオン膜と電極触媒層との界面、及びナフィオン樹脂でペースト化された触媒粒子とナフィオン界面は強酸性雰囲気となる。これまでPt触媒の活性を高めるため、遷移金属元素(例えば、Mo、Mn、Fe,Co等)の添加が試みられてきた。しかし、これらの遷移金属は十分な耐酸性を有していない。このため、これらの遷移金属元素を含有するPt触媒が強酸性のナフィオン樹脂と接触すると、遷移金属がイオンとして溶出する。溶出した遷移金属イオンはナフィオン膜中のHとイオン変換する結果、ナフィオンのプロトン導電性が低下して電池特性が劣化する。しかし、Pは従来の遷移金属元素とは異なり、耐酸性を有するため、酸への溶解が極めて微量であり、燃料電池用触媒の添加元素として好適であることも発見された。
本発明による燃料電池用の酸素極触媒は、カーボン担体上に担持された下記の一般式、
PtP
で示される触媒からなる。式中、Pの含有量は2at.%〜50at.%の範囲内である。P含有量が2at.%未満では、Pt触媒の粒径が十分に減少しないため、触媒の比表面積が増大せず、触媒活性を十分に高める事が出来ない。一方、P含有率が50at.%超の場合、Ptの含有率が減少し、触媒活性が劣化して電池出力が低下する。
図1及び図2は本発明により得られたPtP触媒微粒子1の模式的断面図である。X線光電子分光分析法(XPS)から、アルコール還元法で合成されたPtP触媒粒子では図1に示すように、カーボン担体3に担持されたPt粒子5の外表面にP7が酸化物として存在しており、無電解メッキ法により合成されたPtP触媒では、図2に示したようにPt粒子5の外表面にP7が酸化物として存在すると共にPt粒子5の内部にP8が金属リン化物として存在していることが示唆されている。従って、P7及びP8がPt粒子5の外部あるいは内部から作用し、その粒子成長を抑制した結果、PtP触媒微粒子1全体が微細化されたと考えられる。
本発明によるPtP触媒の粒径は5nm未満である。1〜5nm未満の範囲内であることが好ましい。粒径が1nm未満では合成された触媒表面の活性が極めて高いため、周囲の存在する物質と触媒表面層に化合物を形成し、触媒自ら活性を低下させる。また、粒径が5nm以上の場合、触媒の比表面積を十分に増大させる事が出来ず、触媒活性を高める事が出来ない。本発明によるPtP触媒の粒径は1〜3nmの範囲内であることが特に好ましい。
本発明の酸素極用PtP触媒の担体には非多孔質のアセチレンブラック或いはマルチウォールカーボンナノチューブが適する。これらの非多孔質カーボン担体中には微細孔が存在しないため、触媒粒子は全てカーボン担体表面上に析出する。このため、全ての触媒が酸素ガスの還元反応に寄与する事が可能となる。このため、触媒利用効率を高めることが可能となり、電池特性が向上する事が発見された。同時に、従来の多孔質カーボン担体を使用した場合と比較し、同じ担持率の触媒を使用した場合、本発明による触媒では触媒の利用効率が高いため、電池特性を向上させる事が出来る。従って、少ない触媒量で従来と同等以上の電池特性を得ることが可能となり、省Ptを実現することが出来る。特に、マルチウォールカーボンナノチューブ担体は棒状であり、従来使用されてきた球状のカーボンブラックに比べて嵩高い。このため、マルチウォールカーボンナノチューブに担持した触媒をナフィオン樹脂でペースト化し、プレス機により電極触媒膜にした場合、従来のカーボンブラック担体に担持した触媒に比較して電極触媒膜中に物理的な空隙が多く存在する。このため、PtP触媒への酸素ガスの拡散が十分確保される。また、酸素極で発生する水の拡散も促進され、その結果、電池特性が向上する。更に、触媒の担体としてマルチウォールカーボンナノチューブを使用した場合、マルチウォールカーボンナノチューブは従来使用されてきたカーボンブラックに比較して比抵抗が低い。このため、IR損出を抑えられ結果として電池電圧の低下を抑制できる事も発見された。
本発明によるPtP触媒の担体となる非多孔質カーボン担体の比表面積は300m/g以下であることが好ましい。カーボン担体の比表面積が300m/gを越えると、担体中に存在する微細孔が増大し、この微細孔中に埋没してしまう触媒の割合が増加して触媒利用効率が低下し、電池特性の劣化を招く。比表面積は20m/g〜140m/gの範囲内であることが特に好ましい。比表面積が20m/g未満では十分に触媒を担持させる事が出来ず、担持率30wt.%以上の触媒を合成する事が出来ない。また、比表面積が140m/g超のカーボン担体では、担体中に微細孔が存在する。この様な担体では、合成した触媒粒子が微細孔内に析出し、酸素ガスの還元反応に寄与する確率が減少して触媒利用効率が低下する。従って、触媒の利用効率を高め、電池特性を向上させるためには比表面積が140m/g超のカーボン担体を使用する事はあまり好ましくない。但し、触媒粒径が2nmで75wt.%以上の高担持率触媒を合成する場合、比表面積が140m/g以上のカーボン担体を使用する必要がある。この場合でも、カーボン担体の比表面積は300m/g以下が好ましい(例えばCabot社のVulcan−P 比表面積140m/g,VulcanXC−72R 比表面積254m/g等)。
非多孔質カーボン担体としてマルチウォールカーボンナノチューブは特記すべき材料である。マルチウォールカーボンナノチューブの形態は従来のカーボンブラックの粒状とは全く異なり、棒状である。このため嵩高く、プロトン導電体高分子とペーストを作製し、プレス成型して電極触媒層を形成すると、その塗膜中には多くの物理的空隙が存在する事が走査型電子顕微鏡(SEM)観察で確認される。このため、カソード触媒層への酸素ガスの拡散性が高まり、電池特性を向上させる事が出来る。また、カソードで発生する水の拡散排出も先に述べた物理的空隙によって促進されるため、電池特性を高める事が出来る。また、マルチウォールカーボンナノチューブの比抵抗は従来のカーボンブラックに比較して小さい。このため、IR損失を抑え、電池電圧の低下を抑制できる。
本発明によるPtP触媒は非多孔質カーボン担体の比表面積に依存することなく、その粒径を5nm未満に保持する事が可能である。前述した様に従来技術では、触媒の利用効率を高めるため、比表面積の小さいカーボン担体を使用してPtP触媒を合成すると、その粒径が増大し、触媒の比表面積が減少して触媒活性を高める事が出来ない。本発明のPtP触媒は比表面積の小さい非多孔質カーボン担体を使用しても、その触媒粒子径を5nm未満、好ましくは1〜3nmに抑える事が出来る事が発見された。従って、本発明によるPtP触媒は触媒の利用効率向上と、触媒活性向上を同時に実現できる触媒材料である。
アルコール還元法による本発明のPtP触媒の製造方法は基本的に、
(1)一種類以上のアルコールまたはアルコール水溶液中に比表面積が20m/g〜300m/gのカーボン担体を分散させるステップと、
(2)カーボン担体が分散されたアルコールまたはアルコール水溶液中に、Ptの塩又は錯体と、P含有化合物を溶解させるステップと、
(3)カーボン担体、Ptの塩又は錯体、P含有化合物を含むアルコール溶液のpH値を酸性側に調整するステップと、
(4)不活性雰囲気中で、アルコールによる加熱還流を行うステップを含み、カーボン担体上に、下記の一般式、
PtP
で示される触媒を担持した燃料電池用酸素極触媒を生成する事からなる。
無電解メッキ法による本発明のPtP触媒の製造方法は基本的に、
(1)純水中に比表面積が20m/g〜300m/gのカーボン担体を分散させるステップと、
(2)前記カーボン担体が分散された水溶液中に、Ptの塩又は錯体と、P含有化合物を溶解させるステップと、
(3)カーボン担体が分散されPtの塩又は錯体と、P含有化合物を含む水溶液のpH値をアルカリ側に調整するステップと、
(4)大気中或いは不活性雰囲気中で上記水溶液を昇温して無電解メッキを行うステップを含み、前記カーボン担体上に下記の一般式、
PtP
で示される触媒を担持した燃料電池用酸素極触媒を生成する事からなる。
超音波還元法による本発明のPtP触媒の製造方法は基本的に、
(1)純水中に比表面積が20m/g〜300m/gのカーボン担体を分散させるステップと、
(2)前記カーボン担体が分散された水溶液中に、Ptの塩又は錯体と、P含有化合物を溶解させるステップと、
(3)カーボン担体が分散されPtの塩又は錯体と、P含有化合物を含む水溶液のpH値をアルカリ側に調整するステップと、
(4)大気中或いは不活性雰囲気中で上記水溶液に超音波を照射するステップを含み、前記カーボン担体上に下記の一般式、
PtP
で示される触媒を担持した燃料電池用酸素極触媒を生成する事からなる。
本発明の製造方法により生成されたPtP触媒の粒径は、Pの存在により従来のPt触媒の粒径に比較して減少する。一般的に、従来の製造方法により生成されたPt触媒の粒径は〜10nmであるが、本発明によるPtP触媒の粒径は約5nm未満、好ましくは1nm〜3nm、最も好ましくは2nm程度にまで減少する。この粒径減少により触媒の比表面積が増加し、酸素還元活性が大きく向上すると考えられる。本発明のP添加による別の特徴は、粒径分布が従来のPt触媒の粒径分布に比べて狭いことである。従来の方法で製造されたPt触媒微粒子の粒径分布は2〜10nmと広いが、本発明によるPtP触媒では、粒径分布は1〜3nmに狭められる。
合成溶液のpH値を酸性側に調整するために使用される酸としては沸点が200℃より高い硫酸であることが好ましい。アルコール還元法では加熱還流を200℃程度の温度で行う場合があるため、酸の沸点が200℃未満の酸の場合、アルコールの加熱還流によって酸が消散しまう可能性があり、合成系内のpH値を所定範囲内に維持することが困難になる。従って、塩酸及び硝酸は沸点が低く加熱還流中に消散するため好ましくない。同様の理由から、合成溶液のpH値をアルカリ側に調整するためにはNaOH或いはKOHが適する。
本発明のPtP触媒の製造方法において使用できるP含有化合物としては、亜燐酸、亜燐酸塩(正塩及び酸性塩の両方を含む)、次亜燐酸、次亜燐酸塩である。塩としてはアルカリ金属塩(例えば、亜燐酸ナトリウム、亜燐酸水素ナトリウム、次亜燐酸ナトリウム等)又はアンモニウム塩(亜燐酸アンモニウム、亜燐酸水素アンモニウム、次亜燐酸アンモニウム等)が好ましい。+5価の原子価を有するP原子は、Neと同じ電子配置であるため、オクテット則により化学的に安定化してP供給源とならないため、本発明には適さない。従って、+5価のP原子を有する燐酸及び燐酸塩は本発明では使用できない。P含有化合物の添加量は、Ptのモル数に対して5%〜700%の範囲内であることが好ましい。添加量が5%未満ではP含有量が2at.%未満となり、触媒を微粒子化する効果が十分ではなく、一方、700%を超えるとP含有量が50at.%超となり、Pt成分が減少して触媒活性が劣化する。
本発明で使用されるPtの塩又は錯体は、例えば、ジニトロジアミン白金錯体、白金トリフェニルホスフィン錯体、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)及び六塩化白金酸、テトラクロロ白金(II)酸カリウムなどである。これらの白金化合物は単独で使用することもできるし又は2種類以上を併用することもできる。
アルコール還元法では、アルコール系溶媒に触媒を合成するための化合物を溶解させ、アルコール系溶媒の沸点近傍の温度で還流すると、アルコール(R−OH)が加熱還流中に電子を放出してPtイオンを還元し、自らは酸化されてアルデヒド(R’−CHO)に変化する。また、無電解メッキ法では、例えば次亜燐酸イオンが亜燐酸イオン或いは燐酸イオンに酸化される際、電子を放出し、この電子をPtイオンが受け取って金属に還元される。超音波還元法ではキャビテーションにより高圧、高温の場が形成されて還元性の化学種が発生し、これによりPtイオンが還元される。
本発明の加熱還流処理で使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、イソアミルアルコール、n−アミルアルコール、アリルアルコール、2−エトキシアルコール及び1,2−ヘキサデカンジオールが挙げられる。これらアルコールは1種類又は2種類以上を適宜選択して使用することができる。還流の際、微粒子の酸化を防止するため、反応系内を窒素或いはアルゴン等の不活性ガスで置換しながら還流を行うことが好ましい。
アルコール還元法における加熱温度及び還流時間は使用するアルコールの種類に応じて変化する。一般的には、加熱温度は60〜300℃程度であり、還流時間は30分間〜6時間の範囲内である。無電解メッキ法の場合、一般的浴温は50〜90℃であり、還元時間は30分〜2時間である。超音波還元法の場合、超音波照射時間は30分〜4時間である。
本発明において、アルコール還元法の場合、Ptの塩又は錯体とP含有化合物は、少なくとも一種類のアルコールに溶解される。このアルコールは、アルコールのみからなる場合の他、水を含有しても良い。また、無電解メッキ法及び超音波還元法の場合、Ptの塩又は錯体とP含有化合物は基本的に純水に溶解される。無電解メッキ法及び超音波還元法では、還元助剤として、上記したアルコールを添加しても良い。
本発明において使用される触媒の担持率は、30wt.%以上が適する。担持率が30wt.%未満の場合、一定の触媒塗布量を得ようとすると触媒電極の厚みが増加する。このため、酸素燃料や生成する水の拡散抵抗が増加するため好ましくない。担持率の上限については規定されるものではない。例えば、80wt.%の担持率を得るためには、触媒粒径を2nmとした場合、担体の比表面積として200m/g以上が必要になる。このような高担持率触媒を得るためには、多孔質カーボン担体を使用せざるを得ない。このような場合においても、出来るだけ微細孔の少ない多孔質カーボン担体を選択使用すべきである(例えば、Cabot社のVulcan−XC72R:比表面積254m/g等)。
本発明のPtP酸素極触媒と対で使用される燃料極触媒としては、直接メタノール型燃料電池及び固体高分子型燃料電池において従来から使用されている燃料極触媒(例えば、PtRuなど)を使用することもできるが、本願出願人の先願に係る特願2003−433758,特願2004−206232,特願2004−271034及び特願2004−373450の各明細書に記載されているPtRuP触媒粒子を使用することが好ましい。前記各特許明細書に記載されているように、本発明者らはP添加によりPtRu触媒の粒径が減少する事を既に発見している。P添加により、PtRu触媒粒径は約5nm以下、好ましくは1〜3nm、最も好ましくは約2nmに減少する。これにより、PtRuP触媒の比表面積が高まり、メタノール或いは水素酸化活性が向上する。カーボン担体として非多孔質のマルチウォールカーボンナノチューブやアセチレンブラックを使用してもPtRuP触媒の粒径は5nm以下に保たれる。従って、PtP酸素極触媒と共に、PtRuP燃料極触媒を併用することにより、著しく優れた電池特性を有する燃料電池が得られる。
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルと次亜燐酸ナトリウム0.845ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtP触媒をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルと次亜燐酸ナトリウム0.845ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、非多孔質担体であるアセチレンブラック(AB,比表面積68m/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtP触媒をアセチレンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルと次亜燐酸ナトリウム0.845ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積140m/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtP触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルと亜燐酸ナトリウム0.845ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m/g)0.5gを分散させた130mlのエチレングリコール溶液に加えた。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtP触媒をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルと亜燐酸ナトリウム0.845ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、非多孔質担体であるアセチレンブラック(AB,比表面積68m/g)0.5gを分散させた130mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtP触媒をアセチレンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルと亜燐酸ナトリウム0.845ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積140m/g)0.5gを分散させた130mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtP触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
水溶液に非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m/g)0.5gを分散させた。六塩化白金酸・六水和物1.69ミリモルと次亜燐酸ナトリウム6.76ミリモルを純水500mlに溶解させ加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH12に調整した。大気中、攪拌しながらホットプレートを用いて液温を80℃に昇温して1時間この温度で無電解メッキを行い、PtP触媒をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
水溶液に非多孔質担体であるアセチレンブラック(AB,比表面積68m/g)0.5gを分散させた。六塩化白金酸・六水和物1.69ミリモルと次亜燐酸ナトリウム6.76ミリモルを純水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH12に調整した。大気中、攪拌しながらホットプレートを用いて液温を80℃に昇温して1時間この温度で無電解メッキを行い、PtP触媒をアセチレンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
水溶液に多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積140m/g)0.5gを分散させた。六塩化白金酸・六水和物1.69ミリモルと次亜燐酸ナトリウム6.76ミリモルを純水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH12に調整した。大気中、攪拌しながらホットプレートを用いて液温を80℃に昇温して1時間この温度で無電解メッキを行い、PtP触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
水溶液に非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m/g)0.5gを分散させた。六塩化白金酸・六水和物1.69ミリモルと亜燐酸ナトリウム6.76ミリモルを純水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH12に調整した。大気中、攪拌しながらホットプレートを用いて液温を80℃に昇温して1時間この温度で無電解メッキを行い、PtP触媒をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
水溶液に非多孔質担体であるアセチレンブラック(AB,比表面積68m/g)0.5gを分散させた。六塩化白金酸・六水和物1.69ミリモルと亜燐酸ナトリウム6.76ミリモルを純水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH12に調整した。大気中、攪拌しながらホットプレートを用いて液温を80℃に昇温して1時間この温度で無電解メッキを行い、PtP触媒をアセチレンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
水溶液に多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積140m/g)0.5gを分散させた。六塩化白金酸・六水和物1.69ミリモルと亜燐酸ナトリウム6.76ミリモルを純水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH12に調整した。大気中、攪拌しながらホットプレートを用いて液温を80℃に昇温して1時間この温度で無電解メッキを行い、PtP触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
水溶液に非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m/g)0.5gを分散させた。六塩化白金酸・六水和物1.69ミリモルと次亜燐酸ナトリウム0.845ミリモルを純水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH10に調整した。大気中、この溶液を市販の超音波洗浄器を使用して2時間超音波照射処理し、PtP触媒をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
水溶液に非多孔質担体であるアセチレンブラック(AB,比表面積68m/g)0.5gを分散させた。六塩化白金酸・六水和物1.69ミリモルと次亜燐酸ナトリウム0.845ミリモルを純水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH10に調整した。大気中、この溶液を市販の超音波洗浄器を使用して2時間超音波照射処理し、PtP触媒をアセチレンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
水溶液に多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積140m/g)0.5gを分散させた。六塩化白金酸・六水和物1.69ミリモルと次亜燐酸ナトリウム0.845ミリモルを純水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH10に調整した。大気中、この溶液を市販の超音波洗浄器を使用して2時間超音波照射処理し、PtP触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
水溶液に非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m/g)0.5gを分散させた。六塩化白金酸・六水和物1.69ミリモルと亜燐酸ナトリウム0.845ミリモルを純水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH10に調整した。大気中、この溶液を市販の超音波洗浄器を使用して2時間超音波照射処理し、PtP触媒をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
水溶液に非多孔質担体であるアセチレンブラック(AB,比表面積68m/g)0.5gを分散させた。六塩化白金酸・六水和物1.69ミリモルと亜燐酸ナトリウム0.845ミリモルを純水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH10に調整した。大気中、この溶液を市販の超音波洗浄器を使用して2時間超音波照射処理し、PtP触媒をアセチレンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
水溶液に多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積140m/g)0.5gを分散させた。六塩化白金酸・六水和物1.69ミリモルと亜燐酸ナトリウム0.845ミリモルを純水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH10に調整した。大気中、この溶液を市販の超音波洗浄器を使用して2時間超音波照射処理し、PtP触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
六塩化白金酸・六水和物1.69ミリモルと次亜燐酸ナトリウム0.845ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコール水溶液(エチレングリコール:水=50vol.%:50vol.%)に溶解させ、非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m/g)0.5gを分散させた200mのエチレングリコール水溶液(エチレングリコール:水=50vol.%:50vol.%)に加えた。NaOH水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH10に調整した。窒素ガス雰囲気下、130℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtP触媒をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
六塩化白金酸・六水和物1.69ミリモルと次亜燐酸ナトリウム0.845ミリモルをそれぞれ100mlのエタノール水溶液(エタノール:水=50vol.%:50vol.%)に溶解させ、非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m/g)0.5gを分散させた200mのエタノール水溶液(エタノール:水=50vol.%:50vol.%)に加えた。NaOH水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH10に調整した。窒素ガス雰囲気下、95℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtP触媒微粒子をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
比較例1
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルを200mlのエチレングリコールに溶解させ、非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、Pt触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
比較例2
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルを200mlのエチレングリコールに溶解させ、非多孔質担体であるアセチレンブラック(AB,比表面積68m/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、Pt触媒をアセチレンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
比較例3
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルを200mlのエチレングリコールに溶解させ、多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積140m/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、Pt触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
実施例1〜20及び比較例1〜3で得られた各触媒の組成をX線光電子分光分析法(XPS)で調べた。またその粒径を透過型電子顕微鏡(TEM)で調べた。結果を表1に示す。実施例1〜20及び比較例3では合成系内に次亜燐酸ナトリウム或いは亜燐酸ナトリウムを添加する事により、Pt触媒中にPが添加されている事が分かる。実施例1〜18で得られたPtP触媒の粒径は2nmに減少している。P添加は比表面積の小さい非多孔質カーボン担体を使用した場合においても、Pt触媒の粒径を2nmに減少させる効果を有している。比表面積の小さい非多孔質カーボン担体の使用は、触媒を全て担体表面に析出させ、触媒利用効率を向上させる。P添加は低比表面積の非多孔質カーボン担体を使用しても、その触媒粒径を2nmに減少させ、高い触媒活性を維持出来る。従って、PtP触媒は触媒の高活性化と触媒利用率向上を同時に達成させる事が出来る極めて有用な触媒材料である。また、実施例19ではアルコールとしてエチレングリコール水溶液を使用し、還流温度を200℃から130℃に低下させてPtP触媒を合成している。微粒子の成長は合成温度の低減により抑制される。従って、合成温度を130℃に低下させることにより、粒径1.8nmのPtP触媒が得られている。同様に、実施例20では、エタノール水溶液を使用し、還流温度95℃でPtP触媒を合成している。その結果、粒径1.5nmのPtP触媒が得られている。一方、比較例1〜3ではPを含有しないため、Pt触媒の粒径は6〜10nmと大きい。使用するカーボン担体の比表面積増加に従い、Pt触媒の粒径は減少する傾向を示すが、比表面積140m/gのCBを使用しても、その粒径は〜6nm程度である。
図3(A)に、実施例1で得られたマルチウォールカーボンナノチューブ担持PtP触媒、図3(B)に比較例1で得られたマルチウォールカーボンナノチューブ担持Pt触媒の透過型電子顕微鏡写真を示す。電子顕微鏡写真から明らかなように、本発明のPtP触媒の場合、粒径は2nmであり触媒微粒子が十分に分散している事が分かる。一方、Pを含有しない比較例1のPt触媒では、触媒粒径が〜10nmと大きく、触媒粒子同士が凝集しており、分散性が不十分である事が分かる。以上の結果から、P添加によるPt触媒の微粒子化作用及び分散化作用を確認する事が出来る。
実施例1〜20で得られたカーボン担持PtP触媒に純水とナフィオン(デュポン社製)のアルコール溶液を加えて撹拌した後、その粘度を調整して触媒用インクとした。これをテフロン(登録商標)シート上に、PtP触媒の塗布量が5mg/cmになるように塗布した。乾燥後、テフロン(登録商標)シートを剥がし、酸素極触媒とした。また、非多孔質カーボン担体であるアセチレンブラック(AB,比表面積68m/g)に担持した粒径2nmのPtRuP触媒に純水とナフィオン(デュポン社製)のアルコール溶液を加えて撹拌した後、その粘度を調整して触媒用インクとした。これをテフロン(登録商標)シート上に、Pt触媒の塗布量が5mg/cmになるように塗布した。乾燥後、テフロン(登録商標)シートを剥がし、メタノール極触媒とした。その後、PtP酸素極触媒と、PtRuPメタノール極触媒を固体高分子電解質膜(デュポン社製ナフィオン膜112)の両側にホットプレスして膜電極接合体を作製した。膜電極接合体と、液体燃料として15wt.%のメタノール水溶液を用い、図4に示す直接メタノール型燃料電池を作製した。図4において、符号10は直接メタノール型燃料電池を示す。また、符号12は酸素極側集電体、14は酸素極側拡散層、16は固体高分子電解質膜、18はメタノール極側拡散層、20はメタノール極側集電体、22はメタノール燃料タンク、24は空気導入孔、26は酸素極PtP触媒層、28はメタノール極PtRuP触媒層、30はメタノール燃料導入孔をそれぞれ示す。酸素極側集電体12は、空気導入孔24を介して空気(酸素)を取り込む構造体としての機能を有すると共に、集電機能も有している。固体高分子電解質膜(デュポン社製ナフィオン膜112)16は、メタノール極で発生したプロトンを酸素極側に輸送する機能と、更に、メタノール極と酸素極の短絡を防止するセパレータとしての機能を備えてなるものである。このように構成される直接メタノール型燃料電池10において、メタノール極側集電体20から供給される液体燃料はメタノール極側拡散層18を介してメタノール極触媒層28に導かれて酸化され、COと電子とプロトンに変換される。プロトンは固体高分子電解質膜16を介して酸素極側に移動する。酸素極では酸素極側集電体12から取り込まれた酸素がメタノール極で生成した電子により還元され、これと上記のプロトンとが反応して水を生成する。図4に示される直接メタノール型燃料電池10では、このようなメタノールの酸化反応及び酸素の還元反応により発電が起こる。
比較例4
実施例21におけるPtP触媒の替わりに、比較例1〜3のPt触媒を酸素極触媒として使用したこと以外は、実施例21と同様にして直接メタノール型燃料電池を作製した。
実施例21及び比較例4でそれぞれ得られた直接メタノール型燃料電池において、出力密度を測定した。測定結果を表2に示す。実施例21ではPtP触媒を使用しているため、触媒粒径が2nm以下である。また、触媒担体として、非多孔質カーボン担体或いは多孔質担体であるが比較的微細孔が少ないカーボン担体を使用している。そのため、触媒活性が高まると同時に、触媒利用効率が高まり、出力密度は90mW/cm以上の高い値が得られている。表中、出力密度はカーボン担体がCB、AB、MWCNTの順に高まっている事が分かる。CBが最も低い出力密度を与えた原因は、CBが多孔質担体であるため、一部のPtP触媒が微細孔中に埋没し、酸素還元反応に寄与できなくなっているためである。ABは非多孔質担体であるため、CB担体に比較して高い出力密度を与える。MWCNT担体は非多孔質であることに加え、その形状から、電極触媒層中に多くの物理的空隙を有している。このため、燃料である酸素ガス及びカソード極で発生する水の拡散が助長される。更に、MWCNTの比抵抗がCBに比べて低いため、IR損失を低減する事が出来、電池電圧の低下を抑制できた結果、高い出力密度を与えたと考えられる。更に、実施例19では還流温度を200℃から130℃へ、実施例20では95℃に下げてPtP触媒を合成している。この合成温度低減によって触媒粒子成長が抑制され、PtP触媒の粒径は1.8nm及び1.5nmに減少している。この粒径減少によって、触媒の比表面積が増加し、触媒活性が高まり、出力密度は110mW/cm以上の高い値が得られている。一方、比較例4において、Pを含有しないPt触媒の粒径は担体として非多孔質のMWCNTを使用した場合、〜10nmと大きく、出力密度は70mW/cmである。担体として比表面積の大きなCBを用いてもその粒径は〜6nm程度であり、出力密度の上昇分は5mW/cm程度である。
実施例1〜20で得られたカーボン担持したPtP触媒に純水とナフィオン(デュポン社製)のアルコール溶液を加えて撹拌した後、その粘度を調整して触媒用インクとした。これをテフロン(登録商標)シート上に、PtP触媒の塗布量が0.5mg/cmになるように塗布した。乾燥後、テフロン(登録商標)シートを剥がし、酸素極触媒とした。また、非多孔質カーボン担体であるアセチレンブラック(AB,比表面積68m/g)に担持した粒径2nmのPtRuP触媒とナフィオン(デュポン社製)のアルコール溶液を加えて撹拌した後、その粘度を調整して触媒用インクとした。これをテフロン(登録商標)シート上に、PtRuP触媒の塗布量が0.5mg/cmになるように塗布した。乾燥後、テフロン(登録商標)シートを剥がし、水素極触媒とした。その後、PtPt酸素極触媒と、PtRuP水素極触媒を固体高分子電解質膜(デュポン社製ナフィオン膜112)の両側にホットプレスして膜電極接合体を作製した。この膜電極接合体と、燃料として水素ガスを用い、図5に示す固体高分子型燃料電池を作製した。図5において、符号40は固体高分子型燃料電池を示す。また、符号44は酸素極側集電体、43は酸素極側拡散層、41は固体高分子電解質膜、48は水素極側拡散層、47は水素極側集電体、42は空気導入孔、45は酸素極PtP触媒層、46は水素極PtRuP触媒層、49は水素燃料導入孔をそれぞれ示す。酸素極側集電体44は、空気導入孔42を介して空気(酸素)を取り込む構造体としての機能を有すると共に、集電機能も有している。固体高分子電解質膜(デュポン社製ナフィオン膜112)41は、水素極で発生したプロトンを酸素極側に輸送する機能と、更に水素極と酸素極の短絡を防止するセパレータとしての機能を備えてなるものである。このように構成される固体高分子型燃料電池40において、水素極側集電体47から供給される水素ガスは水素極側拡散層48を介して水素極触媒層46に導かれて酸化され電子とプロトンに変換され、このプロトンは固体高分子電解質膜41を介して酸素極側に移動する。酸素極では酸素極側集電体44から取り込まれた酸素が水素極で生成した電子により還元され、これと上記のプロトンとが反応して水を生成する。図5に示される固体高分子型燃料電池40では、このような水素の酸化反応及び酸素の還元反応により発電が起こる。
比較例5
実施例22におけるカーボン担持PtP触媒の代わりに、比較例1〜3で得られたPt触媒を酸素極触媒として使用したこと以外は、実施例22と同様にして固体高分子型燃料電池を作製した。
実施例22及び比較例5でそれぞれ得られた固体高分子型燃料電池について出力密度を測定した。測定結果を表3に示す。実施例22ではPtP触媒を使用しているため、触媒粒径が2nm以下である。また、触媒担体として、非多孔質カーボン担体或いは多孔質担体であるが比較的微細孔が少ないカーボン担体を使用している。そのため、触媒活性が高まると同時に、触媒利用効率が高まり、出力密度は220mW/cm以上の高い値が得られている。表中、出力密度はカーボン担体がCB、AB、MWCNTの順に高まっている事が分かる。CBが最も低い出力密度を与えた原因は、CBが多孔質担体であるため、一部のPtP触媒が微細孔中に埋没し、酸素還元反応に寄与できなくなっているためである。ABは非多孔質担体であるため、CB担体に比較して高い出力密度を与える。MWCNT担体は非多孔質であることに加え、その形状から、電極触媒層中に多くの物理的空隙を有している。このため、燃料である酸素ガス及びカソード極で発生する水の拡散が促進される。更に、MWCNTの比抵抗がCBに比べて低いため、IR損失を低減させる事が出来、電池電圧の低下を抑制できた結果、高い出力密度を与えたと考えられる。更に、実施例19では還流温度を200℃から130℃へ、実施例20では95℃に下げてPtP触媒を合成している。この合成温度低減によって触媒粒子成長が抑制され、PtP触媒の粒径は1.8nm及び1.5nmに減少している。この粒径減少によって、触媒の比表面積が増加し、触媒活性が高まり、出力密度は240mW/cm以上の高い値が得られている。一方、比較例5において、Pを含有しないPt触媒の粒径は担体として非多孔質のMWCNTを使用した場合、〜10nmと大きく、出力密度は180mW/cmである。担体として比表面積の大きなCBを用いてもその粒径は〜6nm程度であり、出力密度の上昇分は10mW/cm程度である。
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)1.69ミリモルを100mlのエリレングリコールに溶解させ混合した。この溶液に次亜燐酸ナトリウムをPtのモル数に対して0〜200モル%秤量し、100mlのエチレングリコール溶液に溶解させ、前記溶液に加えた。非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液をさらに加えた。この溶液に硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液のpHを3に調整した。窒素雰囲気下、200℃のオイルバス中でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtP触媒をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
実施例23で得られたPtP触媒についてX線回折実験を行い、(220)の回折ピークにシェラーの式を適用してPtP触媒の粒径を見積もった。また。XPSにより触媒の組成を調べた。さらにこれらのPtP触媒について実施例21と同様な方法で直接メタノール型燃料電池を作製し、各電池の出力密度を測定した。結果を表4に示す。表4に示された結果から、P含有量が2at.%以上の場合、PtPt触媒の粒径が3nm未満に減少し、高い出力密度が得られる事が分かる。一方、P含有量が50at.%を超えると、Ptの含有量が減少し、出力密度が低下することが分かる。
産業上の利用分野
本発明によるPtPからなる触媒は、直接メタノール型燃料電池(DMFC)及び固体高分子型燃料電池(PEFC)の酸素極触媒として使用できる。また、これらの燃料電池用の膜電極接合体における酸素極触媒層として使用することもできる。当然の事であるが、本発明によるPtP触媒は水素酸化活性を有しており、CO被毒が問題とならない純水素を燃料とする固体高分子型燃料電池の水素極触媒としても使用する事が出来る。
本発明のPtP触媒微粒子の模式的断面図である。 本発明のPtP触媒微粒子の模式的断面図である。 (A)は実施例1で得られたマルチウォールカーボンナノチューブに担持したPtP触媒の電子顕微鏡写真、(B)は比較例1で得られたマルチウォールカーボンナノチューブ担持したPt触媒の電子顕微鏡写真である。 本発明の直接メタノール型燃料電池の概要構成図である。 本発明の固体高分子型燃料電池の概要構成図である。
符号の説明
1 PtP触媒粒子
3 カーボン担体
5 Pt触媒粒子
7 P
8 P
10 直接メタノール型燃料電池
12 酸素極側集電体
14 酸素極側拡散層
16 固体高分子電解質膜
18 メタノール極側拡散層
20 メタノール極側集電体
22 メタノール燃料タンク
24 空気導入孔
26 酸素極PtP触媒層
28 メタノール極PtRuP触媒層
30 メタノール燃料導入孔
40 固体高分子型燃料電池
41 固体高分子電解質膜
42 空気導入孔
43 酸素極側拡散層
44 酸素極側集電体
45 酸素極PtP触媒層
46 水素極PtRuP触媒層
47 水素極側集電体
48 水素極側拡散層
49 水素燃料導入孔

Claims (24)

  1. 少なくとも、燃料極と、酸素極と、これら燃料極と酸素極との間に間挿された固体高分子電解質膜を有する燃料電池において、前記酸素極は、カーボン担体上に担持された下記の一般式、
    PtP
    (式中、前記Pの含有量は2at.%〜50at.%の範囲内である)で示される触媒を有することを特徴とする燃料電池。
  2. 前記酸素極用PtP触媒の粒径が5nm未満であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  3. 前記酸素極用PtP触媒の粒径が1〜3nmの範囲内であることを特徴とする請求項2記載の燃料電池。
  4. 前記カーボン担体が300m/g以下の比表面積を有する非多孔質カーボン担体であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  5. 前記カーボン担体が20m/g〜140m/gの範囲内の比表面積を有する非多孔質カーボン担体であることを特徴とする請求項4記載の燃料電池。
  6. 前記カーボン担体がアセチレンブラック又はマルチウォールカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項4又は5記載の燃料電池。
  7. 直接メタノール型燃料電池であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の燃料電池。
  8. 前記直接メタノール型燃料電池において、燃料極に使用される触媒が粒径5nm以下のPtRuP触媒であることを特徴とする請求項7記載の燃料電池。
  9. 前記燃料極に使用される触媒が粒径1nm〜3nmの範囲内のPtRuP触媒であることを特徴とする請求項8記載の燃料電池。
  10. 固体高分子型燃料電池であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の燃料電池。
  11. 前記固体高分子型燃料電池において、燃料極に使用される触媒が粒径5nm以下のPtRuP触媒であることを特徴とする請求項10記載の燃料電池。
  12. 前記燃料極に使用される触媒が粒径1nm〜3nmの範囲内のPtRuP触媒であることを特徴とする請求項11記載の燃料電池。
  13. 燃料極触媒層と、酸素極触媒層と、これら燃料極触媒層と酸素極触媒層との間に間挿された固体高分子電解質膜とからなる膜電極接合体において、前記酸素極は、カーボン担体上に担持された下記の一般式、
    PtP
    (式中、前記Pの含有量は2at.%〜50at.%の範囲内である)で示される触媒を有することを特徴とする膜電極接合体。
  14. 前記酸素極用PtP触媒の粒径が5nm未満であることを特徴とする請求項13記載の膜電極接合体。
  15. 前記酸素極用PtP触媒の粒径が1〜3nmの範囲内であることを特徴とする請求項14記載の膜電極接合体。
  16. 前記カーボン担体が300m/g以下の比表面積を有する非多孔質カーボン担体であることを特徴とする請求項13記載の膜電極接合体。
  17. 前記カーボン担体が20m/g〜140m/gの範囲内の比表面積を有する非多孔質カーボン担体であることを特徴とする請求項16記載の膜電極接合体。
  18. 前記カーボン担体がアセチレンブラック又はマルチウォールカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項16又は17記載の膜電極接合体。
  19. 直接メタノール型燃料電池において使用されることを特徴とする請求項13〜18の何れかに記載の膜電極接合体。
  20. 前記直接メタノール型燃料電池において使用される膜電極接合体において、燃料極に使用される触媒が粒径5nm以下のPtRuP触媒であることを特徴とする請求項19記載の膜電極接合体。
  21. 前記燃料極に使用される触媒が粒径1nm〜3nmの範囲内のPtRuP触媒であることを特徴とする請求項20記載の膜電極接合体。
  22. 固体高分子型膜電極接合体であることを特徴とする請求項13〜18の何れかに記載の膜電極接合体。
  23. 前記固体高分子型燃料電池において使用される膜電極接合体において、燃料極に使用される触媒が粒径5nm以下のPtRuP触媒であることを特徴とする請求項22記載の膜電極接合体。
  24. 前記燃料極に使用される触媒が粒径1nm〜3nmの範囲内のPtRuP触媒であることを特徴とする請求項23記載の膜電極接合体。
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