以下、本発明の好適な実施形態を図面を参照して説明する。まず、本発明が適用される遊技機である例としてスロットマシンの概略構成を説明する。図1は、スロットマシンSMの外観構造を表す正面図である。スロットマシンSMは、いわゆるフロントパネルを形成する前扉FDが略矩形状の箱体である筐体に対し開閉可能に取り付けられている。前扉FDは、上部パネル部UPと下部パネル部LPに概ね区分けされ、これらは視覚効果を高めてデザインされ、硬質プラスチックにより一体的に形成されている。また、前扉FDの下部には、メダルを貯留するための受皿部が形成された受皿ユニットTUが設けられている。
上部パネル部UPの周縁部分には、高輝度発光ダイオードを内蔵する上部ランプUL及びサイドランプSL、SLが配置されている。また、スピーカを内蔵し遊技に係る効果音を発生させる演出用放音部SAL、SARが上部パネル部UPの左右にそれぞれ配置されている。更に、演出用放音部SAL、SARの間には、液晶表示ユニットFPDが配置されている。なお、液晶表示ユニットFPDは、遊技の演出に係る映像を主に表示する。
上部パネル部UPの中央にはパネルユニットPUが取り付けられ、その中央に略長方形の透明な表示窓FWが形成されている。表示窓FWを通して筐体内に設けられている円筒形状のリールR1、R2、R3が目視される。リールR1、R2、R3は、それぞれの回転軸に沿って横方向に配置され、これによりリールユニットRUが形成されている。また、各リールR1、R2、R3の外周面には複数種類の図柄がほぼ等間隔で配置され、リールの外周面に表示する縦3個、横3列の図柄が表示窓FWを通して目視される。
上部パネル部UPと下部パネル部LPとの間には、遊技操作を行うためのスイッチ類が配置された操作卓OPが一体的に形成されている。操作卓OPには、メダルを投入するための投入口を有するメダル投入部MDと、ベットボタンBETと、スタートレバーSTLと、ストップボタンSTP1、STP2、STP3がそれぞれ配設されている。
ベットボタンBETは、スロットマシンの1ゲームに賭けるメダルの枚数を提示するためのボタンスイッチである。スロットマシンSMは、何れかのベットボタンBETが押圧操作されることにより当該ゲームにメダルが賭けられ、スタートレバーSTLが傾倒操作されるとリールR1、R2、R3を一斉に回転させる。このときスロットマシンSMは、入賞の抽選を内部的な処理(以下、「内部抽選」という)で行う。そして、各ストップボタンSTP1、STP2、STP3が押圧操作されることで、対応するリールR1、R2、R3をそれぞれ停止させる。全てのリールが停止し、表示窓FWに設定される有効ライン上に表示した図柄の組合せが上述の内部抽選に当選した入賞に係る組合せと一致した場合、当該入賞が確定する。
下部パネル部LPには、スロットマシンSMのモデルタイプを遊技者へ認識させる等のため、登場キャラクターの絵などを表示する表示パネルDPが設けられている。下部パネル部LPの下側に配置される受皿ユニットTUには、入賞時等においてメダルを受皿部に排出するメダル払出口MEXと、スピーカを内蔵し演出効果音を発生させる演出用放音部SABがそれぞれ配置されている。
次に、図2を参照し、スロットマシンSMの内部構造を説明する。図2は、前扉FDが筐体MBから開いた状態でのスロットマシンSMの内部構造を表している。同図において、筐体MB内の上部には、スロットマシンSMの全体動作を統括制御する主制御基板100を収容する、本発明に係る制御基板アッセンブリMBAが取り付けられている。なお、主制御基板100は、MPU、ROM、RAM等を含むマイコンをベースに形成される制御回路基板から形成される。この制御基板アッセンブリMBAについては後述する。
筐体MB内の中央には、リールR1、R2、R3を備えるリールユニットRUが設けられている。リールユニットRUは、前扉FDが筐体MB側に閉じられるとパネルユニットPUに形成された表示窓FWにリールR1、R2、R3が対向するように、筐体MB内の所定の高さに固定されたフレームに位置決めされて取り付けられている。なお、各リールR1、R2、R3は、それぞれの中心軸に連結するステッピングモータによって回転駆動される。リールユニットRUの上部には、各ステッピングモータへ4相の駆動パルス信号を送出する図示しない回胴装置基板が取り付けられており、主制御基板100が回胴装置基板に回胴駆動(励磁)パルスデータを送出することで、各リールの回転と制動及び停止の制御を行っている。
リールユニットRUの下方には、メダル投入部MDから投入されたメダルを貯留し、入賞の配当の際に排出口からメダルを排出するホッパ装置HPUと、ホッパ装置HPUから溢れたメダルを収容するための補助貯留部MSTと、スロットマシンSMに内蔵される各機器へ電力を配電する主電源装置PWUが設けられている。
次に、前扉FDの裏面側上部には、上述の演出用放音部SAL、SARに対向してスピーカSPL、SPRが取り付けられている。また、図2には示していないが、スピーカSPL、SPRの間に、液晶表示ユニットFPDが取り付けられ、液晶表示ユニットの裏面側に当該液晶表示ユニット等を制御駆動するサブ制御基板SBAが取り付けられている。サブ制御基板SBAは、液晶表示ユニットFPDによる演出映像の表示制御、上部ランプUL及びサイドランプSL等を使った照明制御、及び演出用放音部SAL、SAR、SABを使った演出効果音制御など、ゲームの演出に係る制御を主に行う。
サブ制御基板SBAの下方には、前面にリールR1、R2、R3を目視させるための透明な表示窓FWを有するパネルユニットPUが取り付けられる。パネルユニットPUの裏面側には、リールR1、R2、R3の外周面を照射して図柄を明るく表示させるための冷陰極蛍光ランプCFLと、スタートレバーSTL及びストップボタンSTP1、STP2、STP3等の操作スイッチ類の出力信号を主制御基板100へ転送する中継基板として機能する中央表示基板CBAとを備え、これらがユニット化されて形成されている。
パネルユニットPUの下方には、メダル選別装置MSUが取り付けられている。メダル選別装置MSUは、メダル投入部MDに投入されたメダルの適否を判別し振り分ける装置である。また、メダル選別装置MSUに内蔵されるメダルセンサはメダル投入部MDに投入された正規のメダルを検出し、その検出信号を主制御基板100へ送出する。
メダル選別装置MSUの下方には、メダル選別装置MSUによって振り分けられた正規のメダルを筐体MB内に設けられているホッパ装置HPUへ案内するガイド部材G1と、メダル選別装置MSUにより排除されたメダル(または異物)をメダル排出口MEXへ案内するガイド部材G2が設けられている。また、前扉FDの裏面側下部には、ホッパ装置HPUの排出口から排出されたメダルをメダル排出口MEXへ案内するガイド部材G3が設けられている。更に、メダル排出口MEXに隣接して、上述した演出用放音部SABに対向するスピーカSPBが取り付けられている。
かかる構成のスロットマシンSMは、先のゲームにおいて入賞しメダルの払い出しが完了した時、又は先のゲームにおいてハズレが確定すると待機状態となる。この待機状態において、ベットボタンBETを押圧操作することで、内部に貯留したメダル(クレジット)から当該ゲームにメダルが賭けられゲーム開始の状態となる。
ゲーム開始の状態でスタートレバーSTLが傾倒操作されると、主制御基板100は、3個のリールR1、R2、R3を一斉に回転させ始める。同時に入賞役を内部抽選し、その結果をフラグ(内部抽選フラグ)に記憶する。
次に、遊技者がストップボタンSTP1、STP2、STP3を任意の順番で押圧操作すると、主制御基板100は、それに従い順次各リールを停止させる制御を行う。そして、全てのリールR1、R2、R3が停止したことを検知すると、各リールが表示する図柄と上述のフラグに対応する入賞役に係る図柄の組合せとが一致しているかどうか判定する。
当選した入賞役に係る図柄が有効ラインに揃って表示され入賞が確定すると、当該入賞役の種類に応じて予め決められた配当数のメダルをクレジット数に加算するか、又はホッパ装置HPUを駆動して配当数のメダルを受皿ユニットTUの受皿部へ払い出す。
次に、主制御基板100を収容する制御基板アッセンブリMBAの構成について以下説明する。図3は、制御基板アッセンブリMBAの分解斜視図、図4は、主制御基板100を収容する制御基板アッセンブリMBAがブラケット部材BRを介して筐体MBに取り付けられる状態を表す斜視図である。
ここで、ブラケット部材BRは図3に示されるように、制御基板アッセンブリMBAの背面に対向する平板部10と、左縁ないし下縁にかけて立設するL字状のリブ部11と、右縁に立設する支持台部12と、支持台部12から突出する支持突起部13とを主に有して一体的に形成されている。リブ部11の内方壁には係合凹部11aが上下2カ所に形成され、また平板部10の右側縁には前方に延びる上下一対の係止アーム14が形成されている。これら係合凹部11aと係止アーム14によって制御基板アッセンブリMBA本体がブラケット部材BRに保持される。支持台部12の内方に隣接する平板部10には、後述する封止機構を構成する封止筒部15が例えば4カ所形成されている。なお、当該ブラケット部材BRは、平板部10に形成される複数のネジ孔10aに挿入されたネジにより、筐体MBの背板に結合固定される。
制御基板アッセンブリMBAは、主制御基板100と、ケース基体200と、ケースカバー300とを備え、またケースカバー300とケース基体200とをカシメ状態で結合する封止機構の接続媒体として接続部材500を使用する。なお、この接続部材500は、制御基板アッセンブリMBA本体とブラケット部材BR間の封止機構にも共通して用いられる。
ケース基体200は、前面が開放する略矩形の箱体として透明なプラスチックで一体形成したものであり、その底板部に小ネジを介して主制御基板100が結合固定される。ケース基体200の上側壁には、ケースカバー300とヒンジ結合するためのヒンジ軸部201が所定の間隔をおいて3カ所に形成されている。また、下側壁には、係止孔202aを有し前方に延びる2本の係止アーム202と、ケースカバー300をカシメ結合する封止機構を構成する封止筒部210が4カ所に形成されている。
ケースカバー300は、透明なプラスチックにより、例えばスライド成形により型抜きの際の孔を生じさせない製造技法で一体的に形成された略矩形の蓋体であり、上側壁に上記ケース基体200のヒンジ軸部201と位置整合してヒンジ軸受部301が形成されている。また、ケース基体200の封止筒部210と位置整合して封止キャップ部310、及び制御基板アッセンブリMBAがブラケット部材BRに取り付けられた状態でブラケット部材の封止筒部15と位置整合する封止キャップ部320が形成されている。
また、ケースカバー300の右側部には封止キャップ部320を囲んで延びる矩形枠部302と、ケースカバー300の左側壁に係合凸部303が上下2カ所に形成されている。
ケース基体200とケースカバー300とはヒンジ軸部201とヒンジ軸受部301とが嵌め合わされ、互いに開閉揺動が可能に取り付けられる。そして、主制御基板100を収容しケースカバー300を閉じると、図4に示されるように、ケース基体200側の係止アーム202の係止孔とケースカバー300の下端に形成された係止突起304とが係合する。このとき、ケース基体200とケースカバー300とは、それぞれの周壁の端部同士が密着して嵌合することにより、外部から針金などを用いて主制御基板100に対する不正行為を防止する。
ケース基体200にケースカバー300を閉じただけでは係止アーム202がその弾性変形力により係止突起304と係合しているだけであり、これら係合状態を解除することで容易にケースカバー300を開放できる状態にある。そこで、ケースカバー300を閉じる際に、ケース基体200の封止筒部210とケースカバー300の封止キャップ部310から構成される何れかの封止機構に接続部材500を挿入して係合させることで、これらケース部材同士をカシメ状態で封止する。これにより、ケースカバー300を開放し難くするとともに、カシメ結合された封止機構は封止キャップ部310をケースカバー300本体から切り離さないと封止状態を解除できないので、開放等の痕跡が残されるようになる。
また、図3及び図4に示されるようにケースカバー300の表面には、検査シール450が前面に貼られたシート部材400が配置され、シート部材400の上側端部がケースカバー300に溶着されて接合されている。なお、検査シール450は、主制御基板100をケースから取り外して動作チェックをする度に、検査担当者がその検査を実施した日付、検査担当者名、ケースを再封止したカシメ機構の場所を示す記号などの検査履歴を記入するためのものである。検査シール450及びシート部材400の詳細については後述する。
主制御基板100を収容して組み立てられた制御基板アッセンブリMBAは、ケースカバー300の左側壁に形成された係合凸部303をブラケット部材BRの係合凹部11aに係合させつつ矩形枠部302の内側空間にブラケット部材BRの支持突起部13を挿入することで、ブラケット部材BR側の係止アーム14が弾性変形し、先端の係止突起14aと矩形枠部302の角部とが係合する。これにより、制御基板アッセンブリMBAは、ブラケット部材BRに対し安定して支持される。このとき、ブラケット部材BRの封止筒部15とケースカバー300の封止キャップ部320から構成される上述と同様の封止機構の何れかに接続部材500を挿入して係合させることで、制御基板アッセンブリMBA本体をブラケット部材BRに対しカシメ状態で封止する。これにより、制御基板アッセンブリMBAを筐体MB(ブラケット部材BR)から取り外し難くするとともに、取り外した際の痕跡が残るようになる。
次に、上述の封止機構の詳細を図5〜図8を参照し説明する。なお、本実施形態のスロットマシンSMは、ケースカバー300をケース基体200に対して封止する封止機構と、ケースカバー300をブラケット部材BRに対して封止する封止機構とを有しているが、両機構は基本的に同一の構造であるため、ここでは前者を例に説明する。図5は、ケースカバー300とケース基体200の封止機構を拡大して表す部分断面図、図6は図5におけるVI−VI線に沿う封止筒部210の断面図、図7は図5におけるVII−VII線に沿う封止キャップ部310の断面図(接続部材500は省略)、図8は、当該封止機構をカシメ結合する際に使用する接続部材500の外観構造を表す斜視図である。
図5及び図6に示されるように、封止筒部210はケース基体200に一体的に形成され、ケースカバー300側に向けて開口する有底筒体状の部位であり、2カ所の連結部212を介してケース基体200本体側と繋がっている。封止筒部210の内壁には互いに対向する係合凹部213が形成され、また封止筒部210内壁の底部において互いに対向し径中心方向に向けて短く延びる回転規制突起214が形成されている。また、封止筒部210の開口周縁に封止キャップ部310の開口周縁と嵌合する嵌合内縁部215が形成されている。
ケースカバー300側の封止キャップ部310は、図5及び図7に示されるように、ケース基体200側に向けて開口する有底筒体状の部位であり、連結部312を介してケースカバー300本体と繋がっている。封止キャップ部310の内壁には互いに対向する係合凹部313が形成され、また封止キャップ部310内壁の底部において互いに対向し径中心方向に向けて短く延びる回転規制突起314が形成されている。また、封止キャップ部310の開口周縁に封止筒部210の開口周縁と嵌合する嵌合外縁部315が形成されている。
図8を参照し接続部材500の構造を説明する。接続部材500は軸方向に貫通する略中空筒体の形状を有しており、軸方向一端側において径方向に向けて互いに対向する一対の切欠き溝である回転規制溝501と、同じく他端側において径方向に対向する一対の回転規制溝502が形成されている。各回転規制溝501、502は回転軸を中心に約90度位相をずらした位置関係にある。
また、接続部材500の一端側近傍において、径方向に対向する一対の係合突起503と、同じく他端側近傍に一対の係合突起504が形成されており、それぞれの係合突起503、504は回転軸を中心に約90度位相をずらした位置関係にある。また、各係合突起503、504は、基部503a、504aを残して周囲のU字状の溝503b、504bで本体と切り離され、基部503a、504aを固定端として弾性変形により径方向に揺動可能となっている。更に係合突起503、504は、接続部材500の各端側から中央方向にかけて次第に外方へ突出する断面三角形状を有するとともに、接続部材500の端側から見て反時計回り方向の角部が斜めに切り欠かれたテーパ面503c、504cを有している。
かかる構成の封止機構による制御基板アッセンブリMBAの封止動作を説明する。ケース基体200にケースカバー300をカシメ結合状態で封止する際には、まず図5に示されるように、ケース基体200の封止筒部210の中空部分に接続部材500の一端側を挿入する。このとき、一端側の係合突起504が封止筒部210の係合凹部213に入り込むよう位置合わせして挿入すると、係合突起504が内方に弾性変形し係合凹部213の位置で元の形状となって係合するとともに、封止筒部210の回転規制突起214が接続部材500の回転規制溝502に入り込む。これにより、接続部材500はケース基体200の封止筒部210に係合保持される。
この状態でケースカバー300をケース基体200側へ閉じると、接続部材500の他端側が封止キャップ部310の中空部分に挿入され、係合突起503が内方に弾性変形し係合凹部313と係合する。このとき、接続部材500の回転規制溝501に封止キャップ部310の回転規制突起314が入り込み、封止キャップ部310と封止筒部210とは、接続部材500を係合媒体としてカシメ結合される。このようにして、封止筒部210と封止キャップ部310に接続部材500を挿入して閉塞することで、ケース基体200に対してケースカバー300をカシメ状態で封止する。これによりケースカバー300をケース基体300から開け難くし主制御基板100への不正改造を防止するとともに、封止キャップ部310をケースカバー300本体から切り離さないとケースカバー300を開放することができないため、切断された連結部312によりケースカバー300の開放の痕跡を残すことができる。なお、接続部材500をケースカバー300の封止キャップ部310に先に挿入して閉じて封止させてもよい。
次に、検査シール450及びそれが貼付されるシート部材400について更に詳しく説明する。図9は前扉FDを開放した状態において筐体MB内上部の制御基板アッセンブリMBAの外観構造を表す図、図10はシート部材400が配置されたケースカバー300の縦断面図である。
シート部材400は例えばポリエチレン等の可撓性のある透明な樹脂シートにより矩形状に形成され、その一端(上側端)がケースカバー300の表面に溶着される。すなわち図示しない加熱装置でシート部材400の上端部分である溶着領域401と、シート部材400の溶着領域401と当接するケースカバー300の領域を加熱して、双方を溶融させた後に常温に戻して接合する。
ケースカバー300を透して主制御基板100の表面状態を目視検査する際には、検査シール450が貼られたシート部材400を捲りあげることにより、検査シール450に邪魔されることなく主制御基板100の全体にわたる表面状態をケースカバー300を透して容易に目視検査することができる。
次に、主制御基板100の動作チェック等するために制御基板アッセンブリMBAを開封及び再封止する作業について説明する。図11(a)はスロットマシンSMの工場出荷時における制御基板アッセンブリMBAの封止状態を例示する図、図11(b)は1回目の開封検査(立ち入り検査)が行われた後の制御基板アッセンブリの封止状態を例示する図である。
図11(a)を参照し工場出荷時の制御基板アッセンブリMBAは、最終検査にパスした主制御基板100をケース基体200内に配置し、下方の封止機構のうち両端側の封止キャップ部310、310及びこれらに対応するケース基体200側の封止筒部210に接続部材500が挿入され、ケース基体200とケースカバー300とが封止機構CL1、CL2によりカシメ状態で封止されている。更に、右方の封止機構のうち最も下に位置する封止キャップ部320及びこれに対応するブラケット部材BR側の封止筒部15に接続部材500が挿入されて、封止機構BL1により制御基板アッセンブリMBAが筐体MB内にカシメ状態で取り付けられている。なお、工場出荷時の検査シール450には、封止状態にある封止機構CL1、CL2、BL1を示す例えばアルファベット文字記号が付された欄に、主制御基板100の出荷検査の日時、検査担当者の氏名等が記入され封印されている。
工場出荷後、主制御基板100をケース部材から取り出して行う1回目の立ち入り検査の際には、これら封止機構CL1、CL2、BL1の封止状態を解除してケースカバー300を開放する。すなわち、ニッパ等の工具を用い封止機構CL1、CL2、BL1の連結部312、322を切断することで、封止キャップ部310、310、320がケースカバー300本体部分から切り離され封止状態が解除される。これにより、ケースカバー300をケース基体200から開放することができ、主制御基板100をケースから取り出して検査をすることができる。
一旦、封止キャップ部が切り離された封止機構はその機能を有しないものとなるが、挿入されている接続部材500を取り出して他の封止機構に使用することができる。この事例として第1回目の立ち入り検査で開封した封止機構BL1から接続部材500を取り出す場合について図12を参照し説明する。なお、図12(a)はケースカバー300において封止機構BL1を構成する封止キャップ部320を切断した横断面図、図12(b)はブラケット部材BRにおいて封止機構BL1を構成する封止筒部15を切断した横断面図である。
まず、上述したように封止キャップ部320の連結部322を切断してケースカバー300本体から切り離す。その後、封止キャップ部320を指で摘み反時計回り(矢印P1方向)に回転させる。このとき、例えば図12(a)に示されるように、接続部材500の係合突起503のテーパ面503cが封止キャップ部320の係合凹部323の側壁面に当接しながら径中心方向(矢印Q1方向)に弾性変形し係合突起503と係合凹部323との係合状態が解除される。この状態で更に封止キャップ部320を反時計回りに回転させると、封止キャップ部320の底部に形成されている回転規制突起(不図示)と接続部材500の回転規制溝501の側面と当接して一緒に回転する。このとき、図12(b)に示されるように、係合突起504のテーパ面504cが封止筒部15の係合凹部153の側壁面に当接しながら径中心方向(矢印Q2方向)に弾性変形するため係合突起504と係合凹部153との係合状態が解除される。この状態で封止キャップ部320を前方(軸方向)へ引き抜けば、封止キャップ部320とともに接続部材500を取り外すことができる。
なお、封止キャップ部320側の係合強さ(係合突起503と係合凹部323の係合)が係合筒部15側の係合強さ(係合突起504と係合凹部153の係合)よりも勝れば、封止キャップ部320を回転させた際に最初に係合筒部15側の係合が解除されるが、何れの場合も封止キャップ部320を反時計回りに更に回転させることで両方の係合状態が解除される。
このようにして封止機構BL1から取り出した接続部材500を隣の封止機構BL2に使用して、検査した主制御基板100をケース部材内に封止収容するとともに、当該制御基板アッセンブリMBAをブラケット部材BRを介して筐体MB内にカシメ状態で取り付ける。このとき検査担当者は、再封止した封止機構BL2を示すアルファベット文字記号が付された検査シール450の欄に、当該検査の日時、氏名等の検査履歴を記入する。
かかる実施形態の制御基板アッセンブリMBAによれば、検査シール450を貼付した可撓性を有するシート部材450の一端をケースカバー300の表面に溶着して配置したので、ケースカバー300を透視して主制御基板100を目視検査する際には、溶着部分を基端としてシート部材450を捲りあげることができ、検査シール450に邪魔されることなく主制御基板100の全体にわたる表面状態を容易に目視検査することができる。