JP2006129278A - スピーカユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡単な構成で、スピーカボックスを大型化することなく、最低共振周波数f0が低く、かつ、高い最大音圧の得られるスピーカを構成することが可能なスピーカユニットを提供する。
【解決手段】 スピーカユニット20aでは、フレーム201の内側にリング状支持板260の介在させ、このリング状支持板260により振動板230を支持する構成を採っている。このため、振動板230およびスピーカボックス10の大きさを変えずにフレーム201の内径を大きくして、フレーム201内に収容するダンパ250aの径を大きくし、課題を解決することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 スピーカユニット20aでは、フレーム201の内側にリング状支持板260の介在させ、このリング状支持板260により振動板230を支持する構成を採っている。このため、振動板230およびスピーカボックス10の大きさを変えずにフレーム201の内径を大きくして、フレーム201内に収容するダンパ250aの径を大きくし、課題を解決することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、各種音響機器に使用されるスピーカユニットに関する。
図4は従来のスピーカの構成を示す断面図である。このスピーカは、スピーカボックス10と、このスピーカボックス10内に収容されたスピーカユニット20とを有している。スピーカユニット20の構成は、次の通りである。まず、フレーム201は、スピーカユニット20全体をスピーカボックス10に固定するためのトレイ状の部材であり、側壁面が階段状に成形されており、底面中央に開口部を有している。このフレーム201は、スピーカボックス10の前面のバッフル板11に設けられた開口部に収容され、周辺部分が開口部の縁に固定されている。フレーム201の底面裏側には、積層固定された上部プレート211、永久磁石212および下部プレート213がある。そして、上部プレート211は、フレーム201の底面裏側に固定されている。永久磁石212および上部プレート211は、リング形状を有している。下部プレート213は、中央にセンターポール213aが起立しており、このセンターポール213aは、永久磁石212、上部プレート211およびフレーム201の各々の中央開口部を順次貫通し、スピーカ前方に向けて突出している。
ボイスコイル220は、中空円筒状の部材であり、センターポール213aを内側に収容している。このボイスコイル220の下部には、駆動電流が通電される巻き線220aが設けられており、この巻き線220aは上部プレート211とセンターポール213aとの間の磁気ギャップ内に位置している。振動板230は、中央に孔の空いたコーン形状の部材である。この振動板230の中央の孔の内周縁部は、ボイスコイル220の頂上付近の周辺部に固定されており、振動板230の外周縁部は、エッジ240を介し、フレーム201に接続されている。ダンパ250は、合成樹脂を含浸させた布を同心円の波形に成形してなるものであり、その中央に孔を有している。そして、ダンパ250は、その中央の孔の内周縁部はボイスコイル220の外周部に固定されており、外周縁部がフレーム201に固定されている。このダンパ250は、ボイスコイル220の運動方向を軸方向に規制する役割を担っている。なお、スピーカ前方から見た振動板230、フレーム201およびダンパ250の形状は例えば円形である。
このような構成において、ボイスコイル220の巻き線220aに駆動電流が通電されると、この駆動電流の極性の変化に応じて、ボイスコイル220がピストン運動し、振動板230が振動する。この結果、振動板230の表面に空気の粗密波が生じ、これが音波となってスピーカ前方に伝播する。
以上述べたスピーカユニット20は、大雑把に捉えると、図5に示すような共振回路によりモデリングすることができる。この図において、インダクタンスmは、振動板230、ボイスコイル220などの振動系の慣性量に相当し、キャパシタsは、スティフネス、すなわち、振動板230やダンパ250などの弾性によって振動系にもたらされる復元力に相当する。そして、抵抗rは、振動系に与えられる空気摩擦抵抗などの機械抵抗に相当する。電圧Vは、巻き線220aへの通電により発生される駆動力に相当する。そして、スピーカユニット20の出力特性を決定する重要な要素である最低共振周波数f0は、次式により与えられる。
f0=(1/2π)√(s/m) (1)
f0=(1/2π)√(s/m) (1)
スピーカユニット20を図4に示すような密閉型のスピーカボックス10に取り付けた場合、スピーカボックス10内の空気が振動系に復元力を与えるため、等価回路は、図5において、この空気による復元力に相当するキャパシタをキャパシタsに直列接続した構成となる。このため、スピーカの最低共振周波数f0はスピーカボックス10のない場合よりも高くなる。
最低共振周波数f0は、スピーカの出力特性を決定する重要なパラメータの1つである。低域での再生能力に優れたスピーカを構成するためには、この最低共振周波数f0を低くする必要がある。従来、スピーカの最低共振周波数f0を低くするための技術として次のようなものがあった。まず、第1の従来技術は、振動系の慣性量を大きくすることにより最低共振周波数f0を低くする、というものである。第2の従来技術は、ダンパの径を大きくして、スティフネスを低くすることにより最低共振周波数f0を低くする、というものである。第3の従来技術は、ダンパの材質や樹脂の含浸量などを変更してダンパを軟らかくし、スティフネスを低くすることにより最低共振周波数f0を低くする、というものである。第4の従来技術は、面積が大きなシートを折り返したような特殊形状のダンパを使用し、スティフネスを低くすることにより最低共振周波数f0を低くする、というものである。なお、第4の従来技術については例えば特許文献1に開示されている。
特開平10−94089号公報
しかしながら、上記第1の従来技術により最低共振周波数f0を低くしようとすると、振動系の慣性量の増大に伴って、電気信号である駆動信号を振動板の振動に変換する能率が下がるため、最低共振周波数f0での最大音圧を大きくすることが困難になるという問題があった。また、上記第2の従来技術により最低共振周波数f0を低くしようとすると、スピーカ全体の大型化を招くという問題があった。その理由は次の通りである。まず、スピーカの組み立て工程では、フレーム内側にダンパを配置し、その後、フレーム内側のダンパの上方に振動板を配置する。このため、振動板の径は、ダンパと同じかそれ以上にせざると得ない。一方、スピーカにおいて適正な音響特性を得るためには振動板の径とスピーカボックスの容積とが一定の関係を保つ必要がある。従って、最低共振周波数f0を下げるためにダンパの径を大きくする場合には、それに合わせて振動板の径も大きくし、この振動板の径に合わせてスピーカボックスの容積も大きくしなければならないのである。また、上記第3の従来技術により最低共振周波数f0を低くしようとすると、ダンパの強度が不足し、ボイスコイルの振動が不安定になるとともに耐久性が低下するという問題があった。そして、上記第4の従来技術により最低共振周波数f0を低くしようとすると、ダンパを特殊な形状に加工するためにコストが嵩み、スピーカが高価なものになってしまうという問題があった。
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で、スピーカボックスを大型化することなく、最低共振周波数f0が低く、かつ、高い最大音圧の得られるスピーカを構成することが可能なスピーカユニットを提供することを目的とする。
この発明は、開口部を有するフレームと、前記フレーム内に収容され、駆動信号に応じて振動する可動部と、前記フレーム内に収容され、前記可動部の振動方向を規制するダンパと、開口部を有し、外周縁部が前記フレームの開口部に固定されたリング状支持板と、前記可動部の外周部と前記リング状支持板の開口部の内周縁部とにより支持された振動板とを具備することを特徴とするスピーカユニットを提供する。
かかる発明によれば、振動板とフレームとの間にリング状支持板を介在させ、このリング状支持板を介して振動板がフレームに固定される構成を採っているため、振動板を大きくすることなく、フレームを大きくし、フレーム内に収容されるダンパを大きくすることができる。従って、スピーカボックスを大きくすることなく、ダンパを大きくし、スピーカの最低共振周波数f0を下げ、低音域における最大音圧を大きくすることができる。
かかる発明によれば、振動板とフレームとの間にリング状支持板を介在させ、このリング状支持板を介して振動板がフレームに固定される構成を採っているため、振動板を大きくすることなく、フレームを大きくし、フレーム内に収容されるダンパを大きくすることができる。従って、スピーカボックスを大きくすることなく、ダンパを大きくし、スピーカの最低共振周波数f0を下げ、低音域における最大音圧を大きくすることができる。
<第1実施形態>
図1は、この発明の第1実施形態であるスピーカユニット20aを用いたスピーカの構成を示す断面図である。このスピーカの特徴は、前掲図4におけるスピーカボックス10と振動板230とをそのまま維持し、その一方においてダンパ250をより径の大きなダンパ250aに置き換えた点にある。このようなダンパの大径化を行うため、本実施形態に係るスピーカユニット20aでは、フレーム201がより径の大きなフレーム201aに置き換えられるとともに、このフレーム201aの前方開口部にリング状支持板260が固定されている。そして、振動板230の外周縁部は、エッジ240を介し、このリング状支持板260の内周縁部に接続されている。
図1は、この発明の第1実施形態であるスピーカユニット20aを用いたスピーカの構成を示す断面図である。このスピーカの特徴は、前掲図4におけるスピーカボックス10と振動板230とをそのまま維持し、その一方においてダンパ250をより径の大きなダンパ250aに置き換えた点にある。このようなダンパの大径化を行うため、本実施形態に係るスピーカユニット20aでは、フレーム201がより径の大きなフレーム201aに置き換えられるとともに、このフレーム201aの前方開口部にリング状支持板260が固定されている。そして、振動板230の外周縁部は、エッジ240を介し、このリング状支持板260の内周縁部に接続されている。
本実施形態によれば、このようにフレーム201の内側にリング状支持板260の介在させ、このリング状支持板260により振動板230を支持する構成を採っているため、振動板230およびスピーカボックス10の大きさを変えずにフレーム201の内径を大きくし、フレーム201内に収容するダンパ250aの径を大きくすることができる。従って、本実施形態によれば、スピーカボックス10を大型化することなく、ダンパ250aの径を大きくし、振動系の復元力を発生させるスティフネス、すなわち、弾性力を減らし、最低共振周波数f0を低くすることができ、これにより低音再生帯域を広げることができる。また、本実施形態によれば、ダンパ250aの径を大きくすることにより、可動部たるボイスコイル220の振動可能範囲を広げ、低域における最大音圧を大きくすることができる。また、このようにボイスコイルの振動可能範囲を広げることができるため、通常のスピーカと比較し、同じ駆動信号を与えた場合における再生音波形の歪みを小さくすることができる。
<第2実施形態>
図2はこの発明の第2実施形態に係るスピーカユニット20bの構成を示す断面図である。このスピーカユニット20bと上記第1実施形態におけるスピーカユニット20aとの相違点は次の通りである。まず、上記第1実施形態では、振動板230の外周縁部を支持するリング状支持板として平板状のものが用いられたが、本実施形態ではホーン状のリング状支持板260bが用いられている。また、このホーン状のリング状支持板260bを収容することができるように、フレーム201aに代えて、開口部が広げられたフレーム201bが用いられている。
図2はこの発明の第2実施形態に係るスピーカユニット20bの構成を示す断面図である。このスピーカユニット20bと上記第1実施形態におけるスピーカユニット20aとの相違点は次の通りである。まず、上記第1実施形態では、振動板230の外周縁部を支持するリング状支持板として平板状のものが用いられたが、本実施形態ではホーン状のリング状支持板260bが用いられている。また、このホーン状のリング状支持板260bを収容することができるように、フレーム201aに代えて、開口部が広げられたフレーム201bが用いられている。
本実施形態においても、スピーカボックス10を大型化することなくダンパ250aを大径化することができ、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態によれば、振動板230を支えるリング状支持板260bがホーン状なので、このリング状支持板260bが高音域の再生音をスピーカ前方に案内するガイドとして機能し、高音域の再生音の指向性制御が容易になるという効果が得られる。
<第3実施形態>
図3はこの発明の第3実施形態に係るスピーカユニット20cの構成を示す断面図である。上記第1実施形態におけるスピーカユニット20aでは、1枚のダンパ250aが用いられたが、本実施形態では2枚のダンパ250a1および250a2が用いられている。さらに詳述すると、本実施形態では、リング250Rの内側にリング形状のダンパ250a1および250a2が相互に離間した状態で張設されており、リング250Rは、フレーム201aの内壁に形成された段部に固定されている。そして、上記第1実施形態と同様、ダンパ250a1および250a2の中央開口部の内周縁部はボイスコイル220の外周に固定されている。
図3はこの発明の第3実施形態に係るスピーカユニット20cの構成を示す断面図である。上記第1実施形態におけるスピーカユニット20aでは、1枚のダンパ250aが用いられたが、本実施形態では2枚のダンパ250a1および250a2が用いられている。さらに詳述すると、本実施形態では、リング250Rの内側にリング形状のダンパ250a1および250a2が相互に離間した状態で張設されており、リング250Rは、フレーム201aの内壁に形成された段部に固定されている。そして、上記第1実施形態と同様、ダンパ250a1および250a2の中央開口部の内周縁部はボイスコイル220の外周に固定されている。
本実施形態においては、2枚のダンパ250a1および250a2がボイスコイル220の振動方向を規制するので、ボイスコイル220の振動の安定性が増すという効果が得られる。また、このようにダンパを2枚重ねにして用いると、振動系に作用するスティフネスが高くなるが、それでも本実施形態ではダンパの径を大きくすることができるので、従来のスピーカにおいてダンパを2枚重ねにして使用した場合に比して、最低共振周波数f0を下げ、かつ、低音域での最大音圧を大きくすることができる。
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を幾つか挙げたが、本発明はこれらに変形を加えた態様でも実施され得る。例えば上記各実施形態においてスピーカユニットにおいて、スピーカ前方から見た振動板、フレームおよびダンパの形状は円形である。しかしながら、これらのスピーカユニットの構成部材は円形である必要はなく、楕円または長円であってもよい。
以上、本発明の実施形態を幾つか挙げたが、本発明はこれらに変形を加えた態様でも実施され得る。例えば上記各実施形態においてスピーカユニットにおいて、スピーカ前方から見た振動板、フレームおよびダンパの形状は円形である。しかしながら、これらのスピーカユニットの構成部材は円形である必要はなく、楕円または長円であってもよい。
20a,20b,20c……スピーカユニット、201a,201b……フレーム、220……ボイスコイル、250a,250a1,250a2……ダンパ、230……振動板、260,260b……リング状支持板。
Claims (2)
- 開口部を有するフレームと、
前記フレーム内に収容され、駆動信号に応じて振動する可動部と、
前記フレーム内に収容され、前記可動部の振動方向を規制するダンパと、
開口部を有し、外周縁部が前記フレームの開口部に固定されたリング状支持板と、
前記可動部の外周部と前記リング状支持板の開口部の内周縁部とにより支持された振動板と
を具備することを特徴とするスピーカユニット。 - 前記リング状支持板がホーン形状を有することを特徴とする請求項1に記載のスピーカユニット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004316950A JP2006129278A (ja) | 2004-10-29 | 2004-10-29 | スピーカユニット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004316950A JP2006129278A (ja) | 2004-10-29 | 2004-10-29 | スピーカユニット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006129278A true JP2006129278A (ja) | 2006-05-18 |
Family
ID=36723444
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004316950A Pending JP2006129278A (ja) | 2004-10-29 | 2004-10-29 | スピーカユニット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006129278A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010011436A (ja) * | 2008-05-28 | 2010-01-14 | Onkyo Corp | スピーカー振動板およびこれを用いた動電型スピーカー |
CN108632699A (zh) * | 2017-03-17 | 2018-10-09 | 宁波升亚电子有限公司 | 扬声装置和头戴式耳机及其应用 |
-
2004
- 2004-10-29 JP JP2004316950A patent/JP2006129278A/ja active Pending
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