JP2006125718A - 熱輸送装置及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】
外力を吸収することができ、設計の自由度を高めることができる熱輸送装置及びこれを搭載した電子機器を提供すること。
【解決手段】
本発明に係る熱輸送装置10は、気相管3及び液相管4が、多数の箇所3a、3b、4a、4b等で曲げられて構成されているので、蒸発器1と凝縮器2とが互いに弾発することが可能となる。つまり、気相管3及び液相管4がバネの機能を果たし、蒸発器1及び凝縮器2に加わる力を吸収することができる。
【選択図】図1
外力を吸収することができ、設計の自由度を高めることができる熱輸送装置及びこれを搭載した電子機器を提供すること。
【解決手段】
本発明に係る熱輸送装置10は、気相管3及び液相管4が、多数の箇所3a、3b、4a、4b等で曲げられて構成されているので、蒸発器1と凝縮器2とが互いに弾発することが可能となる。つまり、気相管3及び液相管4がバネの機能を果たし、蒸発器1及び凝縮器2に加わる力を吸収することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、作動流体の蒸発及び凝縮作用によって発熱体から発生する熱を輸送する熱輸送装置及びこの熱輸送装置を搭載した電子機器に関する。
PC(Personal Computer)等の電子機器を冷却するために、その電子機器の発熱部から発生する熱を放熱部に輸送するデバイスとして、従来からヒートパイプやCPL(Capillary Pumped Loop)等が用いられている。これらの熱輸送デバイスは、電子機器の高温の発熱部で発生する熱によって蒸発した気相の作動流体が、低温の放熱部へ移動し、その放熱部で凝縮して液体になって熱を放出するものであり、これにより、発熱体が冷却される。
ヒートパイプは、銅等の金属でなるパイプ状のコンテナに冷媒となる作動流体が収容され、パイプ内部に設けられた毛細管力を発生させるウィックによって作動流体にポンプ力を発生させている(例えば、特許文献1参照。)。
CPLはヒートパイプの原理を用いた熱輸送装置で、その形状はパイプ状のものに限られない。例えば、CPLには、蒸発器と凝縮器とが物理的に分離され、蒸発器と凝縮器とが、気相の作動流体が流通する気相管と液相の作動流体が流通する液相管とによって接続された装置がある(例えば、特許文献2参照。)。
特開2001−251080号公報(段落[0031]、図8)
特開2004−028444号公報(段落[0025]、図1)
上記のような熱輸送デバイスを電子機器に搭載する場合、電子機器内の各部品の配置構造によっては、ヒートパイプのパイプが曲げられて電子機器内に配置される場合がある。しかしながら、ヒートパイプでは、パイプの曲げによる性能劣化が著しく、また内部にウィックを持つために、曲げの曲率を大きくすることができない。また、パイプの径も数mm以上が必要であるために、剛性が高くフレキシビリティ(外力に対する変形のしやすさ)を持たせることができない。このような理由から、対象とする発熱部及び放熱部に、意図的もしくは偶発的な相対変位がある場合、熱輸送デバイスあるいは冷却しようとする発熱体に大きな負荷がかかり、どちらか、もしくは双方に性能劣化や破損を引き起こす可能性がある。
一方、熱輸送デバイスにフレキシビリティを持たせるために、デバイスの材料としてゴムやプラスチック等の樹脂材料を用いることも考えられる。しかし、これら作動流体の相変化により熱を輸送するデバイスにおいては、一般に内部は大気圧以下に減圧され、高レベルの気密性を保つ必要がある。このため、現状では、ゴム、プラスチック等の材質は、素材のリーク性能の限界があることから使用できない。したがって、デバイスの材料として、流路を含む構造体はガラス、金属、セラミックスなどの緻密で高剛性な材料が用いられることが望ましい。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、外力を吸収することができ、設計の自由度を高めることができる熱輸送装置及びこれを搭載した電子機器を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る熱輸送装置は、作動流体の蒸発作用により発熱体からの熱を吸収する蒸発器と、前記作動流体の凝縮作用により熱を放熱する凝縮器と、前記蒸発器と前記凝縮器との相対的な位置が可変するように弾性的に前記蒸発器と前記凝縮器とを接続し、該蒸発器と凝縮器との間で前記作動流体を流通させる流通管とを具備する。
本発明では、蒸発器と凝縮器との相対的な位置が可変するように弾性的に蒸発器と凝縮器とを接続する流通管が設けられているので、熱輸送装置に加わる外力を吸収することができる。これにより、例えば熱輸送装置が電子機器に搭載される場合に、設計の自由度を高めることができる。また、例えば蒸発器と発熱体とが熱伝導性を有するグリスやシート等を介して接触させる場合、適正な大きさの接触圧が得られないと、接触部分で熱抵抗が大きくなってしまい、熱輸送能力が低下するおそれがある。凝縮器と放熱部材等との接触についても同様のことが言える。しかしながら、本発明によれば、設計の自由度が高いので、そのような熱輸送能力の低下を防止することができる。さらに、従来においてそのような接触不具合による熱抵抗の増加を解消するために、熱輸送装置や発熱体との寸法管理、あるいは両者の相対配置を厳しくしなければならずコストアップの問題があったが、本発明によればそのような問題を回避できる。
蒸発器と凝縮器との相対位置が可変する場合の互いの方向または傾きは、どの方向または傾きであってもよい。また、その場合に、いずれか一方向の変位が可変、または、所定の方向での傾きが可変であってもよい。あるいは、いずれか二方向以上の変位が可変、または二方向以上での傾きが可変であってもよい。
流通管は、気相及び液相の作動流体が流通するそれぞれの管で少なくとも構成される。流通管は、ドライアウト防止のための予備管がさらに加えられて構成されていてもよい。ドライアウトとは、熱輸送装置が備える作動流体のほぼ全部、または所定の量より多い量が、発熱体の熱により蒸発してしまい、熱輸送能力が低下してしまうことをいう。
発熱体としては、例えばICチップや抵抗等の電子部品、あるいは放熱フィン(ヒートシンク)等が挙げられるが、これらに限られず発熱するものなら何でもよい。以下、同様である。
本発明の一の形態によれば、前記流通管は、少なくとも3箇所で曲げられるように形成され、前記蒸発器で蒸発した作動流体を前記凝縮器へ流通させる気相管と、少なくとも3箇所で曲げられるように形成され、前記凝縮器で凝縮した作動流体を前記蒸発器へ流通させる液相管とを有する。これにより、外力による気相管の弾性変位量を極力大きくすることができ、蒸発器と凝縮器との相対変位量を極力大きくすることが可能となる。
本発明の一の形態によれば、前記気相管は、第1の方向に延設された第1の部分と、前記第1の方向とはほぼ逆方向の第2の方向に延設された第2の部分とを有する。例えば、気相管が、このような第1の部分と第2の部分とが交互にそれぞれ複数連続して有していれば、ベローズ状の気相管が形成される。これにより、蒸発器と凝縮器との変位量をより大きくすることができ、フレキシブル性を高めることができる。液相管も気相管と同様な構成とすることができる。
気相管及び液相管のうち少なくとも一方が、第1の方向に延設された第1の部分と、前記第1の方向とはほぼ逆方向の第2の方向に延設された第2の部分とを有していてもよい。
本発明の一の形態によれば、前記気相管は、第1の面内で、第1の方向に延設された第1の部分と、ほぼ前記第1の面内で、前記第1の方向とは異なる第2の方向に延設された第2の部分と、前記第1の面内とは異なる第2の面内で延設された第3の部分とを有する。すなわち気相管が3次元的に延設されることにより、よりフレキシブル性を高めることができる。特に、気相管の当該各部分の3次元的な配置が適宜設計されることで、蒸発器及び凝縮器の最適な方向または角度での変位を設計できるようになる。液相管も気相管と同様な構成とすることができる。
気相管及び液相管のうち少なくとも一方が、第1の面内で、第1の方向に延設された第1の部分と、ほぼ前記第1の面内で、前記第1の方向とは異なる第2の方向に延設された第2の部分と、前記第1の面内とは異なる第2の面内で延設された第3の部分とを有していてもよい。
本発明の一の形態によれば、前記流通管は、少なくとも一部がコイル状に形成され、前記蒸発器で蒸発した作動流体を前記凝縮器へ流通させる気相管と、少なくとも一部がコイル状に形成され、前記凝縮器で凝縮した作動流体を前記蒸発器へ流通させる液相管とを有する。これにより、気相管及び液相管がコイルバネのように作用し、さらにフレキシブルになる。液相管も気相管と同様な構成とすることができる。
本発明の一の形態によれば、前記流通管は、金属でかつ外径が1mm〜2mmでなり、前記蒸発器で蒸発した作動流体を前記凝縮器へ流通させる気相管と、金属でかつ外径が1mm〜2mmでなり、前記凝縮器で凝縮した作動流体を前記蒸発器へ流通させる液相管とを有する。流通管が金属であることにより、作動流体の耐リーク性が向上する。外径が1mmより小さくなると、金属であっても曲げ等の剛性が小さくなり耐リーク性が悪化するからである。外径が2mmより大きくなると、金属であることから高剛性となってしまい、気相管のフレキシブル性が低下する。つまり、本発明では、耐リーク性、及び気相管と液相管の弾発性を適正に確保することができる。このことは、気相管及び液相管の肉厚についても言え、その肉厚は0.03mm〜0.1mmであることが好ましい。なお、肉厚とは、その材料が詰まった部分での壁の厚さである。
本発明に係る電子機器は、発熱体と、作動流体の蒸発作用により前記発熱体からの熱を吸収する蒸発器と、前記作動流体の凝縮作用により熱を放熱する凝縮器と、前記蒸発器と前記凝縮器との相対的な位置が可変するように弾性的に前記蒸発器と前記凝縮器とを接続し、該蒸発器と凝縮器との間で前記作動流体を流通させる流通管とを具備する。
本発明では、蒸発器と凝縮器との相対的な位置が可変するように弾性的に蒸発器と凝縮器とを接続する流通管が設けられているので、熱輸送装置に加わる外力を吸収することができる。これにより、熱輸送装置が電子機器に搭載される場合に、設計の自由度を高めることができる。電子機器としては、コンピュータ、PDA(Personal Digital Assistance)、電子辞書、カメラ、ディスプレイ装置、オーディオ機器、携帯電話、その他の電化製品等が挙げられる。以下、同様である。
本発明の一の形態によれば、前記発熱体はCCD(Charge Coupled Device)である。本発明では、蒸発器と凝縮器との相対位置のフレキシビリティを確保できるので、CCDにかかる外力を吸収することができる。発熱体が、半導体を用いた素子である場合、一般的に、温度が高くなるとノイズが増える傾向にある。半導体素子の中でもCCDは、画像を生成する素子であるため特にその作用が顕著に表れ、本発明が適用されると非常に効果的である。さらに、CCDの場合、そのCCDに光を導くためのレンズ等の光学系が配置されるため、CCDと光学系との配置の誤差の許容範囲が非常に厳しいものである。しかしながら、本発明によれば、フレキシブル性が高いため、容易にCCDと光学系とを所定の配置に合わせ込むことができる。
以上のように、本発明によれば、熱輸送装置にかかる外力を吸収することができ、設計の自由度を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る熱輸送装置を示す斜視図である。図2は、図1に示す熱輸送装置10の断面図である。
この熱輸送装置10は、内部に収容された作動流体を蒸発させて図示しない発熱体の熱を吸収する蒸発器1と、蒸発した作動流体を凝縮して熱を放出する凝縮器2とを備えている。蒸発器1と凝縮器2との間には、蒸発器1で蒸発した作動流体を凝縮器2に流通させる気相管3と、凝縮器2で凝縮した作動流体を蒸発器1に流通させる液相管4とが接続されている。作動流体としては、例えば純水、エタノール等が用いられている。
図2に示すように、蒸発器1は、矩形の上部基板11と下部基板12とで構成されている。上部基板11はガラスでなり、例えばパイレックス(登録商標)ガラスが用いられている。一方、下部基板12はシリコンでなる。上部基板11及び下部基板12には、それぞれの基板11及び12が互いに対面する側に、作動流体の流路となる溝11a、12bが設けられ、さらに下部基板12には、ドライアウト防止のために作動流体が貯溜されるリザーバ12aが設けられている。これらの溝11a、12b及びリザーバ12aは、例えば半導体製造におけるフォトリソグラフィ技術、または、切削加工等によって作製される。蒸発器1や凝縮器2は、ガラス及びシリコン以外の材料、例えば銅、ステンレス等の金属材料を用いても、本実施の形態に係る気相管3及び液相管4が備えられていることにより、後述する効果と同様の効果を得ることができる。
凝縮器2は、蒸発器1と同様に、矩形の上部基板13と下部基板14とで構成されている。上部基板13はガラスでなり、例えばパイレックス(登録商標)ガラスが用いられている。一方、下部基板14はシリコンでなる。上部基板13及び下部基板14には、それぞれの基板13及び14が互いに対面する側に、作動流体の流路となる溝13a、14aが設けられ、これらの溝13a、14aは、例えばフォトリソグラフィ技術、または、切削加工等によって作製される。また、凝縮器2の上部基板13には、作動流体の注入孔13bが形成されている。この注入孔13bは、例えば銅やアルミニウム等の金属でなる図示しない蓋により覆われ、凝縮器2の内部が気密状態とされている。
各上部基板11及び13のそれぞれの側部には、上記気相管3の一端3x及び他端3yを接続する穴状の接続部11b及び13cがそれぞれ設けられている。気相管3や液相管4は、例えばアルミニウム、銅、またはステンレス等の金属でなる。気相管3と接続部11b及び13cは、例えば陽極接合、半田接合等によって接合される。液相管4も気相管3と同様に穴状の接続部11b及び13cに接続されている。各接続部11b及び13cは、各溝11a、14a等にそれぞれ連通しており、これにより、気相管3及び液相管4を介して、蒸発器1及び凝縮器2との間で作動流体が循環することができるようになっている。
図1及び図2に示すように、気相管3は、その一端3xから蒸発器1の側面から水平方向に突出し、符号3aの部分で直角に下方に曲げられ、符号3bの部分でさらに直角に水平方向に曲げられている。さらに気相管3は、符号3cの部分で直角に下方に曲げられ、符号3b−3cの部分で流通する作動流体の流通方向とは逆方向に当該作動流体に流通するように、符号3dの部分で直角に水平に曲げられている。さらに気相管3は、符号3eの部分で直角に下方に曲げられ、符号3fの部分で水平に曲げられて凝縮器2に他端3yが接続されている。液相管4も、気相管3と同様に、符号4a、4b、4c、4d、4e及び4fで曲げられて気相管3と対称的な構成を有している。
以上のように構成された熱輸送装置10の動作について説明する。ここでは、蒸発器1の下部基板13の下面側に、図示しないICチップ等の発熱体が接触して設けられている場合について説明する。
発熱体が発する熱は下部基板12に伝えられ、この熱によりリザーバ12aやその他下部基板12に設けられた図示しない貯溜部にある作動流体の一部が蒸発する。蒸発した作動流体は、気相管3を流通し、凝縮器2内の流路に流入する。凝縮器2内に流入した作動流体は、溝14a等を流通することにより、熱を上部基板13や下部基板14に伝えて凝縮する。上部基板13や下部基板14に伝達された熱は、凝縮器2の外部に放出される。凝縮した作動流体は、液相管4を流通し、蒸発器1内の流路に流入し、例えば溝11a等で作動流体に発生する毛細管力によって作動流体は元の位置に戻る。このように、発熱体の熱を凝縮器2側へ輸送し、以上のような動作が繰り返されることで、発熱体が発する熱を凝縮器2の外部に放出して発熱体を冷却することができる。
本実施の形態に係る熱輸送装置では、上述したように、気相管3及び液相管4が、多数の箇所で曲げられて構成されているので、蒸発器1と凝縮器2とが互いに弾発することが可能となる。つまり、図3に示すように、気相管3及び液相管4がバネの機能を果たし、蒸発器1及び凝縮器2に加わる力を吸収することができる。
図3では、例えばこの熱輸送装置10の蒸発器1に下向きの力が加えられた場合に、図中、一点鎖線で示すように、蒸発器1、気相管3及び液相管4は下方に撓むようになる。その下向きの押圧力が解除されると、蒸発器1、気相管3及び液相管4は、気相管3及び液相管4のバネ力により実線で示す元の位置に戻る。このような気相管3等の曲げの部分は3箇所以上あることが好ましい。3箇所以上とすることで、外力による気相管3及び液相管4の弾性変位量を極力大きくすることができ、バネの機能を果たすようになる。
また、図4に示すように、気相管3または液相管4の外径aが1mm〜2mmで、肉厚bが0.03mm〜0.1mmに構成されることが好ましい。このようにすることにより、作動流体の耐リーク性及び管3、4の弾発性を適正に確保することができる。また、管3及び4の材質についても、ヤング率が小さな物が使用されることで、剛性値を小さくすることができる。
さらに、気相管3等は、例えば、X−Z平面内に延設された3a−3cの部分及び3c−3dの部分等と、そのX−Z平面に垂直方向であるY方向に延設された3x−3aの部分及び3f−3yの部分等とを有している。つまり、気相管3等は、X、Y,Z方向で3次元的に延設されている。これにより、さらにフレキシブル性を高めることができる。特に、本実施の形態では、3c−3cの部分及び3d−3fの部分が形成されることにより、気相管3等にZ方向の弾性を持たせることができる。つまり、このような気相管3等の形状に限らず、気相管3等の各部分の3次元的な配置が適宜設計されることで、蒸発器1及び凝縮器2の最適な方向または角度での変位を設計できるようになる。
図5は、上記熱輸送装置10が実際に使用され電子機器内に組み込まれるときの斜視図を示している。例えば、電子機器の製造過程において、作業者が手作業で熱輸送装置10を電子機器内に組み込む場面を想定する。図に示すように、発熱体16と、例えばヒートシンク等の放熱部材17とが図示しない電子機器内に配置されている。これら発熱体16及び放熱部材17は、例えば、電子機器に固定で搭載されているものとする。
最初に、作業者は熱伝導性のシートあるいは熱伝導性のグリス18を介して、凝縮器2を放熱部材17に取り付ける。このとき、熱伝導性をよくするため、例えば電子機器に固定の板バネ22によって、凝縮器2と放熱部材17とが押し付けあうように固定される。
次に、作業者は、シート18を介して蒸発器1を発熱体16に取り付ける。発熱体16や放熱部材17は電子機器に固定なので、発熱体16と放熱部材17との距離は決まっている。その距離と、熱輸送装置10の蒸発器1と凝縮器2との距離に寸法誤差がなければ問題はない。しかし、その寸法誤差がある場合に、蒸発器1と発熱体16とをシート18を介して接触させると、仮に管3、4に弾性がない場合は、弾性がある場合に比べ蒸発器1や発熱体16等に大きな力がかかってしまう。管3、4に弾性があることにより、そのような組み込み時の外力を吸収することができる。つまり、熱輸送装置10や電子機器の設計の自由度が向上する。
また、蒸発器1と発熱体16とがシート18を介して接触させる場合、適正な大きさの接触圧が得られないと、接触部分で熱抵抗が大きくなってしまい、熱輸送装置10の熱輸送能力が低下するおそれがある。しかしながら、本実施の形態によれば、板バネ21及び22により大きなバネ力で蒸発器1及び凝縮器2を押し付けても、管3、4の弾性力により外力を吸収するので発熱体16に与える力は小さい。したがって、蒸発器1と発熱体16とを適正な接触圧で接触させることができ、熱輸送能力の低下を防止することができる。
また、シート18を用いる場合、シート18は柔らかいものであるため、上記寸法誤差が生じやすいが、本実施の形態に係る熱輸送装置10によればそのような問題を解消することができる。
また、特に、発熱体16が半導体を用いた素子である場合、一般的に、温度が高くなるとノイズが増える傾向にある。半導体素子の中でも特にCCDは、画像を生成する素子であるため特にその作用が顕著に表れるので、熱輸送装置10を用いると非常に効果的である。さらに、CCDの場合、そのCCDに光を導くためのレンズ等の光学系が配置されるが、そのCCDと光学系との配置の誤差の許容範囲が非常に厳しいものである。しかしながら、本実施の形態によれば、フレキシブル性が高いため、容易にCCDと光学系とを所定の配置に合わせ込むことができる。
さらに、多くの光学素子では、フォーカス動作を行わせるために、1mm以下程度の小さなストロークではあるが、能動的な移動をCCDに行わせる必要がある。この場合に、CCDに取り付けられた熱輸送装置10の蒸発器1及び凝縮器2が、そのフォーカス方向に相対的に可変するようにフレキシブルであれば、CCDに悪影響を及ぼすことはない。
電子機器がカメラである場合、発熱体としては、CCDだけでなく、半導体レーザー、LED(Light Emitting Diode)、反射型液晶パネル、透過型液晶パネルなどの光学デバイスへの適用が可能である。
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る熱輸送装置を示す斜視図である。以下の各実施の形態において、上記第1の実施の形態に係る熱輸送装置10の部材や機能等について同様のものは説明を簡略または省略し、異なる点を中心に説明する。
この熱輸送装置20は、蒸発器1及び凝縮器2の間に、それぞれ直線状の気相管33及び液相管34が接続されている。このように気相管33及び液相管34が直線状に形成されていても、例えばこれらの管33及び34が、図4に示したような外径a、肉厚bを有するものであれば、熱輸送装置20に弾性を持たせることができる。気相管33及び34の相対変位量は、上記第1の実施の形態に係る熱輸送装置10のそれに比べ少ないが、図6に示す矢印方向の変位量をある程度確保することができる。
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る熱輸送装置を示す側面図である。この熱輸送装置30には、例えば2本の気相管43a及び43b、これら気相管43a及び43bを挟むように外側に2本の液相管44a及び44bが備えられている。例えば、この熱輸送装置の幅は50mm、蒸発器1の底面(例えば発熱体が取り付けられる面)から凝縮器2の上面までの距離は42mmである。この熱輸送装置30に、図4で示した外径a及び肉厚bの管を用いた場合、±0.15mmの変位に対して、蒸発器1に加わる力F(図7参照)は、25g程度あった。このように気相管及び液相管がそれぞれ複数設けられることにより、上記熱輸送装置10に比べ剛性は高くなってしまう。しかし、作動流体が流通可能な流路が増えることから作動流体のドライアウトを防止することができる。
図8は、本発明の第4の実施の形態に係る熱輸送装置を示す斜視図である。この熱輸送装置40の気相管53及び液相管54は、その一部がコイル状(符号53a及び54a)に形成されている。これにより、気相管53及び液相管54がコイルバネのように作用し、さらにフレキシブルになる。
図9は、本発明の第5の実施の形態に係る熱輸送装置を示す斜視図である。この熱輸送装置50の気相管63及び液相管64は、その一部がそれぞれベローズ状(符号63a及び64a)に形成されている。具体的には、気相管63等の作動流体の流通する向きが交互に逆向きになる部分が、Y−Z平面(蒸発器1及び凝縮器2の上面1a及び2aにほぼ垂直な面)上に沿って設けられている。このような構成により、気相管63及び液相管64はベローズの作用を得ることができ、Y方向で、蒸発器1と凝縮器2との相対変位を最も大きくすることができる。
図10、図11及び図12は、それぞれ図9に示す熱輸送装置50の変形例を示す。図10に示す形態では、蒸発器1及び凝縮器2の高さがほぼ同じとされ、蒸発器1及び凝縮器2の上面1a及び2aにほぼ垂直な面内で、管65(紙面に垂直な方向に同じ形状の気相管と液相管とがある。)がベローズ状に形成されている。この場合、蒸発器1と凝縮器2とが配列される方向で蒸発器1及び凝縮器2の相対変位を最も大きくすることができる。
図11に示す形態では、蒸発器1及び凝縮器2の高さがほぼ同じとされ、蒸発器1及び凝縮器2の上面1a及び2aにほぼ平行な面内で、気相管66及び液相管67がベローズ状に形成されている。この場合、蒸発器1と凝縮器2とが配列される方向で蒸発器1及び凝縮器2の相対変位を最も大きくすることができる。また、この形態によれば、蒸発器1、凝縮器2、気相管66及び液相管67のすべての部材がほぼ同じ高さに位置するように構成される。つまり、熱輸送装置を扁平にすることができる。
図12に示す熱輸送装置も、図11と同様に、扁平にすることができる。また、この場合、蒸発器1と凝縮器2とが配列される方向にほぼ直交する方向で蒸発器1及び凝縮器2の相対変位を最も大きくすることができる。
図13は、図8に示した熱輸送装置40の変形例を示す側面図である。この形態では、蒸発器1の下面1bと、凝縮器2の上面2bとの間にコイル状の管35(紙面に垂直な方向に同じ形状の気相管と液相管とがある。)が接続されている。蒸発器1の上面1aには、発熱体16が取り付けられる。これにより、上下方向で蒸発器1及び凝縮器2の相対変位を最も大きくすることができる。
本発明は以上説明した実施の形態には限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
上記実施の形態では、蒸発器1や凝縮器2は矩形としたが、形状は何でもよく、例えば円形、楕円形、多角形と矩形との組み合わせでもよい。
また、図9に示した、管63及び64のベローズ状の部分は、Y−Z平面上で形成されるようにしたが、これに加え、さらに別の平面状、例えばZ−X平面上でもベローズ状の部分が形成されるようにしてもよい。これにより、蒸発器1と凝縮器2とを2方向で変位させることができる。
a…外径
b…肉厚
1…蒸発器
2…凝縮器
3、33、35、43a、43b、53、63、65、66、…気相管
4、34、44a、44b、54、64、67、69…液相管
10、20、30、40、50…熱輸送装置
16…発熱体
b…肉厚
1…蒸発器
2…凝縮器
3、33、35、43a、43b、53、63、65、66、…気相管
4、34、44a、44b、54、64、67、69…液相管
10、20、30、40、50…熱輸送装置
16…発熱体
Claims (9)
- 作動流体の蒸発作用により発熱体からの熱を吸収する蒸発器と、
前記作動流体の凝縮作用により熱を放熱する凝縮器と、
前記蒸発器と前記凝縮器との相対的な位置が可変するように弾性的に前記蒸発器と前記凝縮器とを接続し、該蒸発器と凝縮器との間で前記作動流体を流通させる流通管と
を具備することを特徴とする熱輸送装置。 - 請求項1に記載の熱輸送装置であって、
前記流通管は、
少なくとも3箇所で曲げられるように形成され、前記蒸発器で蒸発した作動流体を前記凝縮器へ流通させる気相管と、
少なくとも3箇所で曲げられるように形成され、前記凝縮器で凝縮した作動流体を前記蒸発器へ流通させる液相管と
を有することを特徴とする熱輸送装置。 - 請求項2に記載の熱輸送装置であって、
前記気相管は、
第1の方向に延設された第1の部分と、
前記第1の方向とはほぼ逆方向の第2の方向に延設された第2の部分と
を有することを特徴とする熱輸送装置。 - 請求項2に記載の熱輸送装置であって、
前記気相管は、
第1の面内で、第1の方向に延設された第1の部分と、
ほぼ前記第1の面内で、前記第1の方向とは異なる第2の方向に延設された第2の部分と、
前記第1の面内とは異なる第2の面内で延設された第3の部分と
を有することを特徴とする熱輸送装置。 - 請求項1に記載の熱輸送装置であって、
前記流通管は、
少なくとも一部がコイル状に形成され、前記蒸発器で蒸発した作動流体を前記凝縮器へ流通させる気相管と、
少なくとも一部がコイル状に形成され、前記凝縮器で凝縮した作動流体を前記蒸発器へ流通させる液相管と
を有することを特徴とする熱輸送装置。 - 請求項1に記載の熱輸送装置であって、
前記流通管は、
金属でかつ外径が1mm〜2mmでなり、前記蒸発器で蒸発した作動流体を前記凝縮器へ流通させる気相管と、
金属でかつ外径が1mm〜2mmでなり、前記凝縮器で凝縮した作動流体を前記蒸発器へ流通させる液相管と
を有することを特徴とする熱輸送装置。 - 請求項1に記載の熱輸送装置であって、
前記流通管は、
金属でかつ肉厚が0.03mm〜0.1mmでなり、前記蒸発器で蒸発した作動流体を前記凝縮器へ流通させる気相管と、
金属でかつ肉厚が0.03mm〜0.1mmでなり、前記凝縮器で凝縮した作動流体を前記蒸発器へ流通させる液相管と
を有することを特徴とする熱輸送装置。 - 発熱体と、
作動流体の蒸発作用により前記発熱体からの熱を吸収する蒸発器と、
前記作動流体の凝縮作用により熱を放熱する凝縮器と、
前記蒸発器と前記凝縮器との相対的な位置が可変するように弾性的に前記蒸発器と前記凝縮器とを接続し、該蒸発器と凝縮器との間で前記作動流体を流通させる流通管と
を具備することを特徴とする電子機器。 - 請求項8に記載の熱輸送装置であって、
前記発熱体はCCDであることを特徴とする電子機器。
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JP2004313949A JP2006125718A (ja) | 2004-10-28 | 2004-10-28 | 熱輸送装置及び電子機器 |
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