JP2006124735A - 遮熱コーティング材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】 相転移といった問題を抱えず、融点が使用温度域よりも高く、熱伝導率がジルコニアのそれよりも小さく、かつ熱膨張率がジルコニアのそれよりも大きい、新規の遮熱コーティング材料を提供する。
【解決手段】 遮熱コーティング材料が、組成式Sr4Nb2−xTaxO9(0<x≦2.0)で表される組成物を主体として含む。遮熱コーティング材料は、前記組成物とジルコニア系材料とを複合化させた組成物を主体として含んでいてもよい。
【選択図】 なし
【解決手段】 遮熱コーティング材料が、組成式Sr4Nb2−xTaxO9(0<x≦2.0)で表される組成物を主体として含む。遮熱コーティング材料は、前記組成物とジルコニア系材料とを複合化させた組成物を主体として含んでいてもよい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、発電用ガスタービンの動翼、静翼、燃焼器、およびジェットエンジンなどの高温環境下で使用される機器部品に適用可能な遮熱コーティング材料に関する。
ガスタービンやジェットエンジンなどの高効率化のために、その燃焼ガスは高温化の一途をたどっている。そのために金属製部品を高温(例えば1500℃級ガスタービンで翼表面温度は約1400℃)から保護するため、部品の表面には遮熱コーティング(Thermal Barrier Coating:TBC)が施されている。この遮熱コーティングの材料としては、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等の希土類安定化ジルコニアをはじめとする低熱伝導性のセラミックスが用いられている(例えば、特許文献1参照)。上記遮熱コーティングは、金属製部品である基材上に減圧プラズマ溶射等で金属接合層を施した上に大気圧プラズマ溶射により施工される。
大気圧プラズマ溶射によって金属製部品上に施された遮熱コーティングは、緻密な組織ではなく内部に多数の気孔を有している。図1に遮熱コーティングの組織の模式図を示す。図1に示すように、遮熱コーティング1の組織中には、径が数十μmにおよぶ大気孔2、径が数μm程度の小気孔3、幅の狭い線状の気孔4,5など、さまざまな形状の気孔が存在している。遮熱コーティング1自体が低熱伝導性のセラミックスであるのと同時に、内部に存在するこのような多数の気孔2〜5によって材料の断熱性能が保たれており、基材である金属製部品の高温環境下での使用が可能となっている。
遮熱コーティングも含め、高温構造材料として用いる際のジルコニアとは単一組成(ZrO2)ではなく、安定化剤としてイットリア等の希土類酸化物等を数モル%添加した状態(部分安定化ジルコニア)で用いられる。なぜならば安定化剤を添加していない純ジルコニア(ZrO2)では、
〜1000℃ 2370℃
単斜晶 ←→ 正方晶 ←→ 立方晶
といった2つの相転移があって、そのまま単独では昇降温時に単斜晶、正方晶間の相転移に伴う急激な体積変化が生じ破壊してしまうため、高温構造材料として使用できないのである。そこで希土類酸化物等を数モル%添加し、使用温度域相である正方晶相を低温でも安定化させ、単斜晶相を生成させないようにする必要がある。安定化剤量を制御し、正方晶相を安定化させた部分安定化ジルコニアであっても、高温長時間使用ならびに昇降温を繰り返す熱サイクル時に次第に単斜晶相が析出するという報告もあり、ジルコニアを遮熱コーティングとして使用する際の重要な問題点となっている。
〜1000℃ 2370℃
単斜晶 ←→ 正方晶 ←→ 立方晶
といった2つの相転移があって、そのまま単独では昇降温時に単斜晶、正方晶間の相転移に伴う急激な体積変化が生じ破壊してしまうため、高温構造材料として使用できないのである。そこで希土類酸化物等を数モル%添加し、使用温度域相である正方晶相を低温でも安定化させ、単斜晶相を生成させないようにする必要がある。安定化剤量を制御し、正方晶相を安定化させた部分安定化ジルコニアであっても、高温長時間使用ならびに昇降温を繰り返す熱サイクル時に次第に単斜晶相が析出するという報告もあり、ジルコニアを遮熱コーティングとして使用する際の重要な問題点となっている。
ジルコニアに代わる遮熱コーティング材料として、La2Zr2O7をはじめとする立方晶パイロクロア型構造の材料を適用するという報告(特許文献2〜4参照)もある。係る文献では、La2Zr2O7は、熱伝導率がジルコニアのそれよりも小さいこと、また酸素透過性がジルコニアのそれに比べて小さいことにより、遮熱コーティング材料として好適であるとされている。しかしながらLa2Zr2O7の熱膨張率はジルコニアのそれよりも小さいため、実際には基材となる金属製部品との間に引っ張り応力が残留するであろうという問題を抱えている。
特開2003−026475号公報
特開平10−212108号公報
ヨーロッパ特許第0848077号
米国特許第6117560号
このように、ジルコニア系遮熱コーティング材料には相の安定性確保が不可欠である。また遮熱コーティングとして用いる材料には、融点が高く、熱伝導率が極力小さく、また基材となる金属製部品との間に引っ張り応力を生じさせないように熱膨張率はできる限り金属製部品のそれに近いことが求められる。
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであって、相転移といった問題を抱えず、融点が使用温度域よりも高く、熱伝導率がジルコニアのそれよりも小さく、かつ熱膨張率がジルコニアのそれよりも大きい、新規の遮熱コーティング材料を提供することを目的としている。
上述したように、使用温度よりも高い融点を持ち、熱伝導率が小さく、熱膨張率の大きい材料を、ジルコニアに代わる新規の遮熱コーティング材料として提供すべく、本発明者らは第一原理計算を用いて材料の探索を行った。前記「第一原理計算」は、量子力学の基礎方程式を解く条件を変えることにより、ナノメートルスケールでの種々の物性値を得る方法である。
そして、本発明者らは、ペロブスカイトから派生した斜方晶あるいは単斜晶構造(例えばA2B2O7で表される板状ペロブスカイト構造)、あるいは長軸/短軸比が3以上である正方晶、単斜晶、三斜晶の層状構造のものにおいて前記要求を満たし得ることを見出した(特願2004−061427号)。それらの材料はホタル石型構造を持つジルコニア系材料や立方晶パイロクロア系材料に比べ結晶構造が複雑であることから低熱伝導性を示すことが期待でき、また一軸方向に長いことから高熱膨張性を示すことが期待でき、新規の遮熱コーティング材料として適していると考えられる。
その後さらに研究を重ねた結果、前記の研究で見出したSrとNbを含む酸化物(Sr4Nb2O9)において、Nbの少なくとも一部をTaで置換した系、すなわちSr−Nb−Ta系酸化物やSr−Ta系酸化物もSr4Nb2O9と同様に、高熱膨張性、低熱伝導性を発揮し、さらに使用温度域での相安定性も良好であることが明らかとなった。また同様にNbの一部をMoあるいはWで置換した系、すなわちSr−Nb−Mo系酸化物やSr−Nb−W系酸化物、SrとNbの一部をYで置換した系、すなわちSr−Nb−Y系酸化物、Srの一部をCaで置換した系、すなわちSr−Ca−Nb系酸化物もSr4Nb2O9と同様に、高熱膨張性、低熱伝導性を発揮し、さらに使用温度域での相安定性も良好であることが明らかとなった。
すなわち、本発明は、組成式Sr4Nb2−xTaxO9(0<x≦2.0)、あるいは組成式Sr4Nb2−yMyO9+0.5y(M=Mo,W 0<y≦2.0)、あるいは組成式Sr4-1.5zNb2−1.5zY3zO9-1.5z(0<z≦0.33)、あるいは組成式Sr4-aCaaNb2O9(0<a≦0.4)で表される組成物を主体として含む遮熱コーティング材料を提供する。
本発明の遮熱コーティング材料は、単独でも十分に高熱膨張性、低熱伝導性を発揮する。また、本発明の遮熱コーティング材料は、それを現用のジルコニア系材料と複合化して用いても、後述の実施例中で説明する複合化の式に従えば、その高熱膨張性、低熱伝導性を損なわないであろうことが推定されるため、遮熱コーティング材料として十分適していると考えられる。
本発明によれば、遮熱コーティング材料が組成式Sr4Nb2−xTaxO9で表される組成物を主体として含んでいることで、現用のジルコニアにくらべ、高熱膨張率かつ低熱伝導率を示す、遮熱コーティング膜に用いて好適な材料を提供することができる。
さらに本発明によれば、遮熱コーティング材料が上述した組成式Sr4Nb2−xTaxO9で表される組成物と公知のジルコニア系材料とを複合化した材料を含む構成とすることで、上記熱膨張率及び熱伝導率がさらに適切な範囲に制御された遮熱コーティング材料を提供することができる。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
[実施例1]
SrとNbを含む酸化物Sr4Nb2O9は、融点が1700℃、熱膨張係数が14[×10−6/℃]、熱伝導率が1.0[W/mK]であり、遮熱コーティングとして好適な物性値を示す。材料の熱伝導性はその結晶構造に大きく依存し、複雑な構造をとることにより、より低熱伝導化することが一般に知られている。そこでSr4Nb2O9に他の元素を置換固溶させることによる結晶の複雑化を検討した。Sr4Nb2O9を構成するNbは5価の元素であり、周期表中の同じ5A族に属するTaを置換元素に選択した。これはTa5+のイオン半径が0.68ÅでありNb5+のそれ(0.69Å)とほぼ同じであるため、容易に固溶し得ると考えられたためである。ほかに別な選択元素として6A族に属するMoならびにWを選択した。Mo6+、W6+のイオン半径はともに0.64ÅでありNb5+のそれよりも小さいため、やはり容易に固溶し得ると考えられる。またSr4Nb2O9を構成するSrは2価のアルカリ土類元素であり、同じアルカリ土類元素に属するCaをSrに対する置換元素に選択した。Ca2+のイオン半径は1.00ÅでありSr2+のそれ(1.16Å)よりも小さいため、やはり容易に固溶し得ると考えられる。さらにイオン半径がSr2+のそれとNb5+のそれとの間であり、かつ価数も2価と5価の間であるY3+(イオン半径0.92Å)も固溶体形成元素の候補として選択した。
SrとNbを含む酸化物Sr4Nb2O9は、融点が1700℃、熱膨張係数が14[×10−6/℃]、熱伝導率が1.0[W/mK]であり、遮熱コーティングとして好適な物性値を示す。材料の熱伝導性はその結晶構造に大きく依存し、複雑な構造をとることにより、より低熱伝導化することが一般に知られている。そこでSr4Nb2O9に他の元素を置換固溶させることによる結晶の複雑化を検討した。Sr4Nb2O9を構成するNbは5価の元素であり、周期表中の同じ5A族に属するTaを置換元素に選択した。これはTa5+のイオン半径が0.68ÅでありNb5+のそれ(0.69Å)とほぼ同じであるため、容易に固溶し得ると考えられたためである。ほかに別な選択元素として6A族に属するMoならびにWを選択した。Mo6+、W6+のイオン半径はともに0.64ÅでありNb5+のそれよりも小さいため、やはり容易に固溶し得ると考えられる。またSr4Nb2O9を構成するSrは2価のアルカリ土類元素であり、同じアルカリ土類元素に属するCaをSrに対する置換元素に選択した。Ca2+のイオン半径は1.00ÅでありSr2+のそれ(1.16Å)よりも小さいため、やはり容易に固溶し得ると考えられる。さらにイオン半径がSr2+のそれとNb5+のそれとの間であり、かつ価数も2価と5価の間であるY3+(イオン半径0.92Å)も固溶体形成元素の候補として選択した。
Sr4Nb2O9のNbの一部をTaに置換した材料、Sr4Nb1.8Ta0.2O9、Sr4NbTaO9、およびSr4Ta2O9を作製した。またNbの一部をMo、Wに置換した材料、Sr4Nb1.8Mo0.2O9。1、Sr4Nb1.8W0.2O9。1、SrとNbの一部をYで置換した材料、Sr3.5Nb1.5YO8.5、およびSrの一部をCaで置換した材料、Sr3.6Ca0.4Nb2O9を作製した。SrCO3、Nb2O5、Ta2O5、MoO3、WO3、Y2O3、CaCO3等を出発原料に選び、所定比となるように秤量し、ボールミルを用いて固相混合した。混合粉を乾燥した後、1400℃で仮焼した。その仮焼粉を粉末X線回折により同定したところ、未反応原料成分は残っておらず、すべての試料で単相になっていることを確認した。
それらの試料を1600℃で焼成し、その焼結体から4×4×15mmの棒状試料を切出して、熱膨張係数を測定した。1000℃における熱膨張係数の値を表1に示す。なお比較材として3YSZ(3mol%Y2O3−ZrO2:イットリア部分安定化ジルコニア)の熱膨張係数の値も表中に記載した。
それらの試料を1600℃で焼成し、その焼結体から4×4×15mmの棒状試料を切出して、熱膨張係数を測定した。1000℃における熱膨張係数の値を表1に示す。なお比較材として3YSZ(3mol%Y2O3−ZrO2:イットリア部分安定化ジルコニア)の熱膨張係数の値も表中に記載した。
表1に示すように、作製した試料のすべてにおいて熱膨張係数が3YSZのそれよりも大きな値を示している。これらの材料を遮熱コーティングとして使用した場合、下地の金属製部品との間に引っ張り応力を生じる可能性が現用のジルコニアよりも小さいということを示唆している。
[実施例2]
Sr4Nb1.8Ta0.2O9、Sr4NbTaO9、Sr4Ta2O9、Sr4Nb1.8Mo0.2O9。1、Sr4Nb1.8W0.2O9。1、Sr3.5Nb1.5YO8.5、およびSr3.6Ca0.4Nb2O9について、1600℃で焼成し、その焼結体から直径10mmφ、厚さ1mmの円盤状試料を切出し、レーザーフラッシュ法により、熱伝導率を測定した。室温における熱伝導率の値を表2に示す。なお比較材として3YSZの熱伝導率の値(1000℃、文献値)も表中に記載した。
Sr4Nb1.8Ta0.2O9、Sr4NbTaO9、Sr4Ta2O9、Sr4Nb1.8Mo0.2O9。1、Sr4Nb1.8W0.2O9。1、Sr3.5Nb1.5YO8.5、およびSr3.6Ca0.4Nb2O9について、1600℃で焼成し、その焼結体から直径10mmφ、厚さ1mmの円盤状試料を切出し、レーザーフラッシュ法により、熱伝導率を測定した。室温における熱伝導率の値を表2に示す。なお比較材として3YSZの熱伝導率の値(1000℃、文献値)も表中に記載した。
材料の熱伝導率λと比熱C、熱伝達媒体(フォノン)の平均自由行程L、その運動速度vとの間には、下記に示す(1)式の関係がある。フォノンの平均自由行程Lは絶対温度Tと逆比例する(L∝(1/T))ため、セラミックスの場合、(1)式は、下記(2)式(ただしAは比例定数)のように表され、温度上昇とともに熱伝導率は減少する傾向を示す。
λ∝C・L・v ・・・(1)
λ=A・(C・L・v)/T ・・・(2)
表2に掲げたSr4Nb1.8Ta0.2O9、Sr4NbTaO9、Sr4Ta2O9、Sr4Nb1.8Mo0.2O9。1、Sr4Nb1.8W0.2O9。1、Sr3.5Nb1.5YO8.5、およびSr3.6Ca0.4Nb2O9の熱伝導率は室温(〜300K)で測定した値である。(2)式によれば、これらの材料の1000℃(1273K)における熱伝導率は室温時の値の約1/4になることが推定できる。その1000℃における推定熱伝導率値を表3に示す。
表3に示すように、これらの材料の1000℃における熱伝導率はいずれもジルコニアのそれよりも小さいと推定でき、遮熱コーティング材料として適していると考えられる。
[実施例3]
本発明による低熱伝導材料をジルコニアと複合化させることを検討した。
熱膨張係数に差のある2種類のセラミックスを複合化する際に、その複合材の熱膨張率(αc)はTurnerの式と呼ばれる以下の(3)式で表される。(3)式中、αは熱膨張率、Kは体積弾性率、Vは体積分率、添え字mはマトリクス、添え字pは添加する相である。
本発明による低熱伝導材料をジルコニアと複合化させることを検討した。
熱膨張係数に差のある2種類のセラミックスを複合化する際に、その複合材の熱膨張率(αc)はTurnerの式と呼ばれる以下の(3)式で表される。(3)式中、αは熱膨張率、Kは体積弾性率、Vは体積分率、添え字mはマトリクス、添え字pは添加する相である。
αc=(αpVpKp+αmVmKm)/(VpKp+VmKm) ・・・(3)
また複合材の熱伝導率(λc)はMaxwell-Euckenの式と呼ばれる以下の(4)式で表される。(4)式中、λは熱伝導率、Vは体積分率、添え字mはマトリクス、添え字pは添加する相である。
λc=λm(1+2VpΦ)/(1−VpΦ) ・・・(4)
ただし、Φは以下の(5)式で表される
Φ=(1−λm/λp)/(2λm/λp+1) ・・・(5)
これら(3)、(4)および(5)式を用いることにより、異なる熱膨張係数および熱伝導率をもつ2つの材料を複合化させたときに、その複合熱膨張係数ならびに複合熱伝導率を計算することができる。
いま例えば3YSZとSr4Ta2O9とを1:1で複合化する場合の熱伝導率について考える。仮に3YSZをマトリクス、Sr4Ta2O9を添加する相とすると、表2よりλm=2.2、λp=1.04、またVp=0.5であり、それらを(4)および(5)式に代入すればその複合熱伝導率(λc)は
λc=1.56
となる。λc=1.56は室温熱伝導率であるから、1000℃における熱伝導率は約1/4になると推定するとλ=0.39となる。これは遮熱コーティングとして非常に好適な値である。
いま例えば3YSZとSr4Ta2O9とを1:1で複合化する場合の熱伝導率について考える。仮に3YSZをマトリクス、Sr4Ta2O9を添加する相とすると、表2よりλm=2.2、λp=1.04、またVp=0.5であり、それらを(4)および(5)式に代入すればその複合熱伝導率(λc)は
λc=1.56
となる。λc=1.56は室温熱伝導率であるから、1000℃における熱伝導率は約1/4になると推定するとλ=0.39となる。これは遮熱コーティングとして非常に好適な値である。
このように低熱伝導性を示す本発明の材料をジルコニアと複合化させることにより、ジルコニアの熱伝導率をさらに低下させることが可能となる。本発明の他の材料についても同様の検討を行うことにより、熱伝導率を制御できることは容易に推定できる。
本発明による遮熱コーティング材料によれば、高熱膨張性かつ低熱伝導性の遮熱コーティング膜を提供することができ、その膜をガスタービン等の翼の表面に施工する遮熱コーティング膜に用いるならば、優れた耐熱性と耐久性を得ることができ、燃焼ガスの高温化にも容易に対応可能な高性能のガスタービンを得ることができる。
1 ジルコニア母材 2 数十μm径の大気孔 3 数μm径の小気孔
4 線状気孔 5 線状気孔
4 線状気孔 5 線状気孔
Claims (5)
- 組成式Sr4Nb2−xTaxO9(0<x≦2.0)で表される組成物を主体として含む遮熱コーティング材料。
- 組成式Sr4Nb2−yMyO9+0.5y(M=Mo,W 0<y≦2.0)で表される組成物を主体として含む遮熱コーティング材料。
- 組成式Sr4-1.5zNb2−1.5zY3zO9-1.5z(0<z≦0.33)で表される組成物を主体として含む遮熱コーティング材料。
- 組成式Sr4-aCaaNb2O9(0<a≦0.4)で表される組成物を主体として含む遮熱コーティング材料。
- 請求項1から4に記載の組成物とジルコニア系材料とを複合化させた組成物を主体として含む遮熱コーティング材料
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