JP2006119839A - 線形連立一次方程式の数値解析方法を用いた理工学シミュレータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 複数の解析対象を離散化して連立一次方程式を構成し解く数値解析法において、個々の解析対象に対する連立一次方程式の計算を係数行列の階数の2乗のオーダーで実行する高速計算アルゴリズムであって、個々の解析対象を離散化して得られる複数のセグメント集合に対する係数行列を該複数のセグメント集合の和集合に対する係数行列から出発して、順次該階数を一つあるいは小さな複数ごとに増減させて、求めるべき係数行列およびセグメント集合の求めるべき要素を探索する。
【選択図】 図2
Description
S2=(s21,s22,…s2m2),
…,
Sn=(sn1,sn2,…snmn) (1)
但し、集合Si(i=1,2,…,n)の要素の総数をmiとする。
このときSの要素を式(3)で表す。
極めて特殊な例を除けば式(4)になることはない。
なぜなら、理工学シミュレータが検証すべき一つの現象について複数の物理的実態を検証する場合、それら物理的実態には何らかの関係がある場合がほとんど全て有るからである。例えば、理工学シミュレータを何らかの最適設計に用いる場合、或いは何らかの危険因子発見に使う場合、対象となる複数の物理実態は何らかの共通性(例えば構造の類似性、包含性)があるからである。Skに関係する連立一次方程式を式(5)とする。
Mkは既知係数によって構成される正方行列、xkは未知数ベクトル、pkは既知ベクトルである。このような連立一次方程式系により定式化される探索問題あるいは最適化問題では、未知ベクトルであるxkの特定の要素を求めるべき値に近づけることが要求される。全体集合S(和集合)を特徴付ける全体の正方行列をMとすれば、式(5)と同様に未知ベクトルx、既知ベクトルpは式(6)によって定義される。
この場合、探索問題あるいは最適化問題におけるパラメーターは集合SのなかのSiであり、該Siに対応するMiの更に対応するxiの要素のなかで特定のxの要素xeと結びついている要素xieの値を、Siに対応するMiを順次選択し式(5)を解いて予め定める目標値qに収斂させることが該探索問題あるいは最適化問題の数値解法となる。従って、何らかの探索指針に則りS1,S2,…,Snに付いての式(5)の連立一次方程式を解くことになる。従来技術の探索指針では、たとえばRandom法、Polytope法、Polyhegon法、Genetic Algorithm法では、SiつまりMi自体をパラメータとし、xeの値を評価値とするため、該探索の各段階で式(7)の計算が要求される。
連立一次方程式の構成要素である正方行列の意味の有る(同方程式が自明な解を持つ)全ての形について数値解析するためには現状の技術では基本アルゴリズムとして反復法あるいは消去法が用いられている。反復法は係数行列Miの形が探索問題あるいは最適化問題の各探索段階で不変の場合極めて効率よい計算手法であるが、本発明に関する課題のように係数行列Miの形が該探索の各段階で変化する場合は係数行列が実対称正定値行列という特殊な場合を除き一般的に効率よい計算が見出されていないため採用できない。消去法のアルゴリズムによる連立一次方程式の数値解法の計算時間は解析対象を離散化して得られるセグメント数の3乗に比例するから、従来技術による連立一次方程式の数値解析時間のオーダーは基本時間をτとして、式(8)となり、該各探索段階において係数行列の階数の三乗のオーダーの計算時間を消費する手順が複数回繰り返され、係数行列が大きくなるにつれその計算効率は著しく劣化する。
従来技術の計算時間増大の問題を解決するために、xeあるいはxieの挙動そのものに着目するのではなく、Miの挙動に着目する。
Mからの階数をm0とし、Mからk行k列を取り除いた行列(m0種類:kは1からm0)Mkについて式(10)よりxeに対応する要素xkeを求める。
xkeと目標値Qとの間のノルムを計算し、該ノルムが十分小さいと判断される場合は、Mk自身がもとめる物理構造となる。そうでない場合は、最も該ノルムが小さいxkeを有するMkをM1とし、式(11)よりxeに対応する要素x1keを求める。
x1keと目標値Qとの間のノルムを計算し、該ノルムが十分小さいと判断される場合は、M1k自身が求める物理構造となる。そうでない場合は、最も該ノルムが小さいx1keを有するM1kをM2とし順次式(12)よりxeに対応する要素xikeを求める手順を繰り返す。
この探索手法においては、各段階での式(12)の線形連立一次方程式が、Hの各段階の更新形Hiによって階数miの2乗の計算時間で処理可能である。また、各Hiは式(13)により求まる行列Hiaのk行k列を取り除いて得られる。式(13)の各計算は、やはり階数miの2乗の計算時間で処理可能であるため、全体の計算時間は行列の階数の2乗のオーダーであり従来技術の計算法に比べて格段に計算時間が短縮される。但し、式(13)中のベクトルは列ベクトルで{}^tは転置を表す。
δ=1/{1+{hk}^t・{ek−hk}} (13)
上記の式(10)から式(12)の各手順において、Miよりk行k列を削除することは、同k列に当たるciの要素無視することに当たり、その物理的意味は既知ベクトルpの対応する要素に関する外部設定条件が不適当であることと考えられる。この「不適当」の判断が妥当か否かを検証するために、元の係数行列MのMiに含まれる列とMiに含まれない行とから構成される検証行列Liとxiを乗じて検証ベクトルuiを生成し、uiの要素と対応する該既知ベクトルpの要素を比較すればよい。検証結果はuiの要素と対応するpの要素によって形成されるノルムが予め定められる許容値より小さいか否かで判断可能である。該許容値よりも該ノルムが小さい場合は、uiの要素と対応する該既知ベクトルpの要素が同一であることを意味し、対応する外部条件を「不適当」として削除できないことを意味するので、該uiの要素と対応するpの要素およびMの対応する行と列をciおよびMiに再び付加し、新たなciおよびMiとする。新たなMiに対するHiは、Mにおける新たに加えるべき列ベクトルのうち元のMiに含まれる要素からのみなる部分ベクトルrとMiに含まれない唯一つの要素ρを用いて、式(14)により求めることが出来る。
−ΔHi・r;−Δ{r}^t・Hi,Δ]
Δ=1/{ρ−{r}^t・Hi・r} (14)
但し、[A1,a1;a2,α]は正方行列A1、列ベクトルa1、行ベクトルa2および定数αから構成されるA1の階数より一つ多い階数をもつ正方行列を意味する。
2 記憶領域z(第三の記憶手段)
3 記憶領域V(第二の記憶手段)
4 記憶領域v(第四の記憶手段)
5 記憶領域Y(第五の記憶手段)
6 記憶領域y(第六の記憶手段)
7 記憶領域C(第二の一時記憶領域)
8 記憶領域I(第一の一時記憶領域)
9 記憶領域E(第三の一時記憶領域)
10 記憶領域t
11 記憶領域ept
12 記憶領域opt
13 記憶領域tol
14 演算装置
15 記憶領域tl1
16 記憶領域tl2
17 記憶領域D(検査行列D)
18 記憶領域e
20 データーバス
21 記憶領域s
22 記憶領域f
23 記憶領域S
Claims (10)
- 階数Nの連立一次方程式の係数行列Zを格納する第一の記憶手段と階数Nの定数ベクトルVを格納する第二の記憶手段を有し、階数n(n<N)の更新係数行列zを格納する第三の記憶手段と階数nの更新定数ベクトルvを格納する第四の記憶手段と、階数nの未知ベクトルIを格納する第一の一時記憶領域と階数nの候補行列Cを格納する第二の一時記憶領域と階数nの縮退ベクトルEを格納する第三の一時記憶領域を有し、係数行列Zの特定の列eptに対応する未知ベクトルIの係数I(ept)を特定の値optに収斂させる最適化問題に対し、係数行列Zの単一あるいは同一の複数個の行と列を削除することによって得られるすべての行列の組み合わせ集合において、同集合の各要素を該候補行列Cとし、定数ベクトルVから係数行列Zの削除した列に対応する要素を取り除いたベクトルを縮退ベクトルEとし、該C,Eで構成される連立一時方程式の未知ベクトルIの答えの内I(ept)が最もoptに接近していると判断される該集合の要素の行列を更新係数行列zとし該更新係数行列に対応するVの要素によって構成されるベクトルを更新定数ベクトルvとし、順次zおよびvに対して同様の操作を繰り返し、予め設定された許容偏差tolでoptに収斂したと判断するI(ept)を探索するアルゴリズムを実行する演算装置を有することを特徴とする線形連立一次方程式の数値解析方法を用いた理工学シミュレータ。
- 請求項1記載の線形連立一次方程式の数値解析方法を用いた理工学シミュレータであって、数値解析の各段階mにおいて得られる未知ベクトルIを、元の係数行列Zの要素のうち該各段階mの終了時に得られている更新係数行列zに含まれる列と含まれない行に対応するものを含む検査行列Dに乗じ、得られたベクトルUの要素のうち同要素の値が対応する定数ベクトルVの要素の値と近接していると判断される場合、Vの該当する要素の場所に対応するZの行と列を段階mの更新係数行列zに加え新たな段階mの更新係数行列zとし、Vの該当する要素の場所に対応するVの要素を段階mの更新定数ベクトルvに加え新たな段階mの更新定数ベクトルvとし、段階m+1の手順に入ることを特徴とする線形連立一次方程式の数値解析方法を用いた理工学シミュレータ。
- 請求項1又は2記載の線形連立一次方程式の数値解析方法を用いた理工学シミュレータであって、係数行列Zの逆行列Yを格納する第五の記憶手段と更新逆行列yを格納する第六の記憶手段を有し、各段階でzに対応するyを段階m−1のyと段階mにおいて削除すべき段階m−1のzの行ベクトルを用いて階数1回分づつ順次計算を繰り返し段階mのyを求め、yと対応するVの要素の部分集合からなる定数ベクトルの積によって各段階の候補行列Cと縮退定数ベクトルEを用いた未知ベクトルIの計算を実行することを特徴とする線形連立一次方程式の数値解析方法を用いた理工学シミュレータ。
- 請求項2記載の線形連立一次方程式の数値解析方法を用いた理工学シミュレータであって、係数行列Zの逆行列Yを格納する第五の記憶手段と更新逆行列yを格納する第六の記憶手段を有し、各段階でzに対応するyを段階m−1のyと段階mにおいて付加すべき段階m−1のzの行ベクトルおよび列ベクトルを用いて階数1回分づつ順次計算を繰り返し段階mのyを求め、検査行列Dによる判定に従い更新係数行列z,更新逆行列yの階数上昇を伴う変更計算を実行することを特徴とする線形連立一次方程式の数値解析方法を用いた理工学シミュレータ。
- 請求項1乃至4いずれか記載の線形連立一次方程式の数値解析方法を用いた理工学シミュレータであって、I(ept)が最も目標値optに接近していると判断する基準をI(ept)とoptによって作られるノルムが最小であることによって定義することを特徴とする線形連立一次方程式の数値解析方法を用いた理工学シミュレータ。
- 請求項2、4、5いずれか記載の線形連立一次方程式の数値解析方法を用いた理工学シミュレータであって、該得られたベクトルUの要素のうち同要素の値が対応する定数ベクトルVの要素の値と近接していると判断する基準を、該対応するUとVの要素によって作られるノルムが最小であることによって定義することを特徴とする線形連立一次方程式の数値解析方法を用いた理工学シミュレータ。
- 請求項1乃至6いずれか記載の線形連立一次方程式の数値解析方法を用いた理工学シミュレータであって、解析対象の構造力学的性質を解析することを目的とした線形連立一次方程式の数値解析方法を用いた理工学シミュレータ。
- 請求項1乃至6いずれか記載の線形連立一次方程式の数値解析方法を用いた理工学シミュレータであって、解析対象の電気および電子回路的性質を解析することを目的とした線形連立一次方程式の数値解析方法を用いた理工学シミュレータ。
- 請求項1乃至6いずれか記載の線形連立一次方程式の数値解析方法を用いた理工学シミュレータであって、解析対象の電磁気的性質を解析することを目的とした線形連立一次方程式の数値解析方法を用いた理工学シミュレータ。
- 請求項1乃至6いずれか記載の線形連立一次方程式の数値解析方法を用いた理工学シミュレータであって、解析対象の流体力学的性質を解析することを目的とした線形連立一次方程式の数値解析方法を用いた理工学シミュレータ。
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