JP2006117825A - 燃料用ガス付臭剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、大気汚染の原因や、燃料電池用触媒に対して触媒毒にならず、かつ少ない添加量で十分な感知効果が得られる燃料用ガス付臭剤、および該付臭剤を含有してなる燃料用ガス組成物を提供することにある。
【解決手段】 環状カルボン酸化合物を含有してなる燃料用ガス付臭剤を提供する。
なお、環状カルボン酸化合物としては、下記式(1)で表されるものが好ましい。
【化1】
Figure 2006117825

(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を表す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は燃料用ガスに臭いを付けるために用いる燃料用ガス付臭剤、及び該付臭剤を含有してなる燃料用ガス組成物に関する。
液化天然ガス(LNG)、液化プロパンガス(LPG)、工業用ガス(アセチレン等)、燃料電池用ガス、水素ガス及びジメチルエーテル等の燃料用ガスは、いずれも可燃性、爆発性を有するものの、臭気がきわめて少ないので、そのままでは漏洩しても気づかない場合があり、漏洩による引火、爆発、ガスによる中毒等の災害を未然に防止する十分な対策が必要となる。
そこで、従来、この対策の最も簡便な方法として、燃料用ガスに、人間の嗅覚で容易に感知し得るように特有な臭気を有する化合物を付臭剤として添加することが行なわれており、メルカプタン類やサルファイド類が使用されてきた。
しかし、メルカプタン類、サルファイド類は硫黄化合物のため、燃料用ガスを燃焼する際、これら硫黄化合物が亜硫酸ガス等となって大気中に飛散し、大気汚染の原因になる。 また、燃料電池用ガスとして用いる場合には、硫黄化合物が触媒毒として作用する欠点を有する。
特許文献1及び2においては、上記硫黄化合物に代わる付臭剤として、2−ブテン、イソ吉草酸メチル及びn−ブチルエーテルなどの鎖状化合物を用いることが試みられている。しかしながら、これら鎖状化合物からなる付臭剤は、大気汚染の原因や、燃料電池用触媒に対して触媒毒にならないという効果は有するものの、臭いが弱く、多量に添加しないと必要な臭気が得られない問題があった。
特開2003−221585公報 特開2002−356688公報
本発明の目的は、大気汚染の原因や、燃料電池用触媒に対して触媒毒にならず、かつ少ない添加量で十分な感知効果が得られる燃料用ガス付臭剤、および該付臭剤を含有してなる燃料用ガス組成物を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、環状構造を有するカルボン酸化合物を用いた場合、極めて微量の添加量で十分な感知効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)環状カルボン酸化合物を含有してなる燃料用ガス付臭剤、
(2)上記記載の環状カルボン酸化合物が、下記式(1)で表される化合物である燃料用ガス付臭剤、
Figure 2006117825
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を表す。)
(3)環状カルボン酸化合物が、シクロペンタンカルボン酸である上記記載の燃料用ガス付臭剤、
(4)上記記載の燃料用ガス付臭剤を含有してなる燃料用ガス組成物、
を提供するものである。
本発明の燃料用ガス付臭剤は、大気汚染の原因や、燃料電池用触媒に対して触媒毒にならず、かつ少ない添加量で十分な感知効果が得られる。また、本発明の燃料用ガス付臭剤は、液化天然ガス(LNG)、プロパンガス(LPG)、工業用ガス(アセチレン等)、燃料電池用ガス、水素ガス及びジメチルエーテル等の燃料用ガスに添加することにより、漏洩による引火、爆発、ガスによる中毒等の災害を未然に防止することが可能となる。
本発明の燃料用ガス付臭剤は、環状カルボン酸化合物を含有してなる。
本発明に用いる環状カルボン酸化合物は、置換基を有していても良いシクロアルキル基にカルボキシル基が結合したもの、及び、該カルボキシル基のエステル化物である。
置換基を有していても良いシクロアルキル基としては、適度な沸点を有し、付臭性能に優れることから、環を構成する炭素数が4〜6のものが好ましく、環を構成する炭素数が5及び6であるものがより好ましく、環を構成する炭素数が5であるものが特に好ましい。
また、置換基を有していても良いシクロアルキル基としては、製造の容易さの観点から置換基を有していないシクロアルキル基が好ましい。
なお、置換基を有していても良いシクロアルキル基の置換基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基及びn−ペンチル基等の炭素数1〜7の直鎖又は分岐のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、及びブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコシキ基;及びヒドロキシル基;等が挙げられるが、これらの中でも適度な沸点を有することから、炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
本発明に用いる環状カルボン酸化合物において、カルボキシル基は単数もしくは複数結合していても良いが、製造の容易さ、化学的安定性、及び適度な沸点を有することから、カルボキシル基が単数結合したものが好ましい。
本発明に用いる環状カルボン酸化合物は、上記カルボキシル基がエステル化されたものであっても良いが、化学的安定性及び付臭性能の観点から、上記カルボキシル基がエステル化されていないことが好ましい。
なお、上記カルボキシル基のエステル化物としては、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル及びn−ペンチルエステル等の炭素数1〜7のアルキルエステルが挙げられるが、これらの中でも適度な沸点を有することから、炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキルエステルが好ましく、メチルエステル及びエチルエステルがより好ましく、メチルエステルが特に好ましい。
本発明に用いる環状カルボン酸化合物の具体例としては、シクロブタンカルボン酸、2−メチルシクロブタンカルボン酸、2−ヒドロキシシクロブタン−1−カルボン酸及び2−エチルシクロブタンカルボン酸等の環を構成する炭素数が4の環状カルボン酸;シクロブタンカルボン酸メチル及びシクロブタンカルボン酸エチル等の環を構成する炭素数が4の環状カルボン酸エステル化物;シクロペンタンカルボン酸、3−メチルシクロペンタンカルボン酸、3−ヒドロキシシクロペンタン−1−カルボン酸、3−メトキシシシクロペンタン−1−カルボン酸、2−エチルシクロペンタンカルボン酸及び1、3−シクロペンタンジカルボン酸等の環を構成する炭素数が5の環状カルボン酸;シクロペンタンカルボン酸メチル、シクロペンタンカルボン酸エチル、シクロペンタンカルボン酸n−プロピル、シクロペンタンカルボン酸n−ブチル、シクロペンタンカルボン酸イソブチル、シクロペンタンカルボン酸n−ペンチル、3−メチルシクロペンタンカルボン酸メチル、3−メトキシシシクロペンタン−1−カルボン酸メチル及び2−エチルシクロペンタンカルボン酸エチル等の環を構成する炭素数が5の環状カルボン酸エステル化物;シクロヘキサンカルボン酸、3−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3−ヒドロキシシクロヘキサン−1−カルボン酸、3−エトキシシシクロヘキサン−1−カルボン酸、2−エチルシクロヘキサンカルボン酸及び1、3−シクロヘキサンジカルボン酸等の環を構成する炭素数が6の環状カルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸n−プロピル、シクロヘキサンカルボン酸n−ブチル、シクロヘキサンカルボン酸イソブチル、シクロヘキサンカルボン酸n−ペンチル、3−メチルシクロヘキサンカルボン酸エチル、3−メトキシシシクロヘキサン−1−カルボン酸メチル及び2−エチルシクロヘキサンカルボン酸メチル等の環を構成する炭素数が6の環状カルボン酸エステル化物;
シクロヘプタンカルボン酸、3−メチルシクロヘプタンカルボン酸、3−ヒドロキシシクロヘプタン−1−カルボン酸、3−メトキシシシクロヘプタン−1−カルボン酸及び2−エチルシクロヘプタンカルボン酸等の環を構成する炭素数が7の環状カルボン酸;シクロヘプタンカルボン酸メチル、シクロヘプタンカルボン酸エチル、シクロヘプタンカルボン酸n−ペンチル、3−メチルシクロヘプタンカルボン酸エチル、3−メトキシシシクロヘプタン−1−カルボン酸メチル及び2−エチルシクロヘプタンカルボン酸メチル等の環を構成する炭素数が7の環状カルボン酸エステル化物;シクロオクタンカルボン酸、3−メチルシクロオクタンカルボン酸、3−ヒドロキシシクロオクタン−1−カルボン酸、3−メトキシシシクロオクタン−1−カルボン酸及び2−エチルシクロオクタンカルボン酸等の環を構成する炭素数が8の環状カルボン酸;シクロオクタンカルボン酸メチル、シクロオクタンカルボン酸エチル、シクロオクタンカルボン酸n−ペンチル、3−メチルシクロオクタンカルボン酸エチル、3−メトキシシシクロオクタン−1−カルボン酸メチル及び2−エチルシクロオクタンカルボン酸メチル等の環を構成する炭素数が8の環状カルボン酸エステル化物;
等が挙げられるが、付臭性能、製造の容易さ、化学的安定性及び適度な沸点を有することから、下記式(1)で表される環状カルボン酸化合物が好ましく、シクロペンタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸メチル、シクロペンタンカルボン酸エチル、シクロペンタンカルボン酸n−プロピル、シクロペンタンカルボン酸n−ブチル、シクロペンタンカルボン酸イソブチル及びシクロペンタンカルボン酸n−ペンチルがより好ましく、シクロペンタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸メチル及びシクロペンタンカルボン酸エチルがさらに好ましく、シクロペンタンカルボン酸が特に好ましい。
Figure 2006117825
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を表す。)
なお、上記式(1)中、Rは水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基であるが、Rが水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
また、上記化合物は、単独で用いても、二種以上を混合して用いても良い。
本発明の燃料用ガス付臭剤の添加量は、燃料用ガス中の環状カルボン酸化合物の濃度換算で、500〜0.000001重量ppmが好ましく、5〜0.000001重量ppmがより好ましく、1〜0.0001重量ppmがさらに好ましく、0.1〜0.001重量ppmが特に好ましく、0.05〜0.001重量ppmがとりわけ好ましい。
燃料用ガス付臭剤の添加量が上記範囲にある場合に、本発明の効果がより顕著に現れる。
また、本発明の燃料用ガス付臭剤は、環状カルボン酸以外の他の付臭剤を含有していてもよい。他の付臭剤としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、酪酸、メタクリル酸、イソ酪酸、n−吉草酸、イソ吉草酸、n−カプロン酸及びイソカプロン酸等の鎖状カルボン酸類;前記鎖状カルボンのメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル及びイソプロピルエステル等の鎖状カルボンアルキルエステル類;プロパナール、ブタナール、ペンタナール、ヘキサナール及びヘプタナール等のアルデヒド類;及びリモネン、α−ピネン、β−ピネン及びジペンテン等のテルペン系炭化水素類;が挙げられるが、付臭性能の観点から、鎖状カルボン酸類及び鎖状カルボンアルキルエステル類が好ましく、酢酸及びイソ吉草酸メチルが特に好ましい。
他の付臭剤を用いる場合、その使用量は環状カルボン酸化合物100重量部に対して、好ましくは0.01〜1000重量部、より好ましくは0.5〜500重量部、さらに好ましくは1〜100重量部、特に好ましくは5〜50重量部である。
本発明の燃料用ガス付臭剤は、環状カルボン酸化合物に溶媒を併用することも出来る。用いる溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン及びn−デカン等の脂肪族炭化水素類;プロピレン、1−ブテン、trans−2−ブテン、cis−2−ブテン、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ペンテン、cis−2−ペンテン、trans−2−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、2−ノネン、1−デセン、アレン、メチルアレン、エチルアレン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,3,5−ヘキサトリエン、1−ブチン、2−ブチン、ビニルアセチレン、1,5−ヘキサジエン−3−イン、ジイソブチレン、イソプレン、1,3−ブタジエン及び1,2−ブタジエン等の不飽和炭化水素類;シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタンジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン及びシクロオクタジエン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン及びスチレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、アミルアルコール、プロパギルアルコール、cis−ヘキセン−1−オール及びカルビトール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン及びシクロヘキサノン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエ−テル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、モノグライム、ジグライム、1,2−ジメトキシエタン及びジオキサン等のエーテル類;が挙げられるが、環状カルボン酸化合物に悪影響を与えないことから脂肪族炭化水素類が好ましく、n−ペンタン及びn−ヘキサンがより好ましく、n−ヘキサンが特に好ましい。
溶媒を用いる場合、その使用量は環状カルボン酸化合物100重量部に対して、好ましくは1〜100000重量部、より好ましくは10〜10000重量部、さらに好ましくは15〜1000重量部、特に好ましくは20〜500重量部である。
本発明の燃料用ガス付臭剤は、上述した各成分のほかに、必要に応じて酸化防止剤および紫外線吸収剤などの添加剤を含ませることができる。
酸化防止剤としては、1−オキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール系酸化防止剤;ジフェニル−p−フェニレン−ジアミン、4−アミノ−p−ジフェニルアミン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミンなどのアミン系酸化防止剤;フェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルジイソオクチルホスファイト、ジフェニルジイソデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイトなどのリン系酸化防止剤;及びジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステルなどのイオウ系酸化防止剤;などが挙げられる。
燃料用ガス付臭剤中の酸化防止剤含有量は、通常、5重量%以下、好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下である。
紫外線吸収剤としては、4−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−クロロベンゾフェノン、2、2’−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ドデシル−2−ヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、4−オクチルフェニルサリシレート、ビスフェノールA−ジ−サリシレートなどのフェニルサリシレート類;及び2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α’−ジジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾ−ル類;などが挙げられる。燃料用ガス付臭剤中の紫外線吸収剤含有量は、通常、5重量%以下、好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下である。
本発明の燃料用ガス組成物は、前記燃料用ガス付臭剤及び燃料用ガスを含有してなる。ここで燃料用ガスとは、燃料として用いられるガスであれば特に限定されないが、液化天然ガス(LNG)、液化プロパンガス(LPG)、工業用ガス(アセチレン等)、燃料電池用ガス、水素ガス及びジメチルエーテルが好ましく、使用量が多く付臭による効果がより一層顕著に現れることから液化天然ガス(LNG)およびプロパンガス(LPG)がより好ましく、液化天然ガス(LNG)が特に好ましい。
なお、上記燃料用ガスは、1種単独でも、2種以上を混合して用いても良い。
本発明の燃料用ガス組成物において、燃料用ガス付臭剤含有量は、上記燃料用ガス付臭剤の添加量と同様である。
本発明の燃料用ガス組成物においては、必要に応じて上記と同様の酸化防止剤、脂肪酸類からなる防錆剤及び潤滑性向上剤等の他の添加剤を添加することができる。他の添加剤の使用量は、燃料用ガス組成物中のそれぞれの濃度が、好ましくは100ppm以下、より好ましくは10ppm以下、特に好ましくは1ppm以下になるように添加する。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってその範囲を限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、付臭剤の感知濃度及び化学的安定性を下記の試験方法により評価した。なお、「Nm」は、標準状態での体積を表す。
(A)感知濃度測定方法
常温で気体の燃料用ガスに対しては、燃料ガス1Nm当たり15〜55mgの範囲になるよう燃料ガス用付臭剤を5mg刻みに添加した試料を調整する。
常温で液体の燃料用ガスに対しては、燃料ガス1Kg当たり15〜55mgの範囲になるよう燃料ガス用付臭剤を5mg刻みに添加した試料を調整する。
そして、上記で調整した試料を、該試料が完全にガス化した場合に体積基準で1000倍に希釈することになるようにして、無臭空気で置換した無臭室内に注入する。
ついで、無臭室内の臭気を選定された6名のパネラーにより、下記の表1に示す6段階臭気強度表示法により判定し、臭気強度が2になった時点の無臭室内の濃度を感知濃度とした。
Figure 2006117825
(B)化学的安定性評価方法
ネスラー管に燃料ガス用付臭剤を30ml採取し、温度50℃で1週間加熱した後、ガスクロマトグラフィーで燃料ガス用付臭剤を測定して、加熱前後の試料の組成変化の有無を調べる。評価は、燃料ガス用付臭剤の組成に変化が全くなければ良好(○)と判断し、燃料ガス用付臭剤が何らかの反応で別の化合物が生成してガスクロマトグラフィー上に新たなピークが検出されると、化学的安定性が劣る(×)と判断する。
(実施例1)
シクロペンタンカルボン酸とn−ヘキサンを重量比で30:70の割合で攪拌混合した後、脱水濾過して燃料ガス用付臭剤を製造した。この燃料ガス用付臭剤を液化天然ガス(LNG)に添加し、感知濃度測定方法(A)により感知濃度を測定した。ここで、液化天然ガス(LNG)は常温で気体であったため、該液化天然ガス(LNG)1Nm3当たり15〜55mgの範囲になるよう燃料ガス用付臭剤を5mg刻みに添加した。その結果、感知濃度は20mg/Nmであった。
また、化学的安定性評価方法(B)により上記燃料ガス用付臭剤の化学的安定性を評価したところ、良好(○)であった。
(実施例2)
液化天然ガス(LNG)に代えてLPG(液化石油ガス)を使用した以外は、実施例1と同様にして感知濃度及び化学的安定性を調べたところ、感知濃度は20mg/kgであり、化学的安定性も良好(○)であった。なお、液化石油ガス(LPG)は常温で液体であったため、該液化石油ガス(LPG)1Kg当たり15〜55mgの範囲になるよう燃料ガス用付臭剤を5mg刻みに添加した
(実施例3)
液化天然ガス(LNG)に代えてジメチルエーテルを使用した以外は、実施例1と同様にして感知濃度及び化学的安定性を調べたところ、感知濃度は15mg/kgであり、化学的安定性も良好(○)であった。なお、ジメチルエーテルは常温で液体であったため、ジメチルエーテル1kg当たり15〜55mgの範囲になるよう燃料ガス用付臭剤を5mg刻みに添加した。
(比較例1)
シクロペンタンカルボン酸に代えて酢酸を用いた以外は、実施例1と同様にして感知濃度及び化学的安定性を調べたところ、感知濃度は45mg/Nmであり、化学的安定性は良好(○)であった。
(比較例2)
シクロペンタンカルボン酸に代えて酪酸を用いた以外は、実施例1と同様にして感知濃度及び化学的安定性を調べたところ、感知濃度は30mg/Nmであり、化学的安定性は良好(○)であった。
(比較例3)
シクロペンタンカルボン酸に代えてイソ吉草酸メチルを用いた以外は、実施例1と同様にして感知濃度及び化学的安定性を調べたところ、感知濃度は40mg/Nmであり、化学的安定性は劣っていた(×)。
以上より、環状カルボン酸化合物を用いた実施例1〜3の燃料ガス用付臭剤は、鎖状化合物を用いた比較例1〜2の燃料ガス用付臭剤に比べて、付臭性能が高いことがわかる。また、鎖状エステル化合物を用いた比較例3の燃料ガス用付臭剤は、付臭性能のみならず、化学的安定性も劣っていた。

Claims (4)

  1. 環状カルボン酸化合物を含有してなる燃料用ガス付臭剤。
  2. 前記環状カルボン酸化合物が、下記式(1)で表される化合物である請求項1に記載の燃料用ガス付臭剤。
    Figure 2006117825
    (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を表す。)
  3. 前記環状カルボン酸化合物が、シクロペンタンカルボン酸である請求項2に記載の燃料用ガス付臭剤。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の燃料用ガス付臭剤を含有してなる燃料用ガス組成物。
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