JP2006116881A - 蓋 - Google Patents

Download PDF

Info

Publication number
JP2006116881A
JP2006116881A JP2004309038A JP2004309038A JP2006116881A JP 2006116881 A JP2006116881 A JP 2006116881A JP 2004309038 A JP2004309038 A JP 2004309038A JP 2004309038 A JP2004309038 A JP 2004309038A JP 2006116881 A JP2006116881 A JP 2006116881A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
pdms
thin
polymer sheet
mold
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2004309038A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasumasa Uchima
安允 内間
Takahide Maguchi
挙秀 間口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Pentax Corp
Original Assignee
Pentax Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Pentax Corp filed Critical Pentax Corp
Priority to JP2004309038A priority Critical patent/JP2006116881A/ja
Publication of JP2006116881A publication Critical patent/JP2006116881A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】 成型用鋳型の上面に施蓋するための蓋であって、薄いポリマーシートを成形する際、プレポリマー原料を無駄にせず、気泡が混入する危険性が低く、しかも、成形後にポリマーシートのハンドリング治具としても使用できるを容易に鋳型から剥離することができる蓋を提供する。
【解決手段】 ポリマーシート成型用鋳型の上面に施蓋するための蓋であって、着脱可能な厚板シートと、薄板シートとからなり、前記薄板シートは、支持基板と、該支持基板の一方の面側のポリジメチルシロキサンからなる薄膜と、該ポリジメチルシロキサン薄膜上に形成された離型膜とからなる一体構造を有し、前記厚板シートと薄板シートは同じ位置に少なくとも1個の貫通孔を有することを特徴とする蓋。
【選択図】 図1

Description

本発明は鋳型にプレポリマーを注入してポリマーシートを作製する際、鋳型上面に被せるための蓋(クロージャー)に関する。更に詳細には、本発明は鋳型にプレポリマーを注入してポリマーシートを作製する際、鋳型上面に被せるための蓋として使用できるばかりか、プレポリマー硬化後に鋳型からポリマーシートを離型させ、対面基板に貼り合わせるためのハンドリング治具としても使用できる蓋に関する。
最近、マイクロスケール・トータル・アナリシス・システムズ(μTAS)又はラブ・オン・チップ(Lab-on-Chip)などの名称で知られるように、基板内に所定の形状の流路を構成するマイクロチャネル及びポートなどの微細構造を設け、該微細構造内で物質の化学反応、合成、精製、抽出、生成及び/又は分析など各種の操作を行うことが提案され、一部実用化されている。このような目的のために製作された、基板内にマイクロチャネル及びポートなどの微細構造を有する構造物は総称して「マイクロ流体チップ」と呼ばれる。
マイクロ流体チップは遺伝子解析、臨床診断、薬物スクリーニング及び環境モニタリングなどの幅広い用途に使用できる。常用サイズの同種の装置に比べて、マイクロ流体チップは(1)サンプル及び試薬の使用量が著しく少ない、(2)分析時間が短い、(3)感度が高い、(4)現場に携帯し、その場で分析できる、及び(5)使い捨てできるなどの利点を有する。
従来のマイクロ流体チップの材質や構造は例えば、特許文献1などに提案されている。従来のマイクロ流体チップ100は、例えば、図3(A)及び(B)に示されるように、ポリマーシート(例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS))などの基板101に少なくとも1本のマイクロチャネル(微細流路)102が形成されており、このマイクロチャネル102の両端には入出力ポート103,104が形成されており、基板101の下面側に透明又は不透明な素材(例えば、ガラス又は合成樹脂フィルム)からなる対面基板105が接着されている。この対面基板105の存在により、ポート103,104及びマイクロチャネル102の底部が封止される。
入出力ポート103,104の主な用途は、(イ)薬液やサンプルの注入(分注)、(ロ)廃液や生成物の取り出し、(ハ)気体圧力の供給(主に、送液のための正圧や負圧の印加)、(ニ)大気開放(送液時に発生する内圧の分散や、反応で生じたガスの解放)、及び(ホ)密閉(液体の蒸発防止や故意に内圧を発生させる目的のため)などである。
図3(A)及び(B)に示されるような従来のマイクロ流体チップの製造方法の一例は非特許文献1に記載されている。例えば、図4のステップ(a)において、常用の光リソグラフィー法によりシリコンウエハ110上に形成されたレジストパターン112を有するマスター(鋳型)114をアルミニウム製の平坦な支持台116上に載置する。この際、マスター114とアルミ支持台116との間に大きめの薄膜フィルム118を介在させることが好ましい。マスター114の上部からPDMSプレポリマー混合液120を注ぎ入れる。薄膜フィルム118は注入されたPDMSプレポリマー混合液120が外部に溢れ出たときに下部のアルミ支持台116がPDMSプレポリマーにより汚染されることを防止するために有用である。ステップ(b)において、PDMSプレポリマー混合液120の上部から、厚さ250μmのポリカーボネート薄膜フィルム122とガラス板124とからなるカバー(蓋)126を被せる。この際、ポリカーボネート薄膜フィルム122がマスター114のレジストパターン112の上面に接触するまで、ガラス板124の上部から指などでカバー126を押し下げ、次いで、カバー126を横方向にスムーズにスライドさせ、レジストパターン112とカバー126との間に残っているPDMSプレポリマー混合液120を周囲に溢れ出させる。その後、ステップ(c)において、この組立体をホットプレート128上に載置し、2.5kgの重り130をガラス板124の上面に載せ、85℃で3時間加熱し、PDMSプレポリマー混合液120を硬化させる。硬化が完了し、常温にまで放冷させた後、ステップ(d)において、先ず、重り130とガラス板124を取り除き、次いで、ポリカーボネート薄膜フィルム122を剥離した後、PDMSレプリカ132をマスター114から離型し、レプリカの周囲の不要部分をトリミングし、PDMS基板101を得る。最後に、ステップ(e)において、PDMS基板101を対面基板105に貼り合わせ、マイクロ流体チップ100を完成させる。この方法において、ポリカーボネート薄膜フィルム122の使用は必須要件ではないが、使用すると、PDMSレプリカ132の上面の平坦性を保つのに有効である。
図4に示された従来の方法では、次のような欠点がある。すなわち、(a)マスター114から溢れ出るほど十分な量のPDMSプレポリマー混合液120を使用しなければならず、高価なPDMSプレポリマー混合液原料が浪費され、極めて不経済であるばかりか、PDMSプレポリマー混合液120が硬化した後、周辺の不要部分をトリミングしなければならず、作業工程が増えるという欠点がある。(b)更に、PDMSプレポリマー混合液120にカバー(蓋)126を被せる際に、カバー126とPDMSプレポリマー混合液120との間に空気の気泡が取り込まれ、製品不良を起こすことがあるので、カバー126をPDMSプレポリマー混合液120上部に被せる際には極めて慎重な操作が求められる。(c)また、硬化成形されたPDMSレプリカ132をマスター(鋳型)114から離型し、対面基板105に貼り合わせる際、PDMSレプリカ132が200μm以下の非常に薄い薄膜状の場合、マスター(鋳型)114から剥離する時にPDMSレプリカ132が破れたりすることが多々あった。また、仮に、上手く剥がせ、かつ、トリミングが完了してPDMS基板101が得られたとしても、対面基板105に貼り付ける際に、PDMS基板101に生じた皺が原因で対面基板105との貼り合わせに失敗することが多々あった。
特開2001−157855号公報 David Juncker et. al., "Soft and rigid two-level microfluidic networks for patterning surfaces", Journal of Micromechanics and Microengineering, 11 (2001), 532-541
従って、本発明の目的は、成型用鋳型の上面に施蓋するための蓋であって、薄いポリマーシートを成形する際、プレポリマー原料を無駄にせず、気泡が混入する危険性が低く、しかも、成形後にポリマーシートのハンドリング治具としても使用できるを容易に鋳型から剥離することができる蓋を提供することである。
前記課題を解決するための請求項1の手段は、ポリマーシート成型用鋳型の上面に施蓋するための蓋であって、着脱可能な厚板シートと、薄板シートとからなり、前記薄板シートは、支持基板と、該支持基板の一方の面側のポリジメチルシロキサンからなる薄膜と、該ポリジメチルシロキサン薄膜上に形成された離型膜とからなる一体構造を有し、前記厚板シートと薄板シートは同じ位置に少なくとも1個の貫通孔を有することを特徴とする。
本発明の蓋はポリマーシート成型用鋳型を密閉するように施蓋されるので、蓋が薄板シートだけからなる場合、薄板シートの随所に撓みによる凹み部分が生じたり、PDMSプレポリマー混合物を貫通孔から型内に注入すると型内の圧力が増大し、薄板シートが膨大してしまう。従って、薄板シートの撓みや、PDMSプレポリマー混合物注入時の薄板シートの膨大を防ぐために、薄板シート上面に厚板シートを積重させておかなければならない。PDMSポリマーシートが形成した後、ポリマーシートを鋳型から剥離するためにハンドリングする際、厚板シートはハンドリング作業性を低下させるので薄板シートから分離し、薄板シートだけでポリマーシートをハンドリングすると、鋳型からポリマーシートをスムーズに剥離することができる。従って、本発明の蓋はポリマーシート成型用鋳型の蓋として使用できるばかりか、成形後のポリマーシートのハンドリング治具としても使用できる。
前記課題を解決するための請求項2の手段は、前記薄板シートの支持基板の厚さが0.1mm超1mm未満であることを特徴とする請求項1記載の蓋である。
支持基板の厚さが0.1mm以下の場合、鋳型内にPDMSプレポリマー混合液を注型する際、支持基板と厚板シートの隙間にプレポリマー混合液が混入する可能性がある。一方、支持基板の厚さが1mm以上の場合、薄板シートをハンドリング治具として使用し難くなる。
前記課題を解決するための請求項3の手段は、前記薄板シートの支持基板の厚さが0.5mmであることを特徴とする請求項2記載の蓋である。
支持基板の厚さが0.5mmの場合、支持基板と厚板シートの隙間にプレポリマー混合液が混入することもなく、しかも、薄板シートをハンドリング治具として使用するのに好都合である。
前記課題を解決するための請求項4の手段は、前記薄板シートのPDMS薄膜の厚さが50μm以下であることを特徴とする請求項1記載の蓋である。
薄板シートのPDMS薄膜の厚さが50μm以下であると、薄板シートの蓋構成部材としての密閉性が良好であるばかりか、ハンドリング治具としての使用性も良好となる。
本発明の蓋(クロージャー)を使用すれば次のような効果が得られる。(a)鋳型(マスター)の上部に施蓋され、鋳型を密閉するので、鋳型内容積と略同等量のPDMSプレポリマー混合液しか注入する必要がなく、従来のようなPDMSプレポリマー混合液の浪費が避けられ、コストセービングが達成される。(b)鋳型内にPDMSプレポリマー混合液を注入する際に、同時に鋳型内の空気が排出されていくので、鋳型(マスター)と蓋の間に空気が混入する危険性が少ない。(c)硬化成形されたPDMS製ポリマーシートを鋳型(マスター)から離型し、対面基板に貼り合わせる際、蓋を構成する薄板シートをハンドリング治具として使用することができるので、離型及び貼り合わせ操作を極めてスムーズに行うことができ、従来のようにPDMS製ポリマーシートが破けたり、皺が発生したりすることがない。(d)PDMSプレポリマー混合液が鋳型外部に溢れ出ることがないので、硬化成形されたPDMS製ポリマーシートを整形するためのトリミング処理が不要である。
以下、図面を参照しながら本発明の蓋の好ましい実施態様について具体的に説明する。
図1(A)に示されるように、本発明の蓋1は基本的に、厚板シート3と薄板シート5とからなり、厚板シート3と薄板シート5とは相互に分離又は着脱可能である。厚板シート3と薄板シート5とはそれぞれ、同じ位置に少なくとも1個の貫通孔7を有する。薄板シート5は、支持基板9と、ポリジメチルシロキサン(PDMS)薄膜11と、離型膜13とからなる。
図1(B)に示されるように、本発明の蓋1は、薄板シート5の上面に厚板シート3を重ね合わせることにより構成される。薄板シート5はPDMSレプリカ(例えば、図3におけるポリマーシート101)が形成された後に、該ポリマーシート101のハンドリング治具として使用することができる。しかし、薄板シート5だけで蓋1を構成すると、PDMSプレポリマー注入時の圧力により薄板シート5が部分的に膨隆したり、部分的に撓んだりすることがある。この問題点を解決するために、PDMSプレポリマー注入時には、薄板シート5の上面に厚板シート3を重ね合わせて蓋1を構成して使用する。ポリマーシート101成形後は厚板シート3を薄板シート5から分離して取り除き、薄板シート5をポリマーシート101のハンドリング治具として使用する。厚板シート3と薄板シート5を重ね合わせた時に各貫通孔7の位置合わせを容易にするため、厚板シート3と薄板シート5に位置合わせ用の“オリフラ”などを設けることもできる。
図2は本発明の蓋1を用いてポリマーシート101を作製する工程説明図である。先ず、ステップ(A)において、本発明の蓋1を鋳型又はマスター15のレジストパターン17の上面に配置する。レジストパターン17はシリコン基板19などの上面に形成されている。このようなシリコン基板19上に所望のレジストパターン17を有する鋳型15は常用の光リソグラフィー法により容易に作製することができる。所望により、鋳型又はマスター15のレジストパターン17の表面をフルオロカーボンの存在下で反応性イオンエッチングシステムにより処理することができる。このフルオロカーボン存在下の反応性イオンエッチング処理は、後のステップにおいて、鋳型15からの成形ポリマーシートの離型性を改善する。本発明の蓋1と鋳型(マスター)15とをクランプ21により型締めする。この際、蓋1の薄板シート5に柔軟なPDMS薄膜11が存在するため、蓋1は鋳型15のレジストパターン17の上面に隙間無く密着させることができる。別法として、クランプ21の代わりに、蓋1の上面に適当な重量の“重り”を載置することもできる。この場合、鋳型15を水平な台座(図示されていない)上に配置することが好ましい。クランプ21で型締め後、蓋1の貫通孔7からPDMSプレポリマー混合液23を鋳型15内に注入する。貫通孔7は1個でもよいが、2個以上存在することが好ましい。1個をPDMSプレポリマー混合液23の注入用に使用し、他の1個を空気抜き用に使用することができる。PDMSプレポリマー混合液23の注入用に複数個の貫通孔7を使用し、専用の空気抜き孔を配設することもできる。複数個の貫通孔7を使用してPDMSプレポリマー混合液23を一度に注入すれば、注入時間を大幅に短縮することができる。PDMSプレポリマー混合液23としては、例えば、米国のダウ・コーニング社製のSYLGARD 184 SILICONE ELASTOMERが好適に使用できる。これは液状のPDMSプレポリマーと硬化剤を10対1の割合で混合したものである。PDMSプレポリマー混合液23注入後、貫通孔7を封止するか、又は封止せずに、常温で十分な時間放置するか、又は、例えばオーブン(図示されていない)中で65℃で4時間加熱するか若しくは100℃で1時間加熱してPDMSプレポリマーを硬化させる。
PDMSプレポリマー硬化後、ステップ(B)において、クランプ21を外し、蓋1の厚板シート3を取り除き、薄板シート5にPDMS製ポリマーシート101をボンディングさせた状態で鋳型15から剥離する。厚板シート3と薄板シート5を一体化させたままPDMS製ポリマーシート101を鋳型15から剥離させようとすると、蓋1が硬すぎるために撓むことができず、結果的に、形成されたPDMS製ポリマーシート101を鋳型15から剥離させることができなくなる。従って、PDMS製ポリマーシート101形成後は、厚板シート3を取り除き、薄板シート5だけでPDMS製ポリマーシート101をハンドリングしなければならない。薄板シート5はPDMS薄膜11を介してPDMS製ポリマーシート101と接着しているので、PDMS薄膜11上に離型膜13が存在していても、鋳型15とPDMS製ポリマーシート101との間の接着力よりも、薄板シート5とPDMS製ポリマーシート101との間の接着力の方が強い。これにより、薄板シート5に保持された状態でPDMS製ポリマーシート101を鋳型15からスムーズに剥がし取ることができる。
次に、ステップ(C)において、PDMS製ポリマーシート101を薄板シート5にボンディングさせた状態で、目的とする対面基板105の上面に貼着し、そのまま数十分間放置する。
PDMS製ポリマーシート101が対面基板105と恒久接着したら、ステップ(D)において、薄板シート5をPDMS製ポリマーシート101から剥離する。薄板シート5は離型膜13を介してPDMS製ポリマーシート101と接着しているのに対して、対面基板105は直接PDMS製ポリマーシート101と接着しているので、薄板シート5とPDMS製ポリマーシート101との接着力よりも、PDMS製ポリマーシート101と対面基板105との接着力の方が強い。このため、PDMS製ポリマーシート101を対面基板105に恒久接着させた状態で、薄板シート5をPDMS製ポリマーシート101から剥離させることができる。
斯くして、ステップ(E)において、PDMS製ポリマーシート101に全く皺等が生じることなく対面基板105に恒久接着されたマイクロ流体デバイス100が得られる。
本発明の蓋1における薄板シート5でハンドリング処理されるPDMS製ポリマーシート101の膜厚は一般的に、200μm以下であることが好ましい。200μm超の膜厚を有するPDMS製ポリマーシート101であれば、素手で取り扱っても皺などを生じることなく、対面基板に105貼着させることができる。本発明の蓋1における薄板シート5でハンドリング処理することができるPDMS製ポリマーシート101の膜厚の下限値は10nm程度である。これ未満の膜厚の場合、本発明の蓋1における薄板シート5で保持して鋳型15から剥離する際に破れたり、PDMS製ポリマーシート101自体にピンホールなどが生じたりして使い物にならないことがある。
対面基板105がガラス製である場合、PDMS製ポリマーシート101と比較的容易に恒久接着するが、その他の材質の対面基板の場合、PDMS製ポリマーシート101と恒久接着させることはそれほど容易ではない。従って、ガラス以外の素材からなる対面基板105を使用する場合、前記のステップ(C)において、対面基板105の貼着面側にSiOをスパッタリングしてSiO薄膜を成膜してから、薄板シート5に保持されたPDMS製ポリマーシート101を貼着させることが好ましい。対面基板105とPDMS製ポリマーシート101が恒久接着しないと、薄板シート5をPDMS製ポリマーシート101からスムーズに剥離させることができない。また、対面基板105とPDMS製ポリマーシート101が恒久接着しないと、マイクロ流体デバイス100の使用中にPDMS製ポリマーシート101が剥がれたりして不都合な事態を招来する。従って、対面基板105とPDMS製ポリマーシート101を恒久接着させることは非常に重要である。
また、前記ステップ(C)において、薄板シート5に保持されたPDMS製ポリマーシート101と対面基板105を恒久接着する手法としては、各々の貼着面を酸素プラズマ処理する方法が用いられる。具体的には、薄板シート5に保持されたPDMS製ポリマーシート101と、ガラス製あるいはSiO薄膜処理された対面基板105の貼着面に対して、酸素ガスを反応性ガスとして用いた反応装置内でプラズマ処理を行う。ここで用いる反応性ガスとしては、酸素以外にもアルゴンや窒素などを用いることができるが、好ましくは、反応時間の短縮、コスト及び接着性の点で酸素が好適である。更に、接着性の安定性を得るためにPDMS製ポリマーシート101と対面基板105の貼着しようとするそれぞれの面に酸素プラズマ処理を施すことが好適である。片方の面、つまりPDMS製ポリマーシート101もしくは対面基板105のどちらか一方の面にのみ酸素プラズマを施す方法もあるが、この場合、PDMS製ポリマーシート101と対面基板105の両方に酸素プラズマ処理を施した場合に比べて接着性が劣る。
前記ステップ(E)において、マイクロ流体デバイス100が得られた後、所望により、PDMS製ポリマーシート101の上面をOでクリーニングすることができる。PDMS基板製ポリマーシート101の上面をクリーニングするのは、薄板シート5を剥離した際に残留する離型膜13を完全に除去するためである。このクリーニングを行うことににより、マイクロ流体デバイス100の透明性が高くなり、蛍光分析などを行う場合の信頼性が向上する。
前記のように、本発明の蓋1は、厚板シート3と薄板シート5との2個の部材から構成されているが、厚板シート3はPDMSプレポリマー混合液の注入時には絶対必要であるが、PDMSプレポリマー硬化後は不要となるので取り除き、薄板シート5だけで成形ポリマーシートをハンドリングすることができる。非特許文献1に示された従来の方法でも、薄板シート122は使用されているが、本発明における薄板シート5のような成形ポリマーシートのハンドリング治具としての機能は無い。
本発明の蓋1における厚板シート3の厚さは一般的に、数mm程度であることが好ましい。厚板シート3は蓋1を使用する際に、蓋全体が撓まないために必要十分な強度を有することが好ましい。厚板シート3は例えば、1mm〜5mm程度であることが好ましい。厚板シート3の材料は例えば、ガラス、金属、プラスチック、セラミック、紙、木材などの任意の材料を使用することができる。厚板シート3の材料はポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂などが特に好ましい。厚板シート3は透明又は不透明の何れでも良いが、透明であることが好ましい。
本発明の蓋1における薄板シート5の構成部材である支持基板9には、ガラス、金属、プラスチック、セラミック、紙、木材などの任意の材料を使用することができる。支持基板9の材料はポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂などが特に好ましい。支持基板9は透明又は不透明の何れでも良いが、透明であることが好ましい。支持基板9の厚さは0.1mm(100μm)超で1mm(1000μm)未満であることが好ましい。支持基板9の厚さが0.1mm以下の場合、薄板シート5の上面に厚板シート3を重ねて蓋1を構成して、鋳型内にポリジメチルシロキサンプレポリマーを注型する際、支持基板9と厚板シート3との隙間にプレポリマーが混入する可能性がある。一方、支持基板9の厚さが1mm以上の場合、支持基板9と厚板シート3との隙間にプレポリマーが混入することはないが、鋳型15からPDMSレプリカを剥離した後、前記ステップ(C)において、PDMSレプリカと対面基板105のボンディングに障害が発生する可能性がある。これは、支持基板9が厚すぎると、PDMSレプリカの柔軟性が充分でないため、平面同士が接触することになり、ポリマーシート101と対面基板105との界面に空気が残ることがある。支持基板9が適度な厚さであれば、薄板シート5を少し曲げながら、一方の端から徐々に対面基板105に重ねていくことができ、ポリマーシート101に皺が生じたり、ポリマーシート101と対面基板105との界面に空気が残ることは無くなる。また、支持基板9の厚さが1mm以上の場合、図2のステップ(D)において、薄板シート5をポリマーシート101から引き剥がす際、柔軟性がないため、効率よく引き剥がせなくなり、作業性が低下する。従って、支持基板9が1mm未満であれば、基板にPDMSレプリカが追従していくが、1mm以上になると追従して行き難くなる。支持基板9の厚さは0.5mm(500μm)が特に好ましい。
支持基板9の他方の面にはポリジメチルシロキサン(PDMS)の薄膜11がコーティングされている。PDMS薄膜11は例えば、支持基板9の他方の面にPDMSプレポリマー混合液をコーティングした後、硬化させることにより形成させることができる。PDMS薄膜11は、成形されたポリマーシート101を貼着ハンドリングするために必要な部材である。PDMS薄膜11の厚さは一般的に、数十μm程度でよく、50μm以下であることがより好ましい。PDMS薄膜11の厚さが薄すぎる場合、PDMSレプリカの貼着ハンドリングに支障を来す恐れがある。一方、PDMS薄膜11の厚さが厚すぎる場合、不必要に厚くなりすぎ不経済となる。支持基板3がガラス以外の素材からなる場合、支持基板3とPDMS薄層7との間の接着力を高めるために、適当な接着手段(例えば、SiO薄膜等)を使用することもできる。
PDMS薄膜11の貼着面には離型膜が形成されている。この離型膜13は、ハンドリング治具としての薄板シート5とポリマーシート101とが過度に接着し合うことを防ぐ目的のために使用される。離型膜13は、例えば、シリコン、シラザン、モリブデン、有機酸エステル誘導体、ハロゲン化アルキル化合物からなる群から選択される少なくとも一種類の離型剤を使用することにより形成することができる。離型剤としてはフッ素系アルキル化合物が好ましく、トリフルオロカーボン(CHF)が特に好ましい。
本発明で重要なことは、ポリマーシート101を鋳型15から離型させて対面基板105に移着させる間だけ、ポリマーシート101をしっかりとハンドリングできればよく、ポリマーシート101を対面基板105に接着させた後は、ポリマーシート101から滑らかに剥がせなければならない。この二律背反的な目的を達成するために、PDMS薄膜11の貼着面に離型膜13を形成させる必要がある。離型膜(例えば、CHF膜)13の膜厚は一般的に、1nm〜1μmの範囲内であることが好ましく、10nm〜60nmであることがより好ましい。離型膜13の膜厚が1nm未満の場合、PDMS薄膜11とポリマーシート101とが強固に接着し、薄板シート5をポリマーシート101から剥がせなくなる可能性がある。一方、離型膜13の膜厚が1μm超の場合、PDMS薄膜11がポリマーシート101に貼り付かず、ハンドリングが困難又は不可能になる。離型膜13は薄板シート5を使用する直前に、PDMS薄膜11の表面に形成させることができる。このような離型膜形成方法は当業者に公知である。
図1に示されるような蓋1を製造した。先ず、厚板シート3として、縦150mm、横150mm、厚さ2mmサイズのポリカーボネート板を準備した。透明なポリカーボネート板はPDMS注入の際、気泡の観察が容易であるという利点がある。次に、薄板シート5における支持基板9として、縦150mm、横150mm、厚さ500μmサイズのポリカーボネート板を準備した。この支持基板9の一方の面にPDMSプレポリマー混合液をコーティングして硬化させ、厚さ50μmのPDMS薄膜11を形成させた。その後、PDMS薄膜11の外表面上に常法に従って厚さ50nmのCHF膜13を形成させた。厚板シート3と薄板シート5とを重ね合わせ、所定の箇所に4個の貫通孔7を穿設した。斯くして、本発明の蓋1が得られた。
4インチウエハ19を準備した。プロセスの信頼性を得るために、レジストを使用する前に基板を洗浄・乾燥する必要があり、本実施例では、ピラニア・エッチング/クリーン(HSOおよびH)処理後、蒸留水でリンスした。その後、シリコンの表面酸化膜を除去するため、BHF(バッファード弗酸)に15分間浸し、蒸留水でリンスした。その後、表面の脱水のため、対流式のオーブン中で60℃、30分間程度ベークした。この表面処理済ウエハ上にSU−8ネガティブフォトレジストを1000rpmの回転速度で約25秒間塗布し、溶媒を蒸発させ、膜を高密度化するためにソフトベークを65℃で30分間(STEP1)、95℃で90分間(STEP2)処理した。クーリング後、このレジスト膜上に、所定の微細構造パターンを有するマスクを被せ、露光装置(ユニオン光学製 PEM−800)で密着露光した。その後、レジスト膜の露光された部分の架橋を行うため65℃で15分間(STEP1)、95℃で25分間(STEP2)加温し、クーリング後、1−メトキシ−2−プロピル酢酸現像液で現像し、現像後、基板は短時間イソプロピルアルコール(IPA)でリンスした。その後、65℃で30分間乾燥後、150℃で5分間かけてハードベークし、レジストパターン17の厚さが20μmの鋳型(マスター)15を完成させた。
この鋳型(マスター)15の表面をフルオロカーボン(CHF)の存在下で反応性イオンエッチングシステムにより処理し、表面にCHF剥離膜を形成した。その後、実施例1で作製した蓋1を被せ、クランプ21で型締めした。次いで、蓋1の貫通孔7からPDMSプレポリマー混合液23として、米国のダウ・コーニング社製のSYLGARD 184 SILICONE ELASTOMERを厚さ約50μmになるように注入し、オーブンに入れ、脱気、加温(65℃、4時間)した。4時間経過後、オーブンから取り出し、クランプ21を解除し、厚板シート3を取り除き、薄板シート5に保持された状態で厚さ50μmのPDMS製ポリマーシート101を鋳型15から剥がし取った。次いで、薄板シート5に保持されたままのPDMS製ポリマーシート101を、縦100mm、横100mm、厚さ1mmのガラス基板の上面にOプラズマにてパーマネントボンディングし、そのまま約20分間放置した。その後、薄板シート5をPDMS製ポリマーシート101から剥離し、目的とするマイクロ流体デバイス100を得た。得られたマイクロ流体デバイス100のPDMS製ポリマーシート101には皺などは全く存在していなかった。
本発明の蓋1を用いて鋳型15から複製可能なポリマーシートはPDMS製に限定されない。薄板シート5のPDMS薄膜11と貼着可能なポリマーシートであれば全て取り扱うことができる。また、ポリマーシートは微細構造を有しない単なる膜状のシートであってもよい。
本発明のハンドリング治具及びハンドリング方法により作製されたマイクロ流体デバイスは医学、獣医学、歯科学、薬学、生命科学、食品、農業、水産など様々な分野で活用できる。特に、蛍光抗体法、in situ Hibridization等に最適なマイクロ流体デバイスとして、免疫疾患検査、細胞培養、ウィルス固定、病理検査、細胞診、生検組織診、血液検査、細菌検査、タンパク質分析、DNA分析、RNA分析などの広範な領域で使用できる。
本発明の蓋の一例の概要断面図であり、(A)は厚板シートと薄板シートを分離させた状態の概要断面図であり、(B)は厚板シートと薄板シートを重ね合わせて合体させた状態の概要断面図である。 本発明の蓋を用いたポリマーシートの製造工程の一例を示す説明図である。 (A)は従来のマイクロ流体デバイスの一例の概要平面図であり、(B)は(A)におけるB−B線に沿った概要断面図である。 図3に示された従来のマイクロ流体デバイスの製造方法の一例を示す工程説明図である。
符号の説明
1 本発明の蓋
3 厚板シート
5 薄板シート
7 貫通孔
9 支持基板
11 PDMS薄膜
13 離型膜
15 鋳型
17 レジストパターン
19 シリコン基板
21 クランプ
23 PDMSプレポリマー混合液
101 ポリマーシート
105 対面基板

Claims (4)

  1. ポリマーシート成型用鋳型の上面に施蓋するための蓋であって、着脱可能な厚板シートと、薄板シートとからなり、前記薄板シートは、支持基板と、該支持基板の一方の面側のポリジメチルシロキサンからなる薄膜と、該ポリジメチルシロキサン薄膜上に形成された離型膜とからなる一体構造を有し、前記厚板シートと薄板シートは同じ位置に少なくとも1個の貫通孔を有することを特徴とする蓋。
  2. 前記薄板シートの支持基板の厚さは0.1mm超1mm未満であることを特徴とする請求項1記載の蓋。
  3. 前記薄板シートの支持基板の厚さは0.5mmであることを特徴とする請求項2記載の蓋。
  4. 前記薄板シートのPDMS薄膜の厚さは50μm以下であることを特徴とする請求項1記載の蓋。
JP2004309038A 2004-10-25 2004-10-25 Withdrawn JP2006116881A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004309038A JP2006116881A (ja) 2004-10-25 2004-10-25

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004309038A JP2006116881A (ja) 2004-10-25 2004-10-25

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006116881A true JP2006116881A (ja) 2006-05-11

Family

ID=36535219

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004309038A Withdrawn JP2006116881A (ja) 2004-10-25 2004-10-25

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006116881A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Khoury et al. Ultra rapid prototyping of microfluidic systems using liquid phase photopolymerization
JP5229215B2 (ja) マイクロチップの製造方法
JPWO2007094254A1 (ja) マイクロ流路チップ及びその製造方法
JP2005257283A (ja) マイクロチップ
Kim et al. Automatic aligning and bonding system of PDMS layer for the fabrication of 3D microfluidic channels
Zheng et al. Fabrication of freestanding, microperforated membranes and their applications in microfluidics
Temiz et al. ‘Chip-olate’and dry-film resists for efficient fabrication, singulation and sealing of microfluidic chips
JP2019002932A (ja) マイクロチップ
JP4410573B2 (ja) ポリマーシートの製造方法
JP4313682B2 (ja) Pdms基板と他の合成樹脂基板との接着方法及びマイクロチップの製造方法
Gutierrez-Rivera et al. Multilayer bonding using a conformal adsorbate film (CAF) for the fabrication of 3D monolithic microfluidic devices in photopolymer
CN1648663A (zh) 一种玻璃微流控芯片及制作方法
US7682541B2 (en) Manufacturing method of a microchemical chip made of a resin
CN108545692B (zh) 一种通道内壁涂覆聚对二甲苯的微流控芯片制作方法
US20070148588A1 (en) Methods of releasing photoresist film from substrate and bonding photoresist film with second substrate
JP2004325153A (ja) マイクロチップ及びその製造方法
JP2005262522A (ja) ポリマーシートの製造方法
CN110227563B (zh) Pdms微流控芯片防蒸发的密封方法及pdms微流控芯片
JP2008132543A (ja) 樹脂基板へのパターン形成方法及びこの方法を用いたマイクロ流路デバイスの製造方法
JP2006116881A (ja)
KR101053772B1 (ko) 마이크로 플루이딕 칩 몰드를 제조하기 위한 성형 모듈, 이를 이용한 마이크로 플루이딕 칩 몰드 제조 방법 및 이에 의해 제조된 마이크로 플루이딕 칩 몰드
JP2006027094A (ja) ポリマーシートのハンドリング治具及びハンドリング方法
CN113663747A (zh) 一种高动态范围的多重数字pcr芯片及其制备方法
JP5545255B2 (ja) マイクロチップ及びその製造方法
JP2006224011A (ja) マイクロバルブ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070921

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20080424

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20090619