JP2006112902A - 構造物の変位測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 近接工事による構造物の変位を測定する装置において、基準線の揺れによる影響を無視できるようにした安価な構造物の変位測定装置を提供する。
【解決手段】 構造物7が工事の影響を受ける範囲を挟んだ外側に設定された固定点の間に張架する線材2と、工事の影響を受ける範囲内の変位測定点に対応する線材に取り付けた測定対象体3と、測定対象体3と構造物7の位置の変化を測定する構造物7に固定した変位計測センサ4a、4bと、前記測定対象体3の揺れを減衰させる減衰装置5とを備えた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、地下鉄、土留壁、橋脚等の構造物に生じる変位を測定する構造物の変位測定装置に関し、より詳細には、振動等の揺れによる乱れの影響少なく自然外力及び近くの工事による変位、変形を測定できる構造物の変位測定装置に関するものである。
従来より、鉄道用高架橋等の構造物の近くで行われる工事に伴い、構造物の沈下(鉛直方向の変位)を測定する方法として、工事影響範囲内外にある鉄道用高架橋の橋脚にそれぞれに、互いに連通された水位計を固定して、各水位計の相対的水位変化を測定する方法が知られている。また、工事影響範囲外にある鉄道用高架橋の橋脚等に線材を張架して線材からの変位を測定する線材張架方式等も知られている。
しかし、水位計による変位測定法は、鉛直方向(Z方向)の変位のみを測定しているにすぎないものであった。また水位計による従来例のような構成では、装置が大型化し、また高精度な測定が困難であるという問題があった。
そこで、構造物のZ方向、Y方向の2方向の変位を、コンパクトな装置で高精度に測定できる構造物の変位測定方法及び装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1の構造物の変位測定装置によれば、構造物における近接工事に影響されない2点を不動点とし、両不動点間に基準線を張架する。また、構造物の工事影響範囲内箇所に固定されたY方向位置測定センサ及びZ方向位置測定センサを設け、計測点における基準線のY、Z2方向の位置を測定する。これにより、基準線は一定位置に保持され、構造物の変位測定をする際の基準となり、各センサの基準線に対する位置、ひいては構造物のY、Z2方向の変位を測定することができる。
特開2001−304861号公報
しかしながら、上記特許文献1の例に示すような構成では、鉄道用高架橋等の構造物において、不動点間に張架した基準線はたえず振動したり揺れたりして動いている。この振動等による変位も構造物の変位に加えられる。そのため、構造物による変位の測定において、基準線の振動等(以下揺れという)による変位を雑音として除去する必要がある。ところが、この振動等による変位を除去する補正が困難であり、高精度にするためには複雑化し、コストが高くなった。従って、簡単に高精度に構造物の変位を測定するのが困難であるという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためなされたもので、近くで行われる工事等による構造物の変位、変形を測定する装置において、基準線の揺れによる影響を無視できるようにした安価な構造物の変位測定装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための本発明による構造物の変位測定装置は、構造物が工事の影響を受ける範囲を挟んだ外側に設定された固定点の間に張架する線材と、変位測定点に位置する該線材に取り付けた測定対象体と、該測定対象体と構造物の位置の変化を測定する構造物に固定した変位計測センサと、前記測定対象体の揺れを減衰させる減衰装置とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項2の構造物の変位測定装置は、請求項1に記載の前記変位計測センサが垂直方向変位計測センサと水平方向変位計測センサとを備えて構成している。
本発明の請求項3の構造物の変位測定装置は、請求項1又は2に記載の前記変位計測センサを渦電流変位計とした。
本発明の請求項4の構造物の変位測定装置は、請求項1ないし3に記載の前記減衰装置は液体を充たした容器を有してなる。
本発明において、線材としてピアノ線、ステンレス線等の金属ワイヤや、ポリエチレン、ポリアミド等の合成繊維よりなる耐高張力線で構成することができる。また、変位計測センサを構造物に固定するとは、構造物の変位、変形に従属して変位するように設置する意味である。
また、減衰装置の液体としては、水、有機溶液、シリコンオイル等、分類、名称の如何を問わず使用することができる。なお、腐食性が小さく、高粘性、耐変質性の液体が耐久性、減衰効果の点からも好ましい。
さらに、変位計測センサとしては、渦電流型、容量変化型等、電極間等の距離の変化を電圧、電流等の変化として計測する形式や遮光位置もしくは遮光量や反射光量等を計測する光検知形式の計測器を使用することができる。
本発明において、揺れとは、規則性、不規則性を問わず、不要な動きを意味するものとする。
本発明による構造物の変位測定装置は、線材に取り付けた測定対象体を介して測定するうえ、測定対象体が線材の振動等の揺れにより動くのを減衰装置により吸収して動きを無くすようにした状態で変位を測定することができる。従って、揺れにより変位測定の誤差を防ぐことができ、複雑な補正をしなくてもよいから、装置を簡単にでき、コストを低減できる。
本発明の請求項2の構造物の変位測定装置によれば、上記効果に加えて、簡単な装置で垂直方向と水平方向との変位を測定することができる。
本発明の請求項3の構造物の変位測定装置によれば、上記効果に加えて、構造物の変位測定装置の計測センサは、渦電流変位計のようなありふれた計器でよく、特殊な装置が不要であり、安価に構成できる。
本発明の請求項4の構造物の変位測定装置によれば、上記効果に加えて、減衰装置を極めて簡単な構造の装置で構成したので、安価に構成できて正確な変位を得ることができる。
本発明は複雑な補正をしなくてもよく、装置を簡単にでき、コストを低減でき、変位測定の揺れによる誤差を防ぐと共に高感度で高出力を得ることができる変位測定装置を実現した。
以下、本発明による構造物の変位測定装置を図を用いて詳細に説明する。図1は本発明の1実施例の構造物の変位測定装置を説明する図、図2はその構造物の変位測定装置を設置して変位を測定する状態を説明する断面図、図3は変位測定装置設置部の縦断面図である。
図1ないし図3に示すように、本実施形態の変位測定装置1は、構造物が工事の影響を受ける範囲を挟んだ外側に設定された固定点S1、S2の間に張架する線材2と、変位測定点C1〜C3に位置する線材2に取り付けた測定対象体3と、測定対象体3と構造物の位置の変化を測定する構造物に固定した変位計測センサ4と、測定対象体3の揺れを減衰させる減衰装置5とを備えている。
線材2は、高機能繊維からなる耐高張力線で構成され、ほぼ一直線状に張架するため張力が付与されるようにされている。耐高張力線としては、例えばピアノ線、ステンレス線、低膨張合金線等の金属線、ポリエチレン、ポリアミド等の高機能繊維等が使用される。線材2に張力を付与する方法としては、公知の方法、例えば、一端を固定し、他端に重錘を取り付ける等により張力を負荷するようにしている。
減衰装置5は、本実施例では容器6のなかに液体Lが充たされて構成されている。減衰装置の液体としては、水、有機溶液、シリコンオイル等、分類、名称の如何を問わず使用することができる。そして、減衰装置5の液体Lが充たされた容器6中に測定対象体3の一部が浸漬され、液体に接触していることにより揺れが制動減衰される。
変位計測センサ4は、 この実施例では垂直変位計測センサ4aと水平変位計測センサ4bとから構成され、位置が不動の測定対象体3に対して測定点の変位が測定されるようにされている。変位計測センサ4a、4bとしては、渦電流の変化を利用する渦電流変位計、容量の変化を利用する容量変化型センサ及び光量センサ等の距離の変化を電流の変化、受光量の変化等として計測することができるものが使用される。渦電流変位計が耐久性、精度、高出力、保守性の点で好ましい。変位計測センサ4a、4bは、同一の現象を利用する同種の装置でもよいし、異なる現象を利用する装置としてもよい。要は、変位計測センサ4a,4bと測定対象体3との距離の変化を変位として計測できるものが使用できる。
測定対象体3は、線材2に取り付けられて、固定点S1と固定点S2間で位置が不動の基準をなすものである。そして、測定対象体3に対して、測定点の変位により変位した変位計測センサ4a,4bのその変位の量を計測する。変位計測センサ4a,4bとして渦電流変位計を用いる場合は、変位計測センサ4a,4bとの距離により発生する渦電流の変化等を測定することで変位量を得る。変位計測センサ4の少なくとも検知部に対向する部分には、例えば、渦電流変位計や容量変化型では、金属体等の対応部を備えている。測定対象体3は、図1に示す例では水平対応部3aと垂直対応部3bとを備えている。水平対応部3aは変位計測センサ4aに対向し、垂直位置が変位すると水平対応部3aと変位計測センサ4aとの距離が変わり、変位を計測する。垂直対応部3bは変位計測センサ4bに対向し、水平方向位置が変位すると垂直対応部3bと変位計測センサ4bとの距離が変わり、水平方向の変位を計測する。
以下に、本発明の構造物の変位測定装置を使用して変位を測定する方法について説明する。
図2及び図3に示すように、ボックスカルバート7は地下鉄が通る構造物である。図中の符号Cはボックスカルバート7の近辺で行われるシールド工事(近接工事)の位置を示し、符号Dは、近接工事部Cの工事影響角度範囲を示している。この図で示す近接工事部Cはボックスカルバート7の長手方向と交差する方向に行われており、ボックスカルバート7の直下で行われる際の影響が大きく、変位が発生することがあり、その変位を測定するのである。
ボックスカルバート7が工事の影響を受ける工事影響範囲Dを挟んだ影響範囲外の断面でその内面壁に、固定点S1、S2を設定する。固定点S1、S2の間に線材2を張架する。線材2に張力を負荷する方法は、従来公知の方法でよい。ボックスカルバート7の工事影響範囲Dの所定の内壁に、減衰装置5の容器6を設置すると共に、水平方向の位置を略同一水準になるように会わせて変位計測センサ4a,4bを取り付ける。また、測定対象体3を変位計測センサ4a,4bに対向させて線材2に取り付ける。図1に示す例では、減衰装置5の容器6をボックスカルバート7の内壁に固定し、容器6に変位計測センサ4a,4bを測定対象体3の水平対応部3a,垂直対応部3bにそれぞれ対向させて取り付ける。そして、容器6に液体を満たすことにより、測定対象体3を減衰装置5の液体L中に浸すようにして、対応部3a、3bと減衰装置5の制動片とを同一体として構成している。
そして、例えば取り付け時の測定対象体3と変位計測センサ4a,4bの計測値を基準位置として記憶し、この測定位置から変化した位置の値と比較して変位を求める。
上記のように構成した本発明の構造物の変位測定装置1によれば、線材2が揺れても、測定対象体3を液体Lに浸しているので、液体から抵抗を受け、動きが阻害される。その結果、揺れ等の雑音をなくすことができる。測定値の精度は、液体に影響されない現象を選択するとか、影響を与えない液体を選択することによって悪くしないようにできる。
なお、本発明においては上記の説明に限られない。例えば、構造物はボックスカルバートに限られない。また、上記において変位計測センサを2方向の変位を測定するように設置した例で示したが、変位計測センサはボックスカルバートの延長している方向に直交する方向の変位や延びる方向の変位等水平面での任意の方向の変位を計測するように取り付けることもできる。また、測定対象体を減衰装置の液体中に浸すようにして、測定対象体と減衰装置とを一体に構成した例で説明したが、測定対象体と減衰装置とは別体に構成し、測定対象体とは別体に設けた減衰制動体で制動減衰を行わせるように構成しても良い。
本発明は地下鉄のボックスカルバート、鉄道用高架橋、車道用高架橋、盛土構造物、鉄道用レール、プラットホーム等のみならず、ビルディング等の構造物の変位測定に適用することができる。
本発明の構造物の変位測定装置の1実施例を示す図で、同図(a)はその側断面図、同図(b)はその断面図である。 その変位測定装置を配置する状態を示す断面図である。 変位測定装置の設置部分での縦断面図である。
符号の説明
1 構造物の変位測定装置
2 線材
3 測定対象体
3a 水平対応部
3b 垂直対応部
4a,4b 変位計測センサ
5 減衰装置
6 容器
L 液体
C1,C2,C3 測定点
S1,S2 固定点

Claims (4)

  1. 構造物が工事の影響を受ける範囲を挟んだ外側に設定された固定点の間に張架する線材と、変位測定点の該線材に取り付けた測定対象体と、該測定対象体と構造物の位置の変化を測定する構造物に固定した変位計測センサと、前記測定対象体の揺れを減衰させる減衰装置とを備えたことを特徴とする構造物の変位測定装置。
  2. 前記変位計測センサは垂直方向の変位計測センサと水平方向の変位計測センサとを備える請求項1に記載の構造物の変位測定装置。
  3. 前記変位計測センサを渦電流変位計とした請求項1又は2に記載の構造物の変位測定装置。
  4. 前記減衰装置は液体を充たした容器を有してなる請求項1ないし3のいずれか1に記載の構造物の変位測定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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