JP2006111748A - Cnf樹脂複合材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 強度、弾性率および熱伝導性のバランスがとれたCNF樹脂複合材を提供する。
【解決手段】 樹脂のマトリックス材に、実質的に平行な円筒側面を持つ炭素網の筒を多層重ねた形態を持つ同軸平行多層カーボンナノファイバと、底のないカップ形状をなす炭素網層を同軸に多数積層した形態を持つカップ積層型カーボンナノファイバとが分散した構造を有するCNF樹脂複合材とする。

Description

本発明は、マトリックス材およびフィラ材を、それぞれ樹脂およびカーボンナノファイバ(CNF)とするCNF樹脂複合材に関する。
カーボンナノファイバ(Carbon Nano-Fiber:CNF)は、従来のピッチ系若しくはPAN系の炭素繊維に比べて、その直径が一桁以上小さな炭素繊維であり、その優れた電気伝導性、熱伝導性、強度、活性度等の特性を活かして、様々な応用が期待されている。
例えば、CNFをフィラ材としてマトリックス材である樹脂と複合させた樹脂複合材は、導電性プラスチックの他、航空宇宙用構造材あるいはスポーツ用具等の高強度プラスチックとしての応用が期待されている。
一方、本願発明者の一人は、先に、気相成長法により、底のないカップ形状をなす炭素網層を多数積層した形態を持つカップ積層型カーボンナノファイバを発明した(特許文献1参照。)。このカップ積層型カーボンナノファイバは、表面の堆積層が一部除去されて、ヘリンボン構造の傾斜した炭素網層の端面を層状に露出した形態を有しており、当該露出した端面の高い活性を利用し、金属触媒を担持する触媒担体として燃料電池への応用に期待されている。
特開2002−348741号公報(特許請求の範囲、段落番号0022等)
しかし、マトリックス材に混ぜるCNFの特性によって、樹脂複合材の特性は大きく変化する。カーボンナノファイバをフィラ材とする樹脂複合材を使用する場合には、強度若しくは熱伝導性だけが高くてもその応用範囲が制限されてしまうので、強度、弾性率および熱伝導性のバランスがとれた樹脂複合材が望まれている。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、強度、弾性率および熱伝導性のバランスがとれたCNF樹脂複合材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、樹脂のマトリックス材に、実質的に平行な円筒側面を持つ炭素網の筒を同軸に多層重ねた形態を持つ同軸平行多層カーボンナノファイバと、底のないカップ形状をなす炭素網層を同軸に多数積層した形態を持つカップ積層型カーボンナノファイバとが分散した構造を有するCNF樹脂複合材としている。
カーボンナノファイバは、グラフェンシートを筒状に丸めたチューブから成る単層カーボンナノファイバ(Single Wall Carbon Nano Fiber:SWCNF)と、径の異なる複数の上記チューブを多層に積層した多層カーボンナノファイバ(Multi Wall Carbon Nano Fiber:MWCNF)とに分類される。本発明にて使用されるものは、後者のMWCNFに属する。当該MWCNFとカップ積層型カーボンナノファイバ(Cup Stacked Carbon Nano Fiber:CSCNF)とを樹脂に混ぜて作製した樹脂複合材は、MWCNFの含有に依存する高弾性率および高熱伝導性と、CSCNFの含有に依存する高強度とを兼ね備えた強度と熱特性のバランスのとれたものとなる。
また、別の本発明は、先の発明における同軸平行多層カーボンナノファイバを、繊維径100〜200ナノメートル、繊維長10〜20ミクロンの気相成長炭素繊維としたCNF樹脂複合材としている。
特に、MWCNFとして、化学気相析出(Chemical Vapor Deposition:CVD)法によって製造された、繊維径100〜200ナノメートル、繊維長10〜20ミクロンの気相成長炭素繊維(Vapor Grown Carbon nano Fiber:VGCF)を採用することにより、CNF樹脂複合材の熱伝導性は極めて高くなる。
また、別の本発明は、先の発明におけるカップ積層型カーボンナノファイバを、繊維径50〜200ナノメートルのファイバとしたCNF樹脂複合材としている。
特に、CSCNFとして、繊維径50〜200ナノメートルのファイバを採用することにより、樹脂の強度が極めて高くなる。
また、別の本発明は、先の発明における同軸平行多層カーボンナノファイバとカップ積層型カーボンナノファイバとの総量を、複合材の全重量に対して10重量部以上40重量部以下としたCNF樹脂複合材としている。
複合材に混ぜるCNFの総量の複合材全重量に対して占める割合が10重量部より小さくなると、樹脂複合材の強度の向上が顕著に見られない。このため、CNFの占める割合は、10重量部以上40重量部以下とするのが好ましい。
また、別の本発明は、先の発明における同軸平行多層カーボンナノファイバの添加重量を、カップ積層型カーボンナノファイバの添加重量よりも多くしたCNF樹脂複合材としている。同軸平行多層カーボンナノファイバの添加重量の方を多くすると、弾性率がより大きなCNF樹脂複合材が得られる。
また、別の本発明は、先の発明におけるカップ積層型カーボンナノファイバの添加重量を、同軸平行多層カーボンナノファイバの添加重量よりも多くしたCNF樹脂複合材としている。カップ積層型カーボンナノファイバの添加重量の方を多くすると、引張強度がより大きなCNF樹脂複合材が得られる。
また、別の本発明は、先の発明における樹脂を、ポリプロピレンまたはポリエーテルエーテルケトンとするCNF樹脂複合材としている。
マトリックス材となる樹脂にポリプロピレンを用いる場合、特に、弾性率の大幅な向上がみられる。また、ポリエーテルエーテルケトンを用いる場合、特に、強度の大幅な向上がみられる。その他、樹脂としてポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂を採用することもできる。
本発明によれば、強度、弾性率および熱伝導性のバランスがとれたCNF樹脂複合材を提供できる。
以下、本発明に係るCNF樹脂複合材の実施の形態について説明する。
マトリックス材となる樹脂は、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂のいずれでも良く、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニルデン樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコン樹脂、四フッ化エチレン樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、フラン樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル、メタアクリル樹脂、メチルメタアクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン等の他、いずれの種類の樹脂であっても採用可能である。
フィラ材となるカーボンナノファイバ(Carbon Nano Fiber:CNF)としては、異なる2種類のファイバが採用可能である。一つは、実質的に平行な円筒側面を持つ炭素網の筒を同軸に多層重ねた形態を持つ同軸平行多層カーボンナノファイバ(Multi Wall Carbon Nano Fiber:MWCNF)である。この種のファイバには、直径が50ナノメートル以下のカーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube:CNT)の他、それより直径の大きなファイバも含まれる。
MWCNFは、グラフェンシートを円筒状に丸めた筒が同軸に多層重なった形態を持っている。グラフェンシートとは、炭素原子がsp混成による共有結合でできた正六角形を敷き詰めるように配置した仮想の炭素平面をいう。MWCNFにおける各炭素網の筒の長さ方向は、当該筒の中心軸の方向と実質的に平行である。
MWCNFは、グラフェンシートの巻き方により、アームチェア型、ジグザグ型、キラル型の3種類のCNFに分類されるが、本発明で使用されるMWCNFは、これらいずれのCNFでも良い。
MWCNFは、アーク放電法、レーザーアブレーション法、プラズマ合成法、化学気相析出(Chemical Vapor Deposition:CVD)法等のいずれの製法により製造されたものでも採用可能である。ただし、量産に有利なCVD法により製造されたMWCNFの方が好ましい。特に、気相成長炭素繊維(Vapor Grown Carbon nano Fiber:VGCF)が好ましい。VGCFは、ベンゼンあるいはメタン等の炭化水素を700〜1100℃の温度で熱分解し、これによって生成される炭素が金属超微粒子の核として筒状に成長したファイバである。
VGCFは、基板表面への触媒用金属超微粒子の形成過程(シーディングプロセス)、金属超微粒子による細い炭素繊維の形成過程、炭素繊維上へのベンゼン等炭化水素の熱分解沈積過程という3つの過程が進行して生成されたものと考えられる。
一方、本発明のCNF樹脂複合材のフィラ材に用いられるもう一つのファイバは、カップ積層型カーボンナノファイバ(Cup Stacked Carbon Nano Fiber:CSCNF)である。このファイバは、底のないカップ形状をなす炭素網層を同軸に多数積層し、数十ナノメートル〜数十ミクロンの範囲にわたって節のない中空状のファイバである。この種のファイバも、直径および軸方向の長さに制限はなく、いかなる大きさのものも含む。
また、CSCNF(以後、単に、「CS」と称する。)の製法も、いかなる製法で製造されたものをも含む。特に、CSとしては、CVD法により製造されたものが好ましい。CSは、ベンゼンを水素気流中にて約1100℃の温度で熱分解して生成される炭素が、フェロセンを触媒として成長したファイバである。
本発明のCNF樹脂複合材は、上述の樹脂をマトリックス材とし、上述の異なる形態を持つ2種類のカーボンナノファイバをフィラ材として複合し成形される。熱可塑性樹脂をマトリックス材とする場合には、当該CNF樹脂複合材は、例えば、射出成形法、プレス成形法、トランスファ成形法、オートクレーブ成形法により製造される。
射出成形法は、加熱溶融させた材料を金型内に射出注入し、冷却・固化させることによって成形品を得る方法である。本発明のCNF樹脂複合材を製造する場合には、まず、樹脂とフィラ材とをよく混合して、これを射出成形機の射出ユニットに投入する。射出ユニットには、ヒータが組み込まれており、この内部にて樹脂とフィラ材とが加熱溶融される。加熱溶融時の温度は、樹脂の溶融する温度に基づいて適宜決定される。この溶融した状態の樹脂複合材を成形ユニットにエジェクトすることによって、その成形ユニットの金型形状どおりの複合材が得られる。
プレス成形法は、シート状の成形材料を金型の中で加熱,加圧して成形品を得る方法である。本発明のCNF樹脂複合材を製造する場合には、樹脂とフィラ材とを混合してから一次成形し、その一次成形品を金型内で加熱および加圧して成形品を得る。
オートクレーブ成形法は、加圧加熱釜の中で樹脂を硬化させる方法である。本発明のCNF樹脂複合材を製造する場合には、樹脂とフィラ材とを混合し、これを加圧加熱釜内に入れて硬化する。
一方、マトリックス材が熱硬化性樹脂の場合には、例えば、射出成形の他、圧縮成形、トランスファ成形等の方法が採用可能である。熱硬化性樹脂は、加熱により固化するので、射出成形とはいっても、熱可塑性樹脂の場合と異なり、粉またはペレット状の樹脂材料をフィラ材とよく混合してから、加熱された金型に射出することにより得られる。
圧縮成形を採用する場合には、樹脂とフィラ材とを良く混ぜた状態のものを金型のキャビティ内にて溶かし、圧縮硬化させる。トランスファ成形を採用する場合には、樹脂とフィラ材をポットで溶かして、スプル、ランナあるいはゲートから加熱した金型のキャビティに圧入して硬化させる。
成形後に得られたCNF樹脂複合材は、その一部を切り出して、引張強度、弾性率および熱伝導率の各種評価に供される。熱伝導率は、レーザーフラッシュ法により測定される。この方法は、レーザ発振器から発射されたレーザ光を試料表面に当て、試料の裏側から出てくる熱量とその時間とから、熱伝導率を求める方法である。引張強度および弾性率は、1つの試験片から測定可能である。ただし、別々の試験片から測定しても良い。
次に、本発明のCNF樹脂複合材の実施例について説明する。
本発明の実施例に係るCNF樹脂複合材のマトリックス材には、ポリエーテルエーテルケトン(Poly-ether-ether-kethone:PEEK)とポリプロピレン(Polypropylene:PP)の2種類の樹脂を用いた。PEEKにはビクトレックス・エムシー(株)製の450PF(商品名)を、また、PPには日本ポリケム(株)製のMA3(商品名)を、それぞれ用いた。
表1には、フィラ材に用いたCNFの特性を示す。MWCNFには、平均直径100〜150nm、長さ10〜20μm、真密度2.0g/cmのVGCF(昭和電工(株)製)を用いた。また、CSには、平均直径50〜200nm、真密度2.1g/cmのCS(((株)GSIクレオス製、商品名:カルベール24PS)を用いた。
Figure 2006111748
熱可塑性樹脂を射出成形する場合、一般的に、粒状に成形されたペレットが用いられる。ここでは、ペレットの作製に、ラボプラストミル50MR((株)東洋精機製作所製)および2軸押出機KZW15−4560MG−SUS−MC((株)テクノベル製)を用いた。
射出成形は、粒状のペレットにフィラ材を混ぜてから、プラスチック射出成形機PS40−5H(日精樹脂工業(株)製)を用いて実施した。フィラ材は、VGCFとCSを1:1の重量比とした。評価に使用するCNF樹脂複合材は、その全重量に対して0〜50重量%の範囲でフィラ材の配合量を変化させて作製した。
射出成形により得られたCNF樹脂複合材の一部は、熱伝導率、弾性率および引張強度の各種特性評価に供した。熱伝導率は、アルバック理工株式会社製のレーザーフラッシュ法熱定数測定装置ULVAC TC−7000を用いたレーザーフラッシュ法により測定した。引張強度と弾性率は、JIS−K−7139 1号試験片を用いる一軸引張試験により測定した。具体的には、クロスヘッド速度を1.0mm/minとして、50mm標点間の伸びを計測すると共に、ひずみゲージを用いて試験片中央の2軸方向のひずみを測定した。そして、得られた試験データより、応力−ひずみ線図を作製し、引張強度と弾性率の計測を行った。なお、予備的な試験として、VGCFのみあるいはCSのみを樹脂(PEEKおよびPP)に混ぜた樹脂複合材を作製し、その特性も評価した。
(一種類のCNFをフィラ材とした樹脂複合材の特性評価)
図1は、PEEKにVGCFのみを複合させて作製した樹脂複合材(PEEK/VGCF)およびPEEKにCSのみを複合させて作製した樹脂複合材(PEEK/CS)のCNF含有率(wt%)と熱伝導率(W/m・K)との関係を示すグラフである。
図1に示すように、2種の樹脂複合材共に、CNF含有率の上昇に伴い熱伝導率も上昇することがわかった。また、PEEK/CSよりも、PEEK/VGCFの方が、熱伝導率の上昇率が格段に高いことがわかった。
図2は、PEEK/VGCF、PEEK/CS、PPにVGCFのみを複合させて作製した樹脂複合材(PP/VGCF)およびPPにCSのみを複合させて作製した樹脂複合材(PP/CS)の4種樹脂複合材のCNF含有率(wt%)と引張強度(MPa)との関係を示すグラフである。また、図3は、同じ4種樹脂複合材のCNF含有率(wt%)と弾性率(GPa)との関係を示すグラフである。
図2に示すように、マトリックス材にPEEKおよびPPのいずれを使用しても、CNF含有率の上昇に伴い引張強度が向上することがわかった。また、マトリックス材に依らず、CSをフィラ材として使用した樹脂複合材の方が、VGCFをフィラ材とした樹脂複合材よりも引張強度が高くなることがわかった。さらに、PEEKをマトリックス材とする方が、フィラ材含有率に対する強度の向上率が顕著であることもわかった。
図3に示すように、マトリックス材にPEEKおよびPPのいずれを使用しても、CNF含有率の上昇に伴い弾性率が向上することがわかった。また、マトリックス材に依らず、VGCFをフィラ材として使用した樹脂複合材の方が、CSをフィラ材とした樹脂複合材よりも弾性率が高くなることがわかった。さらに、PPをマトリックス材とする方が、フィラ材含有率に対する弾性率の向上率が若干高めであることもわかった。
図1、図2および図3に示す結果から、高熱伝導率および高弾性率の樹脂複合材を得るためには、VGCFをフィラ材とする必要があることがわかる。一方、引張強度の高い樹脂複合材を得るためには、CSをフィラ材とする必要があることがわかる。したがって、熱伝導率、弾性率および引張強度が共に優れた樹脂複合材を得るには、VGCFとCSの両者をフィラ材とする必要があると考えられる。
(VGCFとCSとをフィラ材とした樹脂複合材の特性評価)
図4は、PEEKにVGCFとCSを複合させて作製した樹脂複合材(PEEK/VGCF+CS)およびPPにVGCFとCSを複合させて作製した樹脂複合材(PP/VGCF+CS)のCNF含有率(wt%)と熱伝導率(W/m・K)との関係を示すグラフである。
図4に示すように、2種の樹脂複合材共に、CNF含有率の上昇に伴い熱伝導率が向上することがわかった。また、CSのみならずVGCFを加えることにより、熱伝導率の上昇率が格段に高くなることがわかった。
図5は、PEEK/VGCF+CSおよびPP/VGCF+CSのCNF含有率(wt%)と引張強度(MPa)との関係を示すグラフである。また、図6は、同樹脂複合材のCNF含有率(wt%)と弾性率(GPa)との関係を示すグラフである。
図5に示すように、マトリックス材にPEEKおよびPPのいずれを使用しても、CNF含有率が40重量%に至るまでは、CNF含有率の上昇に伴い引張強度が向上することがわかった。また、図6に示すように、マトリックス材にPEEKおよびPPのいずれを使用しても、CNF含有率の上昇に伴い弾性率が向上することがわかった。特に、マトリックス材にPPを用いると、弾性率の向上率が若干高いことがわかった。
図4、図5および図6に示す結果から、VGCFとCSの総含有率を10〜40重量%とすることにより、熱伝導率、引張強度および弾性率が共に優れたCNF樹脂複合材を得ることができることがわかる。また、先に示した図1〜図3の結果と比較すると、VGCFあるいはCSだけをフィラ材とした複合材と特定の評価だけをみると、低い評価となるものの、VGCFとCSとをフィラ材とすることにより、熱伝導率、引張強度、弾性率のバランスがとれた樹脂複合材が得られることがわかった。
図7は、PEEK/VGCF+CS中のCNF含有率(wt%)を20wt%とし、VGCFとCSの重量比のみを変化させたときの引張強度(MPa)の変化を示すグラフである。また、図8は、図7に示す樹脂複合材の弾性率(GPa)の変化を示すグラフである。両図中の点線は、フィラ材を添加しない純粋なPEEKの特性を示す。
図7に示す結果から明らかなように、CSの添加重量が多くなるほど、引張強度が大きくなることがわかった。また、図8に示す結果から明らかなように、VGCFの添加重量が多くなるほど、弾性率が大きくなることがわかった。したがって、引張強度を重視する場合には、添加するCNF中に占めるCSの割合を多くしたCNF樹脂複合材を用いれば良く、弾性率を重視する場合には、添加するCNF中に占めるVGCFの割合を多くしたCNF樹脂複合材を用いれば良い。
本発明は、エンジニアリングプラスチックのように、機械的特性を必要とされる樹脂構造部材に適用可能である。
本発明の実施例において、PEEKにVGCFのみを複合させて作製した樹脂複合材(PEEK/VGCF)およびPEEKにCSのみを複合させて作製した樹脂複合材(PEEK/CS)のCNF含有率と熱伝導率との関係を示すグラフである。 本発明の実施例において、PEEK/VGCF、PEEK/CS、PPにVGCFのみを複合させて作製した樹脂複合材(PP/VGCF)およびPPにCSのみを複合させて作製した樹脂複合材(PP/CS)の4種樹脂複合材のCNF含有率と引張強度との関係を示すグラフである。 本発明の実施例において、図2に使用される同種の樹脂複合材のCNF含有率と弾性率との関係を示すグラフである。 本発明の実施例において、PEEKにVGCFとCSを複合させて作製した樹脂複合材(PEEK/VGCF+CS)およびPPにVGCFとCSを複合させて作製した樹脂複合材(PP/VGCF+CS)のCNF含有率と熱伝導率との関係を示すグラフである。 本発明の実施例において、PEEK/VGCF+CSおよびPP/VGCF+CSのCNF含有率と引張強度との関係を示すグラフである。 本発明の実施例において、図5に使用される同種の樹脂複合材のCNF含有率と弾性率との関係を示すグラフである。 本発明の実施例において、PEEK/VGCF+CS中のCNF含有率(wt%)を20wt%とし、VGCFとCSの重量比のみを変化させたときの引張強度(MPa)の変化を示すグラフである。 本発明の実施例において、図7に示す樹脂複合材の弾性率(GPa)の変化を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 樹脂のマトリックス材に、
    実質的に平行な円筒側面を持つ炭素網の筒を同軸に多層重ねた形態を持つ同軸平行多層カーボンナノファイバと、
    底のないカップ形状をなす炭素網層を同軸に多数積層した形態を持つカップ積層型カーボンナノファイバと、
    が分散した構造を有することを特徴とするCNF樹脂複合材。
  2. 前記同軸平行多層カーボンナノファイバは、繊維径が100〜200ナノメートル、繊維長が10〜20ミクロンである気相成長炭素繊維であることを特徴とする請求項1記載のCNF樹脂複合材。
  3. 前記カップ積層型カーボンナノファイバは、繊維径が50〜200ナノメートルであることを特徴とする請求項1または2記載のCNF樹脂複合材。
  4. 前記同軸平行多層カーボンナノファイバと前記カップ積層型カーボンナノファイバとの総量は、複合材の全重量に対して10重量部以上40重量部以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のCNF樹脂複合材。
  5. 前記同軸平行多層カーボンナノファイバの添加重量は、前記カップ積層型カーボンナノファイバの添加重量よりも多いことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のCNF樹脂複合材。
  6. 前記カップ積層型カーボンナノファイバの添加重量は、前記同軸平行多層カーボンナノファイバの添加重量よりも多いことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のCNF樹脂複合材。
  7. 前記樹脂は、ポリプロピレンまたはポリエーテルエーテルケトンであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載のCNF樹脂複合材。
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