JP2006104262A - ポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリエステル系樹脂成形体の使用期間終了後において、生分解を促進して短時間での分解を可能とし、併せて、分解処理される地域の気候風土や土壌質、及び季節等による影響も少ない、ポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法を提供する。
【解決手段】ポリエステル系樹脂成形体を分解処理するにあたり、該成形体表面に、該成形体を構成するポリエステル系樹脂の分解能を有し、エステル結合の分解速度が増すようにアミノ酸配列を改変したフミコラ・インソレンス (Humicola・insolens)由来の加水分解酵素を、15〜65℃の温度条件下で接触させるポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法。
【解決手段】ポリエステル系樹脂成形体を分解処理するにあたり、該成形体表面に、該成形体を構成するポリエステル系樹脂の分解能を有し、エステル結合の分解速度が増すようにアミノ酸配列を改変したフミコラ・インソレンス (Humicola・insolens)由来の加水分解酵素を、15〜65℃の温度条件下で接触させるポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法。
Description
本発明は、ポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法に関し、更に詳しくは、ポリエステル系樹脂成形体の使用期間終了後において、生分解を促進して短時間での分解を可能とするポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法に関する。
近年、合成樹脂成形体の使用期間終了後の埋め立て廃棄処理に伴う環境蓄積による環境の悪化等の問題に対して、土壌中の微生物や酵素等で分解する生分解性樹脂の使用が注目されており、その生分解性樹脂として、従来より、例えば、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸との重縮合体や、脂肪族ヒドロキシカルボン酸の重縮合体等の脂肪族ポリエステルに代表されるポリエステル系樹脂が知られている。
ところが、従来の生分解性ポリエステル系樹脂は、生分解速度が未だ不十分で、本格的な実用化には到り得ておらず、その生分解速度を分解酵素等の面から改良する方法として、例えば、ポリカプロラクトンをシュードモナス・エスピー・2665株(Pseudomonas sp.2665)又はこの菌株が体外に分泌する酵素を用いて分解処理する方法(特許文献1参照。)、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−3−ヒドロキシ吉草酸)共重合体をシュードモナス・テストステロニ (Pseudomonas testosteroni)種に属する微生物又はこの微生物が体外に分泌する酵素を用いて分解処理する方法(特許文献2参照。)、脂肪族ポリエステルをバクテロイデス(Bacteroides)属の嫌気性細菌を含む微生物群を用いて分解処理する方法(特許文献3参照。)、脂肪族ポリエステルを、ムーコル(Mucor)属、フミコラ(Humicola)属、テルモミセス(Thermomyces)属、タラロミセス(Talaromyces)属、ケトミウム(Chaetomium)属、トルラ(Torula)属、スポロトリクム(Sporotrichum)属、又はマルブランケア(Malbranchea)属に属する糸状菌を用いて分解処理する方法(特許文献4参照。)、ポリブチレンサクシネートをアシドボラックス(Acidovorax)属微生物が生産したエステラーゼを用いて分解処理する方法(特許文献5参照。)、ポリブチレンサクシネートをミクロビスポラ(Microbispora)属に属する放射菌を用いて分解処理する方法(特許文献6参照。)、ポリエステルアミド類やポリエステルウレタン類等をカンジダ・アンタルクチカ(Candida antarctica)のリパーゼ、ムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)のリパーゼ、黒色アスペルギルス(Aspergillus)のリパーゼ、及びフミコラ・インソレンス(Humicola insolens)のクチナーゼからなる群より選択される1種以上を用いて分解処理する方法(特許文献7参照。)、脂肪族ポリエステルをリゾプス・デレマー(Rhizopus delemer)のリパーゼを用いて分解処理する方法(特許文献8、特許文献9参照。)、及び、ポリエステルをクチナーゼの変異体を用いて分解処理する方法(特許文献10、特許文献11参照。)等、多数の提案がなされている。
しかしながら、これらの方法によっても、成形加工性、及び成形体としての機械的強度等を保持したポリエステル系樹脂成形体としては、依然として生分解速度自体が十分ではなく、又、廃棄処理される地域の気候風土や土壌質、及び季節等によって分解速度に差が生じる等の問題もあって、それらの点の早期の解決が求められているのが現状である。
特開平6−319532号公報
特開平6−319533号公報
特開平6−253865号公報
特開平10−117768号公報
特開平11−225755号公報
特開2001−226518号公報
特表2001−512504号公報
特開2002−348406号公報
特開2003−41407号公報
特表2003−520016号公報
特表2003−534797号公報
本発明は、前述の従来技術に鑑みてなされたもので、ポリエステル系樹脂成形体の使用期間終了後において、生分解を促進して短時間での分解を可能とし、併せて、分解処理される地域の気候風土や土壌質、及び季節等による影響も少ない、ポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、ポリエステル系樹脂成形体を分解処理する方法において、該成形体表面に、該成形体を構成するポリエステル系樹脂の分解能を有し、エステル結合の分解速度が増すようにアミノ酸配列を改変したフミコラ・インソレンス(Humicola・insolens)由来の加水分解酵素を、15〜65℃の温度条件下で接触させるポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法、を要旨とする。
本発明によれば、ポリエステル系樹脂成形体の使用期間終了後において、ポリエステル系樹脂成形体の生分解を促進して短時間での分解を可能とし、併せて、分解処理される地域の気候風土や土壌質、及び季節等による影響も少ない、ポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法を提供することができる。
以下に本発明のポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
本発明のポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法におけるポリエステル系樹脂としては、特に限定されるものではなく、この種分野において従来公知のポリエステル系樹脂の中で成形加工性、及び成形体としての機械的強度等を有する樹脂であればよいが、中で、例えば、脂肪族或いは脂環式ジオールと脂肪族或いは脂環式ジカルボン酸若しくはその誘導体との重縮合体及び共重縮合体、脂肪族或いは脂環式ヒドロキシカルボン酸の重縮合体及び共重縮合体、ラクトンの重縮合体及び共重縮合体、並びに、これらのジオールとジカルボン酸、及びヒドロキシカルボン酸、ラクトン等の共重縮合体等の脂肪族或いは脂環式ポリエステル樹脂が好適なものとして挙げられ、又、これら樹脂の2種以上の混合物であってもよい。
ここで、その脂肪族或いは脂環式ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール等が挙げられ、これらの中で、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが好ましく、1,4−ブタンジオールが特に好ましい。
又、その脂肪族或いは脂環式ジカルボン酸としては、具体的には、例えば、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、及び、これらジカルボン酸の炭素数1〜4程度のアルキルエステル、無水物等の誘導体等が挙げられ、こらの中で、琥珀酸、アジピン酸が好ましく、琥珀酸が特に好ましい。
又、その脂肪族或いは脂環式ヒドロキシカルボン酸としては、具体的には、例えば、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−n−酪酸、3−ヒドロキシ−n−酪酸、4−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−n−吉草酸、3−ヒドロキシ−n−吉草酸、4−ヒドロキシ−n−吉草酸、5−ヒドロキシ−n−吉草酸、2−ヒドロキシ−n−カプロン酸、2−ヒドロキシ−i−カプロン酸、3−ヒドロキシ−n−カプロン酸、4−ヒドロキシ−n−カプロン酸、5−ヒドロキシ−n−カプロン酸、6−ヒドロキシ−n−カプロン酸等が挙げられ、これらの中で、グリコール酸、乳酸が好ましい。又、そのラクトンとしては、具体的には、例えば、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、ラウロラクトン等が挙げられ、これらの中で、カプロラクトンが好ましい。
これらのポリエステル系樹脂の中で、本発明においては、脂肪族或いは脂環式ジオールと脂肪族或いは脂環式ジカルボン酸とを主成分とする重縮合体及び共重縮合体が好ましく、脂肪族或いは脂環式ジオールと脂肪族或いは脂環式ジカルボン酸と、脂肪族或いは脂環式オキシカルボン酸又は/及びラクトンとからなる共重縮合体等の脂肪族或いは脂環式ポリエステル樹脂が特に好ましい。
更に、脂肪族或いは脂環式ジオールに由来する構成単位が、炭素数2〜10の脂肪族ジオールに由来する単位、或いは炭素数3〜10の脂環式ジオールに由来する単位であり、脂肪族或いは脂環式ジカルボン酸に由来する構成単位が、炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸に由来する単位、或いは炭素数3〜12の脂環式ジカルボン酸に由来する単位であるのが好ましく、又、脂肪族或いは脂環式オキシカルボン酸に由来する構成単位が、炭素数2〜12の2−ヒドロキシアルカン酸に由来する単位であるのが好ましい。更に、脂肪族或いは脂環式ジオールに由来する構成単位が1,4−ブタンジオールに由来する単位であり、脂肪族或いは脂環式ジカルボン酸に由来する構成単位が琥珀酸に由来する単位であり、脂肪族或いは脂環式オキシカルボン酸に由来する構成単位が乳酸又はグリコール酸に由来する単位である脂肪族ポリエステル樹脂が特に好ましい。
又、その脂肪族或いは脂環式ポリエステル樹脂としては、成形加工性、及び成形体としての機械的強度、並びに生分解性等の面から、脂肪族或いは脂環式ジオールに由来する構成単位の下限が通常35モル%以上、好ましくは40モル%以上、より好ましくは45モル%以上、上限が通常49.99モル%以下、好ましくは49.75モル%以下、より好ましくは49.5モル%以下であり、脂肪族或いは脂環式ジカルボン酸に由来する構成単位の下限が通常35モル%以上、好ましくは40モル%以上、より好ましくは45モル%以上、上限が通常49.99モル%以下、好ましくは49.75モル%以下、より好ましくは49.5モル%以下であり、脂肪族或いは脂環式オキシカルボン酸に由来する構成単位の下限が通常0.02モル%以上、好ましくは0.5モル%以上、より好ましくは1モル%以上、上限が通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下のものである。
尚、前記脂肪族或いは脂環式ポリエステル樹脂としては、共重合成分として、例えば、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオール、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、及び、ヒドロキシ安息香酸等の芳香族オキシカルボン酸、並びに、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、没食子酸、及び、林檎酸、枸櫞酸、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の三官能以上の多官能成分を、全成分に対して5モル%以下の量の構成単位として含んでいてもよく、これらの前記脂肪族或いは脂環式ポリエステル樹脂は、例えば、特開平8−239461号公報等に記載される公知の方法により製造される。
又、前記脂肪族或いは脂環式ポリエステル樹脂としては、ジイソシアネート、ジフェニルカーボネート、ジオキサゾリン、ジイミド、エポキシ化合物、ポリエーテル化合物等に基づく結合により鎖延長されていてもよく、又、過酸化物の添加により溶融張力を高めるとか、スルホン基、燐酸基、硝酸基、アミノ基等の親水性基含有化合物、例えば、4−スルホン−2,6−イソフタル酸等、の添加により親水性を付与したものであってもよい。
又、本発明におけるポリエステル系樹脂の分子量としては、成形加工性、及び成形体としての機械的強度、並びに生分解性等の面から、数平均分子量で1万〜20万であるのが好ましく、1.5万〜10万であるのが更に好ましく、2万〜8万であるのが特に好ましい。
又、本発明における前記ポリエステル系樹脂は、樹脂成形体に通常用いられる酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、離型剤、防曇剤、核剤、可塑剤、着色剤、充填材等が含有されていてもよい。
本発明におけるポリエステル系樹脂成形体としては、特に限定されるものではなく、例えば、フィルム状、シート状、繊維状、トレイ状、ボトル状、パイプ状、その他特定形状等を有する、例えば、包装用資材、農業用資材、土木用資材、建築用資材、漁業用資材、自動車部品、家電部品、その他工業用資材等の各種のものが挙げられ、これらは、熱可塑性樹脂の通常の溶融成形法、例えば、押出成形、圧縮成形、射出成形、中空成形、回転成形等、並びに、更にそれらに熱成形、延伸成形、発泡成形等の二次成形法を適用して成形されたものである。
これらの中で、本発明におけるポリエステル系樹脂成形体としては、多量の廃棄量が発生する、例えば、包装用フィルム、袋、トレイ、ボトル、緩衝用発泡体、魚箱等の包装用資材、例えば、マルチングフィルム、トンネルフィルム、ハウスフィルム、日覆い、畦シート、発芽シート、植生マット、育苗床、植木鉢等の農業用資材、例えば、注射器、輸液バッグ、点滴筒等の医療機器、特に宅医療用医療機器、例えば、自動車内装材、フロアマット、エンジンルーム部品、バンパー、ホイールカバー等の自動車部品、例えば、家電機器筐体等の家電部品等であるのが好ましく、特に、土壌に近い状態で用いられる農業用資材であるのが好ましい。
本発明において、これらの成形体としては、成形体としての機械的強度、及び生分解性等の面から、厚さの下限が通常1μm、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上であり、上限が通常20mm以下、好ましくは10mm以下、より好ましくは1mm以下の範囲のものである。
又、これらの成形体の引張破壊強さは、下限が通常200kg/cm2以上、好ましくは250kg/cm2以上、特に好ましくは300kg/cm2以上であり、上限が通常1,000kg/cm2以下、好ましくは800kg/cm2以下、特に好ましくは500kg/cm2以下である。又、引張破壊伸びは、下限が通常1%以上、好ましくは100%以上、特に好ましくは200%以上であり、上限が通常600%以下、好ましくは500%以下、特に好ましくは400%以下である。
本発明のポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法は、前記ポリエステル系樹脂成形体を分解処理する方法において、該成形体表面に、該成形体を構成するポリエステル系樹脂の分解能を有し、エステル結合の分解速度が増すようにアミノ酸配列を改変したフミコラ・インソレンス (Humicola・insolens) 由来の加水分解酵素を、15〜65℃の温度条件下で接触させることを特徴とする。
本発明のポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法において、該成形体を構成するポリエステル系樹脂の分解能を有する酵素としては、エステル結合を加水分解する酵素である(広義の)エステラーゼであって、更に分解する基質によってクチナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、リゾホスホリパーゼ、(狭義の)エステラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、ペプチナーゼ、ペクチナーゼ、グルコアミラーゼ、セリンハイドロラーゼ、キシラナーゼ等と称される加水分解酵素が挙げられ、これらは2種以上が併用して用いられてもよい。これらの酵素の中で、クチナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、リゾホスホリパーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼが好ましく、クチナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、リゾホスホリパーゼが更に好ましく、クチナーゼ、リパーゼが特に好ましい。
本発明においては、これらの中で、タンパク工学等の手法により、エステル結合の分解速度が増すようにアミノ酸配列を改変したフミコラ・インソレンス(Humicola・insolens)由来の加水分解酵素を用いることを必須とする。アミノ酸配列を改変したフミコラ・インソレンス(Humicola・insolens)由来の加水分解酵素は、エステル結合への分解反応の触媒作用が向上し、ポリエステル系樹脂のエステル結合を特異的に速く分解するので、ポリエステル系樹脂を比較的温和な温度条件下で著しく短い時間で分解し、該樹脂の強度を所望の程度まで低下させることが可能となる。
アミノ酸配列を改変したフミコラ・インソレンス由来の酵素とは、フミコラ・インソレンスに存在している対応遺伝子(親遺伝子)を突然変異させるか、又はフミコラ・インソレンスから直接的又は間接的に得た対応遺伝子を突然変異させてから微生物に移入(導入)させて、対応する未変異遺伝子の遺伝子産物である親酵素とは1ヶ所以上の場所で異なるアミノ酸配列を有する酵素をコードする突然変異遺伝子を有する宿主微生物によって産出される酵素であって、本発明においては、突然変異遺伝子の一部分を構成している宿主微生物がフミコラ・インソレンス(Humicola・insolens)の菌株であり、又は、アスペルギルス・オリゼの菌株であってもよい。
そして、本発明において、例えば、フミコラ・インソレンス DSM1800菌株のクチナーゼについて、アミノ酸やアミノ酸残基を1文字及び3文字で以下の略字で示したときのアミノ酸配列を以下に示す。
A=Ala=アラニン V=Val=バリン
L=Leu=ロイシン I=Ile=イソロイシン
P=Pro=プロリン F=Phe=フェニルアラニン
W=Trp=トリプトファン M=Met=メチオニン
G=Gly=グリシン S=Ser=セリン
T=Thr=トレオニン C=Cys=システイン
Y=Tyr=チロシン N=Asn=アスパラギン
Q=Gln=グルタミン D=Asp=アスパラギン酸
E=Glu=グルタミン酸 K=Lys=リシン
R=Arg=アルギニン H=His=ヒスチジン
L=Leu=ロイシン I=Ile=イソロイシン
P=Pro=プロリン F=Phe=フェニルアラニン
W=Trp=トリプトファン M=Met=メチオニン
G=Gly=グリシン S=Ser=セリン
T=Thr=トレオニン C=Cys=システイン
Y=Tyr=チロシン N=Asn=アスパラギン
Q=Gln=グルタミン D=Asp=アスパラギン酸
E=Glu=グルタミン酸 K=Lys=リシン
R=Arg=アルギニン H=His=ヒスチジン
そして、本発明における、アミノ酸配列を改変したフミコラ・インソレンス由来の加水分解酵素は、例えば、前記フミコラ・インソレンス DSM1800菌株のクチナーゼにおいて、前記アミノ酸配列のおける、Q1、L2、A4、E6、G8、E10、S11、A14、N15、A16、F24、T29、V38、N44、L46、E47、S48、H49、R51、D63、L66、A88、N91、S116、S119、G120、A130、L138、Q139、T164、T166、L167、I168、I169、L174、I178、E179、又はR189位の一つ又は複数のアミノ酸残基に変異を導入して改変したものであり、この酵素の詳細については、前記特許文献10及び11に詳細に記載されている。
本発明のポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法において、前記酵素を前記ポリエステル系樹脂成形体に接触せしめるには、前記酵素を、該酵素濃度が0.1〜2,000ppmの酵素含有液として、前記ポリエステル系樹脂成形体の表面に噴霧、散布、或いは塗布することにより、成形体に酵素を接触させるのが好ましい。
その際の酵素含有液の液媒としては、水、又は、水と、イソオクタン、シクロヘキサン等の脂肪族或いは脂環式炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、エタノール等のアルコール系溶媒、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒等の有機溶媒との混合物等が用いられるが、水/有機溶媒混合物を用いるとしてもその際の有機溶媒量を10重量%以下とするのが好ましく、水のみとするのが特に好ましい。
前記酵素含有液における酵素(固形分)の濃度としては、下限が通常0.1ppm以上、好ましくは1ppm以上、より好ましくは10ppm以上、特に好ましくは50ppm以上であり、上限が通常2,000ppm以下、好ましくは1,000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、特に好ましくは300ppm以下である。酵素の濃度が低すぎると、ポリエステル系樹脂成形体の分解反応速度が不十分となる傾向となり、高すぎると、分解反応速度が飽和し経済的不利を招くこととなる。
又、前記酵素含有液には、pHを安定化させるための緩衝剤を含有させるのが好ましく、その緩衝剤としては、例えば、燐酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、硼酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、蓚酸塩、琥珀酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、枸櫞酸塩、フタル酸塩等の有機酸塩、及びトリスヒドロキシメチルメタン、グリシルグリシン、イミダゾール、ジエタノールアミン等の1種又は2種以上が挙げられるが、中で、ポリエステル系樹脂成形体の分解反応性、及び、土壌中でのポリエステル系樹脂成形体の分解処理における土壌への影響等の面から、燐酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩等の無機アルカリ塩が好ましく、炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩が特に好ましい。
前記酵素含有液における前記緩衝剤の含有量としては、下限が通常0.001重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、更に好ましくは0.1重量%以上であり、上限が通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。緩衝剤の含有量が少なすぎる或いは多すぎる場合共、後述する酵素含有液のpHを最適範囲に保つことが困難な傾向となる。
又、前記酵素含有液は、pHの下限が通常7以上、好ましくは7.5以上、より好ましくは8以上であり、上限が通常9以下、好ましくは8.5以下、より好ましくは8.4以下である。酵素含有液のpHが小さすぎると、ポリエステル系樹脂成形体の分解反応速度が低下する傾向となり、一方、大きすぎると、取り扱い上の安全性に問題が生じる傾向となる。
以上の酵素含有液を、前記ポリエステル系樹脂成形体の表面に噴霧、散布、或いは塗布することにより、成形体に酵素を接触させる際の該成形体表面への酵素の量は、成形体の単位面積当たりの酵素(固形分)の量として、下限が通常0.01mg/m2以上、好ましくは0.1mg/m2以上、より好ましくは0.2mg/m2以上、上限が通常1,000mg/m2以下、好ましくは100mg/m2以下、より好ましくは50mg/m2以下とするのがよい。
その際、酵素含有液のポリエステル系樹脂成形体表面への接触を確実とし、且つ、接触を維持するために、酵素含有液には、更に、展着剤、保水剤、界面活性剤等を添加するのが好ましい。
その展着剤としては、パラフィン被膜を形成することで、酵素含有液の被膜層を厚くし、付着量を多くして固着性を高め、更には水分の蒸散を抑制する機能を有するパラフィン系展着剤、表面張力を下げて酵素含有液の湿展性(表面に広がる力)を上げる機能を有するノニオン性界面活性剤系展着剤、酵素含有液中での酵素の分散性を上げる機能を有するアニオン性界面活性剤系展着剤、酵素含有液の付着性を増強する機能を有するカチオン性界面活性剤系展着剤等が挙げられるが、これらの中で、特に、パラフィン系展着剤が好ましい。これらの展着剤は、1種を単独で用いても良く、可能な組み合わせで2種以上を組み合わせて用いても良い。
パラフィン系展着剤としては、八洲化学社より「ヤシマステッケル」、アビオン化学研究所社より「アビオン−E」、サンケイ化学社より「サンケイチック」、アグロ・カネショウ社より「ペタンV」、大原パラヂウム社より「バンガードA」、三和化学社より「キクノー」、ヤシマ産業社より「スルエート24」等の各商品名で市販されているものを用いることができる。
前記酵素含有液における前記パラフィン系展着剤の含有量は、下限が通常0.001容量%、好ましくは0.002容量%以上、上限が通常10容積%以下、好ましくは1容積%以下とするのよい。
本発明のポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法において、前記ポリエステル系樹脂成形体表面に前記加水分解酵素を接触させる際の温度条件は、下限が15℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは25℃以上であり、上限が65℃以下、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下とする。この温度が低すぎると、ポリエステル系樹脂成形体の分解反応速度が著しく低下することとなり、一方、高すぎると、成形体表面の酵素含有液の液媒が蒸発して分解反応が停止してしまうこととなる。
本発明において、ポリエステル系樹脂成形体と酵素との接触時間は、下限が通常30分以上、好ましくは1時間以上、より好ましくは6時間以上、上限が通常1週間以下、好ましくは3日以下、より好ましくは2日以下である。
本発明のポリエステル系樹脂の分解処理方法は、前記樹脂成形体表面に前記酵素を接触させて、所定の時間を経過させるだけで十分に材料強度を低下せしめることが可能であるが、接触せしめた後に、土壌中への埋め立て、土壌への混入、堆肥への混入等によって埋め立てることにより、生分解を更に促進させることができる。尚、特に肉厚の成形体の場合、分解処理前に破砕するのが好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
1,4−ブタンジオールに由来する構成単位47.8モル%、琥珀酸に由来する構成単位47.8モル%、及び乳酸に由来する構成単位4.4モル%からなり、数平均分子量が69,000の脂肪族ポリエステル樹脂を用い、環状ダイを備えた押出機によりインフレーションフィルム成形し、得られたチューブを切開することにより厚み20μmのフィルムを成形した。得られたフィルムについて、JIS K7127に準拠して引張試験を行ったところ、引張破壊強さは350kg/cm2、引張破壊伸びは300%であった。
1,4−ブタンジオールに由来する構成単位47.8モル%、琥珀酸に由来する構成単位47.8モル%、及び乳酸に由来する構成単位4.4モル%からなり、数平均分子量が69,000の脂肪族ポリエステル樹脂を用い、環状ダイを備えた押出機によりインフレーションフィルム成形し、得られたチューブを切開することにより厚み20μmのフィルムを成形した。得られたフィルムについて、JIS K7127に準拠して引張試験を行ったところ、引張破壊強さは350kg/cm2、引張破壊伸びは300%であった。
このフィルムから35cm×20cmの大きさに切り取ったフィルム試験片表面に、加水分解酵素として、前記特許文献11の実施例1に記載されるクチナーゼ変異体で、ノボザイムズ社が供給している実験品「NS44118」を用い、このクチナーゼ変異体濃度5,000ppmと緩衝剤として炭酸水素ナトリウム濃度0.42重量%を含有し、pH8.4の酵素含有水溶液を、フィルム表面の単位面積当たりの酵素(固形分)量として0.01mg/cm2となる量で噴霧し、25℃、湿度50%の下で12時間放置することにより生分解処理を施した後、引張試験を行ったところ、引張破壊強さは180kg/cm2、引張破壊伸びは120%にまで低下していた。
比較例1
酵素含有液を噴霧して10℃、湿度50%の下で12時間放置することにより生分解処理を施した外は実施例1と同様にしたところ、引張破壊強さは350kg/cm2、引張破壊伸びは300%であり、生分解の進行は殆ど認められなかった。
酵素含有液を噴霧して10℃、湿度50%の下で12時間放置することにより生分解処理を施した外は実施例1と同様にしたところ、引張破壊強さは350kg/cm2、引張破壊伸びは300%であり、生分解の進行は殆ど認められなかった。
比較例2
酵素含有液を噴霧して70℃、湿度50%の下で12時間放置することにより生分解処理を施した外は実施例1と同様にしたところ、引張破壊強さは291kg/cm2、引張破壊伸びは250%であり、生分解の進行の不十分であった。
酵素含有液を噴霧して70℃、湿度50%の下で12時間放置することにより生分解処理を施した外は実施例1と同様にしたところ、引張破壊強さは291kg/cm2、引張破壊伸びは250%であり、生分解の進行の不十分であった。
比較例3
酵素としてカンジダ・アンタルクチカ (Candida antarctica)のリパーゼ(Fluka社製)を用いた外は実施例1と同様にして生分解処理を行ったところ、引張破壊強さは350kg/cm2、引張破壊伸びは295%であり、生分解の進行は殆ど認められなかった。
酵素としてカンジダ・アンタルクチカ (Candida antarctica)のリパーゼ(Fluka社製)を用いた外は実施例1と同様にして生分解処理を行ったところ、引張破壊強さは350kg/cm2、引張破壊伸びは295%であり、生分解の進行は殆ど認められなかった。
比較例4
酵素として実施例1で用いたクチナーゼ変異体の改変前のクチナーゼを用いた外は実施
例1と同様にして生分解処理を行ったところ、引張破壊強さは320kg/cm2、引張
破壊伸びは260%であり、生分解の進行の不十分であった。
酵素として実施例1で用いたクチナーゼ変異体の改変前のクチナーゼを用いた外は実施
例1と同様にして生分解処理を行ったところ、引張破壊強さは320kg/cm2、引張
破壊伸びは260%であり、生分解の進行の不十分であった。
実施例2
酵素含有液に更にパラフィン系展着剤(アグロ カネショウ社製「ペタンV」)0.25重量%を添加した外は実施例1と同様にして生分解処理を行ったところ、処理後のフィルムは引張破壊伸びが1%未満で殆ど伸びることなく切断した。
酵素含有液に更にパラフィン系展着剤(アグロ カネショウ社製「ペタンV」)0.25重量%を添加した外は実施例1と同様にして生分解処理を行ったところ、処理後のフィルムは引張破壊伸びが1%未満で殆ど伸びることなく切断した。
比較例5
酵素としてカンジダ・アンタルクチカ (Candida antarctica)のリパーゼ(Fluka社製)を用いた外は実施例2と同様にして生分解処理を行ったところ、引張破壊強さは340kg/cm2、引張破壊伸びは290%であり、生分解の進行は殆ど認められなかった。
酵素としてカンジダ・アンタルクチカ (Candida antarctica)のリパーゼ(Fluka社製)を用いた外は実施例2と同様にして生分解処理を行ったところ、引張破壊強さは340kg/cm2、引張破壊伸びは290%であり、生分解の進行は殆ど認められなかった。
実施例3
1,4−ブタンジオールに由来する構成単位48.8モル%、琥珀酸に由来する構成単位48.8モル%、及びグリコール酸に由来する構成単位2.4モル%からなり、数平均分子量が42,500の脂肪族ポリエステル樹脂を用い、環状ダイを備えた押出機によりインフレーションフィルム成形し、得られたチューブを切開することにより厚み20μmのフィルムを成形した。得られたフィルムについて、JIS K7127に準拠して引張試験を行ったところ、引張破壊強さは350kg/cm2、引張破壊伸びは310%であった。このフィルムを用いた外は実施例2と同様にして生分解処理を行ったところ、処理後のフィルムは引張破壊伸びが1%未満で殆ど伸びることなく切断した。
1,4−ブタンジオールに由来する構成単位48.8モル%、琥珀酸に由来する構成単位48.8モル%、及びグリコール酸に由来する構成単位2.4モル%からなり、数平均分子量が42,500の脂肪族ポリエステル樹脂を用い、環状ダイを備えた押出機によりインフレーションフィルム成形し、得られたチューブを切開することにより厚み20μmのフィルムを成形した。得られたフィルムについて、JIS K7127に準拠して引張試験を行ったところ、引張破壊強さは350kg/cm2、引張破壊伸びは310%であった。このフィルムを用いた外は実施例2と同様にして生分解処理を行ったところ、処理後のフィルムは引張破壊伸びが1%未満で殆ど伸びることなく切断した。
比較例6
酵素としてムコール・ミエヘイ (Mucor miehei)のリパーゼ(SIGMA社製)を用いた外は実施例3と同様にして生分解処理を行ったところ、引張破壊強さは340kg/cm2、引張破壊伸びは290%であり、生分解の進行は殆ど認められなかった。
酵素としてムコール・ミエヘイ (Mucor miehei)のリパーゼ(SIGMA社製)を用いた外は実施例3と同様にして生分解処理を行ったところ、引張破壊強さは340kg/cm2、引張破壊伸びは290%であり、生分解の進行は殆ど認められなかった。
実施例4
市販の脂肪族ポリエステル樹脂(昭和高分子社製「ビオノーレ」)から得られたフィルムについて、JIS K7127に準拠して引張試験を行ったところ、引張破壊強さは360kg/cm2、引張破壊伸びは320%であった。このフィルムを用いた外は実施例2と同様にして生分解処理を行ったところ、処理後のフィルムは引張破壊伸びが1%未満で殆ど伸びることなく切断した。
市販の脂肪族ポリエステル樹脂(昭和高分子社製「ビオノーレ」)から得られたフィルムについて、JIS K7127に準拠して引張試験を行ったところ、引張破壊強さは360kg/cm2、引張破壊伸びは320%であった。このフィルムを用いた外は実施例2と同様にして生分解処理を行ったところ、処理後のフィルムは引張破壊伸びが1%未満で殆ど伸びることなく切断した。
比較例7
酵素としてアスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger)のリパーゼ(Fluka社製)を用いた外は実施例4と同様にして生分解処理を行ったところ、引張破壊強さは350kg/cm2、引張破壊伸びは300%であり、生分解の進行は殆ど認められなかった。
酵素としてアスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger)のリパーゼ(Fluka社製)を用いた外は実施例4と同様にして生分解処理を行ったところ、引張破壊強さは350kg/cm2、引張破壊伸びは300%であり、生分解の進行は殆ど認められなかった。
実施例5
実施例1で使用した脂肪族ポリエステル樹脂70重量部及び市販の生分解性樹脂(BASF社製「エコフレックス」)30重量部を溶融混練した組成物から得られたフィルムについて、JIS K7127に準拠して引張試験を行ったところ、引張破壊伸びは525%であった。このフィルムを用い、クチナーゼ変異体濃度を1重量%にした外は実施例2と同様にして生分解処理を行ったところ、処理後のフィルムの引張破壊伸びは177%と大幅に低下していた。
実施例1で使用した脂肪族ポリエステル樹脂70重量部及び市販の生分解性樹脂(BASF社製「エコフレックス」)30重量部を溶融混練した組成物から得られたフィルムについて、JIS K7127に準拠して引張試験を行ったところ、引張破壊伸びは525%であった。このフィルムを用い、クチナーゼ変異体濃度を1重量%にした外は実施例2と同様にして生分解処理を行ったところ、処理後のフィルムの引張破壊伸びは177%と大幅に低下していた。
実施例6
実施例1で使用した脂肪族ポリエステル樹脂から、縦120mm、横80mm、厚み12mmのシートを射出成形し、このシートを実施例1で使用した酵素含有液に容積比でシートの10倍量の中に浸漬し、6時間放置した。その後、粉砕機(ホーライ社製、「VC−360」)で粉砕した結果、シートは、容易に粉砕することができた。
実施例1で使用した脂肪族ポリエステル樹脂から、縦120mm、横80mm、厚み12mmのシートを射出成形し、このシートを実施例1で使用した酵素含有液に容積比でシートの10倍量の中に浸漬し、6時間放置した。その後、粉砕機(ホーライ社製、「VC−360」)で粉砕した結果、シートは、容易に粉砕することができた。
比較例8
酵素としてリゾプス・デレマー (Rhizopus delemer)のリパーゼ(SIGMA社製)を用いた外は実施例6と同様にして生分解処理を行い、粉砕を試みたところ、粉砕機の刃に脂肪族ポリエステル樹脂が溶融した状態で固着してしまい、粉砕機が停止した。実施例6と同等の生分解の程度、即ち粉砕機で容易に粉砕することができるまでには、浸漬時間として24時間を要した。
酵素としてリゾプス・デレマー (Rhizopus delemer)のリパーゼ(SIGMA社製)を用いた外は実施例6と同様にして生分解処理を行い、粉砕を試みたところ、粉砕機の刃に脂肪族ポリエステル樹脂が溶融した状態で固着してしまい、粉砕機が停止した。実施例6と同等の生分解の程度、即ち粉砕機で容易に粉砕することができるまでには、浸漬時間として24時間を要した。
実施例7
実施例1で用いたと同じクチナーゼ変異体を濃度1重量%とした水溶液を調製し、この水溶液25mlをサンプル瓶に入れ、更に緩衝剤として炭酸水素ナトリウムを50mmol添加し、次いで、この酵素含有水溶液に実施例1で用いたと同じフィルム0.1gを入れ、23℃、湿度50%の下で5時間放置した後、フィルムの重量減少を測定したところ、83%が重量減少していた。
実施例1で用いたと同じクチナーゼ変異体を濃度1重量%とした水溶液を調製し、この水溶液25mlをサンプル瓶に入れ、更に緩衝剤として炭酸水素ナトリウムを50mmol添加し、次いで、この酵素含有水溶液に実施例1で用いたと同じフィルム0.1gを入れ、23℃、湿度50%の下で5時間放置した後、フィルムの重量減少を測定したところ、83%が重量減少していた。
実施例8
緩衝剤として炭酸水素ナトリウムに代えてグリシルグリシンを50mmol用いた外は実施例7と同様にして生分解処理を施したところ、フィルムの重量減少は26%であった。
緩衝剤として炭酸水素ナトリウムに代えてグリシルグリシンを50mmol用いた外は実施例7と同様にして生分解処理を施したところ、フィルムの重量減少は26%であった。
本発明によれば、ポリエステル系樹脂成形体の使用期間終了後、特に低温環境下において生分解を促進して短時間での分解を可能とし、よって、冬場等の低温環境下における埋め立て廃棄処理等においても効率的な分解を行うことができ、土壌中の樹脂残存等による環境汚染の解消が期待できる。
Claims (7)
- ポリエステル系樹脂成形体を分解処理する方法において、該成形体表面に、該成形体を構成するポリエステル系樹脂の分解能を有し、エステル結合の分解速度が増すようにアミノ酸配列を改変したフミコラ・インソレンス(Humicola・insolens)由来の加水分解酵素を、15〜65℃の温度条件下で接触させることを特徴とするポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法。
- フミコラ・インソレンス(Humicola・insolens)由来の加水分解酵素が、クチナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、及びリゾホスホリパーゼからなる群より選択されたいずれかである請求項1に記載のポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法。
- フミコラ・インソレンス(Humicola・insolens)由来の加水分解酵素を、該酵素濃度が0.1〜2,000ppmの酵素含有液としてポリエステル系樹脂に接触させる請求項1又は2に記載のポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法。
- 酵素含有液に、更に無機アルカリ塩を0.001〜10重量%の含有量で含有させる請求項3に記載のポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法。
- 酵素含有液のpHを、7〜9とする請求項3又は4に記載のポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法。
- 酵素含有液をポリエステル系樹脂成形体表面に噴霧、散布、或いは塗布することにより、成形体に酵素を接触させる請求項1乃至5のいずれかに記載のポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法。
- ポリエステル系樹脂が、脂肪族或いは脂環式ポリエステル系樹脂である請求項1乃至6のいずれかに記載のポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法。
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JP2004290259A JP2006104262A (ja) | 2004-10-01 | 2004-10-01 | ポリエステル系樹脂成形体の分解処理方法 |
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---|---|---|---|---|
JP2010132886A (ja) * | 2008-10-27 | 2010-06-17 | Toyo Seikan Kaisha Ltd | 生分解性樹脂を分解してオリゴマーおよび/またはモノマーを生成する方法 |
US8501445B2 (en) | 2008-10-27 | 2013-08-06 | Toyo Seikan Kaisha, Ltd. | Method for producing oligomer and/or monomer by degrading biodegradable resin |
-
2004
- 2004-10-01 JP JP2004290259A patent/JP2006104262A/ja active Pending
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US8501445B2 (en) | 2008-10-27 | 2013-08-06 | Toyo Seikan Kaisha, Ltd. | Method for producing oligomer and/or monomer by degrading biodegradable resin |
US8846355B2 (en) | 2008-10-27 | 2014-09-30 | Toyo Seikan Kaisha, Ltd. | Method for degrading biodegradable resin |
US9284432B2 (en) | 2008-10-27 | 2016-03-15 | Toyo Seikan Kaisha, Ltd. | Method for degrading a readily-degradable resin composition |
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