JP2006103427A - 車両用蓄冷式冷房装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 冷房効率を向上して冷房性能を向上し、保冷時間を長くする。
【解決手段】 運転席側に吸い込み口16aを開口させるとともに、吸い込み口16aより吸入した空気を吸入部14aへ供給する吸い込み空気通路16を設けた。
本発明は、従来、冷却用空気の吸い込み口が助手席側にあることから、運転席側で吹き出した冷風が吸い込み口までの距離の中で熱交換して吸い込み温度が高くなることに着目したものである。
これによれば、吸い込み口16aを運転席側に設置することで吸い込む空気の温度を低くすることができる。また、また、吸入部14aまでの吸い込み空気通路16を設けることで吸い込んだ空気と外部との熱交換を少なくすることができる。これらより、吹き出し温度に対して吸い込み温度を低くでき、冷房性能が向上し、保冷時間を長くすることができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、冷凍サイクルなどの冷却手段によって得られる冷熱を蓄冷媒体に蓄える蓄冷手段を備え、所要の時期に蓄えられた冷熱を供給する車両用蓄冷式冷房装置に関するものであり、例えばトラックなどの車両の運転室内を、停車時に車両の走行用エンジンにより駆動される冷凍サイクルの冷媒圧縮機を運転させないで冷房することが可能な車両用蓄冷式冷房装置に適用することができる。
仮眠、荷物の積み卸し、信号待ちなどでトラックなどの車両を停止させる場合、走行用エンジンを停止(アイドルストップ)することが地球温暖化防止のために近年特に要望されるようになってきている。しかし、走行用エンジンを停止すると、走行用エンジンを駆動源とする空調用冷凍サイクルも必然的に停止するので、空調装置の冷房機能を発揮することができない。従って、夏季には運転室内の温度が上昇して運転者に不快感を与えることになる。
そこで、従来技術として、本出願人が先に出願した特許文献1などで開示した技術がある。これは、運転室内のセンターコンソール部や仮眠室部などに設置される蓄冷式冷却ユニットを備え、このユニットには、蓄冷冷房用送風機と、送風空気を冷却する蓄冷式冷却器とを設けている。この蓄冷式冷却器は、車両の空調用冷凍サイクルに設けられた冷媒蒸発器と、この冷媒蒸発器にて蓄冷される蓄冷材を封入した蓄冷パックとから構成されている。
そして、車両走行時に冷媒蒸発器により蓄冷パックを冷却して蓄冷材を凍結しておき、その後、車両停車時で走行用エンジンを停止させたときには、冷却ユニットの送風機を作動させて、蓄冷パックの通風路に送風して中の蓄冷材と送風空気との間で熱交換を行って送風空気を冷却させ、その冷風を冷却ユニットの吹出口から運転室内に吹き出させて冷房を行うものである。
また近年、運転室の座席後方に仮眠室を備えたトラック車両では、スペースの有効利用として仮眠室のベッド下に蓄冷式冷却ユニットを搭載し、運転席側の壁際より仮眠室内の冷房と運転室内の冷房とを行うものがある。
特開2002−337541号公報
上記のベッド下に蓄冷式冷却ユニットを搭載した車両用蓄冷式冷房装置は、大型トラックの9割以上が運転手一人であることから、運転席を重点的に冷房するようになっており、ベッド下に蓄冷式冷却ユニットを横長に配置していることから、助手席側から空気を吸い込み蓄冷式冷却ユニットで冷却して運転席側へ吹き出すようになっている。しかしながら吸い込み口が助手席側にあるため、吹き出し温度に対して吸い込み温度が高くなり,冷房性能が低下するとともに保冷時間が短くなるという問題がある。
今後、輸送効率を良くするために荷待ち時間が長くなることも予想され、更なる長時間停車へ対応することが求められている。そこで、本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的は、冷房性能を向上し、保冷時間を長くすることのできる車両用蓄冷式冷房装置を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために、請求項1ないし請求項6に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、車両の運転室(20)内に設置される車両用蓄冷式冷房装置において、冷房用空気の通路を形成するケーシング(15)と、ケーシング(15)の助手席側に設けられた吸入部(14a)と、吸入部(14a)下流側のケーシング(15)内に配設され、冷却手段(11)によって冷却される蓄冷手段(12)を有する蓄冷式冷却手段(10)と、ケーシング(15)内に配設され、吸入部(14a)より運転室(20)内の空気を吸入して蓄冷式冷却手段(10)に供給すると共に、蓄冷式冷却手段(10)で冷却された冷風を運転席側から運転室(20)内に送風する送風手段(10a)とを備え、運転席側に吸い込み口(16a)を開口させるとともに、吸い込み口(16a)より吸入した空気を吸入部(14a)へ供給する吸い込み空気通路(16)を設けたことを特徴としている。
本発明は、従来技術における吸い込み温度と吹き出し温度との差が大きいことの原因が、冷却用空気の吸い込み口が助手席側にあることから運転席側で吹き出した冷風が吸い込み口までの距離の中で熱交換して吸い込み温度が高くなることによるものであることに着目したものである。
この請求項1に記載の発明によれば、吸い込み口(16a)を運転席側に設置することで吸い込む空気の温度を低くすることができる。また、吸入部(14a)までの吸い込み空気通路(16)を設けることで吸い込んだ空気と外部との熱交換を少なくすることができる。これらより、吹き出し温度に対して吸い込み温度を低くでき、冷房効率が向上して冷房性能が向上し、保冷時間を長くすることができる。
また、請求項2に記載の発明では、吸い込み空気通路(16)を、ケーシング(15)の車両前後方向に配設したことを特徴としている。この請求項2に記載の発明によれば、蓄冷式冷房装置(8)はベッド(22)よりも平面外形が小型であるため、吸い込み空気通路(16)を車両前後方向に配設してもベッド(22)内に収まり、高さ方向で影響を与えることもない。
また、請求項3に記載の発明では、ケーシング(15)を、嵌合する2つの第1ケーシング(15a)と第2ケーシング(15b)とで構成するとともに、第1・第2ケーシング(15a、15b)のいずれか、もしくは両方において、嵌合する壁部の一部を二重として間に溝部を形成し、第1・第2ケーシング(15a、15b)を嵌合することにより溝部を吸い込み空気通路(16)とすることを特徴としている。この請求項3に記載の発明によれば、吸い込み空気通路(16)をケーシング(15)に一体で形成することができ、コストを抑えることができる。
また、請求項4に記載の発明では、吸い込み空気通路(16)を、ケーシング(15)の上側に配設したことを特徴としている。この請求項4に記載の発明によれば、冷風吹出口(13a)は蓄冷式冷房装置(8)よりも上側に配置されるため、吹出口(13a)と吸い込み口(16a)との距離を近くして効率を高める上では、吸い込み口(16a)はケーシング(15)の上側が望ましく、その吸い込み口(16a)と連通する吸い込み空気通路(16)もケーシング(15)の上側に構成した方が構造を簡素にすることができ、コストを抑えることができる。
また、請求項5に記載の発明では、ケーシング(15)の外側に吸い込み空気通路形成部材(15a´)を配設し、ケーシング(15)の外面と吸い込み空気通路形成部材(15a´)との間で吸い込み空気通路(16)を形成したことを特徴としている。この請求項5に記載の発明によれば、ケーシング(15)の外面を使って吸い込み空気通路形成部材(15a´)で覆うことにより、簡便に吸い込み空気通路(16)を形成することができ、コストを抑えることができる。
また、請求項6に記載の発明では、吸い込み空気通路(16)を、ケーシング(15)の上に配設するベッド(22)に形成したことを特徴としている。この請求項6に記載の発明によれば、ベッド(22)を吸い込み空気通路形成部材として利用することにより、簡便に吸い込み空気路(16)を形成することができ、コストを抑えることができる。ちなみに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
(第1実施形態)
以下、本発明の実施の形態について添付図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る冷凍サイクルと電気制御部とを示す模式図であり、図2は、本発明の実施形態に係る車両用空調装置の構成を示すトラック運転室部分の概略縦断面図である。尚、本実施形態は本発明をトラック用蓄冷式冷房装置に適用したものである。
1は、冷凍サイクルを駆動するコンプレッサ(冷媒圧縮機)であり、トラックの図示しない走行用エンジンにより電磁クラッチ1aを介して駆動されるようになっている。2は、コンプレッサ1から吐出された高温・高圧のガス冷媒を冷却して凝縮するコンデンサ(冷媒凝縮器)であり、3は、このコンデンサ2で凝縮した液冷媒を溜めて液冷媒のみを導出するレシーバ(気液分離器、冷媒受液器)である。
4は、冷媒の流れを断続する電磁弁であり、5は、液冷媒を減圧して膨張させる減圧手段としての温度作動式膨張弁である。また5aは、温度作動式膨張弁5の感温筒部分である。6は、温度作動式膨張弁5で減圧された冷媒を蒸発させて吸熱を行う通常空調用の空調用エバポレータ(冷媒蒸発器)であり、トラック車両の運転室20内を冷房するものであり、膨張弁5や空調用送風機6aと共に、運転室20前方の計器盤23の下方に配設された空調ユニット7(図1の破線部)内に設置されている。
この空調ユニット7内には、空調用送風機6aにより運転室内もしくは運転室外の空気が導入され、この送風空気が空調用エバポレータ6により冷却された後、図示しないヒータコアや吹出口機構を経て運転室20内へ吹き出されるようになっている。24は、吹出口機構の一つで、計器盤23の上方部に開口している冷風吹出用の吹出口であり、空調用エバポレータ6によって冷却された冷風を、運転室20内の乗員(運転者Aおよび助手席乗員)の上半身に向かって吹き出すようになっている。
26は、運転室20および仮眠室21の床であり、コンプレッサ1などは床26下方のエンジンルームに設置されている。7aは、上記した運転室20空調用の膨張弁5や空調用エバポレータ6などの機器を有する空調用冷媒回路で、先の電磁弁4は、この空調用冷媒回路7aへの冷媒の流れを断続する。8aは、この空調用冷媒回路7aと並列に設けられた蓄冷用冷媒回路で、9は、この蓄冷用冷媒回路8aに流入する液冷媒を減圧して膨張させる減圧手段としての定圧膨張弁であり、その下流側が所定圧力以下に低下すると開弁するものである。
10は蓄冷式冷却装置(蓄冷式冷却手段)であり、蓄冷用エバポレータ(冷却手段)11と、蓄冷用エバポレータ11によって冷却される蓄冷パック(蓄冷手段)12とからなり、トラック車両の運転室20後方で運転席25の後に設けられた仮眠室21内に配設された蓄冷式冷房装置8内に設置されている。
8bは逆止弁で、空調用エバポレータ6側から蓄冷用エバポレータ11へ高温冷媒が逆流するのを防止して、蓄冷用エバポレータ11の上流側から下流側への一方向のみに冷媒を流すものである。これら定圧膨張弁9・蓄冷式冷却装置10・逆止弁8bと後述する蓄冷冷房用送風機(送風手段)10aとで蓄冷式冷房装置8(図1の1点鎖線部)を構成している。
尚、図1では図示の簡略化のために空調用送風機6a・蓄冷冷房用送風機10aとして軸流ファンを図示しているが、実際は、周知の遠心多翼ファンにより構成されている。更に具体的に蓄冷式冷房装置8の構造について説明する。図3は、本発明の実施形態に対応する従来の蓄冷式冷房装置8の概略構造を示す図2中B視の部分断面模式図であり、図4の(a)は本発明の第1実施形態における蓄冷式冷房装置8の斜視図、(b)は縦断面図、(c)は(b)中のC−C断面図である。
蓄冷式冷房装置8は、図3・図4に示すように横長の直方体形状で、上ケース(第1ケーシング)15aと下ケース(第2ケーシング)15bとで構成された空調ケース(ケーシング)15は、ポリプロピレンなどの樹脂を発泡成形させて断熱性能を持たせると共に、人が乗っても充分な強度で形成されており、上ケース15aの上面には図2に示すように仮眠用ベッド22が形成されている。
空調ケース15は、その内部に蓄冷式冷却装置10を収容しており、扁平な直方体状である。空調ケース15は、その扁平な主面を上下方向に向け、その長手方向を車両の幅方向すなわち運転席側と助手席側との方向に沿ってほぼ一致させて配置されている。空調ケース15内には、蓄冷式冷却装置10を収容するとともにその蓄冷式冷却装置10で冷却される空気が流れる主空気通路が区画形成されている。この主空気通路は車両の幅方向に延在している。主空気通路の中には、蓄冷冷房用送風機10aによって空気流が生成され、車両の助手席側から運転席側へ向かう主たる空気の流れが形成される。
空調ケース15の一端には、運転室20内の空気を吸い込む吸入部14aが設けられている。そして、空調ケース15内の中央部には、上記した蓄冷式冷却装置10が収められている。ここで、蓄冷式冷却装置10の具体的構造は、例えば、図3に示すようなものであり、蓄冷用エバポレータ11と蓄冷パック12とを組み合せた構造となっている。
蓄冷用エバポレータ11は、本実施形態ではアルミニウム製の多穴偏平チューブ11aを用いて構成されている。この多穴偏平チューブ11aは蓄冷パック12の幅寸法と同等の幅寸法を持った断面偏平状に形成され、周知の如く多数の冷媒通路用の穴が並列形成されている。そして、この多穴偏平チューブ11aは、図3に示すように、端部に折り曲げ部を有し、蛇行するように形成されている。
そして、蓄冷用エバポレータ11の多穴偏平チューブ11aの左右両側面に密着するように蓄冷パック12が配設されている。この蓄冷パック12は図3に示すように、上下方向に縦長の凹凸形状に形成されており、樹脂で成形された薄肉のパック状(袋状)部材の内部に水、あるいは軟ゲル状等の蓄冷材を封入したものである。
また、蓄冷パック12の材質としては、送風空気との熱交換性向上のため、薄肉化しやすい材質、例えばナイロン・ポリエチレンなどが好適である。尚、蓄冷用エバポレータ11は、その内部を循環する冷媒の蒸発潜熱(冷媒蒸発温度は、例えば−20℃)により、蓄冷パック12を冷却して蓄冷材への蓄冷を行う冷却手段となっている。
更に、図3において12aは、凹凸形状の蓄冷パック12の凹部12aによって蓄冷用エバポレータ11の多穴偏平チューブ11aとの間に形成された空気流路で、水平方向に多数並列に形成されている。多穴偏平チューブ11aの一端部には、冷媒入口ヘッダー11bが接続され、他端部には冷媒出口ヘッダー11cが接続されている。
空調ケース15内で蓄冷式冷却装置10は、上ケース15aに一体に形成された串歯状の押さえ部15cにて多穴偏平チューブ11aの所定ピッチを保ちつつケース内面との間に空間14bを形成して保持されると共に、下ケース15bに一体に形成された支え部15eにてケース底との間に空間14cを形成して支えられている。
尚、上側の空間14bは、吸入部14aより吸入した空気を蓄冷式冷却装置10へ通風させるための空気通路14bの一部となっており、押さえ部15cには空気通路孔15dが形成されている。また、下側の空間14cは、吸入部14aより吸入した空気が蓄冷式冷却装置10を通過した空気が流れる空気通路14cの一部となっており、支え部15eには空気通路孔15fが形成されている。
蓄冷式冷却装置10の後流側には、吸入部14aより車室内の空気を吸入して蓄冷式冷却装置10へ供給すると共に、蓄冷式冷却装置10で冷却された冷風を車室内に送風する蓄冷冷房用送風機10aが設けられている。13は、蓄冷冷房用送風機10aから送り出される冷風を導くダクトであり、その先端部に冷風吹出口13aが設けられている。
冷風吹出口13aは、図2に示すように、運転席25の斜め後で運転室20と仮眠室21との境の壁際上部に設けられている。また、冷風吹出口13aには可変ルーバが設けられており、冷風の吹き出し方向を運転者Aの頭部後方、ないしは仮眠室21内の仮眠用ベッド22の方向に調節できるようになっている。
次に、図4を用いて本発明の要部を説明する。図4に図示されるように、ケーシングとしての空調ケース15は、扁平な略直方体状に形成されている。空調ケース15の助手席側には吸入部14aが形成され、運転席側には冷風吹出ダクト13が接続される吹出開口部が形成されている。
そして、本実施形態では、運転室20内から冷却用空気を取り込む吸い込み口16aを運転席側に設けている。また、空調ケース15の車両前後方向側壁に吸い込み空気通路16を形成し、運転席側の吸い込み口16aと助手席側の吸入部14aとを連通させている。より具体的に吸い込み空気通路16は、上下ケース15a・15bの嵌合する壁部の一部を二重として間に溝部を形成しておき、上下ケース15a・15bを嵌合することにより溝部を吸い込み空気通路16として形成している。2つの吸い込み空気通路16は、そのそれぞれが、空調ケース15が提供する壁部のうち、車両前後に面する両方の側壁の内部にのみ区画形成されている。
空調ケース15内に形成され蓄冷式冷却装置10を収容している主空気通路に関してみると、吸入部14aは上流部と呼ばれうる部位であって、冷風吹出口13aは下流部と呼ばれうる部位である。更に、蓄冷式冷房装置8によって提供され、吸い込み空気通路16と主空気通路とを含む冷房用空気通路全体の中では、吸い込み口16aは上流端と呼ばれ、吸入部14aは中間部あるいは曲がり部とも呼ばれうる部位であり、さらに冷風吹出口13aは下流端と呼ばれうる部位である。
次に、電気制御部の概要について述べる。30は、空調制御装置(制御手段)であり、予め設定されたプログラムに従って所定の演算処理を行って電磁クラッチ1a・電磁弁4・空調用送風機6a・蓄冷冷房用送風機10aなどの電気機器の作動を制御するものである。空調制御装置30には、センサ群31および運転室1内に設けられる空調制御パネル32aと蓄冷冷房制御パネル32bとの操作スイッチ群33とから入力信号が加えられる。
センサ群31としては、周知の内気温センサ・外気温センサ・日射センサなどが設けられる。また、本実施形態では蓄冷式冷房装置8空の吹出温度を検出する吹出温度センサ(吹出温度検出手段)10bが設けられる。この吹出温度センサ10bはサーミスタのような感温素子からなるものである。空調制御パネル32aの操作スイッチ群33としては、周知の如く空調ユニット7用の温度設定スイッチ・送風切替スイッチ・吹出モード切替スイッチ・内外気切替スイッチ・空調(エアコン)スイッチなどが設けられている。
更に、蓄冷冷房制御パネル32bの操作スイッチ群33としては、蓄冷冷房用の温度設定スイッチ(温度設定手段)33aの他に、蓄冷式冷房装置8用の蓄冷スイッチ・蓄冷冷房用送風切替スイッチ・蓄冷冷房用タイマースイッチなどが設けられる。ここで、蓄冷冷房用の温度設定スイッチ33aは、蓄冷冷房時における蓄冷式冷房装置8からの吹出温度を運転者の好みに応じて設定するためのものである。
また、蓄冷スイッチは蓄冷用エバポレータ11に冷媒を流して蓄冷パック12を冷却する蓄冷モードを設定するためのものである。蓄冷冷房用送風切替スイッチは、例えば、停止(OFF)モード、自動(AUTO)モード、低速(Lo)モード、中速(Me)モード、高速(Hi)モードを手動操作にて選択可能なものである。また、蓄冷冷房用タイマースイッチは蓄冷冷房の運転時間(すなわち、蓄冷冷房用送風機10aの運転時間)を設定するものである。
ちなみに、図1の10cは、蓄冷用蒸発器10で冷却される蓄冷パック12内の蓄冷材温度を感知するように設けられた温度センサでサーミスタからなり、その出力は空調制御装置30へ入力される。そして、温度センサ10cの感知温度が設定温度以下になると抵抗が増大し、空調制御装置30はこの抵抗値の変化を感知し、電磁弁4への通電をオフしてこの電磁弁4を閉弁させるようになっている。
尚、空調制御装置30は温度センサ10cの検出温度が、上記設定温度より若干高めの別の設定値まで低下すると、ランプやLEDなどの図示しない表示装置を点灯させ、蓄冷完了を表示するようになっている。他に空調制御装置30は、必要に応じて空調ユニット7の空調用送風機6a、および蓄冷式冷房装置8の蓄冷冷房用送風機10aを駆動制御するようになっている。
次に、上記構成における本実施形態での作動を説明する。トラック走行中(エンジン作動中)に図示しない空調スイッチが投入されると、電磁クラッチ1aに通電され、コンプレッサ1が電磁クラッチ1aを介して車両エンジンに連結され、コンプレッサ1はエンジンにより駆動されて作動する。
このコンプレッサ1の作動により、図1の冷凍サイクルに冷媒が循環する。また電磁弁4に通電されることにより電磁弁4が開弁し、空調用冷媒回路7aに冷媒が循環し、空調用エバポレータ6にて空調ユニット7の空調用送風機6aからの送風空気が冷却・除湿され、トラック運転室20の空調を行う。この時、蓄冷用冷媒回路8aの定圧膨張弁9はその下流側圧力が所定圧(例えば冷媒R134aの場合:1.0Kg/cm、蒸発温度:−10°C)以下に低下しないので、閉弁した状態を維持する。
上記トラック走行中に、図示しない蓄冷スイッチを投入すると、電磁弁制御回路が始動して、この制御回路から電磁弁4に所定時間間隔にて通電信号が入力され、電磁弁4が所定時間(例えば60秒)間隔ごとに短時間(例えば15秒)だけ閉弁する。すると、空調用冷媒回路7aへの冷媒が遮断されるので、コンプレッサ1の冷媒吸入作用により蓄冷用冷媒回路8aの圧力が急激に低下して、前記所定圧以下となり、定圧膨張弁9が開弁する。
この定圧膨張弁9の開弁は断続的に短時間だけ行われるので、空調用エバポレータ6の冷却作用低下への影響は非常に小さい。ちなみに、このような制御方式をFIR方式(Freezing by Intermittent Running System)という。
定圧膨張弁9の断続的な開弁による冷媒供給によって蓄冷用エバポレータ11が蓄冷パック12の冷却作用を果して、蓄冷パック12内の蓄冷材(水など)を凍結させ、蓄冷をしておく。そして、トラックを駐車(アイドルストップ)させて運転席25で荷待ちする時や仮眠室21で仮眠する時などには、図示しない蓄冷冷房制御パネル32bに設けられた蓄冷冷房用送風切替スイッチでONにする。これにより、空調制御装置30はパネルでの送風設定に従って車載バッテリを電源として蓄冷冷房用送風機10aを作動させる。
すると、運転室20内の運転席25近傍の空気が吸い込み口16aから取り込まれ、吸い込み空気通路16を介して吸入部14aに供給され、蓄冷式冷房装置8の空調ケース15内にその取り込んだ空気が流れる。送風空気は蓄冷パック12と蓄冷用エバポレータ11との間の空気流路12aを通過する時に蓄冷パック12と熱交換して冷却されて冷風となり、冷風吹出口13aから運転席25側もしくは仮眠室21内へ吹き出し、荷待ちもしくは仮眠する運転者に対して冷房を行う。
このとき空調制御装置30は、最大冷房能力以内であれば、吹き出し温度は乗員が所望する温度に自動制御される。そして、蓄冷パック12内の蓄冷材が完全に融解して温度上昇するまでの間、駐車(アイドルストップ)中に冷房を行うことができる。
次に、本実施形態での特徴について述べる。まず、運転席側に吸い込み口16aを開口させるとともに、吸い込み口16aより吸入した空気を吸入部14aへ供給する吸い込み空気通路16を設けている。本発明は、従来、吸い込み温度と吹き出し温度との差が大きいことに着目したものであり、その原因は、冷却用空気の吸い込み口が助手席側にあることから運転席側で吹き出した冷風が吸い込み口までの距離の中で熱交換して吸い込み温度が高くなることによるものである。
しかし、これによれば、吸い込み口16aを運転席側に設置することで吸い込む空気の温度を低くすることができる。また、吸入部14aまでの吸い込み空気通路16を設けることで吸い込んだ空気と外部との熱交換を少なくすることができる。本実施形態では、吸い込まれた空気は空調ケース15の内部を通過するので、外部から断熱されて温度上昇を少なくすることができる。これらより、吹き出し温度に対して吸い込み温度を低くでき、冷房性能が向上し、保冷時間を長くすることができる。
また、吸い込み空気通路16を、空調ケース15の車両前後方向に配設している。これによれば、蓄冷式冷房装置8はベッド22よりも平面外形が小型であるため、吸い込み空気通路16を車両前後方向に配設してもベッド22内に収まり、高さ方向で影響を与えることもない。
また、空調ケース15を、嵌合する2つの上ケース15aと下ケース15bとで構成するとともに、上下ケース15a・15bのいずれか、もしくは両方において、嵌合する壁部の一部を二重として間に溝部を形成し、上下ケース15a・15bを嵌合することにより溝部を吸い込み空気通路16としている。これによれば、吸い込み空気通路16を空調ケース15に一体で形成することができ、コストを抑えることができる。
(第2実施形態)
図5の(a)は本発明の第2実施形態における蓄冷式冷房装置8の斜視図、(b)は縦断面図、(c)は(b)中のD−D断面図である。上述した第1実施形態と異なる特徴として、吸い込み空気通路16を、空調ケース15の上側に配設している。これによれば、冷風吹出口13aは蓄冷式冷房装置8よりも上側に配置されるため、吹出口13aと吸い込み口16aとの距離を近くして効率を高める上では、吸い込み口16aは空調ケース15の上側が望ましく、その吸い込み口16aと連通する吸い込み空気通路16も空調ケース15の上側に構成した方が構造を簡素にすることができ、コストを抑えることができる。
また、空調ケース15の外側に吸い込み空気通路形成部材としてのサブケース15a´を配設し、空調ケース15の外面とサブケース15a´との間で吸い込み空気通路16を形成している。これによれば、空調ケース15の外面を使ってサブケース15a´で覆うことにより、簡便に吸い込み空気通路16を形成することができ、コストを抑えることができる。
(第3実施形態)
図6の(a)は本発明の第3実施形態における蓄冷式冷房装置8とベッド22との縦断面図、(b)は(a)中のE−E断面図である。上述した第1・第2実施形態と異なる特徴として、吸い込み空気通路16を、空調ケース15の上に配設するベッド22に形成している。
図6の例では、ベッド22を構成する素材22a・22bのいずれか、もしくは両方において、貼り合わせる平面部の一部に溝部を形成しておき、この素材22a・22bを貼り合わせることにより溝部を吸い込み空気通路16としている。これによれば、ベッド22を吸い込み空気通路形成部材として利用することにより、簡便に吸い込み空気通路16を形成することができ、コストを抑えることができる。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、運転席25の後方に仮眠室21を設けたトラック車両において、仮眠ベッド22の下に配設された蓄冷式冷房装置8について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、運転室20内のセンターコンソール部に配設された蓄冷式冷房装置や、運転室20の天井の上に仮眠室を設けたトップスリーパー車と呼ばれるトラック車両において、仮眠室内もしくは運転室と仮眠室との間の天井板部分に配設された蓄冷式冷房装置に適用しても良い。
上述の第1実施形態では、空調ケース15を上ケース15aと下ケース15bとで構成し、吸い込み空気通路16を空調ケース15の車両前後方向両側に形成しているが、いずれか片側であっても良いし、空調ケース15を縦割りとして前ケースと後ケースとで構成し、嵌合部に形成する吸い込み空気通路16を空調ケース15の車両上下方向の上側や下側、もしくはその両側に形成しても良い。
また、上述の第2実施形態では、空調ケース15の外面とサブケース15a´とを用いて空調ケース15の上側に吸い込み空気通路16を形成しているが、空調ケース15の車両前後方向側や下側であっても良いし、ベッド22や床26を吸い込み空気通路形成部材15a´として用いて、空調ケース15の上面とベッド22の下面とで吸い込み空気通路16を形成しても良いし、空調ケース15の下面と床26とで吸い込み空気通路16を形成しても良い。
本発明の実施形態に係る冷凍サイクルと電気制御部とを示す模式図である。 本発明の実施形態に係る車両用空調装置の構成を示すトラック運転室部分の概略縦断面図である。 本発明の実施形態に対応する従来の蓄冷式冷房装置8の概略構造を示す図2中B視の部分断面平面図と部分拡大図である。 (a)は本発明の第1実施形態における蓄冷式冷房装置8の斜視図、(b)は縦断面図、(c)は(b)中のC−C断面図である。 (a)は本発明の第2実施形態における蓄冷式冷房装置8の斜視図、(b)は縦断面図、(c)は(b)中のD−D断面図である。 (a)は本発明の第3実施形態における蓄冷式冷房装置8とベッド22との縦断面図、(b)は(a)中のE−E断面図である。
符号の説明
10…蓄冷式冷却装置(蓄冷式冷却手段)
10a…蓄冷冷房用送風機(送風手段)
11…蓄冷用エバポレータ(冷却手段)
12…蓄冷パック(蓄冷手段)
14a…吸入部
15…空調ケース(ケーシング)
15a…上ケース(第1ケーシング)
15b…下ケース(第2ケーシング)
15a´…サブケース(吸い込み空気通路形成部材)
16…吸い込み空気路
16a…吸い込み口
20…運転室
22…ベッド

Claims (6)

  1. 車両の運転室(20)内に設置される車両用蓄冷式冷房装置において、
    冷房用空気の通路を形成するケーシング(15)と、
    前記ケーシング(15)の助手席側に設けられた吸入部(14a)と、
    前記吸入部(14a)下流側の前記ケーシング(15)内に配設され、冷却手段(11)によって冷却される蓄冷手段(12)を有する蓄冷式冷却手段(10)と、
    前記ケーシング(15)内に配設され、前記吸入部(14a)より前記運転室(20)内の空気を吸入して前記蓄冷式冷却手段(10)に供給すると共に、前記蓄冷式冷却手段(10)で冷却された冷風を運転席側から前記運転室(20)内に送風する送風手段(10a)とを備え、
    運転席側に吸い込み口(16a)を開口させるとともに、
    前記吸い込み口(16a)より吸入した空気を前記吸入部(14a)へ供給する吸い込み空気通路(16)を設けたことを特徴とする車両用蓄冷式冷房装置。
  2. 前記吸い込み空気通路(16)を、前記ケーシング(15)の車両前後方向に配設したことを特徴とする請求項1に記載の車両用蓄冷式冷房装置。
  3. 前記ケーシング(15)を、嵌合する2つの第1ケーシング(15a)と第2ケーシング(15b)とで構成するとともに、
    前記第1・第2ケーシング(15a、15b)のいずれか、もしくは両方において、嵌合する壁部の一部を二重として間に溝部を形成し、
    前記第1・第2ケーシング(15a、15b)を嵌合することにより前記溝部を前記吸い込み空気通路(16)とすることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用蓄冷式冷房装置。
  4. 前記吸い込み空気通路(16)を、前記ケーシング(15)の上側に配設したことを特徴とする請求項1に記載の車両用蓄冷式冷房装置。
  5. 前記ケーシング(15)の外側に吸い込み空気通路形成部材(15a´)を配設し、前記ケーシング(15)の外面と前記吸い込み空気通路形成部材(15a´)との間で前記吸い込み空気通路(16)を形成したことを特徴とする請求項1または4に記載の車両用蓄冷式冷房装置。
  6. 前記吸い込み空気通路(16)を、前記ケーシング(15)の上に配設するベッド(22)に形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用蓄冷式冷房装置。
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