JP2006098208A - 全反射減衰を利用した測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 全反射減衰を利用した測定装置において、測定における効率の低下を抑制するようにする。
【解決手段】 入射光学系15により、光ビーム13を、測定チップ9の界面10bで全反射するように入射させるとともに、予め用意した基準液11aを薄膜層12の表面上に配し、光ビーム測定手段29が、界面10bで全反射した光ビーム13の光強度分布の測定に基づいて全反射減衰によって生じる暗線の位置を測定し、判定手段60が、上記暗線の位置が予め定められた許容範囲内に位置しているときに、全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、全反射減衰を利用した測定装置に関し、より詳しくは、金属表面で光ビームを全反射させて表面プラズモンを発生させたときに生じる全反射減衰を利用した測定装置に関するものである。
金属中においては、自由電子が集まるとこれらの自由電子が集団的に振動して、プラズマ波と呼ばれる粗密波が生じる。そして、金属表面に生じるこの粗密波を量子化して考えるときには上記プラズマ波を表面プラズモンと呼ぶ。
従来より、この表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、被測定物質の特性を分析する表面プラズモン測定装置が種々提案されている。そして、それらの中で特に良く知られているものとして、 Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特許文献1)。
上記表面プラズモン測定装置は、基本的に、プリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料液などの被測定物質に接触させられる金属膜と、光ビームを発生する光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰の状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
なお、上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを用い上記入射角を変化させて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームが種々の角度で入射する成分を含むように、比較的太い光ビームを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射角の変化に従って、反射角が変化する光ビームを、上記反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した各光ビームを全て受光できる方向に延びるエリアセンサによって検出することができる。
上記構成の表面プラズモン測定装置において、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定入射角で入射させると、該金属膜に接している被測定物質中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって金属膜と被測定物質との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント光の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。一般に、この光強度の低下した領域中において光強度が最も低下した部分が、上記光検出手段により暗線として検出される。なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく必要がある。
この全反射減衰(ATR)が生じる入射角、すなわち全反射減衰角θSPより表面プラズモンの波数が分かると、被測定物質の誘電率が求められる。すなわち表面プラズモンの波数をKSP、表面プラズモンの角周波数をω、真空中の光速をc、金属、被測定物質の誘電率をそれぞれεm、εsとすると、以下の関係がある。
Figure 2006098208
すなわち、上記反射光強度が低下する入射角である全反射減衰角θSPを知ることにより、被測定物質の誘電率εs、つまりは屈折率に関連する特性を求めることができる。
なおこの種の表面プラズモン測定装置においては、全反射減衰角θSPを精度良く、測定することを目的として、フォトダイオードアレイ等のアレイ状の光検出手段を用いることが考えられている(例えば、特許文献2参照)。この光検出手段は、それぞれが前記界面において互いに異なる反射角で全反射した光ビームの反射光成分を受光するように上記反射角の角度方向に併設された複数の受光素子からなるものである。
その場合は、上記アレイ状の光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、この受光素子の配設方向に関して微分する微分手段が設けられ、この微分手段が出力する微分値に基づいて被測定物質の屈折率に関連する特性を求めることが多い。そしてこの微分手段としては、例えば、互いに隣接する2つの受光素子の出力の差分を求める手段を用いることができる。
また、上述のように2つの受光素子の出力の差分を求めて全反射減衰角θSPに対応する試料液の特性を検出する場合、アレイ状の光検出手段の代わりに二分割フォトダイオードを用い、この二分割フォトダイオードを上記角度方向に移動させて上記差分の値を得る方式を採用することも可能である。つまりその場合は、二分割された各フォトダイオードの出力の差分に基づいて、全反射減衰角θSPに対応する試料の特性を知ることができる(特許文献3参照)。
なお、特に、金属膜上に生理活性高分子物質等からなるセンシング物質(リガンド)を配し、このセンシング物質に対する分析対象試料(アナライト)の結合の有無、結合量の変化等を測定する場合、上記差分法を用いれば感度の高い測定が可能となる。
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似の測定装置として、例えば非特許文献1の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モード測定装置も知られている。この漏洩モード測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料液に接触させられる光導波層と、光ビームを発生する光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、つまり全反射減衰状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
上記構成の漏洩モード測定装置において、光ビームを誘電体ブロックを通してクラッド層に対して全反射角以上の入射角で入射させると、このクラッド層を透過後、光導波層において、ある特定の波数を有する特定入射角の光のみが導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層に取り込まれるので、上記界面で全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。そして導波光の波数は光導波層の上の被測定物質の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、被測定物質の屈折率や、それに関連する被測定物質の特性を分析することができる。
なお、この漏洩モード測定装置においても、全反射減衰によって反射光に生じる暗線の位置を検出するために、前述したアレイ状の光検出手段や二分割フォトダイオードを用いることができる。また、それと併せて上述の差分手段が適用されることも多い。
また、上述した表面プラズモン測定装置や漏洩モード測定装置は、創薬研究分野等において、所望のセンシング物質に結合する特定物質を見いだすランダムスクリーニングへ使用されることがあり、この場合には前記薄膜層(表面プラズモン測定装置の場合は金属膜であり、漏洩モード測定装置の場合はクラッド層および光導波層)上にセンシング物質を固定し、このセンシング物質上に分析対象試料を含む試料液を分注し、所定時間が経過する毎に上述の全反射減衰角θSPの角度を測定している。
試料液中の分析対象試料が、センシング物質と結合するものであれば、この結合により薄膜上の物質の屈折率が時間経過に伴って変化する。したがって、所定時間経過毎に上記全反射減衰角θSPを測定し、該全反射減衰角θSPの角度に変化が生じているか否か測定することにより、分析対象試料とセンシング物質の結合状態を測定し、その結果に基づいて分析対象試料がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かを判定することができる。このような特定物質とセンシング物質との組み合わせとしては、例えば抗原と抗体、あるいは抗体と抗体が挙げられる。具体的には、ウサギ抗ヒトIgG抗体をセンシング物質として薄膜層の表面に固定し、ヒトIgG抗体を特定物質として用いることができる。
なお、分析対象試料とセンシング物質の結合状態を測定するためには、全反射減衰角θSPの角度そのものを必ずしも検出する必要はない。例えばセンシング物質に試料液を添加し、その後の全反射減衰角θSPの角度変化量を測定して、その角度変化量の大小に基づいて結合状態を測定することもできる。前述したアレイ状の光検出手段と微分手段を全反射減衰を利用した測定装置に適用する場合であれば、微分値の変化量は、全反射減衰角θSPの角度変化量を反映しているため、微分値の変化量に基づいて、センシング物質と分析対象試料との結合状態を測定することができる。
このような全反射減衰を利用した測定方法および装置においては、底面に予め形成された薄膜層上にセンシング物質が固定されたカップ状の測定チップに、溶媒中に分析対象試料である被検体を溶解した試料液を注入、あるいは送液しながら供給して、上述した全反射減衰角θSPの角度変化量の測定を行っている。
上記測定チップに試料液を供給し、センシング物質と被検体とが結合すると、センシング物質の屈折率が変化し、全反射減衰角θSPの角度が変化する。従って測定開始から所定時間経過した時点までの、全反射減衰角θSPの角度変化量を求めることにより、被検体がセンシング物質と結合するものであるか否かを判定し、さらに、結合する場合には、被検体とセンシング物質との結合状態などを分析することができる。しかし、測定装置により検出された全反射減衰角θSPの角度変化量は、厳密にはセンシング物質と被検体の結合による屈折率の変化を正確に反映したものではなく、測定チップの金属膜の厚みや表面形状(面粗さ)等によって測定感度にバラツキが生じることが知られている。
そこで、この測定チップ毎の感度バラツキを補正するために測定チップ交換毎に、試料液についての測定前に、溶媒(バッファ)のみを供給しこれについての測定を行い、その信号による感度検出を行っておくことにより、感度補正を行う方法が提案されている。
また、特許文献4には、屈折率が既知の複数種類の参照試料に対する測定を行い、その測定結果から校正曲線を求め、この校正曲線を基に現実の測定値を校正する方法が提案されており、屈折率が既知の液体を参照試料として用いること、および測定チップの薄膜層上に所定の誘電率を有する材料を固着した測定チップを用いることが記載されている。
特開平6−167443号公報 特開平11−326194号公報 特開2002−365212号公報 特開2003−279478号公報 「分光研究」第47巻 第1号(1998)
ところで、このような全反射減衰を利用した測定装置における全反射減衰角の測定には高い精度(例えば、0.00001度の分解能)が要求されるため、装置セッティングの変動等によって測定誤差が増大したとしても、そのことに気付かずに、そのまま測定を行ってしまうことがある。そして、正常な測定が行なわれていないことに気付いたときには、再度、測定を行なわなければならず、装置の稼動率が低下すると共に試料液を無駄に消費してしまうことになる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、測定における効率の低下を抑制することができる全反射減衰を利用した測定装置を提供することを目的とするものである。
本発明の全反射減衰を利用した測定装置は、光ビームを発生する光源と、光ビームに対して透明な誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された薄膜層、および該薄膜層の表面上に試料液を保持する試料液保持機構を備えてなる測定チップと、前記光ビームを、誘電体ブロックと薄膜層との界面で該光ビームが全反射するように、この光ビームを誘電体ブロックに対して入射させる入射光学系と、前記界面で全反射した光ビームの光強度分布を測定する光ビーム測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置であって、予め用意した基準液を前記薄膜層の表面上に配したときの光ビーム測定手段での測定結果に基づいて、全反射減衰を利用した測定が正常に行われているか否かを判定する判定手段と、判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備えたことを特徴とするものである。
前記光ビーム測定手段は、全反射減衰によって生じる暗線の位置を測定するものとすることができ、前記判定手段は、前記暗線の位置が予め定められた許容範囲内に位置しているときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、前記暗線の位置が前記許容範囲外に位置しているときに前記全反射減衰を利用した測定が正常に行なわれていないと判定するものとすることができる。なお、前記暗線の位置とは、全反射した光ビーム中の光強度が極小となる位置であって、全反射減衰角に対応する位置を意味するものである。
前記光ビーム測定手段は、全反射した光ビーム中の全反射減衰によって生じた光強度の低下を示す光強度分布のプロファイルの半値幅を測定するものとすることができ、前記判定手段は、前記半値幅が予め定められた許容範囲内の幅であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、前記半値幅が前記許容範囲外の幅であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていないと判定するものとすることができる。
前記光ビーム測定手段は、全反射した光ビーム中の全反射減衰によって生じた光強度の低下を示す光強度分布のピークレベルを測定するものとすることができ、前記判定手段は、前記ピークレベルが予め定められた許容範囲内の値であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、前記ピークレベルが前記許容範囲外の値であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていないと判定するものとすることができる。なお、光強度分布のピークレベルとは、光強度分布において光強度の減衰が最大となるレベル、すなわち光強度が最も低くなるレベルを意味するものである。
前記光ビーム測定手段は、互いに屈折率の異なる複数の基準液が薄膜層の表面上に個別に配される毎に測定された全反射減衰によって生じる各暗線の位置と前記各基準液の屈折率との関係を示すデータを取得するものとすることができ、前記判定手段は、前記データに当てはめた直線の傾きが予め定められた許容範囲内であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、前記傾きが前記許容範囲外であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていないと判定するものとすることができる。
前記光ビーム測定手段は、生理活性高分子物質が固定された前記薄膜層の表面上に互いに屈折率の異なる複数の前記基準液が個別に配される毎に測定された前記全反射減衰によって生じる各暗線の位置と、参照物質が固定された前記薄膜層の表面上に前記互いに屈折率の異なる複数の基準液が個別に配される毎に測定された前記全反射減衰によって生じる各暗線の位置との間の、各基準液毎における位置の差と、前記生理活性高分子物質が固定された薄膜層に関する前記測定で得られた前記各暗線の位置との関係を示すデータを取得するものとすることができ、前記判定手段は、前記データに当てはめた直線の傾きが予め定められた許容範囲内であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、前記傾きが前記許容範囲外であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていないと判定するものとすることができる。
前記光ビーム測定手段は、互いに屈折率の異なる複数の基準液が薄膜層の表面上に個別に配される毎に測定された全反射減衰によって生じる各暗線の位置と前記各基準液の屈折率との関係を示すデータを取得するものとすることができ、前記判定手段は、前記データのバラツキの幅が予め定められた許容範囲内であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、前記データのバラツキの幅が前記許容範囲外であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていないと判定するものとすることができる。なお、前記データのバラツキは、データに当てはめた回帰直線に対する上記データのバラツキとすることが望ましい。
前記光ビーム測定手段は、生理活性高分子物質が固定された前記薄膜層の表面上に互いに屈折率の異なる複数の前記基準液が個別に配される毎に測定された前記全反射減衰によって生じる各暗線の位置と、参照物質が固定された前記薄膜層の表面上に前記互いに屈折率の異なる複数の基準液が個別に配される毎に測定された前記全反射減衰によって生じる各暗線の位置との間の、各基準液毎における位置の差と、前記生理活性高分子物質が固定された薄膜層に関する測定で得られた前記各暗線の位置との関係を示すデータを取得するものとすることができ、前記判定手段は、前記データのバラツキの幅が予め定められた許容範囲内であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、前記データのバラツキが前記許容範囲外であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていないと判定するものとすることができる。
前記光ビーム測定手段は、前記全反射減衰によって生じる暗線の位置のドリフト量を測定するものとすることができ、前記判定手段は、前記ドリフト量が予め定められた許容範囲内であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、前記ドリフト量が前記許容範囲外であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていないと判定するものとすることができる。
前記光ビーム測定手段は、前記全反射減衰によって生じる暗線の位置の変動量を測定するものとすることができ、前記判定手段は、前記変動量が予め定められた許容範囲内であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、前記変動量が前記許容範囲外であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていないと判定するものとすることができる。
前記生理活性高分子物質とは、日本工業規格(JIS)K3611中に「天然高分子」(記号11001〜11025)として記載されている各物質、生物学データ大百科事典(朝倉書店)中の「1.生体物質概論」に記載されている糖,アミノ酸、ヌクレオチド、脂質、ヘム、キノン、タンパク質、RNA,DNA、リン脂質、多糖、バイオサイエンス辞典(朝倉書店)中の「II.生物物質と代謝」に記載されているタンパク質、アミノ酸、核酸、脂質、糖質、酵素のうちのいずれか1つ以上を含むものを意味する。
これら、生理活性高分子物質は、後述のリンカー膜を介して固定されるようにすることが望ましい。これは、薄膜層に直接、生理活性高分子物質を固定すると上記生理活性高分子物質の生理的な活性が弱まるおそれがあるからである。
前記参照物質は、生理的な活性を失った物質である。なお、この参照物質としては、生理的な活性を持たない有機膜、例えば、後述するリンカー膜から生理的な活性を失わせたものを用いることが望ましい。すなわち、薄膜層の表面へのリガンドの固定方法としては、薄膜層の表面に固定したデキストラン層にリガンド分子を直接共有結合で固定化するアミンカプリング方法、あるいは薄膜層の表面に固定化したキレート剤NTAによりリガンド分子であるHisタグ融合タンパク質を補足する間接的補足法などが知られているが、上述のデキストラン層やキレート剤NTAをリンカー膜とすることができ、これに対して上記デキストラン層の共有結合機能を失活させたものや、キレート剤NTAのタンパク補足機能を失活させたものを参照物質とすることができる。
前記基準液は、生理活性高分子物質あるいは参照物質との間において化学的な反応を示さないものであることが好ましい。
前記ドリフト量は、10秒以上の長時間に亘る前記暗線の位置の測定によって得られるものとすることができる。また、前記変動量は、10秒未満の短時間に亘る前記暗線の位置の測定によって得られるものとすることができる。
本発明の全反射減衰を利用した測定装置によれば、予め用意した基準液を薄膜層の表面上に配したときの光ビーム測定手段での測定結果に基づいて、全反射減衰を利用した測定が正常に行われているか否かを判定するようにしたので、試料液の測定を行う前に全反射減衰を利用した測定が正常に行われているか否かを知ることができ、再測定や試料液の無駄な消費を防止することができるので測定における効率の低下を抑制することができる。
また、光ビーム測定手段を、全反射減衰によって生じる暗線の位置を測定するものとしたり、光強度の低下を示す光強度分布のプロファイルの半値幅を測定するものとしたり、あるいは、光強度の低下を示す光強度分布のピークレベルを測定するものとし、判定手段を、上記暗線の位置、半値幅、あるいはピークレベルに応じて全反射減衰を利用した測定が正常に行われているか否かを判定するものとすれば、より確実に、全反射減衰を利用した測定が正常に行われているか否かを知ることができ、再測定や試料液の無駄な消費を防止することができるので測定における効率の低下をより確実に抑制することができる。なお、これらの測定によって、測定チップに関する異常、例えば薄膜層の厚さの異常等について、より多くの情報を得ることができる。
また、光ビーム測定手段を、互いに屈折率が異なる複数の基準液を薄膜層の表面上に個別に配する毎の測定に基づいたデータを取得するものとし、判定手段を、上記データのバラツキの幅、あるいは上記データに当てはめた直線の傾きに基づいて、全反射減衰を利用した測定が正常に行われているか否かを判定するものとすれば、より確実に、全反射減衰を利用した測定が正常に行われているか否かを知ることができ、再測定や試料液の無駄な消費を防止することができるので測定における効率の低下をより確実に抑制することができる。
さらに、光ビーム測定手段を、全反射減衰によって生じる暗線の位置のドリフト量、あるいは変動量を測定するものとし、判定手段を、上記ドリフト量、あるいは変動量に基づいて、全反射減衰を利用した測定が正常に行われているか否かを判定するものとすれば、より確実に、全反射減衰を利用した測定が正常に行われているか否かを知ることができ、再測定や試料液の無駄な消費を防止することができるので測定における効率の低下をより確実に抑制することができる。なお、これらの測定によって、入射光学系や光ビーム測定手段に関する異常について、より多くの情報を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態の全反射減衰を利用した測定装置である表面プラズモン測定装置の概略構成を示す平面図、図2は上記表面プラズモン測定装置の概略構成を示す側面図である。
上記表面プラズモン測定装置は、複数の誘電体ブロックに光ビームを並列的に入射させることにより複数の試料液の分析を同時に行うものである。
表面プラズモン測定装置101は、図示のように、同様の構成の複数の表面プラズモン測定ユニット101A、101B、101C…により構成されている。各測定ユニットの構成について、個別の要素を表す符号であるA、B、C…の符号は省略して説明する。
上記各測定ユニット101は、光ビーム13を発生する光源であるレーザ光源14と、光ビーム13に対して透明な誘電体ブロック10、この誘電体ブロック10の一面に形成された、金属膜からなる薄膜層12、および薄膜層12の表面上に試料液11を保持する試料液保持部10aを備えてなる測定チップ9と、上記光ビーム13を、誘電体ブロック10と薄膜層12との界面10bでこの光ビーム13が全反射するように、上記光ビーム13を誘電体ブロック10に対して入射させる入射光学系15と、上記界面10bで全反射した光ビーム13の光強度分布を測定する光ビーム測定部29と、予め用意した基準液11を薄膜層12の表面上に配したときの光ビーム測定部29での測定に基づいて、全反射減衰を利用した測定が正常に行われているか否かを判定する判定部60と、判定部60による判定結果を出力する出力部61とを備えている。
光ビーム測定部29は、上記界面10bで反射させられた光ビーム13を平行光化して光検出器17に向けて射出するコリメータレンズ16と、コリメータレンズ16より出射された光ビーム13を受光して光強度を検出する光検出器17と、光検出器17に接続された差動アンプアレイ18と、差動アンプアレイ18に接続されたドライバ19と、ドライバ19に接続されたコンピュータシステム等からなる信号処理部20とからなる。
なお、光ビーム13は、必ずしも上記のように平行光化して光検出器17に入射させる場合に限らず、平行光化して入射させない場合には、上記光ビーム測定部29を、コリメータレンズ16が除かれたものとすることができる。
なお、光検出器17には、線状領域における光強度分布を測定するフォトダイオードアレイや、面状領域における光強度分布を測定するCCDを採用することができるが、ここでは、光検出器17がフォトダイオードアレイである場合について説明する。
入射光学系15は、レーザ光源14から射出された光ビーム13を平行光化するコリメータレンズ15aと、この平行光化された光ビーム13を上記界面10bに向けて収束させる集光レンズ15bとから構成されている。
光ビーム13は、集光レンズ15bにより上述のように集光されるので、界面10bに対して種々の入射角θで入射する成分を含むことになる。なお、この入射角θは、全反射角以上の角度とされる。そのため、界面10bで全反射した光ビーム13には、種々の反射角で全反射された成分が含まれることになる。なお、上記入射光学系15は、光ビーム13を界面10b上に点状に集光させずにデフォーカス状態で入射させるように構成してもよい。そのようにすれば、界面10b上のより広い領域において光ビーム13が全反射されるので、全反射減衰の状態の検出誤差が平均化されて全反射減衰角の測定精度を高めることができる。
なお、光ビーム13は、界面10bに対してp偏光で入射させる。そのようにするためには、予めレーザ光源14をその偏光方向が上記所定の方向となるように配設すればよい。その他、光ビーム13を界面10bに対してp偏光で入射させるには波長板で光ビーム13の偏光の向きを制御するようにしてもよい。
また、上記表面プラズモン測定装置101は、各測定ユニット101A、101B、101C…の信号処理部20A、20B、20C…に接続された1つの表示手段21を備えている。
上記誘電体ブロック10は、例えば透明樹脂等により形成することができ、四角錐の4つの稜線が集まる頂角を含む一部分が切り取られた形状とされている。
試料液保持部10aは、四角錐の誘電体ブロック10の底面の周囲が四角錐の広がりながら延びる方向に嵩上げされた形として形成されたものである。したがって、この周囲が嵩上げされた部分で囲まれた凹部10cの底面に上記薄膜層12が位置し、この凹部10cに試料液11が貯えられる。
薄膜層12は、例えば金、銀、銅、アルミニウム等の金属膜で構成することができる。
なお、薄膜層12の表面上には生理活性高分子物質等のセンシング物質が固定されるが、このセンシング物質30については後述する。
また、光ビーム13は、誘電体ブロック10の試料液11を保持する側とは反対側から誘電体ブロック10に向けて入射せしめられる。
なお、隣接する複数の測定チップ9は、連結されて一体的取扱いが可能なチップ連結ユニット80を構成している。
<<表面プラズモン測定装置の動作>>
以下、上記表面プラズモン測定装置101の動作について説明する。
図2に示す通り、レーザ光源14から射出された光ビーム13は、入射光学系15を通して、誘電体ブロック10と薄膜層12との界面10b上に収束せしめられる。
界面10b上に収束され、この界面10bで全反射された光ビーム13は、コリメータレンズ16を通して光検出器17によって検出される。光検出器17は、複数の受光素子であるフォトダイオード17a、17b、17c…が1列に並設されてなるフォトダイオードアレイであり、フォトダイオードの並設方向が図2の紙面に略平行となるように、かつコリメータレンズ16を通して平行光化されて入射される光ビーム13の伝播方向に対して略直交するように配設されている。したがって、上記界面10bにおいて種々の反射角で全反射された光ビーム13の各成分を、それぞれ異なるフォトダイオード17a、17b、17c…が受光することになる。そして、光検出器17は、各フォトダイオード17a、17b、17c…によって検出された上記光ビーム13の強度分布を示す信号を出力する。
界面10bに特定入射角θSPで入射した上記光ビーム13の成分は、薄膜層12とこの薄膜層12に接している物質との界面に表面プラズモンを励起させるので、この光については反射光強度が鋭く低下する。つまり上記特定入射角θSPが全反射減衰角であり、この角度θSPにおいて反射光強度は極小値を示す。この反射光強度が低下する領域は、図2にDで示すように、界面10bで全反射された光ビーム13中の暗線として観察される。
次に、光検出器17から出力された光ビーム13の光強度分布を示す信号の処理について詳細に説明する。
図3は、この表面プラズモン測定装置の電気的構成を示すブロック図である。図示の通り上記ドライバ19は、差動アンプアレイ18の各差動アンプ18a、18b、18c…の出力をサンプルホールドするサンプルホールド回路22a、22b、22c…、これらのサンプルホールド回路22a、22b、22c…の各出力が入力されるマルチプレクサ23、このマルチプレクサ23の出力をデジタル化して信号処理部20に入力するA/D変換器24、マルチプレクサ23とサンプルホールド回路22a、22b、22c…とを駆動する駆動回路25、および信号処理部20からの指示に基づいて駆動回路25の動作を制御するコントローラ26から構成されている。
上記フォトダイオード17a、17b、17c…の各出力は、差動アンプアレイ18の各差動アンプ18a、18b、18c…に入力される。この際、互いに隣接する2つのフォトダイオードの出力が、共通の差動アンプに入力される。したがって各差動アンプ18a、18b、18c…の出力は、複数のフォトダイオード17a、17b、17c…が出力する光検出信号を、それらの並設方向に関して微分したものと考えることができる。
各差動アンプ18a、18b、18c…の出力は、それぞれサンプルホールド回路22a、22b、22c…により所定のタイミングでサンプルホールドされ、マルチプレクサ23に入力される。マルチプレクサ23は、サンプルホールドされた各差動アンプ18a、18b、18c…の出力を、所定の順序に従ってA/D変換器24に入力する。A/D変換器24はこれらの出力をデジタル化して信号処理部20に入力する。
図4は、界面10bで全反射された光ビーム13の界面10bへの入射角θ毎の光強度と、差動アンプ18a、18b、18c…の出力との関係を説明するものである。ここで、光ビーム13の界面10bへの入射角θと上記反射された光ビーム13の光強度Iとの関係は、同図(1)のグラフに示すようなものであるとする。なお、図4(1)は全反射減衰が生じた光ビーム13の光強度分布を、全反射減衰が生じていない光ビーム13の光強度分布(例えば、ガウシアン分布)で除して得られるものである。
また図4の(2)は、フォトダイオード17a、17b、17c…の並設方向を示しており、先に説明した通り、これらのフォトダイオード17a、17b、17c…の並設方向位置は上記入射角θと一義的に対応している。
そしてフォトダイオード17a、17b、17c…の並設方向位置、つまりは入射角θと、差動アンプ18a、18b、18c…の出力I’(反射光強度Iの微分値)との関係は、同図(3)に示すようなものとなる。すなわち、ここで暗線位置を測定するとは、ファとダイオードアレイ上の暗線位置を検出することであるが、それは、対応する入射角θを検出するものとみなすことができる。
信号処理部20は、A/D変換器24から入力された微分値I’の値に基づいて、差動アンプ18a、18b、18c…の中から、微分値として正の値を有し、かつ全反射減衰角θSPに対応する微分値I’=0に最も近い出力が得られているもの(図4(3)の例では差動アンプ18eとなる)と、微分値として負の値を有し、かつ全反射減衰角θSPに対応する微分値I’=0に最も近い出力が得られているもの(図4(3)の例では差動アンプ18dとなる)を選択し、それらの差動アンプが出力する微分値に基づいて、全反射減衰角θSPを算出する。なお、場合によっては微分値I’=0を出力している差動アンプが存在することもあり、そのときはその差動アンプに基づいて全反射減衰角θSPを算出する。以後、所定時間が経過する毎に上記と同様な動作を繰り返し、全反射減衰角θSPを算出し、測定開始時からの角度変化量を求め表示手段21に表示する。
上述のように、測定チップ9の薄膜層12の近傍の誘電率つまりは屈折率が変化すると、それに応じて全反射減衰角θSPも変化するため、この全反射減衰角θSPの角度変化量を時間の経過とともに測定し続けることにより、薄膜層12の近傍の誘電率の変化を調べることができる。
なお、薄膜層12の上に、試料液11中に溶解している特定物質と結合するセンシング物質30を固定した場合、上記試料液11中の特定物質とセンシング物質30との結合の進行、あるいは解離の進行に応じて薄膜層12近傍の屈折率(誘電率)が時間の経過とともに変化する。したがって、上記全反射減衰角θSP(微分値I’)を測定し続けることにより、上記結合、あるいは解離の進行状況を調べることができる。そのようなセンシング物質30と特定物質との組合せとしては、例えば、生理活性高分子物質(タンパク、DNA,RNA,多糖類等)と医薬品を構成する化合物との組み合わせを挙げることができる。
<<流路ユニットの取り付け>>
上記のように、試料液11中の特定物質とセンシング物質30との結合の進行、あるいは解離の進行に応じた薄膜層12近傍の屈折率(誘電率)の変化を測定する場合には、測定チップ9の試料液保持部10aの凹部10cに、後述する流路ユニットを取り付けて測定を行うことが望ましい。図5は表面プラズモン測定装置に流路ユニットを取り付けた測定チップ9を用いて測定を行う様子を示す側面図、図6は流路ユニットを取り付けた測定チップ9を上方から見た様子を示す拡大平面図、図7は図6の3−3断面を示す図である。
流路ユニット50は、誘電体ブロック10の試料保持部10aの内側へ嵌合する本体51中に、試料液11を供給するための供給路52、液体試料を排出するための排出路53および排出路53から排出された試料液11を貯留する試料貯留部56が形成されている。本体51の下面には、供給路52の出口と排出路53の入口が開口されている。したがって、この流路ユニット50の測定チップ9への取り付けによって形成された、本体51の下面と金属膜12との間の空間が測定流路57となる。
この測定流路57への試料液11の供給は、上記試料液11を吸引したピペット227が供給路52の入口に試料液11を吐出することにより行なう。
また、上記試料液11を測定流路57に満たして、試料液11中の化合物と上記センシング物質30とが結合する様子を測定した後、上記化合物とセンシング物質30との結合を解離させる解離液を測定流路57に流す場合には、ピペット227Bにより解離液71を吸引した後、流路ユニット50の供給路52の入口に上記解離液71を吐出する。
流路ユニット50の供給路52の入口から解離液71を供給することにより、測定流路57内に解離液71が満たされるとともに、流路ユニット50内に残存していた試料液11が排出路53から排出されて試料貯留部56に貯留される。
以下、上記試料液11中の特定物質とセンシング物質30との結合の進行、あるいは解離の進行等に関する測定が行われる前に、表面プラズモン測定装置101によって上記全反射減衰を利用した測定が正常に行われているか否かを判定し、その判定結果を出力する場合について説明する。
予め用意した基準液11aを流路ユニット50に供給して測定流路57に基準液11aを満たすことにより、基準液11aを薄膜層12の表面上に配する。なお、基準液11aとして、薄膜層12上に固定されたタンパク、DNA、RNA、あるいは多糖類等のセンシング物質との間で化学的な反応を生じないものを用いる場合には、光ビーム測定部29により、界面12で全反射した光ビームの光強度分布の測定を行う際に、基準液11aはセンシング物質と反応しないので、測定が正常に行われている状態であれば、基準液11aを薄膜層12の表面上に配して測定される上記光ビームの光強度分布は、予め定められた上記基準液11aとセンシング物質との組み合わせによって定められる固有の分布を示す。
一方、基準液11aとして、薄膜層12上に固定したタンパク、DNA、RNA、多糖類等のセンシング物質との間で化学的な反応を生じるものを用いる場合には、上記化学的な反応が飽和するまでこの反応を進行させることにより、上記光ビームの光強度分布を、上記と同様に反応が飽和した基準液11aとセンシング物質との組み合わせによって定められる固有の分布を示すものとすることができる。なお、基準液11a、11b・・・の流路ユニット50への供給は、上記と同様にピペットによって行われる。
判定部60は、上記光ビーム測定部29での測定に基づいて、すなわち光ビーム測定部29から測定情報を入力して全反射減衰を利用した測定が正常に行われているか否かを判定する。その判定結果は出力部61から出力されて表示部21に表示される。なお、出力形態は表示のみならず音声でもよい。
以下、上記光ビーム測定部29での測定に基づいて、判定部60が、上記全反射減衰を利用した測定が正常に行われているか否かを判定する様々な手法について個別に説明する。
<1:全反射減衰で生じる暗線の位置に注目した判定手法>
この手法は、予め用意した基準液11を薄膜層12の表面上に配したときの、上記全反射減衰によって生じる暗線の位置を光ビーム測定部29によって測定し、この測定情報を入力した判定部60が、上記暗線の位置に応じて全反射減衰を利用した測定が正常に行なわれているか否かを判定するものである。
図8は、横軸に入射角θ、縦軸に光強度Iを示す座標軸上に、様々な角度で界面10bへ入射した光ビーム13の各入射角θと、各入射角θで入射し界面10bで全反射された光ビーム13の光強度との関係を示すものである。上記入射角と光強度との関係は、既に説明した図4(1)に示す入射角と光強度との関係と同様であり、全反射した光ビーム中の全反射減衰によって生じた光強度の低下を示す光強度分布のプロファイルを示すものである。なお、暗線の位置は全反射減衰角で示され、その値は図中に値θSPとして示されている。
ここで、予め基準液11に対する測定によって求められた暗線の位置の許容範囲、すなわち、全反射減衰角h1の許容範囲は、U1≦h1≦V1で示される範囲である(図8参照)。
したがって、判定部60は、上記全反射減衰角が許容範囲内:U1≦h1≦V1に位置しているときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、全反射減衰角が許容範囲外:h1<U1、あるいはV1<h2に位置しているときに全反射減衰を利用した測定が正常に行なわれていないと判定する。ここでは、全反射減衰角θSPが許容範囲内:U1≦θSP≦V1なので、判定部60が、全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定する。
上記図8に示す界面10bで全反射された光ビーム13の光強度分布は、以下のようにして得ることができる。すなわち、図2あるいは図4に示すように、各フォトダイオード17a、17b、17c…から出力された信号を増幅アンプ18Aで増幅し、その増幅された各信号SSを、ドライバ19に入力しこのドライバ19でデジタル化して、さらに上記デジタル化した信号を信号処理部20で処理して上記全反射された光ビーム13の光強度分布を得る。
<2:全反射減衰を示すプロファイルの半値幅に注目した判定手法>
この手法は、予め用意した基準液11を薄膜層12の表面上に配したときの、上記全反射した光ビーム中の上記全反射減衰によって生じた光強度の低下を示す光強度分布のプロファイルの半値幅を光ビーム測定部29により測定し、この測定情報を入力した判定部60が、上記半値幅の大きさに応じて全反射減衰を利用した測定が正常に行なわれているか否かを判定するものである。
図9は、横軸に入射角θ、縦軸に光強度Iを示す座標軸上に、様々な角度で界面10bへ入射した光ビーム13の各入射角θと、各入射角θで入射し界面10bで全反射された光ビーム13の光強度との関係で表される上記光強度分布のプロファイルP2を示すものである。上記光強度分布のプロファイルは、既に説明した図8と同様の態様となる。
ここで、全反射減衰の影響が少ない入射角(図中矢印F2の範囲)における略一定となった光強度を基準レベルの値Imとし、全反射減衰角θSPにおける光強度、すなわち光強度の減衰量が最大となるプロファイルP2のピークレベルを値Ip2とする。これにより、上記光強度分布のプロファイルP2の半値幅を、図中の点K21とK22との間の距離によって示される幅W2として求めることができる。すなわち、基準レベル(値Im)とピークレベル(値Ip2)との間を2等分する値Iw(Iw=(Im+Ip2)/2)においてプロファイルP2と交わる2点間の幅である、上記点K21とK22との間の距離W2として求めることができる。
一方、予め基準液11に対して測定された上記全反射減衰によって生じる上記光強度の低下を示す光強度分布のプロファイルの半値幅h2の許容範囲は、U2≦h2≦V2で示される範囲である。
したがって、判定部60は、上記半値幅が許容範囲内:U2≦h2≦V2であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、半値幅が許容範囲外:h2<U2、あるいはV2<h2であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行なわれていないと判定する。ここでは、測定して得られた半値幅の値W2が許容範囲内U2≦W2≦V2であるので、判定部60が、全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定する。
<3:全反射減衰を示すプロファイルのピ−クレベルに注目した判定手法>
この手法は、予め用意した基準液11を薄膜層12の表面上に配したときの、上記全反射した光ビーム中の上記全反射減衰によって生じた光強度の低下を示す光強度分布のプロファイルのピークレベルを光ビーム測定部29により測定し、この測定情報を入力した判定部60が、上記ピークレベルの大きさに応じて全反射減衰を利用した測定が正常に行なわれているか否かを判定するものである。
図10は、横軸に入射角θ、縦軸に光強度Iを示す座標軸上に、様々な角度で界面10bへ入射した光ビーム13の各入射角θと、各入射角θで入射し界面10bで全反射された光ビーム13の光強度との関係で表される光強度分布のプロファイルP3を示すものである。上記光強度分布のプロファイルは、既に説明した図8あるいは図9と同様の態様をなすものとなる。ここで、上記光強度分布のプロファイルP3のピークレベルは値Ip3である。
一方、予め基準液11に対して測定された上記全反射減衰によって生じる暗線のプロファイルのピークレベルh3の許容範囲は、U3≦h3≦V3で示される範囲である。
したがって、判定部60は、上記ピークレベルが許容範囲内:U3≦h3≦V3であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、ピークレベルが許容範囲外:h3<U3、あるいはV3<h3であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行なわれていないと判定する。ここでは、測定して得られたピークレベルの値Ip3が許容範囲内:U3≦Ip3≦V3であるので、判定部60が、全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定する。
<4:基準液の屈折率を変えて得られたデータの傾きに注目した判定手法>
この手法は、予め用意した、互いに屈折率の異なる基準液11a、11b・・・を薄膜層12の表面上に個別に配する毎に測定された、上記全反射減衰によって生じる各暗線の位置と上記各基準液11a、11b・・・の屈折率との関係を示すデータを光ビーム測定部29により測定し、上記データを入力した判定部60が、このデータに当てはめた直線の傾きに応じて全反射減衰を利用した測定が正常に行なわれているか否かを判定するものである。
図11は、縦軸に角度θ、横軸に屈折率Ndを示す座標上に、光ビーム測定部29での測定によって得られた、各基準液11a、11b・・・毎に測定された、各暗線の位置と各基準液11a、11b・・・の屈折率との関係を表すデータD41、D42・・・を示す図である。なお、上記各暗線の位置は、各基準液11a、11b・・・毎に測定された全反射減衰角の角度である。
ここで、上記データD41、D42・・・に当てはめた直線L4の傾きは値G4で示される。なお、直線L4は、例えば、データD41、D42・・・に対する回帰直線とすることができる。
一方、予め各基準液11a、11b・・・に対する測定に基づいて求められた、上記全反射減衰角と各屈折率との関係を表すデータに当てはめた直線の傾きh4の許容範囲は、U4≦h4≦V4で示される範囲である。
したがって、判定部60は、上記直線L4の傾きが許容範囲内:U4≦h4≦V4であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、上記直線L4の傾きが許容範囲外:h4<U4、あるいはV4<h4であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行なわれていないと判定する。ここでは、上記測定して得られた直線L4の傾きが値G4であり許容範囲内:U4≦G4≦V4なので、判定部60が、全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定する。
なお、互いに屈折率の異なる基準液11a、11b・・・を薄膜層12の表面上に個別に配する毎の暗線の位置の測定は、互いに屈折率の異なる基準液11a、11b・・・を生理活性高分子物質が固定された薄膜層12の表面上に個別に配する毎の暗線の位置の測定とすることもでき、このような場合でも上記全反射減衰を利用した測定が正常に行われているか否かを判定することができる。
<5: 生理活性高分子物質が固定された薄膜層を用い基準液の屈折率を変えて得られたデータの傾きに注目した判定手法>
この手法は、予め用意した、互いに屈折率の異なる基準液11a、11b・・・を生理活性高分子物質が固定された薄膜層12の表面上に個別に配する毎に測定された全反射減衰角と、上記基準液11a、11b・・・を参照物質が固定された薄膜層12の表面上に個別に配する毎に測定された全反射減衰角との間の、各基準液11a、11b・・・毎の位置(角度)の差と、上記生理活性高分子物質が固定された薄膜層12に関する測定で得られた上記各全反射減衰角との関係を示すキャリブレーション用データを、光ビーム測定部29により取得し、上記キャリブレーション用データを入力した判定部60が、キャリブレーション用データに対する回帰直線を求め、この直線の傾きに応じて全反射減衰を利用した測定が正常に行なわれているか否かを判定するものである。なお、上記「生理活性高分子物質が固定された薄膜層12に関する測定で得られた各全反射減衰角」とは、基準液11a、11b・・・を生理活性高分子物質が固定された薄膜層12の表面上に個別に配する毎に測定された全反射減衰角を意味するものである。
上記手法についてより具体的に説明する。図12は、生理活性高分子物質および参照物質が固定された薄膜層を用いた測定の様子を示す図である。図示のように、この手法では、薄膜層12上の一部の領域に、例えば、タンパク、DNA、RNA、あるいは多糖類等からなるセンシング物質である生理活性高分子物質30Kを固定するとともに、上記薄膜層12上の他の一部の領域に、参照物質30Rを固定した測定チップ9を用いる。なお、上記参照物質30Rは、生理的な活性を持たない有機膜であり、生理活性高分子物質30Kとの間に化学的な反応を生じる試料液に対しても、化学的な反応を示さないものである。また、上記各基準液11a、11b・・・は、上記参照物質30Rおよび生理活性高分子物質30Kに対して、共に化学的に反応しないものである。
この参照物質としては、リンカー膜から生理的な活性を失わせたものを用いることが望ましい。すなわち、例えば、共有結合機能を失活させたデキストラン層、あるいはタンパク補足機能を失活させたキレート剤NTAを上記参照物質することができる。
上記測定チップ9に流路ユニット50を取り付けた後、基準液11aを流路ユニット50に供給して測定流路57に基準液11aを満たし、生理活性高分子物質30Kおよび参照物質30Rのそれぞれが固定された薄膜層12の表面上に基準液11aを配する。
この状態において、入射光学系15が、生理活性高分子物質30Kが固定された薄膜層12上の一部の領域のみに光ビーム13が照射されるようにこの光ビーム13を射出する。そして、光ビーム測定部29が、界面10bで全反射された光ビーム13を測定する。次に、測定チップ9を図中矢印−X方向に移動させた後、入射光学系15が、参照物質30Rが固定された薄膜層12上の一部の領域のみに光ビーム13が照射されるようにこの光ビーム13を射出する。そして、光ビーム測定部29が、界面10bで全反射した光ビーム13を測定する。
これにより、基準液11aを、生理活性高分子物質30Kが固定された薄膜層12上に配したときに測定された全反射減衰角と、上記基準液11aを、参照物質30Rが固定された薄膜層12上に配したときに測定された全反射減衰角とを求めることができる。
上記と同様に、他の各基準液11b、11c・・・を生理活性高分子物質30Kが固定された薄膜層12の表面上に個別に配する毎に測定された全反射減衰角と、上記各基準液11b、11c・・・を参照物質30Rが固定された薄膜層12の表面上に個別に配する毎に測定された全反射減衰角とを求めることができる。
図13(a)は、縦軸に角度θ、横軸に屈折率Ndを示す座標上に、上記各基準液毎に測定された全反射減衰角と、上記各基準液の屈折率との関係を示す図である。図示のように、薄膜層12の表面上に生理活性高分子物質30Kを固定したときに得られた基準液11a、11b・・・毎の全反射減衰角と各基準液11a、11b・・・の屈折率との関係を示すデータがデータE51、E52・・・である。また、薄膜層12の表面上に参照物質30Rを固定して得られた各基準液11a、11b・・・毎の全反射減衰角と各基準液11a、11b・・・の屈折率との関係を示すデータが、データD51、D52・・・である。
図13(b)は、縦軸および横軸が共に角度を示す座標上に、上記キャリブレーション用データを示した図である。キャリブレーション用データC51,C52・・・は、上記各データD51、D52・・・が示す全反射減衰角と上記データE51、E52・・・が示す全反射減衰角との間の、各基準液11a、11b・・・毎における角度の差δ51(δ51=E51−D51)、δ52(δ52=E52−D52)、・・・(図中縦軸であるδ軸方向に示す)と、生理活性高分子物質30Kが固定された薄膜層12に関する測定で得られた基準液11a、11b・・・毎の各全反射減衰角(図中横軸であるθ軸方向に示す)との関係を示すものである。
ここで、上記図11を用いて既に説明した手法を用いて、上記キャリブレーション用データC51,C52・・・に当てはめた直線L5の傾きを求めることができ、その傾きは値G5で示される。
一方、予め取得された許容範囲、すなわち、生理活性高分子物質30Kおよび参照物質30Rが固定された薄膜層12上に各基準液11a、11b・・・を配した測定によって得られたキャリブレーション用データに対する回帰直線L5の傾きh5の許容範囲は、U5≦h5≦V5で示される範囲である。
したがって、判定部60は、上記直線L5の傾きが許容範囲内:U5≦h5≦V5であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、上記直線L5の傾きが許容範囲外:h5<U5、あるいはV5<h5であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行なわれていないと判定する。ここでは、上記測定して得られた直線L5の傾きの値G5が許容範囲内:U5≦G5≦V5であるので、判定部60が、全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定する。
なお、上記キャリブレーション用データは、生理活性高分子物質が固定された薄膜層上に互いに屈折率の異なる複数の基準液が個別に配される毎に測定された全反射減衰によって生じる各暗線の位置と、参照物質が固定された薄膜層上に前記互いに屈折率の異なる複数の基準液が個別に配される毎に測定された前記全反射減衰によって生じる各暗線の位置との間の、上記各基準液毎における位置(角度)の差と、上記生理活性高分子物質が固定された薄膜層に関する上記測定で得られた上記各暗線の位置との関係を示すものとする場合に限らない。すなわち、上記キャリブレーション用データを、生理活性高分子物質が固定された薄膜層上に互いに屈折率の異なる複数の基準液が個別に配される毎に測定された全反射減衰によって生じる各暗線の位置と、参照物質が固定された薄膜層上に前記互いに屈折率の異なる複数の基準液が個別に配される毎に測定された前記全反射減衰によって生じる各暗線の位置との間の、上記各基準液毎における位置(角度)の差と、上記参照物質が固定された薄膜層に関する上記測定で得られた上記各暗線の位置との関係を示すものとしてもよい。このような場合であっても、上記と同様の手法により、全反射減衰を利用した測定が正常に行われているか否かの判定を行うことができる。
また、薄膜層に参照物質等が固定されていない場合であっても、上記と同様の手法により、全反射減衰を利用した測定が正常に行われているか否かの判定を行うことができる。
<6:基準液の屈折率を変えて得られたデータのバラツキの幅に注目した判定手法>
この手法は、予め用意した、互いに屈折率の異なる基準液11a、11b・・・を薄膜層12の表面上に個別に配する毎に測定された、上記全反射減衰によって生じる各暗線の位置(全反射減衰角)と上記各基準液11a、11b・・・の屈折率との関係を示すデータを光ビーム測定部29により測定し、上記データを入力した判定部60が、この入力したデータのバラツキの幅に応じて全反射減衰を利用した測定が正常に行なわれているか否かを判定するものである。
なお、バラツキの幅は、上記データに当てはめた直線に対して垂直な方向へのデータの拡がりを示す幅であって、上記直線の一方の側においてこの直線から最も離れて位置するデータからこの直線までの距離と、上記直線の他方の側においてこの直線から最も離れて位置するデータからこの直線までの距離との和で示されるものである。
なお、上記データに当てはめた直線は、上記データに対する回帰直線である。
図14は、縦軸に角度θ、横軸に屈折率Ndを示す座標上に、光ビーム測定部29での測定によって得られた、各基準液11a、11b・・・毎の暗線の位置である全反射減衰角と各基準液11a、11b・・・の屈折率との関係を表すデータD61、D62・・・を示す図である。
ここで、上記データD61、D62・・・に対する回帰直線は直線L6である。
図中、直線L6に対して、この直線L6の上側に最も離れて位置するデータはデータD65であり、直線L6からデータD65までの距離はW65である。また、直線L6に対して、この直線L6の下側に最も離れて位置するデータはデータD62であり、直線L6からデータD62までの距離はW62である。したがって、データのバラツキの幅を示す値G6は、G6=W62+W65の式によって示されるものとなる。
一方、予め各基準液11a、11b・・・に対して測定された、上記各全反射減衰角と各基準液11a、11b・・・の屈折率との関係を表すデータのバラツキの幅h6の許容範囲は、h6≦V6で示される範囲である。
したがって、判定部60は、上記バラツキの幅が許容範囲内:h6≦V6であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、上記バラツキの幅が許容範囲外:V6<h6であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行なわれていないと判定する。ここでは、上記測定して得られた、バラツキの幅が値G6であり許容範囲内:G6≦V6なので、判定部60が、全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定する。
なお、互いに屈折率の異なる基準液11a、11b・・・を薄膜層12の表面上に個別に配する毎の暗線の位置の測定は、互いに屈折率の異なる基準液11a、11b・・・を生理活性高分子物質が固定された薄膜層12の表面上に個別に配する毎の暗線の位置の測定とすることもでき、このような場合でも上記全反射減衰を利用した測定が正常に行われているか否かを判定することができる。
<7: 生理活性高分子物質が固定された薄膜層を用い基準液の屈折率を変えて得られたデータのバラツキの幅に注目した判定手法>
この手法は、予め用意した、互いに屈折率の異なる基準液11a、11b・・・を生理活性高分子物質が固定された薄膜層12の表面上に個別に配する毎に測定された全反射減衰角と、各基準液11a、11b・・・を参照物質が固定された薄膜層12の表面上に個別に配する毎に測定された全反射減衰角との間の、基準液11a、11b・・・毎における位置(角度)の差と、上記生理活性高分子物質が固定された薄膜層12に関する測定で得られた上記各全反射減衰角との関係を示すキャリブレーション用データを、光ビーム測定部29により取得し、上記キャリブレーション用データを入力した判定部60が、キャリブレーション用データのバラツキの幅に応じて全反射減衰を利用した測定が正常に行なわれているか否かを判定するものである。
この手法においても、図12を用いて既に説明した場合と同様に、各基準液11a、11b・・・を生理活性高分子物質30Kが固定された薄膜層12の表面上に個別に配する毎に測定された全反射減衰角と、上記各基準液11a、11b・・・を参照物質30Rが固定された薄膜層12の表面上に個別に配する毎に測定された全反射減衰角とを求めることができる。
図15(a)は、縦軸に角度θ、横軸に屈折率Ndを示す座標上に、各基準液毎に測定された全反射減衰角と各基準液の屈折率との関係を示す図である。
図示のように、薄膜層12の表面上に生理活性高分子物質30Kを固定したときに得られた各基準液11a、11b・・・毎の全反射減衰角と各基準液11a、11b・・・の屈折率との関係を示すデータは、データE71、E72・・・である。また、薄膜層12の表面上に参照物質30Rを固定して得られた各基準液11a、11b・・・毎の全反射減衰角と各基準液11a、11b・・・の屈折率との関係を示すデータは、データD71、D72・・・である。
図15(b)は、縦軸および横軸が共に角度を示す座標上にキャリブレーション用データを示す図である。キャリブレーション用データC71,C72・・・は、上記各データE71、E72・・・が示す全反射減衰角と上記データD71、D72・・・が示す全反射減衰角との間の各基準液11a、11b・・・毎の角度の差δ71(δ71=E71−D71)、δ72(δ72=E72−D72)、・・・(図中縦軸であるδ軸方向に示す)と、生理活性高分子物質30Kが固定された薄膜層12に関する測定で得られた基準液11a、11b・・・毎の各全反射減衰角(図中横軸であるθ軸方向に示す)との関係を示すものである。
ここで、上記図14を用いて既に説明した手法を用いて、キャリブレーション用データC71,C72・・・のバラツキの幅を得ることができ、その幅は値G7となる。
一方、予め取得されたキャリブレーション用データのバラツキの幅h7の許容範囲は、h7≦V7で示される範囲である。
したがって、判定部60は、上記バラツキの幅が許容範囲内:h7≦V7であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、上記バラツキの幅が許容範囲外:h7<G7であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行なわれていないと判定する。ここでは、測定されたバラツキの幅が値G7であり許容範囲内:G7≦V7なので、判定部60が、全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定する。
なお、上記キャリブレーション用データは、生理活性高分子物質が固定された薄膜層上に互いに屈折率の異なる複数の基準液が個別に配される毎に測定された全反射減衰によって生じる各暗線の位置と、参照物質が固定された薄膜層上に前記互いに屈折率の異なる複数の基準液が個別に配される毎に測定された前記全反射減衰によって生じる各暗線の位置との間の、上記各基準液毎における位置(角度)の差と、上記生理活性高分子物質が固定された薄膜層に関する上記測定で得られた上記各暗線の位置との関係を示すものとする場合に限らない。すなわち、上記キャリブレーション用データを、生理活性高分子物質が固定された薄膜層上に互いに屈折率の異なる複数の基準液が個別に配される毎に測定された全反射減衰によって生じる各暗線の位置と、参照物質が固定された薄膜層上に前記互いに屈折率の異なる複数の基準液が個別に配される毎に測定された前記全反射減衰によって生じる各暗線の位置との間の、上記各基準液毎における位置(角度)の差と、上記参照物質が固定された薄膜層に関する上記測定で得られた上記各暗線の位置との関係を示すものとしてもよい。このような場合であっても、上記と同様の手法により、全反射減衰を利用した測定が正常に行われているか否かの判定を行うことができる。
また、薄膜層に参照物質等が固定されていない場合であっても、上記と同様の手法により、全反射減衰を利用した測定が正常に行われているか否かの判定を行うことができる。
<8:光ビーム測定部で測定される全反射減衰角のドリフト量に注目した判定手法>
この手法は、予め用意した、溶媒(バッファ液)である基準液11を薄膜層12の表面上に配したときに全反射減衰によって生じる暗線の位置のドリフト量、すなわち全反射減衰角のドリフト量を光ビーム測定部29によって測定し、判定部60が、上記光ビーム測定部29から出力されたドリフト量に応じて全反射減衰を利用した測定が正常に行なわれているか否かを判定するものである。
図16は、横軸に時間t、縦軸に角度θを示す座標上に、時間と共に変化する上記全反射減衰角の値Q8を示したものである。図示のように、ドリフト量は所定時間t1当たりの値Q8の変化量で示されるものであり、より具体的には、ドリフト量は、上記値Q8の変化を直線回帰した直線L8における所定時間t1当たりの変化量で示される。この場合のドリフト量の値、所定時間t1当たりの全反射減衰角の変化量はG8となる。
ここで、予め測定された上記ドリフト量h8の許容範囲は、h8≦V8で示される範囲である。
したがって、判定部60は、上記ドリフト量が許容範囲内:h8≦V8であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、ドリフト量が許容範囲外:h8>V8であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行なわれていないと判定する。ここでは、測定されたドリフト量が値G8であり許容範囲内:G8≦V8なので、判定部60が、全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定する。
<9:光ビーム測定部で測定される全反射減衰角の変動量に注目した判定手法>
この手法は、予め用意した、溶媒(バッファ液)である基準液11を薄膜層12の表面上に配したときに全反射減衰によって生じる暗線の位置の変動量、すなわち全反射減衰角の変動量を光ビーム測定部29によって測定し、上記判定部60が、上記光ビーム測定部29から出力された上記変動量に応じて全反射減衰を利用した測定が正常に行なわれているか否かを判定するものである。
図17は、横軸に時間t、縦軸に角度θを示す座標上に、時間と共に変化する上記全反射減衰角の値Q9を示したものである。図示のように、上記全反射減衰角の値Q9の変動量は、時間と共に変化する上記全反射減衰角の値Q9の最大値と最小値との差の値G9として求められる。
ここで、予め測定された上記変動量h9の許容範囲は、h9≦V9で示される範囲である。
したがって、判定部60は、上記変動量が許容範囲内:h9≦V9であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、変動量が許容範囲外:h9>V9であるときに全反射減衰を利用した測定が正常に行なわれていないと判定する。ここでは、測定された変動量が値G9であり許容範囲内:G9≦V9なので、判定部60が、全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定する。
<<漏洩モード測定装置>>
上述の表面プラズモン測定装置101は、一部の構成を変更することにより漏洩モード測定装置とすることができる。図18は、上述の表面プラズモン測定装置101の一部を変更して構成した漏洩モード測定装置の測定ユニットの側面図である。なおこの図18において、図2中の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要の無い限り省略する。
この漏洩モード測定装置も、上述の表面プラズモン測定装置と同様に測定チップ9を用いるように構成されている。この測定チップ9の上面に形成された凹部10cの底面にはクラッド層40が形成され、さらにその上には光導波層41が形成されている。これらクラッド層40と光導波層41とによって薄膜層が形成されている。
誘電体ブロック10は、例えば合成樹脂やBK7等の光学ガラスを用いて形成されている。一方クラッド層40は、誘電体ブロック10よりも低屈折率の誘電体や、金等の金属を用いて薄膜状に形成されている。また光導波層41は、クラッド層40よりも高屈折率の誘電体、例えばPMMAを用いてこれも薄膜状に形成されている。クラッド層40の膜厚は、例えば金薄膜から形成する場合で36.5nm、光導波層41の膜厚は、例えばPMMAから形成する場合で700nm程度とされる。
上記構成の漏洩モード測定装置において、レーザ光源14から射出された光ビーム13を誘電体ブロック10を通してクラッド層40に対して全反射角以上の入射角で入射させると、該光ビーム13の多くの成分が誘電体ブロック10とクラッド層40との界面10bで全反射するが、クラッド層40を透過して光導波層41に特定入射角で入射した特定波数の光は、該光導波層41を導波モードで伝搬されるようになる。こうして導波モードが励起されると、特定入射角で入射した入射光のほとんどが光導波層41に取り込まれるので、上記界面10bに特定入射角で入射し、全反射された光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。
光導波層41における導波光の波数は、該光導波層41上の試料液11の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角である全反射減衰角を知ることによって、試料液11の屈折率や、それに関連する試料液11の特性を分析することができる。
<<チップ連結ユニットの異なる態様>>
次に、上記チップ連結ユニットとは異なる態様のものについて説明する。図19は上記異なる態様のチップ連結ユニットの各要素を分離して示した図、図20(a)は上記異なる態様のチップ連結ユニットにセンシング液を注入する様子を示す図である。図20(b)は上記異なる態様のチップ連結ユニットに試料液を注入する様子を示す図である。なお、上記異なる態様のチップ連結ユニットは、それぞれに流路ユニットを有する3つの測定チップを一体化してなるものである。
図19に示すように、上記説明済みのチップ連結ユニット80とは異なる態様のチップ連結ユニット80Rは、台形形状の断面を有し、後述する光ビーム13に対して透明なY方向に延びる誘電体ブロック10R、この誘電体ブロック10Rの一面に形成された、Y方向に延びる金属膜からなる薄膜層20R、薄膜層20Rの表面上に試料液11Rを通すための3組の流路を有するY方向に延びる流路ユニット50R、流路ユニット50R上に配されて誘電体ブロック10Rと流路ユニット50Rとを密着させこの密着状態を保持するY方向に延びる密着保持部材40R、および密着保持部材40R上に両面テープ45Rを介して固定されるY方向に延びる蓋部材30Rを備えている。
誘電体ブロック10Rは、後述する、密着保持部材40Rが有する複数の結合バンド41Rに開口された結合バンド孔部42Rに挿入される複数の突起部11Rを有している。
薄膜層20Rには、流路ユニット50Rの各流路に対応する位置にリンカー膜21Rが積層されている。このリンカー膜21Rは、薄膜層20R上に、タンパク、DNA,RNA、多糖類等のセンシング物質を効果的に吸着させるためのものである。
流路ユニット50Rは、試料液11Rを供給するための供給路51R、試料液11Rを排出するための排出路52R、および上記流路ユニット50Rの下面に形成された、供給路51Rの出口と排出路52Rの入口に通じる上記リンカー膜21Rに向けて開口された測定用流路53Rを有している。
密着保持部材40Rは、上記供給路51R、および排出路52Rに通じる孔部43を有している。蓋部材30Rは、上記供給路51R、および排出路52Rに通じるスリット31Rを有している。
チップ連結ユニット80Rは、誘電体ブロック10Rの各突起部11Rを、密着保持部材40Rの各結合バンド41Rに開口された各結合バンド孔部42Rに挿入して、流路ユニット50Rが密着保持部材40Rと誘電体ブロック10Rとの間に密着保持されるとともに、密着保持部材40R上に、両面テープ45Rを介して蓋部材30Rが固定されて組み立てられる。
次に、上記チップ連結ユニット80Rを用いて全反射減衰角の測定を行う場合について説明する。
始めに、図20(a)に示すように、センシング物質61Rを含む溶液であるセンシング液60Rを吸引したピペット71Rを、蓋部材30Rのスリット31R、および密着保持部材40Rの孔部43Rを通して、流路ユニット50Rの供給路51Rに配置する。そして、ピペット71Rにより、供給路51Rを通して測定用流路53R中にセンシング液60Rを注入してリンカー膜21R上にセンシング物質61Rを固定する。
リンカー膜21R上にセンシング物質61Rが固定された後、排出路52Rを通してピペット72Rを測定用流路53Rに挿入し、測定用流路53Rに滞留するセンシング液60Rを吸引して、測定用流路53Rからセンシング液60Rを取り除く。
次に、図20(b)に示すように、試料液11Rを吸引したピペット75Rを、蓋部材30Rのスリット31R、および密着保持部材40Rの孔部43を通して、流路ユニット50Rの供給路51Rに配置する。そして、ピペット75Rにより、供給路51Rを通して測定用流路53R中に試料液11Rを注入してリンカー膜21R上に固定されたセンシング物質61Rと試料液11R中の化合物との化学的相互作用を測定する。
既に説明したように、入射光学系15から射出され、誘電体ブロック10Rと薄膜層20Rとの界面15Rで全反射した光ビーム13中の暗線の位置を暗線位置測定部29で測定することにより行われる。
本発明の実施の形態による全反射減衰を利用した測定装置の概略構成を示す平面図 表面プラズモン測定装置の概略構成を示す側面図 表面プラズモン測定装置の電気的構成を示すブロック図 光ビームの界面への入射角と差動アンプの出力との関係を示すブロック図 測定チップに流路ユニットの取り付けた表面プラズモン測定装置を示す側面図 測定チップに取り付けた流路ユニットを示す平面図 図6に示す測定チップに取り付けた流路ユニットの3−3断面を示す図 全反射減衰で生じる暗線の位置に注目した判定手法を示す図 全反射減衰を示すプロファイルの半値幅に注目した判定手法を示す図 全反射減衰を示すプロファイルのピ−クレベルに注目した判定手法を示す図 基準液の屈折率を変えて得られたデータの傾きに注目した判定手法を示す図 生理活性高分子物質および参照物質が固定された薄膜層を用いた測定の様子を示す図 生理活性高分子物質および参照物質が固定された薄膜層を用いて得られたキャリブレーションデータの傾きに注目した判定手法を示す図 基準液の屈折率を変えて得られたデータのバラツキの幅に注目した判定手法を示す図 生理活性高分子物質および参照物質が固定された薄膜層を用いて得られたキャリブレーションデータのバラツキの幅に注目した判定手法を示す図 全反射減衰角のドリフト量に注目した判定手法を示す図 全反射減衰角の変動量に注目した判定手法を示す図 漏洩モード測定装置の測定ユニットの側面図 チップ連結ユニットの異なる態様を各要素を分離して示した図 異なる態様のチップ連結ユニットにセンシング液や試料液を注入する様子を示す図
符号の説明
9 測定チップ
10 誘電体ブロック
11 基準液
13 光ビーム
14 レーザ光源
15 入射光学系
16 コリメータレンズ
17 光検出器
29 光ビーム測定部
30 センシング物質
60 判定部
61 出力部
101 表面プラズモン測定装置
101A、101B、101C… 測定ユニット

Claims (10)

  1. 光ビームを発生する光源と、
    前記光ビームに対して透明な誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された薄膜層、および該薄膜層の表面上に試料液を保持する試料液保持機構を備えてなる測定チップと、
    前記光ビームを、前記誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で該光ビームが全反射するように、この光ビームを前記誘電体ブロックに対して入射させる入射光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームの光強度分布を測定する光ビーム測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置であって、
    予め用意した基準液を前記薄膜層の表面上に配したときの前記光ビーム測定手段での測定結果に基づいて、前記全反射減衰を利用した測定が正常に行われているか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備えたことを特徴とする全反射減衰を利用した測定装置。
  2. 前記光ビーム測定手段が、前記全反射減衰によって生じる暗線の位置を測定するものであり、前記判定手段が、前記暗線の位置が予め定められた許容範囲内に位置しているときに前記全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、前記暗線の位置が前記許容範囲外に位置しているときに前記全反射減衰を利用した測定が正常に行なわれていないと判定するものであることを特徴とする請求項1記載の全反射減衰を利用した測定装置。
  3. 前記光ビーム測定手段が、前記全反射した光ビーム中の前記全反射減衰によって生じた光強度の低下を示す光強度分布のプロファイルの半値幅を測定するものであり、前記判定手段が、前記半値幅が予め定められた許容範囲内の幅であるときに前記全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、前記半値幅が前記許容範囲外の幅であるときに前記全反射減衰を利用した測定が正常に行われていないと判定するものであることを特徴とする請求項1記載の全反射減衰を利用した測定装置。
  4. 前記光ビーム測定手段が、前記全反射した光ビーム中の前記全反射減衰によって生じた光強度の低下を示す光強度分布のピークレベルを測定するものであり、前記判定手段が、前記ピークレベルが予め定められた許容範囲内の値であるときに前記全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、前記ピークレベルが前記許容範囲外の値であるときに前記全反射減衰を利用した測定が正常に行われていないと判定するものであることを特徴とする請求項1記載の全反射減衰を利用した測定装置。
  5. 前記光ビーム測定手段が、互いに屈折率の異なる複数の前記基準液が前記薄膜層の表面上に個別に配される毎に測定された前記全反射減衰によって生じる各暗線の位置と前記各基準液の屈折率との関係を示すデータを取得するものであり、
    前記判定手段が、前記データに当てはめた直線の傾きが予め定められた許容範囲内であるときに前記全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、前記傾きが前記許容範囲外であるときに前記全反射減衰を利用した測定が正常に行われていないと判定するものであることを特徴とする請求項1記載の全反射減衰を利用した測定装置。
  6. 前記光ビーム測定手段が、生理活性高分子物質が固定された前記薄膜層の表面上に互いに屈折率の異なる複数の前記基準液が個別に配される毎に測定された前記全反射減衰によって生じる各暗線の位置と、参照物質が固定された前記薄膜層の表面上に前記互いに屈折率の異なる複数の基準液が個別に配される毎に測定された前記全反射減衰によって生じる各暗線の位置との間の、各基準液毎における位置の差と、前記生理活性高分子物質が固定された薄膜層に関する前記測定で得られた前記各暗線の位置との関係を示すデータを取得するものであり、
    前記判定手段が、前記データに当てはめた直線の傾きが予め定められた許容範囲内であるときに前記全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、前記傾きが前記許容範囲外であるときに前記全反射減衰を利用した測定が正常に行われていないと判定するものであることを特徴とする請求項1記載の全反射減衰を利用した測定装置。
  7. 前記光ビーム測定手段が、互いに屈折率の異なる複数の前記基準液が前記薄膜層の表面上に個別に配される毎に測定された前記全反射減衰によって生じる各暗線の位置と前記各基準液の屈折率との関係を示すデータを取得するものであり、
    前記判定手段が、前記データのバラツキの幅が予め定められた許容範囲内であるときに前記全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、前記データのバラツキの幅が前記許容範囲外であるときに前記全反射減衰を利用した測定が正常に行われていないと判定するものであることを特徴とする請求項1記載の全反射減衰を利用した測定装置。
  8. 前記光ビーム測定手段が、生理活性高分子物質が固定された前記薄膜層の表面上に互いに屈折率の異なる複数の前記基準液が個別に配される毎に測定された前記全反射減衰によって生じる各暗線の位置と、参照物質が固定された前記薄膜層の表面上に前記互いに屈折率の異なる複数の基準液が個別に配される毎に測定された前記全反射減衰によって生じる各暗線の位置との間の、各基準液毎における位置の差と、前記生理活性高分子物質が固定された薄膜層に関する測定で得られた前記各暗線の位置との関係を示すデータを取得するものであり、
    前記判定手段が、前記データのバラツキの幅が予め定められた許容範囲内であるときに前記全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、前記データのバラツキが前記許容範囲外であるときに前記全反射減衰を利用した測定が正常に行われていないと判定するものであることを特徴とする請求項1記載の全反射減衰を利用した測定装置。
  9. 前記光ビーム測定手段が、前記全反射減衰によって生じる暗線の位置のドリフト量を測定するものであり、前記判定手段が、前記ドリフト量が予め定められた許容範囲内であるときに前記全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、前記ドリフト量が前記許容範囲外であるときに前記全反射減衰を利用した測定が正常に行われていないと判定するものであることを特徴とする請求項1記載の全反射減衰を利用した測定装置。
  10. 前記光ビーム測定手段が、前記全反射減衰によって生じる暗線の位置の変動量を測定するものであり、前記判定手段が、前記変動量が予め定められた許容範囲内であるときに前記全反射減衰を利用した測定が正常に行われていると判定し、前記変動量が前記許容範囲外であるときに前記全反射減衰を利用した測定が正常に行われていないと判定するものであることを特徴とする請求項1記載の全反射減衰を利用した測定装置。
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