JP2006097487A - 圧縮機 - Google Patents

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Kenji Watanabe
健司 渡邊
Takeo Kitamura
武男 北村
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】高圧室の容積を広く取ることによりマフラー効果を高めた圧縮機において、潤滑油の分離の効果を高めるため、導入孔を高い位置に配すると潤滑油が吐出されずに高圧室下部に滞留し、必要潤滑油の封入量を多くする必要があり、また滞留した潤滑油によって高圧室の実質容積が減りマフラー効果も低減するという課題を有していた。
【解決手段】高圧室14の上部に第1の導入孔53、高圧室の下部に第2の導入孔59を配することにより、高圧室14の下部に溜まる潤滑油を分離室51に流入させることが可能となり、高圧室14の下部に潤滑油が滞留することを防止出来る。
【選択図】図1

Description

本発明は、流体の圧縮を行う圧縮機に関するもので、特に自動車用空調装置などに供される圧縮機等の油分離に関するものである。
このような圧縮機においては、圧縮された流体と共に圧縮機潤滑油の一部を空調装置のエアコンサイクル中へ吐出してしまう。流体と共に吐出される潤滑油が多く吐出されるほど熱交換器壁面に潤滑油が付着し、熱交換効率の低下や、配管壁面に潤滑油が付着し圧力損失が増加し、エアコンシステム効率が低下する。
このため、従来の圧縮機においては、空調装置のエアコンサイクル中への潤滑油の吐出を抑制するため、圧縮機構の吐出側に、圧縮された流体から潤滑油を分離する分離室を設けている(例えば、特許文献1参照)。
図4は、従来の圧縮機の断面図である。圧縮機構110の吐出ポート113から吐出冷媒は、吐出室122aと導入孔122を通じて、冷媒から潤滑油を分離する分離室121に導入される。分離室121の下側(重力の向き)には分離された潤滑油を貯える貯油室130が形成され、分離室121で分離された潤滑油を貯油室130に排出する排出孔123が分離室121に形成されている。そして、貯油室130には、排出孔123から吹き出す潤滑油を衝突させ、排出孔123から吹き出す潤滑油が、貯油室130内の油面に直接衝突することを防止する衝突壁111aが形成されている。これにより、排出孔123から吹き出した潤滑油は、先ず、衝突壁111aに衝突させることによって、貯油室130内の油面に直接衝突することを防止している。したがって、油面が変動することを抑制することができるので、潤滑油が貯油室130から分離室121に逆流してしまうことを防止している。
特開平11−82352号公報
ところで、該公報記載の圧縮機においては、吐出ポートから導入孔に至る高圧室の容積を広く取ることによりマフラー効果となり吐出脈動低減が可能となる。しかしながら、分離の効果を高めるため、高圧室と分離室とを連通する導入孔を高い位置に配して前記導入孔と排出孔の距離を取る必要がある。前記導入孔を高い位置に配すると高圧室の内部で分離した潤滑油が吐出されずに高圧室下部に滞留する。高圧室下部に潤滑油が滞留(概ね10〜20cc)するとエアコンサイクル上必要な潤滑油の一部が滞留するため耐久性に必要な潤滑油量が不足する可能性があり潤滑油の封入量を必要以上に多くする必要がある。また滞留した潤滑油によって高圧室の実質容積が減りマフラー効果も低減するという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、高圧室内に潤滑油が滞留しない構成を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の圧縮機は、前記高圧室と前記分離室を2個以上の導入孔で連通し、第1の導入孔は、前記高圧室上部に設け、第2の導入孔は前記高圧室の下部に設けたものである。
これによって、高圧室下部に滞留した潤滑油は前記第2の導入孔より分離室に流入させることができ、高圧室下部に潤滑油が滞留しない構成が可能となる。
本発明の圧縮機は、高圧室内に潤滑油が滞留しない構成となるため、潤滑油の封入量を必要以上に増加させることがなくなる。また、高圧室の容積を有効に活用することができマフラー効果により吐出脈動低減が可能となる。従って、高圧室を大型化する必要がなく、圧縮機の小型化が可能となる。
第1の発明は、潤滑油を含む気流体を圧縮する圧縮機構と、前記圧縮機構により圧縮された前記気流体が導かれる高圧室と、前記気流体に含まれる潤滑油の少なくとも一部が旋回流により遠心分離する分離室と、前記分離室にて前記気流体から分離された潤滑油が貯えられる貯油室とを備える圧縮機において、前記高圧室と前記分離室とは2個以上の導入孔で連通しており、少なくとも第1の導入孔は前記高圧室の上部に設けると共に、第2の導入孔を前記高圧室の下部に設けたもので、第3以降の導入孔を設ける場合は、高圧室内の上下方向において、前記第1の導入孔と第2の導入孔の間に設けたものである。これにより、高圧室下部に滞留した潤滑油が分離室内に流入し、高圧室に潤滑油が滞留しなくなり、必要以上の潤滑油を封入する必要が無くなる。さらに高圧室の容積を有効に活用することができマフラー効果により吐出脈動低減が可能となる。
第2の発明は、第1の発明において、第1の導入孔および第2の導入孔を、分離室内の旋回流と同一方向となるよう、前記分離室の円周内壁面の接線方向に向けて開口したものである。これにより、前記第2の導入孔には、前記第1の導入孔より流入した流体の旋回流の負圧により、高圧室下部に滞留した潤滑油が分離室に吸引され、潤滑油の分離効率を向上させることが可能になる。
第3の発明は、第1の導入孔の開口面積を、第2の導入孔の開口面積より大きくしたもので、これにより、第1の導入孔からの流体の流入量は、第2の導入孔からの流体の流入量より多くなり、潤滑油の分離が必要な流体の大部分は、分離室における排出孔までの距離の長い第1の導入孔から優先的に導かれ、分離室における潤滑油の分離効率の向上を図ることができる。
第4の発明は、第1の導入孔の開口面積を、第2の導入孔の開口面積のおよそ2.5倍〜10倍の中で選択することにより、第1の導入孔からの流体の流入量と、第2の導入孔からの流体の流入量の比率を最適化し、第2の導入孔から分離室への高圧室下部に滞留した潤滑油の流入量を調整し、分離室内の潤滑油比率が過剰となることを抑制し、分離室の分離効率を最大化することができる。
以下、本発明の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における圧縮機の断面図、図2は作動室の断面で図1のA−A断面図、図3は圧縮機作動室側から見た高圧ケースで、図1のB矢視図である。
図示したように、この圧縮機においては、円筒内壁を有するシリンダ1に略円柱状のロータ2がその外周の一部がシリンダ1の内壁と微少隙間を形成するように回転自在に収容されている。ロータ2には複数のベーンスロット3が等間隔に設けられており、ベーンスロット3内には、摺動自在にベーン4がそれぞれ挿入されている。ロータ2はこれと一体
的に形成された駆動軸5が回転駆動されることにより回転する。シリンダ1の両端開口部はそれぞれ前部側板6及び後部側板7により閉塞され、シリンダ1内部に作動室8が形成される。作動室8には吸入口9及び吐出口10が連通し、吐出口10は高圧通路13に接続され、吐出口10と高圧通路13との間には吐出弁11が配設されている。
後部側板7には高圧ケース12が取り付けられており、高圧ケース12内には高圧室14、分離室51及び貯油室52が形成されている。高圧室14の上部には分離室51に連通させるように第1の導入孔53が配されており、高圧室14の下部には分離室51に連通させるように第2の導入孔59が配されている。なお、図示しない第3の導入孔以降も第1および第2の導入孔の上下方向の間に配される。
分離室51は、圧縮された高圧流体に含まれる潤滑油を遠心分離するために設けられている。分離室51は排出孔50を介して貯油室52と連通している。貯油室52に貯められた潤滑油は給油路18を介して圧縮機構を構成するロータ2、ベーン4、シリンダ1内壁等に供給され、各部を潤滑すると共に、ベーン背圧室17に供給され、その圧力によりベーン4をロータ2の外側へ押し出す働きをする。潤滑油の給油は貯油室52から圧縮機構に潤滑油を供給する給油路18を介して行われ、給油路18の途中には、ベーン背圧調整装置16が設けられている。ベーン背圧調整装置16は圧縮機構へ供給する潤滑油の給油圧力や給油量を圧縮機構周辺の流体(冷媒)圧力に応じて制御する。
以上のように構成された圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
エンジンなどの駆動源より動力伝達を受けて駆動軸5及びロータ2が、図2において時計方向に回転すると、これに伴い低圧流体(冷媒)が吸入口9より作動室8内に流入する。ロータ2の回転に伴い圧縮された高圧流体は吐出口10より吐出弁11を押し上げて高圧通路13に吐出され、高圧室14内に流入する。高圧脈動低減のためにマフラー効果を行なうため高圧室14は容積を確保されており、高圧室14に流入した高圧流体は、高圧室内面に衝突し、一部潤滑油が分離し高圧室14下部に滞留する。高圧室14の高圧流体および潤滑油は第1の導入孔53および第2の導入孔59から分離室51に流入する。
分離室51では高圧流体に含まれる潤滑油が遠心分離され、分離室51下端部には分離された潤滑油を貯油室52に導く導油路50が形成されている。導油路50は、図1に示したように、分離室51の中心軸線と略平行線上で下方に向かって形成されており、導油路50の貯油室側開口部54は貯油室52に貯まった潤滑油の油面より下方の潤滑油中で開口している。
また、分離された潤滑油の自重を利用するといった技術的思想の基に、貯油室52内上部と分離室51との間に、これら相互間の流体移動を許容する再導入孔57を設けることにより、貯油室52上部に貯まった冷媒ガス等の気体流を分離室に移動させ、分離室内の油面を、貯油室の油面に対して、鉛直方向に同等か、少し下方向になるように作用させている。
高圧室14と分離室51を連通している第1の導入孔53は、高圧室14の上部に配されており、貯油室側開口部54との距離が長いため、潤滑油の分離効率が最も期待できる。
また、第2の導入孔59は高圧室14の下部に配されており、高圧室14下部に滞留した潤滑油を分離室に流入させることができる。
また、第1の導入孔53および第2の導入孔59は、前記分離室の旋回流が同一方向と
なるよう、円周内壁面の接線方向に向けて開口することで、第2の導入孔59には、前記第1の導入孔53より流入した流体の旋回流の負圧が作用し、高圧室14下部の滞留した潤滑油が分離室51に吸引されるため、潤滑油の分離室51への流入を円滑に行なうことができる。
また、第1の導入孔53の開口面積を、前記第2の導入孔の開口面積よりおよそ2.5倍〜10倍の面積となるように選択的に設定することにより、分離室51における貯油室側開口部54までの距離の長い、第1の導入孔53から流体を優先的に流入させ、第2の導入孔59からの流体の流入量との比率を最適化することができ、第2の導入孔59から分離室51内への高圧室14下部に滞留した潤滑油の流入量を調整し、分離室51内の潤滑油比率が過剰となることを抑制し、分離室51の分離効率を最大化することができる。さらに、高圧室14下部の潤滑油が滞留しなくなり、必要以上の潤滑油を封入する必要がなくなる。さらに高圧室14の容積を有効に活用することができマフラー効果により吐出脈動低減が可能となる。
以上のように、構成した圧縮機によれば、第2の導入孔59を高圧室14の下部に配することにより、潤滑油の分離効率を損なうことなく高圧室14下部の潤滑油を分離室51に流入させることが可能になり、高圧室14下部に潤滑油が滞留しなくなり、潤滑油の封入量を必要以上に封入させることが無くなる、さらに高圧室14の容積を確保する事が可能となりマフラー効果により吐出脈動低減が可能となる。
なお、上述の実施形態では、圧縮機として、スライディングベーン型ロータリ圧縮機構を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ローリングピストン型、スクロール型等その他の圧縮機構であってもよい。また、本実施の形態では、導入孔の開口部形状を、円又は長円形状で示しているが、これに限定されるものではない。
以上のように、本発明にかかる圧縮機は、必要以上の潤滑油を封入する必要が無くなる。さらに高圧室の容積を有効に活用することができマフラー効果により吐出脈動低減が可能となるので、その他の形式の圧縮機構を持った圧縮機にも適用出来る。
本発明の第1の実施形態を示す圧縮機の断面図 図1に示した圧縮機のA−A断面図 本発明の第1の実施形態の高圧ケースを作動室側から見たB矢視図 従来の圧縮機の断面図
符号の説明
1 シリンダ
2 ロータ
3 ベーンスロット
4 ベーン
5 駆動軸
6 前部側板
7 後部側板
8 作動室
9 吸入口
10 吐出口
11 吐出弁
12 高圧ケース
13 高圧通路
14 高圧室
16 ベーン背圧付与装置
17 ベーン背圧室
18 給油路
50 導油路
51 分離室
52 貯油室
53 第1の導入孔
54 貯油室側開口部(導油路)
57 再導入孔
58 ガス排出口
59 第2の導入孔

Claims (4)

  1. 潤滑油を含む気流体を圧縮する圧縮機構と、前記圧縮機構により圧縮された前記気流体が導かれる高圧室と、前記気流体に含まれる潤滑油の少なくとも一部が旋回流により遠心分離する分離室と、前記分離室にて前記気流体から分離された潤滑油が貯えられる貯油室とを備える圧縮機において、前記高圧室と前記分離室とは2個以上の導入孔で連通しており、少なくとも、第1の導入孔は前記高圧室上部に設けると共に、第2の導入孔は前記高圧室の下部に設けたもので、第3以降の導入孔を設ける場合は高圧室内の上下方向において、前記第1の導入孔と第2の導入孔の間に設けたことを特徴とする圧縮機。
  2. 第1の導入孔および第2の導入孔は、分離室内の旋回流と同一方向となるよう、前記分離室の円周内壁面の接線方向に向けて開口したことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
  3. 第1の導入孔の開口面積は、第2の導入孔の開口面積より大きくしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の圧縮機。
  4. 第1の導入孔の開口面積は、第2の導入孔の開口面積に対して2.5倍〜10倍としたことを特徴とする請求項3に記載の圧縮機。

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