まず、第1の実施形態について説明する。尚、本実施形態では、本発明のインクリボンをテープ状ラベル作成装置に用いた場合を例として説明する。
図1はテープ状ラベル作成装置の概略平面図である。
テープ状ラベル作成装置1において、本体ケース2の上面には、後述するテープカセットを装着するためのカセット収容部5を覆う開閉可能なカセットカバー3が設けられている。本体ケース2には、文字等を入力するためのキーボード4、各種操作スイッチパネル7、入力された文字等を表示するための液晶表示部9が配置されている。
ここで、テープ状ラベル作成装置に用いられるカセットには、印字テープとインクリボンとを収容するレセプタタイプのカセットと、印字テープの代わりに透明テープと両面粘着テープを収容しこれらを貼り合わせて印字テープとするラミネートタイプのカセットがある。
さらに、レセプタタイプのカセットには、一つのカセットに印字テープとインクリボンを収容した所謂テープ・リボン一体型カセットと、印字テープとインクリボンを夫々テープカセットとリボンカセットに分けて収容しテープカセットに対してリボンカセットを着脱可能とした所謂テープ・リボン分離型カセットがある。
第1の実施形態に示すテープ状ラベル作成装置は、レセプタタイプとラミネートタイプのいずれのカセットにも対応できるものであるが、この第1の実施形態では、テープ状ラベル作成装置に、レセプタタイプのテープ・リボン分離型カセットを装着した場合について説明する。
図2は、テープカセットとリボンカセットを装着したテープ状ラベル作成装置1を示す平面図である。図2に示すように、カセット収容部5には、印字テープ22を巻きつけるためのテープスプール23を備えたテープカセット20と、インクリボン23が巻装されたリボンスプール33を備えたリボンカセット30とが装着される。
テープカセット20は、テープケース21の内部に、印字テープ22を巻回するための回転可能なテープスプール23と、印字テープ22の搬送に寄与するテープ送りローラ24を設けたものである。
又、リボンカセット30は、リボンケース31の内部に、インクリボン32が巻回されたリボンスプール33と、このインクリボン32を巻取るリボン巻取りスプール34とを回転可能に設けたものである。また、リボンカセット30には、下方から挿入されるサーマルヘッド12(後述)を収容するヘッド収容部37が形成されている。
インクリボン32と印字テープ22とは、互いに重なった状態で、ヘッド挿入部37に挿入されたサーマルヘッド12(後述)に導かれる。そして、インクリボン32は、リボンケース31の、ヘッド挿入部37に近接して設けられた分離部材35によって、略鋭角的に折曲されて印字テープ22から離間し、リボン巻取りスプール34で巻き取られるように構成されている。
次に、テープ状ラベル作成装置1について説明する。テープ状ラベル作成装置1では、テープカセット20しテープスプール23に係合可能なテープ巻取カム41と、リボンカセット30のリボン巻取スプール34に係合可能なリボン巻取カム42と、テープ送りローラ24に係合するテープ駆動カム43とが、本体フレーム11により回転可能に支持されている。
テープ状ラベル作成装置1には、テープに印字を行うためのサーマルヘッド12が設けられている。サーマルヘッド12は、リボンカセット30をテープ状ラベル作成装置1に装着した状態で、リボンカセット30のヘッド収容部37に挿入される。
サーマルヘッド12には、サーマルヘッド12との間でテープを挟み込むプラテンローラ65が対向している。また、テープカセット20のテープ送りローラ24には、テープ送りローラ24との間でテープを挟み込むテープ送りサブローラ66が対向している。プラテンローラ65とテープ送りサブローラ66とは、本体フレーム11に対して揺動可能なローラホルダ67によって保持されている。そして、ローラホルダ67に保持されたプラテンローラ65とテープ送りサブローラ66が、各々対峙するサーマルヘッド12及びテープ送りローラ24との間で印字テープ及びインクリボンを押圧する圧接位置(図2)と、サーマルヘッド12とテープ送りローラ24から離間したリース位置(図3)との間で揺動するように構成されている。前記プラテンローラ65及びテープ送りサブローラ66が、本発明の搬送ローラを構成している。
即ち、テープカセット20に収容された印字テープ20と、リボンカセット30に収容されたインクリボン32は、プラテンローラ65等によって搬送され、サーマルヘッド12にて印字が行われた後、インクリボン32はリボンスプール34に巻き取られ、印字テープ22はテープカセット20から排出される。テープ状ラベル作成装置1には、テープカセット20から排出された印字テープ22を切断するためのカッター84と、カッター84を駆動するための切断用ノブ85、及び印字テープの先端を検出する先端検出センサ90(位置検出手段)が設けられている。
次に、プラテンローラ65及びテープ送りサブローラ66とを支持するローラホルダ67の揺動機構について説明する。
ローラホルダ67は、ソレノイド80により揺動される。ソレノイド80の作動レバー80aには、テープ状ラベル作成装置1の本体フレーム11に対し、図中上下方向に摺動可能に保持された作動板74が固定されている。作動板74のソレノイド80と反対側の端部には軸73が立設されている。
ここで、支軸68により揺動可能に支持されているローラホルダ67は、図示しないばね部材によって、リリース位置(図中下方)に揺動するよう付勢されている。そして、ローラホルダ67は、図中下方に位置するリリースロッド71に当接するカム面67aを有している。リリースロッド71にはコロ72が枢着され、コロ72が本体フレーム11の立設壁11aに当接することによって図中左右方向に摺動可能となる。リリースロッド71に立設された支軸76aには軸支される揺動レバー76には、作動板74に立設された軸73に係合する溝が形成されており、作動板74の図中上下方向の運動によって、揺動レバー76が回動する。
ソレノイド80の作動レバー80aが、図2に示す突出状態となると、それに伴って作動板74が図中上方に移動する。そして、リリースロッド71が図中左方に移動して、ローラホルダ67と立設壁11aとの間にクサビ状に侵入して、ローラホルダ67を圧接位置に移動させる。一方、ソレノイド80の作動レバー80aが、図3に示す引き込み状態となると、それに伴って作動板74が図中上方に移動する。そして、リリースロッド71が図中右方移動して、ローラホルダ67への付勢を解除するため、ローラホルダ67は前記のばね部材によってリリース位置に移動する。
このようにして、ローラホルダ67に保持されたプラテンローラ65とテープ送りサブローラ66は、ソレノイド80の駆動により、圧接位置(図2)とリリース位置(図3)との間で揺動する。
次に、リボンカセット30のテープカセット20への取付構造について説明する。
図4は、テープカセット20とリボンカセット30とを別々に示す斜視図である。図3及び図4に示すように、テープカセット20には、リボンカセット30を収容する為のリボンカセット収容部21fが形成されている。また、テープカセット20の外周には、鉛直方向(テープカセット20の厚み方向)に延びる2つの案内軸21a、21bが突設され、テープカセット20の底面21cには、鉛直方向に延びる位置決め軸21d、21eが突設されている。図4に示すように、案内軸21a、21bはテープカセット20の天面よりも突出している。これに対し、位置決め軸21d、21eは、案内軸21a、21bよりも短く、テープカセット1の天面には達していない。
図5は、リボンカセット30の内部を示す平面図である。
図4及び図5に示すように、リボンカセット30の外周には、テープカセット20に形成された案内軸21a、21bに夫々係合する案内レール31a、31b、位置決め軸21d、21eに夫々係合する位置決めレール31d、31eが設けられている。また、リボンケース31の蓋部材31eの上面には、つまみ片31f、31gが夫々形成されている。
そのため、リボンカセット30をテープカセット20に装着すると、最初に案内軸21a、21bと案内レール31a、31bが係合する。図6に、案内軸21a、21b、位置決め軸21d、21e、案内レール31a、31b及び位置決めレール31d、31eの、リボンカセット装着方向における位置関係を示す。なお、図6において(A)はリボンカセット30の装着開始時を示し、(B)は装着中を示し、(C)は装着終了時を示す。図6に示すように、案内レール31a、31b、位置決めレール31d、31eには、夫々案内軸21a、21b、位置決め軸21d、21eが嵌合する溝部が形成されており、当該溝部の幅は下方(装着方向)ほど幅が細くなるようなテーパが形成されている。
図6(A)に示すように、リボンカセット30の装着開始時には、案内軸21a、21bと案内レール31a、31bとが係合し、リボンカセット30の装着を案内、位置決めする。案内軸21a、21bの下側の所定量の部分はより小径に形成されているため、図6(B)に示すように、リボンカセット30を装着していき、案内レール31a、31bの最小幅の部分(即ち、レール31a、31bの下端)が、案内軸21a、21bの小径部に達した後、位置決め軸21d、21eと位置決めレール31d、31eとが係合するに伴い、案内軸21a、21bは案内レール31a、31bから徐々に開放されていく。
図6(C)に示すように、リボンカセット30の装着終了時には、位置決めレール31d、31eの最小幅の部分と位置決め軸21d、21eの下端とが係合し、リボンカセット30の装着を案内、位置決めする。位置決めレール31d、31eの最小幅の部分と位置決め軸21d、21eとの間のクリアランスは僅かであるため、位置決めレール31d、31eと位置決め軸21d、21eによって、テープカセット20に対するリボンカセット30の位置決めがなされる。
このように、リボンカセット30の装着開始時には、案内軸21a、21bと案内レール31a、31bの係合によって、テープカセット20に対してりぼんカセット30が案内、位置決めされ、装着終了時には、位置決め軸21d、21eと位置決めレール31d、31eが係合することによって、テープカセット20に対してリボンカセット30が案内、位置決めされる。かくして、図7に示すように、リボンカセット30とテープカセット20は一体になる。
なお、テープカセット20がテープ状ラベル作成装置1に装着されている状態で、リボンカセット30を装着する際には、図3に示すように、ローラホルダ67をリリース状態にして、プラテンローラ65とサーマルヘッド12の間、及びテープ送りローラ24とテープ送りサブローラ66との間を広げてから行う。
このように、テープカセット20に案内部(案内軸21a、21b)と位置決め部(位置決め軸21d、21e)とを設け、リボンカセット30に被案内部(案内レール31a、31b)と被位置決め部(位置決めレール31d、31e)を設け、リボンカセット30の装着開始時には被案内部が案内部に導かれ、装着終了時には被位置決め部が位置決め部に位置決めされるよう構成したことにより、個々の部材(軸、レール)の長さを小さく形成することが可能になり、成形が容易になるという利点がある。また、特に幅の広いテープの場合には、装着がし易くなる。
次に、テープ及びインクリボンの搬送機構について説明する。
図8及び図9は、テープ及びインクリボンの搬送機構を示す平面図である。図8に示すように、本体フレーム11の右端部にはステッピングモータであるテープ駆動モータ44が取り付けられ、このテープ駆動モータ44の駆動軸に駆動ギヤ45が固定されている。駆動ギヤ45には、本体フレーム11に回転可能に設けられた第1ギヤ46が係合している。ギヤ46にはギヤ46aが同軸上に一体形成されている。ギヤ46aには、本体フレーム11に設けられたギヤ47が係合している。
リボン巻取カム42周辺のギヤ列を図10に示す。図10に示すように、ギヤ47には、リボン巻取カム42の回転軸42aに対して回転可能に設けられたギヤ49が係合している。ギヤ49は、本体フレーム11に回転可能に保持されたギヤ50に係合している。
ギヤ50と同軸上にギヤ51が一体形成されている。ギヤ51の上部には、ギヤ50、ギヤ51の回転軸に対して揺動可能な揺動レバー56が設けられており、揺動レバー56の下面とギヤ51の上面との間には適度の摩擦抵抗が与えられている。揺動レバー56には、ギヤ51に常時噛み合う遊星ギヤ57が回転可能に枢支されている。
遊星ギヤ57は、図10に示すように、テープ巻取カム41の下端部に固着されたテープ巻取ギヤ52と係合する位置と、図8に示すように、テープ巻取ギヤ52から離れた位置の間で揺動可能となっている。そして、図8に示すように、テープ駆動モータ44が時計方向に回転(正回転駆動)し、ギヤ50が時計方向に回転すると、ギヤ51との間の摩擦抵抗により揺動レバー56も時計方向に回動し、それに伴い、遊星ギヤ57がテープ巻取ギヤ52から離れ、テープ巻取カム41がフリーになる。
ギヤ50はギヤ53に係合しており、ギヤ53はテープ駆動ギヤ54に係合している。即ち、テープ駆動モータ44の回転はこれらギヤ45〜54を介してテープ駆動ギヤ54に固着されたテープ駆動カム43に伝達される。一方、ギヤ53はギヤ55にも係合しており、プラテンローラ65を駆動するための後述のプラテンギヤ65aに係合している。
図11(A)は、プラテンローラ65の駆動部分を示す側断面図である。図11(A)に示すように、プラテンローラ65は、ローラ本体651とローラ本体651の内部を貫通するローラシャフト652よりなっている。ローラシャフト652は中空になっており、この中空部分には、プラテンローラ65を回転駆動するための駆動シャフト653が挿入されている。
図11(B)はローラシャフト652の軸方向中心部における断面図である。図11(B)に示すように、ローラシャフト652の軸方向の略中心から内側に突出形成された係合突起654と、駆動シャフト653に設けられた係合溝655とが係合している。この係合は、プラテンローラ65の軸方向中心部のみで行われている。即ち、駆動シャフト653はローラシャフト652に対し、軸方向には一カ所で係合している。
駆動シャフト653は、図11(A)に示すように、可動ケース656により回転可能に支持され、可動ケース656は、ローラホルダ67に対し図中上下方向に移動可能に支持されている。また、可動ケース656は、ローラホルダ67に設けられたばね65bによりその軸方向両端を、図中上方に付勢されている。そのため、プラテンローラ65は、ヘッド12に対し(プラテンローラ65の軸方向に)均一な付勢力で付勢される。このように構成されているため、ギヤ53が回転すると、ギヤ55とギヤ65aを介してプラテンローラ65が回転する。さらに、プラテンローラ65はヘッド12に対し(プラテンローラ65の軸方向に)均一な押圧力で押圧される。
図12はテープ送りサブローラ66の駆動部を示す側断面図である。図12(A)に示すように、テープ送りサブローラ66は、ローラ本体661とローラ本体661の内部を貫通するローラシャフト662よりなっている。ローラシャフト662は中空になっている。ローラシャフト662の中空部分には、テープ送りサブローラ66を回転駆動するための駆動シャフト663が挿入されている。
図12(B)はローラシャフト662の軸方向中心部における断面図である。図12(B)に示すように、ローラシャフト662の軸方向の略中心から内側に突出形成された係合突起664と、駆動シャフト663に設けられた係合溝665とが係合している。この係合は、テープ送りサブローラ66の軸方向中心部のみで行われている。即ち、駆動シャフト663はローラシャフト662に対し、軸方向には一カ所で係合している。
駆動シャフト663は、可動ケース666により回転可能に支持され、可動ケース666はローラホルダ67に対し、図中上下方向に移動可能に支持されている。可動ケース666は、ローラホルダ67に設けられたばね66bにより、その軸方向両端部を図中上方に付勢されている。そのため、テープ送りサブローラ66は、テープ駆動ローラ42に対し、軸方向に均一な付勢力で付勢される。
このように構成されているため、ギヤ53が回転すると、ギヤ54とギヤ66aを介してテープ送りサブローラ66が回転する。また、プラテンローラ65と同様、テープ送りサブローラ66は、テープ送りローラ24に対し(テープ送りサブローラ66の軸方向に)均一な押圧力で押圧される。
ここで、プラテンローラ65による印字テープ22の送り力を、テープ送りサブローラ66よりも大きくなるよう、プラテンローラ65とテープ送りサブローラ66の表面の摩擦係数と、プラテンローラとサーマルヘッド12の間の押圧力(即ち、ばね65b)及びテープ送りローラ24とテープ送りテープ送りサブローラ66との間の押圧力(即ち、ばね65b)を設定している。
そして、テープ送りサブローラ66の周速はプラテンローラ65よりも僅かに速く設定することによって、テープ送りサブローラ66と印字テープ22との間でスリップを発生させている。このように、実際に印字を行うプラテンローラ65にて印字テープの搬送すると共に、テープ送りサブローラ66により印字テープに適度な張力を生じさせることによって、安定した搬送を行うことができる。
図10に示すように、リボン巻取カム42の下端部にはギヤ48が設けられている。リボン巻取カム42とギヤ48とは、後述のクラッチバネ60を介して連結している。一方、図8に示すように、リボン巻取カム42の回転軸に対し回転可能に設けられたギヤ47には、本体フレーム11に回転可能に設けられたギヤ301が係合している。ギヤ301には、ギヤ301の回転軸を中心として揺動するレバー302が設けられている。レバー302にはギヤ301に係合する遊星ギヤ306が軸支されている。
そのため、図8に示すように、(テープ送りモータ44が時計回りに回転し)ギヤ301が反時計方向回転すると、ギヤ301の上面と揺動レバー302との摩擦によって、揺動レバー302が同方向に移動して遊星ギヤ306がギヤ48と噛み合う。遊星ギヤ306と係合したギヤ48は、反時計方向回転し、同時にリボン巻取りカム42も同方向に回転する。即ち、インクリボン32がリボン巻取スプールに巻き取られていく。
印字テープ22の巻き戻し時には、ソレノイド80が作動して、ローラホルダ67をリリース位置に揺動させる。また、テープ駆動モータ44は反時計方向に回転し、ギヤ47が反時計方向に回転する。それに伴いギヤ301は時計方向に回転し、揺動レバー302が同方向に移動し、ギヤ306とギヤ48とが離間状態となる。即ち、リボン巻取カム42は停止状態となる。なお、揺動レバー302にはストッパー304が形成されて、ストッパー304が本体フレーム11に設けられた当接片に当接することにより移動が停止する。
ギヤ47が反時計方向に回転すると、ギヤ49を介してギヤ50は反時計方向に回転し、揺動レバー56が同方向に移動し、ギヤ57とテープ巻取ギヤ52とが噛み合う。すると、ギヤ52と一体的に形成されたテープ巻取カム41が反時計方向に回転して印字テープ22を巻き取る方向に回転する。この際、テープ駆動ギヤ54とギヤ55はそれぞれ印字時とは反対方向に回転しているが、ローラホルダ67が離間状態なので、印字テープ22やインクリボン32に対しては何ら作用しない。
なお、リボン巻取カム42とギヤ48とを連結するクラッチバネ60は、リボン巻取カム42の周囲に巻かれたコイルバネである。ギヤ48が反時計回りに回転した場合、クラッチバネ60と回転軸42aとの摩擦により、リボン巻取カム42はギヤ48と共に回転する。しかし、リボン巻取カム42が外力によってギヤ48よりも遅い速度で回転した場合、クラッチバネ60の巻き付きが緩むため、リボン巻取カム42とクラッチバネ60との間にすべりが発生する。この場合、リボン巻取カム42は、ギヤ48ではなく、外力によって回転する。
このように構成されているため、インクリボンの巻取速度はプラテンローラ65による搬送速度により決まる。
次に、印字テープの弛みを除去するための構成について説明する。
各ギヤのバックラッシュ等により、テープ送りサブローラギヤ66aよりもプラテンギヤ65aの方が先に回転を開始すると、テープ送りサブローラ66とプラテンローラ65の間で印字テープ22に弛みが生じる。従って、後述の先端検出センサ90にてテープの先端を検出する際に弛みが生じていると、テープ先端位置と印字開始原点位置との直線距離が異なってくる。即ち、テープを巻き戻した後再び印字テープ22の先端を検出した時とで、印字位置にズレが生じることになる。
図11、13で示すように、プラテンローラ65に回転力を伝達するためのギヤ55は、上下2段のギヤ55a、55bからなり、軸55cの回りに回転する。また、上下2段のギヤ55a、55bの対向する側の面には、それぞれ一対の凸部55e、55fが設けられている。また、これらの凸部55e、55f同士の間には、回転方向に空隙55dが形成されるように各凸部が配置されている。そして、ギヤ55bが回転を開始し、そのギヤ55bに設けられた凸部55eがギヤ55a側の凸部55fに接触することにより、ギヤ55aが回転を開始する。従って、ギヤ55bに対してギヤ55aは空隙55dの分だけ時間遅れを生じて回転を開始するため、テープ送りサブローラギヤ66aよりもプラテンギヤ65aが遅れて回転することになる。そのため、ギヤのバックラッシ等があったとしても、確実にテープ送りサブローラ66がプラテンローラ65よりも先に回転を始める。
ここで、ギヤ55aとギヤ55b間にこの時点でどの様な空隙が発生しているか不明であるため、印字テープを正方向に搬送する前にあらかじめテープ駆動モータ44を逆回転させることで、次回印字テープを正方向に駆動する際ギヤ55aとギヤ55b間に確実に空隙を設ける。そうすれば、次回印字テープを正方向に搬送開始する際には、ギヤ55bに対してギヤ55aが確実に遅れて回転し始めるため、テープ送りサブローラ66に対してプラテンローラ65の回転が確実に遅れて開始されることになる。このようにして、印字テープの弛みの発生を防止することができる。
次に、テープ送りローラ24について説明する。
本実施の形態では、印字テープ22の搬送はプラテンローラ65によって行い、テープ送りローラ24は搬送される印字テープ22に張力を付与するために用いられる。そのため、テープ送りローラ24は、印字テープ22に対して適度なグリップ力(摩擦力)を持って作用する必要がある。
図14は、テープ送りローラ24を示す斜視図である。図14に示すように、テープ送りローラ24は、略円筒状の外形を持ち、その上下方向中央部には周方向に延びる溝部241が形成されている。テープカセット20には、テープ送りローラ24を回転可能に保持するため、溝部241を押える板状部材であるすべり台部12が形成されている(図4)。溝部241をすべり台部12に嵌合させることにより、テープ送りローラ24はテープカセット20に回転可能に保持される。
図14に示すように、テープ送りローラ24の溝部241を挟んで軸方向両側には、軸方向に延びる凹部と凸部が周方向に一定ピッチで形成されたローレット242、243が設けられている。さらに、ローレット242、243の隣接する凸部間のピットをdとすると、各ローレット242、243は、1/2dだけ周方向にずらして形成されている。
ローレットが形成されたテープ送りローラ24は、印字テープに間欠的に接することになるが、各ローレット242、243の位相を1/2ピッチ分ずらすことによって、実際の半分のピッチで印字テープ22に接するようにすることができる。
即ち、テープ送りローラ24に複数のローレットを形成し、各々のローレットの位相をずらすことによって、印字テープへのグリップ力を増加させると共に、テープ送りローラ24が印字テープ22に小刻みなピッチで接するようにすることができる。つまり、テープ送りローラ24を、印字テープ22に対して、より適度なグリップ力(摩擦力)で接触させることができるため、印字テープの安定した搬送に寄与することができる。
なお、本実施形態のテープ状ラベル作成装置は、プラテンローラ65によって印字テープ22の搬送を行い、テープ送りローラ24は印字テープ22に張力を付与するために用いたが、テープ送りローラ24によって印字テープ22を搬送するタイプのテープ状ラベル作成装置に本実施形態のテープ送りローラを使用することもできる。このような場合でも、グリップ力が増加すると共に小さなピッチで印字テープ22に接するようにすることができるため、印字テープの安定した搬送が可能になる。
なお、図15に示すように、テープ送りローラ24の軸方向に3段のローレット部244、245、246を形成し、上下のローレット244、246の位相を中間のローレット245の位相に対して1/2ピッチだけずらして構成することも可能である。このように構成することにより、テープ送りローラ24のローレットが、印字テープ22幅方向に対して対称になるため、印字テープ22がテープ送りローラ24に対して軸方向(即ち印字テープ22の幅方向)に斜行するのが防止される。
次に、リボンカセットの識別について説明する。
後述するように、本実施形態のテープ状ラベル作成装置は、マルチカラー印字(リボンカセットを色毎に交換して印字を行う方式)と、フルカラー印字(リボンカセットの交換無しに色の3原色を重ね合わせて色を再現していく方式)とを選択可能としたものである。マルチカラー印刷では、単色のインクリボン(単色リボン)が使用され、フルカラー印字では、複数色(イエロー/マゼンタ/シアンの3原色等)が交互に塗布された所謂ダンダラリボンが使用される。
リボンカセット30には、インクリボン32のリボン色やリボン幅(12、18、24、32mm)により、複数種類が準備されており、リボンケース31の垂直壁部31dの下端部には、これら複数種類のリボンカセット30の何れかを検出させる為に、8つの検出穴36aを組み合わせた検出用穴群36が形成されている。
リボンカセット20には、インクリボンの種類を判別するための8つの検出穴36aよりなる検出用穴群36が形成され、本体フレーム11の後方には8つの検出穴36aの有無を検出する為に、第1〜第8検出スイッチからなるリボン検出スイッチ103が設けられ、これら8つの検出スイッチからのスイッチ信号の組み合わせによるリボン検出信号RSが出力される。図16に、リボンカセットの判別テーブルを示す。図3に示すスイッチ36aから36hまでが、図16の判別テーブルのNO.1〜8に対応し、搭載されたリボンカセットは32mm幅で、3原色のダンダラリボンカセットとレセプターテープが搭載されていると判断される。
次に、印字テープの先端を検出するための構成について説明する。
テープ状ラベル作成装置1において、切断装置84よりも印字テープ22の搬送方向下流側には、印字テープ22の先端を検出するための先端検出センサ90が設けられている。
図2に示すように、先端検出センサ90は、発光兼受光素子92と受光素子93を有する透過型フォトセンサである。発光兼受光素子92と受光素子93は夫々センサ収容室94、95に収容され、センサ収容室94、95には、発光兼受光素子92から発射されたセンサ光が受光素子93に投射されるよう、光通過穴94a、95aが形成されている。また、センサ収容室94、95の間は印字テープ22を通過させるためのスリット98となっている。そのため、印字テープ22の先端部は、ガイド部99でガイドされ、確実にスリット98を通過する。
即ち、印字テープ22がスリット98に進入し、その発光兼受光素子92と受光素子93との間を遮ると、発光兼受光素子92からのセンサ光が遮断され、先端検出センサ90からは「L」レベルのテープ検出信号TSが出力される。
次にインクリボンの種類等を検出するリボンカセットについて説明する。
リボンセンサ70(光学的検出部)は、図2に示すように、印字テープ22とインクリボン32が搬送される経路を挟んで互いに対向して配置された発光部70aと受光部70bによって構成された透過型フォトセンサである。
上記の先端検出センサ90に比べ、リボンセンサ70は、センサ光の光量が大きく受光感度も高い。そして、印字テープ22は、先端検出センサ90のセンサ光に対しては非透過だが、リボンセンサ70のセンサ光に対しては透過性を持つ素材で形成されている。
次に、リボンセンサによって検出されるセンサマークについて説明する。
インクリボン32は、ベースフィルムにインクを塗布することにより形成されており、この状態でリボンセンサ70のセンサ光を透過させる。インクリボン32の終端部32aは、図17(a)に示すように、同一幅のセンサマーク(リボンセンサ70のセンサ光を透過させない部分)が等間隔で複数本形成されている。このセンサマークと空白部(当該センサ光を透過させる部分)の幅の比は、1:2となっている。
一方、前述の通り、印字テープ22も、リボンセンサ70のセンサ光を透過させる材質で形成されている。そして、印字テープ22の終端部22aは、図18に示すように、同一幅のセンサマーク(リボンセンサ70のセンサ光を透過させない部分)が等間隔で複数本形成されており、センサマークと空白部(当該センサ光を透過させる部分)の幅の比は、2:1となっている。
従って、リボンセンサ70は、上記のセンサマークを検出すると、センサマークと空白部との幅の比から、いずれのテープの終端部かを検出することができる。
ここで、インクリボンには、単色のリボンの他に、複数色を交互に配置された所謂ダンダラリボンがある。図19に示すダンダラリボンは、同一のリボンにイエロー、マゼンタ、シアンの3原色が、交互に形成されたものである。3原色のいずれも前記のリボンセンサ70のセンサ光に対しては透過性を持つものである。そして、各色領域の直前にはインク色の識別用のセンサマーク(リボンセンサ70のセンサ光を透過させない部分)501、504、507が設けられている。各センサマークはそれぞれ2本のマークで構成されている。夫々のセンサマーク501、504、507の、1本目のマーク502、505、508は同一幅で、2本目のマーク503、506、509はインク色に応じて異なった幅になっている。そのため、リボンセンサ70によってセンサマークを検出すると、2本のマークの幅の比から、インク色を識別することができる。
なお、インクリボン32の色識別用センサマークの1本目の幅と、インクリボン32の終端部を示すセンサマークの幅と、印字テープ22の終端部を示すセンサマークの間の空白の幅は、同一になるように構成されている。
次に、リボンセンサ70により各センサマークを識別する方法を説明する。
リボンセンサ70の発光部70aと受光部70bの間は、印字テープ22とインクリボン32とが重なって通過するため、リボンセンサ70は印字テープ22とインクリボン32のセンサマークを合成されたものを検出する。
インクリボン32としてダンダラリボンを用いている場合、リボンセンサ70によりセンサマークが2本だけ検出されれば、検出されたセンサマークは色識別用のものであることが分かるので、2本のセンサマークの幅の比からインクの色を判別する。即ち、1本目のセンサマークに対して2本目がほぼ同一幅の時はインク色がイエローであると判別し、2本目が1本目の約1.5倍であればマゼンタ、2本目が1本目の約2倍ならばシアンと判別する。また、この時、印字テープ22は印字領域(リボンセンサ70のセンサ光を透過させる領域)にあると判別する。(なお、単色リボンの場合には、インク色識別用のセンサマークを持たないため、センサマークが2本検知されることは起こり得ない。) 一方、リボンセンサ70によって、3本以上のセンサマークが検出された場合には、センサマーク(センサ光を透過させない部分)と空白部分(センサ光を透過させる部分)の幅の比を、5本以上のセンサマークについて記憶する。ここで、5本以上とした理由は後述する。以下、3本以上のセンサマークが検出された場合の各ケース(1)〜(5)について説明する。
なお、以下の説明においては、印字テープが終端部に達した状態(印字テープが無くなった状態)をテープエンドと呼び、インクリボンが終端部に達した状態(インクリボンが無くなった状態)をリボンエンドと呼ぶ。
(1)リボンセンサ70により3本以上のセンサマークが検出され、センサマークと空白部の幅の比が1:2であれば、リボンエンドと判断する。この時、印字テープ22は印字領域にあると判断する。
(2)リボンセンサ70により3本以上のセンサマークが検出され、センサマークと空白との幅の比が2:1であれば、テープエンドと判断する。この時、インクリボン32は印字領域にあると判断する。
(3)印字テープ22のセンサマークのピッチの3倍分テープ送りをしても空白が検出されない場合には、印字テープ22とインクリボン32のセンサマークが重なって空白部が生じていない状態と考えられるので、テープエンドとリボンエンドの両方と判断する。
(4)センサマークが3本以上検出され、センサマークと空白との幅の比が一定であり、しかもその比が2:1でも1:2でもなければ、インクリボン32の終端部を示すセンサマークと印字テープ22の終端部を示すセンサマークとが、重なった状態でリボンセンサ70を通過したものと考えられるので、テープエンドとリボンエンドの両方と判断する。
インクリボン32が単色リボンであれば、上記の(1)〜(4)のいずれかで識別されるが、インクリボン32がダンダラリボンの場合には、次のような場合がある。
(5)センサマークが3本以上検出され、センサマークと空白との幅の比が一定でない場合、インクリボン32の色識別用センサマークと、印字テープ22の終端を示すセンサマークとが重なって検出されたものと考えられるが、この場合には、センサマークと空白との幅の比が一定になるまで判断を保留する。
このように、テープ状ラベル作成装置1は、2本のセンサマークの幅の比によって、色を判別するよう構成しているため、色の数が増してもセンサマーク部分の占めるスペースが増加しない。
従来は、センサマークの本数によってインク色を判別していたため、色の数が増すほどセンサマークが増え、それだけ印字できる長さが短くなるという欠点があったが、この実施形態のテープ状ラベル作成装置1で使用するインクリボン32は、色の数が増してもセンサマーク部が増えず、それだけ有効スペースが増すという利点が有る。
なお、インクリボンが単色リボンの場合には、インクリボン32或いは印字テープ22のいずれか一方の終端部の所定量の部分を非透過性の材料で構成し、他方に複数且つ等ピッチのセンサマークを施すことが可能である。例えば、インクリボンの終端部を非透過部32bとした場合(図17(b))、印字テープ22のセンサマークの幅よりも長い幅の非透過領域を検出すればリボンエンドと判断し、印字テープ22の終端部のマーク22aを検出すればテープエンドと判断することができる。また、ダンダラリボンの色検出については、センサマークによる検出の他に、色そのものをセンサ光の透過あるいは反射波長を読み取って検出するように構成してもよい。
次に制御系について説明する。
本実施形態のテープ状ラベル作成装置は、マルチカラー印字(リボンカセットを色毎に交換する方式)かフルカラー印字(リボンカセットの交換無しに色の3原色を重ね合わせて色を再現していく方式)を選択可能としたものである。
マルチカラー印刷では、単色のインクリボン(単色リボン)が使用され、フルカラー印字では、ダンダラリボンが使用される。
図20は、制御系を示すブロック図である。図20に示すように、制御装置100の入出力インターフェース113には、キーボード4と先端検出センサ90と、切断検出スイッチ101と、リボン・テープ検出スイッチ群103と、液晶表示部(LCD)5に表示データを出力するためのディスプレイコントローラ(LCDC)104と、警告用ブザー105のための駆動回路106と、サーマルヘッド12を駆動する為の駆動回路107と、テープ駆動モータ44のための駆動回路108と、ソレノイド80のための駆動回路109がそれぞれ接続されている。
制御装置100は、CPU110(印字周期制御手段、検出周期制御手段)とこのCPU110にデータバスなどのバス114を介して接続された入出力インターフェース113と、フォントROM111とROM112及びRAM120とから構成されている。
フォントROM111には、文字や記号などの多数のキャラクタの各々に関して、表示用ドットパターンデータが格納されると共に、印字用ドットパターンデータが、複数の印字サイズ分格納されている。ROM112には、キーボード4から入力された文字や記号や数字などのキャラクタのコードデータに対応させて、ディスプレイコントローラ104を制御する表示制御プログラム、テキストメモリ121に格納された文字や記号について印字に供するドットパターンデータを作成する印字制御プログラム、作成されたドットパターンデータについて、1ドット列毎のドットパターンデータを順次サーマルヘッド12やテープ駆動モータ44に出力して印字する印字制御プログラムなどが格納されている。また、前述のリボン・テープ検出信号RSに基づいて、インクリボン32のリボン色とリボン幅及び、印字テープ22の種類、あるいは一体型のラミネートタイプあるいはレセプタータイプのカセットにおけるテープ幅とを検出する前述の判別テーブル(図16)が格納されている。
キーボード4(印字色設定手段)から入力された文字や記号からなるテキストデータは、印字色のデータを付加されて、RAM120のテキストメモリ121に格納される。印字色データとしては、入力された印字色そのものであるマルチカラー印字データ(赤、ピンク、青、水色等)と、印字色が3原色(イエロー・マゼンタ・シアン)に分解されたフルカラー印字データとの2種類があり、RAM120のテキストメモリ121には、マルチカラー印字データを付加されたテキストデータと、フルカラー印字データを付加されたテキストデータとが、夫々格納される。
ここで、入力された印字色(赤、ピンク、青)と、それを色分解した3原色データとの対応関係は、図21に示す印字色対応テーブルとしてROMに記憶されている。そして、例えば印字色として”青”が入力されれば、CPU110がROMに記憶された印字色対応表に基づいて”マゼンタ”と”シアン”を選択し、テキストメモリ121に格納する。即ち、ユーザーは、印字色としては単に”青”と入力するだけで良く、3原色に関して特に指定する必要がない。また、所定の対応表を参照して自動的に色分解が行われるため、複雑なアルゴリズムを必要とせず、迅速に3原色に分解したデータを生成することができる。
例えば図22に示すようなテープを作成する場合(ここで、「あか」は赤色、「みどり」は緑色、「くろ」は黒色、「き」は黄色で印字されるものとする)には、印字色データは、各色毎の色データであるマルチカラー印字データ(図23)と、3原色データであるイエロー・マゼンタ・シアンに分解されたフルカラー印字データ(図24)と、の2通りのデータが別々に付加され、それぞれのデータを選択して取り出せるように格納される。
そして、入力された印字色の数が、フルカラー印字データとマルチカラー印字データとで別々に色数メモリ122に格納される。例えば、図22〜図24の例では、マルチカラー印字データではN=4、フルカラー印字データではN=3として記憶される。また、余白量メモリ124には、設定された全余白量(図22のB1)と後余白量(B2)とに関する余白量データが格納される。印字データバッファ125には、そのテキストメモリ121に格納されたキャラクタコードに対応するドットパターンデータが展開して格納される。更に、RAM120にはCPU110で演算した演算結果を一時的に格納するメモリ等が設けられている。
なお、ダンダラリボンを用いてフルカラー印字を行う場合には、イエロー、マゼンタ、シアン等の一色毎に印字が終了しなければ、重ね合わせてマルチカラーを得ることができない。そのため、イエロー、マゼンタ、シアン等の色領域の長さT(図19)は、印字長よりも長くなければならない。一般に、テープ状ラベルとしての用途から考えて、印字長は15cm未満と想定することができるため、本実施の形態では、所定マージン等を考慮して、ダンダラインクリボンの各色領域の長さTを20cmとする。
なお、前記のマージンには、先端検出センサ90からサーマルヘッド12の発熱体部までの距離U、発熱体部からカッター84までの距離Pが含まれる。
以下、印字制御について各フローチャートに基づいて説明する。
まず、印字開始制御について、図25を参照して説明する。図25に示すように、初期化処理(S10)の後、印字テキスト入力処理が行われる(S11)。印字テキスト入力処理では、キーボード4から印字するテキストが入力され、その結果がディスプレイ5に表示される。ここで、通常の印字を行うのか、後述するプレフォーマット印字テープの作成を行うのか、あるいはプレフォーマット印字テープへの印字を行うのか、の選択がなされる。
印字テキスト入力処理が終了すると、前記印字テキスト入力処理で入力されたテキストについて色毎の印字対称範囲が設定される(S12)。ここでは、テキストデータがディスプレイ5に表示されるので、操作者は、ディスプレイ5を見ながらキーボード4の右端に配置されている4つのカーソルキー7a(図1)を操作して、各印字色について印字対象となる文字や記号のそれぞれを指示すると共に、その都度色確定キー7b(図1)を操作して色を指定する。印字対象の設定終了時には確定キー7c(図1)が操作される。
この確定キー7cの操作により、カーソルキー7aと色確定キー7dとの操作により指示された文字の文字データに付随させて、入力された色データ(赤、青、ピンク、水色、等)であるマルチカラー印字データと、入力された色データが3原色(イエロー・マゼンタ・シアン)に分解されたフルカラー印字データとが、テキストメモリ121に記憶される。さらに、テキストが幾つの色データによって構成されるかが色数メモリ122に色数Nとして記憶される。例えば、色数Nは、図22〜図24に示す印字の例では、マルチカラー印字データではN=4、フルカラー印字データではN=3と設定される。
なお、テキストメモリ121は、印字色そのものをデータとして格納する第1の記憶手段として機能すると共に、印字色設定手段により設定された印字色を3原色の組み合せデータとして格納する第2の記憶手段としても機能する。
次に、印字キーの入力の有無を判定し(S13)、印字キーが入力されると(S13でYES)、前述のカセットセンサ群103からのリボン検出信号RSによって、搭載されているリボンカセットのインクリボン32の種類を検出し、インクリボン32がダンダラリボンか否かを判定する(S14)。ここで、インクリボン32がダンダラリボンの場合には(S14でYES)、フルカラー印字制御(S16)に移り、ダンダラリボンでない場合には(S14でNO)、マルチカラー印字制御(S15)に移る。
次に、マルチカラー印字制御について図26を参照して説明する。
図26に示すように、マルチカラー印字制御が開始されると、まず、プレフォーマット設定制御というサブルーチンを実行する(S30)。このプレフォーマット設定制御というサブルーチンの詳細については後述する。プレフォーマット設定制御というサブルーチンの終了後、テープ先端検出制御というサブルーチンを実行する(S31)。
図27に示すテープ先端検出制御というサブルーチンでは、所定のパルス数Rだけテープ駆動モータが逆回転される(S100)。これは前述したようにテープ送りサブローラ66とプラテンローラ65との間で印字テープ22の弛みが生じないよう、印字テープ22を正方向に搬送開始する際にギヤ55bとギヤ55a間に確実に空隙を存在させておくためのものである。次に、テープ駆動モータを1パルス分正送りし(S101)、先端検出センサ90が印字テープ22の先端を検出したか否かを判定する(S102)。印字テープ22の先端が検出されるまで、ステップS101とS102が繰り出され、先端検出センサ90により先端が検出されれば(S102でYES)、印字開始原点位置が決定される(S103)。ここで、印字開始原点位置とは、印字テープ22の先端が検出された時点で、サーマルヘッド12の発熱体位置に位置する部分(図22における点S)であり、実際の印字はここから設定された余白分(図22におけるB1)をテープ送りした後に開始される。以上でテープ先端検出制御というサブルーチンが終了する。
なお、ここでモータを駆動する際の1パルスとは、印字における1/2ドットの量に相当する。つまり、テープ駆動モータ44の2パルスに対して、1ドットの印字が行われるようギヤ列の減速比が設定されている。そのため、テープ駆動モータ44の1モータパルスに対して印字の1ドットを対応させていた従来の方法に比べ、印字テープ22の先端検出の精度が向上し、印字位置精度が向上する。
テープ先端検出制御というサブルーチンの終了後、プレフォーマットテープへの印字か否かを判定する(S32)。このステップS32からステップS34については後述する。続いて、N番目の色のマルチカラー印字データが印字バッファに展開される(S35)。そして、印字テープ22を1ドット分印字すると共に、印字テープ22の搬送を行い(S36)、リボンセンサ70によってセンサマークが検出されるか否かの判定及び非透過状態がセンサマークの3ピッチ分継続するか否かの判定を行う(S37)。ここで、リボンセンサ70によりセンサマークが検出されるか、あるいは非透過状態がセンサマーク3ピッチ分続いたことが検出されると(S37でYES)、テープ及びリボンエンド検出制御というサブルーチンを実行する。
図28に示すテープ及びリボンエンド検出制御というサブルーチンでは、リボンセンサ70により検出されたセンサマークと空白部の比が1:2の場合には(S50でYES)、リボンエンドと判断し(S51)、センサマークと空白部の比が2:1の場合には(S52でYES)、テープエンドと判別し(S53)そして、上記のいずれにも当てはまらない場合には(S52でNO)、テープエンドとリボンエンドの両方と判別し(S54)、それぞれ液晶ディスプレイ5に表示を行った上で、テープ搬送を停止し、印字制御を終了する(S55)。
一方、リボンセンサ70により3本以上のセンサマークが検出されない場合には(S37でNO)、現在の印字色の印字データの印字が終了したかを判定し、終了していなければ(S39でNO)ステップS36からステップS39までを繰り返す。現在の印字色の印字データの印字が終了している場合は(S39でYES)、現在の印字色が最終印字色か否かを判定し、最終印字色であれば(S40でYES)、所定量テープを搬送し(S41)、テープカットの表示を行い(S42)、印字制御を終了する。ここで、所定量とは図22における後余白量B2と印字ヘッド12とカッター84間の距離Pを合わせたものである。
最終印字色でない場合(S40でNO)、印字テープ巻き戻し制御というサブルーチンを実行する(S43)。図29に示す印字テープ巻き戻し制御というサブルーチンでは、ソレノイド80を駆動してローラホルダ67をリリースし(S121)、テープ駆動モータ44を逆搬送方向に1パルス分回転し(S122)、先端検出センサ90が印字テープ22の先端を検出するか否かを判定する(S123)。印字テープ22の先端が検出されなければ、ステップS122とS123を繰り返し、印字テープ22の先端が検出されれば(S123でYES)、テープ駆動モータ44を停止し(S124)、印字テープ巻き戻し制御というサブルーチンを終了する。
そして、印字色を一つカウントし(S44)、リボンカセット30を交換するよう液晶ディスプレイ5に表示し(S45)、カセット交換が行われたか否かを判定する(S46)。ここで、リボンカセット30が交換されたか否かの判定は、リボンカセット30が一度外されるとリボンカセットに関するスイッチ群103はすべてOFFとなり、再びいずれかのスイッチがONになることにより判断できる。リボンカセット30が交換されると(S46でYES)、ステップS31に戻り、同様の動作を最終印字色の印字が終了するまで繰り返す。
以上でマルチカラー印字制御が終了する。
ここで、本実施形態ではリボンカセットのインク色を検出して色データに応じて印字を行う処理はしておらず、第1色から第N色までにユーザーがリボンの色を対応させて印字を行っている。
次に、プレフォーマット印字について説明する。プレフォーマット印字とは、定型ラベルや名札等の汎用的なフォーマットを予め印字テープ22に印字しておき(図30(a))、一度印字した印字テープ22を巻き戻して、当該フォーマットに合わせて印字する方法である(図30(b))。このように、予めフォーマットされた印字テープ(プレフォーマットテープ)を作っておけば、毎回フォーマットを入力する必要が無くなる。
印字テープ22に定型ラベル等のフォーマットを形成する際には、当該フォーマットに文字等を印字する場合に位置決めの基準となる位置決めマークを形成する。
ここで、インクリボン32には、前述の色識別用のセンサマーク等、リボンセンサ70により検出されるセンサマークが施されている。そのため、これらのセンサマークとの混同を避けるため、位置決めマークは、先端検出センサ90の発光兼受光素子92が反射型フォトセンサとして働くことによって検出されるものとする。即ち、位置決めマークは、先端検出センサ90の発光兼受光素子92からのセンサ光を反射せず(印字テープ自体は反射)、リボンセンサ70のセンサ光(先端検出センサ90のセンサよりも光量が多い)を透過させる部分として形成される。
位置決めマークは、プレフォーマット印字(予備印字)において、繰り返し印字テープ22に印字される定型ラベルなどのパターンの間に印字される。そして、定型ラベルに名称等を印字する、プレフォーマットテープへの印字(本印字)において、各位置決めマークを先端検出センサ90によって検出し、定型ラベルなどのパターンに合わせて印字を行う。また、図30(a)に示すように、位置決めマークは、繰り返しパターンの間に形成することができるので、プレフォーマットテープへの印字において、各パターン毎に位置決めが行われる。
図31に示すプレフォーマット設定制御というサブルーチンでは、プレフォーマット印字を行うか否かを判定する(S110)。印字開始処理の印字データ入力時(図25のS11)においてプレフォーマット印字が選択されていれば(S110でYES)、上記の位置決めマークを印字する位置及びパターンを印字する印字先頭位置を計算し記憶する(S111)。そして、インクリボン32がダンダラリボンか否かの判定を行う(S112)。
インクリボン32がダンダラリボンの場合(S112でYES)、位置決めマークは、印字テープ22とのコントラストが出るよう、黒色で印字する必要がある。そのため、位置決めマークの印字データは3原色すべての印字データに展開される。一方、単色リボンの場合には(S112でNO)、単色リボンはダンダラリボンよりも色が濃いため、位置決めマークを黒で印字する必要がない。そのため、処理速度を上げるため、印字データを第1色印字データ(例えば赤)に展開する。以上でプレフォーマット設定制御というサブルーチンが終了する。
プレフォーマット設定ルーチン終了後、前述のマルチカラー印字制御(ステップS31〜S46)を行うと、プレフォーマット設定ルーチンで設定した定型ラベルなどのパターンと位置決めマークとが、通常のマルチカラー印字の場合と同様に印字される。このようにして、予め所定のフォーマットが印字された、プレフォーマットテープが作成される。
印字開始処理の印字テキスト入力時(図25のステップS11)においてプレフォーマットテープへの印字を選択した場合には(図26のS32でYES)、上記のマルチカラー印字制御において、プレフォーマットテープに印字が行われる。即ち、マルチカラー印字制御において、先端検出センサ90によって位置決めマークが検出されるまで印字テープ22を搬送する(S33、S34)。なお、この時、先端検出センサ90の発光兼受光素子92は、反射型センサとして機能する。そして、位置決めマークが検出されてから、通常のマルチカラー印字の場合と同時に印字を行うことによって、定型ラベル等の予め印字されたフォーマットに名称等を印字することができる。
このように、テープ状ラベル作成装置1は、予備印字(プレフォーマット印字)においては、印字テープ22に位置決めマークを印字し、本印字(プレフォーマットテープへの印字)においては、位置決めマークを検出した上で、検出された位置決めマークに基づいて印字を行うよう制御される。そのため、予め印字したフォーマットに対し、正確な位置に印字を行うことが可能になる。
次に、フルカラー印字を行う場合について説明する。
図32に示すように、フルカラー印字制御が開始されると、まず、前述のプレフォーマット設定制御というサブルーチンを実行する(S60)。そして、プレフォーマット設定制御というサブルーチン終了後、リボン色検出制御というサブルーチンを実行する(S61)。図33に示すリボン色検出制御というサブルーチンでは、まず印字テープ22及びインクリボン32の搬送を行い(S80)、リボンセンサ70がセンサマークを2本以上検出したか否かを判定する。リボンセンサ70が、センサマークを2本以上検出した場合(S81でYES)、さらにセンサマークが3本か否かの判定が行われる(S82)。センサマークが3本以上検出されれば(S82でYES)、前述のテープ及びリボンエンド検出ルーチンを実行し(S83)、センサマークが3本以上検出されなければ(S82でNO)、色識別のためのセンサマークと判断して、ステップS84以下のインク色の識別を行う。
続いて、センサマークの1本目と2本目の幅を比較し(S84)、当該幅の比がほぼ1:1であれば(S84でYES)、イエローの先頭位置と判断し、センサマークの1本目と2本目の比がほぼ1:2であれば(S86でYES)、マゼンタの先頭位置と判断し、いずれでもなければ(S86でNO)、シアンの先頭位置と判断する。そして、識別された色の先頭位置(この時点ではリボンセンサ70の位置にある)を、リボンセンサ70の位置からサーマルヘッド12の発熱体の位置まで移動させるために、印字テープ22とインクリボン32を所定量Lだけ搬送する(S89)。そして、ソレノイド80を作動してローラホルダをリリースし(S90)、リボン色検出制御というサブルーチンは終了する。
リボン色検出制御というサブルーチン終了後、前述の印字テープ巻き戻し制御というサブルーチン(S62)、及び前述のテープ先端検出制御というサブルーチン(S63)を実行する。続いて、プレフォーマットテープへの印字か否かを判定する(S64)。印字開始処理においてプレフォーマット印字テープへの印字を選択した場合には(S64でYES)、先端検出センサ90が位置決めマークを検出するまで印字テープ22の搬送を行う(S65、S66)。なお、この時、先端検出センサ90の発光兼受光素子92は反射型フォトセンサとして機能する。
次に、印字バッファに検出色のフルカラー印字データ(3原色データ)が展開される(S67)。図22〜図24に示すような印字を行う場合であれば、検出色がイエローであれば「あ」「か」「み」「ど」「り」「く」「ろ」「き」の印字データが展開され、マゼンタ色であれば「あ」「か」「く」「ろ」、シアン色であれば「み」「ど」「り」「く」「ろ」の印字データがそれぞれ展開される。
続いて、印字テープ22を1ドット分の印字を行うと共に、印字テープ22を搬送し(S68)、リボンセンサ70がセンサマークを3本検出するか否かの判定及び非透過状態がセンサマーク3ピッチ分継続するか否かの判定を行う(S69)、ステップS68、S69は、3本のセンサマークあるいは非透過状態のセンサマーク3ピッチ分の継続が検出されるまで繰り返される、即ち印字が行われる。
ここで、リボンセンサ70によってセンサマークが3本検出されるか、あるいは非透過状態の3ピッチ分の継続が検出されると(S69でYES)、前述のテープ及びリボンエンド検出制御というサブルーチンに移るが、その前に、検出された3本のセンサマークにおいて、センサマークと空白部(図16、図17)の幅の比が一定か否か判定する(S70)。そして、一定でない場合には、色識別のためのセンサマークと終端を示すセンサマークが重なっているものと考えられるため、エンド判定を保留してステップ69に戻る。センサマークと空白部(図16、図17)の幅の比が一定であれば、テープ及びリボンエンド検出制御というサブルーチンに移る(S71)。
一方、センサマークが3本以上検出されなかった場合には(S69でNO)、検出色印字データの印字が終了したかを判定し、終了していなければ(S72でNO)、ステップS68からS72までを繰り返す。印字が終了していれば(S72でYES)、現在の印字色が最終印字色であるかを判定し(S73)、最終印字色であれば(S73でYES)、所定量テープを搬送し(S74)、テープカットの表示を行い(S75)、印字制御を終了する。ここで、所定量とは、図22における後余白量B2と印字ヘッド12とカッター84間の距離Pを合わせたものである。最終印字色でなければ(S73でNO)、印字色を一つカウントし(S76)、S61に戻り、同様の動作を最終印字色の印字が終了するまで繰り返す。以上で、フルカラー印字制御が終了する。
このように、テキストの印字色を設定する印字色設定手段(キーボード4、CPU)と、設定された印字色そのものをデータとして格納する第1の印字色記憶手段(テキストメモリ121)と、該印字色記憶手段により設定された印字色を所定の複数の色に分解し、該複数の色の組み合わせデータとして格納する第2の印字色記憶手段(テキストメモリ121)とが設けられているため、色別に印字するマルチカラー印字にも、色を重ね合わせて印字するフルカラー印字にも対応できるという利点がある。さらに、印字色設定手段によって設定される印字色と、3原色データとを対応づけて記憶している組み合わせデータ記憶部(ROM)が設けられているため、印字色を設定するだけで、所定の対応表を参照して自動的に色分解を行うため、複雑なアルゴリズムを必要とせず、迅速に3原色に分解したデータを生成することができる。
以上のように、第1の実施の形態のテープ状ラベル作成装置によれば、マルチカラー印字かフルカラー印字を選択することができる。なお、ここでマルチカラー印字のメリットは、必要な色のリボンを必要な量だけ消費されるのでリボンが非常に経済的に使用でき、又それぞれの色はインクリボン固有の色で再現されるため色の再現性に優れる点である。また、フルカラー印字のメリットは、1本のリボンカセットで色数を自由に選ぶことができ、しかもリボンカセットの交換無しにカラー印字が実現できるため操作が簡単な点である。
従って、本実施の形態のテープ状ラベル作成装置によれば、ユーザーがマルチカラー印字かフルカラー印字の各々のメリットを考慮した上で、用途に適した印字方式を選択できるという大きな効果がある。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、ラミネートタイプのカセットを使用する時にはテープ送りサブローラとプラテンローラ双方にて印字テープの搬送を行い、レセプタータイプのカセットを使用する場合にはプラテンローラのみにより印字テープを搬送するものである。さらに、この第2の実施形態は、印字テープの先端を検出する先端検出センサによって、印字テープの終端部検出も行うものである。
まず、ラミネートタイプのカセットについて説明する。
図34に示すように、カセットケース410には、両面粘着テープ402、透明テープ404、インクリボン406が収納されている。両面粘着テープ402は粘着面を402a側にしてテープスプール401に、透明テープ404はスプール405に、インクリボン406はリボンスプール408にそれぞれ巻回されており、インクリボン406はリボン巻取りスプール407に巻き取られる。リボン巻取りスプール407は第1実施形態と同様に駆動される。また、テープ送りローラ409は、テープ状ラベル作成装置201のテープ送りサブローラ66との間で、透明テープ404と両面粘着テープ402とを貼り合わせる機能を有する。
なお、ラミネートタイプのカセットの場合は、リボンカセットの交換、あるいはリボンセンサ等によるインクリボン406のセンサマーク検出ができないため、フルカラー印字、マルチカラー印字には使用されない。
次に、レセプタータイプのカセットについて説明する。前述の通り、レセプタタイプのカセットには、テープ・リボン一体型カセットと、テープ・リボン分離型カセットがある。図35は、テープ・リボン分離型カセット装着したテープ状ラベル作成装置201を示す平面図、図36はローラホルダ67を開成してリボンカセット230を取り外した状態を示す平面図である。図36に示すように、テープカセット220は、テープケース221内部に、印字テープ222を巻回するためのテープスプール223を備えたものである。又、リボンカセット230は、リボンケース231内部に、インクリボン232が巻回されたリボンスプール233と、このインクリボン232を巻き取るリボン巻取りスプール234とが設けられている。
第1実施形態のテープカセット20と異なり、第2実施形態のテープカセット220では、印字テープ222の搬送路はリボンセンサ70を迂回して搬送されている。即ち、リボンセンサ70は、インクリボン232に形成されたセンサマークのみを検出するよう構成されている。
次に、この第2の実施形態によるテープ状ラベル作成装置201について説明する。
テープ状ラベル作成装置201では、テープカセット220のテープスプール223に係合可能なテープ巻取カム41と、リボンカセット230のリボン巻取スプール234に係合可能なリボン巻取カム42とが、本体フレーム11により回転可能に支持されている。
テープ状ラベル作成装置201には、印字テープ222に印字を行うためのサーマルヘッド12が設けられている。サーマルヘッド12には、サーマルヘッド12との間でテープを挟み込むプラテンローラ65が対向している。また、テープカセット220にテープ送りローラ24には、テープ送りローラ24との間でテープを挟み込むテープ送りサブローラ66が対向している。プラテンローラ65とテープ送りサブローラ66とは、本体フレーム11に対して揺動可能なローラホルダ67によって保持されている。また、本体フレーム11には、テープ送りモータ44が設けられている。
プラテンローラ65の駆動部を図37に示す。図37に示すプラテンローラ65及びその駆動部は、プラテンローラ65を駆動するプラテンギヤ65aに係合するギヤ255を除いて、第1実施形態と同様に構成されている。即ち、プラテンローラ65は、ローラ本体651とローラ本体651の内部を貫通するローラシャフト652よりなっている。ローラシャフト652は中空になっており、ローラシャフト652の中空部分には、プラテンローラ65を回転駆動するための駆動シャフト653が挿入されている。プラテンギヤ65aは、駆動シャフト653に形成されている。プラテンギヤ65aに係合するギヤ255は、第1の実施形態のギヤ55と異なり、軸方向に2段に分かれて構成されるのではなく、一体として構成されている。テープ送りモータ44からギヤ53までの駆動系は、第1の実施形態と同一である。
図38にテープ送りサブローラ66の駆動部を示す。
図38(a)に示すように、テープ送りサブローラ66及びその駆動部は、図11に示す第1の実施形態と同一に構成されている。即ち、テープ送りサブローラ66は、ローラ本体661とローラ本体661の内部を貫通するテープ送りサブローラシャフト662よりなっている。ローラシャフト662は中空になっている。ローラシャフト662の中空部分には、テープ送りサブローラ66を回転駆動するための駆動シャフト663が挿入されている。駆動シャフト663に設けられた駆動ギヤ66aは、テープ送りローラカム43の下方に設けられたテープ駆動ギヤ43aを介して、ギヤ54により駆動される。テープ送りモータ44からギヤ54までの駆動系は、第1の実施形態と同一である。
駆動シャフト663は、可動ケース666により回転可能に支持され、可動ケース666はローラホルダ67に対し、図中上下方向に移動可能に支持されている。可動ケース666は、ローラホルダ67に設けられたばね66bで、その軸方向両端部を図中上方に付勢されている。
ここで、図38(b)に示すように、レセプタータイプのテープカセット220を本体に装着した場合には、テープカセット220に形成されたリブ221aがバネ66bに抗してテープ送りサブローラ66の軸部を図中下方に向けて付勢する。そのため、テープ送りサブローラ66が印字テープ222に接触しない待避位置に待避し、テープ駆動ギヤ43aとテープ送りサブローラギヤ66aとの係合も解除され、テープ送りサブローラ66に駆動力が伝達されなくなる。
テープ送りサブローラ66とプラテンローラ65とを同時に駆動する場合、それぞれのローラに至るまでのギヤ等のバックラッシュにより、プラテンローラが先に回転し始める可能性がある。この場合、テープ送りサブローラ66とプラテンローラ65にテープの弛みが生じ、印字テープ222の先端を検出する際にこの弛みがあるとテープ先端位置と印字開始原点位置との距離に誤差が生じる。レセプタータイプのカセットを用いる場合には、フルカラー印字、マルチカラー印字を行う場合が多いため、印字テープ222の先端検出の精度が悪いと色毎に印字位置のずれを起こしやすい。そのため、図38(b)のように、印字テープ222をプラテンローラ65によって搬送し、テープ送りサブローラの回転を停止させておくことにより、テープ送りサブローラ66とプラテンローラ65との間の印字テープ222の弛みを防止することができる。
一方、ラミネートタイプのカセット410を装着した場合には、図38(a)に示すように、テープ送りサブローラ66とテープ送りローラ409とが接し、なおかつテープ駆動ギヤ43aとテープ送りサブローラギヤ66aとが噛み合い、回転が伝達される。そして、テープ送りサブローラ66及びテープカセット内のテープ送りローラ409によって、両面粘着テープ402と透明テープ404とを貼り合わせる。ラミネートタイプのカセットは、フルカラー印字、マルチカラー印字には使用されないため、先端検出の精度はさほど要求されないため、テープ送りサブローラ66とプラテンローラ65との間の印字テープ222の弛みが許容される。
このように、テープ送りサブローラ66を用いて透明テープ404と両面粘着テープとの貼り合わせを行うラミネートタイプのカセットの使用時のみ、テープ送りサブローラ66が印字テープ404の搬送に寄与する。
そして、両面粘着テープ等の貼り合わせを行う必要が無く、フルカラー印字、マルチカラー印字を行う(印字テープ222の先端位置を正確に検出する必要がある)レセプタタイプのカセットの使用時には、印字テープ222はプラテンローラ65でのみ搬送され、前述したようなテープ送りサブローラ66とプラテンローラ65間のテープの弛みによる印字先頭位置のバラツキを押さえることができ、フルカラー印字、マルチカラー印字の際に色ズレの発生を防止できる。
次に、第2実施形態のテープ状ラベル作成装置による印字テープ222の終端検出(エンド検出)について説明する。
まず、レセプタータイプのカセットを用いた場合の、テープ先端検出について説明する。印字テープ222は、先端検出センサ90のセンサ光を透過させない素材で形成されているため、印字テープ222の終端部(終端から所定距離の部分)に、図39(a)に示すようなセンサ光を透過させる素材でセンサマーク222aを形成すると、印字テープ222の終端部が先端検出センサ90を通過するのに伴って、先端検出センサ90によってセンサマーク222aが読みとられ、終端が検出される。
このように、印字テープ222の先端を検出するための透過型フォトセンサ(先端検出センサ90)を備え、透過型フォトセンサのセンサ光を透過させない印字テープ222の終端部に、当該センサ光を透過させる部分を形成することによって、前記の透過型フォトセンサ(先端検出センサ90)が印字テープ222の終端を検出することができる。そのため、印字テープ222をリボンセンサのセンサ光を透過させる材質で形成する必要がなくなり、印字テープ222の材質選定の幅がそれだけ広くなるという利点がある。
次に、ラミネートタイプのカセットの場合の先端検出について説明する。
両面粘着テープ402(不透明テープ)と透明テープ404は、テープ送りローラ409とテープ送りサブローラ66とで貼り合わされて先端検出センサ90を通過する。通常両面粘着テープ403は様々な色が印刷されており、発光兼受光素子92の光を透過しない。両面粘着テープ402は、透明テープ404よりも短く設定される。また、透明テープ404のエンド部に図39(b)に示すような終端部を示すセンサマーク404aが施されている。
又、図40に示すように、テープスプール401の外周面は、両面粘着テープ402が剥がれやすいよう、軸方向に延びる凹凸が周方向に並んで配置されたローレットが形成されている。両面粘着テープ402は透明テープ404よりも短いため、透明テープ404よりも先に両面粘着テープ402が無くなる。テープスプール401の表面のローレットの為、両面粘着テープ402の終端は容易にテープスプール401から剥がれることができる。
両面粘着テープ402の終端がテープスプール401から剥がれても、テープ送りローラ409とテープ送りサブローラ66はそのまま回転するため、両面粘着テープ402の終端部が先端検出センサ90を通過してしまうと、後は透明テープ404のみが先端検出センサ90を通過する、そのため、透明テープ404において、両面粘着テープ402の終端部よりも後方に相当する部分に終端部を示すセンサマークを形成すると、先端検出センサ90によって終端部を検出することが可能となる。
このように、透明テープ(透明テープ404)と不透明テープ(両面粘着テープ402)を貼り合わせて印字テープとすると共に、透明テープを不透明テープよりも長くし、透明テープにおいて不透明テープの終端部よりも後方に相当する所定位置に、透過型フォトセンサ(先端検出センサ90)のセンサ光を透過させる部分と透過させない部分よりなるマークを形成したことにより、前記の透過型フォトセンサ(先端検出センサ90)が印字テープの終端を検出することができるものである。また、不透明テープ(両面粘着テープ)を巻回するためのテープスプール401の表面に、凹凸を形成することにより、当該テープスプールから前記の不透明テープ(両面粘着テープ)が剥がれやすくなる。
次に、ラミネートタイプ、レセプタータイプの各々のカセットを用いた場合の印字制御についてフローチャートを参照して説明する。
まず、ラミネートタイプを用いた場合の印字制御について説明する。なお、第1の実施形態と同様、第2の実施形態でもプレフォーマット印字は可能であるが、ここでは説明を省略する。また、前述の通り、ラミネートタイプのカセットを用いた場合には、単色のインクリボン406による単色印字を行う。なお、ここでは、透明テープ404と両面粘着テープ402を貼り合わせたものを、単に印字テープ400とする。
単色印字制御が開始されると、図41に示すように、まずテープ先端検出制御というサブルーチンを実行する(S231)。図42に示すテープ先端検出制御というサブルーチンでは、テープ駆動モータを1パルス分正搬送し(S251)、先端検出センサ90が印字テープ先端を検出したか否かを判定する(S252)。印字テープ400の先端が検出されるまでステップS251、252が繰り返され、先端が検出されれば(S252でYES)、印字開始原点位置が決定される。なお、印字開始原点位置とは、印字テープ先端が検出された時点で、サーマルヘッド12の発熱体位置に位置する部分(図22に示すS点)であり、実際の印字はここから設定された余白B1だけテープ搬送した後に開始される。
テープ先端検出制御というサブルーチン終了後、単色印字データが印字バッファに展開される(S235)。そして、印字テープ400を1ドット分印字すると共に、テープ送りを行い(S236)、先端検出センサ90によりセンサマークが検出されたか否かの判定がなされ(S237)、センサマークが検出されれば(S237でYES)、テープエンドと判断し、液晶ディスプレイ5に表示すると共にテープ駆動モータを停止し(S238)、印字制御を終了する。
センサマークが検出されなければ(S237でNO)、印字データの印字が全て終了したかを判定し(S240でNO)、終了していなければ(S240でNO)、ステップS236からS240までを繰り返す。印字が終了していれば(S240でYES)、所定量印字テープ400を搬送し(S241)、テープカット指示の表示を行い(S242)、印字制御を終了する。以上で、単色印字制御が終了する。
次に、レセプタータイプのカセットの印字制御について説明する。
レセプタータイプのカセットを用いた場合には、第1の実施形態と同様、マルチカラー印字とフルカラー印字を行うことができるが、ここではマルチカラー印字制御について説明する。また、プレフォーマット印字については説明を省略する。
図43に示すように、マルチカラー印字制御が開始されると、前述のテープ先端検出制御というサブルーチン(図42)を実行する(S331)。テープ先端検出制御というサブルーチン終了後、N番目の色のマルチカラー印字データが印字バッファに展開される(S335)。次に、N番目の色の印字が行われる。即ち、印字テープ222を1ドット分印字すると共に、テープ搬送を行い(S336)、先端検出センサ90がセンサマークを検出するか否かの判定を行う(S337)。先端検出センサ90がセンサマークを検出すると(S337でYES)、テープエンドと判断し、液晶ディスプレイ5に表示を行い(S338)、テープ搬送を停止した後印字制御を終了する。
一方、リボンセンサ70によってセンサマークが検出されない場合には(S337でNO)、リボンセンサ70がセンサマークを検出するか否かの判定を行う(S340)。リボンセンサ70がセンサマークが検出すると(S340でYES)、リボンエンドと判断し、液晶ディスプレイ5に表示を行って(S342)、テープ搬送を停止した後印字制御を終了する。
なお、第2実施形態では、リボンセンサ70を通過するのは、インクリボン232のみであるので、第1実施形態で行ったようなテープエンドかリボンエンドかの識別は不要である。また、マルチカラー印字の場合には、インク色識別用のセンサマークが検知されることが無いので、センサマークの本数によりセンサマークの種別を識別する必要も無い。
リボンセンサ70及び先端検出センサ90がセンサマークを検出しなければ、現在の印字色の印字データの印字が終了したかを判定し(S344)、終了していなければ(S344でNO)、ステップS336からS344までを繰り返す。現在の印字色の印字データの印字が終了していれば(S344でYES)、現在の印字色が最終印字色か否かを判定し(S346)、最終印字色であれば(S346でYES)、テープを所定量(後余白量B2+印字ヘッドとカッター間の距離P)搬送し(S348)、テープカットの表示を行った後(S350)、印字制御を終了する。
最終印字色でない場合(S346でNO)、前述の印字テープ巻き戻し制御というサブルーチンを実行する(S352)。印字テープ巻き戻し制御というサブルーチン終了後、印字数を一つカウントし(S354)、リボンカセットを交換するよう液晶ディスプレイ5に表示する(S356)。リボンカセットが交換されたと判定されれば(S358でYES)、ステップS331に戻る。以後、同様の制御を最終印字色の印字が完了するまで繰り返す。以上で、マルチカラー印字制御が終了する。
このように、この第2の実施形態のテープ状ラベル作成装置201によると、カセットがレセプタータイプ、ラミネートタイプのいずれの場合も、先端検出センサ90によってテープ終端を検出することができる。そのため、印字テープ222を、リボンセンサ70のセンサ光を透過させる材質で形成する必要がなくなり、材質選定の幅がそれだけ広くなる。また、単色印字のみ行うタイプのテープ状ラベル作成装置の場合には、テープの終端検出だけのためにリボンセンサを取り付ける必要が無くなり、部品点数及びコストの低減を図ることができる。
次に、第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態は、各色毎の印字処理のための印字テープの搬送量を、プラテンローラの1回転による搬送量の整数倍にすることによって、プラテンローラの偏心に起因する印字位置のずれを解決するものである。テープ状ラベル作成装置201、テープカセット220、リボンカセット230の構成は、第2実施形態と同様である。
第3の実施形態によるマルチカラー印字について図44を参照して説明する。
なお、第1の実施形態と同様、第3の実施形態でもプレフォーマット印字及びプレフォーマットテープへの印字は可能であるが、ここでは説明を省略する。
図44に示すように、マルチカラー印字制御が開始されると、テープ先端を検出するために、印字テープ222を正方向に1パルス搬送し(S902)、先端検出センサ90が印字テープ222の先端を検出したか否かを判定する(S903)。続いて、印字テープ222の切断を促す表示がなされる(S904)。そして、テープが切断されたか否かを判定し(S903)、テープが切断されていれば(S903でYES)、カッター刃84と所定の原点位置Kとの距離に相当する分の印字テープ222の正方向搬送が行われる(S906)。
N番目の色のマルチカラー印字データを印字バッファに展開する(S907)。続いて、入力されたテキストに対し、印字長F1の長さに応じて空送り量が演算・設定される(S908)。空送り量は、印字(余白も含む)と空送りによって、プラテンローラ65が丁度整数回転するように設定される。例えば、印字長F1がプラテンローラ65の搬送量Gよりも少ないとき、即ち、G>F1の時には、印字を行った後の空送り量は(G−F1)となる。又、G<F1<2Gの時の空送り量は(2G−F1)となる。又、2G<F1<3Gの時の空送り量は(3G−F1)となる。以下、同様に印字長さに応じて空送り量が設定される。
そして、前余白(図22のB1)分のテープ搬送、印字、及び空送りを行う(S909)。次に、リボンカセットの交換を促す表示が液晶ディスプレイ5に表示され(S910)、リボンカセットが交換されたことが検出されたら、ローラホルダ67をリリース位置に移動させ(S912)、印字テープ222の巻き戻しを行う(S913)。印字テープ222の巻き戻しにより、印字テープ222の先端が検出されると(S914でYES)、Vパルス分継続して印字テープ222の巻き戻しを行って停止する(S915)。このVパルスは、安定した状態でテープの先端の検出を行うためのもので、Vパルスだけ巻き戻すことによって、原点位置Kに位置する。
続いて、ローラホルダを圧接し(S916)、現在の印字色が最終印字色か否かを判定し(S917)、最終印字色でなければ(S917でNO)、印字色を一つカウントし(S918)、ステップS907に戻る。2色目以降の印字は前述と同様の動作で(ステップS907〜S918)で行われ、最終印字色の印字が終了すると(S907でYES)、所定量(後余白量B2+印字ヘッドとカッター間の距離P)分だけ印字テープ222を搬送し(S919)、テープカットの表示をする(S920)。テープカットされると(S921でYES)、ローラホルダがリリースされ(S922)、テープカセット及びリボンカセットが取り出せる状態になって終了する。以上でマルチカラー印字制御が終了する。
このようにして、プラテンローラ65が、印字色毎に、印字テープ222に対し毎回同じ位置に対向するようになる。つまり、印字テープ222上の一箇所について見た場合、どの印字色を印字する時も、印字テープ222上の当該箇所にはプラテンローラ65の同じ位置が対向する。つまり、印字テープ222上の当該箇所をどの色で印字する時も、印字テープ222は同じ搬送速度で搬送される。従って、色毎に搬送速度が異なることに起因する印字位置のずれが防止される。
このように、この第3の実施形態によるテープ状ラベル作成装置201によると、1回の印字処理におけるプラテンローラ65による印字テープ222の搬送量を、プラテンローラ65の1回転による印字テープ222の搬送量の整数倍とすることにより、印字色毎に、印字テープ222に対し、プラテンローラ65が毎回ほぼ同じ位置に接するようになるので、プラテンローラ65に偏心が有ったとしても、印字位置のずれの発生が防止される。
尚、図44に示す印字制御の別の例として、以下のような処理が考えられる。即ち、上述の実施形態では第1色目の印字を行う前になされる動作と、2色目以降の印字を行う前になされる動作とが異なっている。つまり、第1色目の印字を行う前には、印字テープの正方向搬送が行われ(ステップ906)、第2色目以降の印字を行う前には、印字テープの巻き戻しが行われる(ステップ915)ため、第1色目と第2色目以降のプラテンローラ65の接触位置が実質上微妙に異なる可能性がある。
図45及び図46に示す印字制御は、上記の点を改良するため、第1色目の印字を行う前にも、第2色目以降と同様に、印字テープの巻き戻しを行うように構成した例である。
まず、ローラホルダ67を圧接し(S1000)、その状態で先端検出センサ90にて印字テープ222が検出されているか否かを判別する(S1001)。印字テープ222の先端が検出されなければ(S1001でNO)、印字テープ222を正方向に搬送し(S1004)、再度印字テープの先端の検出を行い(S1005)、検出されるまでステップ1004、S1005の処理を繰り返す。そして、ステップS1005において、印字テープ222の先端が検出された場合は(S1005でYES)、S1006に進む。
一方、ステップS1001において、印字テープ222の先端が検出された場合は(S1001でYES)、テープカットを促す表示を行い(S1002)、続いて印字テープの切断が検出されたか否かを判断する(S1003)。印字テープ222の切断がなされるまでステップS1002、S1003の処理を繰り返し、切断が検出された場合(S1003でYES)、ステップS1006に進む。
ステップS1006においては、印字テープ222をWパルス分正方向にテープ送りした後に停止させ、ローラホルダ67をリリースする(S1007)。このWパルスは、印字テープを停止したり起動させたりする際のステップモータのスルーアップ及びスルーダウンに必要なパルス数である。印字テープ222の搬送を停止した後に、印字テープ222の巻き戻しを行い(S1008)、印字テープ222の先端が先端検出センサ90によって検出されたか否かを判別し(S1009)、検出されるまでS1008、S1009の処理を繰り返す。そして、印字テープ222の先端が検出された場合(S1009でYES)、印字テープ222をVパルス分巻き戻し(S1010)、ローラホルダ67を圧接する(S1011)。
以後のステップは、図44のステップS907以降と同様に行われる。即ち、図46に示すように、N番目の色のマルチカラー印字データを印字バッファに展開し(S1012)、空送り量を演算・設定する(S1013)。そして、前余白(図22のB1)分のテープ搬送、印字、及び空送りを行う(S1014)。次に、リボンカセットの交換を促す表示を行い(S1015)、リボンカセットの交換が検出されると(S1016でYES)、ローラホルダ67をリリースする(S1017)。
そして、印字テープ222の巻き戻しを行い(S1018)、先端検出センサ90が印字テープ222の先端を検出したか否かを判断する(S1019)。印字テープ222の先端が検出されると(S1019でYES9、前述のVパルス分印字テープ222の巻き戻しを行って停止する(S1020)。続いて、ローラホルダ67を圧接し(S1021)、現在の印字色が最終印字色か否かを判定し(S1022)、最終印字色でなければ(S1022でNO)、印字色を一つカウントし(S1023)、ステップS1012に戻る。そして、ステップS1012〜S1023を繰り返して2色目以降の印字を行い、最終印字色の印字が終了すると(S1022でYES)、所定量(後余白量B2+印字ヘッドとカッター間の距離P)印字テープ222を搬送し(S1024)、テープカットの表示をする(S1025)。テープカットが行われると(S1026でYES)、ローラホルダ67をリリースし(S1027)、印字制御を終了する。
このように、図45及び図46に示す印字制御によれば、第1色目の印字を行う前になされる動作(ステップS1010)、2色目以降の印字を行う前になされる動作(ステップS1020)と同じ巻き戻し動作となるため、印字時における印字テープとプラテンローラとの接触位置が常に一致することになる。従って、印字の位置ずれを防止するためには、より効果的である。
以上説明したように、本発明の第1の実施形態のテープ状ラベル作成装置には、テキストの印字色を設定する印字色設定手段(キーボード4、CPU、ROM)と、設定された印字色そのものをデータとして格納する第1の印字色記憶手段(テキストメモリ121)と、該印字色記憶手段により設定された印字色を所定の複数の色に分解し、該複数の色の組み合せデータとして格納する第2の印字色記憶手段(テキストメモリ121)とが設けられている。従って、設定された色に対応してリボンを交換して印字することができ、また、色分解データに基づいて複数の色を重ねて印字することもできる。
上記の印字色設定手段(キーボード4、CPU、ROM)は、テキストの任意の範囲と印字色とを対応づけるものであるため、テキストの任意の範囲に対して所望の印字色を設定することが可能になる。また、上記の複数の色は、イエロー、シアン、マゼンダの3原色であるため、容易にカラー画像を合成することができる。また、上記の印字色設定手段によって設定される印字色と、3原色の組合せデータとを対応づけて記憶している組み合わせデータ記憶部(CPU、ROM)が設けられているため、印字色設定手段により設定される印字色を3原色に色分解する際には、単に印字色を設定するだけで所定の対応表を参照して自動的に色分解を行うため、複雑なアルゴリズムを必要とせず、迅速に3原色に分解したデータを生成することができる。
また、印字色設定手段により設定される印字色に対応した複数の色のインクリボン32を交換して使用するため、インクリボン32を効率よく使用することができる。また、上記の複数の色のインクリボン32は、夫々カセット30に収納され、印字手段はリボンカセット30が着脱自在に装着されるカセット装着部(リボンカセット収容部21f)を有するため、インクリボンの交換はカセット30を交換するだけで良く、ラベル作成装置の操作性が良くなる。
さらに、上記の複数の色のリボンは、同一のインクリボン32の異なる領域に所定の順序で配置されているため、カラー印刷のためにインクリボン32を交換する必要が無い。
また、テープを搬送する搬送手段(プラテンローラ65、テープ巻き取りカム41、テープ送りモータ44)と、印字テープ22を第1の方向に搬送しつつ印字手段(サーマルヘッド12)により印字テープ22に印字を行わせる制御手段(CPU)とを有し、制御手段はさらに前記搬送手段により印字テープ22を第1の方向とは逆の第2の方向に印字を行うことなく搬送させ再度印字テープ22を第1の方向に搬送しつつ前記印字手段により印字テープ22に印字を行わせることにより、印字テープ22の同一領域において複数回印字を行わせる、そのため、印字テープの同一領域において複数回印字を行わせることができる。また、上記の印字手段は、交換されるインクリボン32の色に関する情報を、インクリボン32交換時に表示手段に表示させる表示制御手段を有する。従って、利用者は、表示に従ってインクリボンを交換することができる。
本発明に第1の実施形態によるテープ状ラベル作成装置は、予備印字(プレフォーマット印字)においては、印字テープ22に位置決めマークを印字し、本印字(プレフォーマットテープへの印字)においては、位置決めマークを検出した上で、検出された位置決めマークに基づいて印字を行うよう制御される。従って、予め印字したフォーマットに対し、容易に正確な位置に印字を行うことが可能になる。
上記の位置決めマークは、反射型フォトセンサ(先端検出センサ90の発光兼受光素子92による反射型センサ)のセンサ光を反射させない色で印字テープ22に印字され(印字テープ自体は反射する)、当該反射型フォトセンサによって検出されるので、インクリボン32のセンサマーク等(透過型フォトセンサにより検出される)との混同が防止される。
また、予備印字(プレフォーマット印字)では、印字テープ22に所定のパターンが繰り返し印字され、本印字(プレフォーマットテープへの印字)においては、当該所定のパターンに合わせて印字が行われるので、予め印字された定型ラベル等のフォーマットに対し、名称などを正確な位置に印字できるようになる。また、位置決めマークが上記の所定パターンの間に印字されるので、各パターンに対して常に適切な位置に印字が行うことが可能になる。
本発明の第1の実施形態によるテープ状ラベル作成装置は、テープカセット20に案内部(案内軸21a、21b)と位置決め部(位置決め軸21d、21e)とを設け、リボンカセット30に被案内部(案内レール31a、31b)と被位置決め部(位置決めレール31d、31e)を設け、リボンカセット30の装着開始時には被案内部が案内部によって案内、位置決めされ、装着終了時には被位置決め部が位置決め部によって案内、位置決めされるよう構成される。従って、個々の部材(軸、レール)の長さを小さく形成することが可能になり、成形が容易になるという効果が得られる。また、特に幅の広いテープの場合には、装着が容易になるという利点がある。
上記の案内部(案内軸21a、21b)及び位置決め部(位置決め軸21d、21e)は、インクリボンカセット30の装着方向に延びる軸部材であり、被案内部及び被位置決め部(案内レール31a、31b、位置決めレール31d、31e)は夫々前記軸部材を嵌挿する溝部であるので、各部材を少ないスペースに形成することができるという効果が得られる。
また、被案内部(案内レール31a、31b)と被位置決め部(案内レール31d、31e)の溝部は、リボンカセット装着方向に幅が細くなるよう形成されているので、リボンカセット30の位置決め精度を維持しつつ、リボンカセット30の装着に伴う溝部と軸部との摺動による抵抗を減らすことができ、装着が容易になる。また、案内部は、当該案内部よりも細い支持部材に支持されているので、被位置決め部が位置決め部に位置決めされている時には、被案内部が案内部から開放される。即ち、装着の際の抵抗がさらに減少し、装着がさらに容易になる。
本発明の第2の実施形態によるテープ状ラベル作成装置は、印字テープ222の先端を検出するための透過型フォトセンサ(先端検出センサ90)を備え、透過型フォトセンサのセンサ光を透過させない印字テープ222の終端部に、当該センサ光を透過させる部分(222a、404a)を形成することを特徴とするものである。従って、前記の透過型フォトセンサが印字テープ222の終端を検出することができる。つまり、印字テープ222を、リボンセンサ70のセンサ光を透過させる材質で形成する必要がなくなり、印字テープ222の材質選定の幅がそれだけ広くなるという効果が得られる。
上記の印字テープは、透明テープ404と不透明テープ(両面粘着テープ402)を貼り合わせて構成されており、透明テープ404は不透明テープよりも長く形成され、透明テープ404において不透明テープの終端部よりも後方に相当させる部分と透過させない部分よりなるマーク(404a)が形成されているため、前記の透過型フォトセンサが印字テープ222の終端を検出することが可能になる。
また、上記の不透明テープ(両面粘着テープ402)を巻回するためのテープスプール401の表面には凹凸が形成されているため、当該テープスプール401から前記の不透明テープ(両面粘着テープ402)が剥がれやすくなるため、上記の透明テープ404のマークが確実に前記の透過型フォトセンサ(先端検出センサ90)を通過することができるようになる。
本発明の第3の実施形態によるテープ状ラベル作成装置は、1回の印字処理におけるプラテンローラ65による印字テープ222の搬送量を、プラテンローラ65の1回転による印字テープ222の搬送量の整数倍とするよう構成されている。従って、印字毎に、印字テープ222に対し、プラテンローラ65が毎回ほぼ同じ位置に接するようになるので、プラテンローラ65に偏心が有ったとしても、印字位置のずれの発生が防止されるという効果が得られる。
上記のプラテンローラ65は、印字テープ先端が所定位置を通過した時のプラテンローラ65の位置を基準として回転するよう制御される。そのため、印字テープ222の先端を検知する先端検知センサ90等に基づいて、基準位置を正確に設定することができる。また、上記のプラテンローラ65が、印字長と、プラテンローラ65の1回転による印字テープ222の搬送量との差に相当するだけ空送りを行うよう制御されるため、プラテンローラ65による印字テープ222の上記の搬送量が確実に得られる。また、プラテンローラ65の回転の基準位置を、先端検出センサ90が印字テープ65の先端を検出した位置から印字テープ222が所定量移動した位置とすることによって、印字テープ222が安定した速度で先端検出センサ90を通過する。従って、次に先端検出センサ90が印字テープの先端を検出する際に、印字テープが安定した速度に達してから先端検出センサ90を通過するので、検出の精度が一定になる。