JP2006095462A - 洗浄装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ゴミ等の有機系の異物を除去するための洗浄部の稼働効率を低下することなく、ラテラルクラックの割れ目に洗浄液を十分浸透させて、ラテラルクラックを除去することにより、パネル基板におけるチッピングの発生を抑制する。
【解決手段】 水よりも表面張力が小さくなるように調整された第1洗浄液8が貯留されており、第1洗浄液8に液晶表示パネル2のパネル基板3を浸漬させることにより、パネル基板3に発生したラテラルクラックの割れ目に第1洗浄液8を浸透させながらパネル基板3を洗浄する第1洗浄部4と、有機系の異物を除去する第2洗浄液15が貯留されており、パネル基板3を第2洗浄液15に浸漬させ、パネル基板3に付着した有機系の異物を除去するようにパネル基板3を洗浄する第2洗浄部13とを有し、第1洗浄部4の大きさが第2洗浄部13の大きさよりも大きく形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数のパネル領域を有するマザー基板を切断して構成された表示パネルのパネル基板を洗浄するのに好適な洗浄装置に関する。
従来より、液晶表示パネル等の表示パネルの製造工程において、表示パネルのパネル基板に付着したゴミやチリ、さらには人体基因の汗、フケや油分等、また液晶表示パネルにおいては、一対のパネル基板間に設けられたシール材の外側に付着した液晶等の異物を除去するため、パネル基板やこのパネル基板を用いて製造される表示パネルを洗浄する洗浄装置が用いられている。
従来の洗浄装置は、表示パネルを洗浄液に浸漬させて表示パネルから異物を除去する洗浄部と、洗浄液に浸漬された表示パネルを純水に浸漬させて表示パネルに付着した洗浄液を除去するリンス洗浄部と、表示パネルを仕上げ洗浄するシャワー洗浄部と、表示パネルを乾燥させる乾燥部とを有している。
このような洗浄装置によれば、洗浄部を効率的に稼働させるため、洗浄部において洗浄液に表示パネルを浸漬する浸漬時間は、前述のゴミやチリ或いは液晶等の有機系の異物を表示パネルから除去するのに好適な範囲内において短時間に設定されていた。
ここで、前記表示パネルを製造する工程においては、図4に示すように、複数のパネル領域28を有するガラス基板からなるマザー基板29を用い、マザー基板29における各パネル領域28の境界部にカッター31によりスクライブ溝30を形成し、スクライブ溝30に沿って応力をかけることによりマザー基板29をスクライブ切断して、各パネル基板32を形成することが行われている。このように、マザー基板29をスクライブ溝30に沿って切断する際、各パネル基板32におけるスクライブ切断した切断面においてラテラルクラック33と呼ばれる割れが発生してしまう場合がある。
このラテラルクラック33は、表示パネルの製造工程において、図5に示すように、パネル基板32から跳ねるように分離するチッピング34の原因となり、このチッピング34は、パネル基板32から分離してパネル基板32に形成された電極(図示せず)の表面に付着してしまうおそれがあった。このようにチッピング34が電極に付着してしまうと、チッピング除去作業時にチッピング34により電極が損傷してしまう場合があり、さらには電極が断線してしまうことがある。
しかし、従来の洗浄装置の洗浄部は、前述のように、主に有機系の異物を除去する目的で設けられており、洗浄部における表示パネルの浸漬時間は、表示パネルから前記有機系の異物を除去するのに好適な浸漬時間に設定されている。このため、パネル基板32に発生してしまったラテラルクラック33の割れ目に洗浄液を十分に浸透させるのは困難であった。この結果、従来の洗浄装置によって、パネル基板32におけるチッピング34の原因となるラテラルクラック33を除去することは困難であり、ラテラルクラック33が原因で発生するチッピング34により、表示パネルの電極に不良が発生してしまう恐れがあるという問題を有していた。
特開2001−009396号公報
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ゴミ等の異物を除去するための洗浄部の稼働効率を低下することなく、ラテラルクラックの割れ目に洗浄液を十分浸透させて、ラテラルクラックを除去することにより、パネル基板におけるチッピングの発生を抑制することができる洗浄装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明に係る洗浄装置の特徴は、水よりも表面張力が小さくなるように調整された第1洗浄液が貯留されており、前記第1洗浄液に表示パネルのパネル基板を浸漬させることにより、前記パネル基板に発生したラテラルクラックの割れ目に前記第1洗浄液を浸透させながら前記パネル基板を洗浄する第1洗浄部と、第2洗浄液が貯留されており、前記第2洗浄液に前記パネル基板を浸漬させることにより、前記パネル基板に付着している異物を除去するように前記パネル基板を洗浄する第2洗浄部とを有し、前記第1洗浄部の大きさが前記第2洗浄部の大きさよりも大きく形成されている点にある。
また、前記第1洗浄液における前記パネル基板の浸漬時間が、前記第2洗浄液における前記パネル基板の浸漬時間の2倍以上であるとよく、さらには、前記第1洗浄液の表面張力が、300〜400μNであるとよい。
ここで、洗浄装置によって洗浄する表示パネルのパネル基板は、表示パネルの形態であってもよく、またはパネル基板のみの形態であってもよい。
この本発明に記載の洗浄装置によれば、主にゴミやチリ、或いは人体基因の汗、フケや油分等を除去するための第2洗浄部の他に、第1洗浄部において表示パネルを第1洗浄液に浸漬させるので、第1洗浄液をラテラルクラックの割れ目に十分浸透させることができる。これにより、ラテラルクラックをパネル基板から分離させることができる。
また、第1洗浄液における表示パネルの浸漬時間を、第2洗浄液における浸漬時間の2倍以上とし、さらには、第1洗浄液の表面張力を300〜400μNに調整することにより、第1洗浄液をラテラルクラックの割れ目により効率的に浸透させることができる。
以上述べたように、本発明に係る洗浄装置によれば、表示パネルの製造工程における洗浄の段階において、パネル基板からラテラルクラックを除去することができるので、表示パネルにおけるチッピングの発生を抑制することができる。この結果、表示パネルの電極の表面にチッピングが付着してしまうこと等により発生する表示パネルの不良の発生率を低下させることができる。
また、主にゴミ等の異物を除去する目的で設けられている第2洗浄部の他に、主にラテラルクラックを除去する目的で設けられた第1洗浄部を有することにより、確実にパネル基板からラテラルクラックを除去することができる。
さらに、ラテラルクラックを除去するために第2洗浄液における浸漬時間を延長する必要がないので、第2洗浄部の稼働率を低下させることなくラテラルクラックを除去することができる。
さらにまた、第1洗浄部と第2洗浄部とにおいて、それぞれの目的に適するような異なる洗浄液を用いることができる。すなわち、第1洗浄液としては、ラテラルクラックの除去に適した洗浄液を、第2洗浄液としては、有機物除去に適した有機系の洗浄液を用いることもできる。
また、第1洗浄部においては、ラテラルクラックだけでなく、ゴミ等の異物も除去することができるので、第2洗浄液の汚染を緩和させることができる。これにより、第2洗浄液の交換頻度を少なくすることができるとともに、第2洗浄液への浸漬時間を短くすることができ、第2洗浄部の稼働率を向上させることができるという効果を有する。
以下、本発明に係る洗浄装置の実施形態を図1および2を参照して説明する。ここで、本実施形態においては、ガラス製のパネル基板を液晶表示パネルの形態で洗浄する場合について、複数枚の液晶表示パネルをキャリア内に設置させて一括洗浄するバッチ式の洗浄装置を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る洗浄装置を示す模式的断面図であり、図1に示すように、洗浄装置1は、主に液晶表示パネル2のパネル基板3に発生したラテラルクラックを除去するための第1洗浄部4を有している。
第1洗浄部4は、複数の液晶表示パネル2が設置されたキャリア6を入れることができる大きさに形成されており、後述する第2洗浄部13の容積よりも大きく形成されている。第1洗浄部4には、水よりも表面張力が低くなるように調整された第1洗浄液8が貯留されている。
第1洗浄液8は、水の表面張力が550〜600μNであるのに対し、300〜400μN程度の表面張力となるように調整されていることが好ましい。本実施形態においては、第1洗浄液8は、水に界面活性剤を添加することにより水よりも表面張力が小さくなるように調整されている。図2は、水に界面活性剤を添加した場合の界面活性剤の濃度と界面活性剤が添加された水の表面張力との関係を示すグラフであり、図2に示すように、第1洗浄液8の表面張力を300〜400μNにするためには、0.001〜0.1重量%の濃度となるように界面活性剤を添加するとよい。使用する界面活性剤としては、排水等の取扱いの観点からノニオン系界面活性剤が好ましく、ポリオキシアルキレングリコール系や高級アルコール系の界面活性剤を例示することができ、具体的には、ライオン製のレオコールSCシリーズやライオノールシリーズ、また花王製のクリンスルーKSシリーズや、エマルゲンシリーズ等を適用すればよい。
第1洗浄部4の底部には、第1洗浄液8を、例えば30〜60℃程度に加熱するためのヒータ10が設けられている。また、第1洗浄部4の底部には、パネル基板3に洗浄液分子を衝突させるために、例えば26〜100KHzの超音波を発して第1洗浄液8を振動させる超音波振動子11が設けられている。さらに、第1洗浄部4には、第1洗浄液8を積極的にパネル基板3に接触させるために第1洗浄部4内において第1洗浄液8を循環させるための図示しない循環装置が設けられている。
そして、第1洗浄部4においては、キャリア6内に設置された複数の液晶表示パネル2が、第1洗浄部4内の第1洗浄液8に所定時間浸漬されるようになっている。
また、洗浄装置1は、第1洗浄部4において第1洗浄液8に浸漬された液晶表示パネル2について、主に前記液晶表示パネル2のパネル基板3に付着したゴミやチリ、液晶、或いは人体粉や油分等の異物を除去するための第2洗浄部13を有している。
第2洗浄部13は、前記キャリア6を入れることができる大きさに形成されており、第2洗浄部13には、界面活性剤が添加された第2洗浄液15が貯留されている。
第2洗浄液15には、液晶や油分等の有機系の異物を除去するのに適した有機系の洗浄液が好ましいが、水系の洗浄液であってもよい。
そして、第2洗浄部13においては、キャリア6内に設置された複数の液晶表示パネル2が、第2洗浄液15に所定時間浸漬されるようになっている。
ここで、第2洗浄液15における液晶表示パネル2の浸漬時間は、液晶表示パネル2から前記液晶等の異物を除去するのに好適な範囲内において短い時間に設定することが好ましく、本実施形態におけるバッチ式の洗浄装置1において5分程度に設定されている。また、第1洗浄液8における液晶表示パネル2の浸漬時間は、パネル基板3に形成されたラテラルクラックの割れ目に第1洗浄液8を十分に浸透させるため、第2洗浄液15における浸漬時間の2倍以上とすることが好ましく、本実施形態においては10〜30分程度に設定されている。
さらに、洗浄装置1は、第1洗浄部4においてパネル基板3に付着した第1洗浄液8、および第2洗浄部13においてパネル基板3に付着した第2洗浄液15をパネル基板3から除去するためのリンス洗浄部17を有している。
リンス洗浄部17は、前記キャリア6を入れることができる大きさに形成されており、リンス洗浄部17には、パネル基板3をリンス洗浄するための純水からなるリンス液19が貯留されている。
そして、リンス洗浄部17においては、キャリア6内に設置された複数の液晶表示パネル2が、リンス洗浄部17におけるリンス液19に所定時間浸漬されるようになっており、本実施形態においてリンス液19への浸漬時間は、5分程度に設定されている。
さらにまた、洗浄装置1は、リンス洗浄部17においてリンス洗浄されたパネル基板3をシャワー洗浄するためのシャワー洗浄部21を有している。
シャワー洗浄部21は、キャリア6内に設置された液晶表示パネル2に対してシャワー水22を放出することにより、パネル基板3に付着した第1洗浄液8および第2洗浄液15等を確実に洗い流すようになっている。
また、洗浄装置1は、シャワー洗浄された液晶表示パネル2を乾燥するための乾燥部24を有しており、乾燥部24は、キャリア6内に設置された液晶表示パネル2に温風を吹きかけることによって、液晶表示パネル2を乾燥するようになっている。
なお、第2洗浄部134やリンス洗浄部17にも、第1洗浄部4と同様に、ヒータ10や超音波振動子11、さらには循環装置を設けてもよい。
次に、本実施形態の作用について説明する。
まず、キャリア6に所定数の液晶表パネルを設置し、第1洗浄部4において、液晶表示パネル2をキャリア6ごと第1洗浄液8に10〜30分程度浸漬させる。
ここで、液晶表示パネル2を、第2洗浄部13以降の洗浄部の稼働率を低下させることなく長時間第1洗浄液8に浸漬させるために、第1洗浄部4内に複数個のキャリア6を収納する。そして、第2洗浄部13に浸漬されているキャリア6が次の洗浄部に移動したら、第1洗浄液8に浸漬されている時間が長いキャリア6を第2洗浄部13に移動させるようにする。
第1洗浄液8は、表面張力が水よりも低くなるように調整されており、これにより、第1洗浄液8をパネル基板3のラテラルクラックの割れ目に十分浸透させ、ラテラルクラックをパネル基板3から分離させることができる。また、第1洗浄液8をヒータ10により加熱するとともに、超音波振動子11により振動させており、さらには、循環装置により第1洗浄液8を循環させることによって第1洗浄液8は液晶表示パネル2に積極的に接触するようになっているので、より効率的にラテラルクラックをパネル基板3から除去することができる。
続いて、第1洗浄液8から浸漬時間の1番長いキャリア6を取り出し、第2洗浄部13において、液晶表示パネル2をキャリア6ごと第2洗浄液15に5分程度浸漬させる。これにより、第2洗浄液15がパネル基板3と異物との間に浸透し、液晶表示パネル2から異物が除去されるようになっている。
次に、第2洗浄液15からキャリア6を取り出し、リンス洗浄部17において、液晶表示パネル2をキャリア6ごとリンス液19に5分程度浸漬させる。これにより、パネル基板3に付着した第1洗浄液8および第2洗浄液15を液晶表示パネル2から除去するようになっている。
さらに、リンス液19からキャリア6を取り出し、シャワー洗浄部21に配置させ、液晶表示パネル2にシャワー水22を放出することにより、パネル基板3に付着した第1洗浄液8および第2洗浄液15等を確実に洗い流す。その後、シャワー洗浄部21からキャリア6を取り出して、乾燥部24に配置させ、液晶表示パネル2に温風を吹きかけることにより、液晶表示パネル2を乾燥させる。
本実施形態によれば、ゴミやチリ、或いは液晶や人体基因の汗、フケ、さらには油分等を除去するために第2洗浄部13において第2洗浄液15に液晶表示パネル2を浸漬させる他に、第1洗浄部4において液晶表示パネル2を第1洗浄液8に浸漬させるので、第1洗浄液8をラテラルクラックの割れ目に十分浸透させることができる。これにより、ラテラルクラックをパネル基板3から除去することができる。
また、第1洗浄部4にヒータ10や超音波振動子11を設け、さらには、第1洗浄液8を第1洗浄部4内において循環させることにより、より確実にラテラルクラックをパネル基板3から分離させることができる。
さらにまた、第1洗浄液8における液晶表示パネル2の浸漬時間を、第2洗浄液15における浸漬時間の2倍以上とし、さらには、第1洗浄液8の表面張力を300〜400μNに調整することにより、第1洗浄液8をラテラルクラックの割れ目により確実に浸透させることができる。
したがって、液晶表示パネル2の製造工程における洗浄の段階において、パネル基板3からラテラルクラックを除去することができるので、液晶表示パネル2におけるチッピングの発生を抑制することができる。この結果、液晶表示パネル2の電極の表面にチッピングが付着してしまうこと等により発生する液晶表示パネル2の不良の発生率を低下させることができる。
また、主にゴミ等の異物を除去する目的で設けられている第2洗浄部13の他に、主にラテラルクラックを除去する目的で設けられた第1洗浄部4を有することにより、確実にパネル基板3からラテラルクラックを除去することができる。さらに、ラテラルクラックを除去するために第2洗浄液15における浸漬時間を延長する必要はないので、第2洗浄部13の稼働率を低下させることなくラテラルクラックを除去することができる。さらにまた、第1洗浄部4と第2洗浄部13とにおいて、それぞれの目的に適するような異なる洗浄液を用いることができる。すなわち、第1洗浄液8としては、ラテラルクラックの除去に適した洗浄液を、第2洗浄液15としては、有機物除去に適した有機系の洗浄液を用いることもできる。また、第1洗浄部4においては、ラテラルクラックだけでなく、ゴミ等の異物も除去することができるので、第2洗浄液15の汚染を緩和させることができる。これにより、第2洗浄液15を交換する頻度を少なくすることができるとともに、第2洗浄液15の洗浄能力の低下が抑えられて、第2洗浄液15への浸漬時間を短くすることができるので、第2洗浄部13の稼働率を向上させることができるという効果を有する。
次に、本実施形態における洗浄装置1と、他の洗浄装置を用いて行った液晶表示パネル2の洗浄試験について説明する。
本実施形態における洗浄装置1の実施例としては、界面活性剤が0.01重量%添加された第1洗浄液8に液晶表示パネル2を20分間浸漬させた後、第2洗浄部13、リンス洗浄部17およびシャワー洗浄部21において液晶表示パネル2を洗浄し、乾燥部24において液晶表示パネル2を乾燥させた。
一方、他の洗浄装置の第1比較例としては、液晶表示パネルを第1洗浄液に浸漬させることなく、第2洗浄部、リンス洗浄部およびシャワー洗浄部において液晶表示パネルを洗浄し、乾燥部において液晶表示パネルを乾燥させた。
また、他の洗浄装置の第2比較例としては、界面活性剤が添加されていない純水に液晶表示パネルを20分間浸漬させた後、第1比較例と同様に液晶表示パネルを洗浄し、乾燥させた。
そして、第1〜3試験において洗浄された各液晶表示パネル2に偏光板を貼り付けた後におけるチッピングの発生率を、前記実施例および前記第1、第2比較例についてそれぞれ計測した。
表1に示すように、前記実施例における洗浄装置1によれば、第1、第2および第3試験において、チッピングの発生率を1%以下に抑えることができたのに対し、前記第1比較例における洗浄装置によれば、第1試験および第2試験において、チッピングの発生率が10%以上であった。また、第3試験においても、第1比較例および第2比較例における洗浄装置によれば、チッピングの発生率は4%となった。このことから、界面活性剤が添加された第1洗浄液8に液晶表示パネル2を20分間浸漬させることにより、洗浄工程においてラテラルクラックをパネル基板3から除去することができ、洗浄工程後におけるチッピングの発生率を激減させることができるということが分かった。
次に、本発明に係る洗浄装置1の第2の実施形態について、図3を参照し、複数の液晶表示パネル2を一枚ずつ流れ作業的に搬送しながら洗浄する枚葉式の洗浄装置1を用いて説明する。なお、第1実施形態の洗浄装置1と基本的構成が異ならない部分については、説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態の洗浄装置1においては、液晶表示パネル2の搬送方向における最上流側に第1洗浄部4が設けられており、第1洗浄部4における前記搬送方向の最上流側には液晶表示パネル2を第1洗浄部4に投入する投入口(図示せず)、および前記搬送方向の最下流側には液晶表示パネル2を第1洗浄部4から排出する排出口(図示せず)が設けられている。第1洗浄部4は、複数の液晶表示パネル2を収納・浸漬させることができるように、第2洗浄部13の大きさよりも大きく形成されている。また、第1洗浄部4の内部には、液晶表示パネル2を搬送するための搬送ローラ26が設けられているとともに、第1洗浄液8が貯留されている。
また、液晶表示パネル2の搬送方向における第1洗浄部4の下流側には、第2洗浄部13、リンス洗浄部17、シャワー洗浄部21および乾燥部24が順次設けられている。
次に、第2の実施形態の作用について説明する。
液晶表示パネル2は、投入口から第1洗浄部4内に投入され、第1洗浄液8中に浸漬された状態によって搬送ローラ26により搬送され、排出口から第1洗浄部4の外に排出される。
続いて、液晶表示パネル2は、第2洗浄部13における前記搬送方向の最上流側に設けられた投入口から第2洗浄部13内に投入され、第2洗浄液15に浸漬された状態によって搬送ローラ26により搬送され、第2洗浄部13における前記搬送方向の最下流側に設けられた排出口から第2洗浄部13の外に排出される。
ここで、各洗浄部に設置された搬送ローラ26の回連速度(搬送速度)は同一であるので、第1洗浄部の大きさ(長さ)を第2洗浄部の大きさ(長さ)の2倍以上とすると、第1洗浄液8に浸漬されている時間も2倍以上となり好ましい。
次に、液晶表示パネル2はリンス洗浄部17における前記搬送方向の最上流側に設けられた投入口からリンス洗浄部17内に投入され、リンス液19に浸漬された状態によって搬送ローラ26に搬送され、リンス洗浄部17における前記搬送方向の最下流側に設けられた排出口からリンス洗浄部17の外に排出される。
さらに、液晶表示パネル2は、シャワー洗浄部21に搬送され、搬送ローラ26によって搬送されながらシャワー水22によってシャワー洗浄された後、乾燥部24に搬送されて、搬送ローラ26によって搬送されながら乾燥される。
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、主に液晶等を除去するための第2洗浄部13の他に、第1洗浄部4において液晶表示パネル2を第1洗浄液8に浸漬させるので、第1洗浄液8をラテラルクラックの割れ目に十分浸透させることができ、ラテラルクラックをパネル基板3から分離させることができる。
したがって、液晶表示パネル2の製造工程における洗浄の段階において、パネル基板3からラテラルクラックを分離させることができるので、液晶表示パネル2におけるチッピングの発生を抑制することができる。この結果、液晶表示パネル2の電極の表面にチッピングが付着してしまうこと等により発生する液晶表示パネル2の不良の発生率を低下させることができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
例えば、前記実施形態においては、液晶表示パネル2を洗浄する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、有機EL表示パネル等の他の表示パネルを洗浄することもでき、またパネル基板3の形態で洗浄することもできる。
また、第2の実施形態においては、第1洗浄部4において液晶表示パネル2は搬送されながら第1洗浄液8に浸漬されるようになっているが、これに限定されず、単に液晶表示パネル2を第1洗浄液8に所定時間浸漬させながら保持するものであってもよい。
さらにまた、液晶表示パネル2を第1洗浄液8に浸漬させた後、第2洗浄液15に浸漬させるようになっているが、浸漬順は逆であってもよい。
本発明に係る洗浄装置の一実施形態を示す模式的断面図 第1洗浄液の界面活性剤濃度と表面張力との関係を示すグラフ 本発明に係る洗浄装置の他の実施形態を示す模式的断面図 マザー基板をスクライブ切断する場合を示す模式的側面図 表示パネルにおけるチッピングの発生を示す模式的側面図
符号の説明
1 洗浄装置
2 液晶表示パネル
3 パネル基板
4 第1洗浄部
6 キャリア
8 第1洗浄液
10 ヒータ
11 超音波振動子
13 第2洗浄部
15 第2洗浄液
17 リンス洗浄部
19 リンス液
21 シャワー洗浄部
22 シャワー水
24 乾燥部

Claims (3)

  1. 水よりも表面張力が小さくなるように調整された第1洗浄液が貯留されており、前記第1洗浄液に表示パネルのパネル基板を浸漬させることにより、前記パネル基板に発生したラテラルクラックの割れ目に前記第1洗浄液を浸透させながら前記パネル基板を洗浄する第1洗浄部と、
    第2洗浄液が貯留されており、前記第2洗浄液に前記パネル基板を浸漬させることにより、前記パネル基板に付着している異物を除去するように前記パネル基板を洗浄する第2洗浄部とを有し、
    前記第1洗浄部の大きさが前記第2洗浄部の大きさよりも大きく形成されていることを特徴とする洗浄装置。
  2. 前記第1洗浄液における前記パネル基板の浸漬時間が、前記第2洗浄液における前記パネル基板の浸漬時間の2倍以上である請求項1に記載の洗浄装置。
  3. 前記第1洗浄液の表面張力が、300〜400μNである請求項1または2に記載の洗浄装置。
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