JP2006095399A - 硫酸ピッチの処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】硫酸ピッチが不法投棄された現地で廉価に固化処理が容易に行えるとともに、埋立処分できるように、強度特性、油分や油膜発生等の問題、悪臭発生、有害物の溶出、溶出液のpH等の問題を解消した中和固化物を得る。
【解決手段】不法投棄された硫酸ピッチに対して、緩衝材として土を混合するとともに、セメント系固化材と、水とを混合することにより中和固化物を得る。前記土は、容積換算で少なくとも硫酸ピッチ容積以上混合し、好ましくは前記セメント系固化材の他に、中和補助材としてカルシウム化合物を混合する。前記セメント系固化材は75kg/m3以上とし、前記カルシウム化合物は150kg/m3以上の割合で混合する。
【選択図】なし
【解決手段】不法投棄された硫酸ピッチに対して、緩衝材として土を混合するとともに、セメント系固化材と、水とを混合することにより中和固化物を得る。前記土は、容積換算で少なくとも硫酸ピッチ容積以上混合し、好ましくは前記セメント系固化材の他に、中和補助材としてカルシウム化合物を混合する。前記セメント系固化材は75kg/m3以上とし、前記カルシウム化合物は150kg/m3以上の割合で混合する。
【選択図】なし
Description
本発明は、硫酸ピッチを固形化処理によって無害化し、埋立等の処分を可能とする硫酸ピッチの処理方法に関する。
近年、安価な軽油を不正に製造して利益を得る業者が急増している。この不正軽油は、図3に示されるように、A重油と灯油を混合することにより得られるが、前記A重油および灯油には識別剤としてクマリンが添加されており、製造過程で前記識別剤を除去するために濃硫酸が混合されるため、副産物として大量の硫酸ピッチが生成され、この硫酸ピッチが各地で不法投棄されている。
前記硫酸ピッチは強酸性(pH0.4〜2.0程度)であり、皮膚に触れるとただれ、目に入ると失明する虞がある。また、水と接触すると亜硫酸ガスが発生し、これを吸い込むと気管や肺に障害が出るので、廃棄現場近隣の住民に健康被害が発生することが懸念される。さらには、硫酸ピッチは一般にドラム缶に詰めて投棄されるが、このドラム缶から硫酸ピッチが漏れだして土壌や地下水が汚染される等の問題が発生している。
このため、硫酸ピッチを無害化するための処理方法として、例えば下記特許文献1では、硫酸ピッチに対して無機セメント系固化材と水を加え混合して混合体を得るとともに、この混合体に中和剤を加えて混合した後、加熱、脱水して団粒化する硫酸ピッチの処理方法(従来法1)が提案されている。
また、下記特許文献2では、硫酸ピッチに対して約3倍の砂と無機セメント系固化材と、処理剤とを加え、撹拌混合して粘性を取り除いた後、塊状物と油分の多い部分とに分離し、前記塊状物は砂状に破砕してセメント焼成の原料とする一方、油分の多い部分はセメント焼成の助燃剤にする硫酸ピッチの処理方法(従来法2)が提案されている。
特開平6−165999号公報
特開2002−180067号公報
しかしながら、従来法1により得られる団粒化物は、セメントの助燃剤やセメントの混和剤として再利用されるものであり、資源の有効活用が図れるようになる。しかしながら、液の流動状態から団粒状態とする加熱、脱水工程には多くの時間と手間が掛かる。また、特殊な処理施設が必要であるため、処理施設まで不法投棄された硫酸ピッチを運搬する必要があるとともに、その運搬時の安全性の確保等に問題が残る。
一方、従来法2により得られる塊状物はセメント焼成の原料の混合材として、分離した油分の多いものはセメント焼成の助燃材として利用することができ、資源の有効活用が図れるようになる。しかしながら、最終工程で塊状物と油分の多い部分とに分離するため、処理工程が複雑化するとともに、不法投棄された硫酸ピッチの場合には、分離設備のある施設まで運搬して処理を行う必要があるため、処理に多くの手間が掛かるとともに、その処理を行う施設の手配や、運搬時の安全性の確保等、多くの問題が残る。
そこで本発明の主たる課題は、不法投棄された硫酸ピッチを、現地で容易かつ廉価に無害化しながら固化処理する方法を提供するとともに、更には埋立処分が可能なように、強度特性、油分や油膜発生等の問題、悪臭発生、有害物の溶出、溶出液のpH等の問題を一挙に解決することにある。
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、不法投棄された硫酸ピッチの処理方法であって、硫酸ピッチに対して、緩衝材として土を混合するとともに、セメント系固化材と、水とを混合することにより中和固化物を得ることを特徴とする硫酸ピッチの処理方法が提供される。
上記請求項1記載の発明においては、硫酸ピッチに対して、緩衝材として土を混合するとともに、セメント系固化材と、水とを混合することにより中和固化物を得るようにしている。前記土は、現地で発生した土、若しくは近隣で発生した土等を好適に使用することができる。本発明によれば、特殊な処理設備を必要としないため、混合材料と混合装置とを現地に持ち込めば、簡単かつ廉価に固化処理が行えるようになる。
請求項2に係る本発明として、前記土は、容積換算で少なくとも硫酸ピッチ容積以上混合する請求項1記載の硫酸ピッチの処理方法が提供される。
請求項3に係る本発明として、前記セメント系固化材の他に、中和補助材としてカルシウム化合物を混合する請求項1〜2いずれかに記載の硫酸ピッチの処理方法が提供される。
請求項4に係る本発明として、前記セメント系固化材は、250kg/m3以上の割合で混合する請求項1、2いずれかに記載の硫酸ピッチの処理方法が提供される。
請求項5に係る本発明として、前記セメント系固化材を75kg/m3以上、かつ前記カルシウム化合物を150kg/m3以上の割合で混合する請求項3記載の硫酸ピッチの処理方法が提供される。
以上詳説のとおり本発明によれば、不法投棄された硫酸ピッチを、現地で容易かつ廉価に無害化しながら固化処理できるとともに、強度特性、油分や油膜発生等の問題、悪臭発生、有害物の溶出、溶出液のpH等の問題を解消し、埋立処分が可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
本発明に係る硫酸ピッチの処理方法は、不法投棄された硫酸ピッチに対して、緩衝材として土を混合するとともに、セメント系固化材と、水とを混合することにより中和固化物とした後、この中和固化物を埋立処理等によって処理するものである。
前記硫酸ピッチは、生成当初は液状であり、その後徐々に固形化するが、処理を行う硫酸ピッチは、まだ固形化していないものが、木材チップや中和剤との混合性が良いので望ましく、固形化している硫酸ピッチについては、まだ固形化していない硫酸ピッチと混合して、ある程度の流動性をもたせた状態とした上で、固化処理を開始するのが望ましい。
前記緩衝材となる土は、客土としてもよいが、現地発生土を使用するのがコスト面から望ましい。また、前記土は、容積換算で少なくとも硫酸ピッチ容積以上混合するのが望ましい。土の混入量は、上記数値よりも多すぎる場合には強度特性が確保できないとともに、硫酸ピッチ成分の溶出が多くなるため、容積換算で少なくとも硫酸ピッチ容積以上混合するのが望ましい。
前記セメント系固化材としては、中和性能と自硬性能とを備えた水硬性セメントを使用することができる。これら水硬性セメントの中でも、六価クロムの溶出低減・抑制効果の高い、特殊土用セメント系固化材を使用するのが望ましい。
また、前記固形化処理に際して、前記セメント系固化材の他に、中和補助材としてカルシウム化合物を混合するのが望ましい。処理対象の硫酸ピッチのpHが低い場合は、セメント系固化材のカルシウム分が中和反応に過多に消費される結果、固化反応に必要なカルシウム分が減少し、固化強度の低下が懸念されるため、発現強度の低下を防止するため、セメント系固化材とともに、中和補助材(カルシウム化合物)を併用するのが望ましい。また、前記カルシウム化合物を混合することにより、悪臭がかなり低減できるようになる。前記カルシウム化合物としては、炭酸カルシウム、生石灰、消石灰[水酸化カルシウム]、塩化カルシウム、硫酸カルシウムなどを挙げることができる。
前記セメント系固化材の混入量は、カルシウム化合物を混合しないケースにおいて、前記セメント系固化材を250kg/m3以上の割合で混合し、セメント系固化材とカルシウム化合物とを併用するケースにおいて、セメント系固化材を75kg/m3以上、かつ前記カルシウム化合物を150kg/m3以上の割合で混合するのが望ましい。セメント系固化材、カルシウム化合物を上記数値範囲で混合することにより、十分な油膜発生防止効果が得られるようになるとともに、コーン指数=600〜13000kN/m2の範囲となり、埋立が可能とされる200kN/m2(後述する国土交通省通達の発生土利用基準)を大きく超え、十分な強度特性を持つようになる。
〔その他の形態例〕
(1)上記形態例では、緩衝材として土を用いるようにしたが、多孔質材料の一種であるパーライトを用いることも可能である。
(1)上記形態例では、緩衝材として土を用いるようにしたが、多孔質材料の一種であるパーライトを用いることも可能である。
硫酸ピッチ原液と硫酸ピッチとの中和固化物の性状特性を把握するために、不法保管されている硫酸ピッチの試料採取を実施し、採取試料の中和固化配合実験、一般性状試験および溶出試験を実施した。また、得られた結果から、硫酸ピッチ中和固化物の最終処分場への埋立適正について評価した。
1.試験項目
(1)中和固化実験
硫酸ピッチに緩衝材(土又はパーライト)、セメント系固化材、中和補助材(消石灰)および水を混合し、中和固化実験を実施した。
(2)一般性状試験
硫酸ピッチ(原液)および中和固化物について以下に示す項目の試験を実施した。
1.外観性状、2.悪臭性状、3.比重、4.一軸圧縮強度、5.コーン指数、6.油膜、7.溶出液のpH、8.熱しゃく減量、9.油分(ヘキサン抽出物)、10.硫酸イオン、11.亜硫酸ガス、12.硫化水素
(3)溶出試験
硫酸ピッチ原液および中和固化物について、下表1に示す物質の溶出試験を実施した。
(1)中和固化実験
硫酸ピッチに緩衝材(土又はパーライト)、セメント系固化材、中和補助材(消石灰)および水を混合し、中和固化実験を実施した。
(2)一般性状試験
硫酸ピッチ(原液)および中和固化物について以下に示す項目の試験を実施した。
1.外観性状、2.悪臭性状、3.比重、4.一軸圧縮強度、5.コーン指数、6.油膜、7.溶出液のpH、8.熱しゃく減量、9.油分(ヘキサン抽出物)、10.硫酸イオン、11.亜硫酸ガス、12.硫化水素
(3)溶出試験
硫酸ピッチ原液および中和固化物について、下表1に示す物質の溶出試験を実施した。
2.分析試験方法および中和固化実験方法
2.1使用硫酸ピッチ
使用硫酸ピッチは、大阪府某市に不法保管されている硫酸ピッチを使用した。
2.2使用硫酸ピッチ(原液)の一般性状試験方法
中和固化実験で使用する硫酸ピッチ(原液)の性状把握を目的に、下表2に示す一般性状分析試験を実施した。なお、試験項目は、管理型最終処分場での埋立処分に必要と想定される下表2の項目を選定した。
2.1使用硫酸ピッチ
使用硫酸ピッチは、大阪府某市に不法保管されている硫酸ピッチを使用した。
2.2使用硫酸ピッチ(原液)の一般性状試験方法
中和固化実験で使用する硫酸ピッチ(原液)の性状把握を目的に、下表2に示す一般性状分析試験を実施した。なお、試験項目は、管理型最終処分場での埋立処分に必要と想定される下表2の項目を選定した。
3.硫酸ピッチ室内中和固化実験方法
(1)目的
埋立可能な硫酸ピッチ中和固化物の試作を目的に、室内中和固化実験を実施した。
(2)検討条件
管理型最終処分場で埋立可能な硫酸ピッチ中和固化物の性状は、使用硫酸ピッチが大阪府に保管されている硫酸ピッチであることから、
(a)大阪湾広域臨海環境整備センターの受入基準を参考に検討した。
大阪湾域臨海環境整備センター(以下センター)受入共通基準から想定される硫酸ピッチ中和固化物の性状条件は、以下のとおりである。
・著しい悪臭ガス(亜硫酸ガス等)の発生がみられないこと。
・水面において油膜が形成しないこと。
・極度の油臭が押さえられていること。
・油分の含有率5%以下のもの。(内規基準)
・最大径がおおむね30cm以下のもの。
・有害物質・判定基準を満足するもの。
(1)目的
埋立可能な硫酸ピッチ中和固化物の試作を目的に、室内中和固化実験を実施した。
(2)検討条件
管理型最終処分場で埋立可能な硫酸ピッチ中和固化物の性状は、使用硫酸ピッチが大阪府に保管されている硫酸ピッチであることから、
(a)大阪湾広域臨海環境整備センターの受入基準を参考に検討した。
大阪湾域臨海環境整備センター(以下センター)受入共通基準から想定される硫酸ピッチ中和固化物の性状条件は、以下のとおりである。
・著しい悪臭ガス(亜硫酸ガス等)の発生がみられないこと。
・水面において油膜が形成しないこと。
・極度の油臭が押さえられていること。
・油分の含有率5%以下のもの。(内規基準)
・最大径がおおむね30cm以下のもの。
・有害物質・判定基準を満足するもの。
また、固化条件については、廃棄物の固形化に関する基準および発生土利用基準を基本に検討した。
(a)廃棄物の固形化に関する基準に基づく性状条件
金属等を含む廃棄物の固形化に関する基準から想定される硫酸ピッチ中和固化物の性状は、以下のとおりである。
・結合材は水硬性セメントとし、その配合量は150kg/m3以上、埋立処分における強度は、0.98Mpa(1000kN/m2,10kgf/cm2)以上とする。「金属等を含む産業廃棄物の固形化に関する基準」(環境庁告示第5号)
(b)発生土利用基準に基づく性状条件
建設工事に伴い副次的に発生する土砂や汚泥の利用に関する基準から想定される硫酸ピッチ中和固化物の性状は、以下のとおりである。
・水面埋立用改良土の土質性状:コーン指数qc=200kN/m2以上「発生土利用基準」(国土交通省通達平成16年3月31日)
(a)廃棄物の固形化に関する基準に基づく性状条件
金属等を含む廃棄物の固形化に関する基準から想定される硫酸ピッチ中和固化物の性状は、以下のとおりである。
・結合材は水硬性セメントとし、その配合量は150kg/m3以上、埋立処分における強度は、0.98Mpa(1000kN/m2,10kgf/cm2)以上とする。「金属等を含む産業廃棄物の固形化に関する基準」(環境庁告示第5号)
(b)発生土利用基準に基づく性状条件
建設工事に伴い副次的に発生する土砂や汚泥の利用に関する基準から想定される硫酸ピッチ中和固化物の性状は、以下のとおりである。
・水面埋立用改良土の土質性状:コーン指数qc=200kN/m2以上「発生土利用基準」(国土交通省通達平成16年3月31日)
(3)中和固化実験の作業手順
中和固化実験の標準作業フローを図1に示す。
中和固化実験の標準作業フローを図1に示す。
(4)実験材料と配合量
a)現地発生土の物性
使用した現地発生土は、土粒子密度:2.662g/cm3、自然含水比:11.7%であり、その粒度構成は、礫分:18%、砂分:65%、シルト分:11%、粘土分:6%であり、さらに最大粒径4.75mm、均等係数Uc:77.7であった。
使用した現地発生土は、土粒子密度:2.662g/cm3、自然含水比:11.7%であり、その粒度構成は、礫分:18%、砂分:65%、シルト分:11%、粘土分:6%であり、さらに最大粒径4.75mm、均等係数Uc:77.7であった。
b)緩衝材料
i)緩衝材の種類
本実験では、現場で得られる現地採取土と、多孔質材の一種であるパーライト(1.2mmアンダー品)を使用する。
ii)配合量
本実験における緩衝材(現地採取土又はパーライト)の配合量は、硫酸ピッチと同量(同容積)の配合とした。
i)緩衝材の種類
本実験では、現場で得られる現地採取土と、多孔質材の一種であるパーライト(1.2mmアンダー品)を使用する。
ii)配合量
本実験における緩衝材(現地採取土又はパーライト)の配合量は、硫酸ピッチと同量(同容積)の配合とした。
c)使用セメント
i)セメントの種類
本実験では、中和性能と自硬性能を兼ね備えた水硬性セメントを使用する。なお、使用セメントは、六価クロムの溶出低減・抑制効果の高い、特殊土用セメント系固化材(ユースタビラー50)とした。
ii)配合量
前記検討条件をふまえ、各種条件に対応する配合量の選定を目的に、試行配合試験を実施した。試行配合試験で実施する固化材添加量は、均一な混合が可能と想定される、(硫酸ピッチ+緩衝材)1m3当たりの固化材添加量=75kg、150kg、250kg、350kg、500kgの5水準を基本とした。
i)セメントの種類
本実験では、中和性能と自硬性能を兼ね備えた水硬性セメントを使用する。なお、使用セメントは、六価クロムの溶出低減・抑制効果の高い、特殊土用セメント系固化材(ユースタビラー50)とした。
ii)配合量
前記検討条件をふまえ、各種条件に対応する配合量の選定を目的に、試行配合試験を実施した。試行配合試験で実施する固化材添加量は、均一な混合が可能と想定される、(硫酸ピッチ+緩衝材)1m3当たりの固化材添加量=75kg、150kg、250kg、350kg、500kgの5水準を基本とした。
d)中和補助材の種類と配合量
中和補助材を併用した3ケースを実施した。使用する補助材としては、使用実績の多い消石灰とした。また配合量は、(硫酸ピッチ+緩衝材)1m3当たりの中和補助材(消石灰)配合量=150kgとした。
中和補助材を併用した3ケースを実施した。使用する補助材としては、使用実績の多い消石灰とした。また配合量は、(硫酸ピッチ+緩衝材)1m3当たりの中和補助材(消石灰)配合量=150kgとした。
e)水の添加
固形状の硫酸ピッチを処理する場合や含水分の少ない緩衝材を使用する場合、セメントの水和反応に必要な水の不足が懸念される。水の必要量は、材料配合量や目標強度により異なるため、水の添加水準をかえた配合試験により最適値を得ることなる。本実験では、各ケースの湿潤状態を目視により判断し、必要水量を実験中に適宜決定した。
固形状の硫酸ピッチを処理する場合や含水分の少ない緩衝材を使用する場合、セメントの水和反応に必要な水の不足が懸念される。水の必要量は、材料配合量や目標強度により異なるため、水の添加水準をかえた配合試験により最適値を得ることなる。本実験では、各ケースの湿潤状態を目視により判断し、必要水量を実験中に適宜決定した。
以上より、供試体は下表3に示す10ケースとした。
(5)供試体作製方法
a)材料混合
各種材料は、ソイルミキサーにより混合した。混合は、材料が均一に目視出来るまで実施するものとし、以下の時間を標準とした。
・硫酸ピッチと緩衝材の空練り :60秒
・固化材(+消石灰)+水混合後:90秒
・混合物切り返し後 :90秒
b)供試体作製
混合材料は、混合後直ちに寸法φ5cm×10cmのサミットモールド(約200cc)に3層に分け充填し、それぞれの層毎にタッピング(モールドを机にたたき締固める)により、3本の供試体を作製した。なおタッピングの終了は、目視により判断した。また供試体は、タッピング終了後、7日間室内で常温養生した。
a)材料混合
各種材料は、ソイルミキサーにより混合した。混合は、材料が均一に目視出来るまで実施するものとし、以下の時間を標準とした。
・硫酸ピッチと緩衝材の空練り :60秒
・固化材(+消石灰)+水混合後:90秒
・混合物切り返し後 :90秒
b)供試体作製
混合材料は、混合後直ちに寸法φ5cm×10cmのサミットモールド(約200cc)に3層に分け充填し、それぞれの層毎にタッピング(モールドを机にたたき締固める)により、3本の供試体を作製した。なおタッピングの終了は、目視により判断した。また供試体は、タッピング終了後、7日間室内で常温養生した。
(6)材料混合時の測定項目と測定結果
材料混合時における混合物の温度特性と亜硫酸ガスおよび硫化水素の発生濃度を把握するために上記3項目について測定を行った。なお、ガス測定(ガス検知管)は、固化材使用量の多い2ケース(ケース7および8)について実施した。測定の結果、以下の知見を得た。
i)固化材混合物の温度は、固化材混合開始約30秒後には、ほぼ最高温度(約60〜100℃)に達した。その後の混合物温度は、低下傾向を示した。比較的短時間であったが、約100℃と高温になったため、混合量の多い実際の施工では、温度対策には十分注意が必要と考えられる。
ii)下表4に示すように、固化材混合中の亜硫酸ガス発生濃度は20ppm未満、硫化水素の発生濃度は25ppm未満であったが、実際の施工では、混合量が多いため、ガス対策には十分注意が必要である。
材料混合時における混合物の温度特性と亜硫酸ガスおよび硫化水素の発生濃度を把握するために上記3項目について測定を行った。なお、ガス測定(ガス検知管)は、固化材使用量の多い2ケース(ケース7および8)について実施した。測定の結果、以下の知見を得た。
i)固化材混合物の温度は、固化材混合開始約30秒後には、ほぼ最高温度(約60〜100℃)に達した。その後の混合物温度は、低下傾向を示した。比較的短時間であったが、約100℃と高温になったため、混合量の多い実際の施工では、温度対策には十分注意が必要と考えられる。
ii)下表4に示すように、固化材混合中の亜硫酸ガス発生濃度は20ppm未満、硫化水素の発生濃度は25ppm未満であったが、実際の施工では、混合量が多いため、ガス対策には十分注意が必要である。
4.硫酸ピッチ中和固化物の一般性状試験方法
硫酸ピッチ中和固化実験で得られた中和固化物の性状把握を目的に、各種室内試験を実施した。
(1)中和固化物の性状改善条件と確認方法
中和固化物の性状改善条件と確認方法は、埋立地の受入条件等をふまえ、下表5に示す試験項目を実施した。
硫酸ピッチ中和固化実験で得られた中和固化物の性状把握を目的に、各種室内試験を実施した。
(1)中和固化物の性状改善条件と確認方法
中和固化物の性状改善条件と確認方法は、埋立地の受入条件等をふまえ、下表5に示す試験項目を実施した。
(2)性状調査の作業フロー
図2に示されるように、性状調査は、i)基本性状試験およびii)詳細性状試験により実施した。前記基本性状試験は、作製した全供試体の基本的性状を把握するために実施した。また詳細試験は、基本性状試験からより詳細な試験が必要と判断されたケースについて実施した。
図2に示されるように、性状調査は、i)基本性状試験およびii)詳細性状試験により実施した。前記基本性状試験は、作製した全供試体の基本的性状を把握するために実施した。また詳細試験は、基本性状試験からより詳細な試験が必要と判断されたケースについて実施した。
5.試験結果および考察
5.1硫酸ピッチ(原液)の試験結果
硫酸ピッチ(原液)の一般性状試験と溶出試験結果の一覧を下表6及び下表7に示す。
5.1硫酸ピッチ(原液)の試験結果
硫酸ピッチ(原液)の一般性状試験と溶出試験結果の一覧を下表6及び下表7に示す。
5.2硫酸ピッチ中和固化物の試験結果
硫酸ピッチ中和固化物(全作製供試体11ケース)を用いた基本性状試験の結果及び基本性状は、下表8のとおりであった。
硫酸ピッチ中和固化物(全作製供試体11ケース)を用いた基本性状試験の結果及び基本性状は、下表8のとおりであった。
5.3詳細性状試験結果
詳細性状試験結果は、下表9及び下表10のとおりであった。
詳細性状試験結果は、下表9及び下表10のとおりであった。
5.4 中和固化物の埋立適正の考察
硫酸ピッチ原液と中和固化物11ケースの分析結果より、硫酸ピッチ中和固化物の埋立適正は以下のように考察される。
(1)油分と油膜発生に関する評価
硫酸ピッチ(原液)の油分は2.2%であり、油分受け入れ基準(5%)以下であった。しかし、油膜の発生がみられたことから、そのままでは埋め立て処分が困難な硫酸ピッチと判断された。
硫酸ピッチ原液と中和固化物11ケースの分析結果より、硫酸ピッチ中和固化物の埋立適正は以下のように考察される。
(1)油分と油膜発生に関する評価
硫酸ピッチ(原液)の油分は2.2%であり、油分受け入れ基準(5%)以下であった。しかし、油膜の発生がみられたことから、そのままでは埋め立て処分が困難な硫酸ピッチと判断された。
一方、セメント系固化材により中和固化した硫酸ピッチは、固化材を250kg以上添加すれば、油膜の発生は見られなかった。また、固化材75kgと消石灰150kgの添加の場合にも油膜の発生は見られなかった。なお、固化材添加量が1m3当たり150kg以下では、油膜の発生が見られた。
次に油膜の発生が見られない硫酸ピッチ固化物のpHは、pH=7.7〜12.3の範囲にあり、いずれもアルカリ域にあった。なお、油膜の発生が見られた固化物のpHは、pH=3.7〜4.0と酸性域にあった。
以上の結果、「固化材添加量が250kg以上」もしくは「固化材75kg以上かつ消石灰150kg以上」の添加であれば、油膜発生防止効果が得られるものと見られた。なお、いずれのケースも固化材のpHが7.7以上であることが前提条件と想定される。
なお、固化材添加による油膜発生防止効果は、セメント中の水硬性化合物と緩衝材との結合固化により、硫酸ピッチが固形化し、油膜の発生が抑制されたものと推察される。
(2)重金属等の溶出に関する評価
重金属等18項目の溶出試験の結果、硫酸ピッチ(原液)の溶出量は、全て埋立受入判定基準値以下であった。また、中和固化物6ケース(No.2,3',6,7,9,10)の溶出量も、すべて埋立受入判定基準値以下であった。
重金属等18項目の溶出試験の結果、硫酸ピッチ(原液)の溶出量は、全て埋立受入判定基準値以下であった。また、中和固化物6ケース(No.2,3',6,7,9,10)の溶出量も、すべて埋立受入判定基準値以下であった。
なお、鉛、クロム、ひ素については、中和固化物からの溶出量は、原液に比べ少量であり、不溶化傾向を示した。
以上の結果、中和固化物からの重金属等の溶出は、原液と同様に基準値以下であり、固化処理による溶出の増大は見られなかった。このため、重金属等の溶出性状に関しては、埋立可能な性状と考えられる。
(3)中和固化物の発現強度に関する評価
固化材添加量が「250kg以上」もしくは「固化材75kg以上かつ消石灰150kg以上」の場合の発現強度は、コーン指数=600〜13,000kN/m2の範囲にあり、海面埋立てが可能な200kN/m2に比べ、十分な強度が得られた。以上の結果から、上記添加量の条件であれば、発現強度に関しては、埋立可能な性状と考えられる。
固化材添加量が「250kg以上」もしくは「固化材75kg以上かつ消石灰150kg以上」の場合の発現強度は、コーン指数=600〜13,000kN/m2の範囲にあり、海面埋立てが可能な200kN/m2に比べ、十分な強度が得られた。以上の結果から、上記添加量の条件であれば、発現強度に関しては、埋立可能な性状と考えられる。
また、固化材のみの添加に比べ、固化材と消石灰を併用したケースの発現強度は、増大傾向を示し、消石灰との併用は、より効果的と想定される。
(4)溶出液のpHに関する評価
消石灰を含まない3ケース(NO.2,3',6)の溶出液のpHはpH=7.7〜8.1とほぼ中性域にあり、問題となる性状ではなかった。消石灰を含む3ケース(NO.7,9,10)についてはpH=12.2〜12.3とアルカリ域にあった。しかし、埋立可能なセメント系改良土のpHと同様のpHのため、埋立可能なpHと考えられる。
消石灰を含まない3ケース(NO.2,3',6)の溶出液のpHはpH=7.7〜8.1とほぼ中性域にあり、問題となる性状ではなかった。消石灰を含む3ケース(NO.7,9,10)についてはpH=12.2〜12.3とアルカリ域にあった。しかし、埋立可能なセメント系改良土のpHと同様のpHのため、埋立可能なpHと考えられる。
(5)悪臭発生に関する評価
固化物の臭気については、pHとの関係がみられ、pHが低いケースについては悪臭が強い傾向を示した。
臭気段階は、消石灰を混合せずにセメント系固化材のみを使用したケースでは「強烈臭」〜「強臭」であったのに対し、消石灰を混合したケースでは「楽に感知」であった。埋立時の臭気対策として、セメント系固化材と消石灰の併用が効果的と考えられる。
固化物の臭気については、pHとの関係がみられ、pHが低いケースについては悪臭が強い傾向を示した。
臭気段階は、消石灰を混合せずにセメント系固化材のみを使用したケースでは「強烈臭」〜「強臭」であったのに対し、消石灰を混合したケースでは「楽に感知」であった。埋立時の臭気対策として、セメント系固化材と消石灰の併用が効果的と考えられる。
(6)緩衝材
緩衝材にパーライトおよび現地発生土を用いた性状試験を実施した。その結果、比重性状を除くその他の性状に関しては、差異は認められなかった。
緩衝材にパーライトおよび現地発生土を用いた性状試験を実施した。その結果、比重性状を除くその他の性状に関しては、差異は認められなかった。
このため、本実験対象物(硫酸ピッチ、現地発生土)の場合には、埋立時には、緩衝材に現地発生土を用いた方が経済的となる。
Claims (5)
- 不法投棄された硫酸ピッチの処理方法であって、硫酸ピッチに対して、緩衝材として土を混合するとともに、セメント系固化材と、水とを混合することにより中和固化物を得ることを特徴とする硫酸ピッチの処理方法。
- 前記土は、容積換算で少なくとも硫酸ピッチ容積以上混合する請求項1記載の硫酸ピッチの処理方法。
- 前記セメント系固化材の他に、中和補助材としてカルシウム化合物を混合する請求項1〜2いずれかに記載の硫酸ピッチの処理方法。
- 前記セメント系固化材は、250kg/m3以上の割合で混合する請求項1、2いずれかに記載の硫酸ピッチの処理方法。
- 前記セメント系固化材を75kg/m3以上、かつ前記カルシウム化合物を150kg/m3以上の割合で混合する請求項3記載の硫酸ピッチの処理方法。
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JP2004283153A JP2006095399A (ja) | 2004-09-29 | 2004-09-29 | 硫酸ピッチの処理方法 |
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JP2006239631A (ja) * | 2005-03-04 | 2006-09-14 | Kankyo System Kenkyusho:Kk | 硫酸ピッチ処理法 |
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2004
- 2004-09-29 JP JP2004283153A patent/JP2006095399A/ja not_active Withdrawn
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