JP2006091991A - 情報管理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】被介護者の送迎に使用される介護車両に関する情報を適切に管理して、座席の最適化まで含めた送迎のための配車計画を適切に作成できるようにする。
【解決手段】サービス事業者が保有する介護車両の各座席をオブジェクトとして取り扱って、各座席の他の座席との制約関係を含めた属性情報を、各介護車両の属性情報とは独立して個別の情報として扱いやすいかたちで座席データベース2に登録しておく。そして、送迎サービスで使用される予定の介護車両が特定されたときに、座席順序算出装置3がこの座席データベース2を参照して、使用予定の介護車両の各座席間の制約関係に基づき、当該介護車両を使用する際の条件に応じて利用可能な座席及びその着座順序を算出する。
【選択図】図2
【解決手段】サービス事業者が保有する介護車両の各座席をオブジェクトとして取り扱って、各座席の他の座席との制約関係を含めた属性情報を、各介護車両の属性情報とは独立して個別の情報として扱いやすいかたちで座席データベース2に登録しておく。そして、送迎サービスで使用される予定の介護車両が特定されたときに、座席順序算出装置3がこの座席データベース2を参照して、使用予定の介護車両の各座席間の制約関係に基づき、当該介護車両を使用する際の条件に応じて利用可能な座席及びその着座順序を算出する。
【選択図】図2
Description
本発明は、被介護者の送迎に使用される介護車両の情報を管理して、送迎サービスを支援する情報管理システムに関する。
近年、益々加速する高齢化社会に適合して充実した介護サービスの提供を可能にすべく介護保険制度が実施されており、この介護保険制度に基づく介護サービスを効率良く実施するための検討が様々な観点からなされている。介護保険制度に基づく介護サービスの種類としては、介護サービスを提供するサービス事業者のスタッフが被介護者の自宅に出向いてサービスを行う訪問介護や、被介護者が介護施設に通ってサービスを受けるデイケア等の通所による介護サービスがある。このうち、デイケア等の通所による介護サービスでは、通常、介護サービスの一環として、サービス事業者が介護車両を用いて被介護者の送迎を行うようにしている。
ところで、以上のようなサービス事業者による送迎サービスを円滑に実施するためには、複数の条件を最適化した効率の良い配車計画を作成する必要がある。配車計画を作成する方法については、例えば物流等の分野において様々な提案がなされており、巡回セールスマン問題、遺伝的アルゴリズム、ニューラルネットワーク理論等を応用して、距離や時間的な観点から計算機を用いて効率の良い配車計画を作成する方法が種々検討されている(例えば、特許文献1等を参照。)。
特開2003−26335号公報
しかしながら、介護サービスの一環として行われる送迎サービスの配車計画を作成するにあたっては、上述した物流等の分野での配車計画を作成する際に考慮される距離や時間等の条件に加えて介護の分野に特有な条件についても考慮する必要があり、効率の良い配車計画の作成がより困難なものとなっている。すなわち、介護サービスの一環として行われる送迎サービスでは送迎対象となるのが被介護者であり、各被介護者の身体の状態に合わせて介護車両の座席を割り当てたり送迎順序を決定したりする必要が生じる。このような介護の分野に特有の条件を反映した配車計画を適切に作成するためには、送迎対象となる被介護者に関する情報は勿論のこと、送迎に使用する各介護車両に関する情報を、配車計画の作成に適したかたちで保存し管理することが必要となる。特に、介護車両の各座席間で排他的な関係がある場合や乗降順序に制約がある場合などにおいては、座席の最適化も含めて送迎対象となる被介護者を効率良く送迎できるような配車計画を作成するためには、これら介護車両の各座席間の制約関係を情報として扱いやすいかたちで管理して、これらの情報を配車計画作成の際に利用できるようにすることが重要となる。
本発明は、以上のような実情に鑑みて創案されたものであって、被介護者の送迎に使用される介護車両に関する情報を適切に管理して、座席の最適化まで含めた送迎のための配車計画を適切に作成できるようにする情報管理システムを提供することを目的としている。
本発明に係る情報管理システムでは、前記目的を達成するために、システム利用者として登録された事業者が保有する各介護車両に関する属性情報を、各介護車両毎に更新可能な状態で車両データベースに保持させるようにしている。また、これら介護車両の各座席に関する属性情報として、少なくとも他の座席との間の制約関係を示す情報を、各座席毎に更新可能な状態で座席データベースに保持させるようにしている。これら車両データベースや座席データベースは、ハード的には一体であっても個別に構成されていてもよく、介護車両の属性情報と各座席の属性情報とがデータとしてそれぞれ個別に管理可能な状態で保持される構成となっていればよい。そして、本発明に係る情報管理システムは、これらのデータベースの他に座席順序算出手段を備えており、この座席順序算出手段が、車両データベースを参照して送迎サービスに使用する予定の介護車両を特定するとともに、座席データベースを参照して、使用予定の介護車両の各座席間の制約関係に基づき、当該介護車両を使用する際の条件に応じて利用可能な座席及びその着座順序を算出するようにしている。この座席順序算出手段により算出された使用予定の介護車両における利用可能な座席及びその着座順序の情報は、座席の最適化まで含めた配車計画を作成する際に有用な情報として利用されることになる。
本発明によれば、事業者が保有する各介護車両に関する情報として、各介護車両が有する各座席の他の座席との間の制約関係を示す情報を含む属性情報が、各介護車両の属性情報とは独立して個別の情報として扱いやすいかたちで管理され、送迎サービスで使用予定の介護車両が特定されたときに、この介護車両での利用可能な座席及びその着座順序が自動的に算出されるので、この情報を用いて座席の最適化まで含めた送迎のための配車計画を適切に作成することが可能となる。
以下、本発明を適用した情報管理システムの具体的な実施形態について説明する。
本発明に係る情報管理システムは、サービス事業者が介護サービスの一環として行う送迎サービスを支援するためのものであり、サービス事業者が保有する介護車両に関する情報を適切に管理して、座席の最適化まで含めた送迎のための配車計画を適切に作成できるようにしたものである。
介護車両を用いた送迎サービスの配車計画を、送迎に使用する介護車両の座席の最適化まで含めて適切に行うためには、介護車両の各座席間における制約関係についても考慮して、当該介護車両を使用する際の条件に応じて利用可能な座席やその着座順序を把握しておく必要がある。このような介護車両の各座席間における制約関係としては、主に以下の2つが挙げられる。
1つは、先行制約と呼ばれる制約関係である。これは、ある座席に人を着座させる前に別のある座席に人を着座せてしまうと、前に乗せた人を一度降ろしてからでないと次の人を乗せられないといった、座席の配置に依存した乗車、降車の順番制約である。例えば、車椅子用の座席に先に人を乗せてしまうと、その奥にある通常の座席に人を座らせようとしたときに、手前の車椅子の人に一度降車してもらわなければならないようなケースがこれに相当する。
2つ目は、排他制約と呼ばれる制約関係である。これは、一方の座席を利用すると他方の座席が利用できなくなるといった、排他的な空間利用の制約である。例えば、通常は補助席として利用されているものが、車椅子を搭載することによって補助席空間を折り畳む必要があり補助席が利用できなくなるといったケースがこれに相当する。また、通常は車椅子用の座席として利用されているものが、そのスペースにストレッチャ(介護用ベット)を搭載する場合には、車椅子用のいくつかの座席が利用できなくなるといったケースもこれに相当する。
本実施形態の情報管理システムでは、以上のような介護車両の各座席間における制約関係を表現できるように、介護車両の座席1つ1つをオブジェクトとして取り扱い、他の座席との間の制約関係を含めた各座席の属性情報をデータベースに更新可能な状態で登録しておくようにしている。この介護車両の各座席についての情報を1つ1つのオブジェクトとして保持するデータベースを座席データベースと呼ぶ。また、サービス事業者が保有する各介護車両の定員数や装備の種類、装備数といった介護車両毎の属性情報については、各介護車両1つ1つをオブジェクトとして取り扱って、データベースに更新可能に登録しておくようにしている。この各介護車両についての情報を1つ1つのオブジェクトとして保持するデータベースを車両データベースと呼ぶ。
本実施形態の情報管理システムでは、以上のように、介護車両の各座席をオブジェクトとして取り扱って、各座席の属性情報を各介護車両の属性情報とは独立して個別の情報として扱いやすいかたちで座席データベースに登録しておくことによって、介護車両の各座席について、その座席に対して排他的な関係にある座席はどれかといった情報や、その座席に先行すべき座席はどれかといった情報を瞬時に取り出すことができるようになる。これは、送迎のための配車計画を作成する際に、座席の最適化まで含めた配車計画を適切に作成する上で極めて重要な情報となる。
次に、典型的な座席配置の介護車両を使用する場合を例に挙げて、介護車両の各座席間の制約関係について、図1を用いてより具体的に説明する。
図1(a)は、典型的な介護車両の車室内座席配置を示したものである。この図1(a)に示す介護車両では、被介護者が着座可能な座席として、車両進行方向の前方から順に第1乃至第5の5つの座席が千鳥状に配置されている。そして、これらのうち、第1の座席及び第4の座席は通常の座席とされ、第2の座席、第3の座席及び第5の座席が、車椅子使用の被介護者を収容可能な車椅子用スペースとされている。また、これら3つの車椅子用スペースを利用しない場合には、ここをストレッチャ搭載用のスペースとして利用できるようになっている。なお、以下の説明では、このストレッチャ搭載用のスペースを便宜上第6の座席と呼ぶこととする。
また、この図1(a)に示す介護車両では、車両の進行方向に向かって左側の第2の座席の近くにスライドドアが設置されており、車椅子やストレッチャを使用しない被介護者はこのスライドドアから介護車両への乗降を行うこととしている。また、この介護車両では、車両後方にはバックドア及び昇降機が設置されており、車椅子やストレッチャを使用する被介護者は、車両後方のバックドアから介護車両への乗降を行うこととしている。
以上のような座席配置の介護車両における各座席間の先行制約は、以下のようになる。先ず、車椅子用スペースである第5の座席に被介護者を着座させるには、その前に、車椅子用スペースである第3の座席に被介護者を着座させておく必要がある。この乗降順序が逆になると、第3の座席に被介護者を着座させるためには、既に介護車両に乗り込んでいる第5の座席の被介護者を一旦降車させて、バックドアから第3の座席の被介護者を乗車させた後に改めて第5の座席の被介護者を乗車させる必要が生じ、被介護者に過度の負担を強いることになるからである。また、同様の理由により、第3の座席に被介護者を着座させるには、その前に、車椅子用スペースである第2の座席に被介護者を着座させておく必要がある。さらに、第2の座席に被介護者を着座させるには、その前に、第1の座席と第4の座席とにそれぞれ被介護者を着座させておく必要がある。第2の座席に先に被介護者を着座させてしまうと、第1の座席及び第4の座席の被介護者をスライドドアから介護車両に乗車させることができなくなるからである。
以上のような介護車両の各座席間における先行制約の関係は、図1(b)のような有向グラフで表すことができる。この有向グラフは、矢印の基点となる座席よりも、矢印が指し示す座席の着座順序が先になることを示している。本実施形態の情報管理システムでは、このような有向グラフで表される各座席間における先行制約の関係を、各座席毎の属性情報の中で容易に特定できるような表現形式にして、座席データベースに更新可能な状態で保持させるようにしている。
また、以上のような座席配置の介護車両における各座席間の排他制約は、以下のようになる。すなわち、図1(a)に示す介護車両は、ストレッチャ搭載スペースである第6の座席を利用することでストレッチャ使用の被介護者の乗車が可能であるが、第6の座席を利用する場合には、車椅子用スペースである第2の座席、第3の座席及び第5の座席が利用できなくなる。したがって、これら第2、第3、第5の座席と第6の座席との間には、排他制約が存在することになる。
以上のような座席間の排他制約の関係は、図1(c)のような有向グラフで表すことができる。この有向グラフは、矢印が指し示す座席を利用する場合には、矢印の基点となる座席の利用ができなくなることを示している。本実施形態の情報管理システムでは、このような有向グラフで表される各座席間の排他制約の関係についても、先行制約の関係と同様に、各座席毎の属性情報の中で容易に特定できるような表現形式にして、座席データベースに更新可能な状態で保持させるようにしている。
次に、本実施形態の情報管理システムの具体的な構成について、図2乃至図4を用いて説明する。
本実施形態の情報管理システムは、図2に示すように、車両データベース1及び座席データベース2と、座席順序算出装置3とを備えて構成される。車両データベース1は、システム利用者として登録されたサービス事業者が保有する各介護車両に関する属性情報を各介護車両毎に更新可能に保持するものであり、座席データベース2は、介護車両の各座席に関する属性情報として、少なくとも他の座席との間の制約関係を示す情報を各座席毎に更新可能に保持するものである。また、座席順序算出装置3は、車両データベース1を参照して送迎サービスに使用する予定の介護車両を特定するとともに、座席データベース2を参照して、使用予定の介護車両の各座席間の制約関係に基づき、当該介護車両を使用する際の条件に応じて利用可能な座席及びその着座順序を算出するものである。
以上のような本実施形態の情報管理システムにおいて、車両データベース1や座席データベース2は、例えば、キーとなるデータを利用して異なるデータの結合を容易に行うことが可能なリレーショナルデータベースとして構築される。このリレーショナルデータベースは、SQL(Structured Query Language)と呼ばれる操作言語を用いて高速なデータ検索が可能であるので、各介護車両の属性情報や各介護車両が有する各座席の属性情報を管理して、配車計画作成の際に必要な情報を取り出すためのデータベースとして適した形式である。このようなリレーショナルデータベースで介護車両の属性情報や各座席の属性情報を適切に管理するには、どのような単位でデータを保持させるようにするかが重要な要素となるが、本実施形態の情報管理システムでは、各介護車両それぞれを1つのオブジェクトと考えて車両データベース1の一タプル(行)に挿入するとともに、各介護車両が有する各座席それぞれについても1つのオブジェクトとして考え、座席データベース2の一タプルに挿入するようにしている。
なお、図2のシステム構成図では、これら車両データベース1や座席データベース2がそれぞれ個別のハードウェア上で実現されている例を図示しているが、これら車両データベース1や座席データベース2は、各介護車両のオブジェクトと各座席のオブジェクトとをそれぞれ個別に管理可能な状態で保持される構成となっていれば、ハード的には一体の構成とされていてもよく、また、座席順序算出装置3の内部に組み込まれた構成とされていてもよい。
車両データベース1におけるデータ表現形式の一例を図3に示す。車両データベース1には、図3に示すようなCARTABLEが格納されており、このCARTABLEの各タプルに各介護車両を表現したオブジェクトが記載されている。各介護車両のオブジェクトは、各介護車両に固有の情報とこれを操作するためのプログラムとが1まとまりのデータとされたものであり、各介護車両に固有の情報としては、車の型や登録ナンバー、定員数、装備の種類、装備数といった属性情報が記載されている。また、各介護車両のオブジェクトには識別情報である車両IDが付与されて、この車両IDをもとにして各介護車両のオブジェクトを一意に特定できるようになっている。
座席データベース2におけるデータ表現形式の一例を図4に示す。座席データベース2には、図4に示すようなSEATTABLEが格納されており、このSEATTABLEの各タプルに介護車両の各座席を表現したオブジェクトが記載されている。各座席のオブジェクトは、各座席に固有の情報とこれを操作するためのプログラムとが1まとまりのデータとされたものでありる。各座席のオブジェクトには識別情報である座席IDが付与されており、この座席IDをもとにして各座席のオブジェクトを一意に特定できるようになっている。なお、図4に示すSEATTABLEは、図1(a)で示した介護車両の各座席に対応したものであり、上のタプルから順に、第1乃至第6の座席のオブジェクトが挿入されている。
各座席に固有の情報としては、まず、その座席がどの介護車両に属しているのかを表す車両IDが記載されている。したがって、ある介護車両に属する座席のオブジェクトを取り出したい場合は、「select * from seat_table where car_id='AAAA';」と入力してAAAAの部分で目的とする介護車両の車両IDを指定することで、その介護車両に属する座席の検索が可能である。
次に、その座席が介護車両の車室内においてどの位置に配置されているかを表す座席位置情報が記載されている。この座席位置情報は、例えば、介護車両の座席配置構成を画面上にグラフィックス表示する場合などに用いられる。
次に、その座席と他の座席との間の先行制約の情報が記載されている。この先行制約の情報は、座席によっては複数の先行制約先が存在する可能性があるので有限長のARRAYとなっており、先行制約先の各座席の座席IDがそれぞれ保存されている。すなわち、この座席に人を着座させる前に、先行制約ARRAYが示す座席に先に人を着座させる必要があることが表現されている。
次に、その座席と他の座席との間の排他制約の情報が記載されている。この排他制約の情報も、先行制約と同じく有限長のARRAYの要素によって排他制約先の各座席の座席IDが保存されている。つまり、この排他制約ARRAYが示す座席がすでに利用されている場合は、この座席は利用できないことが表現されている。
また、各座席に固有の情報としては、例えば、その座席が補助席かどうか、席の向き、ヒータの有無、アームレストの有無、リクライニングの有無などといった、その他の詳細な属性情報が記載されている。したがって、例えばある介護車両に属するヒータ有りの座席のオブジェクトを取り出したい場合には、「select * from seat_table where car_id='AAAA' and seat_heater=1;」と入力することで、ヒータを有する座席の検索が可能である。
さらに、各座席の情報にはアクティブフラグが付加されており、このアクティブフラグでその座席が利用可能な状態にあるかどうかが表現されるようになっている。
以上のように、本実施形態の情報管理システムでは、介護車両の各座席のオブジェクトをリレーショナルデータベースとして構築された座席データベース2に格納されているSEATTABLEの個々のタプルとして表現することによって、どのような構成の座席であってもその座席の属性を的確に表現することが可能で、また、必要な情報を高速に検索することが可能となっている。
本実施形態の情報管理システムにおいて、座席データベース2の検索は、座席順序算出装置3によって実行される。この座席順序算出装置3は、CPUやRAM、ROM、周辺回路を有するマイクロコンピュータで所定の処理プログラムが実行されることによって実現されるものであり、上述したように、送迎サービスの配車計画を作成する際に有用な情報となる介護車両の利用可能な座席やその着座順序を算出するものである。すなわち、この座席順序算出装置3は、先ず、送迎対象となる被介護者の人数や身体の状態、送迎位置等の情報をもとに車両データベース1を検索して、送迎サービスで使用する予定の介護車両を特定する。次に、その使用予定の介護車両の車両IDをもとに各座席座席データベース2を検索して、当該介護車両における各座席の情報を取り出す。そして、送迎対象の被介護者が車椅子使用であるかストレッチャ使用であるかといったような介護車両を使用する際の条件に応じて、各座席の属性情報に含まれる排他制約の関係から、利用可能な座席を算出し、また、各座席間における先行制約の関係を解決して着座順序を算出する。
ここで、座席順序算出装置3により実行される先行制約の解決フローについて、図5及び図6を用いて説明する。
送迎サービスの配車計画を自動作成するにあたっては、最も効率の良い送迎ルートの探索と合わせて、送迎に使用する介護車両の各座席に対する被介護者の割り当てと着座順序、すなわちどの座席にどの被介護者を割り当ててどの被介護者から順に乗車させるかを決定する必要がある。ここで、介護車両の各座席の着座順序は、各座席間の先行制約を解決する有向グラフの繋がりを展開することで導かれ、例えば図1(a)及び図1(b)で示した例では、「第1の座席」→「第4の座席」→「第2の座席」→「第3の座席」→「第5の座席」、或いは「第4の座席」→「第1の座席」→「第2の座席」→「第3の座席」→「第5の座席」が着座順序の候補とされる。この着座順序以外では、先行制約を満たさずに被介護者に過度の負担を強いることになる。
以上のような先行制約を表す有向グラフの繋がりは、座席順序算出装置3が座席データベース2を参照して、図5のフローに従って使用予定の介護車両の各座席の中から未配置の座席の情報を取り出し、未配置の座席について図6のフローに従って先行制約ARRAYの処理を実行することで求められる。すなわち、座席順序算出装置3は、先ず図5のステップS1において、使用予定の介護車両について未配置の座席があるかどうかを判断し、未配置の座席がある場合には、次のステップS2において、その座席についての情報を座席データベース2から取り出す。このとき、未配置の座席が複数ある場合には、所定の基準で順番を決定してその先頭の座席の情報を取り出すようにすればよい。次に、座席順序算出装置3は、ステップS3において、取り出した座席について図6に示す先行制約ARRAYの処理を行う。
先行制約ARRAYの処理では、先ず、ステップS3−1において、ステップS2で取り出した座席の先行制約ARRAYを確認し、先行制約ARRAYに記載されている座席についての情報を座席データベース2から取り出す。次に、ステップS3−2において、ステップS3−1で取り出した先行制約ARRAYに他の座席が記載されているかどうかを判断し、他の座席が記載されていれば、ステップS3−1に戻ってその座席についての情報を座席データベースから取り出す。以上の処理を、先行制約ARRAYに記載された座席を引数にして再帰的に行い、先行制約ARRAYの終端まで達した場合は、それ以上その座席に先行すべき座席がないことを意味するので、ステップS3−3において、その座席を着座順序の最後尾に追加して図5のステップS1へとリターンする。
座席順序算出装置3は、使用予定の介護車両の全ての未配置座席を対象として以上の処理を繰り返すことにより、先行制約に矛盾しない各座席の着座順序を算出することができる。なお、以上のような先行制約ARRAYの処理を実行する過程では、デッドロックに注意しなければならない。すなわち、何らかの要因で先行制約を表す有向グラフにループしている部分が生じると、以上のような先行制約ARRAYの処理が再帰呼び出しの無限ループに入って、システムがハングアップの状態となる所謂デッドロックが生じることになる。このようなデッドロックを回避するために、座席順序算出装置3は、先行制約ARRAYの処理を行う中で一度検索した座席が再び先行制約ARRAYの処理に出てくるのを検知して、自動的に無限ループから抜け出すような処理を行うことが望ましい。
次に、座席順序算出装置3により実行される排他制約の処理について説明する。
先行制約については、上述したように予め先行制約を満たした有向グラフの繋がりを展開して各座席の着座順序の候補を決定しておく必要があるのに対して、排他制約については、配車計画を実際に作成する過程で動的にその検査を行うことで足りる。
すなわち、座席順序算出装置3は、配車計画を作成する過程である座席の使用が決定された段階で、その座席の排他制約ARRAYに記載されている他の座席を単純に全て無効として、その後の処理でこれらの座席が座席データベース2から検索されないようにする。具体的には、例えば送迎対象の被介護者の中にストレッチャ使用の被介護者が存在し、図1に示した例でストレッチャ搭載スペースである第6の座席を使用することが決定された場合は、その段階で第6の座席の排他制約ARRAYに記載されている第2、第3、第5の座席を単純に全て無効とし、その後の配車計画作成過程ではこれら第2、第3、第5の座席については処理を行わないようにする。
以上のような各座席の有効無効は、図4に示したSEATTABLEのアクティブフラグで表現される。すなわち、座席データベース2に格納されたSEATTABLEのアクティブフラグは、その座席が使用可能かどうかを示すフラグであり、このフラグが0の場合は、すでに配置された座席であるか、他の座席の排他制約により現在は利用できない座席であることを示している。配車計画を作成する途中の段階において、使用予定の介護車両における各座席のうちで利用可能な座席の情報を座席データベース2から取り出したい場合には、「select * from seat_table where car_id='AAAA' and active_flag=1」と入力することで、利用可能な座席の検索が可能である。
以上、具体的な例を挙げて詳細に説明したように、本実施形態の情報管理システムによれば、サービス事業者が保有する介護車両の各座席をオブジェクトとして取り扱って、各座席の他の座席との制約関係を含めた属性情報を、各介護車両の属性情報とは独立して個別の情報として扱いやすいかたちで座席データベース2に登録しておくようにしているので、配車計画を作成する上で必要な情報を瞬時に取り出すことが可能である。また、本実施形態の情報管理システムでは、送迎サービスで使用する予定の介護車両が特定されたときに、座席順序算出装置3が、座席データベース2から取り出した情報を用いて、先行制約や排他制約といった各座席間の制約関係に基づき、この介護車両での利用可能な座席及びその着座順序を算出するようにしているので、座席の最適化まで含めた送迎のための配車計画を適切に作成することが可能となる。
1 車両データベース
2 座席データベース
3 座席順序算出装置
2 座席データベース
3 座席順序算出装置
Claims (3)
- 介護車両を用いた送迎サービスを支援するための情報管理システムであって、
システム利用者として登録された事業者が保有する各介護車両に関する属性情報を、各介護車両毎に更新可能に保持する車両データベースと、
前記介護車両の各座席に関する属性情報として、少なくとも他の座席との間の制約関係を示す情報を、各座席毎に更新可能に保持する座席データベースと、
前記車両データベースを参照して送迎サービスに使用する予定の介護車両を特定するとともに、前記座席データベースを参照して、使用予定の介護車両の各座席間の制約関係に基づき、当該介護車両を使用する際の条件に応じて利用可能な座席及びその着座順序を算出する座席順序算出手段とを備えることを特徴とする情報管理システム。 - 前記介護車両の各座席間の制約関係として、ある座席に先行して着座させる必要がある他の座席との関係を示す先行制約の情報が、前記座席に関する属性情報に含まれていることを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
- 前記介護車両の各座席間の制約関係として、ある座席を利用した場合に利用できなくなる他の座席との関係を示す排他制約の情報が、前記座席に関する情報に含まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報管理システム。
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Cited By (2)
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JP2020086942A (ja) * | 2018-11-26 | 2020-06-04 | トヨタ自動車株式会社 | 着席位置決定装置、着席位置決定方法及び着席位置決定用コンピュータプログラム |
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