JP2006089583A - 通気性のよい銀付き革及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 毛穴を塞がず、開いたままにして、通気性を持たせ、従来に比べて3倍以上の透湿度を有する銀付き革及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 なめし工程では、従来の約1.5倍の石灰を用い、革の繊維を膨張させる。仕上げ工程では、目止め加工は行わずに、すぐにバフ加工をする。次に水性塗料を、従来の4割程度で、薄く塗布する。その後、撥水加工を施す。撥水加工は、毛穴を塞ぐことがないので、通気性を損わずに、防水性を高めることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、靴などに用いる、通気性がよくて、透湿度に優れた銀付き(表皮付き)革、及びその製造方法に関する。
従来の銀付き革には、通気性がほとんど無い。この為、この革を靴の材料として用いた場合には、人の足から出た湿気が靴外へ排出されにくく、靴の内部が蒸れて、長時間に互り高湿、高温状態となり、非常に不快で、かつ不衛生である。靴の通気性を向上させる技術は、従来から提案されている。例えば、特許文献1に示されているのは、皮革類に斜めに針を差し込んで、毛穴方向に沿って傾斜した細孔を形成する方法である。
ところが、前記の従来技術のような針を差し込んで細孔を形成するというような機械的方法では、通気性の確保は確実ではあるが、反面、革の機械的強度が低下したり、革の風合いを損なったりする問題がある。
本発明は、このような点に鑑み、革に新たに細孔を形成するのでなく、革に元々存在する毛穴を利用し、毛穴を塞がずに開いたままの状態にして、通気性を持たせるようにした銀付き革、及びその製造方法を提供するにある。また、本発明は、通気性を確保したことにより、透湿度が従来の革より3倍以上も向上した、靴用などに適した銀付き革、及びその製造方法を提供するにある。更に、本発明は、通気性を有しながら、防水性も高く、雨にも強い銀付き革、及びその製造方法を提供するにある。
本発明の銀付き革の技術的手段は、革の繊維が膨張させられ、かつ、毛穴が開いた状態になっていることにある。
また、この通気性のよい銀付き革は、靴の原材料として用いることができる。
本発明の銀付き革の製造方法は、革の繊維を膨張させる為に、多量の石灰を用いてなめし工程を行い、仕上げ工程では、目止め加工をしないで、すぐにバフ加工をし、更に、水性塗料を薄く塗布した後に、撥水加工を施すことにある。
本発明の銀付き革は、銀付きであるにかかわらず、毛穴が塞がれずに開いており、かつ、革の繊維も膨張しているので、通気性があって、透湿度は従来の革よりも3倍以上も優れている。更に、本発明の革は、ナチュラルな風合いを損なわずに、上品な風合いを有し、また、防水性の機能を備える。この為、本発明の革は、通気性を条件とする広汎な用途に使用可能であり、実用上の利点は大きい。
請求項2のように靴に用いた場合には、長時間履いた場合でも、靴内が蒸れることがなく、使用後の放湿性にも優れているので、毎日、同じ靴を履くことも可能である。
本発明の銀付き革の製造方法は、製造工程が比較的簡単で、通気性のある銀付き革を簡単かつ廉価に作ることができる。
本発明の銀付き革、及びその製造方法を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づいて説明する。先ず、革の製造工程は、大きく分けると、なめし工程、染色工程、仕上げ工程の3工程に分けられるので、各工程について、従来との違いを図1に基づいて説明する。なお、実施例では、革の原材料として牛皮を用いた。
なめし工程では、石灰を用いるが、この石灰の使用量を、革の繊維を膨張させる為、従来の約1.5倍とする。即ち、従来は、革 3t、水 2tに対して、石灰を200kg使用しているが、これを実施例では、石灰を300kg使用した。この石灰の使用量は、通常は、水 1tに対して、石灰250〜350kgが適当である。このように石灰の大量使用によって、革の繊維を大幅に膨張させることができる。
次に染色工程では、合成タンニンを加える。この合成タンニンの使用量は、従来は革 100枚、500kgに対して、合成タンニンを50kg使用しているのを、実施例では、75kg使用した。合成タンニンの使用量は、通常、革に対する重量比で、10〜20%とするのが適当である。これにより革の繊維を一層膨張させることができる。また、染液を浸透させ易くする為、加脂剤(実施例では、商品名、リッカーCMGを使用)を加えるのが好ましい。
最後の仕上げ工程は、従来は、オイル加工の後に、銀染め加工を施し、更に、目止め加工、バフ加工、アイロン加工と行っているが、実施例では、一気にバフ加工を加える。目止め加工は毛穴を塞ぎ、通気性を無くす原因となる為、行わない。その後に、オイル加工と、バイブレーション加工を施す。
次に、革の表面を安定させる為に、水性塗料(ファンデーション)を塗布する。従来は、横膜(アクリル・バインダー)と縦膜(アクリル・バインダー)との両方を使用しているが、実施例では、横膜は、厚く毛穴を塞ぐことになるので、使用しない。また、縦膜も従来の4割程度に押える。即ち、縦膜として、アクリル・バインダー(商品名、H.S.P )を、革 1枚当り、従来は700g用いていたものを、実施例では、300gとした。ただし、塗布率は約30%であるので、実際に革に塗布されたのは、約90gである。即ち、アクリル・バインダーは、コンベア上の革に対して、回転するシャワーによって塗布するが、すべてが革に付着する訳ではなく、約7割が流れてしまい、実際に付着するのは、約3割である。従って、従来、700g用いた場合でも、約210gしか、実施例の300gの場合には90gしか革に塗布できないのである。
次に、従来はトップ加工をして、革の表面仕上げをし、色落ち、色あせ、色移りを防ぐのであるが、この加工を施すと、毛穴を塞ぐことになるので、このような仕上げをしない。これにより革のナチュラルな風合いを損なうことなく、上品な風合いが生まれる。ただ、このままでは色落ちなどを起すので、実施例では、撥水加工を加えた。なお、撥水加工は、毛穴を塞ぐことなく行えるので、通気性を損なうことはない。撥水加工には、実施例では、カラーアップガードNSI(コロンブス(株)製)を用いた。また、この撥水加工によって、革に防水性が加わり、雨水などにも強くなる。
(浸透度試験)
実施例の革と、従来の革との透湿度の比較試験を行った。試験方法は、JIS K6549によった。財団法人日本紡績検査協会に委託して行った試験の結果は、実施例の革が10mg/cm2 /hで、従来の革(ソフトオイル ブラウン)は3mg/cm2 /hであった。即ち、実施例の革が、従来の革の3倍以上の透湿度を有していることが分った。
実施例の革と、従来の革との透湿度の比較試験を行った。試験方法は、JIS K6549によった。財団法人日本紡績検査協会に委託して行った試験の結果は、実施例の革が10mg/cm2 /hで、従来の革(ソフトオイル ブラウン)は3mg/cm2 /hであった。即ち、実施例の革が、従来の革の3倍以上の透湿度を有していることが分った。
(通気性試験)
実施例の革と、従来の革との通気性の比較試験を行った。試験方法は、容器の中段を試験革で仕切り、上部空間には水を入れ、下部空間には、エアーポンプで空気を送り込み、革の通気の程度を目視によって調べた。財団法人日本紡績検査協会に委託して行った試験の結果は、実施例の革では、試験開始直後から、試験革の全面に気泡が発生し、10秒後まで連続的に気泡が発生した。他方、従来の革(ソフトオイル ブラウン)では、試験開始から10秒後まで、試験革の表面に気泡は発生しなかった。これにより、実施例の革には通気性の存在が認められ、従来の革には通気性が認められなかった。
実施例の革と、従来の革との通気性の比較試験を行った。試験方法は、容器の中段を試験革で仕切り、上部空間には水を入れ、下部空間には、エアーポンプで空気を送り込み、革の通気の程度を目視によって調べた。財団法人日本紡績検査協会に委託して行った試験の結果は、実施例の革では、試験開始直後から、試験革の全面に気泡が発生し、10秒後まで連続的に気泡が発生した。他方、従来の革(ソフトオイル ブラウン)では、試験開始から10秒後まで、試験革の表面に気泡は発生しなかった。これにより、実施例の革には通気性の存在が認められ、従来の革には通気性が認められなかった。
(靴としての放湿試験)
従来と、実施例との両方の革で靴を作った時の、靴の中の湿気を放湿する時間を比べる試験を行った。試験方法は、従来の革と、実施例の革とでそれぞれ靴を作り、従来の靴を試験者の一方の足に履かせ、実施例の靴を他方の足に履かせ、一定時間の経過後に靴を脱がせて、靴内の湿度を測った。試験者には、工場内での作業従事者を3名選んだ。また、左右の足は同一条件とし、靴下は同一のものにした。靴は、午前8時から午後6時まで9時間連続して履かせた。なお、工場の作業室内は、温度が28℃、湿度は50%であった。測定は、靴を脱いだ後、靴内に湿度計を入れ、これを入れたままにしておいて、1時間毎に12時間に互って靴内の湿度を測定した。なお、湿度の測定場所は、工場の同一室内とした。試験結果は表1に示されている。
従来と、実施例との両方の革で靴を作った時の、靴の中の湿気を放湿する時間を比べる試験を行った。試験方法は、従来の革と、実施例の革とでそれぞれ靴を作り、従来の靴を試験者の一方の足に履かせ、実施例の靴を他方の足に履かせ、一定時間の経過後に靴を脱がせて、靴内の湿度を測った。試験者には、工場内での作業従事者を3名選んだ。また、左右の足は同一条件とし、靴下は同一のものにした。靴は、午前8時から午後6時まで9時間連続して履かせた。なお、工場の作業室内は、温度が28℃、湿度は50%であった。測定は、靴を脱いだ後、靴内に湿度計を入れ、これを入れたままにしておいて、1時間毎に12時間に互って靴内の湿度を測定した。なお、湿度の測定場所は、工場の同一室内とした。試験結果は表1に示されている。
表1の結果から分るように、実施例の靴は、従来の靴よりも、短時間で湿気を放出する能力に優れている。この為、実施例の靴では、毎日同じ靴を履いても大丈夫である。翌日の朝までに湿気を全て放出することができる。
本発明は、前記の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲内で自由に変形実施可能である。
Claims (3)
- 革の繊維が膨張させられ、かつ、毛穴が開いた状態になっている、通気性のよい銀付き革。
- 靴の原材料に用いる、請求項1記載の通気性のよい銀付き革。
- 革の繊維を膨張させる為に、多量の石灰を用いてなめし工程を行い、仕上げ工程では、目止め加工をしないで、すぐにバブ加工をし、更に、水性塗料を薄く塗布した後に、撥水加工を施す、通気性のよい銀付き革の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004276405A JP2006089583A (ja) | 2004-09-24 | 2004-09-24 | 通気性のよい銀付き革及びその製造方法 |
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JP2004276405A JP2006089583A (ja) | 2004-09-24 | 2004-09-24 | 通気性のよい銀付き革及びその製造方法 |
Publications (1)
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ID=36230867
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JP2004276405A Pending JP2006089583A (ja) | 2004-09-24 | 2004-09-24 | 通気性のよい銀付き革及びその製造方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2006089583A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011039786A1 (en) | 2009-10-01 | 2011-04-07 | Conceria Stefania S.P.A. | Method for treatment of a semimanufactured product made of leather or similar material and item resulting thereof |
WO2013080263A1 (ja) * | 2011-12-02 | 2013-06-06 | 株式会社アイランズインク | 衣料用皮革生地およびその製造方法、並びに皮革製衣料品およびその製作方法 |
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2004
- 2004-09-24 JP JP2004276405A patent/JP2006089583A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2011039786A1 (en) | 2009-10-01 | 2011-04-07 | Conceria Stefania S.P.A. | Method for treatment of a semimanufactured product made of leather or similar material and item resulting thereof |
CN102575302A (zh) * | 2009-10-01 | 2012-07-11 | 康沙利亚-斯塔凡尼亚公司 | 用于处理由皮革或类似材料制成的半成品的方法以及由该方法得到的物品 |
CN102575302B (zh) * | 2009-10-01 | 2014-12-10 | 康沙利亚-斯塔凡尼亚公司 | 用于处理由皮革或类似材料制成的半成品的方法以及由该方法得到的物品 |
WO2013080263A1 (ja) * | 2011-12-02 | 2013-06-06 | 株式会社アイランズインク | 衣料用皮革生地およびその製造方法、並びに皮革製衣料品およびその製作方法 |
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