JP2006083411A - 高周波熱処理装置、高周波熱処理方法およびその方法により製造した加工製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 被処理物の必要部位に圧縮応力を付与し、機械的強度を向上させる。
【解決手段】 本発明の高周波熱処理装置は、高周波により被処理物の表層を加熱して焼入硬化する装置であって、高周波により被処理物に誘導電流を励起して加熱するコイル部と、加熱した被処理物に焼入れ液を供給して冷却する焼入液噴射部とを備え、コイル部が、被処理物において圧縮応力を残留させたい部位に近づけるように配置し、焼入液噴射部が、被処理物において圧縮応力を残留させたい部位から遠ざけるように配置することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の高周波熱処理装置は、高周波により被処理物の表層を加熱して焼入硬化する装置であって、高周波により被処理物に誘導電流を励起して加熱するコイル部と、加熱した被処理物に焼入れ液を供給して冷却する焼入液噴射部とを備え、コイル部が、被処理物において圧縮応力を残留させたい部位に近づけるように配置し、焼入液噴射部が、被処理物において圧縮応力を残留させたい部位から遠ざけるように配置することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、鋼の熱処理方法に関し、より特定的には、鋼の高周波熱処理方法に関する。また、その方法により製造した加工製品および高周波熱処理装置に関する。
鋼の疲労強度、耐摩耗性または耐ピッチング性などの機械的強度は、鋼の残留圧縮応力が高いほど向上することが知られている。また、鋼の表層に残留圧縮応力を付与する方法の1つとしては、鋼の浸炭処理または窒化処理があり、これらの処理によって残留圧縮応力が付与されるメカニズムは、鋼の表層のマルテンサイト変態開始温度(Ms点)が、浸炭処理または窒化処理によって低下し、鋼の表層の焼入が、内部の焼入よりも遅くなることによる。したがって、鋼中の任意の場所に残留圧縮応力を付与して機械的強度を高めるには、必要な部分のマルテンサイト化を遅らせる、すなわち焼が入って硬くなりはじめる時期を遅らせればよい。
高周波焼入は、鋼の表層のみを部分加熱し焼入を行なうことができるので、鋼の表層に圧縮応力を付与できる熱処理方法であり、耐疲労性または耐摩耗性などの機械的強度の向上に威力を発揮する。高周波焼入は、多くの場合、鋼の表面焼入として使用されるが、ずぶ焼入処理にも使用されることがある。鋼のずぶ焼入処理では、表層が初めに冷却されるため、原理上、鋼の表層には残留引張応力が付与される。したがって、高周波焼入で、ずぶ焼入を行なう場合、高周波焼入の利点である圧縮応力の付与を達成することができなかった。このため、出願人の記憶する範囲において、出願前に先行技術文献情報として開示すべき情報を出願人は有していない。
本発明の課題は、高周波焼入でのずぶ焼入において、必要な部位に圧縮応力を付与する熱処理方法および熱処理装置を提供することにある。また、必要な部位に圧縮応力を付与し、機械的強度を向上させた加工製品を提供することにある。
本発明の高周波熱処理装置は、高周波により被処理物の表層を加熱して焼入硬化する装置であって、高周波により被処理物に誘導電流を励起して加熱するコイル部と、加熱した被処理物に焼入れ液を供給して冷却する焼入液噴射部とを備え、コイル部が、被処理物において圧縮応力を残留させたい部位に近づけるように配置し、焼入液噴射部が、被処理物において圧縮応力を残留させたい部位から遠ざけるように配置することを特徴とする。
本発明の高周波熱処理方法は、高周波により被処理物の表層を加熱して焼入硬化する方法であって、高周波により被処理物に誘導電流を励起して加熱する工程と、加熱した被処理物に焼入液を供給して冷却する工程とを備え、加熱工程において、被処理物は、圧縮応力を残留させたい部位から遠ざかるにつれて温度が低くなるような温度分布を有し、冷却工程において、被処理物における圧縮応力を残留させたい部位から遠ざけるように焼入液を供給することを特徴とする。冷却後、低温焼戻をする態様が好ましい。本発明の加工製品は、かかる高周波熱処理方法により製造したことを特徴とする。
本発明の高周波焼入装置と高周波焼入方法によれば、高周波焼入でのずぶ焼入において、被処理物の必要部位に圧縮応力を付与し、機械的強度を向上させることができる。
本発明の高周波熱処理装置は、図1に示すように、高周波により被処理物1に誘導電流を励起して加熱するコイル部2と、加熱した被処理物1に矢印で示すように焼入れ液を供給して冷却する焼入液噴射部3とを備える。図1に示すように、コイル部2が、被処理物1において圧縮応力を残留させたい部位1aに近づけるように配置し、これに対して、焼入液噴射部3が、被処理物1における圧縮応力を残留させたい部位1aから遠ざけるように配置することを特徴とする。
コイル部2は、被処理物1における圧縮応力を残留させたい部位1aに近づけるように配置する。したがって、加熱を開始すると、コイル部2により被処理物1に誘導電流が生じ、被処理物1における表層の部位1aが加熱される。図2に、加熱中の被処理物1内の温度分布の概念図を示す。図2に示すように、加熱中の被処理物1の温度分布は、加熱用のコイル部2に近い部位1aの温度が高く、部位1aから遠ざかるにつれて温度が低くなるような温度分布を有する。
被処理物内の炭素の固溶量は、温度が高い部分ほど多くなるので、温度の高い部位1aにおける炭素の固溶量は多くなり、炭素の固溶量が高くなるにつれてMs点は低下する。図3に、被処理物1内におけるMs点の大きさの概念図を示す。図3に示すように、コイル部2に近い部位1aから遠ざかるにつれてMs点は大きくなる。部位1a側のMs点が低いため、焼入時には、部位1a側が遅れてマルテンサイト化し、部位1a側に圧縮応力が残留しやすくなる。
加熱工程後の冷却工程において、焼入液噴射部3は、被処理物1における圧縮応力を残留させたい部位1aから遠ざけるように配置するため、冷却用の焼入液は、被処理物1において圧縮応力を残留させたい部位1aからより遠い部位に供給され、冷却する。このため、たとえば部位1aより低温である部位1bはさらに冷却される。したがって、部位1a側のマルテンサイト化が益々遅れることになるので、部位1aの圧縮応力の残留が助長される。
したがって、被処理物において圧縮応力を付与したい位置にコイル部を配置し、圧縮応力を付与したい位置から最も離れた位置に冷却液を供給する熱処理装置が好ましい。なお、被処理材1の全体の温度レベルが高くなり過ぎると、部位1aと部位1bとの間で炭素の固溶量に差がなくなり、残留圧縮応力に差異が生じない場合が生じる。また、図1においては、焼入液噴射部3を挟んで左右両側に1対の被処理物1とコイル部2とが配置する例を示すが、左右いずれか一方のみからなる態様も同様であり、本発明に含まれる。
本発明の高周波熱処理方法は、高周波により被処理物に誘導電流を励起して加熱する工程と、加熱した被処理物に焼入液を供給して冷却する工程とを備え、加熱工程において、被処理物は、圧縮応力を残留させたい部位から遠ざかるにつれて温度が低くなるような温度分布を有し、冷却工程において、被処理物における圧縮応力を残留させたい部位から遠ざけるように焼入液を供給することを特徴とする。かかる方法により、必要な部位に残留圧縮応力を有する焼入製品を得ることができる。また、冷却工程の後、約200℃で低温焼戻をすると、主として耐摩耗性をさらに高めることができるので好ましい。低温焼戻は、たとえば高周波テンパにより行なうことができる。
実施例1
本実施例では、SUJ2製6206内輪を被処理材として高周波焼入を行なった。高周波焼入は、図1に示すように、圧縮応力を付与したい位置である内輪の外径側の部位1aが、高周波焼入装置におけるコイル部2側にくるように配置し、加熱した。また、圧縮応力を付与したい位置から最も離れた位置である内輪の内径側の部位1bが、焼入液噴射部3側にくるように配置し、内径側の部位1bから冷却を行なった。コイル部1による加熱は、内輪の外径側の部位1aの温度が900℃となるように行なった。また、焼入液である水の温度は25℃であり、噴射量は40L/分とした。焼入加工後の6206内輪の外径側と内径側の残留応力値を表1に示す。本発明の方法で焼入を行なった6206内輪では、いずれの試験片でも外径側の残留圧縮応力が大きかった。
本実施例では、SUJ2製6206内輪を被処理材として高周波焼入を行なった。高周波焼入は、図1に示すように、圧縮応力を付与したい位置である内輪の外径側の部位1aが、高周波焼入装置におけるコイル部2側にくるように配置し、加熱した。また、圧縮応力を付与したい位置から最も離れた位置である内輪の内径側の部位1bが、焼入液噴射部3側にくるように配置し、内径側の部位1bから冷却を行なった。コイル部1による加熱は、内輪の外径側の部位1aの温度が900℃となるように行なった。また、焼入液である水の温度は25℃であり、噴射量は40L/分とした。焼入加工後の6206内輪の外径側と内径側の残留応力値を表1に示す。本発明の方法で焼入を行なった6206内輪では、いずれの試験片でも外径側の残留圧縮応力が大きかった。
SUJ2材は、炭素を1質量%含む高炭素軸受鋼であり、転がり軸受部品の材料としてよく用いられる材料である。転がり軸受において強度が要求される部位は、転走面であり、外径側の機械的強度が高いことが必要である。本実施例において焼入加工をした内輪では、表1に示すとおり、外径側の部位1aが内径側の部位1bと比較して残留圧縮応力が大きいため、転がり軸受部品用の加工方法として理想的であることがわかった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
高周波熱処理装置において、コイル部と、被処理物と、焼入液噴射部との位置関係を好適化することにより、高周波焼入製品の必要部位に圧縮応力を付与することができる。
1 被処理物、2 コイル部、3 焼入液噴射部。
Claims (4)
- 高周波により被処理物の表層を加熱して焼入硬化する高周波熱処理装置であって、高周波により被処理物に誘導電流を励起して加熱するコイル部と、加熱した被処理物に焼入れ液を供給して冷却する焼入液噴射部とを備え、
前記コイル部が、被処理物において圧縮応力を残留させたい部位に近づけるように配置し、
前記焼入液噴射部が、被処理物において圧縮応力を残留させたい部位から遠ざけるように配置することを特徴とする高周波熱処理装置。 - 高周波により被処理物の表層を加熱して焼入硬化する高周波熱処理方法であって、高周波により被処理物に誘導電流を励起して加熱する工程と、加熱した被処理物に焼入液を供給して冷却する工程とを備え、
前記加熱工程において、被処理物は、圧縮応力を残留させたい部位から遠ざかるにつれて温度が低くなるような温度分布を有し、
前記冷却工程において、被処理物における圧縮応力を残留させたい部位から遠ざけるように焼入液を供給することを特徴とする高周波熱処理方法。 - 前記冷却工程の後、低温焼戻をする請求項2に記載の高周波熱処理方法。
- 請求項2または3に記載の高周波熱処理方法により製造した加工製品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004267179A JP2006083411A (ja) | 2004-09-14 | 2004-09-14 | 高周波熱処理装置、高周波熱処理方法およびその方法により製造した加工製品 |
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Publications (1)
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2004
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