JP2006083074A - 血中脂質低下剤 - Google Patents

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Kazuhiro Anabuki
一廣 穴吹
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Abstract

【課題】 重篤な副作用を生じることのない、優れた血中脂質低下剤又は血中コレステロール低下剤を提供する。
【解決手段】 有効成分として、パークロロ−1,1’−ビシクロシクロペンタ−2,4−ジエンを含有する。

Description

本発明は、パークロロ−1,1'−ビシクロシクロペンタ−2,4−ジエンを含有する血中脂質低下剤、特に、血中コレステロール低下剤に関する。
次式、
Figure 2006083074
で示されるパークロロ−1,1'−ビシクロシクロペンタ−2,4−ジエン(以下、単に「本化合物」ともいう)は、公知化合物であり、ジエノクロール(Dienochlor)と呼ばれ、これまで、ダニの防御剤として知られている。
しかしながら、本化合物が、血中脂質、特に、血中コレステロールを低下させる機能を有することは、全く知られていなかった。
従って、本発明は、重篤な副作用を生じることなく、血中における脂質(特に、コレステロール、中性脂質及びリン脂質)の内、コレステロール及びリン脂質を低下させる血中脂質低下剤を提供することを目的とする。本化合物は、特に、血中コレステロールを低下させる機能を有し、優れた血中コレステロール低下剤となる。
本発明者らは、殺ダニ剤として公知の上記パークロロ−1,1'−ビシクロシクロペンタ−2,4−ジエンの作用について検討していたところ、驚くべきことに、本化合物が、動物における血中における脂質、特に血中コレステロールを低下させる作用を有することを見出した。本発明者は、この新たな知見に基づき、本発明を完成したものである。
即ち、本発明は、パークロロ−1,1'−ビシクロシクロペンタ−2,4−ジエンを有効成分として含有する血中脂質低下剤、特に、血中コレステロール低下剤(以下、合わせて「血中脂質低下剤」と言う)に関するものである。
本発明の血中脂質低下剤は、哺乳動物において、優れた血中脂質を低下させる作用を有する。そのため、本発明は、高脂血症の治療に優れるとともに、高脂血症に起因する心筋梗塞や、脳梗塞、抹消動脈閉塞、動脈硬化症等の治療、予防に有用である。
以下、本発明ついて、更に詳細に説明する。
本発明で使用される次式、
Figure 2006083074
で示されるパークロロ−1,1'−ビシクロシクロペンタ−2,4−ジエンは、公知化合物であり、例えば、米国特許第2908723号明細書や、米国特許第2934470号明細書に記載されている。
本化合物は、例えば、市場において容易に入手可能な以下の化合物II(ヘキサクロロシクロペンタジエン)を、触媒の存在下において、水素で還元的に2量化することによって、容易に調製することができる。
Figure 2006083074
上記製造方法において、触媒としては、例えば、周期律表VIII族の貴金属、例えば、ルテニウムや、パラジウム、オスミウム、ラジウム、白金、銅等の金属又はその化合物が使用される。具体的な調製方法は、例えば、上記米国特許に記載されている。
なお、本化合物は、上記の通り、ジエノクロールとして市場において容易に入手可能である。また、その精製法は、当業者には、自明である。例えば、ジエノクロールは、再結晶化法や、カラムクロマトグラフィー法で精製することによって、本化合物を高純度で得ることができる。
試験例1(血中脂質の低下効果の確認)
被検物質
ジエノクロール(純度99.5%)
試験動物
投与開始時、6カ月令のビーグル犬
1群雌雄各4例(投与開始時体重 雄8.1〜9.5Kg、雌7.2〜8.6Kg)
試験方法
1群雌雄各4例のビーグル犬に、8、40及び200mg/Kg体重で、被検物質をゼラチンカプセルに充填して、毎日1回経口投与した。対照群には、空のゼラチンカプセルを、試験動物の場合と同様に投与した。
コレステロール値及びリン脂質値の測定方法
コレステロール値は、酵素法によって算出した。
リン脂質は、酵素法によって算出した。
コレステロール値及びリン脂質値の低減率の算出方法
次式(I)のより求めた。

(1−A2/A1)×100(%) (I)
式中、A1は、対照群における平均コレステロール値又はリン脂質値であり、A2は、所定期間経過後の対応する値である。
結果
コレステロールの低下率は、以下の表1に記載の通りである。

表1

Figure 2006083074
なお、対照群の血中コレステロールの量は、155〜192 mg/dlであった。
リン脂質の低下率は、以下の表2に記載の通りである。

表2

Figure 2006083074
なお、対照群の血中リン脂質の量は、324〜377mg/dlであった。
上記表1及び2より分かるように、投与からの経時日数において、投与量に応じて、コレステロール及びリン脂質の血中濃度が大きく低下する。特に、投与量が、3mg/Kg/日を超えると、その低下効果が顕著に見られる。また、この効果は、試験動物の雌雄によって実際上特に影響を受けないことも分かる。
なお、投与試験において、特に重大な副作用や、症状は観察されなかった。例えば、投与試験期間中、尿素窒素や、血糖値は、実際上安定していた。従って、ビーグル犬としての日常の行動や動きに対して、特に大きな影響は見られなかった。
毒性について
本化合物は、300mg/Kg体重の割合でビーグル犬に経口投与しても、死亡例は認められなかった。従って、本化合物は、そのまま、又は賦形剤等とともに混合してヒトを含む哺乳動物類に対して、血中脂質低下剤若しくは血中コレステロール低下剤として作用する。
本化合物の投与は、経口、非経口のどちらでもよく、剤形としても、カプセルだけではなく、錠剤や、顆粒剤、散剤、注射剤、経皮吸収剤等の形態で行うことができる。
本化合物の投与量は、症状の程度や、年齢、体重、剤形等によって適宜変動させることができる。一般に、1日当たり、0.1〜1000mg/Kg体重、好ましくは、2〜500mg/Kg体重/日、特に好ましくは、3〜250mg/Kg体重/日である。
投与は、1回又は数回に分けて行うことができる。
本化合物の製剤化に当たっては、剤形に応じて、任意の添加剤を使用することができる。このような賦形剤としては、例えば、乳糖や、マンニット、結晶セルロース、デンプン等の賦形剤や、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロースカルシウム、低置換ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の崩壊剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、オイドラギット、シリコン樹脂等のコーティング剤などを必要に応じて適宜配合することができる。
以下において、本発明の処方例を示す。
処方例1(カプセル剤)(150mg)
(1)カプセル殻部分(ゼラチンカプセル)
(2)内包成分
本化合物 5mg
乳糖 145mg
処方例2(錠剤)
本化合物 100mg
乳糖 50mg
トウモロコシでんぷん 15mg
カルボキシルメチルセルロースカルシウム 44mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
処方例3(顆粒剤)
(処方100mg中)
本化合物 30mg
マンニット 47mg
ポリビニルピロリドンK−30 7mg
オイドラギットRL 15mg
トリアセチン 2mg
以上の通り、本発明は、重篤な副作用を生じることない、優れた血中脂質低下剤若しくは、血中コレステロール低下剤が提供される。

Claims (2)

  1. 次式、
    Figure 2006083074
    で示されるパークロロ−1,1’−ビシクロシクロペンタ−2,4−ジエンを有効成分として含有する血中脂質低下剤。
  2. 次式、
    Figure 2006083074
    で示されるパークロロ−1,1’−ビシクロシクロペンタ−2,4−ジエンを有効成分として含有する血中コレステロール低下剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007105286A1 (ja) * 2006-03-13 2007-09-20 Agro Kanesho Co., Ltd. 血中脂質低下剤

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US2934470A (en) * 1955-06-27 1960-04-26 Hooker Chemical Corp Insecticidal perchlorocarbon

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