JP2006082626A - 車両用パワー式格納シートの異物挟み込み検出方法およびその異物挟み込み検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 シート本体による異物の挟み込みを迅速に検出する。
【解決手段】 着座位置(a位置)、格納位置(b位置)の一方から他方へのシート本体20の移動時における挟み込み検出領域α1,α2を、シート本体の上昇移動範囲を含まない所定範囲としてそれぞれ予め特定化する。そして、着座位置(a位置)および格納位置(b位置)の一方から他方へのシート本体20の移動量を、モータ12の駆動に伴ったホールICからのパルス発生数により監視、検出するとともに、シート本体が対応方向での挟み込み検出領域α1,α2に突入した後、この挟み込み検出領域内でのパルスの変化量を監視し、このパルスの変化量が正常作動基準値として予め設定された所定の許容量を超えたとき、これをシート本体による異物の挟み込みとして判断し検出する。
【選択図】 図2
【解決手段】 着座位置(a位置)、格納位置(b位置)の一方から他方へのシート本体20の移動時における挟み込み検出領域α1,α2を、シート本体の上昇移動範囲を含まない所定範囲としてそれぞれ予め特定化する。そして、着座位置(a位置)および格納位置(b位置)の一方から他方へのシート本体20の移動量を、モータ12の駆動に伴ったホールICからのパルス発生数により監視、検出するとともに、シート本体が対応方向での挟み込み検出領域α1,α2に突入した後、この挟み込み検出領域内でのパルスの変化量を監視し、このパルスの変化量が正常作動基準値として予め設定された所定の許容量を超えたとき、これをシート本体による異物の挟み込みとして判断し検出する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、所定の格納形態のシート本体を、モータの動力に伴った所定の支持リンク機構の回動により着座位置、格納位置間で移動させる車両用パワー式格納シートにおける、シート本体移動時での異物の挟み込みを検出する異物挟み込み検出方法、およびその異物挟み込み検出装置に関するものである。
シートクッション上にシートバックを倒伏した格納形態のシート本体を、床体上段載置面上の着座位置から床体下段部の足下スペースに格納可能とする、いわゆる格納式シートが、自動車のリヤシート等に用いられる車両用シートの一形態として知られている。そして、たとえば特開2000−108745号公報にもあるように、一般的には、乗員等が手動によってその移動動作、つまり格納動作および復元動作を行う、いわゆる手動式として、この種の格納式シートは構成されている。
ところで、車両用シートのうちのスライドシートやリクライニングシート等のような、そのシートの一部、あるいはシート全体を可動とした、いわゆる可動式シートにおいては、モータによる自動制御化、つまりパワーシート化が、その可動式シートに対する高付加価値化のひとつとして一般的に考えられており、それは、この格納式シートにおいても例外ではない。
たとえば、図2にその形態の一例を示す。
この図2を見るとわかるように、格納式シートのパワーシート化にあたっては、シート本体20を移動可能に支持する、前後一対のリンクアームによりなる支持リンク機構30のうち、たとえば後部リンクアーム28が、モータ12の動力のもとで回動される駆動リンクとして規定される。そして、モータ12の駆動に伴ったこの後部リンクアーム28の回動、およびそれに伴った前部リンクアーム26の従動により、シート本体20を床体上段載置面32上の着座位置(a位置)と床体下段部34上の格納位置(b位置)との間で移動させるものとして、ここで例示した形態の格納式シート、いわゆるパワー式格納シート18は構成されている。
ここで、この種の格納式シートにおいては、着座位置、格納位置間でのシート本体の移動時、そのシート本体が床面から離反して移動し、各位置への到達に伴って、このシート本体が対応床面上に載置あるいは近接されるため、シート本体をモータの動力のもとで自動的に移動させることを目的とした、この格納式シートのパワーシート化にあたっては、シート本体による異物の挟み込み等を考慮したその安全対策が必要となる。
この種の安全対策の一つとして、たとえば、モータの過負荷状態をシート本体による異物の挟み込みとみなし、この過負荷状態を検出したときにモータを停止させる、あるいはモータを反転駆動する等の対処を採ることが考えられる。
そこで、この、モータの過負荷状態を検出する過負荷保護方法の一つとして、たとえば特開平4−208024号公報に開示のものが知られている。これは、モータの回転数をパルスの発生数により監視、検出し、モータの回転数がトルクの上昇に伴って所定値以下に低下したときを、モータの過負荷状態として検出する方法である。
ところで、図2を見るとわかるように、格納式シートにおける着座位置、格納位置間でのシート本体の移動範囲には、当然ながら上下方向も含まれる。そして、単純に考えても、シート本体の下降時と上昇時とではモータに掛かる負荷が大きく変動するため、正常駆動とみなすモータの回転数範囲は、大きな負荷の掛かる上昇時の負荷に基づいて選定せざるを得ない。しかしながら、床面との間で異物を挟み込む際のシート本体の移動方向は下降時であり、その際にモータに掛かる通常時の負荷は上昇時に比べて明らかに小さいため、この特開平4−208024号公報に開示の方法の単純な応用のもとでは、異物の挟み込みからその検出までに過剰な時間を要すること、つまりその検出精度が低下することが懸念される。
特開2000−108745号公報
特開平4−208024号公報
解決しようとする問題点は、公知のモータの過負荷保護方法では、パワー式格納シートに対する適応性に劣るといわざるを得ない点である。
本発明の請求項1に係る車両用パワー式格納シートの異物挟み込み検出方法においては、着座位置から格納位置へのシート本体の格納移動時における挟み込み検出領域、および格納位置から着座位置へのシート本体の復元移動時における挟み込み検出領域を、格納位置、着座位置のいずれかであるシート本体の作動終点を含む各位置付近の、シート本体の上昇移動範囲を含まない所定範囲として、それぞれ予め特定化している。そして、着座位置および格納位置の一方から他方へのシート本体の移動量を、モータの駆動に伴ってパルスの繰り返し発生されるパルス発生手段からのパルス発生数により監視、検出し、着座位置、格納位置の一方であるシート本体の移動起点からのパルス発生数のカウント数が、その移動方向での挟み込み検出領域への突入点として予め設定された設定値を超えたときに、挟み込み検出領域へのシート本体の突入を認識するとともに、シート本体が挟み込み検出領域に突入した後、この挟み込み検出領域内でのパルスの変化量を監視し、このパルスの変化量が正常作動基準値として予め設定された所定の許容量を超えたとき、これをシート本体による異物の挟み込みとして判断し検出するものとしたことを、この請求項1の異物挟み込み検出方法での最も主要な特徴としている。
また、本発明の請求項2は、移動終点となる着座位置および格納位置のいずれかへのシート本体の到達を、各位置に配されたリミットスイッチによりそれぞれ検出するとともに、このリミットスイッチからの作動信号の入力により、パルス発生手段からのパルスのカウント数をリセットするものとしたことを、その最も主要な特徴としている。
さらに、本発明の請求項3に係る車両用パワー式格納シートの異物挟み込み検出装置は、モータの駆動に伴ってパルスを繰り返し発生可能とするパルス発生手段と、このパルス発生手段からのパルスを監視し適宜処理する情報処理手段とを具備し、情報処理手段においてカウントする、パルス発生手段からのパルスの発生数により、着座位置および格納位置の一方から他方へのシート本体の移動量を検出し、情報処理手段において予め設定された設定値との比較により、予め規定された所定の挟み込み検出領域へのシート本体の突入を監視、検出するとともに、この挟み込み検出領域へのシート本体の突入後、この挟み込み検出領域内でのパルスの変化量を、正常作動基準値として予め設定された所定の許容量との比較のもとで情報処理手段において監視し、パルスの変化量がこの許容量を超えたとき、これをシート本体による異物の挟み込みと検出して、その対応信号を適宜出力可能としたことを、その最も主要な特徴としている。
また、本発明の請求項4は、着座位置および格納位置へのシート本体の到達を検出するリミットスイッチを、さらに備え、このリミットスイッチからの作動信号により、当該情報処理手段でのパルスのカウント数をリセットすることを、その最も主要な特徴としている。
本発明の請求項1に示す車両用パワー式格納シートの異物挟み込み検出方法においては、シート本体の上昇移動範囲を含まない、格納位置、着座位置各付近の所定範囲を、シート本体での異物の挟み込みを検出する挟み込み検出領域として特定化している。つまり、過大な負荷の掛かるシート本体の上昇移動範囲を、モータの過負荷状態を検出する挟み込み検出領域から除外しているため、正常作動基準値としての許容量をシート本体の下降時のみに対応したものに限定できることから、異物挟み込みの検出精度が確実に向上されるという利点がある。
そして、モータの過負荷状態を検出するパルスの数をカウントし、そのカウント数からシート本体の移動量を検出、認識するとともに、このパルスの変化量から、シート本体による異物の挟み込みを検出しているため、その構成の複雑化を伴うことなくその双方を適切に検出できるという利点も、この請求項1の発明においては得られる。
また、本発明の請求項2においては、着座位置、格納位置へのシート本体の到達によってパルスのカウント数をリセットするため、着座位置、格納位置の一方から他方へのシート本体の移動量の検出、認識の確実性および正確性がより高められるという利点がある。
そして、本発明の請求項3に示す車両用パワー式格納シートの異物挟み込み検出装置によれば、本発明の上記請求項1に示す異物挟み込み検出方法が、構成の複雑化を伴うことなく適切に遂行できるという利点がある。
さらに、本発明の請求項4においては、本発明の上記請求項2に示す異物挟み込み検出方法が、構成の複雑化を伴うことなく適切に遂行できるという利点がある。
シート本体による異物の挟み込みを迅速に検出するという目的を、構成の複雑化を伴うことなく実現可能とした。
図1は、本発明の車両用パワー式格納シートの異物挟み込み検出装置10を示す概略のブロック図であり、図示のように、この発明の異物挟み込み検出装置は、モータ12の駆動に伴ってパルスを発生する、パルス発生手段としてのホールIC14と、このホールICからのパルスの入力される、情報処理手段としてのCPU16とを備えている。
ホールIC(パルス発生手段)14は、モータの回転数を検出するための素子として一般的に使用されるものであり、通常は、モータ12の駆動軸に一体回転可能に設けられた磁極(図示しない)との組み合わせのもとで使用される。つまり、モータ12の駆動によるその回転軸の回転のもとで、ホールIC14からはその回転に応じたパルスが発生され、そのパルスは、図示のように、CPU(情報処理手段)16に入力される。
このCPU16においては、このホールIC14からのパルスの数がカウントされ、そのカウント数によりモータ12の回転量、つまりモータの動力により移動される可動部材の移動量が検出、認識される。
なお、ホールICをモータの回転数検出に用いること自体は従来からの一般的手法であり、また、それ自体はこの発明の趣旨でないため、その動作原理、およびその基本構成等に関する説明は、ここでは省略するものとする。
この発明の異物挟み込み検出装置10は、図2に示すようなパワー式格納シート18の、そのモータ12を駆動制御するための制御装置の一部として設けられる。
図2を見るとわかるように、このパワー式格納シート18においては、シートクッション22およびシートバック24の組み合わせとしてなるシート本体20が、支点間距離の異なる前後一対のリンクアーム26,28によりなる支持リンク機構30によって移動可能に支持されるとともに、この支持リンク機構のうちの、たとえば後部リンクアームが、モータ12の動力のもとで回動される駆動リンクとして規定されている。そして、モータ12の駆動に伴ったこの後部リンクアーム28の回動、およびそれに伴った前部リンクアーム26の従動により、a位置として示す、床体上段載置面32上の着座位置と、b位置として示す、その前方下部位置である床体下段面34上の足下スペースである格納位置との間を移動可能に構成されている。
このパワー式格納シート18においては、シートクッション22上にシートバック24を倒伏した形態がシート本体20の格納形態として規定されている。そして、この格納形態における、所定のスイッチ操作に伴うモータ12の駆動制御により、着座位置(a位置)から格納位置(b位置)へのシート本体20の格納、および格納位置(b位置)から着座位置(a位置)へのシート本体の復元がそれぞれ行われるものとなっている。
なお、ここで示したこのパワー式格納シート18の構成は、格納式シートのパワーシート化にあたっての一例にすぎないため、必ずしもこれに限定されるものではない。そして、ここで例示したパワー式格納シート18の構成自体はこの発明の趣旨でないため、このパワー式格納シートに対する詳細な説明はここでは省略するものとする。
ここで、図2を見るとわかるように、この構成のパワー式格納シート18においては、駆動リンクである後部リンクアーム28が、シート本体20の着座位置(a位置)に対応するa′位置と、その格納位置(b位置)に対応するb′位置との間を、モータ12の動力のもとで回動するため、この実施例においては、シート本体20の移動範囲(移動量)、およびその移動位置を、この後部リンクアーム28の位置として以下説明する。
上述したように、この発明においては、シート本体20の移動量が、ホールIC14からのパルスのカウント数によって検出される。つまり、着座位置(a位置)から格納位置(b位置)までのシート本体20の移動量およびその移動位置、ならびに格納位置(b位置)から着座位置(a位置)までのシート本体の移動量およびその移動位置が、ホールIC14からのパルスのカウント数によってそれぞれ検出されるものとなっている(図1参照)。
そして、この発明においては、このホールIC14からのパルスを、モータ12の過負荷状態の検出にも用いている。
モータ12の回転軸の回転により発生されるホールIC14からのパルスの時間的変化量は、そのパルス幅として換算できる。そこで、図3(A),(B)に示すように、そのパルス幅として換算されたパルスの変化量を、正常作動基準値として予め設定された所定の許容量βと、CPU16において比較し、その変化量がこの許容量を超えたとき、モータ12の過負荷状態、つまりシート本体20による異物の挟み込みを検出するように、この発明の異物挟み込み検出装置10は構成されている。
ところで、図2を見るとわかるように、着座位置(a位置)と格納位置(b位置)との間でのシート本体20の移動範囲内においては、その移動方向に上下方向が含まれる。そして、特にその上昇時には、シート本体20の重量に起因する多大な負荷がモータ12に作用されるため、シート本体の移動範囲全体で見ると、正常駆動時であっても、その負荷の変動幅は大きくなりやすい。
そこで、この発明においては、図2に示すように、着座位置(a位置)から格納位置(b位置)へのシート本体20の格納移動時における挟み込み検出領域α1、および格納位置(b位置)から着座位置(a位置)へのシート本体の復元移動時における挟み込み検出領域α2を、シート本体の各作動終点、つまり後部リンクアーム26のb′位置、a′位置を含む各位置付近の、シート本体の上昇移動範囲を含まない所定範囲として、それぞれ予め特定化し、その各挟み込み検出領域内でのみ、モータ12の過負荷状態、つまりはシート本体20による異物の挟み込みを検出するものとしている。
上記構成の異物挟み込み検出装置10において実行されるこの発明の異物挟み込み検出方法を、図4のフローチャートをもとに、パワー式格納シート18の動作と併せて、以下説明する。
たとえば、図1に参照符号36として示すイグニションスイッチのON操作等のもとで、この異物挟み込み検出方法は実行される。そして、図4に示すように、このイグニションスイッチ36による作動開始指令(Start)の発生に伴って、まず、CPU16のイニシャライズ、つまり初期化が行われ(102)、次に、図1に示す操作スイッチ38の操作状況が判断される(104)(106)。
この操作スイッチ38は、たとえば、シート本体20の格納時に操作する格納スイッチと、その復元時に操作する復元スイッチとからなり、CPU16に接続されたこの各操作スイッチからの信号に基づく、当該CPUによるリレー40の作動選択によって、対応方向へのモータ12の駆動、ひいてはこのモータの動力による対応方向へのシート本体20の移動が行われる(図1、図2参照)。
ここでは、まず、シート本体20の着座位置(a位置)において格納スイッチが操作された例を説明する。
ここで、図2を見るとわかるように、このパワー式格納シート18においては、着座位置(a位置)でのシート本体20が、床体上段載置面32に対し、たとえばロック手段42でのロックのもとで固定的に保持されている。そして、このロック手段42のロック解除は、シート本体20の後方に延出された解除ストラップ44の牽引操作により行われるとともに、たとえば、この解除ストラップの牽引操作に連動してそのON操作を可能に、操作スイッチ38の格納スイッチは配設されている。
たとえば、シート本体20の着座位置(a位置)における解除ストラップ44の牽引操作のもとで、格納スイッチがON操作されると、図4のステップ(104)においてYesと判断されて、まず、格納移動方向での異物挟み込み領域α1への突入点C1に対応する設定値が、CPU16において認識される(108)(図2参照)。そして、設定値(C1)の認識後、CPU16による駆動制御のもとで、モータ12が、たとえば正転駆動されるとともに、このモータの回転駆動により発生されるホールIC14からのパルス数のカウントが、それに伴って開始される(110)。
次に、シート本体20が挟み込み領域内にあるか否かが判断される(112)。
ここでは、格納移動方向での挟み込み検出領域α1が対象となるため、その突入点である設定値(C1)に対するパルスのカウント数の比較のもとで、そのシート本体20の移動量および移動位置が検出、認識される(図2参照)。そして、パルスのカウント数がその設定値(C1)を超えるまで、図4のステップ(112)においてはNoと判断され、設定値(C1)に対するパルスのカウント数の比較のもとで、シート本体20の移動量が対応する挟み込み検出領域α1に突入したと判断されると、このステップ(112)でのYesとの判断のもとで、次に、その時点でのパルスの変化量が所定の演算のもとで対応するパルス幅に換算されるとともに(114)、このパルス幅が、正常作動基準値として予め設定された所定の許容量βとCPU16において比較される(116)。
図3(A)に示すような、パルス幅が許容量βを超えないモータ12の正常駆動であれば、図4のステップ(116)においてNoと判断されて、次に対応位置、つまり格納位置(b位置)でリミットスイッチ46がOFF動作したか否かが判断される(118)(図1参照)。
このリミットスイッチ46は、格納位置(b位置)へのシート本体20の到達、および着座位置(a位置)へのシート本体の到達を個別に検出可能に、各位置にそれぞれ配設され、その、たとえばOFF動作によってモータ12への供給電流を遮断すべく、図1に示すようにリレー40に接続される。
たとえば、図3(A)に示すように、パルス幅が許容量βを超えないモータ12の正常駆動のまま、シート本体20が格納位置(b位置)に到達し、その到達に伴って対応するリミットスイッチ46がOFFになると、図4のステップ(118)でのYesとの判断のもとで、モータ12が停止されるとともに、CPU16のカウンタがリセットされる(120)。
なお、図3(A)に示すように、ホールIC14からのパルス幅が許容量βと比較されるのは挟み込み検出領域α1内のみであるため、非検出領域として示す領域、つまり挟み込み検出領域α1への到達前においては、ホールICからのパルス幅が許容量βを超えたとしても、異物の挟み込みと判断されず、よってモータ12の停止も生じない。
このような、挟み込み検出領域α1への到達前におけるモータ12の過負荷に対しては、たとえば、モータの過電流検出等による保護が好ましい。しかしながら、挟み込み検出領域α1への到達前におけるモータ12の保護はこの発明の趣旨でなく、また、その手法としては従来から用いられている一般的な検出手法が利用できるため、この挟み込み検出領域α1への到達前におけるモータの保護に対する詳細な説明は、ここでは省略する。
そして、図3(B)に示すように、挟み込み検出領域α1内において、ホールIC14からのパルス幅が許容量βを越えると、異物の挟み込みの検出として、図4のステップ(116)においてYesと判断されて、格納位置(b位置)へのシート本体20の到達前であっても、モータ12は直ちに停止される(122)。
このように、この発明の異物挟み込み検出方法においては、モータ12の正常駆動時での負荷変動の少ない、シート本体20の下降を主とした挟み込み検出領域α1のみを、許容量βに対するパルス幅の比較対象範囲として特定化しているため、許容量βの幅を十分に狭く設定することが可能となる。つまり、許容量βに対するパルス幅の比較のもとで、そのモータ12の過負荷状態、ひいてはシート本体20による異物の挟み込みが迅速に検出、判断できるため、その安全性が確実に向上されるとともに、その検出精度が確実に向上される。
上記においては、シート本体20の格納移動時の動作について説明したが、復元移動時においても、それは同様である。
図2に示すシート本体20の格納位置(b位置)において、たとえば床体上段載置面32に配された操作スイッチ38の復元スイッチを操作すると、図4のステップ(104)においてNo、およびステップ(106)においてYesと順次判断され、まず、復元移動方向での異物挟み込み領域α2への突入点C2に対応する設定値が、CPU16において認識される(124)(図2参照)。そして、設定値(C2)の認識後、CPU16による駆動制御のもとで、モータ12が、たとえば逆転駆動されるとともに、このモータの回転駆動により発生されるホールIC14からのパルス数のカウントが、それに伴って開始される(126)。
その後、ステップ(112)において、挟み込み検出領域α2内か否かが判断され、ここでYesと判断されれば、ステップ(116)において異物の挟み込みか否かが判断され、図3(B)に示すように、挟み込み検出領域α2内において、ホールIC14からのパルス幅が許容量βを越えると、異物の挟み込みの検出として図4のステップ(116)においてYesと判断され、着座位置(a位置)へのシート本体20の到達前であっても、モータ12は直ちに停止される(122)。
また、モータ12の正常駆動のまま、着座位置(a位置)へのシート本体20の到達を対応位置のリミットスイッチ46が検出すれば、図4のステップ(118)でのYesとの判断のもとでモータ12の停止、およびCPU16のカウンタのリセットがそれぞれ行われる(120)。
ここで、この発明においては、格納位置(b位置)および着座位置(a位置)へのシート本体20の到達に伴う各リミットスイッチ46のOFF動作によって、ホールIC14からのパルス数をカウントするCPU16のカウンタをリセットしている。つまり、着座位置(a位置)、格納位置(b位置)の一方から他方へのシート本体20の移動時、CPU16のカウンタは常に0からスタートされるため、カウント数の累積誤差等を伴わない正確なカウント、ひいてはシート本体の移動位置の正確な検出、認識が容易に可能となる。
上記のように、この発明の車両用パワー式格納シートの異物挟み込み検出方法によれば、モータ12の過負荷状態の検出範囲からシート本体20の上昇移動範囲を除外しているため、異物挟み込みの検出精度が確実に向上される。
そして、モータ12の過負荷状態を検出するパルスの数をカウントし、そのカウント数からシート本体20の移動量を検出、認識するとともに、このパルスの変化量から、モータ12の過負荷状態、ひいてはシート本体による異物の挟み込みを検出しているため、その構成の複雑化を伴うこともない。
さらに、格納位置(b位置)および着座位置(a位置)へのシート本体20の到達に伴って、CPU16のカウンタをリセットするため、カウント数の累積誤差等を伴わない正確なカウント、ひいてはシート本体の移動位置の正確な検出、認識が容易に可能となる。
そして、この発明の車両用パワー式格納シートの異物挟み込み検出装置10によれば、上記の異物挟み込み検出方法が、構成の複雑化を伴うことなく適切に遂行可能となる。
ここで、上述したこの発明の実施例においては、モータ12の回転駆動に伴ってパルスを発生するパルス発生手段としてホールIC14を例示しているが、対応するパルスを発生すれば足りるため、このホールICに限定されず、これ以外の部材を、パルス発生手段として利用してもよい。
また、上記実施例においては、シート本体20での異物の挟み込みの検出後、モータ12を停止するものとして具体化しているが、これに限定されず、たとえば、異物の挟み込みを検出した後に、直ちにモータを反転駆動する構成としてもよい。
上述した実施例は、この発明を説明するためのものであり、この発明を何等限定するものでなく、この発明の技術範囲内で変形、改造等の施されたものも全てこの発明に包含されることはいうまでもない。
一般的には、1ボックス車やRV車等の自動車に搭載されるパワー式格納シートがその対象となるが、格納式シートであれば足りるため、これに限定されず、たとえば他の車両の格納式シートに、この発明を応用してもよい。
10 車両用パワー式格納シートの異物挟み込み検出装置
12 モータ
14 ホールIC(パルス発生手段)
16 CPU(情報処理手段)
18 パワー式格納シート
20 シート本体
12 モータ
14 ホールIC(パルス発生手段)
16 CPU(情報処理手段)
18 パワー式格納シート
20 シート本体
Claims (4)
- シートクッション上にシートバックを倒伏した格納形態のシート本体を、モータの動力による、所定の支持リンク機構の回動を伴ったその移動のもとで、床体上段載置面上の着座位置から、その前方下部位置である床体下段面上の足下スペースに格納可能とする車両用パワー式格納シートであり、
着座位置から格納位置へのシート本体の格納移動時における挟み込み検出領域、および格納位置から着座位置へのシート本体の復元移動時における挟み込み検出領域を、格納位置、着座位置のいずれかであるシート本体の作動終点を含む各位置付近の、シート本体の上昇移動範囲を含まない所定範囲として、それぞれ予め特定化し、
着座位置および格納位置の一方から他方へのシート本体の移動量を、上記モータの駆動に伴ってパルスの繰り返し発生されるパルス発生手段からのパルス発生数により監視、検出し、着座位置、格納位置の一方であるシート本体の移動起点からのパルス発生数のカウント数が、その移動方向での挟み込み検出領域への突入点として予め設定された設定値を超えたときに、挟み込み検出領域へのシート本体の突入を認識するとともに、
シート本体が上記挟み込み検出領域に突入した後、この挟み込み検出領域内での上記パルスの変化量を監視し、このパルスの変化量が正常作動基準値として予め設定された所定の許容量を超えたとき、これをシート本体による異物の挟み込みとして判断し検出する車両用パワー式格納シートの異物挟み込み検出方法。 - 前記移動終点となる着座位置および格納位置のいずれかへのシート本体の到達を、各位置に配されたリミットスイッチによりそれぞれ検出するとともに、このリミットスイッチの作動信号を検出したとき、パルス発生手段からの前記パルスのカウント数をリセットする請求項1記載の車両用パワー式格納シートの異物挟み込み検出方法。
- シートクッション上にシートバックを倒伏した格納形態のシート本体を、モータの駆動による、所定の支持リンク機構の回動を伴ったその移動のもとで、床体上段載置面上の着座位置から、その前方下部位置である床体下段面上の足下スペースに格納可能とする車両用パワー式格納シートであり、
上記モータの駆動に伴ってパルスを繰り返し発生可能とするパルス発生手段と;
このパルス発生手段からのパルスを監視し適宜処理する情報処理手段と;
を具備し、
情報処理手段においてカウントする、パルス発生手段からのパルスの発生数により、着座位置および格納位置の一方から他方へのシート本体の移動量を検出し、情報処理手段において予め設定された設定値との比較により、予め規定された所定の挟み込み検出領域へのシート本体の突入を監視、検出するとともに、
この挟み込み検出領域へのシート本体の突入後、この挟み込み検出領域内でのパルスのパルス変化量を、正常作動基準値として予め設定された所定の許容量との比較のもとで上記情報処理手段において監視し、パルス変化量がこの許容量を超えたとき、これをシート本体による異物の挟み込みとして検出し、その対応信号を適宜出力可能とする車両用パワー式格納シートの異物挟み込み検出装置。 - 着座位置および格納位置へのシート本体の到達を検出するリミットスイッチをさらに備え、
このリミットスイッチからの作動信号を情報処理手段が検出したとき、この情報処理手段においてパルスのカウント数をリセットする請求項3記載の車両用パワー式格納シートの異物挟み込み検出装置。
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2004
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