JP2006078745A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 離型性を向上させるためのワックスを内包するトナーを用いてトナー画像を形成するものとし、画像の光沢ムラを低減して高光沢の良好な画像を得る。
【解決手段】 トナーとして、樹脂バインダーと、色材と、離型性を向上させるワックスとを含むものを用い、記録シート上にトナー像を形成する。これを定着装置15で加熱・加圧して定着する。トナー像が定着された記録シートが装置外に排出されるシート排出口20に、これを閉鎖するように遮蔽部材21を設ける。この遮蔽部材は開閉が可能となっており、トナー像が定着された記録シートが排出される時のみに開放される。シート排出口が閉鎖されることにより定着装置の加熱源から供給される熱が定着装置の下流側に滞留し、搬送ロール16,17を加熱する。搬送ロールが加熱されていることにより、トナー像は搬送ロールと接触しても急冷されず、接触部が顕著に高光沢となる光沢ムラの発生が抑制される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、静電電位の差による潜像にトナーを選択的に付着させてトナー像を形成し、これを記録シートに転写した後、加熱及び加圧して定着画像とする画像形成装置に関するものである。
粉状のトナーを用いる画像形成装置は、高精細な画像を形成することができるようになり、写真に近い画像を出力することが可能となっている。このように高精細な画像では、光沢(グロス)についても要求が高くなり、高光沢の画像が要求されることが多い。このため、記録シートとして、表面に光沢剤の被覆層が形成されたいわゆるコート紙が使用され、これにトナー像を転写した後、定着装置でトナー像を充分に加熱して光沢の高いトナー像を形成することが行われている。
しかし、このように高光沢の画像を形成すると、光沢が不均等となる部分つまり光沢のムラが生じやすく、画像の品質を劣化させることがある。光沢ムラの代表的なものとして、いわゆるロールマークがある。これは、図8に示すように、定着装置101で加熱及び加圧された記録シートP上のトナー像が、充分に冷却されていない状態で記録シートを搬送するためのロール対102に挟み込まれ、ロールの周面がトナー像に接触することによって生じるものである。このようにして生じるロールマーク103は、光沢を低下させるものが多い。
このようなロールマークを低減する技術は、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されている。
特許文献1に記載の装置は、定着装置を通過した記録シートに冷却用エアを吹き付け、記録シートが定着装置の下流側に設けられた搬送ロールに接触するまでにトナー像の温度を低下させようとするものである。
また、特許文献2に記載の画像形成装置では、定着装置の下流側でトナーが柔らかい状態にある領域に、この定着済みのトナー画像に加圧接触して平滑にする均し手段が設けられている。これにより、排紙ロールと接触してロールマークが形成されても、その後に均し手段でトナー像の表面を平滑にならし、ロールマークを消去しようとするものである。また、排紙ロールより上流側に均し手段を設け、トナー像の表面を平滑にするとともに、トナーのガラス転移温度以下に冷却された状態で排紙ロールと接触させて、ロールマークの発生を防ぐことも提案されている。
特開2003―21978号公報 特開2003―195663号公報
近年、写真や印刷に近い高光沢のカラー画像を実現するために、ワックスを内包した溶融性の良好なトナーを用いることが提案されている。例えば、このようなトナーをコート紙上に転写し、定着速度を遅くして充分に加熱した状態で定着を行うことによって高光沢の画像を得ることができる。そして、トナーが定着装置内で加熱ロール又は加熱ベルトと接触して高温となっている状態でも、ワックスによって加熱ロール等との離型性が確保される。
しかしながら、上記のように離型性を向上させるためにワックスを含むトナーを用いると、従来のトナーを用いた場合では生じない顕著な光沢ムラが発生することがある。つまり、図8に示すように、定着装置によって加熱及び加圧されてトナー像が定着された記録シートが、充分に冷却されるまでに記録シートの搬送ロールと接触すると、接触した部分が高光沢となって光沢ムラを生じる。この光沢ムラは、特許文献1に記載されているような、通常のトナーを用いた画像で光沢が低下するロールマークとは、発生のメカニズムが異なるものであり、光沢が低下するロールマークより目立ち易く、顕著な光沢ムラとなる。
この光沢ムラも、トナー像及び記録シートが充分に冷却されるまで、搬送ロール等を接触させないようにすると生じないことは分かっているが、高光沢の画像を得るためにコート紙のような厚い記録シートを使用する場合には冷却速度が遅く、搬送ロールに接触するまでに充分に冷却するのが難しい場合が生じる。また、充分な冷却機能を有する装置は、小型化された画像形成装置内に配置することは難しい。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、離型性を向上させるためのワックスを内包するトナーを用いたトナー画像の光沢ムラを低減し、高光沢の良好な画像を得ることである。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、 静電電位の差による潜像に粉状のトナーを選択的に付着させてトナー像を形成する像形成手段と、 前記トナー像を直接に記録シートに、又は中間転写体を介して記録シートに転写する転写手段と、 前記記録シート上に転写された前記トナー像を加熱及び加圧して該記録シート上に定着する定着装置と、 前記トナー像が定着された記録シートに接触して、該記録シートを搬送するシート搬送部材とを有する画像形成装置であって、 前記トナーは、樹脂バインダーと、色材と、離型性を向上させるワックスとを含むものであり、 前記シート搬送部材によって搬送された記録シートが該画像形成装置のハウジング外に排出されるシート排出口に、該シート排出口から暖められた空気が流出するのを抑制する遮蔽部材を備える画像形成装置を提供する。
トナーに含まれるワックスは、溶融した状態から急冷されて融点以下にまで温度が下降するとワックスが結晶化して高光沢になることが、本願発明を完成する過程において明らかとなった。本発明は、この事実に基づいてなされたものであり、定着装置によって加熱加圧され、ワックスが溶融している状態のトナー像と接触するシート搬送部材の温度を高く維持しておき、トナー像と接触してもワックスの急冷が生じないようにして、シート搬送部材との接触部分のみが高光沢となるのを防止するものである。
上記画像形成装置では、定着装置は、トナー像を加熱加圧するための加熱源を備えており、この熱が周辺部に放出されている。この熱は、定着装置の下流側にあるシート排出口に遮蔽部材が設けられていることによって、画像形成装置外に放出され難くなっており、定着装置の周辺及びその下流側に滞留してシート搬送部材の温度を上昇させる。つまり、画像形成装置内の空気の換気量が著しく減少し、これにともなって熱の機外への流出が抑制されて、シート搬送部材を加熱する。シート搬送部材のトナー像と接触する部分の温度がワックスの融点に近くなると、トナー像と接触したときにワックスの急冷が起こらなくなり、シート搬送部材が接触した部分が顕著に高光沢となるのが抑制される。これにより、トナー像の光沢ムラが防止される。
なお、上記シート搬送部材は、一対のロール状部材が互いに圧接された搬送ロール、周回移動する無端状ベルト、記録シートの端部を把持して搬送するグリッパ等を含むものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、 前記遮蔽部材は、前記シート排出口の開閉が可能となるように設けられ、前記記録シートの排出時に該シート排出口を開放するように駆動されるものとする。
この画像形成装置では、シート排出口が遮蔽部材によって閉鎖され、機内空気の排出をほとんど無くすことができる。したがって、有効にシート搬送部材の温度を上昇させることができ、トナー像の光沢ムラを低減することができる。そして、トナー像を定着した記録シートが搬送されてきた時にのみ、遮蔽部材を開放して記録シートを機外へ送り出すことができる。
なお、上記遮蔽部材は、断熱性が良好な部材を用いるのが望ましく、これによって、熱の機外への散逸を低減することができる。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、 前記遮蔽部材は、柔軟に変形する部材であって、前記シート排出口を塞ぐように設けられ、 前記シート搬送部材によって搬送される記録シートが突き当てられることにより、変形を生じて該記録シートを排出するものとする。
この画像形成装置では、シート排出口が柔軟な部材によって遮蔽されており、記録シートが搬送されて来ないときには、シート排出口のほぼ全域を遮蔽して暖められた空気の流出を防止する。これによって有効にシート搬送部材の温度が上昇する。また、記録シートが搬送されてきたときには、記録シートを搬送する力によって遮蔽部材を開放し、排出することができるので、遮蔽部材が開放されている時間を最小限に止めることができ、機内の暖められた空気の流出が抑制される。
請求項4に係る発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、 前記シート搬送部材の前記記録シートと接触する部分の温度が、前記定着装置が有する加熱手段から供給される熱で、前記トナーに含まれるワックスの融点より40°低く設定された基準温度以上に上昇するように、前記定着装置及び前記シート搬送部材が配置され、前記遮蔽部材の断熱性能が設定されているものとする。
定着装置によって暖められた空気は上昇し、画像形成装置内で対流を生じる。このため、機内で温度差が生じ、定着装置の位置及びシート搬送部材の位置によってシート搬送部材の温度上昇の程度が変化することになる。また、定着装置の下流側に設けられるシート搬送部材は、シート排出口の近くに設けられるので上記遮蔽部材の断熱性能にも影響される。本請求項に係る画像形成装置は、これらの条件が適切に設定され、定着装置から供給される熱でシート搬送部材の温度が、ワックスの融点より40℃低く設定された基準温度以上にまで加熱されるものとなっている。これにより、トナー像のワックスは融点以下にまで急冷されることはなく、接触部分が顕著に高光沢となるのを有効に抑制することができる。
請求項5に係る発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、 前記定着装置が予備加熱されている状態で、該シート搬送部材の前記記録シートと接触する部分の温度が、前記トナーに含まれるワックスの融点より40°低く設定された基準温度以上に維持されるように、前記定着装置及び前記シート搬送部材が配置され、前記遮蔽部材の断熱性能が設定されているものとする。
一般に定着装置は、トナー像と接触して加熱する加熱部材が定着を行うのに適した温度まで加熱するのに多少の時間がかかる。このため、トナー像の定着を行わないときにも所定の温度まで加熱された待機状態とするように制御される。このとき、定着装置の加熱源によってシート搬送部材がワックスの融点より40℃低い基準温度以上に加熱されていると、待機状態からトナー像の形成を開始した直後から、トナー像の光沢ムラを有効に防止することができる。
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の画像形成装置において、 前記定着装置、前記シート搬送部材及びこれらの間のシート搬送路を囲むように断熱層が形成されているものとする。
この画像形成装置では、定着装置の加熱源で加熱された空気が、この定着装置の周辺及びシート搬送部材が設けられた位置の周辺に滞留し、この領域から、熱の散逸が抑制される。したがって、シート搬送部材を効率よく加熱し、トナー像と接触しても高光沢化を生じない温度に加熱することができる。
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の画像形成装置において、 前記シート搬送部材の温度を調整するためのファンを有するものとする。
この画像形成装置では、定着装置の加熱源によってシート搬送部材及びその周辺部が加熱され、高温となり過ぎる場合には冷却ファンによって強制的に高温の空気を機外に排出することができる。これにより、定着装置の周辺及びシート搬送部材の温度を適切に調整することが可能となる。
以上説明したように、本願発明に係る画像形成装置では、定着装置によって高温となった空気がシート排出口から機外に流出せず、定着装置の下流側にあるシート搬送部材の周辺に滞留する。これによりシート搬送部材の温度が上昇し、定着後の高温状態にあるトナー像と接触しても、トナー像をワックスの融点以下に急冷することがなくなり、シート搬送部材との接触部分が顕著に高光沢となる光沢ムラの発生を抑制することができる。
以下、本願発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本願に係る発明の一実施形態である画像形成装置を示す概略構成図である。
この画像形成装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する4つの画像形成ユニット10a、10b、10c、10dを備えており、これらの画像形成ユニット10のそれぞれと対向するように無端ベルト状の中間転写体11が支持され、周面が周回駆動されるものとなっている。画像形成ユニットが中間転写体11と対向する位置の下流側には、転写ロール12が中間転写体11と対向するように配置されており、この2次転写部にはシートトレイ13から搬送路14を経て記録シートが送り込まれる。記録シートの搬送経路における2次転写部の下流側には、トナー像を加熱・加圧して記録シート上にトナー像を圧着する定着装置15が設けられ、さらに下流側には、トナー像が定着された記録シートを搬送する搬送ロール16,17が設けられている。そして、装置のハウジング18の外部に、トナー像が定着された記録シートを収容する排紙トレイ19が形成されている。記録シートがハウジング内から排紙トレイ19へと送り出させるシート排出口20には遮蔽部材21が設けられており、記録シートが送られてくるタイミングに合わせて開閉されるものとなっている。
上記画像形成ユニット10a、10b、10c、10dのそれぞれは、表面に静電潜像が形成される感光体ドラム1(像担持体)を有しており、各感光体ドラム1の周囲に、該感光体ドラムの表面をほぼ一様に帯電する帯電装置2と、感光体ドラム上に形成された潜像にトナーを選択的に転移させてトナー像を形成する現像装置3と、感光体ドラム1上のトナー像を中間転写体11上に一次転写する転写装置4と、転写後の感光体ドラム1に残留したトナーを回収するクリーニング装置5とを備えている。そして、一様に帯電された感光体ドラム1のそれぞれに、画像信号に基づく像光を照射して静電潜像を書き込む露光装置6が設けられている。
上記帯電装置2は、ステンレス製の円筒状芯金に中抵抗のゴムを被覆したロール状の部材を備えており、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加して感光体ドラム1の表面を所望の電圧に帯電するものである。この帯電装置2に印加される電圧の直流成分Vhは−600[V]とし、重畳する交流のピークツーピーク値Vbppは1400[V]となっている。
上記露光装置6は、画像信号に基づいて点滅するレーザー光を発生し、これをポリゴンミラーによってそれぞれの感光体ドラム1の主走査方向(軸線方向)にスキャンするものである。これによりそれぞれの感光体ドラム1の表面に各色の画像に相当する静電潜像が形成される。
現像装置4には現像剤としてトナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤が使用されており、現像ロールに磁気的に吸着されて搬送される。そして、現像ロール上で規制ブレードにより適切な厚さの層とされ、感光体ドラム1との対向位置へと供給される。現像ロールにはトナーを感光体ドラム1上の静電潜像に転移させるために現像バイアス電圧Vd=−500[V]が印加されている。
トナーは主に磁性キャリアとの摩擦により負極性に帯電されるものであり、色材とバインダ樹脂とパラフィンワックスとを含むものである。バインダ樹脂の融点は約250℃、ガラス転移温度は約100℃となっており、パラフィンワックスの融点は約90℃となっている。
感光体ドラム1は、金属からなる円筒状部材の周面に有機感光体層を形成したものであり、金属部分にバイアス電圧Vlとして−200[V]が印加されている。
上記画像形成ユニット10a、10b、10c、10dと対向するように配置される中間転写体11は、厚さが10〜300μm程度の樹脂フイルムからなるものであり、ポリイミドフィルム等が用いられる。また、トナー像を感光体ドラム1から中間転写体11へ静電的に転写するときに、画像の乱れが生じないように上記樹脂フィルムにはカーボンブラック等の導電性材料の粉体を混入し、体積抵抗率を1010Ωcm程度に調整している。
上記中間転写体11の内側には、駆動ロール22と、対向ロール23とが配置され、中間転写体11はこれらに張架されて図中に示す矢印Aの方向に周回移動するものとなっている。
上記転写ロール12は、上記対向ロール22と対向する位置に設けられ、中間転写体11を介して対向ロール22に押圧されている。この転写ロール12は、金属の芯材に導電性のゴム材で外周部を形成してロール状としたものであり、対向ロール23との間に転写用のバイアス電圧が印加されるものである。
上記定着装置15は、加熱源を内蔵した加熱ロール15aと、この加熱ロール15aに圧接される加圧ロール15bとを備えており、これらが平行に配置されて互いに圧接されるニップ部を形成している。トナー像が転写された記録シートは、上記ニップ部に送り込まれ、回転駆動される加熱ロール15aと加圧ロール15bとの間で加熱されるとともに加圧され、溶融したトナーが記録シート上に圧着されるものとなっている。
上記加熱ロール15aは、金属製の芯金の周面上に耐熱性ゴム等の弾性体層が形成され、その表面に離型層が形成されたものであり、加熱源としてハロゲンヒーターを内蔵している。加圧ロール15bは、金属製の芯金に表面離型層を被覆したものである。
上記定着装置15の下流側に設けられた搬送ロール16,17は、記録シートの搬送路の両側に対向するように設けられた一対のロール部材からなり、それぞれは金属製のシャフトに幅の小さい合成樹脂製の円筒体が間隔をあけて複数が固着されたものである。これらのロール部材は、平行に配置されて互いに周面が圧接されており、一方が回転駆動されることによって記録シートを挟み込み、搬送するものとなっている。
上記遮蔽部材21は、ハウジング18に設けられたシート排出口20の内側にあって、開閉機構によって駆動されるものとなっている。この開閉機構は、図2に示すように、遮蔽部材21が摺動するガイドレール31と、上記遮蔽部材21に連結されたワイヤ32と、このワイヤ32が掛け回される二つのプーリー33,34と、上記プーリーの一つを回転駆動するモータ35とを備えている。
上記遮蔽部材21は、熱伝導率の高い合成樹脂で形成されており、シート排出口20に対応して横方向に長い矩形板で、シート排出口20よりやや寸法が大きくなっている。また、上記ガイドレール31は、遮蔽部材21の両短辺が係合されるように一対が設けられ、遮蔽部材21を上下方向(短辺方向)に摺動させるものとなっている。そして、上記ワイヤ32は、遮蔽部材21の短辺方向の両端に接合されてループ状となっており、二つのプーリー33,34によって張架されている。したがって、モータ35によってプーリー34が回転駆動されると、遮蔽部材21がガイドレール31に沿って移動し、シート排出口20を閉鎖する位置と開放する位置との間で往復動が可能となっている。
次に、上記画像形成装置の動作について説明する。
中間転写体11に対向して設けられた4つの画像形成ユニット10a、10b、10c、10dで、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、黒のトナー像が形成される。トナー像の形成は次のような工程により行われる。
感光体ドラム1がそれぞれ帯電装置2によりほぼ一様に帯電され、露光装置6から画像信号に応じてオンオフされるレーザー光が照射される。これにより光照射された位置の電荷が減衰し、感光体ドラム1上に静電電位の差による潜像が形成される。各感光体ドラム1上の静電潜像は、現像装置3との対向位置においてトナーの転移によって現像され、トナー像が感光体ドラム1上に形成される。
形成された各色トナー像は、転写装置4により中間転写体11上へ重ね合わせて転写される。これにより、中間転写体11上に複数色のトナー像が重ね合わされたカラー画像が形成される。中間転写体11上に形成された複数色のトナー像は、中間転写体11が転写ロール12と対向する位置で、シートトレイ13から搬送された記録シート上に転写され、定着装置15へ送られる。定着装置の加熱ロール15aは、トナー像を溶融するのに充分な温度に加熱されており、この加熱ロール15aと加圧ロール15bとの間に記録シートが挟み込まれ、トナー像は溶融されて記録シート上に圧着される。
定着装置15を通過した記録シートは、下流側の搬送ロール16,17に挟み込まれて搬送される。このとき、シート排出口20を閉鎖していた遮蔽部材21がモータ35の駆動により開放され、記録シートはシート排出口20から排紙トレイ19へと排出される。
上記定着装置15から排紙トレイ19へと排出される過程で、記録シートは搬送ロール16、17と接触することになるが、記録シートが搬送されてくるまでは、遮蔽部材21が閉鎖されており、搬送ロール16,17が暖められた状態となっているので、搬送ロール16,17との接触部分が顕著に高光沢となることはない。つまり、シート排出口20が閉鎖されていることにより定着装置15の加熱源から供給される熱が定着装置15の上方にある搬送ロール16,17の周辺に滞留して、搬送ロール16,17を加熱している。そして、搬送ロール16,17の記録シートと接触する部分の温度が、高くなっていると、搬送ロール16,17との接触部分でトナー像の急冷が生じにくくなり、接触部分が顕著に高光沢となる光沢ムラの発生が抑制される。特に、搬送ロール16,17の接触部分が、トナーに含まれるワックスの融点より40℃低い基準温度以上となっていると、ワックスが融点以上の温度から融点以下に急冷されることがなくなり、接触部分が高光沢となる光沢ムラを有効に防止することができる。
図3は、本願発明に係る画像形成装置の他の実施形態を示す概略構成図である。
この画像形成装置は、図1に示す画像形成装置に、定着装置15及び搬送ロール16,17を囲むように設けられた断熱材41と、この断熱材で囲まれた範囲から暖められた空気を排出するファン42とを付加したものである。
上記断熱材41は、合成樹脂を発泡して硬化させた材料やグラスウール等の熱伝導率の小さい材料を用いることができる。このような断熱材41で、定着装置15と搬送ロール16,17とを囲むことにより、定着装置15の加熱源から供給される熱の散逸を防ぎ、効率よく搬送ロール16,17を加熱することができる。
また、上記ファン42は、モータ等の駆動手段によって回転駆動され、上記断熱材41で囲まれた範囲から暖められた空気を排出するものとなっている。断熱材で囲まれた範囲内には温度センサ(図示しない)が設けられており、上記ファン42は検知温度が過度に上昇した場合に駆動し、定着装置及び搬送ロールの温度を調整するものとなっている。
図4は、請求項3に係る発明の一実施形態である画像形成装置の概略構成図である。
この画像形成装置は、図1示す画像形成装置における、摺動してシート排出口を開閉する遮蔽部材21に代えて、シート排出口の外側に設けられた柔軟なシート状の遮蔽部材51を備えている。
この画像形成装置のその他の構成は、図1に示す画像形成装置と同じである。
上記遮蔽部材51は、不織布からなるものであり、図5及び図6に示すように、ハウジング18に設けられたシート排出口20を外側から閉鎖するもので、上端縁付近がシート排出口20の上部に貼着されている。そして、下部は下方に垂下されてシート排出口20を覆うようになっている。したがって、記録シートPが搬送されてきたときには、記録シートPの先端がこの遮蔽部材51に突き当てられ、図6に示すように遮蔽部材51を外側に変形させて記録シートPを排紙トレイ19へ排出するようになっている。
この画像形成装置では、記録シートが排出されないときには遮蔽部材51によってシート排出口20が閉鎖されており、定着装置15の加熱源から供給される熱が搬送ロール16,17付近に滞留して、搬送ロール16,17を暖めることになる。したがって、図1に示す画像形成装置と同様に、搬送ロール16,17と接触した部分が顕著に高光沢となる光沢ムラの発生を有効に抑制することができる。
また、上記遮蔽部材51は、記録シートのサイズに応じて記録シートが通過する部分のみが変形するように上下方向に切り込み51aを設けておくのが望ましい。これは、図7に示すように遮蔽部材51の下部を上下方向の切断線で切り別けたものであり、図7(a)に示すように使用する記録シートのサイズに対応して、記録シートの側縁の位置に切り込み51aを設けるものであってもよいし、図7(b)に示すように、所定の間隔で多数の切り込み51aを幅方向の全域に設けるものであってもよい。
このように遮蔽部材に切り込み51aを設けることによって、小さいサイズの記録シートを用いたときに、記録シートの幅に対応した部分のみを押し上げるように変形させ、他の部分は閉鎖した状態のまま維持できるので、暖められた空気の流出が低減され、搬送ロールの加熱の効率が向上する。また、記録シートを突き当てて遮蔽部材51を押し上げる力が小さくなり、薄いシートを用いたときにも遮蔽部材51を確実に変形させて押し上げることができる。したがって、遮蔽部材の剛性で記録シートが遮蔽部材を押し上げることができず、紙つまりとなるのを防止することができる。
本願に係る発明の一実施形態である画像形成装置を示す概略構成図である。 図1に示す画像形成装置で用いられる遮蔽部材及びこの開閉機構の概略図である。 請求項6又は請求項7に係る発明の実施形態である画像形成装置の概略構成図である。 請求項3に係る発明の一実施形態である画像形成装置の概略構成図である。 図4に示す画像形成装置の外観の概略斜視図である。 図4に示す画像形成装置で用いられる遮蔽部材の概略断面図である。 図4に示す画像形成装置で用いられる遮蔽部材の正面図である。 従来の画像形成装置における問題点を説明するための概略斜視図であって、定着装置、その下流側に設けられた搬送ロール、及び記録シートに生じたロールマークを示す図である。
符号の説明
1:感光体ドラム、 2:帯電装置、 3:現像装置、 4:転写装置、 5:クリーニング装置、 6:露光装置、 10:画像形成ユニット、 11:中間転写体、 12:転写ロール、 13:シートトレイ、 14:記録シートの搬送路、 15:定着装置、 16,17:搬送ロール、 18:画像形成装置のハウジング、 19:排紙トレイ、 20:シート排出口、 21:遮蔽部材、 22:駆動ロール、 23:転写対向ロール、
31:ガイドレール、 32:ワイヤ、 33,34:プーリー、 35:モータ、
41:断熱材、 42:ファン、
51:遮蔽部材

Claims (7)

  1. 静電電位の差による潜像に粉状のトナーを選択的に付着させてトナー像を形成する像形成手段と、
    前記トナー像を直接に記録シートに、又は中間転写体を介して記録シートに転写する転写手段と、
    前記記録シート上に転写された前記トナー像を加熱及び加圧して該記録シート上に定着する定着装置と、
    前記トナー像が定着された記録シートに接触して、該記録シートを搬送するシート搬送部材とを有する画像形成装置であって、
    前記トナーは、樹脂バインダーと、色材と、離型性を向上させるワックスとを含むものであり、
    前記シート搬送部材によって搬送された記録シートが該画像形成装置のハウジング外に排出されるシート排出口に、該シート排出口から暖められた空気が流出するのを抑制する遮蔽部材を備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記遮蔽部材は、前記シート排出口の開閉が可能となるように設けられ、前記記録シートの排出時に該シート排出口を開放するように駆動されるものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置
  3. 前記遮蔽部材は、柔軟に変形する部材であって、前記シート排出口を塞ぐように設けられ、
    前記シート搬送部材によって搬送される記録シートが突き当てられることにより、変形を生じて該記録シートを排出するものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 前記シート搬送部材の前記記録シートと接触する部分の温度が、前記定着装置が有する加熱手段から供給される熱で、前記トナーに含まれるワックスの融点より40°低く設定された基準温度以上に上昇するように、前記定着装置及び前記シート搬送部材が配置され、前記遮蔽部材の断熱性能が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 前記定着装置が予備加熱されている状態で、該シート搬送部材の前記記録シートと接触する部分の温度が、前記トナーに含まれるワックスの融点より40°低く設定された基準温度以上に維持されるように、前記定着装置及び前記シート搬送部材が配置され、前記遮蔽部材の断熱性能が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  6. 前記定着装置、前記シート搬送部材及びこれらの間のシート搬送路を囲むように断熱層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の画像形成装置。
  7. 前記シート搬送部材の温度を調整するためのファンを有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の画像形成装置。
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