JP2006077940A - 動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転変動の吸収性能を低下させることなく、コイルバネやその固定部分とに要する軸方向スペースを減少させて装置の小型化を図る。
【解決手段】本発明による動力伝達装置は、径方向内外に同心配置した2つの環体1,2間で回転動力の伝達を行うもので、両環体1,2間に遊星転動体8とコイルバネ9とが介装されている。遊星転動体8は2枚のキャリアプレート10,11間に回転可能に支持されている。コイルバネ9は、その一方の端部9aが内外一方の環体1(2)に連結されるとともに、他方の端部9bが遊星転動体8,8どうしの周方向間隔内に突入してキャリアプレート10(11)と係合している。
【選択図】図1
【解決手段】本発明による動力伝達装置は、径方向内外に同心配置した2つの環体1,2間で回転動力の伝達を行うもので、両環体1,2間に遊星転動体8とコイルバネ9とが介装されている。遊星転動体8は2枚のキャリアプレート10,11間に回転可能に支持されている。コイルバネ9は、その一方の端部9aが内外一方の環体1(2)に連結されるとともに、他方の端部9bが遊星転動体8,8どうしの周方向間隔内に突入してキャリアプレート10(11)と係合している。
【選択図】図1
Description
本発明は、プーリユニット等の動力伝達装置、より詳しくは、脈動等の変動を含む入力回転から変動の少ない出力回転が取り出せるようにした動力伝達装置に関する。
自動車等の車両には、エンジンのクランクシャフトからベルトを介して駆動されるオルタネータ、エアコンディショナ用コンプレッサ、ウオーターポンプ、冷却ファン等の補機が装備されている。エンジンの回転動力をクランクシャフトからベルトを介して上記のような補機に伝達する場合、クランクシャフトの回転速度の変動に起因して、ベルトに滑りが起こって異音が発生する傾向となる。
このことを、補機類の一つであるオルタネータを例にとって説明すると、エンジンの動作工程により、クランクシャフトは、その回転中、常にその回転速度に変動がある。一方、オルタネータのロータは、大きな回転慣性を有しているから、当該ロータには慣性トルクがかかっている。このため、オルタネータのロータを、回転速度の変動を伴うクランクシャフトで駆動すると、ベルトの緩み側と張り側とが交互に入れ替わって張力変動が発生する一方で、該ベルトには、ロータの慣性トルクがかかる結果、ベルトに滑りが起こって異音が発生したり、耐久性が低下したりする傾向となりやすい。
そのため、従来、オルタネータのロータ軸と、上記のベルトが巻き掛けられるプーリとをコイルバネで連結した動力伝達装置が提案されている(特許文献1参照)。この動力伝達装置では、コイルバネの弾力変形により、入力回転に含まれる回転変動が吸収される。
ところで、上記のようなバネ式の動力伝達装置において、プーリの回転変動の吸収性能を向上させるには、コイルバネの巻き数を増やしたりして、そのバネ定数を小さくすることが考えられるが、コイルバネの巻き数を増やすと、コイルバネ全体の軸方向幅寸法が増大する、という問題がある。
また、コイルバネの端部をプーリやロータ軸に連結するには、コイルバネの端部を軸方向外向きに曲げ加工した上で、その曲げ端部をプーリやロータ軸側の部材に固定しなければならない。この場合、コイルバネの曲げ端部は、プーリ等との固定のために、軸方向に比較的長く突出させる必要があり、この点からも、動力伝達装置の軸方向寸法が大きくなるという問題がある。
特許第3268007号公報
本発明は、回転変動の吸収性能を低下させることなく、コイルバネと、このコイルバネをプーリ等の環体に固定する部分とに要する軸方向スペースを減少させて装置の小型化を図ることを課題とする。
本発明による動力伝達装置は、径方向内外に同心配置した2つの環体間で回転動力の伝達を行う動力伝達装置であって、上記両環体間に遊星転動体とコイルバネとが介装され、上記遊星転動体は、2枚のキャリアプレート間に回転可能に支持され、上記コイルバネは、その一方の端部が内外一方の環体に連結されるとともに、他方の端部が上記遊星転動体どうしの周方向間隔内に突入してキャリアプレートと係合していることを特徴とするものである。
上記構成の動力伝達装置において、内外一方の環体に対して、他方の環体が相対的に回転した場合、遊星転動体は、内外の環体の間で自転しながら公転する。そして、コイルバネは、遊星転動体を支持するキャリアプレートと、内外一方の環体との間で巻き締め方向もしくは巻き戻し方向に変形させられて、この変形により回転変動を吸収する。
この場合、一方の環体に対する他方の環体の回転は、遊星転動体で減速され、キャリアプレートを介してコイルバネの端部に伝わり、コイルバネを巻き締め方向もしくは巻き戻し方向に変形させることになる。このため、コイルバネの変形量は、遊星転動体を有しないものに比べ減少し、コイルバネの巻き数を少なくすることができ、回転変動の吸収性能を低下させることなく、コイルバネに要する軸方向のスペースを削減することが可能になる。
また、上記構成の動力伝達装置では、コイルバネの端部を、遊星転動体どうしの周方向間隔内に突出させてキャリアプレートと係合させているので、遊星転動体が占める軸方向スペースを、コイルバネの端部やその連結に要する軸方向スペースとしても利用することになり、この点でも、全体の軸方向スペースの削減が可能になる。
なお、上記構成の動力伝達装置において、キャリアプレートには、遊星転動体を支持するための軸孔が設けられるが、これら軸孔は、キャリアプレートに設定された直径方向線の両側に2組に分けられ、2組の軸孔が周方向に等間隔で、かつ互いに他の組の軸孔とキャリアプレートの中心に関して点対称となる位置に形成され、上記直径方向線上に、上記コイルバネの端部を嵌入係合する係合孔が形成されている構成であることが望ましい。
上記構成によれば、2枚のキャリアプレートの位相を180度ずらせても、その間に複数の遊星転動体を回転可能に支持することができる。そして、一方のキャリアプレートの係合孔にはコイルバネの端部を嵌入係合させ、他方のキャリアプレートには、コイルバネ端部の先端を当接させるようにすることができる。他方のキャリアプレートとコイルバネ端部との当接により、キャリアプレートやこれに支持される遊星転動体を軸方向に押圧してその軸方向位置を規制し、遊星転動体の動作を安定させることができる。
この場合、2枚のキャリアプレートは、同一の形状でよいから、キャリアプレートを1種用意すればよく、部品コストを低い値に抑制できる。
本発明によれば、回転変動の吸収性能を低下させることなく、コイルバネの巻き数を減らすとともに、コイルバネの端部やその固定に要する軸方向スペースを縮小することができ、装置の小型化が可能になる。
以下、本発明の最良の実施形態を、図1ないし図3を参照して説明すると、図1は、最良の実施形態に係る動力伝達装置の縦断側面図で、上半部は全体を断面し、下半部は外側環体であるプーリのみを断面して示している。図2は、図1の装置の要部である遊星ギヤとキャリアプレートとの正面図、図3は、図2の装置要部の分解斜視図である。
本実施形態の動力伝達装置は、自動車等のエンジンの補機であるオルタネータの入力部にプーリユニットとして装備されるものであって、外側環体としてのプーリ1と、内側環体としての筒軸2とを有する。
プーリ1は、外周面にエンジンのクランクシャフトに連動して回送されるベルト3が巻き掛けられるプーリ溝1aを有するとともに、内径側に軸孔1bを有する。
筒軸2は、プーリ1の軸孔1b内に同軸に配置されている。この筒軸2は、内径側にネジ孔2aやナット孔2bを有するもので、その内径側にはオルタネータのロータ軸(図示省略)が挿入されてネジ孔2aやナットの螺合により、ロータ軸と回転一体に結合される。
筒軸2の外周面とプーリ1の軸孔1bの内周面との間には、深溝玉軸受のような転がり軸受4が介装され、この転がり軸受4により、プーリ1と筒軸2とは、互いに同軸で相対回転可能に組み合わされるとともに、プーリ1と筒軸2との間に環状空間5を形成している。環状空間5の反転がり軸受4側(図1で左側)は、プーリ1に形成した内鍔部1cと、この内鍔部1cの内周に設けたすべり軸受6とで封止されている。転がり軸受4は、筒軸2の外周に取り付けた止め環7により軸方向に位置決めされている。
プーリ1と筒軸2との間の環状空間5内には、遊星転動体としての遊星ギヤ8と、コイルバネ9とが介装されている。
遊星ギヤ8は、プーリ1の内周面に形成されたギヤ(内周ギヤ)1dと、筒軸2の外周面に形成されたギヤ(外周ギヤ)2cとに噛合するもので、軸方向両側に設けられた2枚のキャリアプレート10,11に、ギヤ軸8aを介して回転自在に支持されている。遊星ギヤ8は、プーリ1と筒軸2との回転速度の差に応じてプーリ1と筒軸2との間で自転しながら、筒軸2の外周を公転するようになっており、キャリアプレート10,11と、内周ギヤ1dと、外周ギヤ2cとともにギヤ型の遊星機構12を構成している。
各キャリアプレート10,11は、図2および図3に示すように、環状の板材からなり、周方向に沿って遊星ギヤ8のギヤ軸8aが嵌合する軸孔10a,11aが形成されている。各キャリアプレート10,11の軸孔10a,11aは、それぞれのキャリアプレート10,11に設定された直径方向線L,Lに関して2組10E,10F,11E,11Fに分けられている。各組10E,10F,11E,11Fの軸孔10a,11aは周方向等間隔(等角度θ)で、他の組の軸孔10a,11aと、キャリアプレート10,11の中心Pに関して点対称となる位置に配置されている。そして、各キャリアプレート10,11において、上記した直径方向線L上にコイルバネ9用の単一の係合孔10b,11bが形成されている。なお、係合孔10b,11bは、軸孔10a,11aと同一径に形成されている。
両キャリアプレート10,11は、遊星ギヤ8を間にして互いに180度位相をずらせた状態で対面しており、両キャリアプレート10,11間で軸孔10a,11aどうしは軸方向に対向するが、係合孔10b,11bどうしは軸方向に対向しないようになっている。軸方向に対向する軸孔10a,11aには、遊星ギヤ8のギヤ軸8aが嵌合されている。
コイルバネ9は、筒軸2の外周面を囲むように介装されており、その両端部9a,9bは軸方向外方に突出する形に曲げ加工されている。
このコイルバネ9の一方(図1では左側)の端部9aは、内外一方の環体、本実施形態では外側の環体であるプーリ1の内鍔部1cに連結されている。コイルバネ9の他方(図1で右側)の端部9bは、このコイルバネ9の側に位置するキャリアプレート10の係合孔10bに嵌入して、遊星ギヤ8,8どうしの周方向の間隔内に突入している。反コイルバネ9側のキャリアプレート11は、コイルバネ9側のキャリアプレート10と位相がずれているから、反コイルバネ9側のキャリアプレート11の係合孔11bは、コイルバネ端部9bの突入位置にはなく、コイルバネ端部9bは、反コイルバネ9側のキャリアプレート11の板面に当接するようになっている。
次に、上記構成の動力伝達装置の動作を説明する。今仮に、プーリ1の回転に変動が生じ、筒軸2に対して相対的にプーリ1が一方向に回転したとすると、遊星ギヤ8は、プーリ1と筒軸2との間で自転しながら筒軸2の外周に沿って公転する。この場合、遊星ギヤ8の公転速度は、筒軸2に対するプーリ1の回転速度の約2分の1で、遊星ギヤ8の公転角度は、筒軸2とプーリ1との回転位相差の約2分の1である。
遊星ギヤ8の公転とともに、キャリアプレート10,11は同方向に回転する。一方のキャリアプレート10にはコイルバネ9の一端部9bが係合しているから、コイルバネ9はプーリ1の内鍔部1cとの間で巻き締め方向もしくは巻き戻し方向に変形させられて、この変形により回転変動を吸収する。
この場合、筒軸2に対するプーリ1の回転は、遊星ギヤ8で減速されて、コイルバネ9の螺旋端部9bに伝わり、コイルバネ9を変形させることなるから、コイルバネ9の変形量は、遊星ギヤ8のような遊星転動体を有しないものに比べ減少する。そのため、コイルバネ9の巻き数を少なくすることができる。
また、コイルバネ9の遊星ギヤ8側の端部9bは、両キャリアプレート10,11のうち、コイルバネ9側のキャリアプレート10を貫通して、反コイルバネ9側のキャリアプレート11の板面に当接するから、反コイルバネ9側のキャリアプレート11には、コイルバネ9から軸方向の押圧力が作用し、反コイルバネ9側のキャリアプレート11や、これに支持される遊星ギヤ8、コイルバネ9側のキャリアプレート10の軸方向位置を、転がり軸受4に隣接した位置に位置決めする。これで、遊星ギヤ8は、軸方向に遊動せずに転がり軸受4に隣接した定位置で回転することになり、遊星ギヤ8を含む遊星機構12の動作が安定する。
図示の実施形態では、プーリ1と筒軸2との間の環状空間5内に、遊星ギヤ8を含むギヤ型の遊星機構12を設けたが、遊星ローラを含む摩擦伝動型の遊星機構を設けてもよい。また、実施形態では、コイルバネ9の一端部9bをプーリ1に連結したが、内側環体である筒軸2に連結してもよい。
1 プーリ(外側環体)
2 筒軸(内側環体)
5 環状空間
8 遊星ギヤ(遊星転動体)
9 コイルバネ
9a,9b コイルバネ端部
10 キャリアプレート
10a 軸孔
10b 係合孔
11 キャリアプレート
11a 軸孔
11b 係合孔
2 筒軸(内側環体)
5 環状空間
8 遊星ギヤ(遊星転動体)
9 コイルバネ
9a,9b コイルバネ端部
10 キャリアプレート
10a 軸孔
10b 係合孔
11 キャリアプレート
11a 軸孔
11b 係合孔
Claims (2)
- 径方向内外に同心配置した2つの環体間で回転動力の伝達を行う動力伝達装置であって、
上記両環体間に遊星転動体とコイルバネとが介装され、
上記遊星転動体は、2枚のキャリアプレート間に回転可能に支持され、
上記コイルバネは、その一方の端部が内外一方の環体に連結されるとともに、他の端部が上記遊星転動体どうしの周方向間隔内に突入してキャリアプレートと係合している、
ことを特徴とする動力伝達装置。 - キャリアプレートに設定された直径方向線の両側に、2組の遊星転動体支持用の軸孔が周方向等間隔で、かつ互いに他の組の軸孔とキャリアプレートの中心に関して点対称となる位置に形成され、上記直径方向線上に、上記コイルバネの端部を嵌入係合する係合孔が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004265041A JP2006077940A (ja) | 2004-09-13 | 2004-09-13 | 動力伝達装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004265041A JP2006077940A (ja) | 2004-09-13 | 2004-09-13 | 動力伝達装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2006077940A true JP2006077940A (ja) | 2006-03-23 |
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Family Applications (1)
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JP2004265041A Pending JP2006077940A (ja) | 2004-09-13 | 2004-09-13 | 動力伝達装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020085031A (ja) * | 2018-11-16 | 2020-06-04 | Nok株式会社 | 回転変動吸収プーリ |
-
2004
- 2004-09-13 JP JP2004265041A patent/JP2006077940A/ja active Pending
Cited By (2)
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JP2020085031A (ja) * | 2018-11-16 | 2020-06-04 | Nok株式会社 | 回転変動吸収プーリ |
JP7133445B2 (ja) | 2018-11-16 | 2022-09-08 | Nok株式会社 | 回転変動吸収プーリ |
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