JP2006076834A - スラグ水砕装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 銅製錬工程から排出される溶融スラグから、港湾工事のケーソン中詰め材やコンクリート骨材として好適なように、高い湿潤密度の水砕スラグを安定して産出できるスラグ水砕装置を提供する。
【解決手段】 溶融スラグ排出樋1と水砕樋2との間に、上下方向に2段以上の複数段に配置した扁平形状の水砕ノズル5と、水砕ノズル5の下方に配置した複数の高圧ノズル4とを備えている。水砕ノズル5の少なくとも1段の両端、あるいは両端に位置する高圧ノズル4、若しくはその両方が、溶融スラグ排出樋1の両端より外側に位置することが好ましい。
【選択図】 図2
【解決手段】 溶融スラグ排出樋1と水砕樋2との間に、上下方向に2段以上の複数段に配置した扁平形状の水砕ノズル5と、水砕ノズル5の下方に配置した複数の高圧ノズル4とを備えている。水砕ノズル5の少なくとも1段の両端、あるいは両端に位置する高圧ノズル4、若しくはその両方が、溶融スラグ排出樋1の両端より外側に位置することが好ましい。
【選択図】 図2
Description
本発明は、非鉄金属溶融製錬にて用いる自熔炉製錬において発生する溶融スラグを、錬カン炉で有価金属を回収した後に、加圧水によって水砕する装置に関するものである。
従来、銅製錬における製錬炉等の処理能力の増大はめざましいものがあり、自熔炉や電気錬カン炉から排出される溶融スラグを加圧水で急冷凝固させて得られる水砕スラグは膨大な量にのぼる。この水砕スラグは、主にセメント原料、港湾工事用(主にケーソン)、サンドブラスト用、コンクリート細骨材用などの用途に使用されている。
一般的に、上記港湾工事のケーソン築造工事におけるケーソン中詰め材としては、従来から海砂などの天然砂や砕砂が用いられている。しかし、昨今では環境への影響が懸念され、海砂採取が禁止の方向に移行してきていることから砂が不足し、それに代わる代替材が必要となりつつある。
ケーソンを設計する上での重要なファクターの一つに中詰め材の湿潤密度があり、中詰め材の湿潤密度が高いほどケーソンをコンパクトにすることができる。水砕スラグは湿潤密度が天然砂などに比較して高いため、水砕スラグをケーソン中詰め材として用いることによって、ケーソンをコンパクトにすることができ、また重量コンクリートブロック等にも適しているといった利点があり、特に前者については工事費の軽減などコスト的に有利である。
従来の水砕スラグを得る方法として、自熔炉などの銅製錬炉から排出される溶融スラグを、錬カン炉で有価金属を回収した後に、ノズルから加圧水を噴射して水砕する方法がある。例えば、溶融スラグ排出樋を経て供給される溶融スラグに、下方の水砕樋との間でノズルから加圧水を噴射し、水砕すると同時に冷却して水砕スラグを得ていた。尚、ノズルから噴射する加圧水としては、一般に海水が用いられている。
一方、特開2001−48603公報には、製鉄用の高炉スラグを水砕して、コンクリートの細骨材に適した高炉スラグ細骨材とする方法が記載され、好ましい冷却条件などの検討がなされている。しかしながら、冷却水を噴射するノズルの形状や配置については全く言及されていない。
従来の銅製錬工程から得られる水砕スラグの生産装置では、得られる水砕スラグの形状が細かい針状であり、湿潤密度が低く且つ化学成分や電気炉の操業条件の変化によって変化しやすいため、例えばケーソン中詰め材として使用するのに好適な湿潤密度の水砕スラグが安定して得られるとは限らなかった。
このような従来の事情に鑑み、本発明は、港湾工事のケーソン中詰め材やコンクリート骨材として好適なように、高い湿潤密度の水砕スラグを安定して産出できるスラグ水砕装置を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明が提供するスラグ水砕装置は、銅製錬工程から排出され、溶融スラグ排出樋を経て供給される溶融スラグを、下方の水砕樋との間でノズルから加圧水を噴射して水砕する装置であって、溶融スラグ排出樋と水砕樋との間に、上下方向に2段以上の複数段に配置した扁平形状の水砕ノズルと、該水砕ノズルの下方に配置した複数の高圧ノズルとを備えることを特徴とするものである。
また、上記本発明のスラグ水砕装置においては、前記複数段の水砕ノズルの少なくとも1段の両端、あるいは前記複数の高圧ノズルのうちの両端に位置する高圧ノズル、若しくはその両方が、前記溶融スラグ排出樋の両端より外側に位置することが好ましい。
本発明によれば、銅製錬工程から排出される溶融スラグを水砕して、スラグの化学成分や操業条件によらず、高い湿潤密度の水砕スラグを安定して産出することができる。得られる水砕スラグは塊状であって湿潤密度が高く、港湾工事のケーソン中詰め材やコンクリート骨材として好適である。
従来の水砕ノズルでは、水砕樋での水蒸気爆発を防止するために、ノズルから噴射する加圧水の水砕水量を多く、具体的にはスラグ排出期間の平均の水量/スラグ量の重量比が20程度となるように設定し、且つ一つの水砕ノズルから加圧水を噴射することが通常であった。その結果、得られる水砕スラグの粒子形状は針状であり、湿潤密度も小さいものであった。
本発明者らは、水砕スラグの形状を塊状にし、湿潤密度を高めることについて鋭意研究した結果、溶融スラグと加圧水の初期衝突エネルギーを小さくすることによって、得られる水砕スラグの粒子形状が塊状となり、湿潤密度が高くなることを見出した。
即ち、本発明の水砕装置では、溶融スラグと加圧水の初期衝突エネルギーを小さくするため、上下方向に2段以上の複数段に配置した扁平形状の水砕ノズルと、その水砕ノズルの下方に配置した複数の高圧ノズルとを備えている。扁平形状の水砕ノズルを複数段にすること、及び複数の高圧ノズルを併設することにより、従来に比べて加圧水が溶融スラグと接触する際の初期衝突エネルギーを減少させることができ、スラグ粒子の形状を塊状とし、湿潤密度の高い水砕スラグの産出が可能となった。
また、このようなノズルの構成をとることにより、加圧水の水砕水量を従来よりも少なくすることが可能である。即ち、スラグ排出量が最大時の水量/スラグ量の重量比を従来の10程度から8程度に、並びにスラグ排出期間の平均の水量/スラグ量の重量比を従来の20程度から16程度に減少することができる。この低減した水砕水量により、初期衝突エネルギーの減少が可能であり、しかも水砕樋での水蒸気爆発の発生を抑えることができる。
更に、本発明の水砕装置では、複数段の水砕ノズルの少なくとも1段の両端、あるいは複数の高圧ノズルのうちの両端に位置する高圧ノズル、若しくはその両方が、溶融スラグ排出樋の両端より外側に位置することが好ましい。
このように水砕ノズルの横幅及び/又は両端の高圧ノズルの位置を、溶融スラグ排出樋の横幅よりも広くすることで、水砕樋での水蒸気爆発の発生を確実に抑えることができ、同時に、加圧水が溶融スラグと接触する際の初期衝突エネルギーを更に減少させ、粒子形状が大きく且つ湿潤密度が一層高い水砕スラグを得ることができる。
上記本発明の水砕装置によれば、加圧水が溶融スラグと接触する際の初期衝突エネルギーを減少させ、産出される水砕スラグの粒子形状を塊状にすることができ、湿潤密度の高い水砕スラグを得ることが可能である。しかも、水砕樋における水蒸気爆発が抑制され、スラグ排出量が最大時の水量/スラグ量の重量比を8程度に、スラグ排出期間の平均の水量/スラグ量の重量比を16程度に減少することが可能となる。
図1に示す比較例として用いた改造前の水砕装置と、図2に示す本発明の実施例である改造後の水砕装置により、銅製錬工程から排出された溶融スラグの水砕を実施し、得られた水砕スラグの形状及び湿潤密度を比較した。
即ち、図1の比較例である改造前の水砕装置は、溶融スラグを供給する溶融スラグ排出樋1と、溶融スラグ排出樋1の下方に設置した水砕樋2と、溶融スラグ排出樋1と水砕樋2の間に設けた1つの水砕ノズル3と、7つの高圧ノズル4とを備えている。また、図2の実施例である改造後の水砕装置は、図1の水砕ノズル3の代りに2つの扁平形状の水砕ノズル5を上下方向に2段に設置し、高圧ノズル4を5つとしたものであって、その他の構成は図1と同様である。
尚、図1の水砕ノズル3は横幅254mm及び縦幅160mmであるのに対して、図2の水砕ノズル5は2本とも横幅430mm及び縦幅60mmである。また、図2の2つの水砕ノズル5の両端は、溶融スラグ排出樋1の両端よりも外側に位置するように幅広に形成してある。
上記図1及び図2の水砕装置を用いて、溶融スラグ排出樋1から供給される溶融スラグを、下方の水砕樋2との間で、それぞれ水砕ノズル3、5及び高圧ノズル4から加圧水を噴射して水砕した。また、複数の高圧ノズル4からの加圧水量は水砕ノズル3、5の1/10とした。産出された水砕スラグは、それぞれ水砕樋2から回収した。尚、加圧水としては、いずれも常温の海水を使用した。
その際、加圧水の水砕水量について、スラグ排出量が最大時の水量/スラグ量の重量比を図1の装置では10及び図2の装置では8に設定し、スラグ排出期間の平均の水量/スラグ量の重量比を図1の装置では20及び図2の装置では16に設定した。このように、図2の改造後の装置では水砕水量を約20%減少することが可能にとなり、しかも水砕樋2における水蒸気爆発も起こらなかった。
回収した水砕スラグについて、その形状を顕微鏡で観察した。図1の改造前の装置で産出された水砕スラグの顕微鏡写真を図3に、図2の改造後の装置で産出された水砕スラグの顕微鏡写真を図4に示した。産出される水砕スラグの粒子形状は、図1の改造前の装置図2では針状であるのに対し、図2の本発明による改造後の水砕装置によれば塊状になることが確認できた。
また、図1の改造前の装置で産出された水砕スラグと、図2の改造後の装置で産出された水砕スラグについて、それぞれ湿潤密度を測定した結果を図5に示した。尚、湿潤密度の測定は、JIS A 1104の「骨材の単位容積質量及び実績率試験方法」に示された基準に準拠した方法で実施した。また、銅製錬工程から得られる水砕スラグの生産過程では、化学成分や電気炉の操業条件の変化するため、スラグの特性としてFe/SiO2を指標とした。
図5のグラフから、図1の改造前の装置で産出された水砕スラグの湿潤密度に比べて、図2の改造後の装置で産出された水砕スラグの湿潤密度が大幅に高くなっていることが分る。従って、本発明により得られる水砕スラグは、塊状であって湿潤密度が高く、港湾工事のケーソン中詰め材やコンクリート骨材として好適であることが分る。
1 溶融スラグ排出樋
2 水砕樋
3、5 水砕ノズル
4 高圧ノズル
2 水砕樋
3、5 水砕ノズル
4 高圧ノズル
Claims (2)
- 銅製錬工程から排出され、溶融スラグ排出樋を経て供給される溶融スラグを、下方の水砕樋との間でノズルから加圧水を噴射して水砕する装置であって、溶融スラグ排出樋と水砕樋との間に、上下方向に2段以上の複数段に配置した扁平形状の水砕ノズルと、該水砕ノズルの下方に配置した複数の高圧ノズルとを備えることを特徴とするスラグ水砕装置。
- 前記複数段の水砕ノズルの少なくとも1段の両端、あるいは前記複数の高圧ノズルのうちの両端に位置する高圧ノズル、若しくはその両方が、前記溶融スラグ排出樋の両端より外側に位置することを特徴とする、請求項1に記載のスラグ水砕装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004263157A JP2006076834A (ja) | 2004-09-10 | 2004-09-10 | スラグ水砕装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004263157A JP2006076834A (ja) | 2004-09-10 | 2004-09-10 | スラグ水砕装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011219292A (ja) * | 2010-04-07 | 2011-11-04 | Nippon Steel Corp | 水砕樋 |
JP2014172808A (ja) * | 2013-03-12 | 2014-09-22 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | 水砕スラグの湿潤密度制御方法 |
JP2014227333A (ja) * | 2013-05-27 | 2014-12-08 | 住友金属鉱山株式会社 | 水砕スラグの粗粒化方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS58148034U (ja) * | 1982-03-26 | 1983-10-05 | 川崎製鉄株式会社 | 水砕スラグ製造装置 |
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2004
- 2004-09-10 JP JP2004263157A patent/JP2006076834A/ja active Pending
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