JP2006075928A - 静電アクチュエータ、及び該静電アクチュエータを用いた液滴吐出ヘッド、液体カートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロポンプ、光変調デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】振動板と個別電極間に介在するギャップが小さい狭ギャップの静電アクチュエータにおいて、ギャップの形成時にエッチストップすることなく犠牲層がエッチングできる構造を提供する。
【解決手段】静電型アクチュエータにおいて、振動板からなる振動板電極30と、個別電極3aとの間に介在するギャップ10を犠牲層エッチング技術を用いて形成する。個別電極3aには段差を設けることにより溝3bが形成されており、電極間のギャップ10が狭くて犠牲層エッチングがされにくい部位にエッチャントを導く溝3bによって、エッチストップやエッチング残が発生しない。
【選択図】図6
【解決手段】静電型アクチュエータにおいて、振動板からなる振動板電極30と、個別電極3aとの間に介在するギャップ10を犠牲層エッチング技術を用いて形成する。個別電極3aには段差を設けることにより溝3bが形成されており、電極間のギャップ10が狭くて犠牲層エッチングがされにくい部位にエッチャントを導く溝3bによって、エッチストップやエッチング残が発生しない。
【選択図】図6
Description
本発明は、静電力によって駆動される静電アクチュエータ、該静電アクチュエータを具備した液滴吐出ヘッド、該液滴吐出ヘッドを具備した液体カートリッジ、該液体カートリッジを具備したインクジェット記録装置、前記静電アクチュエータを具備したマイクロポンプ、及び前記静電アクチュエータを具備した光変調デバイスに関し、特に、狭ギャップの静電アクチュエータにおいても、エッチストップすることなく犠牲層がエッチングできる構造に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像記録装置或いは画像形成装置として用いるインクジェット記録装置において使用する液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドとしては、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する吐出室(加圧液室、圧力室、インク流路等ともいう)と、吐出室内のインクを加圧する圧力を発生する圧力発生手段とを備え、圧力発生手段で発生した圧力で吐出室内インクを加圧することによってノズルからインク滴を吐出させる。
このような液滴吐出ヘッドとしては、(イ)圧力発生手段として圧電素子等の電気機械変換素子を用いて吐出室の壁面を形成している振動板を変形変位させることでインク滴を吐出させるピエゾ型のもの、(ロ)吐出内に配設した発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いてインクの膜沸騰でバブルを発生させてインク滴を吐出させるバブル型(サーマル型)のもの、(ハ)吐出室の壁面を形成する振動板を静電力で変形させることでインク滴を吐出させる静電型のもの等がある。
近年、環境問題から鉛フリーであるバブル型、静電型が注目を集め、鉛フリーに加え低消費電力の観点からも環境に影響が少なく低コスト化が可能な静電型のものが多くの出願人から複数のタイプのものが提案されている。
このようなインクジェット記録装置或いは液滴吐出ヘッドにおいて、本発明に関連した技術として、以下のような技術が知られている。
特許文献1に開示された静電インクジェットヘッドは、振動板電極の中央部と対向電極との間隔が、振動板電極の縁部近傍と対向電極との間隔よりも大きくなるように形成され、振動板変形時の電極間ギャップをほぼ一定にして振動板に発生する応力をほぼ均一にすることにより、振動板の耐久性を向上させ、ヘッド寿命を延ばすようにしたものである。
特許文献1に開示された静電インクジェットヘッドは、振動板電極の中央部と対向電極との間隔が、振動板電極の縁部近傍と対向電極との間隔よりも大きくなるように形成され、振動板変形時の電極間ギャップをほぼ一定にして振動板に発生する応力をほぼ均一にすることにより、振動板の耐久性を向上させ、ヘッド寿命を延ばすようにしたものである。
特許文献2に開示された静電インクジェットヘッドは、振動板と個別電極間の空隙部が、振動板の短辺又は短辺と長辺との両方の空隙部の断面が凹形状であり、少なくとも2つ以上のギャップ長を持つ階段状に形成されており、駆動電圧の上昇を引き起こすことなく、インク吐出量を可変できるようにしたものである。
また、特許文献3に開示された静電インクジェットヘッドは、振動板と個別電極の両方又は何れかはその対向している面に絶縁膜を有し、振動板と個別電極間との間における振動板短辺方向の断面におけるギャップは中央から周辺に向かって小さくなっており、振動板を変移させる電圧を低くするようにしたものである。
特開平11−291482号公報
特開2000−318155号公報
特開2000−355103号公報
静電型インクジェットヘッドは、特許文献1〜3に開示されたものの他に、例えば特開2000−272120号公報、特開2002−086718号公報、あるいは特開2002−273872号公報に開示されているように、ノズル基板と、ノズルに対応して設けられたノズルに連通した加圧液室と流体抵抗路と共通液室を形成する液室基板と、液室基板の加圧液室面に接合された振動板と、振動板との間に空隙を介して個別電極が設けられた駆動基板を有する。振動板が一方の電極として働き、振動板に対向する電極と反対側にインクが充填されている形態である。電極対に電圧を印加することによって電極間に静電引力が働き、電極を兼ねた振動板が変形し、電圧を除去すると振動板が弾性力によってもとの状態に戻り、その力を用いてインクを吐出する。
電極間に介在する空隙の形成方法としては、基板に凹部を形成し、別に形成した振動板を貼り合わせることにより空隙を形成する方法、又は振動板形成前に犠牲層を形成しその上に振動板を形成し、その後に振動板の一部に設けられたエッチングホールから半導体プロセスを応用した犠牲層エッチング技術により空隙を形成する方法の2つに大別できる。
前者は、プロセス的な制約が少ないため、工程が作りやすい利点がある反面、貼り合わせのアライメント工程や接着工程が必要であり、また極薄の振動板の取り扱いが難しい等の問題もある。
これに対し、後者は、貼り合わせ工程は必要ではない反面、犠牲層をエッチングするための工程や、エッチング後のエッチングホールの封止が必要であり、プロセスが複雑になる等の課題がある。
前者は、プロセス的な制約が少ないため、工程が作りやすい利点がある反面、貼り合わせのアライメント工程や接着工程が必要であり、また極薄の振動板の取り扱いが難しい等の問題もある。
これに対し、後者は、貼り合わせ工程は必要ではない反面、犠牲層をエッチングするための工程や、エッチング後のエッチングホールの封止が必要であり、プロセスが複雑になる等の課題がある。
しかしながら、後者の犠牲層エッチング技術は、シリコン基板上に振動板を含めたアクチュエータ部分を一体に形成できるので、振動板の信頼性上有効な手段である。この犠牲層エッチングの方法としては、プラズマエッチング装置を用いたドライエッチング技術がある。しかし、駆動電圧の低電圧化に伴う狭ギャップ化によりエッチャントが空隙に入りにくくなり、犠牲層のエッチストップが発生することがある。
前記した特許文献1〜3に開示された技術において、アクチュエータを低電圧で駆動させるため、対向電極に電極の周囲のギャップが狭くなるように段差を設ける方法が提案されているが、この場合、犠牲層をエッチングする際には、この狭いギャップを通して犠牲層エッチングを行う必要があり、前記したようなエッチストップに対する問題については何も考慮されていない。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、狭ギャップの静電アクチュエータにおいても、エッチストップすることなく犠牲層がエッチングできる構造、もしくは犠牲層エッチングが実用可能なエッチングレートで実現できる構造の静電アクチュエータ、及び該静電アクチュエータを用いた液滴吐出ヘッド、液体カートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロポンプ、光変調デバイス等を提供することにある。
請求項1の発明は、対向配置される電極の一方の電極(以下、振動板電極という)を備えた振動板と、該振動板と犠牲層エッチングによって形成された空隙を介して設けられた他方の電極(以下、個別電極という)を備えた基板からなり、前記振動板電極と個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させる静電型アクチュエータにおいて、前記振動板電極と個別電極の少なくとも一方の電極は、前記空隙にエッチャントを誘導促進するため、前記空隙の一部の間隔を広げる溝構造を有することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の静電アクチュエータにおいて、前記振動板電極と個別電極の少なくとも一方の電極に段差を設けることにより前記溝構造を形成することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1に記載の静電アクチュエータにおいて、前記振動板電極と個別電極の少なくとも一方の電極のパターンを蛇行形状にすることにより前記電極パターン自体で前記溝構造を形成することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかに記載の静電アクチュエータにおいて、前記振動板電極と個別電極の少なくとも一方の電極の保護膜を形成し、該保護膜に段差を設けることにより前記溝構造を形成することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至4いずれかに記載の静電アクチュエータにおいて、前記空隙を形成する犠牲層エッチングはドライエッチングであることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1乃至5いずれかに記載の静電アクチュエータと、液滴を吐出するノズル孔を有するノズル板と、前記ノズル孔と連通する加圧液室を有する加圧液室基板とからなり、前記振動板の変形により前記加圧液室内の内圧を高めて前記ノズル孔から液滴を吐出することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項6に記載の液滴吐出ヘッドと該液滴吐出ヘッドに液体を供給するタンクを一体化した液体カートリッジであることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項6に記載の液滴吐出ヘッドまたは請求項7に記載の液体カートリッジを備えたインクジェット記録装置であることを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項1乃至5いずれかに記載の静電アクチュエータを備え、前記振動板の変形によって液体を輸送するマイクロポンプにおいて、前記振動板電極と個別電極からなる1対の電極を少なくとも2対以上設け、前記振動板電極と個別電極間に作用する静電気力によって前記振動板を変形するマイクロポンプであることを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項1乃至5いずれかに記載の静電アクチュエータを備え、前記振動板に形成されたミラーの変形によって光の反射方向を変化させる光変調デバイスにおいて、前記振動板電極と個別電極とからなる1対の電極を少なくとも2対以上設け、前記振動板電極と個別電極間に作用する静電気力による前記振動板の変形によって前記ミラーを変形させる光変調デバイスであることを特徴とする。
請求項1の静電アクチュエータにおいては、犠牲層エッチングがされにくい部位へエッチャントを導く溝構造を有するため、狭ギャップのアクチュエータにおいても犠牲層エッチングにおいてエッチストップやエッチング残が発生せず、これにより安定したインクの吐出性能を得ることができ、低コスト、高精度で高信頼性を具備した低電圧駆動が可能な静電アクチュエータを提供することができる。
請求項2の静電アクチュエータにおいては、狭ギャップ部にギャップの広い溝部を部分的に形成するため、ギャップ部の広い溝部より狭ギャップ部へ十分なエッチャントを導入することができ、狭ギャップにおいてもエッチストップやエッチング残がない安定した犠牲層エッチングが達成できる。また、振動板電極と個別電極の少なくとも一方の電極自身に段差を設けることにより異なるギャップを形成するため、電極部以外の部位に新たなギャップ間隔の異なる部位を形成する必要はなく、アクチュエータの面積を増加させずに狭ギャップのアクチュエータを形成することができる。これにより、安定したインクの吐出性能を有する高精度で高信頼性を具備した低コストの静電アクチュエータを提供することができる。
請求項3の静電アクチュエータにおいては、狭ギャップ部にギャップの広い部位を部分的に形成するため、広いギャップ部より狭ギャップ部へ十分なエッチャントを導入することができ、狭ギャップにおいてもエッチストップやエッチング残がない安定した犠牲層エッチングが達成できる。また、振動板電極または個別電極の少なくとも一方の電極のパターンを蛇行形状として電極形成と同時にギャップの広い溝部を形成するため工程の追加を行うことなく狭ギャップ部のアクチュエータを形成できる。これにより、安定したインクの吐出性能を有する高精度で高信頼性を具備した低コストの静電アクチュエータを提供することができる。
請求項4の静電アクチュエータにおいては、狭ギャップ部にギャップの広い溝部を部分的に形成するため、ギャップ部の広い溝部より狭ギャップ部へ十分なエッチャントを導入することができ、狭ギャップにおいてもエッチストップやエッチング残がない安定した犠牲層エッチングが達成できる。また、対向電極間隔は対向電極面全体で一律のままギャップの広い溝部を形成できるため、アクチュエータを駆動させる静電力を落とすことなく狭ギャップのアクチュエータを形成することができる。これにより、安定したインクの吐出性能を有する高精度で高信頼性を具備した低コストの静電アクチュエータを提供することができる。
一般的に、犠牲層エッチングは微小な犠牲層エッチングホールにエッチャントを導くことによりエッチングを行うため、例えばウェットエッチングを用いた場合にはこの微小なエッチングホールを通して空隙内を乾燥させる必要があり、十分な乾燥が難しく振動板の信頼性への影響が懸念される。これに対して、請求項5の静電アクチュエータにおいては、犠牲層エッチングはドライエッチング技術を用いるため、乾燥等の後工程の必要はなく、信頼性の高い静電アクチュエータを提供することができる。
請求項6の液滴吐出ヘッドにおいては、請求項1〜5の静電アクチュエータを用いることによって、生産性に優れ信頼性のある低コストの液滴吐出ヘッドの製造が可能となる。
請求項7の液体カートリッジにおいては、請求項6の液滴吐出ヘッドを用いることによって、生産性に優れるとともに、インクの吐出特性及び信頼性が優れた高品質な液体カートリッジの形成が可能になる。
請求項8のインクジェット記録装置においては、請求項6に記載の液滴吐出ヘッドまたは請求項7に記載の液体カートリッジを備えたことによって、低コストで液滴吐出バラツキの少なく、高精度で高信頼性を具備した高機能性を有するインクジェット記録装置の形成が可能となる。
請求項9のマイクロポンプにおいては、請求項1〜5の静電アクチュエータを備え、電極間に働く静電力によって前記振動板を変形させるので、小型であり、低消費電力のマイクロポンプが実現できる。
請求項10の光変調デバイスにおいては、請求項1〜5の静電アクチュエータを備え、電極間に働く静電力によって前記振動板を変形させるので、小型であり、低消費電力の光変調デバイスが実現できる。
本発明は、犠牲層エッチング技術を用いて製造する狭ギャップの静電アクチュエータにおいて、エッチストップすることなく犠牲層がエッチングできる構造、もしくはエッチングが実用可能なエッチングレートで実現できる構造の静電アクチュエータ、及び該静電アクチュエータを用いた液滴吐出ヘッド、液体カートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロポンプ、光変調デバイス等を提供することを目的としたもので、そのための構造は、対向配置される電極の一方の電極(以下、振動板電極という)を備えた振動板と、該振動板と犠牲層エッチングによって形成された空隙を介して設けられた他方の電極(以下、個別電極という)を備えた基板からなり、前記振動板電極と個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させる静電型アクチュエータにおいて、前記振動板電極と個別電極の少なくとも一方の電極は、前記空隙にエッチャントを誘導促進するため、前記空隙の一部の空隙間隔を広げる溝構造を有することを特徴とする。
以下、本発明の実施例による静電アクチュエータ、及び該静電アクチュエータを用いた液滴吐出ヘッド、液体カートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロポンプ、光変調デバイスについて説明する。
以下、本発明の実施例による静電アクチュエータ、及び該静電アクチュエータを用いた液滴吐出ヘッド、液体カートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロポンプ、光変調デバイスについて説明する。
実施例1の静電アクチュエータについて、図1〜図3に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例1〜3の静電アクチュエータを部分毎に断面して示す平面図、図2は、実施例1の静電アクチュエータの製造方法を説明するための図で、図1におけるX−X線断面図、図3は、図2から引き続く製造方法を説明するための図1におけるX−X線断面図である。
図1は、本発明の実施例1〜3の静電アクチュエータを部分毎に断面して示す平面図、図2は、実施例1の静電アクチュエータの製造方法を説明するための図で、図1におけるX−X線断面図、図3は、図2から引き続く製造方法を説明するための図1におけるX−X線断面図である。
図2(A)は、酸化膜薄膜形成工程を示し、最初に面配向<110>p型単結晶Si基板1からなるアクチェータ基板上に熱酸化法でシリコン酸化膜2を厚さ1.5μm形成する。ここで、Si基板1は面配向<100>p型Si基板、ガラス基板でもよい。
図2(B)は、個別電極形成工程と個別電極保護絶縁膜形成工程を示し、シリコン酸化膜2の上に例えば導電性薄膜材料として酸化チタン膜3を厚さ0.6μm形成する。形成方法としては、スパッタ法、真空蒸着法、あるいはCVD法等を用いる。この窒化チタン膜3に対しリソグラフィーとエッチングにより個別電極3aを形成する。導電性薄膜材料としては、高融点金属材料、例えばタングステン、チタンシリサイドやポリシリコンに不純物を注入した拡散電極でもよい。個別電極3aを形成した後、再度、振動板電極と対向する部位の個別電極3a上にパターニングを行いハーフエッチングすることにより溝3bを形成する。この溝3bは個別電極3aの大きさにより任意の数を設ける。
図6は、実施例1の静電アクチュエータにおける振動板と溝を有する個別電極を模式的に示す図で、図6(A)は断面図、図6(B)は図6(A)のY−Y線矢視図である。
図6に示すように、振動板30と個別電極3a間のギャップ10は、個別電極3aに形成した溝3bによってギャップが広く形成されるので、犠牲層エッチング時にこの溝3bを介してギャップ10の幅が狭い部分にも十分なエッチャントが供給される。これにより、アクチュエータ自身の面積を増加させることなく、狭ギャップのアクチュエータにおいてもエッチストップやエッチング残のない犠牲層エッチングを行うことができる。
図6に示すように、振動板30と個別電極3a間のギャップ10は、個別電極3aに形成した溝3bによってギャップが広く形成されるので、犠牲層エッチング時にこの溝3bを介してギャップ10の幅が狭い部分にも十分なエッチャントが供給される。これにより、アクチュエータ自身の面積を増加させることなく、狭ギャップのアクチュエータにおいてもエッチストップやエッチング残のない犠牲層エッチングを行うことができる。
溝3bの配置については、図6と異なる形状にしても同様の効果が得られる。
図7〜11は、それぞれ図6と異なる振動板と溝を有する個別電極を模式的に示す図で、図7〜11(A)は断面図、図7〜11(B)は図7〜11(A)のY−Y線矢視図である。
図7〜11は、それぞれ図6と異なる振動板と溝を有する個別電極を模式的に示す図で、図7〜11(A)は断面図、図7〜11(B)は図7〜11(A)のY−Y線矢視図である。
また、図12は、溝を有する振動板と個別電極を模式的に示す図で、図12(A)は断面図、図12(B)は図12(A)のY−Y線矢視図である。
図12に示す例は、図6〜11に示す例とは逆に、振動板電極7aに溝7cを設けた例である。
図12に示す例は、図6〜11に示す例とは逆に、振動板電極7aに溝7cを設けた例である。
さらに、図13は、溝を有する振動板と溝を有する個別電極を模式的に示す図で、図13(A)は断面図、図13(B)は図13(A)のY−Y線矢視図である。
図13に示す例は、振動板電極7a及び個別電極3aの両方に溝7c、3bを設けた例である。
図13に示す例は、振動板電極7a及び個別電極3aの両方に溝7c、3bを設けた例である。
次に、図2(B)に戻って、液滴吐出ヘッドの液滴吐出動作時に振動板30と個別電極3aとの絶縁を確保し短絡を防止するための個別電極保護絶縁膜4を成膜する。絶縁膜としては、例えばシリコン酸化膜を用いることができる。個別電極保護絶縁膜4がシリコン酸化膜であれば厚み0.2μm形成する。
図2(C)は、犠牲層形成工程と振動板保護絶縁膜形成工程を示す図であり、個別電極保護絶縁膜4の上にCVD法でポリシリコン膜5を厚さ0.4μm成膜する。このポリシリコン膜5をリソグラフィーとエッチングにより、犠牲層領域5aと隔壁領域5bにパターニングする。次に、振動板30の一部となり、且つ振動板30と個別電極3aとの絶縁を確保し短絡を防止するため、振動板保護絶縁膜6を成膜する。例えば、CVD法によりシリコン酸化膜を振動板保護絶縁膜6として、0.15μm形成する。
図2(D)は、振動板電極形成工程を示す図であり、振動板保護絶縁膜6上にCVD法でpドープドポリシリコン7を0.2μm堆積させ、リソグラフィーとドライエッチングで振動板電極7aと隔壁領域7bに分離する。ここで、振動板電極材料は、高融点金属材料、例えばCVD法、スパッタ法、真空蒸着法等で窒化チタンなどを成膜してもよい。
図2(E)は、振動板引っ張り応力膜形成工程と電極電位取出しコンタクト形成工程を示す図であり、振動板30が撓まないように引張り応力膜8、例えばCVD法で窒化膜を厚さ0.1μm成膜する。
図2(F)は、犠牲層除去孔及び犠牲層を除去することにより形成されるギャップ(空隙)10(狭幅部10a、連通管部10b、バッファ部10c、大気開放部10d)の形成を示す図である。
まず、リソグラフィーとドライエッチングで引張り応力膜8に犠牲層除去孔9を開口する。
次に、犠牲層除去孔9を介して犠牲層領域5aのポリシリコン膜5からなる犠牲層を完全にエッチングする。
まず、リソグラフィーとドライエッチングで引張り応力膜8に犠牲層除去孔9を開口する。
次に、犠牲層除去孔9を介して犠牲層領域5aのポリシリコン膜5からなる犠牲層を完全にエッチングする。
エッチング方法としてはTMAH等のウェットエッチングや六弗化硫黄プラズマエッチング、2弗化キセノンガスエッチング等のドライエッチングが適用できる。犠牲層エッチングは、微小な犠牲層除去孔(エッチングホール)にエッチャントを導くことによりエッチングを行うため、例えばウェットエッチングを用いた場合には、この微小なエッチングホールを通して空隙内を乾燥させる必要があり、十分な乾燥が難しく振動板の信頼性への影響が懸念される。これに対して、ドライエッチング技術を用いた場合には、乾燥等の後工程の必要はなく信頼性の高い静電アクチュエータを提供することができるので、ドライエッチングのほうがより好ましい。
除去された犠牲層領域5aは、振動板30と個別電極3aとの間のギャップ10の狭幅部10a、連通管部10b、バッファ部10c、及び大気開放部10dを形成する。
除去された犠牲層領域5aは、振動板30と個別電極3aとの間のギャップ10の狭幅部10a、連通管部10b、バッファ部10c、及び大気開放部10dを形成する。
図3(G)は、犠牲層除去孔9の封止を示す図であり、封止材料をスピンコート法により0.5μm塗布することにより犠牲層除去孔9を封止し、その後リソグラフィーにて封止材料を必要な形状にパターニング11している。塗布方法としては立体スプレー法等の方法でもかまわない。封止材料としては、例えばポリイミド、PBO膜(ポリベンゾオキサゾール)等が適材である。
図3(H)は、リソグラフィーとエッチングにより個別電極コンタクト13と振動板電極コンタクト12を開口した図を示す。
図3(I)は、配線形成工程を示す図であり、スパッタ法、真空蒸着法で配線材料、例えばアルミニウムを厚さ0.5μm成膜する。リソグラフィーとウェットエッチングで個別電極電位取り出し配線14及び振動板電極電位取り出し配線15を形成する。また、同時にギャップ10の狭幅部10a、連通管部10b、バッファ部10cに形成された犠牲層犠牲層除去孔9の封止パターン11も前記配線14、15の配線材料で覆うようにパターニング16する。これによりギャップ10の狭幅部10a、連通管部10b及びバッファ部10cは外気と分離され、大気開放部10dのみ大気と連通することになる。
図3(J)は、振動板30にインク耐性をもたせるために、振動板接液膜19をスピンコート法で0.5μm形成する工程を示す。この時、配線材料の開口はリソグラフィーにより形成する。塗布方法としては立体スプレー法等の方法でもかまわない。
最後に、アクチュエータ基板23を貫通する液体供給孔20をリソグラフィー及びエッチングを用いて形成する。これで、アクチュエータ基板23が完成する。
最後に、アクチュエータ基板23を貫通する液体供給孔20をリソグラフィー及びエッチングを用いて形成する。これで、アクチュエータ基板23が完成する。
図3(J)は、液滴吐出ヘッドの完成品を示す図でもある。共通液室27、流体抵抗24、加圧液室25、連通口26を有する加圧液室基板22に、ニッケル電鋳加工により液滴ノズル孔28が形成されているノズル板21を貼り付ける。これにアクチェータ基板23を位置合せし、接着剤で接合する。これで、液滴吐出ヘッド29が完成する。
実施例2の静電アクチュエータについて、図1、図4に基づいて説明する。
図4は、実施例2の静電アクチュエータの製造方法の一部を説明するための図で、図1におけるX−X線の断面図である。
図4(A)は、酸化膜薄膜形成工程を示す図2(A)に対応する図で、最初に面配向<110>p型単結晶Si基板1からなるアクチェータ基板上に熱酸化法でシリコン酸化膜2を厚さ1.5μm形成する。ここで、シリコン酸化膜2は面配向<100>p型Si基板、ガラス基板でもよい。
図4は、実施例2の静電アクチュエータの製造方法の一部を説明するための図で、図1におけるX−X線の断面図である。
図4(A)は、酸化膜薄膜形成工程を示す図2(A)に対応する図で、最初に面配向<110>p型単結晶Si基板1からなるアクチェータ基板上に熱酸化法でシリコン酸化膜2を厚さ1.5μm形成する。ここで、シリコン酸化膜2は面配向<100>p型Si基板、ガラス基板でもよい。
図4(B)は、個別電極形成工程と個別電極保護絶縁膜形成工程を示す図2(B)に対応する図で、シリコン酸化膜2の上に例えば導電性薄膜材料として窒化チタン膜3を厚さ0.6μm形成する。形成方法としては、スパッタ法、真空蒸着法、あるいはCVD法等を用いる。この窒化チタン膜に対しリソグラフィーとエッチングにより個別電極3aを形成する。
この時、個別電極パターンを図10に示すように蛇行させることにより、この蛇行の隙間に溝3bが形成される形状とする。これにより、この溝3bで形成されるギャップ10の広いギャップ部分を通して、エッチャントは振動板30と個別電極3aが対向する狭いギャップ部分に十分に供給される。これにより、広いギャップ形成のための工程を追加することなく、狭ギャップのアクチュエータにおいても、エッチストップやエッチング残のない犠牲層エッチングを行うことができる。この溝3bの配置については、図10の他に図11に示すような形状にしても同様の効果が得られる。
また、図14は、図10に示す例とは逆に振動板電極7aのパターンを蛇行させることにより、蛇行の隙間にギャップ10の幅が広い部位を形成し、ギャップの狭い部位に十分なエッチャントを導入できるようにした例を示す。
さらに、図15は、振動板電極7a及び個別電極3aに、それぞれ溝7c及び溝3bを形成した例を示す。
なお、個別電極パタ−ンの導電性薄膜材料としては、高融点金属材料、例えばタングステン、チタンシリサイドやポリシリコンに不純物を注入した拡散電極としてもよい。
以降の工程については、実施例1において示した図2(C)以降と同じであるので、ここでは説明を省略する。
さらに、図15は、振動板電極7a及び個別電極3aに、それぞれ溝7c及び溝3bを形成した例を示す。
なお、個別電極パタ−ンの導電性薄膜材料としては、高融点金属材料、例えばタングステン、チタンシリサイドやポリシリコンに不純物を注入した拡散電極としてもよい。
以降の工程については、実施例1において示した図2(C)以降と同じであるので、ここでは説明を省略する。
実施例3の静電アクチュエータについて、図1、図5に基づいて説明する。
図5は、実施例3の静電アクチュエータの製造方法の一部を説明するための図で、図1におけるX−X線の断面図である。
図5(A)は、酸化膜薄膜形成工程を示す図2(A)に対応する図で、最初に面配向<110>p型単結晶Si基板1からなるアクチェータ基板上に熱酸化法でシリコン酸化膜2を厚さ1.5μm形成する。ここで、Si基板1は面配向<100>p型Si基板、ガラス基板でもよい。
図5は、実施例3の静電アクチュエータの製造方法の一部を説明するための図で、図1におけるX−X線の断面図である。
図5(A)は、酸化膜薄膜形成工程を示す図2(A)に対応する図で、最初に面配向<110>p型単結晶Si基板1からなるアクチェータ基板上に熱酸化法でシリコン酸化膜2を厚さ1.5μm形成する。ここで、Si基板1は面配向<100>p型Si基板、ガラス基板でもよい。
図5(B)は、個別電極形成工程と個別電極保護絶縁膜形成工程を示す図2(B)に対応する図で、シリコン酸化膜2の上に例えば導電性薄膜材料として窒化チタン膜3を厚さ0.6μm形成する。形成方法としては、スパッタ法、真空蒸着法、あるいはCVD法等を用いる。この窒化チタン膜3に対しリソグラフィーとエッチングにより個別電極3aを形成する。導電性薄膜材料としては、高融点金属材料、例えばタングステン、チタンシリサイドやポリシリコンに不純物を注入した拡散電極でもよい。
次に、液滴吐出ヘッド29の動作時に振動板30と個別電極3aとの絶縁を確保し短絡を防止するための個別電極保護絶縁膜4を成膜する。絶縁膜4としては、例えばシリコン酸化膜を用いることができる。個別電極保護絶縁膜4がシリコン酸化膜であれば厚み0.2μm形成する。
次に、リソグラフィー及びエッチング技術により個別電極保護絶縁膜4上に図16に示す細い溝4aを形成する。これにより振動板30と個別電極3aのギャップ10は、絶縁膜4に溝4aを形成した部分はギャップが広く形成されるので犠牲層エッチング時にこの溝4aを介してギャップ幅が狭い部分にも十分なエッチャントが供給される。これにより、アクチュエータ自身の面積を増加させることなく、狭ギャップのアクチュエータにおいても、エッチストップやエッチング残のない犠牲層エッチングを行うことができる。
この溝の配置については実施例1と同様に図7〜11に示す形状にしても同様の効果が得られる。
また、図17には図16の例とは逆に振動板電極保護絶縁膜6に溝6aを設けた例を示す。
さらに、図18には振動板電極保護絶縁膜6及び個別電極保護絶縁膜4にそれぞれ溝6a及び溝4aを設けた例を示す。以降の工程については実施例1に示す図2(C)以降と同じであるので、ここでは説明を省略する。
また、図17には図16の例とは逆に振動板電極保護絶縁膜6に溝6aを設けた例を示す。
さらに、図18には振動板電極保護絶縁膜6及び個別電極保護絶縁膜4にそれぞれ溝6a及び溝4aを設けた例を示す。以降の工程については実施例1に示す図2(C)以降と同じであるので、ここでは説明を省略する。
次に、本発明に係るインクカートリッジについて、図19を参照して説明する。
実施例4のインクカートリッジは、ノズル40を有する前記実施例1〜3のいずれかの静電アクチュエータを搭載したインクジェットヘッド41と、このインクジェットヘッド41に対してインクを供給するインクタンク42とを一体化したものである。
実施例4のインクカートリッジは、ノズル40を有する前記実施例1〜3のいずれかの静電アクチュエータを搭載したインクジェットヘッド41と、このインクジェットヘッド41に対してインクを供給するインクタンク42とを一体化したものである。
このようなインクタンク一体型のインクジェットヘッド41の場合、インクジェットヘッドの低コスト化、信頼性は、ただちにインクカートリッジ全体の低コスト化、信頼性につながるので、前記したように低コスト化、高信頼性化、製造不良低減化することで、インクカートリッジの歩留まり、信頼性が向上し、ヘッド一体型インクカートリッジの低コスト化を図ることができる。
次に、本発明に係るインクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置の一例について図20及び図21を参照して説明する。
図20は実施例5のインクジェット記録装置を説明するための斜視図、図21は同記録装置の機構部を説明するための側断面図である。
図20は実施例5のインクジェット記録装置を説明するための斜視図、図21は同記録装置の機構部を説明するための側断面図である。
実施例5のインクジェット記録装置は、記録装置本体51の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ63、キャリッジ63に搭載した本発明を実施したインクジェットヘッドからなる記録ヘッド64、記録ヘッド64へインクを供給するインクカートリッジ65等で構成される印字機構部52等を収納し、記録装置本体51の下方部には前方側から多数枚の用紙53を積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい。)54を抜き差し自在に装着することができ、また用紙53を手差しで給紙するための手差しトレイ55を開倒することができ、給紙カセット54或いは手差しトレイ55から給送される用紙53を取り込み、印字機構部52によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ56に排紙する。
印字機構部52は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド61と従ガイドロッド62とでキャリッジ63を主走査方向(図21で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ63にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する本発明に係るインクジェットヘッドからなる記録ヘッド64を複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。またキャリッジ63には記録ヘッド64に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ65を交換可能に装着している。
インクカートリッジ65は上方に大気と連通する大気口、下方には記録ヘッド64へインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、記録ヘッド64としてここでは各色の記録ヘッドを用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個の記録ヘッドでもよい。
ここで、キャリッジ63は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド61に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド62に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ63を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ67で回転駆動される駆動プーリ68と従動プーリ69との間にタイミングベルト70を張装し、このタイミングベルト70をキャリッジ63に固定しており、主走査モータ67の正逆回転によりキャリッジ63が往復駆動される。
一方、給紙カセット54にセットした用紙53を記録ヘッド64の下方側に搬送するために、給紙カセット54から用紙53を分離給装する給紙ローラ71及びフリクションパッド72と、用紙53を案内するガイド部材73と、給紙された用紙53を反転させて搬送する搬送ローラ74と、この搬送ローラ74の周面に押し付けられる搬送コロ75及び搬送ローラ74からの用紙53の送り出し角度を規定する先端コロ76とを設けている。搬送ローラ74は副走査モータ77によってギヤ列を介して回転駆動される。
そして、キャリッジ63の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ74から送り出された用紙53を記録ヘッド64の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材79を設けている。この印写受け部材79の用紙搬送方向下流側には、用紙53を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ81、拍車82を設け、さらに用紙53を排紙トレイ56に送り出す排紙ローラ83及び拍車84と、排紙経路を形成するガイド部材85,86とを配設している。
記録時には、キャリッジ63を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド64を駆動することにより、停止している用紙53にインクを吐出して1行分を記録し、用紙53を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙53の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙53を排紙する。
また、キャリッジ63の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、記録ヘッド64の吐出不良を回復するための回復装置87を配置している。回復装置87はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ63は印字待機中にはこの回復装置87側に移動されてキャッピング手段でヘッド64をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中等に記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段で記録ヘッド64の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
このように、このインクジェット記録装置においては、実施例1〜3の静電アクチュエータを使用したインクジェットヘッドからなる記録ヘッドを搭載しているので、振動板駆動不良によるインク滴吐出不良がなく、安定したインク滴吐出特性が得られて、画像品質が向上する。また、記録ヘッドは電極間のギャップが小さく、低電圧で駆動できるヘッドを搭載するので、インクジェット記録装置全体の消費電力も低減できる。
なお、実施例5のインクジェット記録装置においては、実施例1〜3の静電アクチュエータをインクジェットヘッドに適用したが、インク以外の液滴、例えばパターニング用の液体レジストを吐出する液滴吐出ヘッドにも適用することができる。
実施例6は、実施例1〜3の静電アクチュエータの構成をマイクロポンプに応用したものである。
図22は、実施例6のマイクロポンプを説明するための断面図で、以下その動作原理について説明する。
基板上に設けられた複数の電極91とギャップを介して振動板92が複数設けられており、流路94の中を流体が流れる構造となっている。振動板92を図22において右側に配置されている振動板92から順次左方に向かって駆動することによって、変形した振動板によって押し出される流体部分93は流路94中に矢印方向へ流れを生じさせ、流体の輸送が可能となる。本実施例では振動板を複数設けた例を示したが、振動板は1つとすることもでき、また輸送効率を上げるために弁等を設けても良い。
図22は、実施例6のマイクロポンプを説明するための断面図で、以下その動作原理について説明する。
基板上に設けられた複数の電極91とギャップを介して振動板92が複数設けられており、流路94の中を流体が流れる構造となっている。振動板92を図22において右側に配置されている振動板92から順次左方に向かって駆動することによって、変形した振動板によって押し出される流体部分93は流路94中に矢印方向へ流れを生じさせ、流体の輸送が可能となる。本実施例では振動板を複数設けた例を示したが、振動板は1つとすることもでき、また輸送効率を上げるために弁等を設けても良い。
実施例7は、実施例1〜3の静電アクチュエータの構成を光学デバイスに応用したものである。
図23は、光学デバイスの動作原理を説明するための断面図である。
図23に示すように、電極101が設けられた基板上にギャップを介して振動板が複数配列され、振動板表面は高反射率の面に形成されミラー102を兼ねる。振動板の表面は反射率を増加させるため誘電体多層膜や金属膜を形成すると良い。光源103からの光はレンズ104を介してミラー102に照射される。ミラー102を駆動しない場合、光は入射角と同じ角度で反射する。ミラー102を駆動した場合は凹面ミラーとなるので反射光は発散光となる。このように本発明により光変調デバイスが実現できる。
図23は、光学デバイスの動作原理を説明するための断面図である。
図23に示すように、電極101が設けられた基板上にギャップを介して振動板が複数配列され、振動板表面は高反射率の面に形成されミラー102を兼ねる。振動板の表面は反射率を増加させるため誘電体多層膜や金属膜を形成すると良い。光源103からの光はレンズ104を介してミラー102に照射される。ミラー102を駆動しない場合、光は入射角と同じ角度で反射する。ミラー102を駆動した場合は凹面ミラーとなるので反射光は発散光となる。このように本発明により光変調デバイスが実現できる。
図24は、実施例7の光学デバイスを説明するための斜視図である。
図23において、光源103からの光はレンズ104を介してミラー102に照射され、ミラー102を駆動していない部分に入射した光は、投影用レンズ105へ入射される。一方、電極101と振動板間に電圧を印加してミラー102を変形させると、変形した部分は凹面ミラーとなるので、光は発散し投影用レンズ105にほとんど入射しない。投影用レンズ105に入射した光はスクリーン(図示しない)等に投影される。この構造を図24に示すように2次元に配列し、それぞれのミラー102を独立に駆動することによって、スクリーンに画像を表示できる。図24では、例として4×4のミラー配列を示したがさらに多数配列することも可能であり、それにより精細な画像を表示することも可能になる。
図23において、光源103からの光はレンズ104を介してミラー102に照射され、ミラー102を駆動していない部分に入射した光は、投影用レンズ105へ入射される。一方、電極101と振動板間に電圧を印加してミラー102を変形させると、変形した部分は凹面ミラーとなるので、光は発散し投影用レンズ105にほとんど入射しない。投影用レンズ105に入射した光はスクリーン(図示しない)等に投影される。この構造を図24に示すように2次元に配列し、それぞれのミラー102を独立に駆動することによって、スクリーンに画像を表示できる。図24では、例として4×4のミラー配列を示したがさらに多数配列することも可能であり、それにより精細な画像を表示することも可能になる。
本発明の構成は、代表的な応用例として、液滴吐出ヘッド、マイクロポンプ、光学変調デバイスを例としてあげたが、これ以外の光学デバイス、マイクロアクチュエータなどにも適用可能である。
1…単結晶Si基板、2…シリコン酸化膜、3…酸化チタン膜、3a…個別電極、3b…溝、4…個別電極保護絶縁膜、4a…溝、5…ポリシリコン膜、5a…犠牲層領域、5b…隔壁領域、6…振動板電極保護絶縁膜、6a…溝、7…pドープポリシリコン、7a…振動板電極、7b…隔壁領域、7c…溝、8…引っ張り応力膜、9…犠牲層除去孔、10…ギャップ、10a…狭幅部、10b…連通管部、10c…バッファ部、10d…大気開放部、11…封止パターン、12…振動板電極コンタクト、13…個別電極コンタクト、14…個別電極電位取り出し配線、15…振動板電極電位取り出し配線、16…パターニング、19…振動板接液膜、20…液体供給口、21…ノズル板、22…加圧液室基板、23…アクチュエータ基板、24…流体抵抗、25…加圧液室、26…連通孔、27…共通液室、28…ノズル孔、29…液滴吐出ヘッド、30…振動板、40…ノズル、41…インクジェットヘッド、42…インクタンク、51…記録装置本体、52…印字機構部、53…用紙、54…給紙カセット、55…手差しトレイ、56…排紙トレイ、61…主ガイドロッド、62…従ガイドロッド、63…キャリッジ、64…記録ヘッド、65…インクカートリッジ、67…主走査モータ、70…タイミングベルト、72…フリクションパッド、74…搬送ローラ、75…搬送コロ、77…副走査モータ、79…印写受け部材、81…搬送コロ、82…拍車、83…排紙コロ、84…拍車、91…電極、92…振動板、94…流路、101…電極、102…ミラー、103…光源、104,105…レンズ。
Claims (10)
- 対向配置される電極の一方の電極(以下、振動板電極という)を備えた振動板と、該振動板と犠牲層エッチングによって形成された空隙を介して設けられた他方の電極(以下、個別電極という)を備えた基板からなり、前記振動板電極と個別電極間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電力により変形させる静電型アクチュエータにおいて、前記振動板電極と個別電極の少なくとも一方の電極は、前記空隙にエッチャントを誘導促進するため、前記空隙の一部の間隔を広げる溝構造を有することを特徴とする静電アクチュエータ。
- 請求項1に記載の静電アクチュエータにおいて、前記振動板電極と個別電極の少なくとも一方の電極に段差を設けることにより前記溝構造を形成することを特徴とする静電アクチュエータ。
- 請求項1に記載の静電アクチュエータにおいて、前記振動板電極と個別電極の少なくとも一方の電極のパターンを蛇行形状にすることにより前記電極パターン自体で前記溝構造を形成することを特徴とする静電アクチュエータ。
- 請求項1乃至3いずれかに記載の静電アクチュエータにおいて、前記振動板電極と個別電極の少なくとも一方の電極の保護膜を形成し、該保護膜に段差を設けることにより前記溝構造を形成することを特徴とする静電アクチュエータ。
- 請求項1乃至4いずれかに記載の静電アクチュエータにおいて、前記空隙を形成する犠牲層エッチングはドライエッチングであることを特徴とする静電アクチュエータ。
- 請求項1乃至5いずれかに記載の静電アクチュエータと、液滴を吐出するノズル孔を有するノズル板と、前記ノズル孔と連通する加圧液室を有する加圧液室基板とからなり、前記振動板の変形により前記加圧液室内の内圧を高めて前記ノズル孔から液滴を吐出することを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項6に記載の液滴吐出ヘッドと該液滴吐出ヘッドに液体を供給するタンクを一体化したことを特徴とする液体カートリッジ。
- 請求項6に記載の液滴吐出ヘッドまたは請求項7に記載の液体カートリッジを備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1乃至5いずれかに記載の静電アクチュエータを備え、前記振動板の変形によって液体を輸送するマイクロポンプにおいて、前記振動板電極と個別電極からなる1対の電極を少なくとも2対以上設け、前記振動板電極と個別電極間に作用する静電気力によって前記振動板を変形することを特徴とするマイクロポンプ。
- 請求項1乃至5いずれかに記載の静電アクチュエータを備え、前記振動板に形成されたミラーの変形によって光の反射方向を変化させる光変調デバイスにおいて、前記振動板電極と個別電極とからなる1対の電極を少なくとも2対以上設け、前記振動板電極と個別電極間に作用する静電気力による前記振動板の変形によって前記ミラーを変形させることを特徴とする光変調デバイス。
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JP2004260694A JP2006075928A (ja) | 2004-09-08 | 2004-09-08 | 静電アクチュエータ、及び該静電アクチュエータを用いた液滴吐出ヘッド、液体カートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロポンプ、光変調デバイス |
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