JP2006075220A - 白内障確認装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 構造が容易であり、しかも専門医の診断を受けることなく、患者自ら白内障に罹患しているか否かを正確に判断することができる白内障確認装置及び方法を提供する。
【解決手段】 眼球の水晶体に、接眼レンズ3により収束した光を入射する白内障確認装置であって、光入射手段4は、略平行な光束を生成し、生成した略平行な光束を接眼レンズ3に略直交するよう入射し、接眼レンズ3の焦点近傍に水晶体が位置するよう調節し、視認体を視認できない領域が存在するか否かを確認する。
【選択図】 図1
【解決手段】 眼球の水晶体に、接眼レンズ3により収束した光を入射する白内障確認装置であって、光入射手段4は、略平行な光束を生成し、生成した略平行な光束を接眼レンズ3に略直交するよう入射し、接眼レンズ3の焦点近傍に水晶体が位置するよう調節し、視認体を視認できない領域が存在するか否かを確認する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、白内障に罹患しているか否かを患者自らが確認することができる白内障確認装置及び方法に関する。
従来、白内障のような水晶体の濁り具合が正常であるか否かの診断は、細隙灯顕微鏡によるスリット観察、及び徹照像の観察を主体として行っていた。また、被検眼をスリット光により光切断し、シャインプルークの原理に基づいて配置された撮影光学系により眼球前眼部の断面像を得、得られた断面像を医師が読図することにより、水晶体等の混濁を診断する装置も良く用いられている。
しかし、上述した方法では、ある程度白内障が進行した状態での水晶体の混濁を診断することは可能であるが、白内障を早期で発見することは困難であるという問題点があった。また、細隙灯顕微鏡による徹照像、又はシャインプルークの原理を用いて撮影された眼球前眼部の断面像は、眼科医の専門的な観察が必要であり、白内障の患者は、自覚症状が現われ、白内障が進行してから初めて、自分が白内障に罹患していることが分かるようになるという問題点があった。
斯かる問題を解決すべく、例えば特許文献1では、眼球前眼部の中間透光体を眼底で散乱反射した光により後方から照明するように眼球内に照明光を入射させる照明光学系と、分光情報を持った画像を得るイメージング分光器を有し、該イメージング分光器により照明光学系で照明された眼球前眼部の徹照像を撮影する撮影光学系とを備える眼科検査装置が開示されている。
特開2002−224041号公報
しかし、上述した従来の眼科検査装置では、照明された眼球前眼部の徹照像を撮影し、撮影した画像を表示装置へ出力して、又は印刷装置へ出力して観察する。そして、白内障を罹患しているか否かの判断は、表示出力又は印刷出力された画像に、白内障による水晶体の混濁部が影として結像しているか否かで判断する。しかし、白内障による水晶体の混濁部は、影として明確な輪郭を有することなく結像しており、結局専門医である眼科医の知識、経験等に基づく判断に左右される。したがって、白内障の患者は、撮影した画像又は印刷出力した画像に基づいて眼科医による説明を受けた場合であっても、自覚症状がない限り、自分が白内障に罹患していることがわからないという他覚的検査しか受けることができないという問題点があった。
また、上述した従来の眼科検査装置の構造は複雑であり、コスト又は設置場所の観点から、すべての眼科医が容易に導入することができるものではないという問題点があった。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、構造が容易であり、しかも専門医の診断を受けることなく、患者自ら白内障に罹患しているか否かを正確に判断することができる白内障確認装置及び方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために第1発明に係る白内障確認装置は、眼球の水晶体に光を入射すべき光入射手段と、前記光入射手段から入射した光を前記水晶体方向へ収束させる接眼レンズと、前記光入射手段から入射した光を、前記接眼レンズに略直交する略平行な光束へ調整する入射光調整手段と、前記接眼レンズの焦点近傍に前記水晶体が位置するよう調整する焦点位置調整手段とを備えることを特徴とする。
また、第2発明に係る白内障確認装置は、第1発明において、一端に前記接眼レンズを、他端に前記光入射手段を、それぞれ配置した筒状のハウジングを備えることを特徴とする。
また、第3発明に係る白内障確認装置は、第2発明において、前記ハウジングの長さは、前記接眼レンズの焦点距離の2倍より長いことを特徴とする。
また、第4発明に係る白内障確認装置は、第2又は第3発明において、前記ハウジングは、前記光入射手段から入射した光以外の入射を遮るよう構成してあることを特徴とする。
また、第5発明に係る白内障確認装置は、第1乃至第4発明のいずれか1つにおいて、前記光入射手段は、自然光を取り入れる開口部であり、前記入射光調整手段は、前記光入射手段と前記接眼レンズとの間に設けた一又は複数の対物レンズであることを特徴とする。
また、第6発明に係る白内障確認装置は、第5発明において、前記光入射手段と前記接眼レンズとの間に、格子状又は網状の視認体を配置してあることを特徴とする。
また、第7発明に係る白内障確認装置は、第1乃至第4発明のいずれか1つにおいて、前記光入射手段は、略平行な光束を発する電子発光装置であることを特徴とする。
また、第8発明に係る白内障確認装置は、第7発明において、前記電子発光装置は、複数の点光源を有し、点光源毎に点灯又は消灯することが可能にしてあることを特徴とする。
また、第9発明に係る白内障確認方法は、眼球の水晶体に、接眼レンズにより収束した光を入射する白内障確認方法であって、略平行な光束を生成し、生成した略平行な光束を前記接眼レンズに略直交するよう入射し、前記接眼レンズの焦点近傍に前記水晶体が位置するよう調整し、視認体を視認できない領域が存在するか否かを確認することを特徴とする。
第1又は第9発明では、略平行な光束を接眼レンズに略直交するよう入射することにより、眼球の水晶体近傍に焦点を結ぶように光束が収束する。したがって、近視、遠視等による目の奥行きの大小、又は水晶体のオートフォーカス機能の優劣に左右されることなく、いわゆるマックスウェル視の原理により、視認体を網膜で結像することができる。そして、接眼レンズの焦点距離を調整することにより、水晶体の中心部近傍で白内障を患っている被検者が使用した場合であっても、被検者は、水晶体に存在する混濁の輪郭を、視認体に対する障害物、例えば影の輪郭として認識することができ、混濁の存在を自ら確認することが可能となる。
第2発明では、一端に接眼レンズを、他端に光入射手段を、それぞれ配置した筒状のハウジングを備える。白内障に罹患しているか否かを確認する被検者は、斯かるハウジングの接眼レンズ側を眼球側に配置し、光入射手段から入射した光を介して視認体を網膜で結像する。したがって、複雑な光学機構が不要であり、製造コストの低減、及び装置の小型化、軽量化を図ることが可能となる。
第3発明では、ハウジングの長さは、接眼レンズの焦点距離の2倍より長い。ハウジングの長さが、接眼レンズの焦点距離の2倍以上である場合、光入射手段から入射した略平行な光は、接眼レンズを通過することにより、必ずハウジングの中心軸方向へと収束するように屈折する。したがって、眼球の水晶体近傍へ光を確実に入射することができ、水晶体内部の混濁の存在を、視認体に対する障害物、例えば影の輪郭として認識することができ、被検者は混濁の存在を自ら確認することが可能となる。
第4発明では、ハウジングは、光入射手段から入射した光以外の入射を遮るよう構成してある。これにより、外部から多量の散乱光が入射することにより、水晶体内部の混濁により生じた影の輪郭を認識することが困難になる事態を未然に防止することができ、水晶体内部の混濁の存在を、被検者自ら容易に確認することが可能となる。
第5発明では、光入射手段として自然光を取り入れる開口部を用い、入射光調整手段は、光入射手段と接眼レンズとの間に設けた一又は複数の対物レンズである。これにより、開口部から取り入れた自然光を対物レンズを介して略平行な光束に調整した後に接眼レンズへ入射させる。したがって、接眼レンズの焦点近傍に水晶体が位置するよう調整することで、複雑であり高価な光学機構を用いることなく、水晶体内部の混濁により生じた影の輪郭を認識することができ、水晶体内部の混濁の存在を、被検者自ら容易に確認することが可能となる。
第6発明では、光入射手段と接眼レンズとの間に、格子状又は網状の視認体を配置する。これにより、視認体に対する障害物、例えば影の輪郭は、格子状又は網状の視認体を遮る影として認識することができ、水晶体内部の混濁の存在を、被検者自らより容易に確認することが可能となる。
第7発明では、光入射手段として略平行な光束を発するLCDのような電子発光装置を用いる。これにより、略平行な光をより確実に接眼レンズへ入射することができ、眼球の水晶体近傍へ光を確実に入射することができ、水晶体内部の混濁の存在を、視認体に対する障害物、例えば影の輪郭として認識することができ、被検者は混濁の存在を自ら確認することが可能となる。
第8発明では、電子発光装置は、複数の点光源を有し、点光源毎に点灯又は消灯することができる。これにより、電子発光装置から入射される光自体で模様、色彩を変化させることができ、別個に視認体を設けることなく、水晶体内部の混濁の存在を、被検者自らより容易に確認することが可能となる。
第1又は第9発明によれば、近視、遠視等による目の奥行きの大小、又は水晶体のオートフォーカス機能の優劣に左右されることなく、いわゆるマックスウェル視の原理により、視認体を網膜で結像することができることから、白内障を罹患しているか否かを確認する被検者は、水晶体に存在する混濁の輪郭を、視認体に対する障害物、例えば影の輪郭として認識することができ、混濁の存在を自ら確認することが可能となる。
第2発明によれば、複雑な光学機構が不要であり、製造コストの低減、及び装置の小型化、軽量化を図ることが可能となる。
第3発明によれば、ハウジングの長さが、接眼レンズの焦点距離の2倍以上である場合、光入射手段から入射した光は、接眼レンズを通過することにより、必ずハウジングの中心軸方向へと収束するように屈折する。したがって、眼球の水晶体近傍へ光を確実に入射することができ、水晶体内部の混濁の存在を、視認体に対する障害物、例えば影の輪郭として認識することができ、被検者は混濁の存在を自ら確認することが可能となる。
第4発明によれば、外部から多量の散乱光が入射することにより、水晶体内部の混濁により生じた影の輪郭を認識することが困難になる事態を未然に防止することができ、水晶体内部の混濁の存在を、被検者自ら容易に確認することが可能となる。
第5発明によれば、開口部から取り入れた自然光を、対物レンズを介して略平行な光束に調整した後に接眼レンズへ入射させることにより、複雑であり高価な光学機構を用いることなく、水晶体内部の混濁により生じた影の輪郭を認識することができ、水晶体内部の混濁の存在を、被検者自ら容易に確認することが可能となる。
第6発明によれば、視認体に対する障害物、例えば影の輪郭は、格子状又は網状の視認体を遮る影として認識することができ、水晶体内部の混濁の存在を、被検者自らより容易に確認することが可能となる。
第7発明によれば、略平行な光をより確実に接眼レンズへ入射することができ、眼球の水晶体近傍へ光を確実に入射することにより、水晶体内部の混濁の存在を、視認体に対する障害物、例えば影の輪郭として認識することができ、被検者は混濁の存在を自ら確認することが可能となる。
第8発明によれば、電子発光装置から入射される光自体で模様、色彩を変化させることができ、別個に視認体を設けることなく、水晶体内部の混濁の存在を、被検者自らより容易に確認することが可能となる。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1(a)は、本発明の実施の形態1に係る白内障確認装置の斜視図であり、図1(b)は、本発明の実施の形態1に係る白内障確認装置の内部構成を示す模式図である。本実施の形態1に係る白内障確認装置は、円筒状のハウジング1の一端に、被検者が覗き込む接眼ガイド2を備え、被検者の眼球の水晶体との距離が焦点距離と略等しくなる位置に接眼レンズ3を配置している。ハウジング1の他端には、ハウジング1の中心軸方向と略平行な光を入射すべく、開口部である光取入れ口(光入射手段)4及び入射した光をハウジング1の中心軸方向と略平行な方向の光へと調整する対物レンズ(入射光調整手段)5を配置している。
図1(a)は、本発明の実施の形態1に係る白内障確認装置の斜視図であり、図1(b)は、本発明の実施の形態1に係る白内障確認装置の内部構成を示す模式図である。本実施の形態1に係る白内障確認装置は、円筒状のハウジング1の一端に、被検者が覗き込む接眼ガイド2を備え、被検者の眼球の水晶体との距離が焦点距離と略等しくなる位置に接眼レンズ3を配置している。ハウジング1の他端には、ハウジング1の中心軸方向と略平行な光を入射すべく、開口部である光取入れ口(光入射手段)4及び入射した光をハウジング1の中心軸方向と略平行な方向の光へと調整する対物レンズ(入射光調整手段)5を配置している。
ハウジング1は、被検者による保持を容易にすべく、軽量であり、堅固な工業用プラスチック等を用いる。ハウジング1の形状は、筒状であり、光取入れ口4から入射した光のみが対物レンズ5及び接眼レンズ3に入射する構成であれば、円筒状に限定されるものではなく、例えば四角筒状であっても良い。
ハウジング1の中心軸方向の長さは、接眼レンズ3の焦点距離の略2倍以上であることが望ましい。ハウジング1の中心軸方向の長さが、接眼レンズ3の焦点距離の2倍である場合、光取入れ口4の周端部から入射した自然光のうち、接眼レンズ3の焦点を通過する自然光は、接眼レンズ3によりハウジング1の中心軸方向と平行な方向へと屈折する。したがって、ハウジング1の中心軸方向の長さが、接眼レンズ3の焦点距離の略2倍以上である場合、光取入れ口4から入射した自然光は、接眼レンズ3を通過することにより、必ずハウジング1の中心軸方向へと収束するように屈折する。したがって、眼球の水晶体近傍へ光を確実に入射することができる。
接眼ガイド2は、被検者の眼球の水晶体中心部と接眼レンズ3との距離が、接眼レンズ3の焦点距離と略等しくなるようハウジング1の長手方向に摺動可能な構造となっている。図2は、本発明の実施の形態1に係る白内障確認装置の接眼ガイド2の部分断面図である。図2のように、ハウジング1の外周長は、端部へ近づくにつれて長くなっており、接眼ガイド2の内周長もそれに伴って長くなっている。そして、接眼ガイド2がハウジング1の外側へと摺動した場合、接眼ガイド2の内周面とハウジング1の外周面とが密着することにより、両者の摩擦力が増大し、接眼ガイド2の摺動を微妙に調節する焦点位置調整手段として機能する。
接眼ガイド2とハウジング1との位置関係の調節方法、すなわち被検者の眼球の水晶体中心部と接眼レンズ3との距離を調整する焦点位置調整手段は、これに限定されるものではなく、被検者が視認体を最も明確に視認することができるよう、水晶体中心部と接眼レンズ3との距離を調整可能な構造であればよく、例えば接眼ガイド2が蛇腹状であっても良い。
接眼レンズ3の倍率は、2乃至10倍程度であることが好ましい。例えば直径60mm程度の接眼レンズでは、接眼レンズ3の倍率が2倍である場合、焦点距離は略15cm程度であり、ハウジング1にある程度の大きさが要求される。したがって、これ以上倍率が小さい場合、装置の携帯性、使用の容易性が損なわれるおそれがある。
また、接眼レンズ3の倍率が10倍である場合、焦点距離は略2cm程度であり、接眼レンズ3と水晶体31との距離、すなわち接眼レンズ3の焦点が水晶体のどの位置になるようにするのか、容易に調整することが可能となる。しかし、これ以上倍率が上がった場合、過度に焦点距離が短くなり、接眼ガイド2とハウジング1との位置関係の調整、すなわち被検者の眼球の水晶体中心部と接眼レンズ3との距離を調整することが困難になる。
上述した構成の白内障確認装置の動作原理について説明する。図3は、人間の眼の概略構成を示す断面図である。人間は、透明な膜である角膜33を介して入射した光を、虹彩34で入射量を調節しながら前眼部の中間透光体である水晶体31へ入射する。水晶体31はレンズの機能を有しており、毛様体32により水晶体31の厚みを調節して、網膜35に像を結び、視神経を介して脳に伝達する。
図4は、水晶体31の構造を示す模式図である。水晶体31は、膜状の袋に包まれており、上皮細胞に接している膜を前嚢41、硝子体に接している薄い膜を後嚢42と呼んでいる。前嚢41及び後嚢42の中には線維細胞が木の年輪のように層状に規則正しく配列しており、皮質43が形成されている。皮質43は、加齢とともに水晶体31の中央に集積され、略50才前後から硬い核44が形成される。
白内障は、上述した機能を有する水晶体31に混濁が生じる病気であり、老化によるものが主因であり、その他の病気、外傷等によっても生じる。典型的な白内障の症状は、皮質43の周囲から混濁が進行するものであり、症状がある程度まで進行しない限り、患者に自覚症状が表れない。また、水晶体31の核44に混濁が生じるものについても、症状がある程度まで進行しない限り、患者に自覚症状が表れない。
一方、水晶体の後嚢42に混濁が生じるものについては、初期からまぶしさ、かすみ等の自覚症状が表れる。しかし、実際にどの部分に混濁が生じているのか把握することが困難である。
本実施の形態1に係る白内障確認装置は、被検者が、ハウジング1を保持し、接眼ガイド2を被検者の眼に押し当てる。被検者は、ハウジング1を介して見ることができる外部の景色が最も明確に見えるように、接眼ガイド2をハウジング1に対して摺動させる。
ハウジング1を通過した光は、接眼レンズ3に対して略直交しており、すなわちハウジング1の中心軸方向に略水平となっており、接眼レンズ3によって水晶体31の内部に焦点を結ぶように収束する。図5は、本発明の実施の形態1に係る白内障確認装置のハウジング1から入射した光の光路を示す模式図である。
図5に示すように、ハウジング1から入射した光L1は、接眼レンズ3によって水晶体31の内部に焦点Fを結ぶように収束し、網膜35上には、ハウジング1を介した視認体が倒置した状態で結像する。接眼レンズ3の焦点位置が水晶体31の内部に存在することから、近視、遠視等による網膜35までの奥行きの大小、又は水晶体31のオートフォーカス機能の優劣に左右されることなく、いわゆるマックスウェル視の原理により、視認体を網膜35で結像することができる。したがって、被検者は、水晶体31に存在する混濁の輪郭を、視認体に対する障害物、例えば影の輪郭として認識することができ、混濁の存在を自ら確認することが可能となる。
一方、水晶体31の略中央部分である核44に混濁が生じている場合、マックスウェル視の原理による像は、光が混濁により遮られることにより網膜35上で結像されない。したがって、接眼ガイド2を調整して、核44に生じている混濁の輪郭が視認できるように水晶体31と接眼レンズ3の焦点との位置関係を微調整する。これにより、被検者は、水晶体31に存在する混濁の位置に依存せず、混濁の存在を自ら確認することが可能となる。
水晶体31における混濁の存在をより明確に確認することができるように、視認体として格子状の模様、又は網状の模様を用いることが好ましい。図6は、網状の模様を有する視認体の例示図である。水晶体31に混濁がない場合には、図6(a)に示すように網状の模様が上下倒置した状態で視認できる。しかし、水晶体31に混濁がある場合には、図6(b)に示すように、混濁が存在する部分は網膜35に像を結ぶことができないことから、網状の模様上に影61が生じる。被検者は、網状の模様に欠損部があるか否かを影61が存在するか否かに基づいて確認することができ、水晶体31に混濁が存在するか否かを容易に確認することができる。
また、ハウジング1の形状が四角筒状である場合、視認体として格子状の模様を用いることが好ましい。図7は、格子状の模様を有する視認体の例示図である。水晶体31に混濁がない場合には、図7(a)に示すように格子状の模様が上下倒置した状態で視認できる。しかし、水晶体31に混濁がある場合には、図7(b)に示すように、混濁が存在する部分は網膜35に像を結ぶことができないことから、格子状の模様上に影71が生じる。被検者は、格子状の模様に欠損部があるか否かを影71が存在するか否かに基づいて確認することができ、水晶体31に混濁が存在するか否かを容易に確認することができる。
なお、視認体を外部に設けるのではなく、本実施の形態1に係る白内障確認装置内部に設けても良い。すなわち、接眼レンズ3と光取入れ口4との間に、格子状又は網状の模様を付した透明体を設けることにより、透明体に付した格子状又は網状の模様に欠損部があるか否かを確認することにより、被検者は、自分の水晶体31に混濁が存在するか否かを容易に確認することができる。
以上のように本実施の形態1によれば、略平行な光束を接眼レンズ3に略直交するよう入射させ、水晶体31の近傍に焦点を結ぶように光束が屈折し、水晶体31近傍に光が収束するように接眼レンズ3の位置を調節する。したがって、近視、遠視等による目の奥行きの大小、又は水晶体のオートフォーカス機能の優劣に左右されることなく、いわゆるマックスウェル視の原理により、視認体を網膜35で結像することができ、被検者は、水晶体31に存在する混濁の輪郭を、視認体に対する障害物、例えば影の輪郭として認識することができ、混濁の存在を自ら確認することが可能となる。また、複雑な光学機構が不要であり、製造コストの低減、及び装置の小型化、軽量化を図ることが可能となる。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2に係る白内障確認装置の内部構成を示す模式図である。本実施の形態2に係る白内障確認装置は、実施の形態1とは異なり、光取入れ口から光を入射するのではなく、ハウジング1の中心軸方向と略平行な光を出射する電子発光装置(光入射手段)6を設けている点に特徴を有する。なお、実施の形態1と同様の構成及び機能を有する構成要素については、同一の符号を付することで詳細な説明は省略する。
図8は、本発明の実施の形態2に係る白内障確認装置の内部構成を示す模式図である。本実施の形態2に係る白内障確認装置は、実施の形態1とは異なり、光取入れ口から光を入射するのではなく、ハウジング1の中心軸方向と略平行な光を出射する電子発光装置(光入射手段)6を設けている点に特徴を有する。なお、実施の形態1と同様の構成及び機能を有する構成要素については、同一の符号を付することで詳細な説明は省略する。
ハウジング1、接眼ガイド2、接眼レンズ3の構成、配置等については、実施の形態1と同様である。また、対物レンズ5については、設けていても良いし、設けなくても良い。本実施の形態2では、ハウジング1の一端にハウジング1の中心軸方向と略平行な光を出射する電子発光装置6を設けている。
図9は、本発明の実施の形態2に係る白内障確認装置の電子発光装置6の構成を示す模式図である。電子発光装置6は、LCD(液晶表示デバイス)、DLP(デジタルライトプロセッシング)(R)等の投光装置91を備えており、内蔵する偏向子により、投光装置91に対して垂直方向の光のみを出射する。出射光は、投光装置91の複数の発光素子92、92、・・・から出射され、ハウジング1内部を介して接眼レンズ3に入射する。
投光装置91は、発光素子92毎に点灯又は消灯することができ、発光色も発光素子92毎に変えることができる。したがって、実施の形態1のように透明体を設けることなく、投光装置91の発光素子92、92、・・・の点灯/消灯を組み合わせることにより、視認すべき模様を形成することができる。
図10は、投光装置91の発光素子92、92、・・・の点灯/消灯を組み合わせて形成した視認すべき模様の例示図である。図10の例では、複数の発光素子92、92、・・・が四角形状に配列してある投光装置91において、黒丸が点灯している発光素子92、92、・・・を、白丸が消灯している発光素子92、92、・・・を、それぞれ示している。
図10のように、複数の発光素子92、92、・・・を組み合わせることにより形成される模様が認識できるか否か、認識できない部分を特定する等により、被検者の白内障の進行状態を被検者自ら確認することが可能となる。例えば、模様「A1」の「1」の部分が欠如していた場合、その部分に水晶体31の混濁が存在すると判断することができる。また、接眼ガイド2を相当長くしないと模様「A1」を確認できない場合、水晶体31の中央部分(核)に混濁が存在すると判断することができる。
図11は、水晶体の中央部分に混濁が存在する場合の結像状態を比較する図である。図11(b)のように、接眼レンズ3の焦点Fが水晶体31の内部又は水晶体31よりも網膜側に位置する場合、水晶体31の略中央部分に存在する混濁32により光路が妨げられ、網膜上で結像することができない。
そこで、接眼ガイド2の長さを伸ばすことにより、図11(a)のように、接眼レンズ3の焦点Fが水晶体31よりも接眼レンズ3側に位置するよう調節した場合、水晶体31の略中央部分に混濁32が存在する場合であっても光路が妨げられることがなく、網膜上で結像することができる。
本実施の形態2に係る白内障確認装置は、被検者が、ハウジング1を保持し、接眼ガイド2を被検者の眼に押し当てる。被検者は、ハウジング1を介して見ることができる模様が最も明確に見えるように、接眼ガイド2をハウジング1に対して摺動させる。
ハウジング1を通過した光は、接眼レンズ3に対して略直交しており、すなわちハウジング1の中心軸方向に略水平となっており、接眼レンズ3によって水晶体31の内部に焦点を結ぶように収束する。したがって、網膜35上には、投光装置の複数の発光素子92、92、・・・を組み合わせることにより形成された模様が倒置した状態で結像する。
接眼レンズ3の焦点位置が水晶体31の内部に存在することから、近視、遠視等による網膜までの奥行きの大小、又は水晶体31のオートフォーカス機能の優劣に左右されることなく、いわゆるマックスウェル視の原理により、模様を網膜35で結像することができる。したがって、被検者は、水晶体31に存在する混濁の輪郭を、模様に対する障害物、例えば影の輪郭として認識することができ、混濁の存在を自ら確認することが可能となる。
また、白内障に罹患することにより水晶体31の内部に存在する混濁32により、通常の視力を確保できない被検者であっても、接眼ガイド2により接眼レンズ3の焦点と水晶体31との距離を調節することで、投光装置91の模様を視認することができる。したがって、接眼ガイド2の移動量によって、水晶体31の中央近傍に存在する混濁32の進行具合を検出することも可能となる。
さらに、水晶体31内部に生じる混濁32の色は、一般に黄色がかった色であることが多いことから、投光装置91の発光素子92、92、・・・の発光色を黄色の補色である青紫色系にすることにより、より混濁32の輪郭を明確に視認することが可能となる。
以上のように本実施の形態2によれば、略平行な光束を接眼レンズ3に略直交するよう入射させ、水晶体31の近傍に焦点を結ぶように光束が屈折し、水晶体31近傍に光が収束するように接眼レンズ3の位置を調節する。したがって、近視、遠視等による目の奥行きの大小、又は水晶体のオートフォーカス機能の優劣に左右されることなく、いわゆるマックスウェル視の原理により、視認体を網膜35で結像することができ、被検者は、水晶体31に存在する混濁の輪郭を、視認体に対する障害物、例えば影の輪郭として認識することができ、混濁の存在を自ら確認することが可能となる。
また、上述した実施の形態2に係る白内障確認装置は、視力異常検出装置として用いることもできる。例えば、接眼ガイド2に、視力(2点分別力)に応じた移動位置を示しておき、被検者が映し出されている模様を、最も明確に視認できる時点での接眼ガイド2の移動距離(調節量)に応じて、白内障に起因する視力低下量を見積もることができる。
したがって、白内障の一般的な症状である、かすんで見える状態である場合、通常実施されている視力検査では視力低下を検知することが困難であるのに対し、本実施の形態2に係る白内障確認装置では、被検者が視力の低下を自覚していない症状下においても、視力の低下を検知することができるという優れた効果を奏する。
1 ハウジング
2 接眼ガイド(焦点位置調整手段)
3 接眼レンズ
4 光取入れ口(光入射手段)
5 対物レンズ(入射光調整手段)
6 電子発光装置(光入射手段、入射光調整手段)
31 水晶体
32 混濁
92 発光素子
F 焦点
2 接眼ガイド(焦点位置調整手段)
3 接眼レンズ
4 光取入れ口(光入射手段)
5 対物レンズ(入射光調整手段)
6 電子発光装置(光入射手段、入射光調整手段)
31 水晶体
32 混濁
92 発光素子
F 焦点
Claims (9)
- 眼球の水晶体に光を入射すべき光入射手段と、
前記光入射手段から入射した光を前記水晶体方向へ収束させる接眼レンズと、
前記光入射手段から入射した光を、前記接眼レンズに略直交する略平行な光束へ調整する入射光調整手段と、
前記接眼レンズの焦点近傍に前記水晶体が位置するよう調整する焦点位置調整手段とを備えることを特徴とする白内障確認装置。 - 一端に前記接眼レンズを、他端に前記光入射手段を、それぞれ配置した筒状のハウジングを備えることを特徴とする請求項1記載の白内障確認装置。
- 前記ハウジングの長さは、前記接眼レンズの焦点距離の2倍より長いことを特徴とする請求項2記載の白内障確認装置。
- 前記ハウジングは、前記光入射手段から入射した光以外の入射を遮るよう構成してあることを特徴とする請求項2又は3記載の白内障確認装置。
- 前記光入射手段は、自然光を取り入れる開口部であり、前記入射光調整手段は、前記光入射手段と前記接眼レンズとの間に設けた一又は複数の対物レンズであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の白内障確認装置。
- 前記光入射手段と前記接眼レンズとの間に、格子状又は網状の視認体を配置してあることを特徴とする請求項5に記載の白内障確認装置。
- 前記光入射手段は、略平行な光束を発する電子発光装置であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の白内障確認装置。
- 前記電子発光装置は、複数の点光源を有し、点光源毎に点灯又は消灯することが可能にしてあることを特徴とする請求項7記載の白内障確認装置。
- 眼球の水晶体に、接眼レンズにより収束した光を入射する白内障確認方法であって、
略平行な光束を生成し、
生成した略平行な光束を前記接眼レンズに略直交するよう入射し、
前記接眼レンズの焦点近傍に前記水晶体が位置するよう調整し、
視認体を視認できない領域が存在するか否かを確認することを特徴とする白内障確認方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004260049A JP2006075220A (ja) | 2004-09-07 | 2004-09-07 | 白内障確認装置及び方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004260049A JP2006075220A (ja) | 2004-09-07 | 2004-09-07 | 白内障確認装置及び方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2006075220A true JP2006075220A (ja) | 2006-03-23 |
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ID=36155175
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006075220A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114652264A (zh) * | 2022-03-23 | 2022-06-24 | 广州深度视觉医疗科技有限公司 | 一种新型检测双眼近视用斜视的装置 |
-
2004
- 2004-09-07 JP JP2004260049A patent/JP2006075220A/ja active Pending
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