JP2006072238A - カラー拡散転写フイルムユニット及びカラー拡散転写フイルムユニットを用いた画像形成方法 - Google Patents

カラー拡散転写フイルムユニット及びカラー拡散転写フイルムユニットを用いた画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 展開性及び展開処理直後の密着性に優れたアルカリ処理組成物含有体を有するカラー拡散転写フイルムユニットを提供する。
【解決手段】 感光要素と、中和要素と、アルカリ処理組成物含有体とを具備し、前記感光要素は少なくとも1つの色素形成化合物及びハロゲン化銀乳剤を含有し、前記中和要素は前記アルカリ処理組成物含有体のpHを低下させる機能を有し、前記感光要素及び前記中和要素の少なくとも一方が色素を固定する受像層を有し、前記アルカリ処理組成物含有体は前記感光要素及び前記中和要素の間に展開されるカラー拡散転写フイルムユニットにおいて、前記アルカリ処理組成物含有体が(a) プルランを含有し、(b) 前記展開の前のpHが12以上であるカラー拡散転写フイルムユニット、及びカラー拡散転写フイルムユニットを用いた画像形成方法。
【選択図】 なし

Description

本発明はカラー拡散転写フイルムユニットに関し、特に優れた展開性と、展開後の感光要素及び中和要素との優れた密着性とを兼ね備えたカラー拡散転写フイルムユニット、及び係るカラー拡散転写フイルムユニットを用いた画像形成方法に関する。
カラー拡散転写フイルムユニットには、一体型と分割型がある。分割型の代表的な例として、いわゆるピールアパートタイプが挙げられる。ピールアパートタイプのカラー拡散転写フイルムユニットは、別々の支持体上に塗設してなる感光要素と色素受像要素とを有し、画像露光後に感光要素と色素受像要素とを重ね合わせ、その間にアルカリ処理組成物含有体を展開した後、色素受像要素を剥しとることによって色素受像層に転写された色素画像を露出させるものである。
ピールアパートタイプのような分割型のカラー拡散転写フイルムユニットによって得られる色素画像は、露出した色素受像層に形成されて直接視認される。このため画質の低下がなく、優れた色再現性を示す。このように直接視認による優れた色再現性は、支持体を通して画像を視認する後述の一体型のカラー拡散転写フイルムユニットと比較して、大きな長所であるといえる。しかしながら、分割型のカラー拡散転写フイルムユニットには、感光要素と受像要素とをカメラの中で重ね合わせるという操作上の不便さや、色素受像要素を剥離した後で残存するアルカリ性の処理液が周囲に付着してベタつき易いという取扱い上の不便さがある。
一方、一体型のカラー拡散転写フイルムユニットはこのような操作上及び取扱い上の不便さを有しないので、一般ユーザーに使用される場合が多い。一体型のカラー拡散転写フイルムユニットは透明な支持体と、もう一方の支持体との間に色素受像要素、感光要素及び中和タイミング要素と、アルカリ処理組成物含有体が入れられた破壊可能容器とを有する。アルカリ処理組成物含有体は破壊可能容器から出て、受像要素と感光要素の間に展開される。一体型のカラー拡散転写フイルムユニットの感光要素には、受像要素と同一の透明支持体上に塗設される形態と、別の支持体上に塗設される形態とがある。前者の形態では受像要素と感光要素の間に白色反射層が塗設されており、後者の形態ではアルカリ処理組成物が白色顔料を含有するので、いずれの形態でも受像層に転写した色素画像は反射光で観察可能である。一体型のカラー拡散転写フイルムユニットは、リサーチディスクロージャー(Research Disclosure)誌151巻No.15162(1976)やフォトグラフィックサイエンスエンジニアリング(Photographic Science and Engineering)20巻4号7月18日(1976)等、多くの文献に記載されている。
分割型及び一体型のいずれのカラー拡散転写フイルムユニットにおいても、アルカリ処理組成物は展開後にはあまり流動しないのが望ましい。大きな流動性を有するアルカリ処理組成物含有体が展開処理直後に不意に折り曲げられると、折り曲がった部分に存在したアルカリ処理組成物含有体が感光シート(感光要素)又はカバーシート(中和要素)から剥がれ、意図せぬ模様が画面上に浮き上がってしまう。この問題は、パーティー等の場面で使われることが多く、展開処理直後の写真が手渡される場合も多い一体型のカラー拡散転写フイルムユニットに関しては、特に深刻である。さらに、アルカリ処理組成物含有体の展開直後に切断されると、切断箇所近傍に像が浮き出てしまうという問題もある。像が浮き出てしまう原因は、展開直後は現像、転写等の画像形成のための反応が進行しており、反応進行時に切断されると、剪断面でアルカリ処理組成物が流動し、意図せぬ反応が誘発されることにあると考えられている。
アルカリ処理組成物含有体の流動性を低下させるために、アルカリ処理組成物含有体中に水性増粘剤等を添加する方法が提案されている。アルカリ処理組成物含有体に添加する物質の例として、特開平7-309991号(特許文献1)や米国特許第4,397,996号(特許文献2)等に記載されたナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、重合体オキシム類等や米国特許第4,680,247号(特許文献3)に記載されたスチレンブタジエンコポリマー、特開2000-75533号(特許文献4)等に記載されたポリビニルアルコール等を挙げることができる。
アルカリ処理組成物含有体に増粘剤を添加することにより、アルカリ処理組成物含有体の粘度を低下させ、感光要素との密着性又は感光要素及び中和要素との密着性を向上させることができる。しかし、増粘剤の添加によってアルカリ処理組成物含有体の粘度を高くすると、アルカリ処理組成物含有体をユニット全面に均一に展開させる性能、すなわち展開性が悪化するという問題がある。また高粘度のアルカリ処理組成物含有体は破壊可能容器に充填し難い上、ポンプ配管設備を用いて送液し難いという問題も有する。
特開平7-309991号公報 米国特許第4,397,996号公報 米国特許第4,680,247号公報 特開2000-75533号公報
従って、本発明の目的は、優れた展開性と、展開直後の感光要素及び中和要素との密着性とを兼ね備えたアルカリ処理組成物含有体を有するカラー拡散転写フイルムユニット及びかかるカラー拡散転写フイルムユニットを用いた画像形成方法を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、プルランを含有するアルカリ処理組成物含有体は、展開前には十分な流動性を有するために優れた展開性を示す上、取扱い易く、展開された後は感光要素及び中和要素との良好な密着性を示すことを発見し、本発明に想到した。
上記課題は、以下の手段により達成された。
(1) 感光要素と、中和要素と、アルカリ処理組成物含有体とを具備し、前記感光要素は少なくとも1つの色素形成化合物及びハロゲン化銀乳剤を含有し、前記中和要素は前記アルカリ処理組成物含有体のpHを低下させる機能を有し、前記感光要素及び前記中和要素の少なくとも一方が色素を固定する受像層を有し、前記アルカリ処理組成物含有体は前記感光要素及び前記中和要素の間に展開されるカラー拡散転写フイルムユニットにおいて、前記アルカリ処理組成物含有体がプルランを含有するカラー拡散転写フイルムユニット。
(2) (1)に記載のカラー拡散転写フイルムユニットにおいて、前記ハロゲン化銀乳剤がネガ型ハロゲン化銀乳剤であるカラー拡散転写フイルムユニット。
(3) (1)に記載のカラー拡散転写フイルムユニットにおいて、前記ハロゲン化銀乳剤が内部潜像型直接ポジハロゲン化銀乳剤であるカラー拡散転写フイルムユニット。
(4) (1) 〜(3) のいずれかに記載のカラー拡散転写フイルムユニットと、複数の波長域で発光する露光ヘッドとを用い、画像情報に応じた光量に変調させて露光する画像形成方法。
本発明のカラー拡散転写フイルムユニットのアルカリ処理組成物含有体はプルランを含有し、露光後の感光要素上に展開される。展開されたアルカリ処理組成物含有体は大きな粘着性を示し、感光要素及び中和要素と素早く強固に密着する。また展開前には低粘度であるので、感光要素上に均一に拡散する。さらに破壊可能容器に充填し易く、ポンプ配管を用いた送液適性も良好である。このようなアルカリ処理組成物含有体を具備するカラー拡散転写フイルムユニットは、展開直後の物理的な衝撃に対して優れた耐性を有する上、従来と同じ程度の時間で画像を形成する。
本発明のカラー拡散転写フイルムユニットは、感光要素及び中和要素と、その間に展開されるアルカリ処理組成物含有体とを具備する。本発明の特徴は主にアルカリ処理組成物含有体の組成にあるので、まずアルカリ処理組成物含有体について説明し、その後で感光要素及び中和要素について説明する。
[1] アルカリ処理組成物含有体
アルカリ処理組成物含有体は、露光後の感光要素(感光シート)上に均一に展開され、感光要素の現像反応、拡散反応及び転写反応を実質的にスタートさせるものである。アルカリ処理組成物含有体は現像反応、拡散反応及び転写反応のトリガーとして、アルカリと水を必ず含む。またアルカリ処理組成物含有体は遮光剤及び現像薬を含有するのが望ましい。ただしユニット構成上の制約のために、遮光剤及び現像薬は感光要素及び/又は中和要素の適当な層に配合される場合もある。アルカリ処理組成物含有体は、その他、増粘剤、現像を調節するための現像促進剤、現像抑制剤、現像薬の劣化を防ぐための酸化防止剤等を含有することができる。
(a) アルカリ
アルカリは、アルカリ処理組成物のpHを12以上とするものであれば良い。アルカリの例として、アルカリ金属の水酸化物(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム)、アルカリ金属のリン酸塩(例えばリン酸カリウム)、グアニジン類、四級アミンの水酸化物(例えば水酸化テトラメチルアンモニウム)が挙げられる。なかでも水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが好ましい。
(b) 現像薬
現像薬は色素像形成化合物をクロス酸化し、かつ酸化されても実質的にステインを生じないものであれば良い。現像薬は単独で使用しても二種類以上を使用してもよい。またプレカーサーの型で使用してもよい。現像薬の例としてアミノフェノール類、ピラゾリジノン類が挙げられる。このうちピラゾリジノン類はステインの発生が少ないので特に好ましい。ピラゾリジノン類の具体例として1-フェニル-3-ピラゾリジノン、1-p-トリル-4,4-ジヒドロキシメチル-3-ピラゾリジノン、1-(3’-メチル-フェニル)-4-メチル-4-ヒドロキシメチル-3-ピラゾリジノン、1-フェニル-4-メチル-4-ヒドロキシメチル-3-ピラゾリジノン、1-p-トリル-4-メチル-4-ヒドロキシメチル-3-ピラゾリジノン等が挙げられる。現像薬はアルカリ処理組成物含有体に配合されても良いし、感光要素の適当な層中に配合されても良い。
(c) 増粘剤
(c-1) プルラン
アルカリ処理組成物含有体はプルランを含有する。「プルラン」はAureobasidium pullrlans菌によって生産される多糖類の一種であり、マルトトリオースがα-1,6グルコシド結合で連なった直鎖のα−グルカンである。プルランの性質及び製造方法については、「高分子」(社団法人 高分子学会発行、1977年、26巻、93頁)に記載されている。
アルカリ処理組成物含有体に配合するプルランの分子量は特に限定されないが、1〜100万程度であるのが好ましい。1〜100万程度の分子量を有するプルランを含有するアルカリ処理組成物含有体は、適度な粘度を有し、感光要素と中和要素との間に均一に展開しやすい。
プルランの添加量は、アルカリ処理組成物含有体100質量%に対して、2〜40質量%とするのが好ましい。プルランの添加量を2〜40質量%とすると、アルカリ処理組成物含有体の展開性と、展開後の粘着性の両方を容易に最適化できる。
展開前のアルカリ処理組成物含有体は、剪断速度1×102 s-1において2×104 mPa・s以下の粘度を有するのが好ましく、1.5×104 mPa・sの粘度を有するのがより好ましい。本明細書中、粘度は25℃で測定した値とする。剪断速度1×102 s-1において2×104 mPa・s以下の粘度を有するアルカリ処理組成物含有体は、感光要素上に素早く均一に展開し易い。さらに展開前のアルカリ処理組成物含有体は、剪断速度2s-1において5×104〜3×105 mPa・sの粘度を有するのが好ましく、7×104〜2×105 mPa・sの粘度を有するのがより好ましい。剪断速度2s-1において5×104〜3×105 mPa・sの粘度を有するアルカリ処理組成物含有体は、破壊可能容器に充填し易い。
プルランを含有するアルカリ処理組成物含有体は、展開後に感光要素及び中和要素に対して大きな粘着性を示し、これらに素早く密着する。したがって、プルランを含有するアルカリ処理組成物含有体を具備するカラー拡散転写フイルムユニットは展開直後の物理的衝撃に対して優れた耐性を示し、良好な画像を形成し得る。
(c-2) その他の増粘剤
プルランは増粘効果を示す多糖類として知られているが、単独使用によって得られる増粘効果は比較的小さい。そのため増粘剤としてプルランのみを用いると、アルカリ処理組成物含有体の粘度を上述の好ましい範囲にし難い場合がある。したがってアルカリ処理組成物含有体はプルラン以外の増粘剤も含有するのが好ましい。プルラン以外の増粘剤は、pH12以上の環境で安定なものであれば特に限定されない。好ましい増粘剤としてはポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩等が挙げられる。これらのうち特に好ましい増粘剤はヒドロキシエチルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロースである。プルラン以外の増粘剤は1種類だけ添加してもよいし、2種類以上を添加しても良い。
アルカリ処理組成物含有体中のプルラン以外の増粘剤の濃度は1〜15質量%であるのが好ましく、2〜10質量%であるのがより好ましい。プルラン以外の増粘剤の濃度を1〜15質量%とすると、アルカリ処理組成物含有体の粘度を上述の好ましい範囲内にし易い。
(d) 遮光剤
遮光剤は色素受像層まで拡散し、かつステインを生じないものであれば特に限定されない。一般的に遮光剤と使用されている染料又は顔料を遮光剤としてもよいし、これらの組み合わせを用いてもよい。代表的な遮光剤としてカーボンブラックが挙げられる。
遮光剤は、展開後に感光層を十分に遮光しうるように添加される。遮光剤の含有量は、アルカリ処理組成物含有体の展開後の厚さによって調整される。遮光剤を良好な分散状態にするには、分散剤を添加するのが好ましい。分散剤の添加量は、遮光剤の種類や量によって適宜調整する。好ましい分散剤として、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
(e) その他
アルカリ処理組成物含有体の厚さ(アルカリ処理組成物含有体展開後の厚さ)は、10μm〜200μmであるのが好ましく、10〜100μmであるのがより好ましく、20μm〜60μmであるのが特に好ましい。アルカリ処理の温度は0〜50℃が好ましく、0〜40℃がより好ましい。
[2] 感光要素
(f) 支持体
感光要素の支持体は、写真感光材料に通常用いられるものであれば良い。支持体は平滑であるのが好ましい。なお一体型のカラー拡散転写フイルムユニットの場合、支持体は透明である必要がある。支持体材料の例として酢酸セルロース、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートが挙げられる。ライトパイピングを防止するために、支持体は微量の染料又は酸化チタンのような顔料を含有するのが好ましい。感光要素の支持体の厚さは25〜350μmであり、50〜210μmであるのが好ましく、70〜150μmであるのが特に好ましい。支持体の表側の面には、下塗り層(下引層)を設けるのが好ましい。また支持体のバック側には、必要に応じてカールバランスをとる層及び/又は酸素遮断性の層を設けることができる。酸素遮断性の層については、特開昭56-78833号公報に記載されている。
(g) 受像層
感光要素の受像層(染料受像層)は媒染剤及び親水性コロイドを含有する。受像層は単一の層でもよいし、異なる媒染力を有する層が積層した構成のものでもよい。単層及び多層の受像層については特開昭61-252551号公報に記載されている。
媒染剤としては、ポリマー媒染剤が好ましい。ポリマー媒染剤とは、二級及び/又は三級アミノ基を含むポリマー、含窒素複素環部分を有するポリマー、並びに四級カチオンを含むポリマー等であって、分子量が5,000以上のものであり、特に好ましくは10,000以上のものである。媒染剤の塗設量は一般的には0.5〜10 g/m2であり、好ましくは1.0〜5.0 g/m2であり、特に好ましくは2〜4g/m2である。
親水性コロイドとしてはゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。好ましい親水性コロイドはゼラチンである。
受像層は退色防止剤を含有してもよい。退色防止剤については特開昭62-30620号公報や特開昭62-30621号公報及び特開昭62-215272号公報に記載されている。
受像層の厚さは、一般的なカラー拡散転写フイルムユニットの受像層の厚さと同じで良い。
(h) 白色反射層
感光要素の白色反射層は、色画像の白背景を成す。白色反射層は通常、白色顔料及び親水性バインダーを含有する。
白色反射層の白色度は顔料の種類、顔料とバインダーとの混合比率及び顔料の塗布量によって決まる。白色顔料が二酸化チタンである場合、二酸化チタンの含有量は5〜40 g/m2であり、好ましくは10〜25 g/m2である。
白色反射層の光反射率は70%以上であるのが好ましく、540 nmの波長の光で78〜85%であるのがより好ましい。
白色顔料の例としては、硫酸バリウム、酸化亜鉛、ステアリン酸バリウム、銀フレーク、ケイ酸塩類、アルミナ、酸化ジルコニウム、ジルコニウム硫酸ソーダ、カオリン、雲母及び二酸化チタンが挙げられる。またポリスチレン等の非造膜性のポリマー粒子も白色顔料として使用可能である。中でも二酸化チタンが好ましく、ルチル型の二酸化チタンが特に好ましい。白色顔料は単独で使用しても良いし、2種以上使用しても良い。2種以上の白色顔料を使用すると、白色反射層の反射率を好ましい値にし易い。
白色顔料としてはアルミナ、シリカ、酸化亜鉛等によって表面処理されたものが好ましく、表面処理量が5%以上のものがより好ましい。表面処理された白色顔料を含有する白色反射層は、高い反射率を示す。
市販の二酸化チタンの例として、デュポン社の Ti-pure R931(商品名)や、リサーチ・ディスクロージャー誌(以下RDと略記する)No.15162号に記載のものが挙げられる。
親水性バインダーとしては、ゼラチン、ポリビニルアルコール等のアルカリ浸透性の高分子マトリックスや、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース等のセルロース誘導体が挙げられる。バインダーがゼラチンの場合、白色顔料とゼラチンの質量比は1/1〜20/1であり、好ましくは5/1〜10/1である。
白色反射層は褪色防止剤を含有するのが好ましい。褪色防止剤については、特公昭62-30620号公報や特公昭62-30621号公報に記載されている。
(i) 遮光層
遮光層は白色反射層と感光層の間に設けられる。遮光層は遮光剤及び親水性バインダーを含有する。
遮光機能を有する材料であれば、特に限定されることなく遮光剤として利用可能である。遮光剤の例としてカーボンブラック、米国特許第4,615,966号公報等に記載の分解性の染料が挙げられる。これらの遮光剤のうち好ましいのは、カーボンブラックである。カーボンブラックは特定の製造方法で得られたものに限定されず、任意の製法で得られたものでよい。カーボンブラックの製造方法としてDonnel Voet "Carbon Black" MarcelDekker, Inc. (1976)に記載されているようなチャンネル法の他、サーマル法及びファーネス法が挙げられる。
遮光剤の平均粒径は、90〜1800Åであるのが好ましい。遮光剤の含有量は遮光すべき感光材料の感度によってさまざまであるが、一般的には光学濃度で5〜10程度が好ましい。
遮光層のバインダーは、カーボンブラック等の遮光剤を分散しうるものならいずれでも良い。好ましいバインダーとして、ゼラチンが挙げられる。
遮光層の厚さは、一般的なカラー拡散転写フイルムユニットの遮光層の厚さと同程度で良い。
(j) 感光層
感光層は遮光層に隣接し、色素像形成化合物及びハロゲン化銀乳剤を含有する。感光層は、ハロゲン化銀乳剤層と色素像形成化合物層からなる多層であっても、ハロゲン化銀乳剤及び色素像形成化合物の両方を含有する単層であっても良い。以下多層の場合について説明するが、単層の場合も同様である。
(j-1) 色素像形成化合物
色素像形成化合物にはイエロー色素形成化合物、マゼンタ色素形成化合物及びシアン色素形成化合物がある。
イエロー色素形成化合物の具体例は、米国特許3,597,200号公報、米国特許3,309,199号公報、米国特許4,013,633号公報、米国特許4,245,028号公報、米国特許4,156,609号公報、米国特許4,139,383号公報、米国特許4,195,992号公報、米国特許4,148,641号公報、米国特許4,148,643号公報、米国特許4,336,322号公報、特開昭51-114930号公報、特開昭56-71072号公報、RD No. 17630(1978)号、及びRD No.16475(1977)号に記載されている。
マゼンタ色素形成化合物の具体例は、米国特許3,453,107号公報、米国特許3,544,545号公報、米国特許3,932,380号公報、米国特許3,931,144号公報、米国特許3,932,308号公報、米国特許3,954,476号公報、米国特許4,233,237号公報、米国特許4,255,509号公報、米国特許4,250,246号公報、米国特許4,142,891号公報、米国特許4,207,104号公報、米国特許4,287,292号公報、特開昭52-106727号公報、特開昭53-23628号公報、特開昭55-36804号公報、特開昭56-73057号公報、特開昭56-71060号公報、特開昭55-134号公報、特開平7-120901号公報、特開平8-286343号公報、特開平8-286344号公報、及び特開平8-292537号公報に記載されている。
シアン色素形成化合物の具体例は、米国特許3,482,972号公報、米国特許3,929,760号公報、米国特許4,013,635号公報、米国特許4,268,625号公報、米国特許4,171,220号公報、米国特許4,242,435号公報、米国特許4,142,891号公報、米国特許4,195,994号公報、米国特許4,147,544号公報、米国特許4,148,642号公報、英国特許1,551,138号公報、特開昭54-99431号公報、特開昭52-8827号公報、特開昭53-47823号公報、特開昭53-143323号公報、特開昭54-99431号公報、特開昭56-71061号公報、ヨーロッパ特許(EP)53,037号公報、ヨーロッパ特許(EP)53,040号公報、RD No.17,630(1978)号、及びRD No. 16,475(1977)号に記載されている。
カップリングによって色素を形成する色素像形成化合物も、色素像形成化合物として使用可能である。カップリングによって色素を形成する色素像形成化合物の例は特開平8-286340号公報、特開平9-152705号公報、特願平8-357190号公報、特願平8-357191号公報、特願平9-117529号公報等に記載されている。
ポジ型の色素像形成化合物も使用可能である。ポジ型の色素像形成化合物の例は特開平4-156542号公報、特開平4-155332号公報、特開平4-172344号公報、特開平4-172450号公報、特開平4-318844号公報、特開平4-356046号公報、特開平5-45824号公報、特開平5-45825号公報、特開平5-53279号公報、特開平5-107710号公報、特開平5-241302号公報、特開平5-107708号公報、特開平5-232659号公報及び米国特許第5,192,649号公報に記載されている。ポジ型の色素像形成化合物は、後述するネガ型ハロゲン化銀乳剤と組み合わせるのが好ましい。
ポジ型の色素像形成化合物は、特開昭62-215272号公報144〜146頁に記載の方法で分散することができる。また分散物は、特開昭62-215272号公報137〜144頁に記載の化合物を含有してもよい。これらの色素像形成化合物の具体例として、以下の化合物が挙げられる。なお下記の化合物中のDyeは、色素基、一時的に短波化された色素基、又は色素前駆体基を表す。
Figure 2006072238
Figure 2006072238
Figure 2006072238
(j-2) ハロゲン化銀乳剤
ハロゲン化銀乳剤は塩化銀、臭化銀、沃臭化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、塩沃臭化銀のいずれでも良い。主にハロゲン化銀粒子表面に潜像を形成するネガ型乳剤でもよいし、主にハロゲン化銀粒子内部に潜像を形成する内部潜像型直接ポジ乳剤でもよい。
ネガ型乳剤は、粒子内部と粒子表層に異なる相を有するいわゆるコアシェル乳剤でも良いし、エピタキシャル接合によって接合された構造を有してもよい。ハロゲン化銀乳剤は単分散でも多分散でも良い。特開平1-167743号及び特開平4-223463号に記載の単分散乳剤を混合し、階調を調節する方法も用いられる。
内部潜像型直接ポジ乳剤には、いわゆる「コンバージョン型」乳剤や「コア/シェル型」乳剤がある。コンバージョン型乳剤はハロゲン化銀の溶解度差を利用して作製される。コア/シェル型乳剤は、金属イオンドーピング及び/又は化学増感されたハロゲン化銀の内部核(コア)粒子と、その感光サイトを被覆するハロゲン化銀の外部殻(シェル)とからなる。コンバージョン型乳剤及び/又はコア/シェル型乳剤については、米国特許2,592,250号、米国特許3,206,313号、英国特許1,027,146号、米国特許3,761,276号、米国特許3,935,014号、米国特許3,447,927号、米国特許2,297,875号、米国特許2,563,785号、米国特許3,551,662号、米国特許4,395,478号、西独特許2,728,108号、米国特許4,431,730号等に記載されている。
内部潜像型直接ポジ乳剤を用いる場合には、像露光後に光又は造核剤によって表面かぶり核を与える必要がある。造核剤としては、米国特許2,563,785号、米国特許2,588,982号に記載のヒドラジン類、米国特許3,227,552号に記載のヒドラジン類、ヒドラゾン類、英国特許1,283,835号、特開昭52-69613号、米国特許3,615,615号、米国特許3,719,494号、米国特許3,734,738号、米国特許4,094,683号、米国特許4,115,122号等に記載の複素環4級塩化合物、米国特許3,718,470号に記載の造核作用のある置換基を色素分子中に有する増感色素、米国特許4,030,925号、米国特許4,031,127号、米国特許4,245,037号、米国特許4,255,511号、米国特許4,266,013号、米国特許4,276,364号、英国特許2,012,443号等に記載のチオ尿素結合型アシルヒドラジン系化合物、及び米国特許4,080,270号、米国特許4,278,748号、英国特許2,011,391B等に記載されたチオアミド環やトリアゾール、テトラゾール等のヘテロ環基を吸着基として結合したアシルヒドラジン系化合物が好ましい。
ハロゲン化銀粒子の晶癖は立方体、八面体、十四面体のような規則的な結晶を有するもの、球状、高アスペクト比の平板状のような変則的な結晶系を有するもの、双晶面のような結晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの複合系その他のいずれでもよい。
ハロゲン化銀乳剤のその他の例として、米国特許第4,500,626号第50欄、米国特許4,628,021号、RD No.17,029(1978年)、RDNo. 17,643(1978年12月)22〜23頁、RDNo. 18,716(1979年11月)648頁、RDNo. 307,105(1989年11月)863〜865頁、特開昭62-253159号、特開昭64-13546号、特開平2-236546号、特開平3-110555号及びグラフキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテ社刊(P.Glafkides, Chemie et Pisique Photographique, Paul Montel, 1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Duffin, Photographic Emulsion Chemistry, Focal Press,1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman et al.,Making and Coating Photographic Emulsion, Focal Press,1964)等に記載されている方法を用いて調製したものが挙げられる。
感光性ハロゲン化銀乳剤は、一般的には化学増感されたハロゲン化銀乳剤である。感光性ハロゲン化銀乳剤の化学増感には、通常型感光材料用乳剤で公知の硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法等のカルコゲン増感法、金、白金、パラジウム等を用いる貴金属増感法及び還元増感法等を単独で又は組合わせて用いることができる(例えば特開平3-110555号、特開平5-241267号等)。これらの化学増感を含窒素複素環化合物の存在下で行うこともできる(特開昭62-253159号)。またカブリ防止剤を化学増感終了後に添加することができる。具体的には特開平5-45833号、特開昭62-40446号記載の方法を用いることができる。特開昭62-40446号に記載のメルカプト基を有する含窒素ヘテロ環化合物を使用する場合、感光性ハロゲン化銀乳剤の化学増感の後で添加するのが好ましい。
化学増感時のpHは好ましくは5.3〜10.5、より好ましくは5.5〜8.5であり、pAgは好ましくは6.0〜10.5、より好ましくは6.8〜9.0である。感光性ハロゲン化銀の塗設量は銀換算1mg/m2〜10 g/m2の範囲であるのが好ましく、10 mg/m2〜10 g/m2であるのがより好ましい。
感光性ハロゲン化銀乳剤を調製する過程で、過剰の塩を除去するいわゆる脱塩を行うのが好ましい。脱塩にはゼラチンをゲル化させて行うヌーデル水洗法を用いてもよく、また多価アニオンより成る無機塩類(例えば硫酸ナトリウム)、アニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー(例えばポリスチレンスルホン酸ナトリウム)、あるいはゼラチン誘導体(例えば脂肪族アシル化ゼラチン、芳香族アシル化ゼラチン、芳香族カルバモイル化ゼラチン等)を利用した沈降法を用いてもよい。これらのうち、沈降法が好ましく用いられる。
感光性ハロゲン化銀乳剤はイリジウム、ロジウム、白金、カドミウム、亜鉛、タリウム、鉛、鉄、オスミウム等の重金属を含有してもよい。これらの化合物を1種類のみ含有しても良いし、2種以上含有しても良い。含有量は使用目的によるが、一般的にはハロゲン化銀1モルあたり10-9〜10-3モル程度である。重金属は粒子に均一に分散していてもよいし、粒子の内部や表面に局在してもよい。具体的には特開平2-236542号、特開平1-116637号、特開平5-181246号等に記載の重金属含有乳剤が好ましい。
感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子形成段階において、ハロゲン化銀溶剤としてロダン塩、アンモニア、4置換チオエーテル化合物や特公昭47-11386号記載の有機チオエーテル誘導体又は特開昭53-144319号に記載の含硫黄化合物等を用いることができる。
その他の条件については、前記のグラフキデ著「写真の物理と化学」ポールモンテ社刊(P.Glafkides, Chemie et Pisique Photographique, Paul Montel, 1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Duffin, Photographic Emulsion Chemistry, Focal Press, 1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman et al.,Making and Coating Photographic Emulsion, Focal Press,1964)等の記載を参照すればよい。すなわち酸性法、中性法、アンモニア法のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形式としては片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせのいずれを用いてもよい。単分散乳剤を得るためには、同時混合法が好ましい。過剰の銀イオン存在下、粒子を形成させる逆混合法も用いることができる。同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成する液相中のpAgを一定に保つ、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法も用いることができる。
粒子成長を促進するために、添加する銀塩及びハロゲン塩の添加濃度、添加量、添加速度を大きくしてもよい(特開昭55-142329号、特開昭55-158124号、米国特許3650757号等)。反応液の攪拌方法は、一般的な方法でよい。ハロゲン化銀粒子形成中の反応液の温度やpHは、目的に応じてどのように設定してもよいが、好ましいpH範囲は2.3〜8.5、より好ましいpH範囲は2.5〜7.5である。
ネガ型乳剤及び内部潜像型直接ポジ乳剤と組合わせて、分光増感色素を用いることができる。その具体例については特開昭59-180550号、特開昭60-140335号、RD17029、米国特許1,846,300号、米国特許2,078,233号、米国特許2,089,129号、米国特許2,165,338号、米国特許2,231,658号、米国特許2,917,516号、米国特許3,352,857号、米国特許3,411,916号、米国特許2,295,276号、米国特許2,481,698号、米国特許2,688,545号、米国特許2,921,067号、米国特許3,282,933号、米国特許3,397,060号、米国特許3,660,103号、米国特許3,335,010号、米国特許3,352,680号、米国特許3,384,486号、米国特許3,623,881号、米国特許3,718,470号、米国特許4,025,349号等に記載されている。
(j-3) 感光層の構成
減色法による天然色の再現には、分光増感色素によりある波長範囲で分光増感された乳剤と、それと同じ波長範囲に選択的な分光吸収をもつ色素を供与する色素像形成化合物との組み合わせを少なくとも一つ含有する感光層を用いる。
乳剤と色素像形成化合物とは別の層としてもよいし、一つの層に乳剤及び色素像形成化合物を含有するようにしてもよい。色素像形成化合物が塗布された状態で、これと組合わされた乳剤の分光感度域に吸収を持つ場合には別層の方が好ましい。
乳剤層は異なる感度を有する乳剤からなるものでも良い。また乳剤層と色素像形成化合物層との間には任意の層を有しても良い。例えば特開昭60-173541号公報に記載された造核現像促進剤を含む層や、特公昭60-15267号公報に記載された隔壁層を設けると色像濃度を高めることができるし、反射層を設けると感光要素の感度を高めることが出来る。反射層は白色顔料及び親水性バインダーを含む層であり、好ましい白色顔料は酸化チタン、好ましい親水性バインダーはゼラチンである。酸化チタンの塗布量は0.1 g/m2〜8g/m2であるのが好ましく、0.2 g/m2〜4g/m2であるのがより好ましい。反射層の例は特開昭60-91354号公報に記載されている。
重層構成の感光層の場合、露光側から青感性乳剤の組合わせ単位、緑感性乳剤の組合わせ単位、赤感性乳剤の組合わせ単位が順次配置されることが好ましい。各乳剤層単位の間には必要に応じて任意の層を設けることができる。ある乳剤層の現像の効果が他の乳剤層単位に及ぼす好ましくない影響を防ぐためには、中間層を設置するのが好ましい。
感光層の厚さは、一般的なカラー拡散転写フイルムユニットの感光層の厚さと同じで良い。
(k) その他
感光要素は必要に応じて、イラジエーション防止層、UV吸収剤層、保護層等を有する。
感光要素の厚さは、一般的なカラー拡散転写フイルムユニットの感光要素と同じで良い。
[3] 中和要素
(l) 支持体
中和要素の支持体は、写真感光材料に通常用いられる平滑な透明支持体なら、いずれでも良い。好ましい支持体として酢酸セルロース、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等が挙げられる。支持体は、ライトパイピングを防止するため微量の染料を含有するのが好ましい。また支持体上には下塗り層を設けるのが好ましい。
(m) 中和機能を有する層
中和機能を有する層(中和層)は、アルカリ処理組成物含有体から持込まれるアルカリを中和するのに十分な量の酸性物質を含む層である。必要に応じて、中和速度調節層(中和タイミング層)、密着強化層等の層から成る多層構成でもよい。
好ましい酸性物質としてはpKa9以下の酸性基(若しくは加水分解によってpKa9以下の酸性基を生じる前駆体基)を含む物質であり、さらに好ましい酸性物質は米国特許2,983,606号公報に記載されているオレイン酸のような高級脂肪酸、米国特許3,362,819号公報に開示されているようなアクリル酸、メタアクリル酸若しくはマレイン酸の重合体とその部分エステル又は酸無水物;仏国特許2,290,699号公報に開示されているようなアクリル酸とアクリル酸エステルの共重体;米国特許4,139,383号公報やRD No.16102(1977)に開示されているようなラテックス型の酸性ポリマーである。その他、米国特許4,088,493号公報、特開昭52-153739号公報、特開昭53-1023号公報、特開昭53-4540号公報、特開昭53-4541号公報、特開昭53-4542号公報等に開示の酸性物質も好ましい。
酸性ポリマー(酸性ポリマー)のその他の例としては、エチレン、酢酸ビニル、ビニルメチルエーテル等のビニルモノマーと、無水マレイン酸との共重合体及びそのn−ブチルエステル、ブチルアクリレートとアクリル酸との共重合物、セルロース及びアセテート・ハイドロジエンフタレートを挙げることができる。
酸性ポリマーは、親水性ポリマーと混合して用いることができる。親水性ポリマーとしては、ポリアクリルアミド、ポリメチルピロリドン、ポリビニルアルコール(部分ケン化物も含む)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリメチルビニルエーテル等が挙げられる。なかでも、ポリビニルアルコールが好ましい。酸性ポリマーに親水性ポリマー以外のポリマー、例えばセルロースアセテート等を混合してもよい。
酸性ポリマーの塗布量は、アルカリ処理組成物含有体のアルカリの量によって決まる。単位面積当りの酸性ポリマーとアルカリの当量比は0.9〜2.0が好ましい。酸性ポリマーが少なすぎると、転写色素の色相が変化したり、白地部分にステインを生じる。多過ぎる場合にも色相の変化、あるいは耐光性の低下等の不都合を生じる。さらに好ましい当量比は1.0〜1.3である。混合する親水性ポリマーの量も、多すぎても少なすぎても写真の品質を低下させる。親水性ポリマーの酸性ポリマーに対する質量比は0.01〜10、好ましくは0.1〜3.0である。
中和層には、種々の目的で添加剤を組込むことができる。例えば中和層の硬膜のために一般的な硬膜剤を添加しても良いし、膜の脆性を改良するためにポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の多価ヒドロキシル化合物を添加してもよい。その他必要に応じて、酸化防止剤、蛍光増白剤、現像抑制剤及びその前駆体等を添加することもできる。
中和層と組合わせて用いる中和タイミング層には、例えばゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールの部分アセタール化物、酢酸セルロース、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル等のようなアルカリ透過性を低くするポリマー;アクリル酸モノマー等の親水性コモノマーが少量共重合したアルカリ透過の活性化エネルギーを高くするラテックスポリマー;ラクトン環を有するポリマー等が有用である。
なかでも特開昭54-136328号公報、米国特許4,267,262号公報、米国特許4,009,030号公報、米国特許4,029,849号公報等に開示されている酢酸セルロースを使用したタイミング層;特開昭54-128335号公報、特開昭56-69629号公報、特開昭57-6843号公報、米国特許4,056,394号公報、米国特許4,061,496号公報、米国特許4,199,362号公報、米国特許4,250,243号公報、米国特許4,256,827号公報、米国特許4,268,604号公報等に開示されているアクリル酸等の親水性コモノマーを少量共重合したラテックスポリマー;特開平11-2890号に開示されている、多価アルコールのモノアクリル酸エステル若しくはモノメタクリル酸エステルを有するポリマー;米国特許4,229,516号公報に開示されたラクトン環を有するポリマー;その他特開昭56-25735号公報、特開昭56-97346号公報、特開昭57-6842号公報、ヨーロッパ特許(EP)31,957A1号公報、ヨーロッパ特許37,724A1号公報、ヨーロッパ特許48,412A1号公報等に開示されたポリマーが特に有用である。
その他、以下の文献に記載のものも使用できる。
米国特許3,421,893号公報、米国特許3,455,686号公報、米国特許3,575,701号公報、米国特許3,778,265号公報、米国特許3,785,815号公報、米国特許3,847,615号公報、米国特許4,088,493号公報、米国特許4,123,275号公報、米国特許4,148,653号公報、米国特許4,201,587号公報、米国特許4,288,523号公報、米国特許4,297,431号公報、西独特許出願(OLS)1,622,936号公報、西独特許出願2,162,277号公報、RD 15162, No.151(1976年)。
中和タイミング層は米国特許4,009,029号公報、西独特許出願(OLS)2,913,164号公報、西独特許出願3,014,672号公報、特開昭54-155837号公報、特開昭55-138745号公報等に開示された現像抑制剤及び/又はそのプレカーサーや、米国特許4,201,578号公報に開示されているハイドロキノンプレカーサー、その他写真用添加剤若しくはそのプレカーサー等を含有しても良い。また特開昭63-168648号公報、特開昭63-168649号公報に記載の補助中和層を設けると、処理後経時による転写濃度の変化を少なくするのに効果的である。
中和タイミング層は、これらの素材を複数含有するのが好ましい。複数の素材が一つの層に含まれても良いし、複数の層にそれぞれ含まれても良い。
(n) その他の層
中和要素は中和機能を有する層の他に、補助的な機能を持つ層として、バック層、保護層、フィルター染料層等を有してもよい。
バック層はカールの調整や、滑り性の付与の為に設けられる。バック層はフィルター染料を含有しても良い。保護層は、主としてカバーシートバック面との接着、感光材料とカバーシートとを重ね合わせたときの感光材料保護層との接着を防止する為に用いられる。中和要素が染料を含有するようにすると、感光層の感度調整できる。カバーシートの支持体中や中和機能を有する層、バック層、保護層、捕獲媒染層等にフィルター染料を添加してもよい。またフィルター染料単独の層を設置してもよい。
[4] その他
感光要素、中和要素及びアルカリ処理組成物含有体の少なくとも一つが特開昭62-215272号72〜91頁に記載の現像促進剤、146〜155頁に記載の硬膜剤、201〜210頁に記載の界面活性剤、210〜222頁に記載の含フッ素化合物、225〜227頁に記載の増粘剤、227〜230頁に記載の帯電防止剤、230〜239頁に記載のポリマーラテックス、240頁に記載のマット剤等を含有しても良い。また特開平6-273907号公報、特開平7-134386号公報、特開平7-175193号公報、特開平7-287372号公報に記載の3級アミンラテックスを含有しても良い。
熱現像カラー感光材料及び適用される露光・加熱方法ならびに装置の詳細については、例えば特開平7-219180号公報の段落128〜159に記載されている。
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
1.感光要素の作製
表1〜表4の構成を有する感光要素(感光要素101)を作製した。表中の乳剤は表5に示す方法で調製した。
Figure 2006072238
Figure 2006072238
Figure 2006072238
Figure 2006072238
Figure 2006072238
Figure 2006072238
乳剤調製に用いた化合物をまとめて以下に示す。
Figure 2006072238
Figure 2006072238
Figure 2006072238
Figure 2006072238
感光要素(感光シート101)の作製に使用した化合物を以下に示す。
Figure 2006072238
Figure 2006072238
Figure 2006072238
Figure 2006072238
Figure 2006072238
Figure 2006072238
2.カバーシート(中和要素)の作製
厚さ75 μmのポリエチレンテレフタレート透明支持体透明体に表7に示す各層を設け、カバーシート101を作製した。
Figure 2006072238
以下にカバーシート中で用いられた化合物の化学構造式等を示す。
Figure 2006072238
Figure 2006072238
3.アルカリ処理組成物含有体の作製
次に、下記の組成のアルカリ処理組成物含有体(処理液101〜116)を作製した。
カーボンブラック 224.3 g
添加剤(23) 12.1 g
増粘剤 表8参照
亜硫酸カリウム(無水) 1.90 g
1-フェニル-4-ヒドロキシメチル-4-メチル
-3-ピラゾリドン 13.6 g
水酸化カリウム 52.7 g
硝酸亜鉛 0.60 g
水 合計1kgになる量
上記組成の処理液を0.3 gずつ、圧力で破壊可能な容器に充填した。
Figure 2006072238
Figure 2006072238
水溶性高分子(24) カルボキシメチルセルロースNa塩 エーテル化度1.5
水溶性高分子(25) カルボキシメチルセルロースNa塩 エーテル化度2.5
水溶性高分子(26) ポリビニルアルコール (鹸化度98.5:重合度約500)
水溶性高分子(27) ヒドロキシエチルセルロース
(ダイセル化学工業株式会社製、SP600)
水溶性高分子(28) ポリアクリル酸Na
(住友化学工業株式会社製、スミカゲルL5−H)
水溶性高分子(29) デキストラン (分子量7万)
水溶性高分子(30) κカラギナン (台糖株式会社製)
水溶性高分子(31) グアーガム (和光純薬工業株式会社製)
水溶性高分子(32) トラガントガム(和光純薬工業株式会社製)
水溶性高分子(33) カードラン (和光純薬工業株式会社製)
水溶性高分子(34) プルラン (株式会社林原製 PF-20)
感光要素101とカバーシート101と処理液(アルカリ処理組成物)101〜116を用いて特開平7-159931号等に記載の方法でカラー拡散転写写真ユニット101〜116を作製した。このカラー拡散転写写真ユニットをカメラに装填した後、カバーシート側から露光し、両シート間に55μmの厚さになるように加圧ローラーによって処理液を展開することにより現像を行った。展開処理は25℃で行い、処理直後から1分間、カバーシート側を内側にして折り曲げ、処理1日後に処理液剥がれによって発生したシダ状の模様の有無を感光要素側から観察した。展開された処理液に液切れが生じているか否かをカバーシート側から観察した。
結果をまとめて表9に示した。
Figure 2006072238

注 液切れの評価は、次のとおりとした。
○:液切れが生じていない
△:液切れが僅かに生じているが実質的に問題無い。
×:液切れが生じており、実用上支障が有る。
シダ状模様が見られなかったことから、プルランを含有するアルカリ処理組成物含有体(113〜116)は、カバーシート101及び感光シート101との優れた密着性を示すことが分かった。またアルカリ処理組成物含有体113〜116は、展開性も概ね良好であった。
実施例2
感光要素として感光要素201を作製し、処理液の展開厚さを38μmとした以外実施例1と同様にしてユニットを作製し、性能を評価した。
以下の表10〜表14の層構成を有する感光要素(感光要素201)を作製した。
Figure 2006072238
Figure 2006072238
Figure 2006072238
Figure 2006072238
Figure 2006072238
感光要素(感光要素201)の作製に使用した化合物を以下に示す。
Figure 2006072238
Figure 2006072238
Figure 2006072238
以下に示す調製法により、J、K、Lの3種類のハロゲン化銀乳剤(表面潜像型)を調製した。乳剤J、K、Lの組成を表14にまとめて示す。なお乳剤J、K、Lの調製に当たっては、低分子量ゼラチンとして平均分子量2万以下のものを使用し、脱イオンゼラチンとしてCa含量100 ppm以下のものを使用した。
乳剤K:
次に示すように、乳剤Kを調製した。
臭化カリウム0.005 molと、低分子量ゼラチン1.1 gとを含むゼラチン水溶液0.7リットルに、0.58 mol/リットルの濃度の硝酸銀水溶液26.5 mLと、臭化カリウム濃度0.42 mol/リットル、低分子量ゼラチン濃度1.5質量%の水溶液46.4 mLとを激しく撹拌しながらダブルジェット法で1分間かけて同時に混合した。この間ゼラチン水溶液は35℃に保持した。臭化カリウム0.5 gを添加した後、1分間に1.5℃の勾配で75℃に昇温した。
75℃に達した後、脱イオンゼラチンを16質量%含むゼラチン溶液0.16リットルと、4.9%硫酸水溶液5mLとを添加した。次いで、1.88 mol/リットルの濃度の硝酸銀水溶液と、1.88 mol/リットルの濃度の臭化カリウム水溶液とを、硫酸を含有するゼラチン溶液の流速を大きくしながら(終了時の流速が開始時の流速の3.5倍)、ダブルジェット法で44分かけて添加した。添加した硝酸銀水溶液の量は366 mL、臭化カリウム水溶液の量は375 mLであった。
次に、Ca含量100 ppm以下の脱イオンゼラチンを14質量%含むゼラチン溶液0.08リットル、ベンゼンチオ硫酸ナトリウムを2mg添加した。引き続いて、1.88 mol/リットルの濃度の硝酸銀水溶液と、1.88 mol/リットルの濃度の臭化カリウム水溶液とを、ベンゼンチオ硫酸ナトリウムを含有するゼラチン溶液の流速を大きくしながら(終了時の流速が開始時の流速の1.2倍)、ダブルジェット法で11分かけて添加した。添加した硝酸銀水溶液の量は157 mL、臭化カリウム水溶液の量は163 mLであった。
臭化カリウム4.6 gを添加した後、常法のフロキュレーション法により水洗した。脱イオンゼラチン及び2-フェノキシエタノール、p-ヒドロキシ安息香酸メチルを添加した後、pH5.8、pAg8.8に調節して乳剤1kgあたり1.35 molの銀及び84 gのゼラチンを含むように調節した。このようにして得られた硝酸銀と臭化カリウムを含む混合物0.74 kgを55℃に昇温した後、沃化カリウムを0.5 g、増感色素(6) を4.2×10−4モル、増感色素(7) を5.4×10−4モル添加し、30分間熟成させた。次にチオシアン酸カリウム5.0×10−4モル、四塩化金酸カリウム1.4×10−5モル、チオ硫酸ナトリウム1.2×10−5モルを添加して60分熟成させ、途中、化合物E-4を1.0×10−3モル添加し、熟成終了後に化合物E-5を3.2×10−4モル添加して乳剤調製を終了した。
電子顕微鏡による観察の結果、粒子厚さhiの平均値(=Σhi×ni/Σni)0.135 μm、粒子の球相当直径Diの平均値(=ΣDi×ni/Σni)1.15 μmであった。球相当直径は、各粒子の主平面方向から見た投影面積と等しい面積の円の直径を示す。球相当直径Diの平均値/粒子厚さhiの平均値により表される平均アスペクト比は8.5であった。
乳剤J:
増感色素(6)及び増感色素(7) の代わりに増感色素(9)を9.2×10−4モル添加した以外乳剤Kの調製法と同様にして、乳剤Jを調製した。
乳剤L:
増感色素(6)及び増感色素(7) の代わりに増感色素(1) を8.4×10−4モル、増感色素(2) を2.6×10−5モル及び増感色素(3) を1.7×10−4モル添加した以外乳剤Kの調製法と同様にして、乳剤Lを調製した。
次に、アルカリ性処理組成物101〜116と同様にして、アルカリ処理組成物含有体201〜216を作製した(表15)。アルカリ処理組成物含有体201〜216をアルカリ処理組成物含有体101〜116と同様に、0.3 gずつ、圧力で破壊可能な容器に充填した。
Figure 2006072238
乳剤調製に用いた化合物をまとめて以下に示す。
Figure 2006072238
感光要素201と、カバーシート101と、処理液201〜216を用いて特開平7-159931号公報等の方法でカラー拡散転写写真ユニット201〜216を作製した。このカラー拡散転写写真ユニットをブルー、グリーン、レッドの三色のLED露光機を内蔵する露光展開処理機で展開処理した。露光展開処理機にカラー拡散転写写真ユニット201〜216を装填した後、カバーシート側からLEDを光源として露光し、両シート間に38μmの厚さになるように加圧ローラーにより処理液を展開することにより、現像を行った。展開処理は25℃で行い、処理直後から1分間、カバーシート側を内側にして折り曲げ、処理1日後に処理液剥がれによって発生したシダ状の模様の有無を感光要素側から観察した。また展開された処理液に液切れが生じているか否かをカバーシート側から観察した。また展開処理前のアルカリ処理組成物含有体の粘度をレオストレス150(ハーケ社製)を用いて、25℃で測定した。
結果をまとめて表16に示した。
Figure 2006072238
注 液切れの評価は、次のとおりとした。
○:液切れが生じていない
△:液切れが僅かに生じているが実質的に問題無い。
×:液切れが生じており、実用上支障が有る。
プルランを含有するアルカリ処理組成物含有体(213〜216)は、カバーシート101及び感光シート101との優れた密着性を示すことが分かった。またアルカリ処理組成物含有体213〜216は、展開性も概ね良好であった。

Claims (4)

  1. 感光要素と、中和要素と、アルカリ処理組成物含有体とを具備し、前記感光要素は少なくとも1つの色素形成化合物及びハロゲン化銀乳剤を含有し、前記中和要素は前記アルカリ処理組成物含有体のpHを低下させる機能を有し、前記感光要素及び前記中和要素の少なくとも一方が色素を固定する受像層を有し、前記アルカリ処理組成物含有体は前記感光要素及び前記中和要素の間に展開されるカラー拡散転写フイルムユニットにおいて、前記アルカリ処理組成物含有体がプルランを含有することを特徴とするカラー拡散転写フイルムユニット。
  2. 請求項1に記載のカラー拡散転写フイルムユニットにおいて、前記ハロゲン化銀乳剤がネガ型ハロゲン化銀乳剤であることを特徴とするカラー拡散転写フイルムユニット。
  3. 請求項1に記載のカラー拡散転写フイルムユニットにおいて、前記ハロゲン化銀乳剤が内部潜像型直接ポジハロゲン化銀乳剤であることを特徴とするカラー拡散転写フイルムユニット。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のカラー拡散転写フイルムユニットと、複数の波長域で発光する露光ヘッドとを用い、画像情報に応じた光量に変調して露光することを特徴とする画像形成方法。
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