JP2006070953A - シンクロナイザリング - Google Patents

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Abstract

【課題】 シンクロナイザリングの耐スカッフィング性及び耐摩耗性を向上させる。
【解決手段】 内面がテーパ状である焼結合金にかかるシンクロナイザリングに関し、内周面の大径側の内径を基準径とし、かつ、この内周面には、軸方向に延びる溝部と、これら溝部間に設けられたランド部とを設け、基準径に対する前記溝部の数の比(溝本数/基準径)と溝本数率とし、この比を0.6〜1.0とする共に、ランド幅に対する、溝部の溝幅の比(溝幅/ランド幅)を溝ランド比とし、この比を0.5〜1.2として、かつ、(1)式:溝ランド比≦1.76×(溝本数率)−0.232の範囲内に設定し、しかも、(1)式において、溝ランド比が1.0、溝本数率が0.7となる値を前記溝ランド比及び前記溝本数率から除いた範囲となるように形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、変速機の同期噛合装置に用いるシンクロナイザリングに関する。
シンクロナイザリングは、回転する相手部材、例えば、テーパーコーンに対する接続、該テーパーコーンとの同期摺動、及び該テーパーコーンからの離脱を行う摩擦環であって、相互に噛み合う二つの歯車の周速を等速にさせている。図7は、その構造の一例を示すもので、最外周部には、相手部材と噛み合う多数の歯形100が周方向に関して所定間隔毎に設けられる一方で、内周面101には、潤滑油を逃がすため、リング状の条溝102に対して直交する縦溝103が必要に応じて形成される。さらに、外周部にはシンクロナイザキーが嵌合するキー溝104が設けられている。そして、これらは、一般に黄銅(Cu−Zn合金)で形成されている。
かかるシンクロナイザリングは、一般に、機械的強度及び精度が高いことはもとより、相手部材と接触する内周面の摩擦特性に優れ、充分な耐摩耗性、耐スカッフィング性を有していることが要求される。特に自動車変速機の分野では、近年におけるミッションの高級化、高性能化に伴い確実な作動性が求められるだけでなく、操作性における高級感、スポーティー感も求められている。このため、内周面の摩擦特性及び耐摩耗性をより向上させることがシンクロナイザリングに要求されている。
そこで、黄銅(Cu−Zn合金)を使用する従来のシンクロナイザリングに比較して、内周面の摩擦特性及び耐摩耗性の向上を図ったシンクロナイザリングが種々検討されている。例えば、特許文献1には、基地組織に遊離Cu相が析出するFe系焼結合金からなるシンクロナイザリングが示されている。
また、特許文献2では、焼結合金からなるシンクロナイザリングの製造方法において、粉末冶金法により圧縮成形及び焼結し、内周面にリング状の条溝を加工することなく、軸方向の溝のみを機械加工し、その後、内周面に耐摩耗材を溶射することが開示されている。そして、溶射後の内周面の面粗度は、プラトー率が1〜40%の間に形成され、溶射被膜の突起高さを均一になされる。これにより、ギアとの間に形成される隙間のばらつきを少なくすることができ、他部品と干渉することを防止している。
また、特許文献3では、軸方向の溝のみを圧粉成形、焼結により製造された基部と、該基部の内周面に一体化されたリング状の摩擦部材とで構成される焼結合金からなるシンクロナイザリングが示されている。このシンクロナイザリングは、その内周面の傾斜摩擦面のコーン角と外周歯部のチャンファ角とを特定することで、シフトの操作力の低減とシンクロナイザリング食いつき制御の改善がなされている。
更に、特許文献4では、軸方向の溝のみを、圧粉成形、焼結により製造された焼結合金からなるシンクロナイザリングに関し、その内周面に主油溝と補助油溝とを形成し、冬季で潤滑油の粘度が高くとも、始動時などに良好な排出特性を発揮するようにした発明が開示されている。
特開平8−177879号公報 特許第3004808号公報 特開平11−325115号公報 特開平11−190362号公報
しかし、特許文献2に示す発明では、機械加工及び溶射の双方を行うために、製造コストが高くなるという問題がある。他方、特許文献1,3,4に示す発明では、未だ必要とする耐摩耗特性が得られるに至っていない。
そこで、本発明では、高い耐摩耗特性を有し、しかも低廉なコストで製造可能なシンクロナイザリングを提供する。
本発明では、上記の課題を解決するために、焼結合金製シンクロナイザリングの内周面が、軸方向の一端側に向かうにつれて末広がりとなるテーパ状に形成され、この一端側が前記内周面の大円径となされ、かつ、この内周面には、周方向の所定間隔毎に配された前記軸方向に延びる溝部と、これら溝部間にランド部が設けられたシンクロナイザリングであって、直径方向にて対向する前記ランド部間の間隔である内径を前記大円径とし、前記大円径を基準径として、この基準径に対する前記溝部の数の比(溝本数N/基準径D)(単位:本/mm)である溝本数率が0.6〜1.0となされると共に、各ランド部の周方向に関する寸法であるランド幅に対する、前記溝の溝幅の比(溝幅/ランド幅)である溝ランド比が0.5〜1.2となされ、
かつ、溝ランド比≦1.76×(溝本数率)−0.232・・・(1)式
の範囲内に設定され、しかも、前記(1)式において、溝ランド比が1.0、溝本数率が0.7となる値が前記溝ランド比及び前記溝本数率から除かれた範囲となるように形成されたシンクロナイザリングを採用した。
本発明によれば、溝本数率と溝ランド比とを適宜組み合わせたシンクロナイザリングを形成することで、高い耐摩耗性を得られる。加えて、ミッションの高級化、高性能化に伴い確実な作動性を付与するミッションが得られることは勿論のこと、操作感にも高級感やスポーティ感を与えることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかるシンクロナイザリング1の正面図を、図2は、シンクロナイザリング1の縦断面図を、図4はシンクロナイザリング1の斜視図をそれぞれ示している。また、図3は、図1に示すP部の拡大図である。
シンクロナイザリング1は、回転力を伝達させる際に、その内周面を回転する相手部材、例えばテーパーコーンの外周面に当接せしめて同期摺動させ、伝達を遮断する際には、相手部材の外周面から離脱させる部材である。
このシンクロナイザリング1は鉄系や黄銅系等の焼結用粉末プレス成形焼結することによりリング状に形成されている。その外周面には、軸方向の一端側に半径方向外側に張り出すフランジ2が形成され、さらに、このフランジ2の外周面にはその全周に歯形3が半径方向外側に向けて張り出すように形成されている。さらに、外周面には、周方向の3ヶ所において、相互に等間隔をなして、突条4が半径方向外側に向けて突出されて、軸方向に延びている。また、各突条4同士の周方向における中間位置には、内側に向けて窪ませた凹所5が3ヶ所に設けられている。この凹所5はシンクロナイザキーが嵌合するキー溝である。
一方、シンクロナイザリング1の内径は、フランジ2の形成された軸方向の一端側に向けて末広がりとなるように角度θだけ傾けられて、テーパ状に形成されている(図2参照)。かかるシンクロナイザリング1の内周面は、全周に渡り等間隔毎をなして当該シンクロナイザリング1の軸方向に延びる複数の溝部10と、各溝部10の間にて中心側に向けて突出してなるランド部11とから構成されている。溝部10は、潤滑油を逃がすために形成されている一方で、溝部10同士の間に形成されたランド部11は、相手部材の外周面と当接し、テーパーコーン等の相手部材からの動力を伝達させるために設けられている。
図2に示すように、テーパ状に形成された内周面における、軸方向の大円径側に関し、直径方向にて対向しあうランド部11同士の間隔として構成される直径を基準径Dとする。また、図2に示すように、この基準径Dに対する溝部10の数の比(溝本数N/基準径D)を溝本数率とし、図3に示すように、各ランド部11の周方向の寸法であるランド幅Aに対する、溝部10の溝幅Bの比(溝幅B/ランド幅A)を溝ランド比とする。
このシンクロナイザリング1では、溝本数率が0.6〜1.0の範囲、溝ランド比が0.5〜1.2で、かつ、次の(1)式で表される直線で囲まれた範囲に設定されるように形成されている。但し、(1)式で表される直線において、溝ランド比が1.0、溝本数率が0.7となる点は除かれる。
溝ランド比=1.76×(溝本数率)−0.232・・・・(1)式
ここで、このシンクロナイザリング1において、溝本数率、溝ランド比を上記の範囲に設定したことの意義について図5を参照しながら説明する。
条件I
溝本数率=(溝本数N/基準径D)=0.6〜1.0としたこと
図5において、溝本数率は横軸として示されている。溝本数率を小さくするとは、シンクロナイザリング1の内周の基準径Dに対して溝数を少なくすることである。溝ランド比が同じであれば、溝本数Nの減少に伴い溝幅Bは大きくなる。そうすると、個々の溝が潤滑に必要な油まで排出してしまい、摩耗量が大きくなる。これを防止するため、溝本数率を0.6以上としている。
他方、溝深さに関しては、0.5(mm)未満とすると、潤滑油を排出させることが困難となることが見出された。このため、溝深さを0.5(mm)以上確保する必要がある。この場合、シンクロナイザリング1をプレス成形する工程で、型からの抜き出し性を考慮し、45°の抜き勾配を設ける。この45°の抜き勾配を確保するには溝本数率を1.0以下とする必要がある。
以上のことから、溝本数率=(溝本数N/基準径D)=0.6〜1.0とした。
条件II
溝ランド比=(溝幅B/ランド幅A)=0.5〜1.2としたこと
図5において、溝ランド比は縦軸として示されている。
当該シンクロナイザリング1をプレス成形する工程において、型からの抜き出し性を考慮すると、溝本数率を1.0以下にする必要があることと同様に、45°の抜き勾配を確保するためにこの溝ランド比も0.5以上とする必要がある。
他方、潤滑油の排出特性は、溝部10の体積に比例し、溝幅Bが大きくなるに連れ良好になる。しかし、必要以上に大きく形成すると、潤滑に必要な潤滑油までもが排出され、摩耗量が大きくなる。また、全周におけるランド部11(摺動面部)自体の必要総面積が減少し、このランド部11(摺動面部)に加わる面圧が大きくなり、ひいては摩耗量の増大を招いてしまう。この不都合を避けるために、溝ランド比を1.2以下とした。
以上のことより、溝ランド比=(溝幅B/ランド幅A)=0.5〜1.2とした。
これら条件I及び条件IIは、図5において、溝本数率と溝ランド比とで示される長方形の内側の範囲に該当する。
条件III
(1)式:溝ランド比=1.76×(溝本数率)−0.232
この(1)式は、図5においてグラフの左上を斜めに延びる直線として示されている。この(1)式は、溝本数率と溝ランド比との関係において、摩耗量の上限としての意義を有する。即ち、摩耗量が所定量を超えないよう設定する場合その上限を(1)式で表される値を超えないようにしている。
上記条件I及び条件IIも併せて考慮すれば、シンクロナイザリング1の内周面について、溝部10とランド部11とをいかなる比率で設計する場合において、溝本数率又は溝ランド比を(1)式に代入して計算し、図5において、溝本数率0.6〜1.0、溝ランド比0.5〜1.2、及び(1)式とで囲まれた範囲内に収まる溝本数率又は溝ランド比を選定することである。
条件IV
(1)式において、溝本数率が0.7、溝ランド比が1.0となる点を除くこと
図5の(1)式において、白抜きで示された部分が(溝本数率,溝ランド比)=(0.7,1.0)である。この条件IVは、条件I〜条件IIIで設定された部分から当該白抜きの点の部分を除くことである。
なお、この部分を除くことの意義は、後に説明する実施例で明らかにするように、耐摩耗性が従来品と変わらないことによる。
以上の構成を有するシンクロナイザリング1につき、実施例を以下に説明する。
所定の成分組成となるように混合調整された、鉄系や黄銅系の焼結用粉末を用いてシンクロナイザリング1を製造した。製造するに当たり、当該焼結用粉末を面圧5〜7トン/cm2でプレス成形を行い、圧粉体を形成した。このシンクロナイザリング1の寸法は、基準径Dがφ80mm、溝深さが0.5mm、軸方向の厚みが8.5mmである。そして、表1に示すように溝本数率と溝ランド比との組み合わせを複数形成した。
即ち、溝本数率は、0.6〜1.0の範囲について、0.1おきに設定し、溝ランド比は、0.5〜1.2の範囲について、0.1おきに設定したシンクロナイザリング1を作製した。
なお、各シンクロナイザリング1を製造するに当たり、その焼結条件は、一般的な焼結温度及び焼結時間で行った。
Figure 2006070953
また、表2は、テストに使用した各シンクロナイザリング1に関し、内周面基準径Dに対するランド部11の総面積率を示している。
Figure 2006070953
なお、表3は各シンクロナイザリング1と実施例番号との対比表を示している。表3に示すように、溝本数率0.6、溝ランド比0.5を実施例1として順に番号を付けている。但し、この表3において上側の8個のシンクロナイザリング1、即ち、(溝本数率,溝ランド比)=(0.6,0.9:比較例2)、(0.6,1.0:比較例3)、(0.6,1.1:比較例5)、(0.6,1.2:比較例7)、(0.7,1.0:比較例4)、(0.7,1.1:比較例6)、(0.7,1.2:比較例8)、(0.8,1.2:比較例9)の8個に関するものは、後に説明するように、当初の結論を得られなかったものであり、比較例として記載している。
Figure 2006070953
このようにして製造されたシンクロナイザリング1の耐摩耗性能を調査するために単体摩耗試験機を用いて耐摩耗試験を行った。試験条件は次の通りである。
試験モード :イナーシャスリップモード
イナーシャ :0.0294kg・m2
押し付け荷重 :1200N
回転数 :2500rpm
使用潤滑油 :SAE75W−85
油温 :80℃
給油方式 :コーン停止時浸漬
(軸心より下37mm±1mm)
相手部材
材質 :SCM420(表面硬さHv(0.1)600)
形状 :コーンテーパ
コーン角度:5°30’
着脱回数 :2000回
この着脱回数は、相手部材をシンクロナイザリング1に押し付け、シンクロナイザリング1が停止するまでを1回としてカウントした。但し、着脱が2000回に達する前にスカッフィングを起こしたものは、それまでの回数から2000回における摩耗量を算出している。また、スカッフィングの発生は、シンクロナイザリング1に発生するトルクを測定し、トルクの波形の乱れ、過大なスティックトルクの発生、異音の発生から判断した。
なお、比較の対象として、従来技術として挙げた特許第3004808号公報(特許文献2)に記載のシンクロナイザリング1を本発明と同じ材料により製作し、同様の試験を行った。表4は、このシンクロナイザリング1の溝本数率と溝ランド比を示している。
Figure 2006070953
以上の条件の下に試験を行った結果を表5に示す。
表5は、各シンクロナイザリング1の軸方向摩耗量について、特許文献2に記載のシンクロナイザリング1を基準とした場合に本実施例にかかるこれらシンクロナイザリング1がどの程度の摩耗量であったかを比率として示したものである。
Figure 2006070953
例えば、実施例1は、従来品として掲げた比較例1に対して、33%しか摩耗しないことがこの表5から読みとれる。また、実施例5は、0%であり、全く摩耗しないことを意味する。さらに、比較例5及び比較例7は2000回に達する前にスカッフィングを起こしたために強制終了させ、そのときの回数から2000回の摩耗量を算出した。
この表5に示すように、溝本数率を0.6に形成したシンクロナイザリング1の内、溝ランド比を0.9〜1.2(比較例2,3,5,7)に形成したものとの組み合わせ、溝本数率を0.7に形成したシンクロナイザリング1の内、溝ランド比を1.0〜1.2(比較例4,6,8)に形成したものとの組み合わせ、及び溝本数率0.8と溝ランド比1.2(比較例9)との組み合わせにかかるシンクロナイザリング1については、特許文献2にかかる従来品よりも激しく摩耗することが分かる。また、溝本数率0.7と溝ランド比1.0との組み合わせにかかるシンクロナイザリング1については、特許文献2にかかる従来品とほとんど同じ耐摩耗性しか得ることができなかった。
この結果から、特許文献2にかかる従来品よりも優れた耐摩耗性のシンクロナイザリング1を得るためには、溝本数率を0.6に設定した場合には、溝ランド比を0.5〜1.2の範囲のうち0.5〜0.8の範囲に、溝本数率を0.7に設定した場合には、同様に溝ランド比を0.5〜1.2の範囲のうち0.5〜0.9の範囲に、溝本数率を0.8に設定した場合には、同様に溝ランド比を0.5〜1.2の範囲のうち0.5〜1.1の範囲にそれぞれ設定する必要がある。
図6は、各シンクロナイザリング1に対応する実施例及び比較例の番号のもの毎に、溝幅Bの測定値、ランド総面積率、及び摩耗率をプロットしたものである。なお、プロット点に関し、▲は溝幅Bを、■はランド総面積率を、●は摩耗率をそれぞれ示している。
この図6に示すように、摩耗率は溝幅Bが相対的に小さい場合には、溝幅Bの増加に関わりなくゼロとなる。溝幅Bが相対的に大きくなると、溝幅Bの増大に伴って摩耗率も大きくなる。これに対して、ランド総面積率は、溝幅Bが増大するに連れ、減少傾向にある。
この図6及び表5を併せて考察すると、比較例1より摩耗量が大きかった比較例2〜比較例9については、溝幅Bによる油の排出特性とランド部11の総面積の相互作用によって、摩耗量が大きくなると判断できる。
なお、この図6において、摩耗率がゼロを示している実施例5〜実施例26にかかるシンクロナイザリング1は、表3から明らかなように、表の右下側の欄に位置するシンクロナイザリング1である。即ち、溝本数率が相対的に大きく(0.9〜1.0)、しかも、溝ランド比が相対的に小さく(0.5〜1.0)形成されていると、高い耐摩耗性を得られることが分かる。
ここで、比較例1よりも摩耗量の小さな実施例1〜実施例32について横軸を溝本数率、縦軸を溝ランド比としたグラフにプロットすると、これらは、図5において溝本数率=(溝本数N/基準径D)=0.6〜1.0、溝ランド比=(溝幅B/ランド幅A)=0.5〜1.2であって、しかも、溝ランド比≦1.76×(溝本数率)−0.232の領域にプロットされることが分かる。さらに、比較例1と同様の摩耗量しか得ることができなかった比較例4のポイントは、図5において白抜きで表された(溝本数率,溝ランド比)=(0.7,1.0)の点である。
以上のように、この実験結果を総合的に判断すれば、耐摩耗性を特許文献2に記載の発明より向上させるためには、溝本数率の範囲が、0.6〜1.0で、溝ランド比が0.5〜1.2の範囲で囲まれた長方形の内部で、かつ、
溝ランド比≦1.76×(溝本数率)−0.232
となる範囲に設定し、しかも、この直線上の(溝本数率,溝ランド比)=(0.7,1.0)となる点を除く範囲で表された領域に設定するという既決を得る。
本発明の一実施形態にかかるシンクロナイザリングの正面図。 図1に示すシンクロナイザリングの縦断面図。 図1のP部の拡大図。 図1に示すシンクロナイザリングの斜視図。 本発明のシンクロナイザリングの溝本数率と溝ランド比との関係を示すグラフ。 実施例毎に溝幅、ランド総面積率、摩耗率の関係をそれぞれプロットしたグラフ。 従来のシンクロナイザリングの一例を示す斜視図。
符号の説明
1 シンクロナイザリング
2 フランジ
3 歯形
10 溝部
11 ランド部

Claims (1)

  1. 焼結合金製シンクロナイザリングの内周面が、軸方向の一端側に向かうにつれて末広がりとなるテーパ状に形成され、この一端側が前記内周面の大円径となされ、かつ、この内周面には、周方向の所定間隔毎に配された前記軸方向に延びる溝部と、これら溝部間にランド部が設けられたシンクロナイザリングであって、
    直径方向にて対向する前記ランド部間の間隔である内径を前記大円径とし、前記大円径を基準径として、この基準径に対する前記溝部の数の比(溝本数N/基準径D)(単位:本/mm)である溝本数率が0.6〜1.0となされると共に、
    各ランド部の周方向に関する寸法であるランド幅に対する、前記溝の溝幅の比(溝幅B/ランド幅A)である溝ランド比が0.5〜1.2となされ、
    かつ、溝ランド比≦1.76×(溝本数率)−0.232・・・(1)式
    の範囲内に設定され、
    しかも、前記(1)式において、溝ランド比が1.0、溝本数率が0.7となる値が前記溝ランド比及び前記溝本数率から除かれた範囲となるように形成されたことを特徴とする焼結合金製シンクロナイザリング。
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