JP2006070890A - 4サイクル直噴火花点火ピストン式エンジンの運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 4サイクルガソリンエンジンの燃焼室に設置した空気噴射弁の熱負荷を減少させる事と設置による吸気・排気バルブの面積を制限しない事を目的とする。
【解決手段】 燃料を空気噴流と供に噴射する燃料噴射弁1を設けた4サイクル火花点火ピストン式エンジンで、排気上死点時付近の期間に、コンピューターが燃料の接断を切り替える電磁弁7を閉弁したまま空気噴射弁2を開弁させて空気だけを噴射し、燃料の調量後の吸入工程時または圧縮工程時に、燃料と空気を同時に噴射させると、既燃焼ガスを掃気できる事と空気噴射弁の熱負荷の減少を同時に実現できるだけでなく、狭い燃焼室内壁に二つの働きを兼ね備える燃料噴射弁を設置する事で、設置スペース上の利点と経済的な利点が得られる。
【選択図】 図2

Description


本発明は、燃料と空気を同時に噴射する燃料噴射弁の運転方法に関するものである。
4サイクル火花点火ピストン式エンジンでは、排気工程終了時の燃焼室内に既燃焼ガスが残留する。
残留既燃焼ガスは、吸入工程時に吸気と混合してしまう。シリンダー内の吸気だけに選択的に燃料を供給する事はできない。この結果、前記の残留既燃焼ガスにも燃料供給する。すると、燃費が悪化する。
これに対して、排気弁閉弁時直前に燃焼室壁面に設けた空気噴射弁から燃焼室内に空気を噴射すれば、既燃焼ガスを掃気できる。
しかし、空気噴射弁の噴射口付近は、噴射される空気流によって冷却されるが、これ以外の時期には噴射口付近は空気流によって冷却されない。この結果、空気噴射弁の熱負荷が増す。
一方、燃料噴射弁に供給される液体燃料によって、燃料噴射弁の熱負荷は軽減される。
4サイクル直噴火花点火ピストン式エンジンの燃焼室壁面には、燃料噴射弁が設置されている。この燃料噴射弁は、吸気弁と排気弁の面積を制限する要素を持つ。燃料噴射弁に加えて空気噴射弁を燃焼室の固定壁面に設置すると、吸気弁と排気弁の面積を制限してしまう。
海山堂出版発行の内燃機関という名称の雑誌の1988年7月号の75ページから79ページにオービタル社の燃料噴射弁に関する記事が示されている。
第8図のLOW COST INJECTION SYSTEM と表示される燃料噴射弁は、高圧の空気流によって燃料をシリンダー内に微細化して噴射する事によって、燃料の気化性を向上させている。
第9図では、燃料の調量時と噴射時および中負荷時の燃料噴射弁内の各部の状態を説明している。
また、公開日が平成6年(1994年)11月15日の直噴層状燃焼機関ならびに多段噴射燃焼方式という発明の名称の出願がある。この出願は、給気行程と圧縮工程における燃料噴射期間を分割することを示している。
上記の出願とオービタル社の燃料噴射弁の例とを総合しても、4サイクルエンジンの燃焼室に、空気だけを噴射する事にはならない。
本願発明では、燃料を噴射する燃料噴射弁と空気だけを噴射する空気噴射弁の二つの働きを一つの燃料噴射弁がおこなっている。従って、以下の三つの利点を持つ。
第一は、空気よりも冷却効果が大きな燃料で噴射弁を冷却するので、空気を噴射して燃料を噴射しない空気噴射弁よりも、本発明で使用する空気噴射弁の機能を持つ燃料噴射弁の熱負荷が減少する。この為、耐久性が向上する。
第二は、空気噴射弁と燃料噴射弁を燃焼室壁面に設置する場合と比較すると、設置スペース上の利点がある。
第三は、吸気管に設置された燃料噴射弁と燃焼室の壁面に設置された空気噴射弁とを持つ例と比較した場合でも、本願発明は経済性にも利点を持つ。
4サイクル直噴火花点火ピストン式エンジンの燃焼室の固定壁面に設置した空気噴射弁の熱負荷を減少させる事を目的とするだけでなく、空気噴射弁の設置によって吸気・排気バルブの面積を制限しない事も同時に実現する事を目的とする。
課題を解決する為の手段
内蔵する空気噴射弁が噴射する空気流によって燃料と空気を同時に噴射する形式の燃料噴射弁でしかも調量する燃料の量をゼロに設定した場合でも前記の空気流を噴射口から噴射できる形式の電磁式の燃料噴射弁を燃焼室の固定された壁面に設けた4サイクル直噴火花点火ピストン式エンジンにおいて、
燃料噴射時の直前に、負荷に応じて前記の燃料を調量し、
前記の燃料を調量した直後の吸入工程時または圧縮工程時に、前記の空気流によって前記の燃料と前記の空気を同時に前記の噴射口から前記の燃焼室内に噴射させ、
前記の燃料と前記の空気を同時に噴射させた後の時期でしかも次の燃料を調量する時よりも前の時期に、前記の調量する燃料の量をゼロに設定したままにして、前記の噴射口から前記の空気だけを前記の燃焼室内に噴射させる。
4サイクル直噴火花点火ピストン式エンジンの燃焼室の固定された任意の壁面に燃料噴射弁1を設ける。この一例を第1図に示す。そして、このエンジンは、図2に示すオービタル社の燃料噴射弁を使用する。
燃料噴射弁1の内部に、燃料調量部3を挟んで排気工程時に既燃焼ガスに接する弁5と空気噴射弁2とを備える。
加えて、燃料調量部3に隣接して、燃料調量部3と加圧された燃料経路とを接断する電磁弁7を設ける。
以下の様な運転方法をおこなう。
まず、燃料噴射時の直前の時期に、負荷に応じて燃料の量をゼロ以外に調量する。すなわち、空気噴射弁2を負荷に応じて移動させて、燃料調量部3の容積を設定し、燃料調量部3と加圧された燃料経路との接断を切り替える電磁弁7を開弁して、燃料調量部3内に点の集まりとして表示した燃料を導入する。
第4図に、低負荷の調量時の例を示す。第5図に、高負荷の調量時の例を示す。
そして、吸入工程時または圧縮工程時の燃料噴射時期になったら、開弁した空気噴射弁2から噴出する空気によって、燃料は燃料調量部3外に押し出されて、噴射口8から噴出する。
第6図に高負荷時の噴射時の例を示す。
以上は、オービタル社の燃料噴射弁の運転方法と同じである。
これ以降の運転方法は、本願発明の独自のものである。
そして、燃料と空気を同時に噴射した後で、図2に示す様に、図示しないコンピューターが燃料調量部3と燃料経路とを接断する電磁弁7を閉弁したままに制御する。すると、燃料はゼロに調量される。
その後、排気弁の閉弁時直前に、第3図に示す様に、空気噴射弁2を開弁して加圧された空気を燃料調量部3に噴出させる。この時、燃料調量部3には燃料は存在しない。そして、加圧された空気が既燃焼ガスに接する弁5を弁座部4に押し付けているスプリング6を圧縮して、既燃焼ガスに接する弁5を開弁する。すると、噴射口8から空気だけが燃焼室内に噴射される。
勿論、4サイクルエンジンの排気工程の終期に燃焼室内に空気噴射すれば、燃焼室内の既燃焼ガスを掃気できる。
作用を説明する。
第4図および第5図に示す様に、燃料調量部3に満たされる燃料によって、既燃焼ガスに接する弁5の燃料調量部側が、冷却される。
そして、第6図に示す様に、空気噴射弁2の開弁によって、燃料調量部3内の燃料が既燃焼ガスに接する弁5とその弁座部4付近から噴射口8までを冷却する。
本発明で使用できる直噴式の燃料噴射弁は、空気噴射弁が噴射する空気流によって燃料と空気を同時に噴射する形式の燃料噴射弁である事に加えて、燃料と空気を同時に噴射させた後の時期で次の燃料を調量する時よりも前の期間に、調量する燃料の量をゼロに設定したままにして噴射口から空気だけを燃焼室内に噴射できる形式の電磁式の燃料噴射弁なら、前記のオービタル社の燃料噴射弁以外の形式の燃料噴射弁も使用できる。
空気だけを噴射する時期は、排気工程の終期から吸入行程初期までに限定される訳ではなく、吸入工程時から圧縮工程にかけての燃料噴射時および燃料調量時は空気だけを噴射できないが、それら以外の時期に空気だけを噴射できる。
4サイクルピストン式エンジンでは、吸気カムの開弁初期はリフト・カーブが緩やかで、リフト量が極端に少ない。その結果、高速回転になるほど、吸気弁の開弁時にはシリンダー内への吸気の流入量が減少して、シリンダー内は負圧状態になる。
この状態でピストンは、ピストンの下降方向と反対側から力を受ける。その結果、吸気損失量が増加する。
これに対して、前記の最良の形態をアレンジすることで、問題を解決できる。
すなわち、高速回転時でしかも吸入行程初期に、燃料噴射弁1から空気だけを噴射すると、吸入行程初期のシリンダー内の負圧状態が緩和されて、吸気損失量が減少する。その為、エンジンが発生するトルクが向上する。
4サイクル直噴火花点火ピストン式エンジンの断面図。 本願発明の運転方法を行う燃料噴射弁内の各部の構成を説明する図。 燃料噴射弁が空気のみを噴射する時の説明図。 燃料調量部に低負荷時の燃料を供給する時の燃料噴射弁各部の説明図。 燃料調量部に高負荷時の燃料を供給する時の燃料噴射弁各部の説明図。 燃料と空気を同時に噴射する時の燃料噴射弁各部の説明図。 オービタル社の燃料噴射弁の設置位置を示す従来例の図。 オービタル社の燃料噴射弁の内部と噴射状態を説明する従来例の図。
符号の説明
1・・・燃料噴射弁
2・・・燃料調量部に加圧された空気を噴出させる為の空気噴射弁
3・・・燃料噴射弁内の燃料調量部
4・・・スプリングによって既燃焼ガスに接する弁が押し付けられる弁座部
5・・・スプリングと弁座部に挟まれた燃料噴射弁内の既燃焼ガスに接する弁
6・・・既燃焼ガスに接する弁を弁座部に押し付ける燃料噴射弁内のスプリング
7・・・燃料調量部と加圧された燃料経路とを接断する燃料噴射弁内の電磁弁
8・・・既燃焼ガスに接する燃料噴射弁の噴射口

Claims (6)

  1. 内蔵する空気噴射弁が噴射する空気流によって燃料と空気を同時に噴射する形式の燃料噴射弁でしかも調量する燃料の量をゼロに設定した場合でも前記の空気流を噴射口から噴射できる形式の電磁式の燃料噴射弁を燃焼室の固定された壁面に設けた4サイクル直噴火花点火ピストン式エンジンにおいて、
    燃料噴射時の直前に、負荷に応じて前記の燃料を調量し、
    前記の燃料を調量した直後の吸入工程時または圧縮工程時に、前記の空気流によって前記の燃料と前記の空気を同時に前記の噴射口からシリンダー内に噴射させ、
    前記の燃料と前記の空気を同時に噴射させた後の時期でしかも次の燃料を調量する時よりも前の時期に、前記の調量する燃料の量をゼロに設定したままにして、前記の噴射口から前記の空気だけを前記の燃焼室内に噴射させる事を特徴とする4サイクル直噴火花点火ピストン式エンジンの運転方法。

  2. 燃料調量部を挟んで排気工程時に既燃焼ガスに接する弁と空気噴射弁とを備える形式の燃料噴射弁でしかも前記の燃料調量部と燃料経路との接断を切り替える電磁弁を前記の燃料調量部に隣接して設ける形式の電磁式の燃料噴射弁を設けた4サイクル直噴火花点火ピストン式エンジンにおいて、
    燃料噴射時の直前に、前記の燃料調量部に負荷に応じて燃料を調量し、
    前記の燃料を調量した直後の吸入工程時または圧縮工程時に、前記の空気噴射弁を開弁する事によって前記の燃料調量部内の前記の燃料を前記の空気と供に前記の噴射口からシリンダー内に噴射させ
    前記の燃料と前記の空気を同時に噴射させた後の時期でしかも次の燃料を調量する時よりも前の期間に、前記の燃料調量部に燃料供給しない目的でコンピューターが前記の接断を切り替える電磁弁を閉弁したままに制御して、前記のコンピューターが前記の空気噴射弁を開弁させ、これによって前記の既燃焼ガスに接する弁を開弁して前記の噴射口から空気だけを前記の燃焼室内に噴射させる事を特徴とする4サイクル直噴火花点火ピストン式エンジンの運転方法。

  3. 前記の燃料と前記の空気を同時に噴射させた後の時期でしかも排気上死点時付近よりも前の時期に、前記の調量する燃料の量をゼロに設定したままにして、
    前記の排気上死点時付近の時期に、前記の燃料噴射弁の噴射口から空気だけを前記の燃焼室内に噴射させる事を特徴とする前記の請求項1に記載した4サイクル直噴火花点火ピストン式エンジンの運転方法。

  4. 前記の燃料と前記の空気を同時に噴射させた後の時期でしかも排気上死点時付近よりも前の時期に、前記の燃料調量部に燃料供給しない目的で前記のコンピューターが前記の接断を切り替える電磁弁を閉弁したままに制御して、
    前記の排気上死点時付近の時期に、前記のコンピューターが前記の空気噴射弁を開弁させ、これによって前記の既燃焼ガスに接する弁を開弁して前記の噴射口から空気だけを前記の燃焼室内に噴射させる事を特徴とする前記の請求項2に記載した4サイクル直噴火花点火ピストン式エンジンの運転方法。
  5. 前記の燃料と前記の空気を同時に噴射させた後の時期でしかも排気工程の終期よりも前の時期に、前記の燃料調量部に燃料供給しない目的で前記のコンピューターが前記の接断を切り替える電磁弁を閉弁したままに制御して、
    前記の排気工程の終期に、前記のコンピューターが前記の空気噴射弁を開弁させ、これによって前記の既燃焼ガスに接する弁を開弁して前記の噴射口から空気だけを前記の燃焼室内に噴射させる事を特徴とする前記の請求項4に記載した4サイクル直噴火花点火ピストン式エンジンの運転方法。
  6. 前記の燃料と前記の空気を同時に噴射させた後の時期でしかも吸入工程の初期よりも前の時期に、前記の燃料調量部に燃料供給しない目的で前記のコンピューターが前記の接断を切り替える電磁弁を閉弁したままに制御して、
    高速回転時でしかも前記の吸入工程の初期に、前記のコンピューターが前記の空気噴射弁を開弁させ、これによって前記の既燃焼ガスに接する弁を開弁して前記の噴射口から空気だけを前記の燃焼室内に噴射させる事を特徴とする前記の請求項4に記載した4サイクル直噴火花点火ピストン式エンジンの運転方法。
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JP2013096308A (ja) * 2011-11-01 2013-05-20 Mitsubishi Motors Corp 筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置

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