JP2006070364A - シアン含有液からの有価金属の回収方法及びその回収装置 - Google Patents

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正栄 高田
Shinichi Nakanishi
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Abstract

【課題】シアン含有液から有価金属を回収する従来の方法及び装置では次亜塩素酸等の薬品を添加して一旦シアンに分解する工程が必要でありコストが高いので、薬品の添加が不要で有価金属の回収率が向上した電解回収装置および方法を提供する。
【解決手段】有価金属及びシアンを含有する溶液を収容する電解槽3の中に、不溶性材料からなる陽極5と円板状の回転陰極6を配置し、回転用モーター7により陰極を所定の回転数で回転させながら電気分解を行ない、陰極6上に金属を析出させる。
【選択図】図1

Description

本発明は有価金属を含有するメッキ液やメッキ剥離液から有価金属を回収する方法及び装置に関し、更に詳しくは新規な電解装置を用いることによって、これらの液から有価金属を回収する手段を提供することを目的とする。
従来、シアンが含まれるメッキ液、剥離液の処理方法としては、液中に含まれるシアンを分解させるために次亜塩素酸等の薬品を添加していた。これらの液中にAu,Ag,Cu等の有価金属が含有されている場合には、SBHやホルマリン等の還元剤を更に添加して上記有価金属を粉体状に析出させた後、固液分離して回収していた。
また、剥離剤を含有しないメッキ液の場合には、各種電解装置によってAu,Ag等の有価金属を電解採取していたが、この電解方法では薬品添加量の制御が難しくバッチ操業とならざるを得なく、このため過剰な薬品添加量となりコストアップとなり、また、有価金属の回収率もバラつき不安定であった。
一方、剥離剤が含まれるメッキ液の場合、上記の電解法では処理が難しいとされ、上述のシアン分解法によって処理されるのが一般的であった。この原因として電解法で処理しようとすると、陽極の電流密度を高める必要があるが、200A/m2 以上になると陽極に用いられるSUS材が溶け出すことが上げられる。
上述のように剥離剤の含まれるシアン系液中の有価金属の回収法としては、現行法では一旦シアン分解する工程が必要で、このためコスト的に高くつく原因となっていたため、安価な電解採取法を改良することによって上記剥離剤含有シアン液から次亜塩素酸等の薬品を添加することなく有価金属を回収する手段の開発が望まれていた。
本発明者等は斯かる課題を解決するために鋭意研究したところ、陰極の電着効率には陰極板を回転させると効果があり、それには回転数が影響していることと、また陽極でのシアン分解作用においても、陽極材質と電流密度が影響することを見出し、本発明のシアン液からの有価金属回収方法と回収装置とを提供することができた。
上述のように従来電解処理が困難とされたシアン剥離剤含有液から有価金属を回収すると共に、シアン自体を薬品の添加なしに分解できる新規な本発明方法及び装置の開発から、有価金属の回収率を向上させることができると共に、処理コストを従来法より低下させることができた。
(作用)
本発明に用いる電解装置は図1に示すように、先ず循環槽1より循環ポンプ2にて処理原料液のメッキ液を電解槽3中に供給し、オーバーフローした液を循環槽1に返すシステムとなっている。
電解槽3内には整流器4に接続した2本の陽極5と1本の陰極6とが挿入されているが、この場合、陰極は回転モーター7により回る構造とし、これによって極板表面の濃度分極を小さくして液との接触を良くし、電流効率の向上を図っている。
また、陽極の材質として当初SUS材を用いて実験したところ、電流密度を高める毎にSUS材表面が溶出して電解が不可能となったことから、各種不溶性陽極を検討し、Pt−Ti材やフェライト極板が長期間使用しても不溶化しないことを見出した。
なお、カーボン電極の場合は、長期使用により液中にカーボン粒子が溶出し、液の懸濁や極板厚みの減少が見られるが、短期の使用には可能であることが判った。
上記構造の陰極及び陽極を用いてシアン液を電気分解するが、本発明においては、陰極に用いる円板の回転数を500〜1000rpm(周速5〜10m/秒)の範囲にしているが、この範囲が電着効率を良くし、これ以外では電着効率が低下することによる。
また、液中のシアンを分解するために陽極に用いたPt−Ti板またはフェライト電極に対して電流密度(DA)を200〜500A/m2 の範囲で通電させると、短期間にシアンが分解することを見出した。
以下図面を参照して本発明のシアン液中からの有価金属の回収方法とその回収装置について詳細に説明する。
図1に示す装置を用いて処理液中の有価金属としてのAuを回収した。先ず、循環槽1中にAu540ppm、CN170ppm含有のメッキ剥離回収液を貯留し、循環ポンプ2で電解槽3中に370リットル供給し、常温中、電解条件をDK1000A/m2 、DA300A/m2 、陰極6の回転数750rpmとして電解を続け、図2の実線に示すように、12日目にはAu0.1ppm、CN2.0ppmという濃度変化を得、陰極板上に析出したAuを実収率99.9%で回収した。
この場合、陰極に用いたものは直径20cm×厚み3mmの円盤体のSUS板で、一方、陽極としてフェライト電極材を用いた。
(比較例1)
最適電解条件を求めるため、DK(電流密度)を実施例1に示す1000A/m2 から500A/m2 に変えた以外は全て同一の条件で電解処理したところ12日目における電解槽中のAu,CN濃度は図2に点線で示したようにAu0.2ppm、CN10.5ppmとなり、実施例1に比べ特にCNの分解日数を更に必要とすることが判明した。
本発明の装置を示す概略図である。 本発明における電解によって得られる液中のAu,CN濃度変化を示す図である。
符号の説明
1 循環槽
2 循環ポンプ
3 電解槽
4 整流器
5 陽極
6 陰極
7 回転用モーター

Claims (5)

  1. 有価金属を含有するシアン液を電解槽に供給し、陽極に不溶性材質を用いると共に、陰極円板を回転させながら電気分解を行ない、該陰極円板表面に有価金属を析出させることを特徴とするシアン含有液からの有価金属の回収方法。
  2. 上記電気分解は、陽極に対して電流密度を200〜500A/m2 の範囲で通電させることを特徴とする請求項1記載のシアン含有液からの有価金属の回収方法。
  3. 上記電気分解は、陰極に用いる円板の回転数を500〜1000rpmの範囲で行うことを特徴とする請求項1または2記載のシアン含有液からの有価金属の回収方法。
  4. 液槽内に陽極と陰極円板とを設けた電解槽と、陰極円板の回転機構とを有し、上記陽極は不溶性材質であることを特徴とするシアン含有液からの有価金属の回収装置。
  5. 上記陽極は、カーボン材、Pt−Ti材、フェライト材から選択される不溶性材質であることを特徴とする請求項4記載のシアン含有液からの有価金属の回収装置。
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