JP2006070249A - 蛍光体粒子及び蛍光検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】標的物質が微量であっても、また細胞内のような微小な領域にあっても、効率よく確実に検出する。
【解決手段】 試料中の標的物質を、標的物質を結合させるためのリガンドを備えると共に、平均粒子径が1〜50nmの無機蛍光体ナノ粒子及び前記無機蛍光体ナノ粒子の表面に配置された外部刺激応答性化合物を含む蛍光体粒子と混合して、標的物質が結合した蛍光体粒子を試料中に形成させ、外部刺激を加えて前記蛍光体粒子を凝集させ、前記蛍光体ナノ粒子を励起する励起光を照射して、該蛍光体ナノ粒子を蛍光発光させ、前記蛍光体粒子からの蛍光発光を検出し、蛍光発光に基づいて試料中の標的物質を検出する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、蛍光体粒子及び蛍光検出方法に関し、特に、ナノ粒子を用いた蛍光体粒子及び蛍光検出方法に関する。
ナノサイズの粒子材料はバルクの材料とは異なる性質を示すことが知られている。例えば半導体であれば、従来、材料固有のものと考えられてきたバンドギャップが粒子のサイズによって変化する、いわゆる量子サイズ効果がよく知られている。この効果が顕著になる粒子の大きさは、半導体材料の種類によって異なり、一般的には数十nm以下である。このため特にシングルナノ粒子は重要である。また、この量子サイズ効果が顕著になると同時に、蛍光の寿命が短くなり、それまで観測されなかった発光が観測できるようになる等の効果が知られている材料もある。このように、ナノサイズ、特にシングルナノサイズの材料は従来知られているバルク材料と異なる性質を有するため、科学的及び工学的に非常に注目されている。
例えば、CdSe/CdS(コア/シェル)、CdSe/ZnS(コア/シェル)等の半導体ナノ粒子を用い、これらの半導体ナノ粒子表面または該半導体ナノ粒子を含有するビーズ表面に分子プローブを結合することにより標的分子を検出する半導体ナノ粒子蛍光材料が提案されている(例えば、非特許文献1および2参照)。これらの半導体ナノ粒子は、異なる結晶子サイズにすることにより異なる波長で発光を得ることが可能である。また発光波長と発光強度を組み合わせた複数の標識ビーズを用いることにより同時多重測定も可能である。半導体ナノ粒子蛍光材料は、高感度、低コスト、自動化が容易等の標識材料として優れた特性を有している。そのため、半導体ナノ粒子蛍光材料を標識材料として用いることにより生体内の特定部位、血漿中の物質等を高感度で高速に検出することが可能となった。
また近年、標的物質を効率よく収集する手段として、磁性微粒子が提案されている。磁性微粒子は外部磁場を使用することによって簡便に且つ効率よく集めることができるため、生体物質などの検出方法に精度よい検出手段として用いられている(例えば、特許文献1および特許文献2)。同様に小さい分子を効率よく分離する手段として、下限臨界溶液温度(LCST)や上限臨界溶液温度(UCST)を有する高分子を利用したものが提案されている(例えば、特許文献3、4および5)。
ところで、生化学的・医科学的研究分野では、複雑な生命現象を正確に検出することが要請されている。特に生命現象では、細胞内の微量な物質も重要な役割を果たしていることが多く、このような微量な物質を細胞内に侵入して正確に捉える必要がある。
しかしながら、試料中の存在する微量な物質(標的物質)を確実に検出するには、精度の高い検出方法を繰り返し行うことも考えられるが、少ない試料を用いる場合には、検出方法を繰り返すことによる損失をできるだけ減らさなければならない。また同一の操作を繰り返すことは手間と時間がかかる。
国際公開第00/05357号パンフレット 特開平5−292971号公報 国際公開第02/16571号パンフレット 国際公開第02/16528号パンフレット 特開2002−60436号公報 「サイエンス(Science)」, 1998年, 第281巻, 第25号, p.2013-2016 「ネイチャー バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)」, 2001年, 第19巻, p.631-635
従って本発明の目的は、標的物質が微小な領域内に微量に存在するものであっても効率よく確実に検出するための蛍光体粒子及び蛍光検出方法を提供することである。
本発明の蛍光体粒子は、平均粒子径が1〜50nmの無機蛍光体ナノ粒子と、前記無機蛍光体ナノ粒子の表面に配置された外部刺激応答性化合物と、を含むことを特徴としている。
ここで、前記無機蛍光体ナノ粒子の組成および発光波長、励起波長、発光の半値幅などの発光特性は制約されず、いかなる無機蛍光体ナノ粒子も用いることができる。特に、人体や環境にやさしい元素から成り、励起波長が300〜410nm程度の近紫外域にあり、発光波長が可視域にあるものが好ましい。かかる無機蛍光体ナノ粒子としては、12−16族で構成されるもの、特にZnSやZnOからなるもの、13−15族で構成されるもの、特にGaN、InN、GaInN、AlInNなどからなるもの、2−14−16族で構成されるもの、特にCaSiO3、SrSiO3、Ca2SiO4、Sr2SiO4、CaMgSiO4などからなる複合酸化物が好ましい。これらの化合物は必要に応じてEu、Ce、Tbなどの希土類イオン、Mn、Cuなどの金属イオンがドープされていてもよい。
前記無機蛍光体ナノ粒子は、その表面に連結体が更に配置されていることが好ましく、連結体を介して磁性体ナノ粒子と結合していることが更に好ましい。このとき、磁性体ナノ粒子が酸化鉄又はフェライトであることが好ましい。
また前記蛍光体粒子は、標的物質を結合させるためのリガンドを有していることが好ましい。
本発明の蛍光検出方法は、試料中の標的物質を、蛍光体を用いて検出するための蛍光検出方法であって、標的物質を結合させるためのリガンドを備えると共に、平均粒子径が1〜50nmの無機蛍光体ナノ粒子及び前記無機蛍光体ナノ粒子の表面に配置された外部刺激応答性化合物を含む蛍光体粒子と、前記試料とを混合して、標的物質が結合した蛍光体粒子を試料中に形成させる工程と、外部刺激を加えて前記蛍光体粒子を凝集させる工程と、前記蛍光体ナノ粒子を励起する励起光を照射して、該蛍光体ナノ粒子を蛍光発光させる工程と、前記蛍光体粒子からの蛍光発光を検出する工程と、蛍光発光に基づいて試料中の標的物質を検出する工程と、含むことを特徴としている。
なお本発明において「蛍光体粒子」とは、本明細書中でおのおの定義された無機蛍光体ナノ粒子及びその表面に配置された外部刺激応答性高分子で構成された構造体を意味する。
本発明において「蛍光複合体」とは、本明細書中でおのおの定義された無機蛍光体ナノ粒子及び他の物質(磁性体ナノ粒子など)が、連結体を介して構成された構造体を意味する。
本発明において、標的物質を検出するために用いられる蛍光体粒子の表面には、外部刺激応答性化合物が配置されているので、外部刺激応答性化合物が外部からの刺激に応答して膨潤−収縮することにより蛍光体粒子同士を凝集させることができる。これによって、標的物質が細胞内などの微小な領域の試料中に存在するものであっても、蛍光体粒子が微小な領域に入り込んで標的物質に結合した後、外部刺激応答性化合物の作用によって蛍光体粒子を凝集させて検出しやすくすることができる。この結果、確実に且つ効率よく試料中の標的物質を検出することができる。
本発明によれば、標的物質が微小な領域内に微量に存在するものであっても効率よく確実に検出することができる。
(A)蛍光体粒子
本発明の蛍光体粒子は、平均粒子径が1〜50nmの無機蛍光体ナノ粒子と、前記無機蛍光体ナノ粒子の表面に配置された外部刺激応答性化合物と、を含むことを特徴としている。
[1]無機蛍光体ナノ粒子
本発明における蛍光体ナノ粒子は、所定の励起光で蛍光発光する無機の粒子であり、その平均粒子径は、1〜50nmであり、好ましくは1〜20nmであり、更に好ましくは1〜10nmである。1nm以上の数平均粒径であれば蛍光体ナノ粒子の安定性がよく、また50nm以下であれば、標的物質の検出時に光の散乱が低く且つ粒子の分散性が良好で、標的物質の検出を高感度に行うことができると共に細胞内への侵入が容易となる。
蛍光体ナノ粒子の粒径分布は、変動係数で好ましくは0〜50%、より好ましくは0〜20%、さらに好ましくは0〜10%である。なお変動係数は、算術標準偏差を数平均粒径で除し、これを百分率で表した値(算術標準偏差×100/数平均粒径)を意味する。
本発明において、無機蛍光体ナノ粒子の組成および発光波長、励起波長、発光の半値幅などの発光特性は制約されず、いかなる無機蛍光体ナノ粒子も用いることができる。
蛍光体ナノ粒子として好ましいものは、金属酸化物又は金属硫化物の蛍光体ナノ粒子である。金属酸化物又は金属硫化物を構成する金属としては、例えば、Znなどの12族、Y、Eu、Tbなどの3族、Ga、Inなどの13族、Zr、Hfなどの4族、Si、Geなどの14族、V、Nbなどの5族、Mo、Wなどの6族などが挙げられる。これらの中で生体に対して激しい反応性を示さないZnが特に好ましい。また、かかる無機蛍光体ナノ粒子としては、12−16族で構成されるもの、特にZnSやZnOからなるもの、13−15族で構成されるもの、特にGaN、InN、GaInN、AlInNなどからなるものを好ましく挙げることができる。また3種以上の族に属する元素で構成された複合金属酸化物であってもよく、Zn2SiO4、CaSiO3、Ca2SiO4、SrSiO3、Sr2SiO4、MgWO4、YVO4、Y2SiO5、SrAl24、Y3Al512などを挙げることができ、このうち、2−14−16族で構成されるもの、特にCaSiO3、SrSiO3、Ca2SiO4、Sr2SiO4、CaMgSiO4などからなる複合酸化物が好ましい。
本発明における蛍光体ナノ粒子としては、安定に製造できること、毒性の懸念が少ないこと、安価に製造できること、粒子の単分散性が高いこと、強い発光が得られること、発光スペクトルの波長域が本目的に合致しやすいこと、励起光波長が可視ないし近紫外領域であることの各観点から、酸化亜鉛(ZnO)及び硫化亜鉛(ZnS)であることが特に好ましく、酸化亜鉛(ZnO)であることが最も好ましい。
さらにこれらの金属酸化物(複合金属酸化物)又は金属硫化物の蛍光体ナノ粒子は、構成する金属酸化物又は金属硫化物中の金属とは異なる金属イオンを少量含有していることも好ましい。該金属イオンとしては、希土類イオン及び金属イオン、例えばMn、Cu、Eu、Tb、Tm、Ce、Al、Agなどを挙げることができ、発光の視認性が高いことおよび安定に製造できることの観点からMn及びEuが好ましい。これらの金属イオンは、塩化物イオンやフッ化物イオンを組み合わせた化合物としてドープされることも好ましい。ドープする金属イオンは1種類の原子も、複数種類の原子からなるものでもよい。従って、このような金属イオンを含む蛍光体ナノ粒子としては、ZnS:Mn、ZnO:Euなどが挙げられる。該金属イオンの濃度は、蛍光体ナノ粒子を構成する金属および、その種類によって最適量が異なるが、0.001〜10原子%の範囲が好ましく、0.01〜10原子%の範囲がより好ましい。
また本発明にかかる蛍光体ナノ粒子は、励起光とシグナル蛍光との分離、安価光源の利用、簡便な検出系構築の観点から、好ましくは近紫外域の光で励起するものであり、より好ましくは300nm〜410nmの近紫外光を励起光とするものであり、この励起光によって、可視域の光、より好ましくは400nm〜700nmの可視光を発するものであることが好ましい。可視光を発光することによって、後述するように、蛍光色素を更に蛍光体ナノ粒子の表面に結合している場合には、エネルギー移動によって別の可視域の蛍光色素を励起することができ、よりエネルギーが低く、反応性、特に生体に対して激しく反応することなく、蛍光色素を発色させることができる。
蛍光体ナノ粒子の発光の半値幅は、50〜200nmであることが好ましく、簡易な装置で高感度に発光を検出するためには、60〜200nmであることが好ましい。更に、蛍光標識材料としては発光ピーク波長と吸収ピーク波長が異なることが好ましく、高感度に発光を検出するためには、その発光ピーク波長が吸収端波長と20nm以上離れていることがより好ましく、50nm以上離れていることが特に好ましい。このような発光のピーク波長および半値幅を持つ蛍光体ナノ粒子は、金属酸化物又は金属硫化物の蛍光体ナノ粒子であって、当業者であれば、上記のように、構成する金属等を適宜選択することによって容易に得ることができる。
また、本発明における蛍光体ナノ粒子は、その表面に蛍光色素が結合している場合には、発光により該蛍光色素にエネルギーを付与することができる粒子であることが好ましい。これにより、異なるエネルギーレベルで励起する複数の蛍光色素を同時に発光させることができる。
本発明の金属酸化物又は金属硫化物の蛍光体ナノ粒子は、さらに、後述する表面修飾剤との被覆性に優れた金属酸化物又は金属硫化物であることが好ましい。
[2]表面修飾剤
本発明における蛍光体ナノ粒子は、下記一般式[I]で表わされる化合物又はその分解生成物を表面修飾剤として用いて表面修飾されたものであることが好ましい。蛍光体ナノ粒子が金属酸化物又は金属硫化物の蛍光体ナノ粒子である場合、特に好ましい。これにより蛍光体ナノ粒子の水や親水性溶媒への分散性が改良でき、体液などによる蛍光体ナノ粒子の溶出や蛍光の消光を防止して、高感度なものにすることができる。また均一且つ半値幅の広い発光特性を有し、標的物質を検出するための分子プローブ(リガンド)を結合するなどの機能性化しやすいという利点も有する。
M−(R)4 [I]
式中、MはSi又はTi原子を、Rは有機性基を示す。Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよいが、Rのうちの少なくとも1つは後述する連結体又はリガンドと反応性を有する基を示す。
Rで表わされる有機性基中、連結体又はリガンドと反応性を有する基としては、連結基を介して、末端にビニル基、アリルオキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソシアナト基、ホルミル基、エポキシ基、マレイミド基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲンなどが結合したものである。これらの反応性を有する基の中で特に好ましくは末端にアミノ基を有するものである。なお、本発明における連結体については後述する。
連結基としては、例えば、アルキレン基(例:メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、シクロヘキシレン基など炭素数が1〜10、好ましくは1〜8の鎖状または環状のもの)が挙げられる。
また、連結基は不飽和結合を有していてもよい。不飽和基としては、アルケニレン基(例:ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、2−ペンテニレン基、8−ヘキサデセニレン基、1,3−ブタンジエニレン基、シクロヘキセニレン基など炭素数が1〜10、好ましくは1〜8の鎖状または環状のもの)、アリーレン基(例:フェニレン基、ナフチレン基、など炭素数が6〜10、好ましくは6のフェニレン基)が挙げられる。
連結基は1個又は2個以上のヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、硫黄原子などの炭素原子以外の任意の原子を意味する)を有していてもよい。へテロ原子は酸素原子又は硫黄原子が好ましく、酸素原子がもっとも好ましい。ヘテロ原子の数は特に規定されないが5個以下であることが好ましく、より好ましくは3個以下である。
連結基は上記ヘテロ原子と隣接する炭素原子を含む官能基を部分構造として含んでいてもよい。該官能基としてはエステル基(カルボン酸エステル、炭酸エステル、スルホン酸エステル、スルフィン酸エステルを含む)、アミド基(カルボン酸アミド、ウレタン、スルホン酸アミド、スルフィン酸アミドを含む)、エーテル基、チオエーテル基、ジスルフィド基、アミノ基、イミド基などが挙げられる。上記の官能基はさらに置換基を有していても良く、これらの官能基は連結基にそれぞれ複数個存在してもよい。複数個存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
官能基として好ましくは、アルケニル基、エステル基、アミド基、エーテル基、チオエーテル基、ジスルフィド基又はアミノ基であり、さらに好ましくはアルケニル基、エステル基、エーテル基である。
Rで表わされるその他の有機性基としては、任意の基が挙げられるが、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基などのアルコキシ基及びフェノキシ基である。これらのアルコキシ基及びフェノキシ基はさらに置換基を有していてもよいが、合計の炭素数が8以下のものが望ましい。本発明に用いられる表面修飾剤は、アミノ基、カルボキシル基などが、酸又は塩基と塩を形成したものでもよい。
本発明に用いられる表面修飾剤のうち一般式[I]で表されるものの分解生成物とは、アルコキシ基が加水分解した水酸化物、水酸基同士間の脱水縮合反応により生成した低分子量のオリゴマー(これはリニア構造、環状構造、架橋構造などいずれであってもよい)、水酸基と未加水分解のアルコキシ基による脱アルコール縮合反応生成物、これらがさらに脱水縮合反応して形成したゾル、及びゲルをいう。
本発明に用いられる一般式[I]で表される表面修飾剤の具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−(3−アミノプロピル)−ベンズアミドトリメトキシシラン、3−ヒドラジドプロピルトリメトキシシラン、3−マレイミドプロピルトリメトキシシラン、(p−カルボキシ)フェニルトリメトキシシラン、3−カルボキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルチタニウムトリプロポキシド、3−アミノプロピルメトキシエチルチタニウムジエトキシド、3−カルボキシプロピルチタニウムトリメトキシドなど。
本発明に用いられる表面修飾剤は、末端のNH2基又はCOOH基が、酸又は塩基と塩を形成したものであってもよい。
本発明における蛍光体ナノ粒子が金属硫化物の蛍光体ナノ粒子である場合、下記一般式[II]で表わされる化合物を表面修飾剤として用いることも好ましい。
HS−L−W [II]
式中、Lは前述の2価の連結基を表わし、WはCOOZ又はNH2を表す。ここで、Zは水素原子、アルカリ金属原子又はNX4を表し、Xは水素原子又はアルキル基を表す。
WがNH2の場合、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、スルホン酸などの塩を形成していてもよい。Zで表されるアルカリ金属原子としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)などが挙げられ、Xで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t-ブチル基、オクチル基、セチル基など炭素数が1〜20、好ましくは1〜18の鎖状のものが挙げられる。4個のXは同一でも異なっていてもよい。
一般式[II]で表される表面修飾剤の具体例としては、メルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプト酪酸、4−メルカプト酪酸、8−メルカプトオクタン酸、11−メルカプトウンデカン酸、18−メルカプトステアリン酸、3−メルカプトアクリル酸、メルカプトメタクリル酸、4−メルカプトクロトン酸、18−メルカプトオレイン酸、チオリンゴ酸、メルカプトプロピオール酸、4−メルカプトフェニルヒドロけい皮酸、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトプロピルアミン、3−メルカプトプロピルアミン、3−メルカプト−n−ブチルアミン、4−メルカプト−n−ブチルアミン、2−メルカプト−t−ブチルアミン、8−メルカプトオクチルアミン、11−メルカプトウンデシルアミン、18−メルカプトステアリルアミン、18−メルカプトオレイルアミン、5−アミノペンタノイックアシッド(2−メルカプト−エチル)−アミド、6−アミノヘキサノイックアシッド(2−メルカプト−エチル)−アミド、11−アミノ−ウンデカノイックアシッド(2−メルカプト−エチル)−アミド、5−アミノペンタノイックアシッド−3−メルカプト−プロピルエステル、11−アミノ−ウンデカノイックアシッド−3−メルカプトプロピルエステル、3−(11−アミノ−ウンデシルオキシ)−プロパン−1−チオール、(2−メルカプトーエチルアミノ)−アセティックアシッド−2−[2−(2−アミノアセトキシ)−エトキシ]−エチルエステルなどが挙げられる。また、アミノ基を有する化合物は、前述のように酸と塩を形成したものでもよい。本発明においてはこれらのものに限定されるものではない。
本発明に使用可能な表面修飾剤は、蛍光体ナノ粒子の表面全体を被覆していても、その一部に結合していてもよい。また、本発明において表面修飾剤は、単独で用いても複数併用してもよい。
本発明においては、上記表面修飾剤に加えて、公知の表面修飾剤(例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテルリン酸、ラウリルエーテルリン酸、トリオクチルホスフィン、トリオクチルホスフィンオキシド、ポリリン酸ナトリウム、ビス(2−エチルヘキシル)スルホこはく酸ナトリウムなど)を、ナノ粒子合成時、あるいは合成後に共存させてもよい。
なお、本発明において、表面修飾剤が連結体の一部であってもよい。
[3]蛍光体ナノ粒子の製造方法
無機蛍光体ナノ粒子は公知の合成法により製造することができる。例えば、均一沈殿法(共沈法)、逆ミセル法(マイクロエマルジョン法)、ホットソープ法、ゾル−ゲル法、ソルボサーマル法、溶融尿素法、金属錯体法などの液相合成法、CVD法、スパッタ法、レーザーアブレーション法、ジュールクエンチ法、ガス中蒸着法などの気相合成法、噴霧熱分解法、超臨界法などの特殊合成法が適用できる。また、これらの合成法を組合わせて使用することもできる。液相合成法にはマイクロ波照射、超音波照射などを併用してもよいし、マイクロリアクターのような微小反応空間を利用してもよい。
本発明においては、無機蛍光体ナノ粒子はコロイド分散する必要があり、通常の蛍光体の製造に用いる焼成は行わないことが望ましい。また、粒子の結晶成長や凝集を抑制するために、適当な表面修飾剤の存在下で反応させたり、マイクロ又はナノ空間を利用して反応させたりすることが好ましい。
本発明にかかる金属酸化物蛍光体ナノ粒子は、該金属のアルコキシド、アセチルアセトナートなどの有機金属化合物を加水分解するゾル−ゲル法、該金属の塩の水溶液にアルカリを加えて水酸化物として沈降させた後、脱水、アニールする水酸化物沈殿法、該金属の上記プレカーサーの溶液を用いて、超音波を照射する超音波分解法、高温高圧下で分解反応を行なうソルボサーマル法、高温下に噴霧するスプレーパイロリシスなどの液相合成法により得ることができる。また、有機金属化合物を用いる熱CVD法やプラズマCVD法、該金属または該金属酸化物のターゲットを用いるスパッタ法やレーザーアブレーション法などの気相合成法によっても得ることができる。
本発明にかかる金属硫化物蛍光体ナノ粒子は、該金属のジエチルジチオカルバメート化合物などの熱分解性金属化合物をトリアルキルホスフィンオキシド類、トリアルキルホスフィン類、ω−アミノアルカン類などの高沸点有機溶媒中で結晶成長させるホットソープ法、該金属の塩の溶液に硫化ナトリウムや硫化アンモニウムなどの硫化物溶液を添加して結晶成長させる共沈法、界面活性剤を含む上記原料水溶液をアルカン類、エーテル類、芳香族炭化水素などの非極性有機溶媒中に逆ミセルとして存在させ該逆ミセル中で結晶成長させる逆ミセル法などの液相合成法により得ることができる。また、前記金属酸化物蛍光体ナノ粒子の場合と同様の気相合成法によっても得ることができる。
本発明に用いられる一般式[I]で表される表面修飾剤は、蛍光体ナノ粒子の合成時に添加することもできるが、好ましくは合成後に添加し、その少なくとも一部を加水分解することにより該蛍光体ナノ粒子と結合して、ナノ粒子の表面の少なくとも一部を被覆(表面修飾)させる。なお、蛍光体ナノ粒子は遠心分離やろ過などの常法により洗浄、精製後、本発明に用いられる表面修飾剤を含有する溶媒(好ましくはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2−エトキシエタノールなどの親水性有機溶媒)に分散させて被覆してもよい。
本発明に用いられる表面修飾剤の添加量は、蛍光体ナノ粒子の粒子サイズ、粒子の濃度、表面修飾剤の種類(大きさ、構造)等により変動するが、例えば金属酸化物又は金属硫化物に対し、好ましくは0.001〜10倍モル、さらに好ましくは0.01〜2倍モルである。
本発明においては、公知の表面修飾剤を併用することができる。公知の表面修飾剤の添加量は特に制限はないが、一般式[I]又は[II]で表される表面修飾剤に対して、好ましくは0.01〜100倍モル、さらに好ましくは0.05〜10倍モルである。
表面修飾剤が結合した蛍光体ナノ粒子は、水又は親水性溶媒に分散された分散液であってもよい。このような分散液において、蛍光体ナノ粒子の濃度は、蛍光強度によって異なるので特に限定されないが、0.01mM〜1000mMが好ましく、より好ましくは0.1mM〜100mMである。分散媒としては、上記アルコール類の他、DMF、DMSO、THFなどの親水性有機溶媒や水が好ましい。
なお、蛍光体ナノ粒子の表面が表面修飾剤で被覆されていることは、FE−TEM等の高分解性TEMで観察した際に粒子間に一定の間隔が認められること、および化学分析により確認することができる。
一般式[I]又は[II]で表される表面修飾剤で被覆された蛍光体ナノ粒子は、その表面修飾剤の末端基であるアミノ基やカルボキシル基などを反応基としてアミド化反応等により、さらに後述する連結体中の分子と反応してペプチド結合を形成することができる。
アミド化反応は、カルボキシル基あるいはその誘導基(エステル、酸無水物、酸ハロゲン化物など)とアミノ基の縮合により行われる。酸無水物や酸ハロゲン化物を用いる場合には塩基を共存させることが望ましい。カルボン酸のメチルエステルやエチルエステルなどのエステルを用いる場合には、生成するアルコールを除去するために加熱や減圧を行なうことが望ましい。カルボキシル基を直接アミド化する場合には、DCC、Morpho−CDI、WSCなどのアミド化試薬、HBTなどの縮合添加剤、N−ヒドロキシフタルイミド、p−ニトロフェニルトリフルオロアセテート、2,4,5−トリクロロフェノールなどの活性エステル剤などのアミド化反応を促進する物質を共存させたり、予め反応させておいてもよい。また、アミド化反応時、アミド化により結合させる親和性分子のアミノ基またはカルボキシル基のいずれかを常法に従って適当な保護基で保護し、反応後脱保護することが望ましい。
アミド化反応により連結体と結合した蛍光体ナノ粒子は、ゲルろ過などの常法により洗浄、精製後、水または親水性溶媒(好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、2−エトキシエタノールなど)に分散させて使用する。この分散液中の蛍光体ナノ粒子の濃度は、蛍光強度によって異なるので特に限定されないが、1M〜10-15Mが好ましく、より好ましくは0.5M〜10-10Mである。
[4]外部刺激応答性化合物
外部刺激応答性化合物とは、外部からの刺激、例えば熱、pH、電気(電荷)、光などにより構造が変化して水溶液中で膨潤−収縮、もしくは凝集−分散する化合物をいう。このうち本発明において好ましい外部刺激応答性化合物としては、制御の容易性の観点から熱を刺激因子とする熱応答性高分子及び水素イオン濃度(pH)応答性化合物が挙げられ、これらの少なくとも一方であることが好ましい。この外部刺激応答性化合物は、蛍光体ナノ粒子の表面に配置されて本発明の蛍光体粒子を構成しているので、外部刺激に応じて収縮すると蛍光体ナノ粒子同士を連結する連結体としての役割を果たす。また、外部刺激応答性化合物に被覆された他の粒子、例えば磁性体ナノ粒子と連結するための連結体として用いることもできる。このような被覆粒子同士の連結を、ここでは「凝集」という。この凝集によって、複数の蛍光体粒子による凝集体が形成されて、強い蛍光を発することができる。
熱応答性高分子としては、下限臨界溶液温度(LCST)を示す高分子と、上限臨界溶液温度(UCST)を示す高分子とを挙げることができる。
LCSTを示す高分子としては、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のポリN置換アクリルアミドの誘導体及びその共重合体、ポリN置換メタクリルアミド誘導体及びその共重合体、ポリメチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド、ポリNビニルアルキルアミド及びこれらのLCSTを示す高分子のモノマーと重合性ビオチン誘導体モノマーの共重合ポリマー(国際公開第01/09141号記載のもの)などを挙げることができる。
またUCSTを示す高分子としては、アクリロイルグリシンアミドのホモポリマー、アクリロイルグリシンアミドと重合性ビオチンモノマーの共重合ポリマー、アクリルアミドとNホルミルアクリルアミドの共重合ポリマー及びアクリルアミドとNアセチルアクリルアミドの共重合ポリマー、ノニオニックなN−アクリロイルグリシンアミドとビオチン誘導体(N−メタクロイル−N'−ビオチニルプロピレンジアミン;MBPDA)との共重合体を主成分とした高分子、特開2002−60436号に記載のUCST−CVポリマー、特開平11−171928号に記載のケトエノール互変異性を利用する高分子誘導体、特開2000−86729号や国際公開第01/09141号に記載の共重合ポリマーなどを挙げることができる。
これらの熱応答性高分子としては、UCSTを示す高分子が、生体内で膨潤すると共に室温において収縮して互いに凝集性を示すため、また熱により分解しやすい物質を標的とした場合に劣化させることなく測定することができるため好ましい。
また、特開平11−255839号に記載のLCSTを有するモノマー成分とUCSTを有するモノマー成分を共重合させたLCSTとUCSTを同時に有する熱応答性高分子も好ましい。
pH応答性化合物としては、前記特開平11−171928号に記載のケトエノール互変異性を利用する高分子誘導体などが挙げられる。
その他、特開平11−255831号に記載の刺激によりLCSTとUCSTの変換、あるいはpHによる可逆的な溶解、沈殿を発生させることのできる複合刺激応答性高分子や特開2002−226362号に記載のリガンド応答性ゲルなども用いることができる。
さらに、アルキルカルボン酸類やゼラチンなどもpHによって水に対する溶解性が異なるのでpH応答性化合物として用いることができる。
また特別な場合として、無機蛍光体ナノ粒子の一方にアニオン性を有する化合物を配置し、もう一方にカチオン性を有する化合物を配置して、両者を混合したときに生じるイオン会合により凝集体を形成してもよい。
外部刺激応答性化合物は、無機蛍光体ナノ粒子上の少なくとも一部に配置していればよく、粒子表面積の10%以上が好ましく、ほぼ全体的に被覆していることが特に好ましい。被覆は無機蛍光体ナノ粒子の存在下で前述の各モノマーを重合させることにより、もしくは外部刺激応答性化合物を分散させた溶液にナノ粒子を添加することによって容易に行うことができる。
ナノ粒子に外部刺激応答性化合物を被覆させる場合には、1nm〜1μm、好ましくは1nm〜100nmの厚みであることが、該ナノ粒子を分散させた状態で磁力をかけた場合にその磁力によって該ナノ粒子が合一や変形を起こさず効率よく捕集できる観点から好ましい。
[5]連結体
本発明の蛍光体粒子は、他の分子と結合するために、その表面に連結体が更に配置されていてもよい。この連結体は、蛍光体粒子と他の物質とを連結するためのものであり、蛍光体粒子と他の物質とを連結することができればいずれのものであってもよい。このような連結体には、標的物質に対して親和性(結合性)を有する化合物(リガンド)及び上述した外部刺激応答性化合物からなる群より選択される少なくとも一方が結合していることが好ましい。なお、標的物質が生体関連分子である場合には、リガンドにも生体関連分子を用いることができる。例えば、抗原を標的物質とした場合、抗体をリガンドとして用いることができる。
[5−1] 外部刺激応答性化合物
外部刺激応答性化合物のみを他の粒子との連結体として使用する場合には、無機蛍光体ナノ粒子及び他の分子の双方にそれぞれ配置させることが好ましい。これにより、外部からの刺激を受けて収縮することにより、無機蛍光体ナノ粒子と他の分子とを確実に連結させることができる。この結果、例えば、他の分子として後述する磁性体ナノ粒子を連結した場合、磁性体ナノ粒子を含む凝集体が形成される。この結果、この凝集体には複数の磁性体ナノ粒子が含まれているため、磁性体ナノ粒子単体で存在するよりも外部磁力に確実に反応することができる。
連結体としての外部刺激応答性化合物は、後述する生体関連分子と同時に使用することもできる。また、無機蛍光体ナノ粒子と他の分子とにそれぞれ外部刺激応答性化合物を配置する場合には、同じものでも、異なるものでもよい。
[5−2] 生体関連分子
生体関連分子には、核酸及び核酸以外の物質、例えば、抗原及び抗体(モノクローナルやポリクローナル)、ペプチド、その他のタンパク質(アミノ酸)や多糖類、酵素或いはその基質、更には脂質等の化合物、または、ウィルス若しくは細菌等の生物体若しくはその一部を挙げることができる。
ここで、「核酸」は、狭義には、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)であり、広義には、PNA(Peptide Nucleic Acid)を含めてもよい。RNAには、mRNA、tRNA、rRNAがある。また、DNA、RNA全体のみならず、そのDNA、RNAの断片である場合も含む。
このような連結体は、蛍光体粒子の表面の一部として存在してもよく、或いは、その表面に直接的又は間接的に設けられたものであってもよい。蛍光体ナノ粒子に連結体としての生体関連分子を結合する方法は、無機材料に生体関連分子を結合する方法として既知であり、当業者は、そのうちから適切なものを選択して容易に実施することができる。このような方法としては、例えば、蛍光体ナノ粒子(表面修飾剤や外部刺激応答性化合物)中のアミノ基、カルボキシル基、水酸基などの官能基と生体関連分子中のカルボキシル基、アミノ基、活性エステル基等の反応性置換基をイオン結合的又は共有結合的に直接結合させるか、あるいはリンカーを導入するなどの化学修飾を行った後に反応させればよい。反応後の蛍光体ナノ粒子は、クロマトグラフィー、電気泳動、再結晶などの汎用の分離技術により精製することができる。
標的物質を生体関連分子とした場合には、対となる生体関連分子のそれぞれを蛍光体粒子及び他の分子のそれぞれに予め結合させて、これらの一方を、標的物質として用いることもできる。
[6]磁性体ナノ粒子
本発明の蛍光体粒子は、連結体を介して磁性体ナノ粒子と結合して、蛍光複合体を形成してもよい。
本発明における磁性体ナノ粒子は、平均粒子径が2〜100nmの磁性を有するナノ粒子である。平均粒子径が2nm以上であるので安定可能に作製可能であり、100nm以下であるので、例えば細胞内の物質を標的とした場合であっても細胞内まで侵入して標的物質を捉えることができる。磁性体ナノ粒子の平均粒子径は、安定性および磁力の観点から5〜100nmが好ましく、8〜80nmが特に好ましい。
このような磁性体ナノ粒子は、例えば特表2002−517085号等に記載された方法に従って製造することができる。例えば鉄(II)化合物、または鉄(II)化合物および金属(II)化合物を含有する水溶液を、磁性酸化物の形成のために必要な酸化状態下に置き、溶液のpHを7以上の範囲に維持して、酸化鉄またはフェライト磁性体ナノ粒子を形成することができる。また、金属(II)化合物含有の水溶液と鉄(III)含有の水溶液をアルカリ性条件下で混合することによっても、本発明の磁性体ナノ粒子を得ることができる。さらに、バイオカタリシス(Biocatalysis)1991年、第5巻、61〜69頁に記載の方法を用いることもできる。
本発明では好ましい磁性体ナノ粒子は、金属酸化物、特に、酸化鉄およびフェライト(Fe,M)34からなる群から選択されるものである。ここで酸化鉄には、マグネタイト、マグヘマイト、ヘマタイトまたはそれらの混合物が含まれる。前記式中Mは、該鉄イオンと共に用いて磁性金属酸化物を形成することのできる金属イオンであり、典型的には遷移金属の中から選択され、最も好ましくはZn2+、Co2+、Mn2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+などであり、M/Feのモル比は選択されるフェライトの化学量論的な組成に従って決定される。金属塩は固形でまたは溶液状で供給されるが、塩化物塩、臭化物塩、または硫酸塩であることが好ましい。
このうち、安全性の観点から酸化鉄が好ましい。
例えばマグネタイトを形成するためには、溶液中に鉄が2種類の異なる酸化状態、Fe2+およびFe3+で存在することが好ましい。2つの酸化状態は、鉄(II)塩および鉄(III)塩の混合物を、好ましくは所望の磁性酸化物の組成に対してFe(II)塩をFe(III)塩より少し多いモル量で添加すること、または鉄(II)塩もしくは鉄(III)塩を添加して、必要に応じてFe2+またはFe3+の一部を他方の酸化状態に、好ましくは酸化または場合により還元によって変換することにより、溶液中に存在できるようになる。
この磁性金属酸化物は、30℃から100℃の温度、好ましくは50℃から90℃の間の温度で熟成することが好ましい。
磁性金属酸化物を形成するために各種の金属イオン間の相互作用を起こさせるには溶液のpHが7以上である必要がある。pHは、適切なバッファー溶液を最初の金属塩の添加時の水溶液として用いるか、または必要な酸化状態のした後に溶液に塩基を添加することによって所望の範囲に維持される。ひとたびpH値としてその7以上の範囲にある特定の値を選択した後は、最終産物の大きさの分布が実質的に均一となることを確保するために、そのpH値を磁性ナノ粒子の調製工程の全体にわたって維持することが好ましい。
また磁性ナノ粒子の粒子サイズを制御する目的で、追加の金属塩を溶液に添加する工程を設けてもよい。この場合、次の2つの異なる操作様式にて行うことができる。1つの操作様式は段階的増加によるもので、以後段階的様式の操作と呼ぶが、その操作様式では各成分(金属塩、酸化剤および塩基)を数回に分けて、好ましくは毎回等量で、定めた順序で溶液に連続的に添加し、それらの工程を所望のナノ粒子のサイズが得られるまで必要な回数繰り返し、その各回の添加量は溶液中(すなわち粒子の表面上以外)での金属イオンの重合を実質的に避けることのできる量とする。
他方は、連続した操作様式であり、各成分(金属塩、酸化剤、および塩基を定められた順序で、粒子表面以外の部位での金属イオンの重合を避けるために各成分毎に実質的に均一な流速で、連続的に溶液中に添加する。この段階的又は連続的操作様式を用いることによって、大きさの分布が狭い粒子を形成することができる。
また磁性体ナノ粒子の磁性表面に、官能基を有する分子を付着させて、後述する連結体を結合可能にすることができる。このような分子としては、多糖類、タンパク質、ペプチド、ポリアミン、ポリオキシエチレンアルキルカルボン酸、およびω−シラン:Si(OR)3(CH2nX(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル置換基であり、nは1から18の整数であり(1、18を含む)、XはNH2、CN、およびSHからなる群から選択される官能基である)などが挙げられる。
[7]蛍光色素
本発明における無機蛍光体ナノ粒子は、他の蛍光色素をその表面に更に直接結合させたものであってもよい。この場合、無機蛍光体ナノ粒子が励起することによってエネルギー移動が生じて、その表面に結合している他の蛍光色素を同時に発光させることができる。ここで使用可能な蛍光色素は、蛍光体ナノ粒子からの可視域の光で励起して可視域で蛍光発光することができるものであることが好ましく、400nmから800nmの間に蛍光スペクトル極大を有するものであることがより好ましい。このような蛍光色素としては、シアニン系色素(例えば、CyDyeTMシリーズのCy3、Cy5等)、フルオレッセイン系色素、ローダミン系色素、インビトロジェン社のAlexa色素シリーズ、BODIPY色素シリーズ、TexasRed色素シリーズ、WO01/021624号の化合物例I−1からI−74に記載されたアザシアニン系色素などを挙げることができる。
蛍光色素を複数種同時に使用する場合には、同時に蛍光を測定して複数種の標的物質を容易に検出する観点から、蛍光発光の波長が異なることが好ましい。蛍光発光のピークが、20〜250nm離れていることがより好ましく、40〜150nm離れていることが特に好ましい。
また使用する蛍光色素は、エネルギー移動の順位から互いに測定可能であることが好ましい。このような組み合わせとしては例えばAlexa488、546、594、647が挙げられる。これらに限らず、最も短波な蛍光色素の蛍光スペクトル極大から20nm以上長波側に吸収を有する第二の蛍光色素を選択することにより同様な測定が可能である。第三、第四の色素を用いる場合も同様にして色素を選択することができる。
[8]標的物質及びリガンド
本発明における蛍光粒子は、連結体に加えて、標的物質を捕捉するためのリガンドが結合されていてもよい。連結体として外部刺激応答性化合物のみを用いた場合には、リガンドを設けることが特に好ましい。
標的物質には生体関連分子が含まれ、この生体関連分子には上述したものがそのまま該当する。リガンドは、これらの生体関連分子を捕捉するためのものであり、標的物質と対をなす生体関連分子を挙げることができる。
例えば、細胞中に存在する既知の物質を標的物質とする場合には、リガンドとしてこの標的物質を捕捉可能な抗体等の生体関連物質が該当する。また細胞中に存在するDNA結合タンパク質を検出する場合には、被結合DNA配列又はその断片が捕捉部に該当する。
これにより、本発明における蛍光複合体を用いて、生体関連分子などの標的物質を効率よく検出することができる。
ここで、リガンドは、異なる種類のリガンドを複数設けてもよい。これにより複数の標的物質を同時に検出することができる。
(B)蛍光検出方法
本発明の蛍光体粒子は、試料中に存在する標的物質を検出する蛍光検出方法に使用することができる。
このような蛍光検出方法は、標的物質を結合させるためのリガンドを備えると共に外部刺激応答性化合物が粒子表面に配置された本発明の蛍光体粒子を、標的物質を含む試料と混合して、標的物質が結合した蛍光体粒子を試料中に形成させる工程と、外部刺激を作用させて該蛍光体粒子を凝集させる工程と、該蛍光体ナノ粒子を励起する励起光を照射して、該蛍光体ナノ粒子を蛍光発光させる工程と、前記蛍光体粒子からの蛍光発光を検出する工程と、蛍光発光に基づいて試料中の標的物質を検出する工程と、を含む。
この方法によれば、試料中の標的物質を、リガンドを介して蛍光体粒子に結合させると共に、外部刺激応答性化合物の作用によって蛍光体ナノ粒子を凝集させるので、標的物質を包含する蛍光体ナノ粒子を確実に検出することができる。
形成工程では、試料中の標的物質が、蛍光体粒子にリガンドを介して結合する。標的物質を包含する蛍光体粒子を形成させる態様は、標的物質の種類によって適宜選択できる。蛍光体粒子にはリガンドが結合しているので、蛍光体粒子と標的物質とが接近・接触すれば、容易に反応することができる。
凝集工程では、外部刺激応答性化合物の種類に応じた外部刺激が付与される。これにより外部刺激応答性化合物が収縮して、蛍光体粒子が凝集する。凝集工程の後には、外部刺激応答性化合物を膨潤させて蛍光複合体を分散状態に戻す分散工程を更に含んでもよい。
凝集工程及び分散工程の各実施要件は、外部刺激応答性化合物の外部刺激因子によって決定される。即ち、外部刺激応答性化合物の収縮条件が、凝集条件であり、膨潤条件が分散条件となる。例えば、外部刺激応答性高分子としてUCST型熱応答性高分子を用いた場合には、UCST温度以上(少なくとも2℃以上高温であることが望ましい)で分散させ、UCST温度未満(少なくとも2℃以上低温であることが望ましい)で凝集させるように工程条件を設定することが好ましい。また、外部刺激応答性化合物として水素イオン濃度応答性化合物を用いた場合には、その臨界pHより少なくとも±0.2離れたpHで凝集、分散を行うことが好ましい。
蛍光発光工程では、無機蛍光体ナノ粒子を励起する励起光が照射されて、無機蛍光体ナノ粒子が蛍光発光し、このとき蛍光色素が無機蛍光体ナノ粒子に結合している場合には、蛍光体ナノ粒子からのエネルギー移動により蛍光色素が励起し、発光する。次いで検出工程においてこの蛍光発光を検出し、さらにこの蛍光発光に基づいて、蛍光複合体に含まれる標的物質を検出することができる。蛍光発光は可視光が好ましい。
無機蛍光体ナノ粒子の励起は、可視域のシグナル蛍光を検出する観点から紫外光(特に生体試料へのダメージを低減する観点から300〜410nmの近紫外光)で行われることが好ましい。
また蛍光体ナノ粒子が発光することによって励起される蛍光色素は、励起光とシグナル蛍光との分離、安価光源の利用、簡便な検出系構築の観点から可視光の蛍光を発光することが好ましい。蛍光色素の発光の条件等は上述した通りである。
なお、蛍光体粒子からの蛍光発光の検出及びこれに基づく標的物質の検出は、通常、この目的のために行われている条件及び手段をそのまま適用することができる。このような条件及び手段を、当業者は容易に適宜選択することができる。このとき、検出対象となる蛍光は、無機蛍光体ナノ粒子に結合した他の蛍光色素が存在している場合には、これらの蛍光色素からの蛍光であってもよい。
また、本発明の蛍光体粒子に加えて、他の分子として磁性体ナノ粒子を用いた場合には、更に他の蛍光検出方法にも本発明の蛍光体粒子を適用することができる。この場合には、蛍光体ナノ粒子と磁性体ナノ粒子とによって形成された蛍光複合体を利用することができる。
このような他の蛍光検出方法としては、標的物質を含む試料と、標的物質を結合させるためのリガンドを備えた(さらに外部刺激応答性化合物が、無機蛍光体ナノ粒子に加えて磁性体ナノ粒子の表面に配置されていてもよい)前記蛍光複合体とを混合して、標的物質が結合した蛍光複合体を形成させる工程と、前記試料中で前記蛍光複合体に外部の磁場を作用させて、標的物質が結合した蛍光複合体を収集する工程と、収集された蛍光複合体に、前記蛍光体ナノ粒子を励起する励起光を照射して、該蛍光体ナノ粒子を蛍光発光させる工程と、前記蛍光複合体からの蛍光発光を検出する工程と、蛍光発光に基づいて試料中の標的物質を検出する工程と、を含む。なお、無機蛍光体ナノ粒子からの発光をエネルギー移動により前記蛍光色素に変換する場合には、その蛍光色素の蛍光発光を検出することも含む。
また、更に別の蛍光検出方法としては、標的物質を含む試料と、標的物質を結合させるためのリガンドを備えた(さらに外部刺激応答性化合物がその表面に配置されていてもよい)前記磁性体ナノ粒子とを混合して、標的物質が結合した磁性体ナノ粒子を試料中に形成させる工程と、前記試料中で上記磁性体ナノ粒子に外部の磁場を作用させて、標的物質が結合した磁性体ナノ粒子を収集する工程と、上記磁性体ナノ粒子と連結体を介して互いに結合可能な上記無機蛍光体ナノ粒子を、収集した上記磁性体ナノ粒子と混合して、磁性体ナノ粒子、無機蛍光体ナノ粒子及び連結体を含み且つ標的物質が結合した蛍光複合体を形成させる工程と、上記蛍光複合体に、前記無機蛍光体ナノ粒子を励起する励起光を照射して、該無機蛍光体ナノ粒子を蛍光発光させる工程と、前記蛍光複合体からの蛍光発光を検出する工程(この場合も、無機蛍光体ナノ粒子の発光からエネルギー移動した前記蛍光色素の蛍光発光を検出することも含む)と、前記蛍光発光に基づいて試料中の標的物質を検出する工程と、を含む。また、蛍光複合体を形成させた後、再度、蛍光複合体に外部の磁場を作用させて、蛍光複合体を収集する工程を含んでもよい。
これらの方法によれば、試料中の標的物質を、リガンドを介して蛍光複合体または磁性体ナノ粒子に取り込むと共に、蛍光複合体又は磁性体ナノ粒子を、外部からの磁力を作用させることによって容易に収集することができるので、標的物質が極微量で試料中に存在する場合でも、確実に標的物質を包含する蛍光複合体を検出することができる。
収集工程では、外部の磁場が磁性体ナノ粒子又は蛍光複合体に作用する。
ここで用いられる外部磁場は、磁性体ナノ粒子を磁力によって収集することができれば如何なる装置等であってもよく、磁性体を収集するために通常用いられている装置等がそのまま適用できる。このような外部磁場の生成は、当業者であれば容易に実施することができる。
なお、連結体として外部刺激応答性化合物のみを用いた場合には、凝集工程と蛍光複合体形成工程とが同時に実施されてもよい。即ち、外部刺激応答性化合物を収縮させることによって、蛍光体ナノ粒子と磁性体ナノ粒子とを結合させることができ、これによって蛍光複合体が形成される。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
(1)蛍光体ナノ粒子分散液の調製
ビス(2−エチルヘキシル)スルホこはく酸ナトリウム(AOT)21.3g及び水5.2gをn−ヘプタン150ml中に添加し、ホモジナイザーを用い3000rpmで10分間攪拌混合して逆ミセル溶液Iを調製した。硫化ナトリウム9水和物133mgを秤量し、前記逆ミセル溶液I20mlに添加して混合した。この溶液をA液とする。
酢酸亜鉛101mgと酢酸マンガン4水和物13mgを秤量し、前記逆ミセル溶液I80mlに添加して混合した。この溶液をB液とする。
ホモジナイザーを用いてB液を3000rpmで10分間攪拌し、この中にA液を添加してさらに10分間攪拌混合した。透明なZnS:Mnコロイド分散液を形成した。この中にオレイン酸ナトリウム4.5gおよび2−メルカプトプロピオン酸5gを含有するメタノール溶液300mlを添加して弱く攪拌したのち静置した。上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにメタノール300mlを添加して弱く攪拌したのち静置した。上澄み液をデカンテーションにより除去し、沈殿物に水17mlを添加した。オレイン酸ナトリウムおよび2−メルカプトプロピオン酸で表面修飾されたZnS:Mnのコロイド水分散液を得た。
励起波長325nmでこの蛍光スペクトルを測定した。590nm付近に極大を有するオレンジ色の発光を観測した。コロイド液中の蛍光体粒子濃度は30mMであった。生成したZnS:Mnの平均結晶子サイズはXRD測定より4.2nmであった。
(2)ZnS:Mn蛍光体ナノ粒子への熱応答性高分子の被覆
(1)で調製したZnS:Mnナノ粒子分散液20mlに、N−イソプロピルアクリルアミド0.98g、N−ビオチニル−N'−メタクリロイルトリメチレンアミド25.4mgおよび水160mlを添加し攪拌した。さらに0.2gの過硫酸カリウムを添加し、6時間攪拌した。得られた溶液を透析し、ビオチンが固定された下限臨界溶液温度(LCST)30℃の熱応答性高分子が被覆したZnS:Mn蛍光体ナノ粒子コロイド溶液を得た。
(3)アビジンを結合したLCST型高分子被覆ZnS:Mnナノ粒子の調製
(2)で調製したZnS:Mnナノ粒子コロイド溶液1mlに1.0質量%アビジン溶液0.5ml、1.0Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)1ml、蒸留水4mlを混合した後、38℃に加熱した。このとき試験管内に凝集物が生じた。凝集物を磁石により回収し、20℃の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)2mlを添加してアビジン固定LCST型高分子被覆ZnS:Mnナノ粒子分散液を得た。
(4)磁性体ナノ粒子分散液の調製
塩化鉄(III)6水和物10.8gおよび塩化鉄(II)4水和物6.4gをそれぞれ1N−塩酸水溶液80mlに溶解し混合した。この溶液を攪拌しながらこの中にアンモニア水(28質量%)96mlを2ml/分の速度で添加した。その後80℃で30分加熱したのち室温に冷却した。デカンテーションにより得られた沈殿物を水で精製した。結晶子サイズ約12nmのマグネタイト(Fe34)の生成をX線回折法により確認した。この沈殿物にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5gおよび3−アミノプロピルトリメトキシシラン5gを溶解したエタノール溶液200mlを加えて60℃で4時間分散した。ろ過後、沈殿物に水200mlを加え再分散した。0.2μmのフィルターでろ過してろ液を以下の実験に使用した。
(5)ビオチンを結合したマグネタイトナノ粒子分散液の調製
(4)で調製したマグネタイトナノ粒子の水分散液にNaHCO3を0.1質量%となるように添加しpHを7.5とした。これにビオチンラベル化剤としてスルホサクシンイミジル D−ビオチン((株)同仁化学研究所製)の1質量%水溶液を添加してアミド化反応を行った。ゲルろ過で精製することにより生体関連分子としてビオチンが結合したマグネタイトナノ粒子水分散液を調製した。
(6)アビジン固定LCST型高分子被覆ZnS:Mnナノ粒子へのビオチン結合マグネタイトナノ粒子の固定化と分離
試験管に、(3)で得たアビジン固定LCST型高分子被覆ZnS:Mn超微粒子分散液0.5ml、(5)で得たビオチン結合マグネタイト超微粒子蛍光体0.5ml、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)2mlおよび水9mlを添加して良く混合した。その後液温を38℃に上げ、精製した凝集物を磁石により回収した。上澄み液に325nmの光を照射してもピーク波長590nmの蛍光は認められなかったが、凝集物は325nmの光照射で590nmの蛍光を確認した。LCST型高分子被覆ZnS:Mnナノ粒子へ、アビジン−ビオチン結合を介してマグネタイトナノ粒子が固定化されたことがわかった。なお、凝集物は20℃の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)2mlを加えると再分散した。
このようにアビジン−ビオチン結合を介してLCST型高分子被覆ZnS:Mn蛍光体ナノ粒子と磁性体ナノ粒子とで蛍光複合体が形成された。この蛍光複合体を凝集した後に、磁石を用いて回収することができるので、標的物質が微量で且つ微細な領域に存在するものであっても、効率よく確実に検出することができる。

Claims (11)

  1. 平均粒子径が1〜50nmの無機蛍光体ナノ粒子と、
    前記無機蛍光体ナノ粒子の表面に配置された外部刺激応答性化合物と、
    を含む蛍光体粒子。
  2. 前記無機蛍光体ナノ粒子の発光の半値幅が50〜200nmであることを特徴とする請求項1記載の蛍光体粒子。
  3. 前記外部刺激応答性化合物が、熱刺激応答性高分子及びpH応答性化合物の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1又は2記載の蛍光体粒子。
  4. 前記無機蛍光体ナノ粒子の表面に、連結体が更に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の蛍光体粒子。
  5. 前記無機蛍光体ナノ粒子が、連結体を介して磁性体ナノ粒子と結合していることを特徴とする請求項4記載の蛍光体粒子。
  6. 前記蛍光体粒子が、標的物質を結合させるためのリガンドを備えていることを特徴とする請求項4又は5記載の蛍光体粒子。
  7. 前記無機蛍光体ナノ粒子が金属酸化物又は金属硫化物であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の蛍光体粒子。
  8. 前記磁性体ナノ粒子が酸化鉄又はフェライトであることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項記載の蛍光体粒子。
  9. 前記蛍光体ナノ粒子が、下記一般式(I)で表される化合物又はその分解生成物である表面修飾剤によって表面修飾されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の蛍光体粒子。
    M−(R)4 [I]
    (式中、MはSi又はTi原子を、Rは有機性基を示す。Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよいが、Rのうちの少なくとも1つは連結体又はリガンドと反応性を有する基を示す。)
  10. 前記蛍光体ナノ粒子が、下記一般式(II)で表される化合物によって表面修飾されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の蛍光体粒子。
    HS−L−W [II]
    (式中、Lは2価の連結基を表わし、WはCOOZ又はNH2を表す。ここで、Zは水素原子、アルカリ金属原子又はNX4を表し、Xは水素原子又はアルキル基を表す。)
  11. 試料中の標的物質を、蛍光体を用いて検出するための蛍光検出方法であって、
    標的物質を結合させるためのリガンドを備えると共に、平均粒子径が1〜50nmの無機蛍光体ナノ粒子及び前記無機蛍光体ナノ粒子の表面に配置された外部刺激応答性化合物を含む蛍光体粒子と、前記試料とを混合して、標的物質が結合した蛍光体粒子を試料中に形成させる工程と、
    外部刺激を加えて前記蛍光体粒子を凝集させる工程と、
    前記蛍光体ナノ粒子を励起する励起光を照射して、該蛍光体ナノ粒子を蛍光発光させる工程と、
    前記蛍光体粒子からの蛍光発光を検出する工程と、
    蛍光発光に基づいて試料中の標的物質を検出する工程と、
    を含むことを特徴とする蛍光検出方法。
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