JP2006066607A - シリコン膜の結晶性測定方法及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

シリコン膜の結晶性測定方法及び半導体装置の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006066607A
JP2006066607A JP2004246809A JP2004246809A JP2006066607A JP 2006066607 A JP2006066607 A JP 2006066607A JP 2004246809 A JP2004246809 A JP 2004246809A JP 2004246809 A JP2004246809 A JP 2004246809A JP 2006066607 A JP2006066607 A JP 2006066607A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
measured
power density
shift
silicon film
crystallinity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004246809A
Other languages
English (en)
Inventor
Sachi Hachiwaka
佐知 八若
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Heavy Industries Ltd filed Critical Sumitomo Heavy Industries Ltd
Priority to JP2004246809A priority Critical patent/JP2006066607A/ja
Publication of JP2006066607A publication Critical patent/JP2006066607A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Testing Or Measuring Of Semiconductors Or The Like (AREA)
  • Recrystallisation Techniques (AREA)

Abstract

【課題】 ラマン分光法を用い結晶性の良否を精度良く判定できるシリコン膜の結晶性測定方法を提供する。
【解決手段】 シリコン膜の結晶性測定方法は、シリコン膜上の被測定領域に、被測定領域におけるパワー密度が、第1のパワー密度未満であり、かつ第1のパワー密度の25%以上である光を照射して、散乱光のラマンシフトを測定するシリコン膜の結晶性測定方法であって、第1のパワー密度は、被測定領域におけるパワー密度が第1のパワー密度未満である第2のパワー密度の光を照射して、第1のラマンシフトを測定し、次いで、その被測定領域におけるパワー密度が該第1のパワー密度以上である光を照射してラマンシフトを測定し、さらに、その被測定領域におけるパワー密度が第2のパワー密度である光を照射して第2のラマンシフトを測定したとき、第1及び第2のラマンシフトが一致しないようなパワー密度である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、シリコン膜の結晶性測定方法に関し、特に、ラマン分光法を用いるシリコン膜の結晶性測定方法に関する。本発明はまた、半導体装置の製造方法に関し、特に、基板上に形成されたシリコン膜に半導体装置を形成する半導体装置の製造方法に関する。
表面に非晶質シリコン膜が形成された基板に、レーザ光を照射することにより、非晶質シリコン膜を多結晶化するレーザアニールが行われている。レーザ照射により非晶質シリコン膜が一時的に溶融して、多結晶化が行われる。多結晶シリコン膜が形成された基板は、例えばアクティブマトリクス型液晶表示装置に用いられる。基板上の多結晶シリコン膜に、例えば画素のスイッチング用トランジスタやそれを駆動するトランジスタが形成される。このようなトランジスタは、多結晶シリコン膜の結晶性が高いほど高速に動作する。
シリコン膜の結晶性は、ラマン分光法を用いて測定できる。例えば、非特許文献1では、レーザアニールで形成された多結晶シリコン膜の結晶性を、ラマン分光法により測定している。なお、非特許文献2では、非晶質シリコンの構造が、ラマン分光法を用いて評価されている。ラマン分光法では、被測定物に光を照射し、ラマン散乱光の強度スペクトルを測定して、照射光とラマン散乱光の振動数の差(ラマンシフト)を求める。ラマンシフトは、被測定領域内の原子の振動状態等を反映する。単結晶シリコンと多結晶シリコンとでは、ラマンシフトが異なる。シリコン膜の結晶性は、以下のようにして測定される。
単結晶シリコンのラマンシフトを、基準値として予め測定しておく。次いで、結晶性を評価したいシリコン膜のラマンシフトを測定する。この測定値と基準値との差の大きさ(これを、Δラマンシフトと呼ぶ)が小さいほど、シリコン膜は単結晶に近く、結晶性が高い。
エヌ・カワモト(N.Kawamoto)、外5名,「ダイジェスト・テクニカル・ペーパー・オブ・エーエムエルシーディー・‘02(Digest Technical Paper of AM−LCD ‘02)」,社団法人応用物理学会,2002年,p.235−238 菱川善博,「ラマン分光法によるアモルファスシリコンの構造評価」,ジャスコ・レポート(Jasco Report),日本分光株式会社,1992年,第34巻,第2号,p.15−19
試料のΔラマンシフトが、結晶性の良否の判定に使用される。従来の方法では、複数の試料のΔラマンシフトの差と、測定の誤差(ノイズ)の大きさとが同程度になるため、試料の結晶性を相互に比較することが困難である。また、結晶性の良否の精度良い判定が困難である。
表面に多結晶シリコン膜が形成された基板上に、トランジスタ等の半導体装置を形成するとき、多結晶シリコン膜の結晶性が不良であると、正常に動作する半導体装置を形成できない。
本発明の一目的は、ラマン分光法を用い、結晶性の良否を精度良く判定できるシリコン膜の結晶性測定方法を提供することである。
本発明の他の目的は、結晶性が不良な基板に半導体装置が形成されることを防止できる半導体装置の製造方法を提供することである。
本発明の一観点によれば、シリコン膜上の被測定領域に、該被測定領域におけるパワー密度が、第1のパワー密度未満であり、かつ該第1のパワー密度の25%以上である光を照射して、散乱光のラマンシフトを測定するシリコン膜の結晶性測定方法であって、該第1のパワー密度は、被測定領域におけるパワー密度が該第1のパワー密度未満である第2のパワー密度の光を照射して、第1のラマンシフトを測定し、次いで、その被測定領域におけるパワー密度が該第1のパワー密度以上である光を照射してラマンシフトを測定し、さらに、その被測定領域におけるパワー密度が該第2のパワー密度である光を照射して第2のラマンシフトを測定したとき、該第1及び第2のラマンシフトが一致しないようなパワー密度であるシリコン膜の結晶性測定方法が提供される。
本発明の他の観点によれば、(a)表面にシリコン膜が形成された基板の被測定領域に、該被測定領域におけるパワー密度が、第1のパワー密度未満であり、かつ該第1のパワー密度の25%以上である光を照射して、ラマン散乱光の強度スペクトルを測定する工程であって、該第1のパワー密度は、被測定領域におけるパワー密度が該第1のパワー密度未満である第2のパワー密度の光を照射して、第1のラマンシフトを測定し、次いで、その被測定領域におけるパワー密度が該第1のパワー密度以上である光を照射してラマンシフトを測定し、さらに、その被測定領域におけるパワー密度が該第2のパワー密度である光を照射して第2のラマンシフトを測定したとき、該第1及び第2のラマンシフトが一致しないようなパワー密度である工程と、(b)前記工程(a)で測定された強度スペクトルから求められたラマンシフトと予め求められた単結晶シリコンのラマンシフトとの差であるΔラマンシフトの大きさを、予め定められた基準値と比較し、該基準値以下であるときのみ、前記基板上に半導体装置を形成する工程とを含む半導体装置の製造方法が提供される。
本発明の一観点によるシリコン膜の結晶性測定方法を用いれば、従来の方法ではノイズに埋もれてしまうような微小な結晶性の差であっても、ラマンシフトの明瞭な差として検出することができる。測定試料の結晶性の良否判定を精度良く行える。
本発明の他の観点による半導体装置の製造方法を用いれば、基板上に形成されたシリコン膜の結晶性が良好である場合のみ、該基板上に半導体装置が形成される。これにより、結晶性が不良な基板に半導体装置が形成されることが防止される。
本願発明者は、シリコン膜表面における光のパワー(これを、照射面パワーと呼ぶ)を変化させたとき、Δラマンシフト(測定試料と単結晶シリコンとのラマンシフトの差の大きさ)がどのように変化するか調べる実験を行った。各照射面パワーにおけるΔラマンシフトを、同一の被測定位置について測定した。測定したシリコン膜は、レーザアニールにより形成した結晶化シリコン膜であり、その膜厚は45nmである。シリコン膜に照射した光は連続波レーザ光で、その波長が514.5nmである。1回の測定でレーザ光を30s照射した。
レーザ照射面におけるビームスポット内のシリコン膜の結晶性が測定される。ビームスポットは、ビームスポット内に1個程度の結晶粒が存在するような大きさとした。測定されたΔラマンシフトは、概ね結晶粒1個の結晶性を示すと考えられる。測定において、ビームスポットの大きさは一定とした。ビームスポット内のパワー密度が、照射面パワーに比例する。
図1のグラフに、この実験の結果を示す。グラフの横軸がmW単位で表した設定パワーを表す。ここで設定パワーとは、ラマン測定用のレーザ照射装置に設定するレーザ光のパワーの値である。照射面パワーは、設定パワーに比例し、例えば設定パワーの30%程度となる。なお、照射面パワーが設定パワーのどの程度の割合となるかは、測定機器等によって異なり得る。
グラフの縦軸がcm−1単位で表したΔラマンシフトを示す。Δラマンシフトは、設定パワーが増加するにつれて単調に増加する。Δラマンシフトが増加する傾きは、設定パワーが高くなるほど大きくなる。なお、設定パワーが低すぎると(つまり、照射面パワーが低すぎると)、ラマン散乱光の強度が、Δラマンシフトを正確に(ノイズの影響を少なく)測定できる高さに達しない。Δラマンシフトを正確に測定するために、設定パワーは、ある下限値以上とする必要がある。本実験では、この下限値が7mW程度である。
設定パワーの下限値(7mW)より少し高い程度の範囲では、設定パワーが増加しても、Δラマンシフトがあまり増加(変化)しない。範囲A(設定パワーが30mW以下の範囲)が、下限値の設定パワーで測定されたΔラマンシフトに対して、Δラマンシフトの増加量が10%以内である設定パワーの範囲を示す(つまり、設定パワー30mWで測定されるΔラマンシフトが、下限値の設定パワーで測定されたΔラマンシフトの110%の値となる)。
なお、従来のシリコン膜結晶性測定方法では、低い照射面パワーでΔラマンシフトを測定することが好ましいと考えられている。このため、下限値に近い設定パワーでΔラマンシフトが測定される。ところで、下限値の近傍では、設定パワーが変化しても、Δラマンシフトがあまり変化しないので、下限値より少し高い設定パワーで測定しても、下限値の設定パワーで測定したΔラマンシフトに近い測定値が得られる。照射面パワーを少し高くできれば、その分ラマン散乱光の強度が高くなるので、ノイズの影響が低減される。そのため、従来のシリコン膜結晶性測定方法では、下限値より少しだけ高い設定パワーで、Δラマンシフトが測定される。従来のシリコン膜結晶性測定方法で用いられる設定パワーは、図1の範囲A内(Δラマンシフトの増加量が、下限の設定パワーで測定されたΔラマンシフトから10%以内である範囲内)に入ると考えられる。
照射面パワーが高過ぎると、ビームスポット内のパワー密度が高くなり過ぎるため、被測定領域のシリコン膜に損傷が生じる。範囲A(設定パワーが130mW以上の範囲)がそのような範囲を示す。ここで損傷とは、以下に説明するように、ラマン測定用のレーザ照射に伴ってΔラマンシフトの再現性が失われることをいう。なお設定パワーが、範囲Aの上限値30mWより高く、範囲Aの下限値130mWより低い範囲が、範囲Aである。
範囲A及び範囲A内の第1の設定パワーで第1のΔラマンシフトを測定し、次に、範囲A内の第2の設定パワーでΔラマンシフトを測定し、再度第1の設定パワーで第2のΔラマンシフトを測定したとき、第1の設定パワーで測定した第1及び第2のΔラマンシフトが一致しない。このように、範囲A内の設定パワーでのラマン測定に伴い(範囲A内の設定パワーのレーザ光照射に伴い)、Δラマンシフトの再現性が失われる。
なお、範囲A内の設定パワーのレーザ光照射後に測定された第2のΔラマンシフトが、範囲A内の設定パワーのレーザ光照射前に測定された第1のΔラマンシフトより大きくなる。このことから、範囲A内の設定パワーのレーザ光照射に伴い、被測定領域の結晶性が低下したと考えられる。なお、光学顕微鏡で観察したとき、範囲A内の設定パワーのレーザ光を照射していない被測定領域は白く見え、範囲A内の設定パワーのレーザ光を照射した被測定領域は黒く見えることが多い。
なお、範囲A及び範囲A内の第3の設定パワーでΔラマンシフトを測定し、次に、範囲A及び範囲A内の第4の設定パワーでΔラマンシフトを測定し、再度第3の設定パワーでΔラマンシフトを測定したとき、第3の設定パワーで測定した2つのΔラマンシフトが一致する。このように、範囲A及び範囲A内の設定パワーのみで測定するとき、Δラマンシフトに再現性がある。
次に、図2(A)〜図2(C)を参照し、作製条件が近く、互いにあまり差がない結晶性を有すると考えられる4つの試料S1〜S4について、範囲A内の設定パワー及び範囲A内の設定パワーで、ラマン散乱光の強度スペクトルを測定した実験について説明する。実験の条件は、図1を参照して説明した実験のものと同様である。範囲A内の設定パワーとして、20mWを選択し、範囲A内の設定パワーとして、120mWを選択した。各試料とも、5ヶ所の被測定位置に対して測定を行った。
図2(A)のグラフの横軸にcm−1単位で表したΔラマンシフトを示し、縦軸にcm−1単位で表したラマン散乱光の強度スペクトルの半値全幅(以下、これを単に半値全幅と呼ぶ)を示す。半値全幅は、被測定領域内のシリコン結晶の欠陥濃度等を反映している。なお、設定パワーを20mWとしたとき、単結晶シリコンの半値全幅は、6.0cm−1程度である。多結晶シリコン膜の半値全幅は、単結晶シリコンの半値全幅より広い。一定の設定パワーで測定した場合(つまり、一定の照射面パワーで測定した場合)、Δラマンシフトが小さいほど、または半値全幅が狭いほど、被測定領域内のシリコン膜の結晶性が高い。なお、単結晶シリコンの半値全幅は、単結晶シリコン試料の表面状態等によってやや変動し得る。
Δラマンシフトが4〜5cm−1程度で、半値全幅が6〜8cm−1程度の範囲に、範囲A内の設定パワーで測定した結果が分布する。Δラマンシフトが6〜9cm−1程度で、半値全幅が7〜10cm−1程度の範囲に、範囲A内の設定パワーで測定した結果が分布する。範囲A内の設定パワーで測定した場合は、測定結果が分布する範囲が狭く、範囲A内の設定パワーで測定した場合は、測定結果が分布する範囲が拡大する。なお、破線の囲みはそれぞれ、各試料の5ヶ所の被測定位置に対する測定結果の分布範囲を示す。
図2(B)及び図2(C)の表に、試料ごとの、Δラマンシフトの平均値(Average(Δshift))、Δラマンシフトの標準偏差(σ(Δshift))、半値全幅の平均値(Average(FWHM))、半値全幅の標準偏差(σ(FMHW))を示す。平均値及び標準偏差は、各試料の被測定位置に関するものである。図2(B)が、範囲A内の設定パワーで測定した場合を示し、図2(C)が、範囲A内の設定パワーで測定した場合を示す。
どの試料のΔラマンシフトについても、範囲A内の設定パワーで測定した場合の標準偏差より、範囲A内の設定パワーで測定した場合の標準偏差が大きい。つまり、各試料の被測定位置に関して、範囲A内の設定パワーで測定したΔラマンシフトのばらつきより、範囲A内の設定パワーで測定したΔラマンシフトのばらつきの方が大きい。これは、半値全幅についても同様である。
また、範囲A内の設定パワーで測定したΔラマンシフトの平均値を試料間で比較すると、あまり差がない(ばらつきが小さい)。これは、半値全幅の平均値についても同様である。範囲A内の設定パワーで測定したΔラマンシフトの平均値を試料間で比較すると、範囲A内の設定パワーで測定した場合と比べて、試料間の差が大きい(ばらつきが大きい)。これは、半値全幅の平均値についても同様である。
範囲A内の設定パワー(従来の測定における設定パワー)での測定に基づき、試料S1〜S4について互いに結晶性を比較し、結晶性の良否を判定しようとするとき、以下に説明するような困難がある。図2(B)を参照して説明したように、試料S1〜S4のΔラマンシフトの平均値には、互いに差がほとんどない。もし誤差(ノイズ)のない理想的な測定が行われるのならば、試料間のΔラマンシフトの微小な差が、試料間の結晶性の差を反映する。しかし、実際の測定には誤差が伴う。試料間のΔラマンシフトの差が非常に小さいとき、その差が、結晶性の差による有意な差なのか、単なる測定誤差なのか切り分けができない。なお、範囲A内の設定パワーでの測定に基づき、被測定位置ごとに結晶性の良否を判定しようとする場合も同様の困難がある。
範囲A内の設定パワーで測定すると、被測定位置ごとのΔラマンシフトのばらつきが大きくなる。結晶が相対的に高い被測定位置と、結晶性が相対的に低い被測定位置とのΔラマンシフトの差が、範囲A内の設定パワーで測定した場合より大きくなる。Δラマンシフトの差が大きくなれば、測定誤差の影響が低減し、Δラマンシフトの差が結晶性の差を適切に反映するようになると考えられる。
また、結晶性が相対的に高い試料内における被測定位置のΔラマンシフトの分布範囲と、結晶性が相対的に低い試料内における被測定位置のΔラマンシフトの分布範囲とが乖離して、両試料間の結晶性の差が明瞭になると考えられる。
範囲A内の設定パワーで測定することにより、試料S1〜S4のΔラマンシフトの平均値のばらつきが大きくなるので、試料間のΔラマンシフトの差から、結晶性の良否を適切に(精度良く)判定できるようになる。例えば、図2(C)に示すデータより、試料S3とS4のΔラマンシフトが、試料S2とS1のΔラマンシフトより小さいと判定される。よって、試料S3とS4の結晶性が、試料S2とS1の結晶性より高いと判定される。なお、半値全幅もΔラマンシフトと同様に、範囲A内の設定パワーで測定することによりばらつきが大きくなる。図2(C)に示した半値全幅に基づいても、Δラマンシフトに基づいた場合と同様に、試料S3とS4が、試料S2とS1より高い結晶性を有すると判定される。
以上説明したように、シリコン膜に損傷を与えない範囲で、従来の方法より高い照射面パワーでラマン散乱光の強度スペクトルを測定することにより、試料の結晶性の差に対応するΔラマンシフト及び半値全幅の差を、明瞭にすることができる。この方法を用いれば、従来の方法で測定するとノイズに埋もれてしまうような微小な結晶性の差であっても検出することが可能となり、結晶性の差が小さい試料同士の、結晶性の良否判定を、従来の方法よりも適切に行うことが可能となる。
なお、上述した方法で検出された結晶性の差が、シリコン膜に作製されるデバイスの特性の差にどの程度反映されるかは、デバイスの種類等によって異なり得る。どの程度の結晶性の差であれば、デバイスの性能に影響を与えないかということについては、それぞれの場合に応じて検討すればよい。
試料を形成したレーザアニールの条件と、結晶性とを対応付けて考察すれば、好適なレーザアニール条件を見出す指針が得られる。なお、結晶性の評価や、レーザアニール条件の検討は、単一の被測定位置に対して行っても構わない。
なお、照射面パワーを高くするほど、Δラマンシフトまたは半値全幅のばらつきが大きくなり、試料の結晶性の良否判定が容易になる。そのため、シリコン膜に損傷が生じる設定パワーの下限値より少し低い程度の設定パワーでの測定を行うことが特に好ましい。上述の例では、シリコン膜に損傷が生じる設定パワーの下限値が130mWであり、設定パワーを120mWとしてラマンシフトを測定している。
範囲Aの上限値(つまり、従来の方法で測定するときの設定パワーの上限値)、及び範囲Aの下限値(シリコン膜に損傷が生じる設定パワーの下限値)は、シリコン膜の膜厚によって大きく変化する。レーザアニールで形成した結晶化シリコン膜について、膜厚を変化させて、これらの上限値と下限値の設定パワーを調べる実験を行った。
図3の表に、この実験の結果を示す。従来の方法における設定パワーの上限値P1とシリコン膜に損傷が生じる設定パワーの下限値P2とは、ともに膜厚が厚くなるほど小さくなる。表中のP3がP2の20%のパワーを示し、P4がP2の25%のパワーを示す。P4未満の設定パワーが、従来の方法における設定パワーに概ね対応している。
一定の照射面パワーのレーザ光であっても、シリコン膜の膜厚によって、シリコン膜に与える影響が大きく変化する。このため、結晶性の比較は膜厚の等しい試料間で行う必要がある。結晶性の測定に好適な照射面パワーに対応する設定パワーは、以下のようにして定めることができる。
ある膜厚の試料に対して、シリコン膜に損傷が生じる設定パワーP2を、予め実験で求めておく。次いで、P2の25%のパワーであるP4を求める。設定パワーをP4以上でP2未満の範囲内のある値に設定して、各試料のラマンシフトを測定する(なお、さらに半値全幅を測定してもよい)。このようにして得られたラマンシフトに基づいて、各試料の結晶性の良否を判定することができる。なお、設定パワーは、照射面パワー及び被測定面上のビームスポット内のパワー密度に比例する。
なお、上述したように、照射面パワーを高くするほど、結晶性の良否判定が容易になる。表中のP5は、P2の80%のパワーを示す。設定パワーを、例えばP5以上に設定することで、結晶性の良否判定が特に容易となる。
なお、上記では、複数の試料の結晶性を比較する例を説明したが、1つの試料について結晶性の良否判定を行うこともできる。以下に、基板上に形成されたシリコン膜の結晶性の良否を判定した後に、該基板上に半導体装置(例えば、トランジスタ)を製造する方法の一例を説明する。
図4のフローチャートに示すように、まず、ステップST1において、設定パワーを図3に示したP4以上でP2未満の範囲内のある値に設定し、基板上に形成されたシリコン膜のラマン散乱光の強度スペクトルを測定する。
次に、ステップST2において、ステップST1で測定したラマン散乱光の強度スペクトルから、Δラマンシフト及び半値全幅を求める。ステップST3において、Δラマンシフト及び半値全幅が、ともにそれぞれの基準値以下であるかどうか判定する。Δラマンシフト及び半値全幅が、ともにそれぞれの基準値以下である場合は、シリコン膜の品質が良好であると判断し、ステップST4に進み、基板上のシリコン膜にトランジスタを形成する。ステップST3において、Δラマンシフト及び半値全幅の少なくとも一方が、それぞれの基準値を超えている場合は、シリコン膜の品質が不良であると判断し、基板上にトランジスタを形成しない。このようにして、不良な基板にトランジスタが形成されることを防止できる。
なお、ステップST3でシリコン膜の品質の良否を判定する指標として、Δラマンシフトのみを用いても構わない。上述の説明では、ラマン散乱光の強度スペクトルの形状を表す物理量として、半値全幅を用いたが、ラマン散乱光の強度スペクトルの形状を表すために、半値半幅等の他の物理量を用いても構わない。測定した物理量が、許容範囲であるときのみ、基板上に半導体装置が製造される。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
設定パワーを変化させてΔラマンシフトを測定した実験の結果を示すグラフである。 図2(A)は、設定パワーを変化させて、複数の試料のΔラマンシフトと半値全幅を測定した実験の結果を示すグラフであり、図2(B)及び図2(C)は、同実験の結果を示す表である。 膜厚を変化させて、従来の方法における設定パワーの上限値及びシリコン膜に損傷が生じる設定パワーの下限値を測定した実験の結果を示す表である。 実施例によるシリコン膜の結晶性測定方法を応用した半導体装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
下限値の設定パワーで測定されたΔラマンシフトに対して、Δラマンシフトの増加量が10%以内である設定パワーの範囲
範囲Aの上限値より高く範囲Aの下限値より低い設定パワーの範囲
ラマン測定用のレーザ照射に伴いシリコン膜に損傷が生じる設定パワーの範囲

Claims (4)

  1. シリコン膜上の被測定領域に、該被測定領域におけるパワー密度が、 第1のパワー密度未満であり、かつ該第1のパワー密度の25%以上である光を照射して、散乱光のラマンシフトを測定するシリコン膜の結晶性測定方法であって、
    該第1のパワー密度は、被測定領域におけるパワー密度が該第1のパワー密度未満である第2のパワー密度の光を照射して、第1のラマンシフトを測定し、次いで、その被測定領域におけるパワー密度が該第1のパワー密度以上である光を照射してラマンシフトを測定し、さらに、その被測定領域におけるパワー密度が該第2のパワー密度である光を照射して第2のラマンシフトを測定したとき、該第1及び第2のラマンシフトが一致しないようなパワー密度であるシリコン膜の結晶性測定方法。
  2. 前記被測定領域に、該被測定領域におけるパワー密度が前記第1のパワー密度の80%以上である光を照射する請求項1に記載のシリコン膜の結晶性測定方法。
  3. (a)表面にシリコン膜が形成された基板の被測定領域に、該被測定領域におけるパワー密度が、第1のパワー密度未満であり、かつ該第1のパワー密度の25%以上である光を照射して、ラマン散乱光の強度スペクトルを測定する工程であって、
    該第1のパワー密度は、被測定領域におけるパワー密度が該第1のパワー密度未満である第2のパワー密度の光を照射して、第1のラマンシフトを測定し、次いで、その被測定領域におけるパワー密度が該第1のパワー密度以上である光を照射してラマンシフトを測定し、さらに、その被測定領域におけるパワー密度が該第2のパワー密度である光を照射して第2のラマンシフトを測定したとき、該第1及び第2のラマンシフトが一致しないようなパワー密度である工程と、
    (b)前記工程(a)で測定された強度スペクトルから求められたラマンシフトと予め求められた単結晶シリコンのラマンシフトとの差であるΔラマンシフトの大きさを、予め定められた基準値と比較し、該基準値以下であるときのみ、前記基板上に半導体装置を形成する工程と
    を含む半導体装置の製造方法。
  4. さらに、前記工程(a)で測定された強度スペクトルについて、該強度スペクトルの形状を表す物理量が、予め定められたその物理量に関する許容範囲内か否かを判定し、許容範囲内であるときのみ、前記基板上に半導体装置を形成する請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
JP2004246809A 2004-08-26 2004-08-26 シリコン膜の結晶性測定方法及び半導体装置の製造方法 Pending JP2006066607A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004246809A JP2006066607A (ja) 2004-08-26 2004-08-26 シリコン膜の結晶性測定方法及び半導体装置の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004246809A JP2006066607A (ja) 2004-08-26 2004-08-26 シリコン膜の結晶性測定方法及び半導体装置の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006066607A true JP2006066607A (ja) 2006-03-09

Family

ID=36112812

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004246809A Pending JP2006066607A (ja) 2004-08-26 2004-08-26 シリコン膜の結晶性測定方法及び半導体装置の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006066607A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100786873B1 (ko) 2006-09-26 2007-12-20 삼성에스디아이 주식회사 다결정 실리콘 기판의 결정화도 측정방법, 이를 이용한유기 발광 표시 장치의 제조방법 및 유기 발광 표시 장치

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04133368A (ja) * 1990-09-25 1992-05-07 Anritsu Corp ゲルマニウム薄膜p形導電体及びその製造方法
JPH04179118A (ja) * 1990-11-08 1992-06-25 Mitsubishi Electric Corp 半導体結晶性改良方法および装置
JPH04296015A (ja) * 1991-03-25 1992-10-20 G T C:Kk 半導体装置の製造方法
JPH11337490A (ja) * 1998-05-22 1999-12-10 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 半導体薄膜の電子濃度を測定する方法
JP2000174286A (ja) * 1998-12-08 2000-06-23 Matsushita Electric Ind Co Ltd 薄膜トランジスタの製造方法およびレーザアニール装置
JP2001094064A (ja) * 1999-09-20 2001-04-06 Toshiba Corp 結晶化方法及び半導体装置の製造方法
JP2002217103A (ja) * 2001-01-15 2002-08-02 Toshiba Corp レーザアニール方法
JP2003289092A (ja) * 2002-03-27 2003-10-10 Japan Science & Technology Corp 強誘電体材料の特性評価方法及び検査方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04133368A (ja) * 1990-09-25 1992-05-07 Anritsu Corp ゲルマニウム薄膜p形導電体及びその製造方法
JPH04179118A (ja) * 1990-11-08 1992-06-25 Mitsubishi Electric Corp 半導体結晶性改良方法および装置
JPH04296015A (ja) * 1991-03-25 1992-10-20 G T C:Kk 半導体装置の製造方法
JPH11337490A (ja) * 1998-05-22 1999-12-10 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 半導体薄膜の電子濃度を測定する方法
JP2000174286A (ja) * 1998-12-08 2000-06-23 Matsushita Electric Ind Co Ltd 薄膜トランジスタの製造方法およびレーザアニール装置
JP2001094064A (ja) * 1999-09-20 2001-04-06 Toshiba Corp 結晶化方法及び半導体装置の製造方法
JP2002217103A (ja) * 2001-01-15 2002-08-02 Toshiba Corp レーザアニール方法
JP2003289092A (ja) * 2002-03-27 2003-10-10 Japan Science & Technology Corp 強誘電体材料の特性評価方法及び検査方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100786873B1 (ko) 2006-09-26 2007-12-20 삼성에스디아이 주식회사 다결정 실리콘 기판의 결정화도 측정방법, 이를 이용한유기 발광 표시 장치의 제조방법 및 유기 발광 표시 장치
US7964417B2 (en) 2006-09-26 2011-06-21 Samsung Mobile Display Co., Ltd. Method of measuring degree of crystallinity of polycrystalline silicon substrate, method of fabricating organic light emitting display using the same, and organic light emitting display fabricated using the same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4135347B2 (ja) ポリシリコン膜生成方法
US6218198B1 (en) Method and apparatus for evaluating semiconductor film, and method for producing the semiconductor film
US6673639B2 (en) Method and system for evaluating polysilicon, and method and system for fabricating thin film transistor
KR20080091085A (ko) 반도체 구조에서 변형 및 활성 도펀트의 광반사율에 의한특성 기술 방법
US7403022B2 (en) Method for measuring peak carrier concentration in ultra-shallow junctions
US6922243B2 (en) Method of inspecting grain size of a polysilicon film
JP2006066607A (ja) シリコン膜の結晶性測定方法及び半導体装置の製造方法
US10770348B2 (en) Location-specific laser annealing to improve interconnect microstructure
KR100308244B1 (ko) 다결정 반도체막의 검사방법 및 그 장치
JP4208686B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP2008177476A (ja) 半導体評価方法、半導体評価装置、半導体デバイス製造方法、および半導体デバイス製造装置
JP2011137763A (ja) チャープ測定器、チャープ測定プログラム及びチャープ測定方法
US7133128B2 (en) System and method for measuring properties of a semiconductor substrate in a non-destructive way
US6605482B2 (en) Process for monitoring the thickness of layers in a microelectronic device
JP2001093951A (ja) 欠陥検査用半導体基板、半導体基板の検査方法および半導体基板検査用モニター装置
US20060186406A1 (en) Method and system for qualifying a semiconductor etch process
CN106128976B (zh) 一种监控侧墙刻蚀后残留的方法
JP2008270849A (ja) 焦点計測方法及び装置
KR102417201B1 (ko) 열화 화소 셀의 실시간 검사 기능을 갖는 표시 패널의 검사 방법 및 표시 패널의 검사 장치
JPH05102267A (ja) 結晶薄膜の評価方法および成長制御方法
US8450120B2 (en) SEM repair for sub-optimal features
KR100322878B1 (ko) 비정질 폴리실리콘층의 결정화 및 그레인 성장 모니터링 방법
JP2005129679A (ja) 光学的測定方法およびその装置およびそれを用いた結晶膜付き液晶基板の製造方法。
TWI420094B (zh) 於半導體結構中應變及主動性摻雜物之光反射特徵的方法
Mahendrakar et al. Optical metrology solutions for 10nm films process control challenges

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20061115

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Effective date: 20100527

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20100601

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20100728

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Effective date: 20101012

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02