JP2006064198A - 熱交換器のヘッダタンク - Google Patents

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英信 亀田
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Abstract

【課題】工程上の制約や加工工数を増やすことなしに、チューブの位置決めを行うことができる熱交換器のヘッダタンクを提供する。
【解決手段】内部に冷却媒体が流通する流通路が形成されたタンク部121と、チューブ110の端部110aが挿入されるチューブ挿入孔122aが形成されたプレート部122とを組み合わせて構成し、タンク部121の幅(a)、板厚(t)、及びチューブ110の幅(b)の関係が、a−2t<b<aとなるように設定して、タンク部121の端部断面121aにチューブ110の110a端部を当接させることにより、チューブ110の端部を位置決めすることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば炭酸ガスなどの冷却媒体(以下、冷媒という)と冷却風との間で熱交換を行う熱交換器のヘッダタンク構造に関する。
従来、炭酸ガスなどを冷媒とする熱交換器のヘッダタンクとしては、高耐圧性能を満たすため、略円形断面の冷媒流路を形成した多穴押出し管ヘッダタンクを採用したものや、板材をプレス加工等により成型して、略円形断面の冷媒流路を有するタンクとし、このタンクとプレートとを組み合わせた構造のものなどが知られている。
上記のようなタンクとプレートとを組み合わせた構造のヘッダタンクでは、プレート側にチューブの挿入孔を形成しておき、ここにチューブを挿入してロウ付けするものが主流となっている。このチューブの取り付けに関しては、外部治具によりチューブの挿入代を調整するものが知られている。また特許文献1には、プレート側に設けるチューブ挿入孔の深さにより、チューブの挿入代を調整するようにしたものが開示されている。さらに特許文献2には、タンクプレートに傾斜部などを設けることにより、チューブの位置決めを行うようにしたものが開示されている。
特開平11−014288号公報 実開平2−109185号公報
上記のように外部治具を用いるものでは、チューブ挿入代の調整をタンクとプレートとの嵌合前に実施する必要があり、チューブを挿入してからの嵌合には工程上の制約が生じることになる。また、特許文献1のようにチューブ挿入孔の深さによりチューブ挿入代を調整するものでは、チューブ挿入孔を二重に加工し、且つ孔の深さを規定する必要性があり、穴加工工程の増加、高い加工精度の要求が発生することになる。さらに、特許文献2のようにタンクに設けた傾斜部などは、タンク形状を複雑にする要因となり、タンク加工の工程を増やすことになる。
本発明の目的は、工程上の制約や加工工数を増やすことなしに、チューブの位置決めを行うことができる熱交換器のヘッダタンクを提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、冷却媒体が流通する複数のチューブと冷却用のフィンとを交互に積層してなる熱交換器コアと接続され、前記各チューブに冷却媒体を流通させる熱交換器のヘッダタンクであって、内部に冷却媒体が流通する流通路が形成されたタンク部と、前記チューブの端部が挿入されるチューブ挿入孔が形成されたプレート部とを組み合わせて構成され、前記タンク部の幅(a)、板厚(t)、及びチューブの幅(b)の関係がa−2t<b<aであり、前記タンク部の端部断面に前記チューブの端部を当接させることで前記チューブの端部を位置決めすることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1において、前記タンク部の端部断面が前記チューブの端部と当接する位置において、前記タンク部の端部断面が前記プレート部の主面と当接しないことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、少なくとも、前記タンク部と前記プレート部との嵌合部分において、前記タンク部の端部断面が前記プレート部の主面と当接することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項において、前記タンク部の少なくとも流通路側の表面にはロウ材層が存在せず、前記プレート部の両面にはロウ材層が存在することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項において、前記タンク部及び前記プレート部が、それぞれプレス加工により成型されたものであることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項において、前記プレート部は、両端の側壁部が外側に向かって傾斜していることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、チューブの挿入に外部治具を用いる必要がなく、またタンク部とプレート部とを嵌合させた後にチューブを取り付けることができるため、工程上の制約を受けることがない。また、チューブ挿入孔を二重にする必要がなく、孔の深さを規定する必要もないため、穴加工工程の増加や高い加工精度を要求されることがない。さらに、タンク部に傾斜部などを形成する必要がなく、タンク形状を複雑にする要因がないため、タンク加工の工数を増やすことがない。したがって、工程上の制約や加工工数を増やすことなしに、チューブの位置決めを行うことができる。
請求項2の発明によれば、タンク部の端部の長さを調整することにより、チューブのヘッダタンク本体への挿入代を任意に設定することができる。
請求項3の発明によれば、タンク部とプレート部とを組み合わせたときに位置決めを確実に行うことができるようになり、また外部から押圧によりカシメ固定
したときに、流通路の変形を生じないようにすることができる。
請求項4の発明によれば、タンク部とプレート部を組み合わせてロウ付した際に、タンク部の端部断面で溶けたロウ材がチューブの冷媒流路となる穴を詰まらせないようにすることができる。
請求項5の発明によれば、ヘッダタンクを押出し材のような高価な材料ではなく、安い板材で製作することができるため、材料コストを削減することができる。そして、タンク部とプレート部をプレス加工により成型できるため、熱交換器全体の加工が容易なものとなり、さらには、タンク間の連通溝を形成するための機械加工等が不要となるため、加工コストを削減することができる。
請求項6の発明によれば、耐圧性を向上させるために、タンク部の幅とプレート部の側壁部間のクリアランスを小さくした場合でも、タンク部とプレート部との填め合わせを容易に行うことができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態となる実施例について図面を参照しながら説明する。
図5は、実施例1に係わる熱交換器の全体構成を示す正面図である。この熱交換器100は、コア部101とその両端に配置されたヘッダタンク140とから構成されている。
コア部101は、内部を冷媒が流通する複数の扁平チューブ(以下、チューブという)110と、波形に形成された複数のフィン120を交互に積層し、最外側のフィン120の更に外側に断面略コ字形状の強度部材としてのサイドプレート130を配設したものであり、一体にロウ付け接合されている。
チューブ110は、隣接するもの同士の間に空気の流通する隙間を確保した状態で互いに並行に厚さ方向に積層されており、チューブ110間の各隙間にフィン120が配設されている。
ヘッダタンク140は、コア部101の両端、すなわち複数のチューブ110の長手方向の両端部111に配設されており、内部には、チューブ110の積層方向に沿って延びる流通路151が形成されている。ヘッダタンク140には、各チューブ110の端部111がロウ付け接合されており、ヘッダタンク140の流通路151と、総てのチューブ110の内部通路とが互いに連通している。
両ヘッダタンク140の長手方向端部には、流通路151の両端を塞ぐためのエンドキャップ180がロウ付け接合されている。図中左側のヘッダタンク140内には、流通路151を長手方向に仕切るセパレータ141がロウ付けされている。そして、左側のヘッダタンク140のセパレータ141よりも上側には冷媒をヘッダタンク内に導くための入口ジョイント191が、また下側には熱交換された冷媒をヘッダタンク外に取り出すための出口ジョイント192がそれぞれロウ付けにより接合されている。
次に、実施例1に係わるヘッダタンク140の構成について説明する。
図1は、実施例1に係わるヘッダタンク140の概略断面図であり、図5のA−A断面図に相当する。また図2は、図5のB−B断面図に相当する概略断面図である。
図1に示すように、実施例1のヘッダタンク140は、内部に冷媒の流通する流通路151を形成した断面略U字形状のタンク部121と、各チューブ110を接続するためのチューブ挿入孔122aを有する断面略コ字形状のプレート部122とを備えて構成されている。
プレート部122は、タンク部121と組み合わせたときに、タンク部121の上面を包むように折り曲げられる嵌合部122bが長手方向に数カ所設けられている(図5参照)。この嵌合部122bは、ヘッダタンク140の長手方向の所定位置であって、隣接するチューブ挿入孔122aの間に位置するように設けられている。そして、プレート部122とタンク部121とを図のように重ね合わせ、嵌合部122bをタンク部121の上面を包むように内側に折り曲げてカシメ固定するとともに、その状態でロウ付けすることにより、タンク部121とプレート部122とが一体化される。
本実施例におけるプレート部122は、両端の側壁部122cを外側に向かって角度cだけ傾斜させている。これにより、耐圧性を向上させるために、タンク部121の幅aとプレート部122の側壁部122c間のクリアランスを小さくした場合でも、タンク部121とプレート部122との填め合わせを容易に行うことが可能となる。また、プレート部122の側壁部122cには、タンク部121と組み合わせたときに、タンク部121の端部121bと接触する長さdの直線部分を設けている。この長さdはプレート部122の板厚t以上とする。これによって、ロウ付け部分において必要な強度を確保することができる。
タンク部121とプレート部122は、板材のプレス加工により成型することができる。また、タンク部121とプレート部122は、その表面にロウ材層が形成されたクラッド材を用いることができる。本実施例におけるタンク部121では、端部断面121aと流通路151側の表面にロウ材層が形成されていないものを用いている。これによれば、ロウ付け時に溶けたロウ材によりチューブ110の冷媒流路となる穴を詰まらせないようにすることができる。なお、ロウ材層は、少なくとも流通路151側の表面に形成されていない構造とすることが上記効果を得るために望ましく、さらに端部断面121aにもロウ材層が形成されていない構造とすることで、より望ましい効果を得ることができる。
チューブ110は、内部に図示しない複数の冷媒流路が形成された押出成形材であり、端部110aがタンク部121の端部断面121aと当接することで位置決めされる。
本実施例では、タンク部121の幅a、板厚t、及びチューブ110の幅bにおいて、これらの関係が
a−2t < b < a
となるように各部の寸法を設定している。これによって、チューブ110をプレート部122のチューブ挿入孔122aに挿入したときに、タンク部121の端部断面121aにチューブ110の端部110aの両端部分を確実に当接させることができる。
上記実施例1のヘッダタンク140によれば、タンク部121の端部断面121aにチューブ110の端部110aの両端部分を当接させることでチューブ110の位置決めを行うようにしたため、チューブ110の挿入に外部治具を用いる必要がなく、また、タンク部121とプレート部122とを嵌合させた後にチューブ110を取り付けることができるため、工程上の制約を受けることがない。また、チューブ挿入孔122aを二重にする必要がなく、孔の深さを規定する必要もないため、穴加工工程の増加や高い加工精度を要求されることがない。さらに、タンク部121に傾斜部などを形成する必要がなく、タンク形状を複雑にする要因がないため、タンク加工の工数を増やすことがない。したがって、本実施例のヘッダタンク140によれば、工程上の制約や加工工数を増やすことなしに、チューブの位置決めを行うことができる。
また、本実施例のヘッダタンク140では、タンク部121とプレート部122を板材のプレス加工により成型することができる。すなわち、ヘッダタンク140を押出し材のような高価な材料ではなく、安い板材で製作することができるため、材料コストを削減することができる。そして、タンク部121とプレート部122とをプレス加工により成型できるため、熱交換器全体の加工が容易なものとなり、さらには、タンク間の連通溝を形成するための機械加工等が不要となるため、加工コストを削減することができる。
図3は、実施例2に係わるヘッダタンクの概略断面図であり、図5のA−A断面図に相当する。また図4は、図5のB−B断面図に相当する概略断面図である。以下、実施例1と同等部分を同一符号を付して説明する。
図3に示すように、実施例2のヘッダタンク140Aでは、タンク部121とチューブ110とが当接する位置において、タンク部121の端部断面121aがプレート部122の主面122dと当接しないように、端部121bの長さが他の位置での長さよりも短くなっている。したがって、タンク部121の端部121bの長さを調整することにより、チューブ110のヘッダタンク本体への挿入代を任意に設定することができる。
また、タンク部121とチューブ110とが当接しない位置においては、図4に示すように、タンク部121の端部断面121aがプレート部122の主面122dと当接するように構成されている。これによれば、タンク部121とプレート部122とを組み合わせたときに位置決めを確実に行うことができるようになり、また外部から圧力を加えて嵌合部122bをカシメ固定したときに、流通路151の変形を生じないようにすることができる。なお、タンク部121の端部断面121aがプレート部122の主面122dと当接する領域は、少なくともプレート部122の嵌合部122b周辺にあればよい。
上記実施例2のヘッダタンク140Aにおいても、実施例1と同様に、工程上の制約や加工工数を増やすことなしに、チューブの位置決めを行うことができる。同様に、タンク部121とプレート部122とを板材のプレス加工により形成することにより、材料コストや加工コストを削減することができる。とくに、本実施例の構成によれば、プレート部122の端部121bの長さを調整することにより、チューブ110の挿入代を任意に設定することができる。
以上説明した実施例1及び2では、一つの流通路151を有するヘッダタンク140(140A)を例として示したが、複数の流通路151を有するヘッダタンクについても本発明は適用可能である。
図5のA−A断面図に相当する実施例1に係わるヘッダタンクの概略断面図。 図5のB−B断面図に相当する実施例1に係わるヘッダタンクの概略断面図。 図5のA−A断面図に相当する実施例2に係わるヘッダタンクの概略断面図。 図5のB−B断面図に相当する実施例2に係わるヘッダタンクの概略断面図。 実施例1に係わる熱交換器の全体構成を示す正面図。
符号の説明
100…熱交換器
101…コア部
110…チューブ
110a…端部
120…フィン
121…タンク部
121a…端部断面
121b…端部
122…プレート部
122a…チューブ挿入孔
122b…嵌合部
122c…側壁部
122d…主面
130…サイドプレート
140、140A…ヘッダタンク
141…セパレータ
151…流通路
180…エンドキャップ
191…入口ジョイント
192…出口ジョイント

Claims (6)

  1. 冷却媒体が流通する複数のチューブ(110)と冷却用のフィン(120)とを交互に積層してなる熱交換器コア(101)と接続され、前記各チューブ(110)に冷却媒体を流通させる熱交換器のヘッダタンク(140)であって、
    内部に冷却媒体が流通する流通路(151)が形成されたタンク部(121)と、前記チューブ(110)の端部(110a)が挿入されるチューブ挿入孔(122a)が形成されたプレート部(122)とを備え、
    前記タンク部(121)の幅(a)、板厚(t)、及びチューブの幅(b)の関係が、
    a−2t<b<a
    であり、前記タンク部(121)の端部断面(121a)に前記チューブ(110)の端部(110a)を当接させることで前記チューブ(110)の端部(110a)を位置決めすることを特徴とする熱交換器のヘッダタンク。
  2. 前記タンク部(121)の端部断面(121a)が前記チューブ(110)の端部(110a)と当接する位置において、前記タンク部(121)の端部断面(121a)が前記プレート部(122)の主面(122d)と当接しないことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器のヘッダタンク。
  3. 少なくとも、前記タンク部(121)と前記プレート部(122)との嵌合部分(122b)において、前記タンク部(121)の端部断面(121a)が前記プレート部(122)の主面(122d)と当接することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交換器のヘッダタンク。
  4. 前記タンク部(121)の少なくとも流通路(151)側の表面にはロウ材層が存在せず、前記プレート部(122)の両面にはロウ材層が存在することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱交換器のヘッダタンク。
  5. 前記タンク部(121)及び前記プレート部(122)が、それぞれプレス加工により成型されたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱交換器のヘッダタンク。
  6. 前記プレート部(122)は、両端の側壁部(122c)が外側に向かって傾斜していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の熱交換器のヘッダタンク。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017018540A1 (ja) * 2015-07-28 2017-02-02 株式会社ティラド 熱交換器のヘッダタンク

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