JP2006062203A - 薄肉部を有する射出成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 小さな薄肉部材の位置決めを確実に行う。
【解決手段】 互いに開閉可能で型閉時に相互間にキャビティ13を形成する固定型11及び可動型12を用い、キャビティ13内に薄肉部材2を配置した後、型閉めし、キャビティ13内に樹脂Jを射出して成形体1を製造する。キャビティ13に進退可能な位置決めピン15を可動型12に設け、薄肉部材2に孔2Aを形成し、キャビティ13内に配置した薄肉部材2の孔2Aに位置決めピン15を挿入した後、型閉めしたキャビティ13内に樹脂Jを射出する。薄肉部材2の孔2Aに位置決めピン15を挿入した状態で、樹脂Jを射出するため、位置決めピン15により薄肉部材2が位置決めされ、位置ずれを生じることがない。
【選択図】 図1
【解決手段】 互いに開閉可能で型閉時に相互間にキャビティ13を形成する固定型11及び可動型12を用い、キャビティ13内に薄肉部材2を配置した後、型閉めし、キャビティ13内に樹脂Jを射出して成形体1を製造する。キャビティ13に進退可能な位置決めピン15を可動型12に設け、薄肉部材2に孔2Aを形成し、キャビティ13内に配置した薄肉部材2の孔2Aに位置決めピン15を挿入した後、型閉めしたキャビティ13内に樹脂Jを射出する。薄肉部材2の孔2Aに位置決めピン15を挿入した状態で、樹脂Jを射出するため、位置決めピン15により薄肉部材2が位置決めされ、位置ずれを生じることがない。
【選択図】 図1
Description
本発明は、薄肉部を有する射出成形体の製造方法に関する。
従来、薄肉部を有するプラスチック製品を射出成形により製造する場合には、相互に開閉可能な型体間に所望とする薄肉部を有する成形体に対応したキャビティを形成する金型装置を用いて、型閉め時にキャビティ内に溶融樹脂を充填し、これを冷却固化した後型開き及び離型を行うものであるが、薄肉部を有するプラスチック製品では、該当するキャビティの間隙も当然薄く形成されることになるので、樹脂が充填されにくいという問題点がある。また、樹脂が充填される充填工程において、キャビティ内には空気などの気体が存在するだけでなく、溶融樹脂に起因するガスが発生する。これら溶融樹脂から発生するガス及び充填前のキャビティ内の空気は溶融樹脂により圧縮されて充填不良の原因となるが、特に薄肉部においては樹脂が逃げにくいために充填不良を起こしやすいという問題点がある。
そこで、ゲート位置を工夫したりガス抜き溝を工夫したりして薄肉部に対応するキャビティ内への樹脂の回り込み性を向上させているが、それでも0.4mm以下、例えば0.25mm程度の薄肉部を形成するのは困難であるのが実情である。また、この種の薄肉部を有する成形体を射出成形により製造した場合、溶融樹脂を冷却固化した後離型工程が行われるが、この離型は通常キャビティに臨んで進退可能に設けられた突き出しピンなどにより押し出すものであり、薄肉部は通常広い面積を占めることが多いためここに突き出しピンが位置することになりかねない。そうすると0.25mm程度の薄肉部では押された部分が変形してしまうという問題もある。
このような問題を解決するため、互いに開閉可能で型閉め時に相互間にキャビティを形成する複数の型体を用いて薄肉部を有する成形体を製造する成形体の製造方法において、前記成形体間に薄肉部材を配置した後型閉めし、前記キャビティ内に樹脂を射出し成形体を製造し、前記薄肉部材が射出樹脂と融合性を有する樹脂製のフィルム(例えば特許文献1及び特許文献2)とした製造方法が提案されている。
上記従来技術の製造方法では、薄肉部は別体である薄肉部材により成形されることになり射出成形により成形する必要はなくなるので、薄肉部の成形不良等が生じない。また、溶融樹脂を射出すると薄肉部材である樹脂製フィルムが溶融樹脂の熱により軟化あるいは溶融して、溶融樹脂と一体化するため、薄肉部材と射出樹脂との境界が渾然一体化した薄肉部を有する射出成形体を得ることができる。
ところで、上記のような製造方法において、薄肉部材の位置決めに、各種の方法が提案されている。例えば、特願2003−402156号では、薄肉部材である発泡金属を、型閉め時に厚さ方向に圧縮することにより、位置決めする方法と、位置決めピンの先端をキャビティ内に突出し、これら位置決めピンは薄肉部材の周縁に係合し、複数の位置決めピンに挟んで位置決めする方法とが提案されている。
特開2002−307477号公報
特開2003−127172号公報
前記圧縮により位置決めする方法では、薄肉部材が小さくなると、圧縮による固定力が不十分となり、樹脂圧により位置ずれを生じる虞がある。また、ピンで挟む方法でも、同様に薄肉部材が小さくなったり、円形形状などになったりすると、位置決めが不十分になることが予想される。
本発明は、このような問題点を解決しようとするもので、小さな薄肉部材の位置決めを確実に行うことができる薄肉部を有する射出成形体の製造方法を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、互いに開閉可能で型閉時に相互間にキャビティを形成する複数の型体を用い、前記キャビティ内に薄肉部材を配置した後、型閉めし、前記キャビティ内に樹脂を射出して成形体を製造する薄肉部を有する射出成形体の製造方法において、前記キャビティに進退可能な位置決めピンを前記型体に設け、前記薄肉部材に孔を形成し、前記キャビティ内に配置した薄肉部材の前記孔に前記位置決めピンを挿入した後、型閉めしたキャビティ内に樹脂を射出する製造方法である。
また、請求項2の発明は、前記型体は前記成形体を突き出す突き出しピンを備え、樹脂の射出後、前記位置決めピンを後退し、この後、前記突き出しピンにより成形体を離型する製造方法である。
また、請求項3の発明は、型開きの前に前記位置決めピンを後退する製造方法である。
請求項1の構成によれば、薄肉部材の孔に位置決めピンを挿入した状態で、樹脂を射出するため、位置決めピンにより薄肉部材が位置決めされ、位置ずれを生じることがない。そして、薄肉部は別体である薄肉部材により形成されるため、射出成形により成形する必要がなくなり、薄肉部に成形不良等が発生しない。
また、請求項2の構成によれば、位置決めピンを後退して、孔から位置決めピンを抜いた後、成形体を離型するから、薄肉部材を無理なく離型することができる。
また、請求項3の構成によれば、型開き前の型体により薄肉部を挟んだ状態で、位置決めピンを抜くから、位置決めピンを抜く際に薄肉部材に無理な力が加わらず、スムーズに位置決めピンを抜くことができる。
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる新規な薄肉部を有する射出成形体の製造方法を採用することにより、従来にない薄肉部を有する射出成形体の製造方法が得られ、その薄肉部を有する射出成形体の製造方法について記述する。
以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。図1〜図9は本発明の実施例1を示し、図1及び図2は、本発明の方法により製造可能な薄肉部を有する射出成形体の一例を示しており、同図において成形体1は、略平板状で、薄肉部を構成する薄肉部材2と、この薄肉部材2の周囲に形成された周囲平板部3とからなる。すなわち薄肉部材2は周囲平板部3の内側に位置する。前記薄肉部材2は、周囲平板部に比べて小さいものであって、この例では円形形状を成す。そして、前記薄肉部材2が成形体1の薄肉部となる。
また、図2に示すように、薄肉部材2及び周囲平板部3の厚さ寸法W1は0.40mm以下、0.20mm以上、具体的には約0.25mmの厚さとなっている。尚、厚さ寸法W1は0.10mmまで可能であるから、下限は0.10mm以上とすることができる。
前記薄肉部材2は略平板状の発泡金属からなる。この発泡金属の製法の一例を説明すると、金属粉末と水溶性バインダーと界面活性剤と水を混合し、更に非水溶性有機溶剤を添加して均一に分散分布させた混合物を平板状に加工して成形体を成形する。界面活性剤としては、一般に洗剤でよく、市販の台所用中性洗剤、例えばアルキルグルコシドとポリオキシエチレンアルキルエーテルの28%混合水溶液等を使用することができる。また、非水溶性有機溶剤は、炭素数5〜8の非水溶性炭素系有機溶剤、例えば、ネオペンタン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、ベンゼン、オクタン、及びトルエン等を使用することができる。また、前記金属粉は、焼結後の多孔質金属体を構成するものであるから、従来の有孔金属焼結体を含め金属多孔質体に適用されている金属材料で構成してよく、その平均粒径が0.5μm未満になると焼結体の高気孔率化が困難になる。一方、その平均粒径が500μmを越えると、混合原料中での分散性が低下し、均質な焼結体の製造が困難となる。したがって、その平均粒径を0.5〜500μm、望ましくは5〜100μmとする。以上の様に形成した成形体を加熱することにより前記非水溶性有機溶剤を発泡させて前記発泡金属を形成する。また、他の実施の形態として、金属粉末と水溶性バインダーと界面活性剤と水を混合し、更に非水溶性有機溶剤を添加して均一に分散分布させた混合物を平板状に成形して、これを加熱することにより前記非水溶性有機溶剤を発泡させて発泡金属を形成するようにしてもよい。
次に上述したような成形体1を製造する方法について図3〜図9に基づいて説明する。尚、図3〜図9では、理解を容易にするため、厚さ寸法W1を図2より厚く図示している。図3などにおいて、11は成形体1の一面側を形成する固定型であり、12は成形体1の他面側を形成する可動型であり、射出成形用金型の型体であるこれら固定型11及び可動型12は、互いに図示上下方向へ移動して開閉し、型閉め時に相互間に成形体1形状のキャビティ13を形成するものである。
一方、可動型12は、先端15Aがキャビティ3内に進退する位置決めピン15を有し、この位置決めピン15を進退する位置決めピン進退手段(図示せず)を備える。また、可動型12は、先端がキャビティ13に臨んで位置する突き出しピン16を有し、この突き出しピン16は、突き出す前は先端がキャビティ13の面と同一面で、キャビティ13の面からその先端が突き出て成形体1を離型するものである。尚、前記突き出しピン16を進退する突き出しピン進退手段(図示せず)を備える。
型閉した前記固定型11および可動型12間には、固定型11に設けられたスプルー17から前記キャビティ13への分流用の材料通路であるランナー18と、このランナー18をキャビティ13に連通させるサイドゲート19が形成され、これらサイドゲート19から溶融樹脂Jがキャビティ13内に充填される。
前記突き出しピン16は前記薄肉部材2に対応して設けられ、この薄肉部材2のほぼ中心には、前記突き出しピン16の先端を挿入する孔2Aが形成されている。
上述したような金型装置において、固定型11は、固定側型板21とこの固定側型板21の背面図示下面に取り付けられた固定受け板22とを有する。
次に、前記構成につきその作用を説明する。図3に示すようにはじめに固定型11と可動型12とは型開き状態にあり、位置決めピン15の先端15Aが、可動型12のキャビティ面13Aに突出している。薄肉部材2には予め孔2Aが形成されており、薄肉部材2の孔2Aを位置決めピン15の先端15Aに合わせて薄肉部材2をキャビティ面13A上に載置すると共に、位置決めピン15の先端15Aを孔2Aに挿入する。この場合、位置決めピン15の先端15Aのキャビティ面13Aからの突出寸法を、図3及び図5に示すように、型閉め後の薄肉部材2の厚さより小さく設定する。
このようにして発泡金属である薄肉部材2をセットしたら、図5に示すように、固定型11と可動型12とを型閉めする。尚、薄肉部材2Aは、その厚さが型閉め状態のキャビティ13の厚さより大きなものを用い、型閉め時に固定型11及び可動型12により薄肉部材2Aを圧縮するようにしており、この圧縮により固定型11及び可動型12に薄肉部材2が挟まれる。
そして、図6に示すようにゲート19からキャビティ13内に溶融樹脂Jを射出する(充填工程)。この充填工程において図示しない排気手段を作動させることによりガス抜き孔からキャビティ13内のガス(空気及び溶融樹脂Jから発生するガス)を吸引し、充填終了とほぼ同時に吸引を停止する。このようにガス抜きを行うことにより溶融樹脂Jがキャビティ13の全体にスムーズに流れて良好な充填が行われる。
この場合、溶融樹脂Jがキャビティ13内に充填されると、溶融樹脂Jの流れにより薄肉部材2が抵抗を受けるが、位置決めピン15により位置決めされているため、位置ずれを起すことがない。そして、薄肉部材2は発泡金属からなり、発泡金属は表面に気孔(図示せず)を有するから、キャビティ13内に充填された溶融樹脂Jが該気孔に入り込んでその後硬化することにより、両者が一体的に接合して成形体1が形成される。
そして、キャビティ13に充填した溶融樹脂Rが冷却固化した後、図7に示すように、型開き前に、位置決めピン15を後退し、後退後、固定型11と可動型12とを型開きし(図8)、これに続く離型工程において突き出しピン16が作動する(図9)。この突き出しピン16は、キャビティ13に臨んで配置されており、薄肉部材2以外の箇所に位置しているので離型時に薄肉部材2に変形をきたすおそれがない。
このように本実施例では、請求項1に対応して、互いに開閉可能で型閉時に相互間にキャビティ13を形成する複数の型体たる固定型11及び可動型12を用い、キャビティ13内に薄肉部材2を配置した後、型閉めし、キャビティ13内に樹脂Jを射出して成形体1を製造する薄肉部を有する射出成形体の製造方法において、キャビティ13に進退可能な位置決めピン15を可動型12に設け、薄肉部材2に孔2Aを形成し、キャビティ13内に配置した薄肉部材2の孔2Aに位置決めピン15を挿入した後、型閉めしたキャビティ13内に樹脂Jを射出するから、薄肉部材2の孔2Aに位置決めピン15を挿入した状態で、樹脂Jを射出するため、位置決めピン15により薄肉部材2が位置決めされ、位置ずれを生じることがない。そして、薄肉部は別体である薄肉部材2により形成されるため、射出成形により成形する必要がなくなり、薄肉部に成形不良等が発生しない。
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、型体たる可動型12は成形体1を突き出す突き出しピン16を備え、樹脂Jの射出後、位置決めピン15を後退し、この後、突き出しピン16により成形体1を離型するから、位置決めピン15を後退することにより、孔2Aから位置決めピン15を抜いた後、成形体1を離型するため、薄肉部材2を無理なく離型することができる。
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、型開きの前に位置決めピン15を後退するから、型開き前の固定型11及び可動型12により薄肉部を挟んだ状態で、位置決めピン15を抜くから、位置決めピン15を抜く際に薄肉部材2に無理な力が加わらず、スムーズに位置決めピン15を抜くことができる。
また、発泡金属からなる薄肉部材2に予め孔2Aを形成したから、孔2Aの位置を正確に設定することができ、これにより孔2Aと位置決めピン15の係合により、キャビティ13内における薄肉部材2の位置決めを正確に行うことができる。
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、薄肉部材の断面形状は円形に限らず、角形でもよい。
1 成形体
2 薄肉部材
2A 孔
11 固定型(型体)
12 可動型(型体)
13 キャビティ
14 ゲート
15 位置決めピン
16 突き出しピン
J 溶融樹脂
2 薄肉部材
2A 孔
11 固定型(型体)
12 可動型(型体)
13 キャビティ
14 ゲート
15 位置決めピン
16 突き出しピン
J 溶融樹脂
Claims (3)
- 互いに開閉可能で型閉時に相互間にキャビティを形成する複数の型体を用い、前記キャビティ内に薄肉部材を配置した後、型閉めし、前記キャビティ内に樹脂を射出して成形体を製造する薄肉部を有する射出成形体の製造方法において、前記キャビティに進退可能な位置決めピンを前記型体に設け、前記薄肉部材に孔を形成し、前記キャビティ内に配置した薄肉部材の前記孔に前記位置決めピンを挿入した後、型閉めしたキャビティ内に樹脂を射出することを特徴とする薄肉部を有する射出成形体の製造方法。
- 前記型体は前記成形体を突き出す突き出しピンを備え、樹脂の射出後、前記位置決めピンを後退し、この後、前記突き出しピンにより成形体を離型することを特徴とする請求項1記載の薄肉部を有する射出成形体の製造方法。
- 型開きの前に前記位置決めピンを後退することを特徴とする請求項2記載の薄肉部を有する射出成形体の製造方法。
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JP2004247495A JP2006062203A (ja) | 2004-08-26 | 2004-08-26 | 薄肉部を有する射出成形体の製造方法 |
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JP2016010930A (ja) * | 2014-06-30 | 2016-01-21 | 三ツ星ベルト株式会社 | 樹脂成形品製造装置、および、樹脂成形品製造方法 |
JP2016022657A (ja) * | 2014-07-18 | 2016-02-08 | 三ツ星ベルト株式会社 | 樹脂成形品製造装置、および、樹脂成形品製造方法 |
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- 2004-08-26 JP JP2004247495A patent/JP2006062203A/ja not_active Withdrawn
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