JP2006062052A - ロボット教示システム - Google Patents

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貴広 横山
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英明 柘植
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等幸 田中
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Abstract

【課題】 多自由度多関節ロボットアームを利用して陶磁器の絵付け動作等を再現するとともに、熟達した職人の技術をデジタル情報として保存し、後世に伝承することが可能なロボット教示システムを提供することを課題とする。
【解決手段】 ロボット教示システム1は、人の腕の動きを正確に再現可能なように複数のアーム部7aを結合して形成されたロボットアーム7を有するスレーブ機構部4と、陶器の皿6の湾曲した皿内面6aに対して行う筆記動作を認識し、教示するマスター機構部2と、マスター機構部2及びスレーブ機構部4を接続し、マスター機構部2によって認識された筆記動作に係る筆記情報及びワーク情報に基づいて、スレーブ機構部4のロボットアーム7及びスレーブ側皿26を動作制御するコントローラ3とを具備している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ロボット教示システムに関するものであり、特に、人の腕の動きを再現可能な多自由度多関節ロボットアームを有するスレーブ機構部を利用し、絵皿や湯飲み等の陶磁器を主な筆記対象とするワークに対して、絵付けをしたり、文字を筆記するなどの筆記動作を再現可能なロボット教示システムに関するものである。
従来から、複数のアームを変位自在に連結して構成され、人間の腕の動きを再現可能なように多自由度で動作するロボットアームを備えるロボットが種々の産業分野等で利用されている。そして、係るロボットに対し、ロボットアームの各部位の三次元位置、アームを連結した関節角度、及びこれらの時系列変化を示す動作(軌道)に関する指示を行い、ロボットを予めプログラムした通りに動作させることが行われている。このとき、空間上の各座標点を数値化し、各々の部材に相当する座標点をそれぞれ入力し、ロボットアームを操作させる数値制御が一般に行われている。しかしながら、個々のプログラムにおいてそれぞれの座標点を各動作のステップ毎に入力することは多大な労力及び時間を有し、さらに座標点の入力によってはロボットアームに滑らかな動きを再現させることができない場合があった。そのため、係る数値制御におけるロボット(ロボットアーム)の動作を予め教示する教示装置(ティーチングマシン)が用いられている。
ここで、従来の教示装置について例示すると、産業ロボット等の先端に工具を備えるロボットアームの動作制御を教示する場合、複数のワイヤによって教示空間上に吊下支持されたダミー工具を操作者が実際に把持して動かすことにより、係るダミー工具の教示空間における三次元位置及び姿勢の変化をワイヤの伸張変化及び巻出角度の変化に基づいて検出するもの、或いはロボットアームの先端に取付けられた工具を作業者が実際に把持し、該工具に力を加えて動かすことによって現実の工具の動きを精細に再現可能に教示するものなどが既に開示されている(例えば、特許文献1乃至特許文献3参照)。
特開平9−193064号公報 特開2001−51713号公報 特開平11−42580号公報
しかしながら、前述の教示装置を利用し、産業ロボット等に各々の動作を教示する場合、ダミー工具等を吊下げ支持した複数のワイヤ、及び工具が取設されたロボットアームのアームが、教示させようとする動作を阻害することがあった。すなわち、ダミー工具等を前後・左右・上下に移動させる比較的簡易な動作については、教示動作の際にワイヤ等が邪魔になることがないものの、ダミー工具等に対して回転や捻りを伴った動きを行う場合、該ワイヤ等によって教示動作が所定範囲に制限されることがあった。
また、人間の腕が通常の動作として、至極簡単に行っているように見える文字の筆記や図画の描画を含む筆記動作は、筆記具を把持する腕の動き、さらに筆記具の紙面等に対する押圧の加減、さらにその傾き具合などを微妙に調製しながら行っている。そして、係る筆記動作を上述したロボットアームで再現させようとする場合、筆記具の先端(例えば、鉛筆の芯)とワーク(例えば、紙)との間の相対位置を制御し、文字の筆記動作の際に行われる「はらい」や「とめ」などの回転や捻りを含む複雑な動きに係るロボットアームが追従できず、筆記動作の再現が困難な場合があった。さらに、筆記動作を行うワークが薄い紙のような容易に変形可能な素材の場合には、机上にワークを静置し、その上から筆記具による筆記動作を行っていた。すなわち、ロボットアームの位置制御は、ワークの移動を考慮することがなかった。
しかしながら、人が実際に行う筆記動作は、前述の柔らかい(可撓性のある)紙等の素材を対象するものに限られず、例えば、金属板やプラスチック板などの硬質素材に対して行われることもあり、また筆記具が接する筆記面も平面と限らず、凸状若しくは凹状に湾曲した湾曲面に筆記することがあった。この場合、筆記者が、対象となるワークを片方の手(例えば、左手側)で把持し、さらに筆記具を把持した一方の手(例えば、右手側)で筆記動作を行う、すなわち、両腕を用いて筆記を行っていた。この場合、上述したロボットアームを用いて筆記動作を教示させようとすると、二つのロボットアームを用いて行うことになり、動作の制御が複雑になるとともに、新たなロボットアーム(ロボット)を利用することによって製造コストが大幅に上がる可能性があった。また、個々のロボットアームの制御が独立して行われた場合、互いのロボットアームが交錯し、係る動作が干渉することがあった。
一方、近年の産業構造の変化によって、日本各地の和紙、陶磁器、刃物、木工、及び繊維等の種々の地場産業が衰退し、特に新規人材(後継者)の確保及び育成が困難な状況になっている。そのため、例えば、陶磁器等に対して絵付け作業を行う職人が数える程となり、「匠の技」と呼ばれるような熟達した技術を伝承することができなくなっている。また、重要無形文化財保持者(所謂、「人間国宝」)の卓越した技を後世に伝承し、何らかの形で保存することが特に望まれていた。
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、特に、陶磁器等のワークに対して実施される両腕を用いた筆記動作を一つの多自由度多関節ロボットアームを利用して再現するとともに、匠の技と呼ばれるような熟達した技術をデジタル化して保存することが可能なロボット教示システムの提供を課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明のロボット教示システムは、「人の腕の動きを再現可能な多自由度多関節ロボットアームを有するスレーブ機構部と、筆記者がワークに対して行う文字の筆記または図画の描画を含む筆記動作を認識し、前記多自由度多関節ロボットアームに前記筆記動作を再現可能に教示するマスター機構部と、前記スレーブ機構部及び前記マスター機構部に接続され、前記マスター機構部によって認識された前記筆記動作を演算処理し、前記スレーブ機構部の前記多自由度多関節ロボットアームを制御するコントローラとを具備し、前記マスター機構部は、前記筆記者が把持し、前記ワークに前記筆記動作を行うための筆記具に取設され、前記筆記動作に応じて逐次変化する前記筆記具の三次元位置及び姿勢を検出し、筆記情報として取得する筆記情報取得手段と、前記筆記動作が行われる際の前記ワークの傾き角度及び回転角度を検出し、前記筆記情報と時系列を対応させたワーク情報として取得するワーク情報取得手段と、取得した前記筆記情報及び前記ワーク情報を前記コントローラに対して送出する筆記ワーク情報送出手段とを有し、前記コントローラは、前記マスター機構部から送出される前記筆記情報及び前記ワーク情報を受付ける筆記ワーク情報受付手段と、受付けた前記筆記情報に基づいて、前記多自由度多関節ロボットアームに前記筆記動作を再現させる筆記制御データを演算処理し、前記スレーブ機構部に送出する筆記制御データ送出手段と、受付けた前記ワーク情報に基づいて、前記多自由度多関節ロボットアームによって再現される前記筆記動作の際に使用されるスレーブ側ワークの動きを制御するワーク制御データを演算処理し、前記スレーブ機構部に送出するワーク制御データ送出手段とを有し、前記スレーブ機構部は、前記コントローラから送出された前記筆記制御データを受付ける筆記制御データ受付手段と、受付けた前記筆記制御データに基づいて制御され、一端に前記筆記動作を再現するためのスレーブ側筆記具が取設された前記多自由度多関節ロボットアームと、前記コントローラから送出された前記ワーク制御データを受付けるワーク制御データ受付手段と、受付けた前記ワーク制御データに基づいて制御され、前記筆記動作の際の前記ワークの変化に応じて前記スレーブ側ワークの傾き角度及び回転角度を変化させるワーク駆動部とを有する」ものから主に構成されている。
ここで、マスター機構部の筆記情報取得手段とは、筆記動作における筆記具の三次元位置び回転を伴う捻り運動等の複雑な動作を含むものであり、接触型センサや画像認識センサでは係る動作を完全に検出し、認識することは困難なことが多い。そのため、超音波センサや赤外線センサなどのように、筆記者による腕の動きを制限しないように、非接触型のセンサを利用して、筆記動作を精細に捉えることが特に好適と考えられる。
さらに、ワーク情報取得手段とは、筆記動作の対象となるワークの状態(傾き及び回転)を認識するものである。ここで、ワークは、前述したように硬質の素材から形成されている場合、筆記者が筆記動作の際に片方の手で把持しながら、所定方向に傾けたり、或いは回転させながら筆記することがある。そこで、ワーク情報取得手段によって、筆記動作中のワークの状態を認識することにより、上述の筆記情報と時系列を同期させて、後述のスレーブ機構部での筆記動作の再現が正確に行われるようになる。なお、ワーク情報取得手段は、前述の非接触型センサを利用したり、或いはワークの傾きや回転を所定範囲に制限した上で傾きの角度及び回転角度を検出するセンサ、或いはロータリエンコーダなどの既存の検出機器を用いることが可能である。そして、取得された筆記情報及びワーク情報が電気的に接続されたコントローラに対して信号制御して送出される。
また、コントローラは、送出された筆記情報及びワーク情報を受付け、さらにスレーブ機構部の多自由度多関節ロボットアーム及びワーク駆動部の制御を行うための制御データを演算処理するものであり、既存のパーソナルコンピュータの機能等を利用することが可能である。さらに、スレーブ機構部は、マスター機構部によって認識された筆記動作を再現するためのものであり、筆記制御データ及びワーク制御データに基づいて多自由度多関節ロボットアーム及びワーク駆動部が制御される。ここで、多自由度多関節ロボットアームは、既存の産業用ロボット等に利用される複数のアーム、アームを連結する関節、及びアームを動作させるサーボモータ等によって組合わされて形成されたものであり、一般に6自由度以上の自由度があれば、人間の腕と同一の動きが再現可能であると言われている。そのため、本発明のロボット教示システムにおいても6自由度の多自由度多関節ロボットアームが用いられている。また、ワーク駆動部は、筆記動作が再現されるスレーブ機構部のスレーブ側ワークを駆動させるものであり、シリンダ、アクチュエータ等を組合わせることによって構成されている。
したがって、本発明のロボット教示システムによれば、人の腕と同様の動作を再現可能な多自由度多関節ロボットアーム及びワーク駆動部を有するスレーブ機構部によって、マスター機構部で認識された筆記者の筆記動作を再現することができる。さらに、具体的に説明すると、筆記動作を非接触型センサ等によって認識する筆記情報取得手段と、そのときのワークの状態を認識するワーク情報取得手段とを有するマスター機構部によって、筆記動作の状況が認識され、信号制御されてコントローラに送出される。そして、コントローラでは送出された筆記情報及びワーク情報を受付けるとともに、スレーブ機構部で再現動作可能に制御するための制御データ(筆記制御データ及びワーク制御データ)を演算処理して演算処理し、これをスレーブ機構部に送る。その後、コントローラから制御データを受付けたスレーブ機構部は、各々の制御データに基づいて多自由度多関節ロボットアーム及びワーク駆動部を制御し、スレーブ機構部で筆記動作を再現させることができる。これにより、両腕を用いて筆記動作を行った場合と同様の筆記動作を上記構成で再現することができる。
さらに、本発明のロボット教示システムは、上記構成に加え、「前記筆記情報取得手段は、前記筆記動作を実施する筆記空間の基準位置に設けられ、前記筆記空間に磁界を発生させる磁界発生部と、前記筆記具に取設され、前記磁界発生部から発生された前記磁界を受信する磁界受信部とを具備し、前記筆記空間の前記磁界の変化に応じて前記三次元位置及び姿勢を認識し、前記筆記動作を検出する」ものであっても構わない。
したがって、本発明のロボット教示システムによれば、筆記動作の際の筆記具の三次元位置及び姿勢を認識し、筆記情報を得るための筆記情報取得手段として、磁界発生部及び磁界受信部が用いられる。すなわち、既存の磁気センサを使用し、磁界の変化に基づいて三次元位置及び姿勢が検出される。係る磁気センサは、非接触型センサの一つであり、筆記具を用いて行う筆記動作を阻害するような不要なワイヤやアームなどが筆記動作の行われる筆記空間内に存在しない。そのため、通常行われる滑らかな筆記動作を認識し、係る結果をスレーブ機構部に反映させることが可能となる。
さらに、本発明のロボット教示システムは、上記構成に加え、「前記コントローラは、受付けた前記筆記情報及び前記ワーク情報を記憶する情報記憶手段と、前記情報記憶手段に記憶された前記筆記情報及び前記ワーク情報を読出し指示に基づいて読出し、前記筆記制御データ送出手段及び前記ワーク制御データ送出手段にそれぞれ送る情報読出手段と」を具備するものであっても構わない。
したがって、本発明のロボット教示システムによれば、コントローラはマスター機構部によって取得された筆記情報及びワーク情報を受付け、これを情報記憶手段に記憶することができる。ここで、情報記憶手段は、既存のハードディスクドライブや半導体メモリ等の記憶装置を利用することが可能である。そして、読出し指示に基づいて、情報記憶手段から、随時この情報を読み出し、スレーブ機構部の動作制御を行うための制御データを送出する制御データ送出手段に送ることができる。これにより、一度、マスター機構部によって認識された筆記動作をデジタル情報として保存し、任意のタイミングにスレーブ機構部に係る筆記動作を再現させることができる。そのため、人間国宝などの優れた技術をデジタル情報として保存し、後世に残すことができる。さらに、一つの筆記動作を認識することにより、複数回に亘って繰返し、係る筆記動作を再現させることができる。これにより、従来は手で行う必要があった伝統工芸に係る職人の作業を機械化することが可能となり、手作業による風合いを残したままで、製品の大量生産を行うことができるようになる。
さらに、本発明のロボット教示システムは、上記構成に加え、「前記筆記動作が行われる前記ワーク及び前記スレーブ側ワークは、皿及び湯飲みを含む陶磁器を対象とし、前記筆記動作は、前記陶磁器の表面に対して実施される絵付け動作である」ものであっても構わない。
したがって、本発明のロボット教示システムによれば、ワークとして陶磁器を採用することにより、陶磁器表面に行われる絵付け作業をスレーブ機構部に再現させることができる。特に、係る絵付け作業は、長年の経験及び熟達した技術を要するため、これをデジタル化して保存することにより、職人の優れた技術を後世に残すことができる。さらに、係る絵付け作業を習得しようとする初学者が、その再現されたワークを鑑賞したり、多自由度多関節ロボットアームの動作を見ることにより、熟達した職人の筆の運びを確認し、学習することが可能となる。さらに、スレーブ機構部に再現動作を繰り返し再現させることにより、職人が筆記した陶磁器の複製(ワーク)を大量に生産することが可能となる。
さらに、本発明のロボット教示システムは、上記構成に加え、「前記筆記具及び前記スレーブ側筆記具は、毛筆が利用され、前記マスター機構部及び前記スレーブ機構部は、前記毛筆の筆先が浸漬される墨汁または絵の具を含むインクが同量ずつ貯留され、前記ワーク及び前記スレーブ側ワークに対する相対的な位置を同じにして設置されたインク貯留部をそれぞれ具備してなる」ものであっても構わない。
したがって、本発明のロボット教示システムによれば、マスター機構部及びスレーブ機構部に毛筆にインクを供給するインク貯留部がそれぞれ設けられている。ここで、筆記具等には、習字の際に使用される筆、或いは図画を描画する際の絵筆を含む毛筆が利用され、これらの毛筆に墨汁、または絵の具を供給する同形状のインク貯留部(習字の場合の硯に相当)が、それぞれのワーク及びスレーブ側ワークに対する相対的な空間上の位置を同じにして設置されている。すなわち、ワーク等からインク貯留部までの三次元的な距離及び角度が同じになるように設定されている。そのため、例えば、インク貯留部として硯を使用した場合、筆記者が筆記動作を行う際に、毛筆を把持し、硯の海(墨池)の部分に注入された墨汁に筆先を浸し、さらに陸(墨堂、岡)の部分で筆先を整える動作をする場合、マスター機構部側及びスレーブ機構部側で同一の動作が行われる。これにより、単純にワークに対して実施する筆記動作のみならず、陸で筆先を整えるような、詳細な所作まで忠実に再現することができる。特に、互いのインク貯留部にそれぞれ同量のインクが貯留されるように調整が図られるため、再現されたスレーブ側ワークには、文字のかすれの程度や、墨汁等を筆先に漬け過ぎたことのよって生じる滲み等を再現することができるようになる。
本発明のロボット教示システムの効果として、筆記者がマスター機構部に対して行った両腕を用いた筆記動作を、スレーブ機構部の多自由度多関節ロボットアーム及びワーク駆動部によって再現することができる。さらに、磁界の変化を利用して筆記具の筆記動作を検出するため、筆記動作を認識する際に、従来は邪魔となっていたワイヤ等が存在せず、通常行われる筆記動作を筆記者は自然に行うことができる。そのため、毛筆等による書写などの複雑な動きを伴う筆記動作を認識し、再現することができる。さらに、取得した筆記情報等をコントローラが記憶し、任意のタイミングで読出してスレーブ機構部に再現動作を行わせることができるため、優れた職人の技術をデジタル化して保存し、後世まで残しておくことができる。さらに、毛筆を使用した場合などは、文字のかすれやインクのたれ具合などの細かな部分まで本発明のロボット教示システムによって再現することができる。
以下、本発明の一実施形態であるロボット教示システム1について、図1乃至図6に基づいて説明する。ここで、図1は本実施形態のロボット教示システム1の概略構成を模式的に説明する説明図であり、図2はマスター機構部2の概略構成を示す説明図であり、図3はスレーブ機構部4の概略構成を示す説明図であり、図4はマスター機構部2、コントローラ3、及びスレーブ機構部4のそれぞれの機能的構成を示す説明図であり、図5及び図6はロボット教示システム1における各機構部2,4及びコントローラ3の処理の流れを示すフローチャートである。なお、本実施形態では、毛筆5を使用し、陶器の皿6に文字を含む絵付け作業を実施する筆記動作を、スレーブ機構部4で再現させるものについて例示している。ここで、毛筆5が本発明における筆記具に相当する。
本実施形態のロボット教示システム1は、図1に主に示すように、人の腕の動きを正確に再現可能なように複数のアーム部7aを結合して形成された多自由度多関節ロボットアーム7(以下、単に「ロボットアーム7」と称す)を有するスレーブ機構部4と、筆記者が円形の陶器の皿6の湾曲した皿内面6aに対して行う筆記動作を認識し、教示するマスター機構部2と、マスター機構部2及びスレーブ機構部4を接続し、マスター機構部2によって認識された筆記動作に係る筆記情報8及びワーク情報9に基づいて、スレーブ機構部4のロボットアーム7等を動作制御するコントローラ3とを具備して主に構成されている。
各構成について、さらに詳しく説明すると、本実施形態のマスター機構部2は、所定の基準位置(図示しない)に設置され、筆記動作が行われる筆記空間10に磁界Mを発生させる磁界発生部11と、毛筆5の筆先5aに相対する一端5bに取設され、磁界発生部11によって発生された磁界Mを受信する磁界受信センサ12と、磁界受信センサ12によって検出し、受信された磁界Mの強弱及びその変化に基づいて筆記動作の際の毛筆5の三次元位置及び姿勢を検出し、筆記情報8を取得する位置姿勢コントローラ13と、筆記動作が行われる皿6が取付面14aに載置され、筆記者が筆記動作を実施する際の該皿6の傾き及び回転を認識するワーク検出部14と、認識された皿6の三軸方向の傾き角度α,β,γ及び回転角度θを変換し、ワーク情報9を取得するワークコントローラ15とを主に具備して構成されている。ここで、皿6が本発明におけるワークに相当し、磁界発生部11、磁界受信センサ12、及び位置姿勢コントローラ13が本発明における筆記情報取得手段に相当し、ワーク検出部14及びワークコントローラ15が本発明におけるワーク情報取得手段に相当する。なお、位置姿勢コントローラ13及びワークコントローラ15は、それぞれ取得した筆記情報8及びワーク情報9を電気的に接続されたコントローラ3に対して送出可能に形成されており、係る位置姿勢コントローラ13及びワークコントローラ15は本発明における筆記ワーク情報送出手段としての機能を併せて有している。
ここで、磁界受信センサ12は、磁界発生部11によって筆記空間10内に発生された磁界M内を移動する際の強弱変化等を検出し、筆記空間10における磁界受信センサ12の三次元位置及び認識することができる。このとき、予め、磁界受信センサ12から毛筆5の筆先5aまでの距離を入力しておくことにより、筆記空間10における毛筆5の筆先5aの位置を正確に認識することができる。その結果、筆記動作における筆先5aの動き、換言すれば、筆先5aの軌道を正確に把握し、筆記情報8として取得することができる。
また、ワーク検出部14は、図1乃至図4等に示すように、皿6が取付けられる取付面14aを有し、皿6の傾きや回転運動に連動して動くワークガイド部17と、ワークガイド部17を支持するワーク支持部18と、ワークガイド部17及びワーク支持部18を連結するとともに、ワークガイド部17をワーク支持部18に対して前後左右方向に揺動自在及び軸回転方向に変位自在に連結するジョイント部19と、ワークガイド部17の傾き角度α,β,γを検出する傾き角度検出部20と、ワークガイド部17の回転角度θを検出する回転角度検出部21とを具備して主に構成されている。ここで、傾き角度検出部20及び回転角度検出部21は、既存のロータリーエンコーダ(図示しない)等の検出機によって構成され、各エンコーダの回転量をデジタル量に変換し、傾き角度α等及び回転角度θが検出されている。
また、コントローラ3は、図4に示すように、その機能的構成として、マスター機構部2によって認識され、位置姿勢コントローラ13及びワークコントローラ15によってそれぞれ送出された筆記情報8及びワーク情報9を受付けるインターフェイス部22と、該インターフェイス部22によって受付けた筆記情報8に基づいてロボットアーム7の各アーム部7aの筆記再現空間23における三次元位置及び姿勢、さらに各関節24の関節角度24aの値を演算処理によって求め、筆記動作を再現可能に制御する筆記制御データ25を演算処理し、前述のインターフェイス部22を介してスレーブ機構部4に送出する筆記制御データ送出部27と、受付けたワーク情報9に基づいて筆記再現空間23に置かれたスレーブ側皿26の傾き及び回転を制御するワーク制御データ28を演算処理し、インターフェイス部22を介してスレーブ機構部4に送出するワーク制御データ送出部29とを具備して主に構成されている。ここで、インターフェイス部22が本発明における情報受付手段、さらに筆記制御データ受付手段及びワーク制御データ受付手段の機能の一部に相当し、さらに、筆記制御データ送出部27が本発明における筆記制御データ送出手段に相当し、ワーク制御データ送出部29がワーク制御データ送出手段に相当する。また、コントローラ3は、インターフェイス部22を介して受付けた筆記情報8及びワーク情報9をそれぞれ関連つけて記憶する情報記憶手段30と、コントローラ3に対し、情報記憶手段30に記憶された筆記情報8及びワーク情報9の読出し要求に応じ、該情報8,9を読出すとともに、筆記制御データ送出部27及びワーク制御データ送出部29に送出する情報読出手段31とをさらに具備している。さらに、コントローラ3には、筆記者による筆記動作の開始から終了までの間を指示し、該筆記情報8及びワーク情報9の取得範囲をスイッチ操作によって指定する教示ボタン16が接続されている。
また、スレーブ機構部4は、コントローラ3から送出された筆記制御データ25及びワーク制御データ28を受付ける制御データ受付部33と、受付けた筆記制御データ25に基づいて、各アーム部7aの三次元位置及び関節角度24aをアーム制御部7bによって制御し、マスター機構部2によって認識された筆記動作を再現するロボットアーム7と、受付けたワーク制御データ28に基づいて制御され、スレーブ側皿26の傾き角度α’,β’,γ’、及び回転角度θ’をワーク制御部33aに基づいて制御し、変化させるワーク駆動部32とを主に具備して構成されている。ここで、ワーク駆動部32は、前述したマスター機構部2におけるワーク検出部14と、略同一の構成を有して形成され、スレーブ側皿26が取付けられる取付面34aを有し、ワーク制御データ28に基づいて連動して制御されるワークガイド部34と、ワークガイド部34を支持するワーク支持部35と、ワークガイド部34及びワーク支持部35を連結するとともに、ワークガイド部34をワーク支持部35に対して前後左右に揺動自在及び軸回転方向に変位自在に連結するジョイント部37と、ワークガイド部34の傾き角度α’,β’,γ’をワーク制御データ28に基づいて制御し、マスター機構部2のワーク検出部14と同期させる傾き角度調整部38と、ワークガイド部34の回転角度θ’をワーク制御データ28に基づいて制御し、マスター機構部2のワーク検出部14と同期させる回転角度調整部39とを具備して主に構成されている。ここで、傾き角度調整部38及び回転角度調整部39には、ワークガイド部34と連動してスレーブ側皿26を駆動するためにサーボモータ、及びアクチュエータ等を用いて駆動機構が構築されている。なお、スレーブ機構部4のロボットアーム7の先端には、マスター機構部2で筆記者が把持するものと同種のスレーブ側毛筆40が取設されている。
次に、本実施形態のロボット教示システム1の使用方法の一例について、図5及び図6に示す各機構部2,4及びコントローラ3の処理の流れを示すフローチャートに基づいて主に説明する。ここで、図1乃至図3に示すように、マスター機構部2には、筆記空間10に置かれた皿6の皿内面6aに対して文字を含む絵付け作業を行うための毛筆5及び毛筆5に絵付け作業のための墨汁41が注入されたインク貯留部42が予め定められた位置に載置されている。さらに、ワーク検出部14のワークガイド部17の取付面14aには、絵付け作業が行われる皿6が取付されている。これにより、前述した筆記具としての毛筆5の移動の軌跡を含む運動を検出し、かつその時の皿6の傾きや回転等の情報を得ることができる。
一方、スレーブ機構部4には、マスター機構部2の筆記空間10におかれた皿6と同様に、筆記再現空間23にスレーブ側皿26がワーク検出部14と略同一構成で形成されたワーク駆動部32に取付けられている。さらに、ロボットアーム7の先端には、筆記動作をスレーブ側皿26に対して再現する筆先40aを有するスレーブ側毛筆40が取付けられ、インク貯留部42が筆記空間10と相対的な同一位置の筆記再現空間23に設置されている。このとき、マスター機構部2側のインク貯留部42に注入された墨汁41と、スレーブ機構部4側のインク貯留部42に注入された墨汁41とは、それぞれの注入量が同量になるように調整されている。これにより、それぞれの毛筆5,40の筆先に付着する墨汁41の量を同一にすることができる。ここで、墨汁41が本発明におけるインクに相当する。なお、本実施形態では、図示を簡略化するため、円筒状の容器をインク貯留部42として使用し、墨汁41を貯留するものを図示したが、書道の際に利用される硯を用いるものであっても構わない。しかしながら、この場合、マスター機構部2及びスレーブ機構部4に設置される硯は、同種同形状のものを用いる必要がある。
そして、筆記者が筆記空間10内に設置された手Hで毛筆5を把持し、さらに筆記情報8及びワーク情報9の取得開始及び取得終了のタイミングをスイッチ操作によってON/OFFで指示する教示ボタン16を操作する(ステップS1)。このとき、教示ボタン16のスイッチ操作に応じてコントローラ3は、マスター機構部2から送出される筆記情報8及びワーク情報9の受付を開始する(ステップT1)。一方、位置姿勢コントローラ13及びワークコントローラ15は、教示ボタン16の操作に応じて、各々、毛筆5及び皿6の初期位置(三次元位置、及び傾き等)に係る情報を取得する。
そして、上記操作によってマスター機構部2における筆記動作に係る筆記情報8等が、初期位置に係る情報からの変位として取得される。それから、筆記者が皿6に対して筆記動作を行う(ステップS2)。このとき、マスター機構部2で、毛筆5の筆先5aに墨汁41が漬けられ、さらに、インク貯留部42の開口した開口縁などで余分な墨汁41を落とし、筆先5aを整える操作が一般に行われる。そして、ワーク検出部14に載置された皿6の凹状に湾曲した皿内面6aに対して、文字等を含む絵付け作業が行われる(ここでは、皿内面6aに対し、「岐」の文字を筆記したものを例示)。
このとき、マスター機構部2の磁界発生部11及び磁界受信センサ11によって、毛筆5の筆先5aの筆記空間10上における位置及び姿勢の変化が逐次検出されると(ステップS3においてYES)、毛筆5の三次元位置及び姿勢の変化に基づく時系列的な変化を筆記情報8として取得する(ステップS4)。さらに、筆記者が筆記動作時において、片手で把持し、傾けるなどの動作を行った場合等の皿の動きが検出されると(ステップS5においてYES)、ワーク検出部14に基づいてワーク情報9が取得される(ステップS6)。そして、取得された筆記情報8及びワーク情報9がコントローラ3に対して送出される(ステップS7)。一方、毛筆5の動きが検出されない場合(ステップS3においてNO)、及び皿6の動きが検出されない場合(ステップS5においてNO)は、以降のそれぞれの処理(ステップS4及びステップS6)がキャンセルされる。
そして、マスター機構部2は、教示ボタン16による筆記情報8及びワーク情報9の取得の検出を停止する指示の有無、換言すれば、教示ボタン16のOFF操作の有無を検出する(ステップS8)。ここで、OFF操作を検出しない場合(ステップS8におけるNO)、ステップS3のステップに戻り、毛筆5及び皿6の動きを検出し、コントローラ3に対して筆記情報8及びワーク情報9を送出する処理を繰返し行う。一方、教示ボタン16のOFF操作が検出される場合(ステップS8においてYES)、すなわち、皿6に対する筆記動作が完了し、絵付け作業が終了した場合には、マスター機構部2の作動を停止し(ステップS9)、筆記情報8及びワーク情報9の取得を終了する。これにより、マスター機構部2では、絵付け作業の際の毛筆5の動きを精細に認識し、筆記情報8及びワーク情報9のデジタル情報として取得することができる。特に、本実施形態で示したように、毛筆5の三次元位置等の検出の際には、磁界受信センサ12等を利用することにより、従来のワイヤー等を用いた教示装置に比べ、毛筆5の動きの自由度が増し、通常の筆記動作を阻害することがない。そのため、有名な書家の所作や絵付け職人の卓越した技術を正確に認識し、情報8,9として取得することができる。
一方、コントローラ3は、教示ボタン16のON操作に応じて、筆記情報8及びワーク情報9の受付を開始し(ステップT1)、そして、マスター機構部2から送出される筆記動作に係る筆記情報8及びワーク情報9を受付ける(ステップT2)。そして、受付けた筆記情報8及びワーク情報9を、コントローラ3に設けられたハードディスクドライブ等の情報記憶手段30にこれを記憶する(ステップT3)。そして、マスター機構部2によって筆記情報8及びワーク情報9の送出が終了するまで、係る受付(ステップT2)及び記憶(ステップT3)の処理を継続する。その後、マスター機構部2の停止(ステップS9)に応じて、各々の処理を停止する(ステップT4及びステップT5)。これにより、マスター機構部2で取得された筆記情報8及びワーク情報9を、コントローラ3が受付け、これをデジタル情報として記憶することができる。
その後、コントローラ3は、該コントローラ3に接続されたキーボード等の操作端末(図示しない)からの、筆記情報8及びワーク情報9の読出し指示の入力の有無を検出する(ステップT6)。ここで、読出しを指示する旨の入力が検出される場合(ステップT6においてYES)、情報記憶手段30から指定された筆記情報8及びワーク情報9を読出し、スレーブ機構部4のロボットアーム7及びワーク駆動部32を制御するための筆記制御データ25及びワーク制御データ28をそれぞれ演算処理する(ステップT7,ステップT8)。その後、演算処理された筆記制御データ25及びワーク制御データ28を、スレーブ機構部4に対して送出する(ステップT9)。一方、筆記情報8等の読出しが指示されない場合(ステップT6においてNO)、ステップT7からステップT9の処理をキャンセルする。
その後、コントローラ3は、筆記情報8等の読出しを行う指示の検出を継続するか否かの判断を受付け(ステップT10)、指示の検出を継続する場合(ステップT10においてNO)、ステップT6の処理を継続する。一方、指示の検出を継続しない場合(ステップT10においてNO)、コントローラ3を停止する(ステップT11)。これにより、コントローラ3は、マスター機構部2によって取得された筆記情報8及びワーク情報9を受付け、これを記憶するとともに、読出し指示に応じて筆記制御データ25及びワーク制御データ28を演算処理し、スレーブ機構部4に送出することができる。その結果、陶磁器の絵付け作業に係る職人の優れた技術をデジタル情報として取得し、これを保存することができ、さらに読出し指示に応じて所望のタイミングで係る動作を後述のスレーブ機構部4によって再現させることができる。すなわち、匠の技などの従来は、後世に伝承することが難しかった動作及び所作を保存し、再現可能にすることができる。なお、本実施形態において、受付けた筆記情報8及びワーク情報9をそのまま情報記憶手段30に記憶するものを示したが、例えば、受付けた筆記情報8等から筆記制御データ25等を演算処理したものを情報記憶手段30に記憶するものであっても構わない。
このとき、スレーブ機構部4は、コントローラ3によって演算処理され、送出される筆記制御データ25及びワーク制御データ28の受付の有無を検出する(ステップU1)。ここで、筆記制御データ25及びワーク制御データ28の受付が検出される場合(ステップU1においてYES)、受付けた筆記制御データ25に基づいてロボットアーム7の各関節24の関節角度24a等、及び筆記再現空間23における三次元位置を変化させ、ロボットアーム7にマスター機構部2で認識された筆記動作を再現させるように制御する(ステップU2)。さらに、ワーク制御データ28に基づいてワーク駆動部32の角度調整部38及び回転角度調整部39を制御し(ステップU3)、スレーブ側皿26の筆記再現空間23における各傾き角度α’等及び回転角度θを、筆記空間10の傾き角度α等と同じになるようにする。なお、再現動作の開始時は、スレーブ側毛筆40の筆先40aは、マスター機構部2によって筆記情報8等の検出を開始した初期状態の筆先5aの位置に開始時に移動制御される。同様に、スレーブ側皿26の傾き角度α’等及び回転角度θ’も、マスター機構部2によって検出された初期状態の皿6の傾き角度α等及び回転角度θに一致するように調整されている。その後、スレーブ機構部4は、筆記制御データ25等に基づくロボットアーム7及びワーク駆動部32による再現動作の完了を検知し(ステップU4)、再現動作が完了している場合(ステップU4においてYES)、換言すれば、時系列に従って取得された筆記情報8及びワーク情報9に基づく筆記制御データ25及びワーク制御データ28による制御が終了した場合、再現動作を停止する(ステップU5)。一方、再現動作が完了していない場合(ステップU4においてNO)、換言すれば、未制御の制御データ25,28がまだ残っている場合には、ステップU2の処理に戻り、ロボットアーム7及びワーク駆動部32の制御を継続する。
その後、新たな筆記制御データ25及びワーク制御データ28がコントローラ3から送出されるか否かの検出を継続する場合(ステップU6においてNO)、ステップU1の処理を継続する。一方、係る検出を継続しない場合(ステップU6においてYES)、スレーブ機構部4の停止を行う(ステップU7)。これにより、スレーブ機構部4でマスター機構部2によって認識された筆記動作を再現させることができる。ここで、本実施形態のロボット教示システム1によれば、毛筆5の動き等の筆記動作を認識可能であるとともに、マスター機構部2によって皿6の傾き及び回転等の動きをマスターコントローラで認識し、ワーク情報9として取得することができる。一方、スレーブ機構部4では、筆記情報8とともに取得されたワーク情報9に応じてスレーブ側皿26をマスター機構部2と同様に駆動しながら筆記動作を再現することができる。これにより、従来と比較して、筆記動作の再現がさらに精細に行えるようになる。また、筆記空間10及び筆記再現空間23に設置される皿6及びスレーブ側皿26の位置、インク貯留部42の位置及び墨汁41の注入量等の条件を同一に設定することにより、筆先5aのかすれ具合など、細かな筆記動作を正確にスレーブ機構部4で再現させることができ、絵付け作業を手作業で行った場合と、同様の製品(作品)ができあがることになる。加えて、予め取得した一回の筆記動作によって、スレーブ機構部4で何回も反復して再現することが可能であり、大量の陶磁器の絵付け作業を短時間で行うことができる。そして、上述の動作を一本のロボットアーム7を用いて再現することができるため、人の両腕の動きを二本のロボットアームを用いて再現する場合に比べ、スレーブ機構部7の構成を簡略化し、製作コストを低減することができる。加えて、この場合のそれぞれのロボットアーム7の動きが干渉するような不具合を本実施形態のロボット教示システム1では奏することがない。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、本実施形態のロボット教示システム1において、筆記具として毛筆を採用し、皿6に対して絵付け作業を行う筆記動作をロボットアーム7によって再現するものを示したがこれに限定されるものではなく、その他の筆記動作(習字の動作等)を再現するものであってももちろん構わない。
さらに、本実施形態のロボット教示システム1におけるワーク検出部14及びワーク駆動部32の構成は、上述の態様に限定されるものではなく、ワークの傾き等を検出し、スレーブ機構部4でスレーブ側ワークを同様に駆動するようなものであれば構わない。
また、図5及び図6に本実施形態のロボット教示システム1における各機構部2,4及びコントローラ3の各処理の流れを示すフローチャートを示したが、本発明はこれらのフローチャートによる処理の流れに限定されるものではない。例えば、ステップS3乃至ステップS6において、マスター機構部2がそれぞれ毛筆5及び皿6の動きを検出し、その後に筆記情報8及びワーク情報9を取得するものを示したが、これに限定されるものではなく、教示ボタン16によって取得開始が指示されると、時系列に従って継続的に毛筆5及び皿6の動きを移動時及び静止時にこだわることなく、全て取得するものであってもよい。これにより、毛筆6等の動作に依存せずに筆記情報8等が取得可能となり、検出に係る手段を設けることなく、筆記情報8等を比較的簡易な構成で取得することが可能となる。
ロボット教示システムの概略構成を示す説明図である。 マスター機構部2の概略構成を示す説明図である。 スレーブ機構部4の概略構成を示す説明図である。 マスター機構部、コントローラ、及びスレーブ機構部の各々の機能的構成を示す説明図である。 ロボット教示システムにおける各機構部及びコントローラの処理の流れを示すフローチャートである。 ロボット教示システムにおける各機構部及びコントローラの処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1 ロボット教示システム
2 マスター機構部
3 コントローラ
4 スレーブ機構部
5 毛筆(筆記具)
6 皿(ワーク)
7 ロボットアーム(多自由度多関節ロボットアーム)
8 筆記情報
9 ワーク情報
10 筆記空間
11 磁界発生部(筆記情報取得手段)
12 磁界受信センサ(筆記情報取得手段)
13 位置姿勢コントローラ(筆記情報取得手段、筆記ワーク情報送出手段)
14 ワーク検出部(ワーク情報取得手段)
15 ワークコントローラ(ワーク情報取得手段、筆記ワーク情報送出手段)
22 インターフェイス部(筆記ワーク情報受付手段)
23 筆記再現空間
24 関節
25 筆記制御データ
26 スレーブ側皿(スレーブ側ワーク)
27 筆記制御データ送出部(筆記制御データ送出手段)
28 ワーク制御データ
29 ワーク制御データ送出部(ワーク制御データ送出手段)
30 情報記憶手段
31 情報読出手段
32 ワーク駆動部
33 制御データ受付部(筆記制御データ受付手段、ワーク制御データ受付手段)
40 スレーブ側毛筆(筆記具)
41 墨汁(インク)
42 インク貯留部
M 磁界
α,β,γ,α’,β’,γ’ 傾き角度
θ,θ’ 回転角度

Claims (5)

  1. 人の腕の動きを再現可能な多自由度多関節ロボットアームを有するスレーブ機構部と、
    筆記者がワークに対して行う文字の筆記または図画の描画を含む筆記動作を認識し、前記多自由度多関節ロボットアームに前記筆記動作を再現可能に教示するマスター機構部と、
    前記スレーブ機構部及び前記マスター機構部に接続され、前記マスター機構部によって認識された前記筆記動作を演算処理し、前記スレーブ機構部の前記多自由度多関節ロボットアームを制御するコントローラとを具備し、
    前記マスター機構部は、
    前記筆記者が把持し、前記ワークに前記筆記動作を行うための筆記具に取設され、前記筆記動作に応じて逐次変化する前記筆記具の三次元位置及び姿勢を検出し、筆記情報として取得する筆記情報取得手段と、
    前記筆記動作が行われる際の前記ワークの傾き角度及び回転角度を検出し、前記筆記情報と時系列を対応させたワーク情報として取得するワーク情報取得手段と、
    取得した前記筆記情報及び前記ワーク情報を前記コントローラに対して送出する筆記ワーク情報送出手段とを有し、
    前記コントローラは、
    前記マスター機構部から送出される前記筆記情報及び前記ワーク情報を受付ける筆記ワーク情報受付手段と、
    受付けた前記筆記情報に基づいて、前記多自由度多関節ロボットアームに前記筆記動作を再現させる筆記制御データを演算処理し、前記スレーブ機構部に送出する筆記制御データ送出手段と、
    受付けた前記ワーク情報に基づいて、前記多自由度多関節ロボットアームによって再現される前記筆記動作の際に使用されるスレーブ側ワークの動きを制御するワーク制御データを演算処理し、前記スレーブ機構部に送出するワーク制御データ送出手段とを有し、
    前記スレーブ機構部は、
    前記コントローラから送出された前記筆記制御データを受付ける筆記制御データ受付手段と、
    受付けた前記筆記制御データに基づいて制御され、一端に前記筆記動作を再現するためのスレーブ側筆記具が取設された前記多自由度多関節ロボットアームと、
    前記コントローラから送出された前記ワーク制御データを受付けるワーク制御データ受付手段と、
    受付けた前記ワーク制御データに基づいて制御され、前記筆記動作の際の前記ワークの変化に応じて前記スレーブ側ワークの傾き角度及び回転角度を変化させるワーク駆動部とを有することを特徴とするロボット教示システム。
  2. 前記筆記情報取得手段は、
    前記筆記動作を実施する筆記空間の基準位置に設けられ、前記筆記空間に磁界を発生させる磁界発生部と、
    前記筆記具に取設され、前記磁界発生部から発生された前記磁界を受信する磁界受信部とを具備し、
    前記筆記空間の前記磁界の変化に応じて前記三次元位置及び姿勢を認識し、前記筆記動作を検出することを特徴とする請求項1に記載のロボット教示システム。
  3. 前記コントローラは、
    受付けた前記筆記情報及び前記ワーク情報を記憶する情報記憶手段と、
    前記情報記憶手段に記憶された前記筆記情報及び前記ワーク情報を読出し指示に基づいて読出し、前記筆記制御データ送出手段及び前記ワーク制御データ送出手段にそれぞれ送る情報読出手段と
    をさらに有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のロボット教示システム。
  4. 前記筆記動作が行われる前記ワーク及び前記スレーブ側ワークは、
    皿及び湯飲みを含む陶磁器を対象とし、
    前記筆記動作は、
    前記陶磁器の表面に対して実施される絵付け動作であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のロボット教示システム。
  5. 前記筆記具及び前記スレーブ側筆記具は、毛筆が利用され、
    前記マスター機構部及び前記スレーブ機構部は、
    前記毛筆の筆先が浸漬される墨汁または絵の具を含むインクが同量ずつ貯留され、前記ワーク及び前記スレーブ側ワークに対する相対的な位置を同じにして設置されたインク貯留部をそれぞれ具備してなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載のロボット教示システム。
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