JP2006061128A - 評価方法、ヒト・エストロゲン受容体遺伝子、ゲノムdna、及び診断マーカー - Google Patents

評価方法、ヒト・エストロゲン受容体遺伝子、ゲノムdna、及び診断マーカー Download PDF

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Abstract

【課題】性分化異常症における多因子疾患に対する感受性を評価する評価方法、並びに、多因子疾患と相関性のある単一塩基多型(single nucleotide polymorphism; SNP)を有するヒト エストロゲン受容体遺伝子、そのSNPを示す塩基を含むDNA、及びそのDNAからなる診断マーカーを提供すること。
【解決手段】ヒト エストロゲン受容体遺伝子のSNP8〜14またはSNP10〜14のうちの少なくとも一つのSNPを調べること、より正確には、SNP10〜14のディプロタイプを調べることにより、多因子疾患に対する感受性を評価できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、性分化異常症における多因子疾患に対する感受性を評価する評価方法、並びに、多因子疾患と相関性のある単一塩基多型(以下、SNPと記す。)を有するヒト エストロゲン受容体遺伝子、そのSNPを示す塩基を含むDNA、及びそのDNAからなる診断マーカーに関する。
性分化は、個人の性的表現型の発現を規定する遺伝的プログラムによる、時間的・空間的に厳密な制御の下で進行する。その結果、性腺形成、性管・外性器形成、二次性徴出現、配偶子形成などの性的表現型が生じる。この性分化の過程は、
(1)性腺形成と外性器分化において、発生初期に両性に共通する原器が形成され、その後、遺伝的性に従って、異なる性腺や外性器に分化すること。
(2)性管形成において、発生初期に両性の器官が形成され、その後、遺伝的性に一致する性管のみが発達すること。
(3)生殖細胞という、次世代に引き継がれる唯一の細胞が発生すること。
によって、特徴づけられる。この遺伝的プログラムの進行過程のどこかに問題が生じると、性分化異常症が発症する。
性分化異常症の中でも、臨床的には、男児における外陰部異常症が遭遇することが多い。患者における遺伝子解析や実験動物を用いた研究から、男児における外陰部異常症に関連する遺伝子が多数同定されてきた。これらの遺伝子の異常は、胎児精巣形成不全(未分化性腺形成障害及び胎児精巣分化障害に大別される)、男性ホルモン産生障害(コレステロール合成障害及びステロイドホルモン合成酵素障害に大別される)、男性ホルモン効果障害、外陰部原器形成不全のいずれかを介して、外陰部異常症を招くことが知られている。
しかし、これらの疾患中には、その遺伝形態がメンデル遺伝に従わず、その発症が遺伝因子だけでなく環境因子によっても影響されることが示唆される多因子疾患もある(例えば、非特許文献1参照)。代表的な例としては、ミクロペニス、精巣停留、尿道下裂などがある。さらに精子形成障害も内分泌撹乱物質により障害されると考えられる。
また、上記と同様な多型を有している女子・女性においても、内分泌攪乱物質によって生じる多因子疾患(例えば、早発乳房、思春期早発症、子宮内膜症)の場合、内分泌攪乱物質に対する感受性が増加していると考えられる。
「環境ホルモンに挑む」日経BP社発行 1998年
これら内分泌攪乱物質による外陰部の障害は、胎児期に母体を通して内分泌攪乱物質に曝されることが主な原因であり、患者本人の内分泌系の異常などが原因ではない。従って、このような多因子疾患の原因を見つけるためには、その多因子疾患に関連する遺伝因子の詳細を明らかにすることが望まれる。ある疾患の遺伝因子を保有する患者に対して、特別にその疾患に対する予防方法あるいは治療方法についての戦略を立てることができるからである。
そこで、本発明は、性分化異常症における多因子疾患に対する感受性を評価する評価方法、並びに、多因子疾患と相関性のあるSNPを有するヒト エストロゲン受容体遺伝子、そのSNPを示す塩基を含むDNA、及びそのDNAからなる診断マーカーを提供することを目的としてなされた。
本発明にかかる評価方法は、ヒト個体における多因子疾患に対する感受性を評価する評価方法であって、ヒト エストロゲン受容体遺伝子の単一塩基多型(single nucleotide polymorphism; SNP)のうちで、SNP8〜14の中の少なくとも一つのSNPにおける塩基を決定することを特徴とする。特に、SNP10〜14までのハプロタイプを決定することが好ましい。この評価方法において、この感受性がミクロペニスに対する感受性であってもよい。
本発明にかかるヒト エストロゲン受容体遺伝子は、遺伝子内に存在する単一塩基多型のうちで、SNP8〜14がAAAGATAのハプロタイプであることを特徴とする。
本発明にかかるゲノムDNAは、ヒト エストロゲン受容体遺伝子内の単一塩基多型のうちで、SNP8〜14の中の少なくとも一つのSNPを含むエストロゲン受容体遺伝子の一部または全部を有し、該SNPが変異型であることを特徴とする。
さらに、本発明にかかる診断マーカーは、ミクロペニスに対する感受性の診断マーカーであって、上記ゲノムDNAからなることを特徴とする。
本発明にかかる評価方法は、ヒト エストロゲン受容体遺伝子のSNP10〜14の中の少なくとも一つのSNPにおける塩基を決定することを特徴とする。特に、SNP10〜14までのハプロタイプを決定することが好ましい。この評価方法において、前記感受性が停留精巣に対する感受性であってもよい。
本発明にかかるヒト エストロゲン受容体遺伝子は、遺伝子内に存在する単一塩基多型のうちで、SNP10〜14がAGATAのハプロタイプであることを特徴とする。
本発明にかかるゲノムDNAは、ヒト エストロゲン受容体遺伝子内の単一塩基多型のうちで、SNP10〜14の中の少なくとも一つのSNPを含むエストロゲン受容体遺伝子の一部または全部を有し、該SNPが変異型であることを特徴とする。
本発明にかかる診断マーカーは、停留精巣に対する感受性の診断マーカーであって、上記ゲノムDNAからなることを特徴とする。
なお、本発明において、「多因子疾患」とは、その遺伝形態がメンデル遺伝に従わず、その発症が遺伝因子だけでなく環境因子によっても影響されることが示唆される疾患のことをいう。
また、本発明において「診断マーカー」とは、一般にある疾患を診断する指標となるものであって、ここではSNPを検出するための遺伝子関連物質をいう。例えば、遺伝子それ自体、転写物であるhnRNAやmRNA、翻訳物であるペプチド、遺伝子発現の最終産物であるタンパク質などが含まれる。
本発明によれば、性分化異常症における多因子疾患に対する感受性を評価する評価方法、並びに、多因子疾患と相関性のあるSNPを有するヒト エストロゲン受容体遺伝子、そのSNPを示す塩基を含むDNA、及びそのDNAからなる診断マーカーを提供することができる。
以下、上記知見に基づき完成した本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。実施の形態及び実施例に特に説明がない場合には、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (Ed.), Molecular cloning, a laboratory manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2001); F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Struhl (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Ltd.などの標準的なプロトコール集に記載の方法、あるいはそれを修飾したり、改変した方法を用いる。また、市販の試薬キットや測定装置を用いている場合には、特に説明が無い場合、それらに添付のプロトコルを用いる。
なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的に実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
==ヒト エストロゲン受容体遺伝子のSNP==
図1にヒト エストロゲン受容体遺伝子の構造を示す。300kb以上にわたるヒト エストロゲン受容体遺伝子において、15個のSNPが見出されているが、SNP8〜14またはSNP10〜14が、本発明に関連したSNPである。 図2に、SNP8〜14周辺の塩基配列(配列番号1〜7に対応)を示す。
すなわち、本発明にかかるヒト エストロゲン受容体遺伝子は、SNP8(G/A)(ABIcode hCV328969)、SNP9(G/A)(ABIcode hCV1141630)、SNP10(G/A)(ABIcode hCV8790212 )、SNP11(A/G)(NCBIcode rs3020364)、SNP12(G/A)(ABIcode hCV2823640)、SNP13(C/T)(ABIcode hCV2823662)、SNP14(C/A)(NCBIcode rs3020375)の塩基のうちの少なくとも一つのSNPが変異型である遺伝子であるか、またはSNP10(G/A)(ABIcode hCV8790212 )、SNP11(A/G)(NCBIcode rs3020364)、SNP12(G/A)(ABIcode hCV2823640)、SNP13(C/T)(ABIcode hCV2823662)、SNP14(C/A)(NCBIcode rs3020375)のSNPのうちの少なくとも一つの塩基が変異型である遺伝子である。ここで、SNP番号の後ろの塩基は、(野生型/変異型)のように表されており、変異型を有するヒト個体は、多因子疾患に対する感受性が亢進している。なお、これらのSNP8〜14は全てヒト エストロゲン受容体遺伝子内のイントロンに存在する。カッコ内には、データベース登録番号が示されている。
==本発明の対象となる内分泌攪乱物質及び多因子疾患==
多因子疾患に影響を与える環境因子のなかでも、特に最近注目されているのが内分泌攪乱物質である。内分泌攪乱物質とは、「動物の生体内に取り込まれた場合に、本来、その生体内で営まれている正常なホルモン作用に影響を与える外因性の物質(環境ホルモン戦略計画SPEED’98より)」のことであり、その性質から「環境ホルモン」とも呼ばれる。内分泌攪乱化学物質の多くは女性ホルモンと同様の作用を有する。例えば、PCBやDDT、ノニルフェノール、ビスフェノールA などの内分泌攪乱化学物質はエストロゲン受容体に結合し、エストロゲンの機能を増強する(エストロゲン様作用)。また、DDE(DDTの代謝物)やビンクロゾリンなどの内分泌攪乱化学物質は男性ホルモンであるアンドロゲン受容体に結合し、アンドロゲンの機能を阻害する(抗アンドロゲン作用)。
本発明によると、ヒト個人の多因子疾患に対する感受性を評価する際、ヒト エストロゲン受容体遺伝子のイントロン内の上記SNPを利用する。これらのSNPはイントロン内にあるため、ヒト エストロゲン受容体自体の一次構造には変化が無い。従って、SNPにおける変異による多因子疾患に対する感受性の増加は、受容体分子の活性化によるのではなく、その変異がエストロゲン受容体の発現を、量的に、時間的に、あるいは場所的に乱しているため、全体として受容体活性が上昇しているためであると考えられる。
そのような状況下で、エストロゲン様作用を有する内分泌攪乱化学物質が与えられると、通常より女性ホルモン様作用を強く発現すると考えられる。内分泌攪乱化学物質が抗アンドロゲン作用を有している場合も、もともとエストロゲン受容体活性が上昇しており、体内の性ホルモンバランスが崩れているため、より強く抗アンドロゲン作用が発現すると考えられる。従って、本発明の対象となる内分泌攪乱化学物質は、一般に「環境ホルモン」として性ホルモンを模倣するようなものであれば、エストロゲン様作用を有しても、抗アンドロゲン作用を有しても、どちらでもよく、特に限定されない。従って、本発明の対象となる疾患も、上記内分泌攪乱化学物質によって生じる多因子疾患であれば、とくに限定されない。
ただし、実施例で示すように、ミクロペニスと精巣停留とでは、発症に必要とするSNP数は異なる。このことは、上記SNPのうち、変異型を示すSNP数によって、エストロゲン受容体活性の上昇レベルは変わるのであって、疾患によって、どの程度のエストロゲン受容体活性で発症するのかが違うことを示唆する。
==診断マーカーの利用==
本発明において、ヒト個人の多因子疾患に対する感受性を評価する際の診断マーカーは、上記SNPを検出するための遺伝子関連物質をいう。例えば、エストロゲン受容体遺伝子を含むDNA、転写物であるhnRNAやmRNA、翻訳物であるペプチド、遺伝子発現の最終産物であるタンパク質などが含まれる。
診断マーカーがエストロゲン受容体遺伝子等のDNAの場合、上記SNPを検出するためには、SNPを有する塩基を直接決定できればよい。具体的には、塩基配列を直接決定してもよく、PCRを利用してもよく、RFLPを利用してもよく、特に検出方法は限定されない。診断マーカーがエストロゲン受容体遺伝子の転写産物であるhnRNAである場合も、RNA配列を決定することにより、SNPを検出できる。これらSNPを直接検出する場合、DNAやhnRNAなどの核酸にはエストロゲン受容体遺伝子全体が含まれる必要はなく、SNPを有する塩基が含まれ、その塩基を決定することができれば十分である。
診断マーカーが、hnRNAやmRNA、ペプチド、タンパク質などの場合、上記SNPを検出するためには、そのSNPに伴う発現の異常を検出すればよい。具体的には、ノーザン・ブロッティング、ウエスタン・ブロッティング、in situ ハイブリダイゼーション、免疫組織学的方法、in situ RT-PCRなどが考えられるが、特にそれらに限定されない。
==SNPの判定==
ヒト個人の多因子疾患に対する感受性を評価する際の診断マーカーを用い、SNPを有する塩基を直接決定する場合、ミクロペニスに対しては、SNP8がA、SNP9がA、SNP10がA、SNP11がG、SNP12がA、SNP13がT、SNP14がA、の、いずれか一つまたはそれ以上がホモ接合になっていれば、ミクロペニスに対する感受性が高いと判断する。停留精巣の場合、SNP10がA、SNP11がG、SNP12がA、SNP13がT、SNP14がA、の、いずれか一つまたはそれ以上がホモ接合になっていれば、停留精巣に対する感受性が高いと判断する。性分化異常症における他の多因子性疾患に関しても、各疾患に特徴的な位置のSNPが、劣性変異の場合ホモ接合で、優性変異の場合ヘテロ接合で検出されれば、その疾患に対する感受性が高いと判断する。
ヒト個人の多因子疾患に対する感受性を評価する際、診断マーカーの発現を検出する場合、発現量、発現時期、あるいは発現場所に関し、性分化異常症における各疾患に特徴的に異常な発現が検出されれば、その疾患に対する感受性が高いと判断する。
==ハプロタイプの利用==
ハプロタイプに含まれる複数の座位の間には連鎖不平衡が存在する事が多く、ヒト個人の多因子疾患に対する感受性を評価する場合、連鎖不平衡を考慮に入れると、連続した複数のSNPの位置で、その塩基が変異型になっていることが好ましいと考えられた。
そこで、ヒト エストロゲン受容体遺伝子におけるDNPに対するハプロタイプブロックを解析した。ハプロタイプ推定は最尤法を用いたソフトウェア、LDSUPPORT (Kitamura et al. Ann Hum Genet)により行った。また、ハプロタイプを基礎にした質的表現型との関係の検定は、これも最尤法を用いたPENHAPLO (Ito T. et al. Genetics in press)を用いた。
このハプロタイプ解析より、SNP10〜14の約50kbにまたがる領域がハプロタイプブロックであると判定された。このブロック内のSNPにおいて、連鎖不平衡の強さの指標であるD’が0.9以上であることが多く、この中での4つのハプロタイプ(GAGCC,AGATA,GGGTA,AGGTA)で、全ハプロタイプの90%を占めた。そこで、このブロックを形成する5つのSNP座位の情報を用いて、実際に停留精巣患者群とコントロール群でハプロタイプ推定を行った。SNP10〜14の関係するハプロタイプを座位ごとのアレル(塩基A,T,C,またはG)のリストで表すと、AGATAハプロタイプの頻度が両群で有意に差があった(ハプロタイプが生じる頻度の比較で患者群、34.0% vs 正常群21.0%であった。P<0.01)。即ち、AGATAハプロタイプが患者群において正常群より高頻度で検出された。
次にディプロタイプの解析を行った。AGATAハプロタイプをホモ接合で保有する個体は、容易にこれらの座位の遺伝子型情報より検出できるが、このホモ接合体の頻度は両群で著しい差があった(患者群 19.7% vs 正常群 2.6%、P<0.005)。ディプロタイプと表現型の関係を検定するPENHAPLOアルゴリズムを行った結果、劣性モデル(同じハプロタイプを2つ保有する場合とそれ以外の場合との比較)で著しい相関が見られた(P<0.001)。
以上より、ヒト個人の多因子疾患に対する感受性を評価する際、AGATAがハプロタイプで、より好ましくはディプロタイプで検出されれば、多因子疾患に対する感受性が高いと、より正確に判断できる。
また、1つのSNPで評価する場合、4つのハプロタイプで90%を占め、SNP12におけるAは患者との相関が高いハプロタイプにのみ現れるため、SNP12を決定するのが好ましく、SNP12がAのホモ接合である場合、多因子疾患に対する感受性が高いと、より正確に判断できる。
同様に、ミクロペニス患者群とコントロール群でハプロタイプ推定を行ったところ、SNP8〜14においては、AAAGATAハプロタイプの頻度がミクロペニス患者群で有意に多かったので、評価方法としてはこのハプロタイプを用いてもよい。
==SNP判定の利用方法==
このようにして性分化異常症の多因子疾患に対する感受性が高いと判定されたヒト個体は、内分泌攪乱物質に対し、感受性が高いと考えられる。即ち、正常個体よりも低い濃度の内分泌攪乱物質によって、多因子疾患が発症する。
しかし、ミクロペニスや停留精巣などの場合、男児の胎児期に母親が浴びた内分泌攪乱物質によって影響され、それらの疾患を発症する。従って、両親のエストロゲン受容体遺伝子の多型から胎児の多因子疾患に対する感受性が高いと判断される場合や、実際に胎児のエストロゲン受容体遺伝子の多型から多因子疾患に対する感受性が高いと判断される場合、母親に対して医学的指導をすることや、内分泌攪乱物質に対する阻害剤を与えることなどにより、男児が多因子性疾患を発症することを予防することが可能となる。
また、男児において、例えば停留精巣がすでに発症した場合であっても、患者の内分泌系の異常による疾患ではないため、早期手術により将来の妊孕性保持の可能性が高い、特に精巣導帯の発育不全が関与する症例においては、早期手術により妊孕性の保持される可能性が高いと期待される。
上記と同様な多型を有している女子・女性においても、内分泌攪乱物質によって生じる多因子疾患(例えば、早発乳房、思春期早発症、子宮内膜症)の場合、内分泌攪乱物質に対する感受性が増加していると考えられるので、同様に、母親に対して医学的指導をすることや、内分泌攪乱物質に対する阻害剤を与えることなどにより、そのような疾患に対する予防的処置が可能になると考えられる。
以下、実施例及び図を用いてより詳細に説明する。
[実施例1]DNAの抽出及びSNPを有する塩基の決定
末梢白血球からゲノムDNAを抽出し、TaqMan法でSNPの遺伝子型を決定した。 TaqMan法におけるPCRに用いたプライマーは、SNP11,14,15における塩基の決定に対しては、以下の通りである。
<SNP11>
SNP11S:GTTTGGTCACTAGAAGTGGAG (配列番号8)
SNP11A:AAGGGTGTCCCAAGACCCAC (配列番号9)
<SNP14>
SNP14S:TCTCAGGAGCGTGTGGAACC (配列番号10)
SNP14A:TTGCTGGGTCTCTGCAGCAC (配列番号11)
<SNP15>
SNP15S:GAGGAGACGGACCAAAGCCAC (配列番号12)
SNP15A:GCCATTGGTGTTGGATGCATGC (配列番号13)
他のSNP(SNP8〜10,12〜13)は、アプライド・バイオシステム社のAssays-on-DemandTM Genotyping Ptoductsを利用して検出した(ABI IDナンバーは、それぞれ328969、11410643、8790212、2823640、2823662である。)。
[実施例2]多因子疾患におけるSNPの統計学的処理
正常個体、ミクロペニス患者、停留精巣の患者、それぞれ、100人、70人、63人よりDNAを抽出し、エストロゲン受容体遺伝子のSNP1〜15の塩基を決定した。表1に、一例として正常個体のデータを示す。
Figure 2006061128
(表1の続き)
Figure 2006061128
この結果に対し、χ検定を用いて、各SNPについて、正常個体とミクロペニス患者の間、及び正常個体と停留精巣の患者の間で、SNPの塩基に偏りがあるかどうか調べた。表2に、その結果を示す。
Figure 2006061128
ミクロペニスの場合、SNP8〜14までで有意差(p<0.5)が存在し、停留精巣の場合、SNP10〜14までで有意差(p<0.5)が存在した。従って、ミクロペニスの発症とSNP8〜14までの変異、及び停留精巣の発症とSNP10〜14までの変異には、それぞれ相関があることが示された。
このように、ヒト エストロゲン受容体遺伝子のSNPを、ヒト個人の多因子疾患に対する感受性を評価するための診断マーカーとして用いることができる。
ヒト エストロゲン受容体遺伝子内のSNP8〜12周辺の塩基配列を示した図である。 ヒト エストロゲン受容体遺伝子の構造、及びその中にあるSNPの位置を示した図である。

Claims (12)

  1. ヒト個体における多因子疾患に対する感受性を評価する評価方法であって、
    ヒト エストロゲン受容体遺伝子の単一塩基多型(single nucleotide polymorphism; SNP)のうちで、SNP8〜14の中の少なくとも一つのSNPにおける塩基を決定することを特徴とする評価方法。
  2. SNP10〜14までのハプロタイプを決定することを特徴とする請求項1に記載の評価方法。
  3. 前記多因子疾患が、内分泌攪乱化学物質によって生じる多因子疾患であることと特徴とする請求項1に記載の評価方法。
  4. 前記多因子疾患がミクロペニスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の評価方法。
  5. 遺伝子内に存在する単一塩基多型のうちで、SNP8〜14がAAAGATAのハプロタイプであることを特徴とするヒト エストロゲン受容体遺伝子。
  6. ヒト エストロゲン受容体遺伝子内の単一塩基多型のうちで、SNP8〜14の中の少なくとも一つのSNPを含む前記エストロゲン受容体遺伝子の一部または全部を有し、該SNPが変異型であることを特徴とするゲノムDNA。
  7. ミクロペニスに対する感受性の診断マーカーであって、
    請求項4に記載のゲノムDNAからなることを特徴とする診断マーカー。
  8. 前記ヒト エストロゲン受容体遺伝子のSNP10〜14の中の少なくとも一つのSNPにおける塩基を決定することを特徴とする請求項1に記載の評価方法。
  9. 前記多因子疾患が停留精巣であることを特徴とする請求項2または7に記載の評価方法。
  10. 遺伝子内に存在する単一塩基多型のうちで、SNP10〜14がAGATAのハプロタイプであることを特徴とするヒト エストロゲン受容体遺伝子。
  11. ヒト エストロゲン受容体遺伝子内の単一塩基多型のうちで、SNP10〜14の中の少なくとも一つのSNPを含む前記エストロゲン受容体遺伝子の一部または全部を有し、該SNPが変異型であることを特徴とするゲノムDNA。
  12. 停留精巣に対する感受性の診断マーカーであって、
    請求項9に記載のゲノムDNAからなることを特徴とする診断マーカー。

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