JP2006061027A - 生体物質採取方法 - Google Patents

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Kazunobu Okano
和宣 岡野
Kenji Yasuda
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Abstract

【課題】細胞内に含まれる生体成分のうち、mRNAなどのRNA、タンパク質、あるいは、糖タンパク質を細胞を殺すこと無しに得る。
【解決手段】特定の生体物質に親和性のある物質を先端部に固定した針を生きた細胞に刺し、所定時間後に前記針を生きた細胞より抜き、前記先端部から前記特定の生体物質を採取する。
【選択図】図1

Description

本発明は細胞内に含まれる生体成分のうち、mRNAなどのRNA、タンパク質、あるいは、糖タンパク質を細胞を殺すこと無しに得る方法に関する。
ゲノム計画の進展とともにDNAレベルで生体を理解し、病気の診断や生命現象の理解をしようとする動きが活発化してきた。生命現象の理解や遺伝子の働きを調べるには遺伝子の発現状況を調べることが有効である。この有力な方法として固体表面上に数多くのDNAプローブを種類毎に区分けして固定したDNAプローブアレーあるいはDNAチップ(実際には固定されているのはオリゴヌクレオチドの誘導体であるのでオリゴチップと呼ぶこともある)が用いられている(非特許文献1あるいは非特許文献2)。あるいは、最近では種々のタンパク質(一般的には抗体)をプローブとしてアレー状に固定したプロテインチップが用いられるようになっている。
さらに、これら分離したmRNAはベクターに組み込んだり、PCRで増幅したりして色々の目的に利用されている。一例として言えば、採取したmRNAをベクターに組み込み、クローニングした後、ベクターを鋳型にして部分的に異なる塩基を持つプライマーで相補鎖合成し、任意の遺伝子改変を施す遺伝子組換えに用いられている。いずれの場合でも、試料としては、細胞や組織を破砕して細胞内に存在するDNA、RNAあるいはタンパク質を抽出するので、もとの細胞は死んでしまう。
ところが、多くの生命は外界の状況や細胞自身の分化、加齢により、同一遺伝子から異なるmRNAが産出されることが数多く報告されている。この現象はスプライシングバリアントとかオルターナティブスプライシングと呼ばれている。これは、プレマチュアーなmRNAがゲノムより転写された後、エピゲネティックな制御により状況に応じて異なるエキソンが使われて成熟mRNAが作られるためである。あるいは免疫細胞系のT細胞やB細胞のように、免疫幹細胞からの分化の過程で、ゲノムそのものの配列が再構成されたり変異が導入されたりするためである。
さらに、細胞のガン化においては、遺伝子の配列において、タンパク質翻訳レベルでのアミノ酸変異やタンパク質が作られなくなってしまうような変異が起きたり、LOHのように1対の遺伝子のうち片方の遺伝子が消失してしまったりするケースが数多く存在する。
このような変異は、細胞にとって普遍的なことではないので、理想的には同一細胞から連続的にmRANなりタンパク質を分離して分析できるようにする必要がある。
Science 251, 767-773(1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93, 4613-4918(1996)
おそらくmRANの分析で最も多用されている技術はDNAチップ(DNAマイクロアレー)とPCRであろう。タンパク質の分析では臨床目的に用いられるのがイムノアッセイ、タンパク質そのものの研究にはNMRやX線回折、質量分析器が用いられている。工学的には前記した遺伝子組換えが重要な技術である。いずれにせよ、細胞からmRNAやゲノムやタンパク質を分離採取する必要がある。
しかし、現状では、細胞を生かしたままその細胞質や核などに含まれる生体物質を分析するには、細胞を外界から隔離している細胞膜を破壊し、内容物を得る必要があった。一部の技術としては、界面活性剤であるNP−40を利用して細胞膜にランダムに穴を開け、細胞質に含まれる物質を細胞の外に溶出させてこれを得る方法が存在する。あるいは分泌性のタンパク質の場合は例外的にそのまま利用できる。
しかし、これらは、汎用的な技術として細胞を生かしたまま、その細胞から生体物質を得ることはできない。これが生化学の実験研究におけるもっとも基本的な問題点のひとつであった。
昨今の生物学では、個々の細胞が外界や隣接する細胞とどのように影響しあいながら機能しているかを調べる研究が盛んになりつつある。このような目的には、従来の細胞を破壊してそのRNAなどを調べる方法は適切ではない。
また、再生医療に用いるエンブリオニックステムセルのような基本的に1細胞の取り扱いが必要な場合は、元の細胞を分析のために破壊することはできない。これらは分化誘導して利用するわけであるが、分裂初期の段階からの細胞状態の追跡とコントロールが必要となる。
さらに、従来技術のように細胞を破壊して、内容物を得る方法では次のような問題もある。細胞を破壊するとその時点で、mRNAなどはRNaseに晒され、急激に分解してしまう。実際、完全長のmRNA(多くの場合、安定なcDNAに直ちに置き換える操作をする)を得るのはきわめて難しく、しかも実験者の技量に取得率が依存することはよく経験することである。腕のよい実験研究者で60%程度、腕が悪いとほぼ0%というように完全長mRNAを得ることは難しい。瞬時に細胞からmRNAを採取できる技術が望まれている。
これらの問題点を解決するために、本発明では、生きた細胞から瞬時にmRNAやDNAやタンパク質を採取する手段を提供することにある。細胞は使い切りではなく生かしたまま、必要に応じて複数回mRNAやタンパク質の解析ができる方法を提案することを目的とする。このための生体物質の分離デバイスと、デバイスに使用するケミストリーと分離方法を提案する。
細胞を生かしたまま、その細胞の内容物を得るため、先端直径が細胞に比べ十分細い針を細胞に刺して針先端に内容物を付着させて採取する。
mRNAを得るには、針先端にはmRNAを採取するオリゴTをプローブとして固定したものを用いる。あるいはオリゴTの3’末端側に2から4程度の異なる配列のオリゴを固定してmRNAをポリAとのハイブリダイゼーション安定性を確保したプローブを用いる。このときに用いるプローブは通常のリン酸ジエステル結合で作られているポリヌクレオチドでは細胞内のエンド抜くレア−ゼで分解を受けやすいのと、ホールディングしやすいmRNAのプロービング配列部分がふさがれてしまうことを回避するために、PNAやそれに類してマイナス荷電をプローブに持たない人工ポリヌクレオチドを用いる。
特定のタンパク質を得るには、抗体を針先端に固定したものを用いて特定タンパク質を採取する。抗体のFc部分は目的物質以外を非特異吸着する可能性があるので、これを除去したF(ab’)を用いる。
細胞に針を刺す場合は、細胞に与える物理的なダメージを少なくするために、先端部分(細胞に挿入される部分)の直径を細胞に対して1/5以下とする。さらに、生体試料チップ先端部3にコートされた酸化チタンTiOの領域5を設ける。或いは、針の先端部分にアルギニンをコートしておき、細胞表面の細胞膜のりん脂質とのインタラクションを容易とし、スムーズに針が差し込まれるようにしている。アルギニンはアルギニンモノマーが少なくても狭い範囲に6分子程度存在するのが有効である。あるいはオリゴアルギニンを固定して用いてもよい。
表面に特定生体物質を捕捉した針を細胞から引き抜き、採取するわけであるが、mRNAの場合は針をそのままPCR反応溶液に浸し、特定mRNAの特定配列部分を増幅して得る。あるいは一端逆転写してcDNAを得てから特定遺伝子をPCR増幅してもよい。タンパク質の場合は増幅できないのでそのままの利用ということになり、実質的に細胞内特定物質量の測定がもっとも有効な利用形態となる。
本発明によれば、細胞を破壊せずに、細胞中に含まれる生体物質を採取できる。従来は困難であった細胞を破壊せずにmRNAや核内タンパク質の定量解析が可能となる。細胞を殺さないので、解析した細胞そのものを培養して利用することが可能となる。これにより、再生医療の最大のボトルネックであるステムセルの素性を解析し、目的に合った細胞のみを分化誘導し、利用することが可能となる。分化誘導中においても分裂細胞を殺さずに細胞内生体物質を解析できるようになる。
(実施例1)
図1は実施例1の細胞内生体物質であるmRNAの採取法の流れを示す概略図である。図2(A)は、実施例1で使用する針の先端部の構成の一例を示す図であり、図2(B)は、針の全体構成を示す斜視図である。
図1において、1は細胞、2は細胞核、3は針の先端部、4は容器、5はPCRのための反応液である。針3の先端部22には、図2(A)に示すように、プローブ21が固定されている。針3は、図2(B)に示すように、支持部8を介して基部7により保持される。針3の先端部はきわめて小さいものである。この取り扱いを容易にするために、針3の先端部は、ホルダ8を有し、ホルダ8は操作基板7に結合される。ホルダ8は、例えば、1mmφとし、操作基板7は4mm×5mmとする。
実施例1では大腸がん細胞に針を刺して、中に存在する特定mRNAを採取する方法に関し説明する。プローブ21としては26塩基長のポリTの3’末端に5塩基長のランダム配列オリゴDNAが結合さている。これは、ポリTだけではmRNAのハイブリダイゼーションの安定性が十分確保できないためである。プローブ21は細胞内のmRNAと容易にインタラクションするようにPNA(ペプチドヌクレイックアシド)でできている。PNAは通常のDNAのようにリン酸ジエステル結合に由来するマイナス荷電を持たないので、標的となるDNAとの間に静電的反発力が働かない。このため、ハイブリダイゼーションの効率が高くなる効果がある。また、細胞膜を通過するときにリン脂質との反発力を生じないのでスムーズに針を刺すことができる。さらに、Tが固定された領域5を設け、生体試料チップ先端部3を細胞1に刺すときに、335nmの紫外線を照射すると、コートされた酸化チタン5の有機物分解作用により容易に細胞1に刺さる。
針3の固相表面上にプローブ21が高密度に固定されているケースで通常のDNAプローブを用いると、マイナス荷電のバリアーを超えて標的DNAがプローブに接近する必要があり、反応速度論的にも熱力学的に見ても不利になる。また、標的mRNAは必ず1本鎖になる必要があるが、実際は分子内で3次元的にホールディングしており、プローブ21が結合するプロービングサイトが埋まっているケースがある。PNAのようにマイナス荷電を持たないプローブを用いることで、プローブ自体の電荷をなくすことができるので、ハイブリダイゼーションの速度と収率が向上する。
さらに、PNAの電荷を持たない特性は、静電的な反発力を生じないので、標的DNAが2本鎖であっても競争的に2本鎖にもぐりこみ競争的にハイブリダイゼーションすることができる。さらに、細胞膜もマイナスに荷電したリン脂質で覆われているため、針3の表面にマイナス荷電があると、針3と細胞1の間で反発力がはたらき、針3を刺しづらくなる。PNAでできたプローブ21を固定した針3を用いることでスムーズに細胞に針を刺すことができる。
工程1)に示すように、細胞内生体物質の採取のターゲットである細胞1に先端部分が細胞に比べ1/5以下の直径の細い針3を刺す。プレマチュアーなmRNA或いは核タンパク質を採取するには針を核2に刺す。細胞1に針3を刺した状態を30秒間維持する。
工程2)では針3を細胞1から引き抜く。
工程3)では、直ちに、2×SSCで針3の先端部22を洗浄する。
工程4)では、針3の先端部22のプローブ21に捕捉されているmRNAのうち特定mRNAを増幅する。容器4には特定mRNAに対応するプライマー組と耐熱性DNAポリメラーゼとポリメラーゼの基質であるdNTPとMgとpH9のTris系緩衝液からなる反応液5が2μl含まれている。反応液上面は、操作中の蒸発を防ぐため、2μlのミネラルオイルが重層してある。
ここでは、図2に示すHomo sapiens tumor-associated calcium signal transducer 1 (TACSTD 1)に特異的な配列部分を増幅する。TACSTD1は上皮細胞でガンになると多量に発現するといわれている全長1528bpのmRNAである。ヒトTACSTD1のmRNA配列に関しては、HUGO Gene Normenclature Committee、鉄LC new solute carrier superfamily proposed members (SLC) HGNC approved煤A禰GNC Gene Grouping/Family Nomenclature煤A[online]、HUGO、[平成16年8月1日検索]、、インターネット< URL: http://www.gene.ucl.ac.uk/nomenclature/genefamily.shtml>に記載されている。
配列番号1と配列番号2の配列の合成オリゴDNA(濃度:0.2pmol/μl)を、それぞれ、プライマーとして、定法に従いPCR増幅を行う。PCRは94℃変性5秒間、55℃アニール10秒間、72℃10秒間のサイクルを35回繰り返す。反応液量は前記したとおり、2μlで行う。PCR増幅によって得られた溶液を(株)日立製作所製のi-チップ(マイクロ電気泳動チップ)とコスモ−iチップ電気泳動装置で解析する。その結果、230bpの位置に実質的にシングルの電気泳動分離バンドが得られる。データベースから予想されるPCR産物の塩基長は233bpである。
CTGAGCGAGT GAGAACCTAC TG :(配列番号1)
AGCCACATCA GCTATGTCCA :(配列番号2)
次に、最初に針を刺した細胞に対して、16時間後に、再度、工程1)から工程4)を繰り返し、mRNAの採取とPCR増幅を行う。2回目の針刺しは、コンタミネーションを防ぐため、1回目の針刺しとは別の針3を用いる。
2回目の針刺しによって得られたmRNAに対して、今度は、同じヒトTACSTD1の別の配列部分を増幅するプライマーで増幅を行う。このプライマーは配列番号3と配列番号4のそれぞれから作成する。
GTATGAGAAG GCTGAGATAA AGG :(配列番号3)
AGCTGCTTAT ATTTTGAGTA CAGG :(配列番号4)
このときのPCR条件は、94℃変性5秒間、52℃アニール10秒間、72℃10秒間のサイクルを35回繰り返す。
1回目の針刺しによって得られたmRNAと同様に、PCR増幅によって得られた溶液を(株)日立製作所製のi-チップ(マイクロ電気泳動チップ)とコスモ−iチップ電気泳動装置で解析する。その結果、今度は、215bpの電気泳動分離バンドが一本得られる。配列から計算される塩貴重は216bpである。1回目の針刺しによって得られたmRNAのPCR増幅によって得られた溶液の230bpの位置にはバンドは確認されない。
この結果は、最初の針刺しから16時間を経過しても細胞が死んでいないことを示す。すなわち、最初の針刺しで細胞1が死亡する場合は、細胞質でRNaseによりmRNAが直ちに分解を始めるので、実質mRNAを増幅することができないのに対して、2回目の針刺で採取されたmRNAがPCRにより増幅できたので、最初の針刺しで細胞1が死亡していないことが確認できる。
(実施例2)
実施例2では、一回の針刺しでmRNAを生きた細胞から採取し、複数のcDNAを得る方法について述べる。ここでは実施例1と同様にPNAで出来たプローブ21が固定されている針3でmRNAを採取する。
図3は、実施例2で使用する針43の具体例を示す図である。実施例1と同様にプローブ21の他に先端部の領域9にTが固定されるのに加え、さらに、アルギニン48が固定されている。固定するアルギニンはアミノ酸1個でも良いし、オクタマーまでの長さでも良い。固定法はPNAを固定する溶液に1/40モル比で加えておいて針全体に満遍なく固定している。針43の支持部の構成は示さないが、図2(B)と同様である。
プローブ21およびアルギニンの固定法について述べる。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの0.5%水溶液(酢酸を0.5%添加、シランカップリング剤が溶解しない場合は溶解するまで酢酸を加える)を30分間室温(25℃)で放置し、メトキシ基を加水分解し、活性なシラノール基を生成させる。表面に酸化膜を有するシリコン製の針3を活性化したシランカップリング溶液に浸し、1時間放置する。純水で5秒間リンスする。この時点でシランカップリング剤のシラノール基が部分的に酸化シリコンの表面のシラノール基と脱水縮合したものと、シランカップリング剤のシラノール基と酸化シリコン表面の酸素が水素結合で結合したものの準安定な混合物ができる。
次に、105〜110℃で空気中で30分間加熱する。この操作で、水素結合しているシランカップリング剤のシラノール基とシリコン表面の酸素分子の間で脱水縮合が完結する。また、シリコン表面に存在するシランカップリング剤同士でも脱水縮合が進行する。最終的にシリコン表面にグリシドキシプロピル基が導入される。このうちグリシドキシ基をなす原子団の一部がアミノ基との反応性が高いエポキシ基である。pH10の水溶液条件下で50pmol/μlの濃度の上記アミノ基を有するPNAと1.25μMのL−Arg或いはアルギニンオリゴマー((L−Arg)n(n:2〜8)混合溶液を1時間50℃で反応させる。この反応でアルギニンを部分的に固定したPNA固定針を得ることができる。
実施例2で調製した針を用いると細胞に針43を刺すときに細胞1の保持がほとんど必要がない程度の力で針43を刺すことができる。このため、組織細胞以外にも培養細胞のように固定されていない細胞でも比較的容易に針を刺すことができる。
図4は実施例2の細胞内生体物質であるmRNAの採取法の流れを示す概略図である。
工程1)では、針43を生きている細胞1に突き刺し、30秒間この状態を維持する。
工程2)では、細胞1から針43を引き抜く。
工程3)では、直ちに、RNaseインヒビター入りの溶液で洗浄する。この状態で針43の表面にハイブリダイズしているのはポリA−RNAと考えることができる。
工程4)は、1st strand cDNAを得る工程である。プローブ21である相補的なポリTは針43の表面に固定されているので、この状態で逆転写酵素を働かせて相補鎖合成するとポリTを基点に相補鎖が合成される。次にRNaseHを作用させRNA鎖を分解し、1st strand cDNAを得る。
工程5)では、第1のPCR増幅を行う。実施例2では、実施例1に用いたヒトTACSTD1に対応する配列番号1と配列番号2の配列をそれぞれ持つ第1のプライマー組と、配列番号3と配列番号4の配列をそれぞれ持つ第2のプライマー組をそれぞれ容器44−1と44−2に用意する。
第1のPCR増幅は、配列番号1と配列番号2の配列をそれぞれ持つ第1のプライマー組を持つPCR溶液45の入った容器44−1に針43を刺し、PCRを行う。反応条件は実施例1に従う。
工程6)では、針43を容器44−1から引き上げ、十分洗浄する。
工程7)では、第2のPCR増幅を行う。第2のPCR増幅は、配列番号3と配列番号4の配列をそれぞれ持つ第2のプライマー組を持つPCR溶液46の入った容器44−2に針43を刺し、PCRを行う。反応条件は実施例1に従う。
第2のPCR終了後、それぞれのPCR増幅によって容器44−1および44−2に得られた溶液を(株)日立製作所製のi-チップ(マイクロ電気泳動チップ)とコスモ−iチップ電気泳動装置で解析する。容器44−1で行った第1のPCR増幅溶液からは230bpの単一電気泳動分離バンドが、容器44−2で行った第2のPCR増幅溶液からは215bpの単一バンドが検出される。
工程5から7までの処理40は、工程4で得られた1st strand cDNAについて、適当に準備されたPCR溶液の入った容器に対して繰り返し実行することが出来る。
実施例2では、生きた細胞からmRNAを容易に採取でき、針先にハイブリダイズしたmRNAのcDNAを針上に固定した形で合成することができる。針の表面にはmRNAがライブラリーとして保存されることになるので、必要に応じて必要なときに、PCRを用いて目的遺伝子の目的配列部分を増幅して得ることができる。このようなmRNAライブラリーをcDNAの形で固定した針は長期保存が可能なため、細胞に針を刺した時点での転写産物をマスターライブラリーとして保存することができる。
(実施例3)
実施例3では、特定のタンパク質とアフィニティーを有する抗体を固定し多針で特定物質を採取する例について述べる。図5(A)は、実施例3で採用しうる針先端部53を示す図であり、図5(B)は、実施例3で採用しうる針の全体構成を示す斜視図である。
抗体としては、ヒトミトコンドリア膜を分離しウサギに感作させているポリクロナルな抗ヒトミトコンドリア抗体を用いる。この抗体は、ミトコンドリアの複数のタンパク質や糖鎖抗原に対して反応する。
抗ヒトミトコンドリア抗体を針先端部53に固定した針の調製について述べる。まず、抗体をパパイン分解して得られるF(ab’)断片にSH基を導入する。導入されるSH基はF(ab’)1分子あたり3〜4分子である。次に、針先端部53は次の方法でシランカップリング処理し、あらかじめ表面にアミノ基を導入する。0.5%N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン水溶液を室温で30分間放置し、活性化シランカップリング溶液を得る。表面が酸化されたシリコンからなる針を浸漬して、1時間放置する。針先端部53を純水でリンスした後、105〜110℃で空気中で乾燥させる。これで針先端部53表面に共有結合で固定されたアミノ基を得ることができる。
次に、片方にスクシンイミドエステル残基もう片方にマレイイミド残基を有する2価性試薬であるN−(maleimidoundecanoyl)sulfosuccinemideをpH8の条件で30分間室温で反応させる。緩衝液は0.1M防酸緩衝液pH8.5を使用する。リンス後pH6.5の条件でSH基を導入したF(ab’)を1時間室温で反応させる。緩衝液は0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液pH6.5を用いる。得られるF(ab’)固定針は5%トレハロースを含むPBS(pH7.4)で保存する。図5(A)ではF(ab’)51が針先端部53の表面のエリア52に固定された様子を模式的に示す。
図5(B)に示すように、表面のエリア52にF(ab’)51が固定された針先端部53は、支持部8で支持されて基部7に結合される。
基部7で保持して、F(ab’)が固定された針先端部53を細胞質に刺し、針先端部53を引き抜く。このとき100倍対物レンズを用いて顕微鏡観察しながら針を引き抜くと、針の周りにミトコンドリアがまとわりついて針と一緒に動くことが見えるケースがある。針先端部53を緩やかにリンスする。表面に残る物質は、3M塩酸グアニジンで溶出させ、含まれるタンパク質やmRNAを解析する材料として用いることができる。
[配列表]
SEQUENCE LISTING
<110> Onchip Cellomics Consortium
<120> A method of Preparation of Biomaterials
<130> NT04P0875
<160> 4
<210> 1
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 1
ctgagcgagt gagaacctac tg 22
<210> 2
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 2
agccacatca gctatgtcca 20
<210> 3
<211> 23
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 3
gtatgagaag gctgagataa agg 23
<210> 4
<211> 24
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 4
agctgcttat attttgagta cagg 24
実施例1の細胞内生体物質であるmRNAの採取法の流れを示す概略図である。 (A)は、実施例1で使用する針の先端部の構成の一例を示す図であり、(B)は、針の全体構成を示す斜視図である。 実施例2で使用する針43の具体例を示す図である。 実施例2の細胞内生体物質であるmRNAの採取法の流れを示す概略図である。 (A)は、実施例3で採用しうる針先端部53を示す図であり、(B)は、実施例3で採用しうる針の全体構成を示す斜視図である。
符号の説明
1…細胞、2…細胞核、3,43,53…針、4,44−1,44−2…容器、5,45,46…PCRのための反応液、21,51…プローブ、22,52…針3の先端部、7…基部、8…支持部、9…先端部の領域、48…アルギニン。

Claims (7)

  1. 特定の生体物質に親和性のある物質を先端部に固定した針を生きた細胞に刺し、所定時間後に前記針を生きた細胞より抜き、前記先端部から前記特定の生体物質を採取する生体物質採取方法。
  2. 特定の生体物質に親和性のある物質と(Arg)(n:1〜8)とを先端部に固定した針を生きた細胞に刺し、前記親和性のある物質を針先端部に捕捉し、前記細胞が生きたまま細胞に含まれる特定の生体物質を採取する生体物質採取方法。
  3. 特定の生体物質に親和性のある物質とTiOとを先端部に固定した針を生きた細胞に刺し、前記親和性のある物質を針先端部に捕捉し、前記細胞が生きたまま細胞に含まれる特定の生体物質を採取する生体物質採取方法。
  4. 前記特定の生体物質がmRNAである請求項1または2記載の生体物質採取方法。
  5. mRNAのポリA部分に親和性のあるポリT配列の誘導体を有するプローブを先端部に固定した針を生きた細胞に刺し、所定時間後に前記針を細胞より抜き、前記針先端部に捕捉されたmRNAを採取し、前記採取されたmRNAをPCRで増幅して特定遺伝子のcDNAを得ることを特徴とする生体物質採取方法。
  6. 前記特定の生体物質がタンパク質である請求項1または2記載の生体物質採取方法。
  7. 特定の生体物質に親和性のある物質を先端部に固定した針を生きた細胞に刺し、所定時間後に前記針を生きた細胞より抜き、前記先端部から前記特定の生体物質を採取した後、さらに所定時間後に、特定の生体物質に親和性のある物質を先端部に固定した針を前記細胞に刺し、所定時間後に前記針を細胞より抜き、前記先端部から前記特定の生体物質を採取することを特徴とする生体物質採取方法。
JP2004244575A 2004-08-03 2004-08-25 生体物質採取方法 Pending JP2006061027A (ja)

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