JP2006057698A - チェーンクランプ装置 - Google Patents

Abstract

【課題】 容易かつ迅速に装着取り外しができるクランプ装置を提供すること。
【解決手段】 チェーンクランプ装置１０は、パイプのフランジと係合する溝を備えた複数個のクランプユニット１１が連結板１２によって１列に連結され、クランプユニット同士の連結手段１４を備え、更に、各クランプユニット１１とピン２１により摺動可能に係合し、弾性変形する棒状バネ部材１５を備える。棒状バネ部材１５は、全体形状がＣ字状あるいはＵ字状であり、チェーンクランプ装置１０もほぼその形状を維持する。チェーンクランプ装置１０がパイプのフランジに装着し易い形状を維持しているので、フランジへの装着や取り外しが容易となり、短時間で作業ができる。
【選択図】図１

Description

この発明はチェーンクランプ装置に関し、特に、人が近づき難い環境において使用するのに好適なチェーンクランプ装置に関する。

シンクロトロンなどの素粒子の加速装置においては、内部を真空にして実験を行うパイプの周囲に電磁石を設置した実験装置ユニットを多数連結して加速装置が構成されている。シンクロトロンなどの実験装置においては、実験装置の稼働に伴って実験装置が放射能を帯び、実験装置に長時間近づいて作業することが困難な状況となる。

一方、従来一般的なパイプ連結方法として、パイプの端部にフランジという縁を設け、フランジ同士をボルトとナットで締結する方法が採用されている。ところが、実験装置ユニットを交換する場合などにおいて、上記したような従来のフランジを用いた一般的なパイプ連結構造では、パイプを分離あるいは連結するために作業員が長時間パイプの連結部分に接近して作業を行う必要があるという問題点があった。そこで、現在は例えば下記特許文献１あるいは２に示すようなチェーンクランプ装置が採用されている。
特開平７−１９０２６４号公報 特開２００３−２２２２８０号公報

例えば特許文献１に記載されているような従来のチェーンクランプ装置においては、パイプに予めガイドフランジ５を装着しておく必要があり、また、チェーンクランプ装置自体の交換に手間がかかる等の問題点があった。また、特許文献２に記載されているような従来のチェーンクランプ装置においては、チェーンクランプ装置の形状がある程度以上は開かないものの、クランプ連結部材５がある角度範囲内において自由に回動し、かつバネ６によって閉じる方向に付勢されているので、チェーンクランプ装置が作業者がパイプのフランジに装着し易い形状には定まらず、装着に手間がかかる等の問題点があった。
この発明の目的は、上記したような従来技術の問題点を解決し、容易かつ迅速に連結／分離作業を行うことができるチェーンクランプ装置を提供することにある。

本発明のチェーンクランプ装置は、パイプのフランジと係合する溝を備えた複数個のクランプユニットを１列に連結したチェーンクランプ装置において、両端の前記クランプユニット同士を連結する連結手段と、前記複数個のクランプユニットのそれぞれと摺動可能に係合し、弾性変形する棒状バネ部材を備えたことを主要な特徴とする。

また、前記棒状バネ部材は、全体形状がＣ字状あるいはＵ字状のいずれかであり、断面が円形あるいは長方形の金属部材であってもよい。また、前記棒状バネ部材は、前記クランプユニットの溝の内部に２本のピンによって係合していてもよい。

更に、前記連結手段は、一方の端部のクランプユニットと係合した、円柱座金を備えたボルト、および他方の端部のクランプユニットと係合した、前記ボルトと嵌合する円柱ナットからなっていてもよい。

本発明のチェーンクランプ装置によれば、以下のような効果がある。
（１）チェーンクランプ装置が作業者がパイプのフランジに装着し易い形状を保持しているので、フランジへの装着や取り外しが容易となり、短時間で作業ができる。
（２）パイプ側を加工する必要が無く、従来と同様のフランジに装着できる。
（３）構造が簡単であり、また開放時の形状も調整可能である。

以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。

図１は、本発明のチェーンクランプ装置の構成を示す正面図である。本発明のチェーンクランプ装置１０は、複数のクランプユニット１１を軸２０および連結板１２によって１列に連結した構成を有している。各連結板１２はクランプユニット１１に対して回動可能である。

複数個のクランプユニット１１それぞれの内側のパイプのフランジと係合する溝（２２）の内部には、クランプユニットと摺動可能に係合し、弾性変形する棒状バネ部材１５が配置され、２本のピン２１によって各クランプユニット１１と係合している。ピンの本数は１本あるいは３本以上でもよい。

この実施例においては、上部及び下部の２カ所は、連結板１２ではなく、クランプユニット同士を連結する連結手段である連結ボルト１３、１４によって連結されている。また、図１の下部の連結部分においては棒状バネ部材１５は切れており、連結ボルト１４を外すことによってチェーンクランプ装置１０を開放可能となっている。

図２は、解放時の本発明のチェーンクランプ装置の構成を示す正面図である。棒状バネ部材１５は、断面が円形あるいは長方形の金属部材であり、外部から力がかからない状態においては、全体形状がパイプのフランジの外径よりも大きな内径を有するＣ字状あるいはＵ字状もしくはその中間形状のいずれかの形状を有している。従って、チェーンクランプ装置１０も開放状態においてはＣ字状あるいはＵ字状もしくはその中間形状のいずれかの形状を維持している。

チェーンクランプ装置１０を締める場合には、棒状バネ部材１５が切れている連結部を図２に図示するように開放状態とし、両端を外側に引っ張るなどしてパイプのフランジに被せる。この際にはチェーンクランプ装置１０が図２に示すような形状を維持しており、かつ作業者が容易に変形可能であるので、簡単にフランジに被せることができる。

次に、連結ボルト１４を対向するチェーンユニットに係合している円柱状のナットに嵌合させて締める。後述するが、円柱状のナットはクランプユニットに回転しないように係合されており、連結ボルト１４の先端が円錐状に加工されているので、連結ボルト１４を対向するクランプユニットの孔に挿入して回転することにより、容易に締めることができる。最後に、複数箇所の連結部の間隔が等しくなるように、それぞれの連結ボルト１３、１４を均等なトルクで締める。

次に細部の構成について説明する。図３は、本発明のチェーンクランプ装置のクランプユニットの構成を示す断面図である。また、図４は、本発明のチェーンクランプ装置の構成を示す側面図である。連結すべき２つのパイプのそれぞれのフランジ４０、４１はシール手段である金属製のオーリング４２を挟んで対向している。フランジ４０、４１は傾斜面（テーパー）を備えている。

クランプユニット１１は金属製の直方体であり、チェーンクランプ装置１０の内側に相当する面にはパイプのフランジ４０、４１と係合する傾斜面を備えた溝２２が設けられている。溝の深さはフランジ４０、４１の高さよりも深く、溝２２の底とフランジ４０、４１の外周部の隙間に、溝２２を横断するように２本の金属製のピン２１が打ち込まれており、このピン２１と溝２２の底の間に実施例では３本の棒状バネ部材１５（１５ａ、１５ｂ、１５ｃ）が配置されている。

棒状バネ部材１５は溝２２内において十分な遊びをもって摺動可能に配置されており、また、棒状バネ部材１５は例えばピアノ線のような弾性変形するバネ部材であるので、作業者が両端を外側に引っ張ることにより、大きく開放させることが可能である。また、締める場合にはクランプユニット１１と棒状バネ部材１５は摺動可能であるので、クランプユニット１１の位置等が棒状バネ部材１５によって影響を受けることはない。

次に、連結手段の細部について説明する。図５は、本発明のチェーンクランプ装置の連結部の構成を示す断面図および平面図である。連結手段は、一方の端部のクランプユニット３０と係合した、円柱座金３２を備えた連結ボルト１４、および他方の端部のクランプユニット３１と係合した、連結ボルト１４と嵌合する円柱ナット３６からなる。

一方の端部のクランプユニット３０および他方の端部のクランプユニット３１はほぼ同様の構造を有しており、それぞれ軸２０と同様の機能を果たす円柱座金３２あるいは円柱ナット３５が嵌合する凹部を備え、この凹部の中央からユニットの側面に貫通する孔が設けられている。孔の方向は、チェーンクランプ装置１０を装着した場合に、一方の端部のクランプユニット３０および他方の端部のクランプユニット３１のそれぞれの孔の軸が一致するように決定される。

孔の径は、連結ボルト１４の径よりもある程度大きくして、それぞれのクランプユニット３０、３１は円柱座金３２あるいは円柱ナット３５とのみ接触し、孔と連結ボルト１４とが接触しないようにする。ユニットの側面に近くなるほど孔の径を大きくしてもよい。このようにすることにより、それぞれのクランプユニット３０、３１が連結ボルト１４によって位置や向きに影響を受けないようにする。

また、それぞれのユニットの溝の開放側の端部には棒状バネ部材１５の突出を阻止するストッパ３７が設けられている。このストッパ３７は例えば溝の一部を塞ぐ金属板を任意の手段で固着すればよい。

連結ボルト１４は、スプリングワッシャ３３、円柱の中央に孔を設け、孔の軸と垂直な側面を平面に切削した円柱座金３２、クランプユニット３０の孔を回動可能に貫通している。連結ボルト１４の孔の他端側には、脱落防止用のＣリング３４が装着されており、チェーンクランプ装置１０の解放時おいても連結ボルト１４がクランプユニット３０から脱落しないようになっている。

円柱ナット３６は、円柱の中央に連結ボルト１４のネジ山と嵌合するネジ山を切った孔を設け、孔の軸と垂直な側面の一部のみを平面に切削して凹部を形成たものである。円柱ナット３６は図示するように、クランプユニット３１の凹部と止め板３６によって遊びを持って挟持されている。断面がＬ字状の止め板３６は、クランプユニット３１にネジ等によって固着されており、円柱ナット３６の切削された平面である凹部と嵌合しているので、チェーンクランプ装置１０の開放状態においても円柱ナット３６が脱落したり、回転したりすることはない。

以上、構成を説明したが、以下のような変形例も考えられる。実施例においては、連結手段あるいはクランプユニット間の間隔調整手段が２カ所設けられている例を開示したが、３カ所あるいは４カ所以上設けてもよく、数が多い方がフランジを均等に締めることができる。また、逆に１カ所のみであってもよい。

棒状バネ部材１５は、略Ｃ字あるいはＵ字状である例を開示したが、例えば連結手段が２カ所ある場合に、半円状の棒状バネ部材１５を２個使用して、それぞれの連結部分において、チェーンクランプ装置１０を開放できるようにしてもよい。断面形状や本数についても任意であり、本数を増減することによってバネの強さを調整することも可能である。

また、実施例においては棒状バネ部材１５の全体形状がフランジの外径よりも大きな内径を有する例を開示したが、この場合には連結ボルトを締めるために両端のクランプユニットを接近させておく必要がある。そこで、棒状バネ部材１５の全体形状がフランジの外径と同じかより小さな内径を有するように構成してもよい。こうすれば、フランジに被せる時にはより大きな力で引っ張る必要があるが、被せた後には、棒状バネ部材１５の力でチェーンクランプ装置１０が自律的にフランジに巻き付き、締め付け作業が楽になる。なお、棒状バネ部材１５に弾性限界以上の外力を加えることにより、全体形状を任意に変形させることも可能である。

棒状バネ部材１５とクランプユニット１１の係合方法としては、２本のピン２１を使用して溝２２内に配置、係合する例を開示したが、クランプユニット１１の外側面あるいは側面に、閉じたフックなど棒状バネ部材１５を摺動可能に係合させる手段を設けてもよい。また、クランプユニット１１の内部に溝２２と同じ方向に貫通する孔を設け、その孔の中に棒状バネ部材１５を貫通させるようにしてもよい。

本発明の装置は、粒子加速器に限らず、パイプ間を接続／分離する必要のある任意の装置に適用可能である。

本発明のチェーンクランプ装置の構成を示す正面図である。 解放時の本発明のチェーンクランプ装置の構成を示す正面図である。 本発明のチェーンクランプ装置のクランプユニットの構成を示す断面図である。 本発明のチェーンクランプ装置の構成を示す側面図である。 本発明のチェーンクランプ装置の連結部の構成を示す断面図および平面図である。

符号の説明

１０ チェーンクランプ装置
１１ クランプユニット
１２ 連結板
１３、１４ 連結ボルト
１５ 棒状バネ部材
２０ 軸
２１ ピン

Claims (4)

1. パイプのフランジと係合する溝を備えた複数個のクランプユニットを１列に連結したチェーンクランプ装置において、
   両端の前記クランプユニット同士を連結する連結手段と、
   前記複数個のクランプユニットのそれぞれと摺動可能に係合し、弾性変形する棒状バネ部材を備えたことを特徴とするチェーンクランプ装置。
2. 前記棒状バネ部材は、全体形状がＣ字状あるいはＵ字状のいずれかであり、断面が円形あるいは長方形の金属部材であることを特徴とする請求項１に記載のチェーンクランプ装置。
3. 前記棒状バネ部材は、前記クランプユニットの溝の内部に２本のピンによって係合していることを特徴とする請求項１に記載のチェーンクランプ装置。
4. 前記連結手段は、一方の端部のクランプユニットと係合した、円柱座金を備えたボルト、および他方の端部のクランプユニットと係合した、前記ボルトと嵌合する円柱ナットからなることを特徴とする請求項１に記載のチェーンクランプ装置。
   

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